JP6091114B2 - 合成樹脂エマルジョン組成物の製造方法、及びこの製造方法により得られた合成樹脂エマルジョン組成物を用いてなるコーティング剤の製造方法、塗膜の製造方法 - Google Patents

合成樹脂エマルジョン組成物の製造方法、及びこの製造方法により得られた合成樹脂エマルジョン組成物を用いてなるコーティング剤の製造方法、塗膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、合成樹脂エマルジョン組成物の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、高屈折率であり、更には凝集することなく透明な塗膜を得るために有用な有機無機複合型の合成樹脂エマルジョン組成物の製造方法に関するものである。
近年、高屈折率であるプラスチック材料の光学用物品への進出は著しく、液晶ディスプレイ用パネル、カラーフィルター、眼鏡レンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、TFT用のプリズムレンズシート、非球面レンズ、光ディスク、光ファイバー、光導波路等への検討が盛んに行われており、このようなプラスチック材料に高い屈折率が要求される場合には、一般的に、高屈折率を示す有機溶剤系の樹脂組成物が用いられている。
また、プラスチック材料の屈折率を高めるための技術として、プラスチック等の有機物と金属微粒子等の無機物の複合物である有機無機複合材料が広く用いられており、分子設計がしやすく、柔軟性の高い有機材料と、熱的・化学的に安定で屈折率の高い無機材料を複合させることにより、様々な性能を持った有機無機複合材料が開発・利用されている。
ここで、金属微粒子等の無機微粒子は、水熱合成法により製造する方法が最も一般的であり、かかる方法で製造される無機微粒子は安定的に水に分散された状態で製造されている。そのため、世の中で広く用いられている有機溶剤系の樹脂組成物として有機無機複合材料を使用するためには、水分散された状態の無機微粒子を表面修飾や溶媒置換等によって、有機溶剤に分散された無機微粒子に変換して用いることが必要となり、そのための検討が種々行なわれてきた。
例えば、特許文献1では、無機酸化物微粒子を水中に分散してなる無機酸化物微粒子の水分散液に対し、炭素数4以上のカルボン酸を混合して混合し、当該混合液から水を除去することで疎水化された無機酸化物微粒子を製造し、有機溶剤に均一分散された酸化物微粒子を用いてナノ分散複合化樹脂を製造する方法が開示されている。
特開2011−105553号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術においては、そもそも安定的に水分散された状態の無機微粒子を、有機溶剤分散型に変更するものであり、表面修飾や溶媒置換等の煩雑な操作が必要となるものであり、生産性の点で問題の残るものである。
また、近年では、溶剤系の樹脂組成物では、使用時における有機溶剤の揮発が、環境衛生や安全面で問題となるために、溶剤系の樹脂組成物に代えて環境衛生、安全面についての問題がなく、また、高濃度化および脱溶剤化による低コスト化が可能である水系(エマルジョン型)の樹脂組成物が各用途において種々使用されるようになっている。
しかし、水系樹脂を用いた有機無機複合材料を製造するに際しては、水分散された状態の無機微粒子を単に水系樹脂に配合し混合するだけでは良好な複合組成物を得ることができないものであり、有機無機複合材料が得られたとしても塗膜化した際に凝集が起こり白濁が生じ易いという問題点があり、水系樹脂と無機微粒子からなる有機無機複合材料を得るための更なる改良が求められている。
そこで、本発明ではこのような背景下において、高屈折率を示し、更に凝集することなく透明な塗膜を得るために有用な有機無機複合型の合成樹脂エマルジョン組成物を提供することを目的とするものである。
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、合成樹脂エマルジョンに金属酸化物を配合してなる合成樹脂エマルジョン組成物において、特定範囲の平均粒子径を有するエマルジョンを使用し、通常よりも平均粒子径の小さい金属酸化物を特定量配合することにより、乾燥後に得られる塗膜が、高屈折率であることに加え、白濁せずに透明となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の要旨は、合成樹脂エマルジョン(A)、および平均粒子径が20nm以下の金属酸化物(B)を含有してなる合成樹脂エマルジョン組成物の製造方法であり、合成樹脂エマルジョン(A)中の合成樹脂粒子の平均粒子径が150nm以下であり、金属酸化物(B)が酸化ジルコニウムであり、かつ、金属酸化物(B)の含有量が、合成樹脂エマルジョン(A)の固形分100重量部に対して、50重量部以上である合成樹脂エマルジョン組成物が、ζ電位が−100〜−10mVの合成樹脂エマルジョン(A)に、ζ電位が+1〜+50mVの金属酸化物(B)の水分散液を配合して得られることを特徴とする合成樹脂エマルジョン組成物の製造方法である。
また、本発明においては、合成樹脂エマルジョンを用いてなるコーティング剤および塗膜を提供するものである。
本発明の合成樹脂エマルジョンを用いると、煩雑な溶媒置換や表面修飾を行なうことなく、安定的に分散されている金属酸化物の水分散液をそのままエマルジョンに配合し組成物とすることができ、乾燥後は、高屈折率でかつ透明な塗膜が得られるという効果を有するものである。また、該組成物は水系であるため、環境負荷の少ないものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
本発明の合成樹脂エマルジョン組成物は、合成樹脂エマルジョン(A)と金属酸化物(B)を含有するものである。
まず、合成樹脂エマルジョン(A)について説明する。
本発明の合成樹脂としては、公知一般の合成樹脂を使用することが可能であり、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニルエステル系樹脂等が挙げられる。かかる合成樹脂は、単量体成分[I]を重合して得られるものであり、単量体成分[I]としては、例えば、下記のモノマー成分(a)〜(l)が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
(a)(メタ)アクリル酸エステル系単量体。
(b)芳香環含有不飽和単量体。
(c)ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体。
(d)カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体。
(e)エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体。
(f)メチロール基含有エチレン性不飽和単量体。
(g)アルコキシアルキル基含有エチレン性不飽和単量体。
(h)シアノ基含有エチレン性不飽和単量体。
(i)ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているエチレン性不飽和単量体。
(j)アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体。
(k)スルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体。
(l)リン酸基を有するエチレン性不飽和単量体。
また、上記(a)〜(l)以外に、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、ブタジエン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の単量体も、所望に応じて適宜使用することができる。
なお、本発明においては、酢酸ビニル等の単量体は、耐候性に劣るため、併用しないことが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体(a)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(好ましくは炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル)、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の脂環構造含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらの中でも好ましくは、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜10の脂肪族(メタ)アクリレート、特に好ましくはブチルメタクリレートである。
上記芳香環含有不飽和単量体(b)としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニルフェニル(メタ)アクリレートの芳香環含有(メタ)アクリレート系モノマー:スチレン、p−tブトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン、2−t−ブトキシ−6−ビニルナフタレン、p−クロロスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸リチウム、ビス(4−ビニルフェニル)スルホン、2−ビニルナフタレン、α-メチルスチレン等の芳香環含有ビニル系モノマー:2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート(大阪有機化学社製、商品名「ビスコート#2311HP」)、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート(大阪有機化学社製、商品名「ビスコート#2000」)、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート(大阪有機化学社製、商品名「ビスコート#2100」)、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸(新中村化学工業社製。商品名「CB−1」)等が挙げられる。
これら芳香環含有不飽和単量体(b)の中でも、反応性に優れる点でフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体(c)としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。中でも好ましくは、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、炭素数2〜4のアルキレン基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
上記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(d)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等を用いることができ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、イタコン酸がより好ましい。なお、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸のようなジカルボン酸の場合には、これらのモノエステルやモノアマイドを用いてもよい。
上記エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体(e)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。中でも好ましくはグリシジル(メタ)アクリレートである。
上記メチロール基含有エチレン性不飽和単量体(f)としては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチロール(メタ)アクリルアミド等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記アルコキシアルキル基含有エチレン性不飽和単量体(g)としては、例えば、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメトキシ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノアルコキシ(メタ)アクリレート等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記シアノ基含有エチレン性不飽和単量体(h)としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等があげられる。
上記ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているエチレン性不飽和単量体(i)としては、例えば、ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(j)としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記スルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体(k)としては、例えば、ビニルスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸(塩)等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記リン酸基を有するエチレン性不飽和単量体(l)としては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス〔(メタ)アクリロイロキシエチル〕ホスフェート、ジブチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記単量体(a)〜(l)の中でも、(a)(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(b)芳香環含有不飽和単量体、(d)カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、(k)スルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体、(l)リン酸基を有するエチレン性不飽和単量体が好ましく、特に好ましくは(a)(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(b)芳香環含有不飽和単量体である。
単量体成分[I]全体に対する各成分の含有割合としては、好ましくは
(a)(メタ)アクリル酸エステル系単量体が20〜100重量%、(b)芳香環含有不飽和単量体が0〜80重量%、その他の単量体が0〜10重量%であり、特に好ましくは(a)(メタ)アクリル酸エステル系単量体が30〜100重量%、(b)芳香環含有不飽和単量体が0〜70重量%、その他の単量体が0〜8重量%である。
これら単量体成分[I]を、単独または組合わせて使用し、乳化重合させることにより合成樹脂エマルジョン(A)が得られる。
本発明の合成樹脂エマルジョン(A)は、上記単量体成分[I]の単独重合体もしくは共重合体が分散安定化されてなるものであるが、本発明においては、この重合の際に、上記単量体成分[I]以外に、乳化剤を用いることが好ましく、更に必要に応じて、重合開始剤、重合調整剤、その他界面活性剤、可塑剤、造膜助剤等の他の成分を適宜用いることができる。
本発明においては、上記乳化剤として、公知一般の乳化剤を用いればよいが、特にはアニオン型乳化剤を用いることが、ζ電位のコントロールや、安定性を付与しやすい点で好ましい。
上記アニオン型乳化剤としては、アニオン型であれば非反応性、反応性のいずれであってもよいし、組合わせて用いてもよい。
上記反応性アニオン型乳化剤としては、例えば、下記の一般式(1)〜(11)で表される構造を有する化合物があげられる。
Figure 0006091114
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〔上記一般式(1)〜(11)において、Rはアルキル基、Rは水素またはメチル基、Rはアルキレン基、nは1以上の整数、m、lは各々1以上の整数であり、かつm+l=3である。また、Xは−SONHまたは−SONaである。〕
上記反応性アニオン型乳化剤としては、具体的には、「アデカリアソープSE−20N」、「アデカリアソープSE−10N」、「アデカリアソープPP−70」、「アデカリアソープPP−710」、「アデカリアソープSR−10」、「アデカリアソープSR−20」〔以上、旭電化工業社製〕、「エレミノールJS−2」、「エレミノールRS−30」〔以上、三洋化成工業社製〕、「ラテムルS−180A」、「ラテムルS−180」、「ラテムルPD−104」〔以上、花王社製〕、「アクアロンBC−05」、「アクアロンBC−10」、「アクアロンBC−20」、「アクアロンHS−05」、「アクアロンHS−10」、「アクアロンHS−20」、「ニューフロンティアS−510」、「アクアロンKH−05」、「アクアロンKH−10」〔以上、第一工業製薬社製〕、「フォスフィノ−ルTX」〔東邦化学工業社製〕)等の市販品があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
また、上記非反応性アニオン型乳化剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンジフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンジフェニルエーテルリン酸塩等等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
これらアニオン型乳化剤の中でも、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンジフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンジフェニルエーテルリン酸塩等の比反応性乳化剤、反応性乳化剤が好ましく、コーティング層の耐水性やζ電位や粒子径を安定的に調整できる点で、特に好ましくは反応性乳化剤である。
乳化剤の使用量は、単量体成分[I]全体100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜15重量部、更に好ましくは1.5〜10重量部である。かかる乳化剤の使用量が多すぎると塗膜の吸水率が増大してしまう傾向があり、少なすぎると重合時の安定性性が低下しやすくなる傾向がある。
上記重合開始剤としては、水溶性、油溶性のいずれのものも用いることが可能である。例えば、アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2′−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレート、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕−プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、各種レドックス系触媒(この場合酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メタンハイドロパーオキサイド等が、還元剤としては亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等が用いられる。)等があげられる。
これらの重合開始剤は単独であるいは2種以上併せて用いられる。これらの中でも重合安定性に優れる点で、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、レドックス系触媒(酸化剤:過硫酸カリウム,過硫酸ナトリウム、還元剤:亜硫酸ナトリウム,酸性亜硫酸ナトリウム,ロンガリット,アスコルビン酸)等が好適である。
上記重合開始剤の使用量は、単量体成分[I]全体100重量部に対して、0.01〜5重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.03〜3重量部、更に好ましくは0.05〜2重量部である。重合開始剤の使用量が少なすぎると、重合速度が遅くなる傾向があり、多すぎると、得られる共重合体の分子量が低くなり耐水性が低下しやすい傾向がある。
なお、上記重合開始剤は、重合缶内に予め加えておいてもよいし、重合開始直前に加えてもよいし、必要に応じて重合途中に追加添加してもよい。あるいは、単量体成分[I]に予め添加したり、上記単量体成分[I]からなる乳化液に添加したりしてもよい。また、重合開始剤の添加に際しては、重合開始剤を別途溶媒や上記単量体成分[I]に溶解して添加したり、溶解した重合開始剤をさらに乳化状にして添加したりしてもよい。
また、上記重合調整剤としては、例えば、連鎖移動剤、pH緩衝剤等があげられる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;n−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール等のメルカプタン類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
この連鎖移動剤の使用は、重合を安定に行わせるという点では有効であるが、アクリル系樹脂の重合度を低下させ、得られる塗膜の弾性率を低下させる可能性がある。そのため、具体的には、連鎖移動剤の使用量は、単量体成分[I]全体100重量部に対して、0.01〜1重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.5重量部、更に好ましくは0.01〜0.3重量部である。かかる連鎖移動剤の使用量が少なすぎると、連鎖移動剤としての効果が不足する傾向があり、使用量が多すぎると、反応性の低下や塗膜の弾性率が低下する傾向がある。
また、上記pH緩衝剤としては、例えば、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸アンモニウム等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記pH緩衝剤の使用量は、単量体成分[I]全体100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.05〜5重量部、更に好ましくは0.1〜3重量部である。かかるpH緩衝剤の使用量が少なすぎると、重合調整剤としての効果が不足する傾向があり、使用量が多すぎると、反応を阻害しやすい傾向がある。
上記可塑剤としては、例えば、アジペート系可塑剤、フタル酸系可塑剤、燐酸系可塑剤等があげられ、前記造膜助剤としては、例えば、沸点が260℃以上のものがあげられる。
また、可塑剤および造膜助剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜選択することができ、例えば、可塑剤としては単量体成分[I]全体100重量部に対して通常0.1〜50重量部であることが好ましく、造膜助剤としては単量体成分[I]全体100重量部に対して通常0.1〜50重量部であることが好ましい。
つぎに、本発明の合成樹脂エマルジョン(A)の製造方法について説明する。
本発明の合成樹脂エマルジョンは、例えば、乳化剤を用い、上記単量体成分[I]を乳化重合することによって製造することができる。この重合過程において、アニオン型乳化剤により分散安定化されてなる合成樹脂を分散質とする合成樹脂エマルジョン(A)が製造される。
合成樹脂エマルジョン(A)は、分散質が上記合成樹脂であり、また、分散媒としては、上記合成樹脂が分散質となるような分散媒が好ましい。このような分散媒の中でも、より好ましいのは水系媒体からなるものである。ここで水系媒体とは、水、または水を主体としてアルコール性溶媒を含有する水性溶媒をいい、好ましくは水である。
本発明の合成樹脂エマルジョン(A)の重合方法としては、
[1]単量体成分[I]、乳化剤、水等の全量を仕込み、昇温し重合する方法、
[2]反応缶に乳化剤、水、単量体成分[I]の一部を仕込み、昇温し重合した後、残りの単量体成分[I]を滴下または分割添加して重合を継続する方法、
[3]反応缶に乳化剤、水等を仕込んでおき昇温した後、単量体成分[I]を全量滴下または分割添加して重合する方法等があげられる。中でも、重合温度の制御が容易である点で、上記[2]、[3]の方法が好ましい。
なお、上記乳化剤は、単量体成分[I]の初期重合中、滴下重合中、後期熟成中、残存モノマー処理の追加重合中の、いずれの工程に使用しても差し支えない。
上記[1]〜[3]に示す重合方法における重合条件としては、例えば、上記[1]の重合方法における重合条件として、通常、40〜100℃程度の温度範囲が適当であり、昇温開始後1〜8時間程度反応を行うこと等があげられる。
また、上記[2]の重合方法における重合条件としては、単量体成分[I]の1〜50重量%を通常40〜90℃で0.1〜5時間重合した後、残りの単量体成分[I]を1〜7時間程度かけて滴下または分割添加して、その後、上記温度で1〜3時間程度熟成すること等があげられる。
そして、上記[3]の重合方法における重合条件としては、重合缶に水を仕込み、40〜90℃に昇温し、単量体成分[I]を2〜7時間程度かけて滴下または分割添加し、その後、上記温度で1〜3時間程度熟成すること等があげられる。
上記乳化液の、乳化の際の撹拌は、各成分を混合し、ホモディスパー、パドル翼等の撹拌翼を取り付けた撹拌装置を用いて行うことができる。乳化時の温度は、乳化中に混合物が反応しない程度の温度であれば問題なく、通常5〜60℃程度が適当である。
なお、本発明の合成樹脂エマルジョン(A)には、必要に応じて、水溶性添加剤、pH調整剤、防腐剤、消泡剤、酸化防止剤等の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
また、本発明においては、ミニエマルジョン重合法を用いて重合することも好ましい。
ミニエマルション重合法は、例えば、P.L.Tang, E.D.Sudol, C.A.SilebiおよびM.S.El-Aasserにより、Journal of Applied Polymer Science,第43巻、1059〜1066頁(1991年)に記載されている方法で行なうことができる。ミニエマルションは、重合可能なモノマーの水性エマルションであり、界面活性剤と共界面活性剤(cosurfactant)の存在下にモノマーを機械的に微分散することにより得られる。重合には水溶性または油溶性の開始剤を使用することが可能であり、モノマーの重合は水相中ではなく油滴内で起こる。この点、水相中のミセルで重合が開始する乳化重合とは異なる。
本発明で使用する共界面活性剤(補助安定剤)としては、ミニエマルション重合法で使用されている公知のものを適宜使用することができ、例えば、(a)C8〜C30−アルカン、例えばヘキサデカン、(b)C8〜C30(好ましくはC10〜C30、更に好ましくはC12〜C30)−アルキル(メタ)アクリレート、例えば、ステアリルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、(c)C8〜C30−アルキルアルコール、例えばセチルアルコール、(d)C8〜C30−アルキルチオール、例えばドデシルメルカプタン、(e)ポリマー、例えばフリーラジカル重合したポリマー、ポリアダクト、例えばポリウレタンまたは重縮合物、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、(f)その他、カルボン酸類、ケトン類、アミン類などが挙げられる。
本発明においては、水に対する溶解度がモノマーより低い共界面活性剤を選択して使用することが好ましい。
本発明の合成樹脂エマルジョン(A)の合成樹脂の平均粒子径は、150nm以下であることが必要であり、好ましくは10〜140nm、特に好ましくは20〜130nm、更に好ましくは30〜120nmである。粒子径が大きすぎると、粒子の細密充填による塗膜の強靭性や耐水性が低下しやすくなる。かかる平均粒子径は、動的光散乱(DLS)(大塚電子株式会社、DLS-7000)を用い、純水で希釈して、25℃で測定されるものであり、粒子径解析はCONTIN法を用いたものである。
この合成樹脂の平均粒子径は、重合時に用いる処方を適宜に調整することにより、所定の範囲内に設定することができ、例えば、重合時の撹拌速度等を調整すること等によって、所定範囲に設定することができる。
上記合成樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−50〜100℃の範囲、更には−30〜90℃、特には0〜80℃であることが好ましい。ガラス転移温度が高すぎると、塗膜の造膜温度が高くなりすぎ、造膜不良の傾向がみられ、低すぎると塗膜のタック発生の原因となる傾向がみられる。
なお、合成樹脂のガラス転移温度(Tg)は、下記の式(1)に示すFoxの式で算出した値を用いた。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+ ・・・ + Wn/Tgn ・・・(1)
上記式(1)において、W1からWnは、使用している各単量体の重量分率を示し、Tg1からTgnは、各単量体の単独重合体のガラス転移温度(単位は絶対温度「K」)を示す。また絶対温度は、絶対温度「K」=セルシウス温度「℃」+273.15として計算する。
また、上記合成樹脂エマルジョン(A)のζ電位は、−100〜−10mVであることが必要であり、特に好ましくは−90〜−20mV、更に好ましくは−70〜−30mVである。かかるζ電位が高すぎると後述の金属酸化物(B)粒子との吸着が不十分となり、塗膜が白濁しやすくなる傾向があり、低すぎると耐水性等の物性が低下する傾向がある。
かかるζ電位(界面動電電位)の測定方法は、DLS-ELS装置(Malvern製、Zetasizer Nano-ZS)を用いて、合成樹脂エマルジョンを10mmol/LのNaCl水溶液で希釈し、電圧40V、測定温度25℃にて、粒子の移動速度をレーザードップラー速度測定法によって測定した値である。
上記合成樹脂エマルジョン(A)の不揮発分濃度(固形分濃度)は、5重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは5〜25重量%、更に好ましくは5〜45重量%である。
なお、本発明における不揮発分濃度とは、105℃で1時間乾燥した後の不揮発分濃度(固形分濃度)をいう。
かくして本発明の合成樹脂エマルジョン(A)が得られる。
次に金属酸化物(B)について説明する。
本発明において、金属酸化物は、合成樹脂エマルジョン(A)の合成樹脂粒子の周りに取り囲むように吸着されるものである。
かかる金属酸化物としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化カドミウム、酸化鉄、酸化銅、酸化セリウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられるが、これらの中でも、本発明においては、高い屈折率が得られる点で酸化ジルコニウムを用いることが必要である。
本発明の金属酸化物(B)としては、微粒子状の酸化ジルコニウムを用いるものであり、その平均粒子径は20nm以下であることが必要である。
酸化ジルコニウム(B)の平均粒子径は、20nm以下であることが必要であり、好ましくは1〜15nm、特に好ましくは2〜10nmである。
かかる平均粒子径が大きすぎると、乾燥後の塗膜が白濁しやすくなる。かかる平均粒子径は、動的光散乱(DLS)(大塚電子株式会社、DLS-7000)を用い、純水で希釈して、25℃で測定されるものであり、粒子径解析はCONTIN法を用いたものである。
上記平均粒子径の金属酸化物は、例えば、水熱合成法、ガス中蒸発法、液相還元法等の方法により製造することができる。
金属酸化物(B)の含有量は、合成樹脂エマルジョン(A)の固形分100重量部に対して、50重量部以上であることが必要であり、好ましくは55〜2000重量部、特に好ましくは60〜1500重量部、更に好ましくは65〜1000重量部、殊に好ましくは70〜500重量部である。
かかる金属酸化物(B)の含有量が少なすぎると、乾燥後の塗膜に高屈折率性や硬度が付与されなかったり、白濁してしまう。
金属酸化物(B)は、合成樹脂エマルジョン(A)に、水分散液の状態で配合されることが必要であり、かかる金属酸化物(B)の水分散液の固形分濃度としては、好ましくは1〜50重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。かかる濃度が低すぎると配合物の固形分濃度が低くなり、組成物を塗工乾燥時に乾燥熱量が多く必要となる傾向があり、高すぎると水分散液の粘度が高くなり作業性が劣る傾向がある。
本発明の合成樹脂エマルジョン組成物は、合成樹脂エマルジョン(A)および金属酸化物(B)を必須の構成成分として含有するものである。
かかる合成樹脂エマルジョン組成物は、合成樹脂エマルジョン(A)に、金属酸化物(B)の水分散液を配合して得られたものであることが環境負荷が低くなる点で好ましい。
かかる金属酸化物(B)の水分散液のζ電位としては、+1〜+50mVであることが必要であり、特に好ましくは+5〜+45mV、更に好ましくは+10〜+40mVである。
かかるζ電位が高すぎると混和時に凝集しやすくなる傾向があり、低すぎると合成樹脂粒子(B)粒子との吸着が不十分となり、塗膜が白濁しやすくなる傾向がある。
かかるζ電位(界面動電電位)の測定方法は、DLS-ELS装置(Malvern製、Zetasizer Nano-ZS)を用いて属酸化物(B)の水分散液を10mmol/LのNaCl水溶液で希釈し、電圧40V、測定温度25℃にて、粒子の移動速度をレーザードップラー速度測定法によって測定した値である。


金属酸化物(B)の水分散液の合成樹脂エマルジョン(A)への配合方法としては、一括仕込み、分割仕込み等公知一般の配合方法で配合すればよく、配合後は、好ましくは24時間以上撹拌し、均一に混和された状態のものとすることが好ましい。
かくして、上記合成樹脂エマルジョン(A)と金属酸化物(B)を用いて、本発明の合成樹脂エマルジョン組成物が得られるが、本発明の合成樹脂エマルジョン組成物は、金属酸化物(B)の平均粒子径から算出される合成樹脂エマルジョン組成物中に含まれる金属酸化物の粒子数α(個)と、合成樹脂粒子の平均粒子径から算出される合成樹脂エマルジョン組成物に含まれる合成樹脂粒子の粒子数β(個)の粒子数比率((β/α)×100)が、0.10〜1.40であることが、透明な均一な塗膜を得やすい点で好ましく、特に好ましくは0.15〜1.30、更に好ましくは0.2〜1.20である。
かかる粒子数比率((β/α)×100)が高すぎても低すぎても、合成樹脂粒子と金属酸化物粒子の粒子数バランスが崩れ、塗膜が白濁してしまう傾向がある。
上記粒子数比率((β/α)×100)は、下記の通り金属酸化物の粒子数αと合成樹脂粒子の粒子数βをそれぞれ算出することにより求めることができる
■金属酸化物の粒子数αの算出。
α=Vα1/Vα2
●Vα1=(金属酸化物の配合割合/金属酸化物の比重)÷(金属酸化物の配合割合/金属酸化物の比重+合成樹脂の配合割合/合成樹脂の比重)
・Vα1:合成樹脂エマルジョン組成物中における金属酸化物の含有体積割合
・金属酸化物の配合割合(重量%)
・金属酸化物の比重
・合成樹脂の配合割合(重量%)
・合成樹脂の比重=1.0
●Vα2=4/3π(金属酸化物の平均粒子径)
・Vα2:金属酸化物1個の体積(nm
・金属酸化物の平均粒子径(nm)
■合成樹脂粒子の粒子数βの算出。
β=Vβ1/Vβ2
●Vβ1=(1−合成樹脂エマルジョン組成物中における金属酸化物の含有体積割合)
・Vβ1:合成樹脂エマルジョン組成物中における合成樹脂粒子の含有体積割合
●Vβ2=4/3π(合成樹脂粒子の平均粒子径)
・Vα2:合成樹脂粒子1個の体積(nm
・合成樹脂粒子の平均粒子径(nm)
かくして本発明の合成樹脂エマルジョンが得られる。
本発明の合成樹脂エマルジョン組成物は、基材に塗工し、乾燥させることにより、コーティング剤として有用なものであり、各種基材へのトップコート剤やアンカーコート剤など、塗膜形成用の合成樹脂エマルジョンとして有効に用いられるものである。
塗工・滴下方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、ロール、スピン、スクリーン印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられる。
塗工膜厚としては乾燥後の膜厚が通常1〜50μmとなるように塗工すればよく、特には3〜30μmであることが好ましい。
塗工する対象である基材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン系樹脂等やそれらの成型品(フィルム、シート、カップ等)、金属、ガラス等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。尚、実施例中「%」、「部」とあるのは、重量基準を表す。
[製造例1]<合成樹脂エマルジョン(A−1)の製造>
メタクリル酸n−ブチル(n−BMA)100部、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)6.91部、過硫酸カリウム(KPS)1.81部、水1428部を下記配合にて混合撹拌し、乳化液(I)を得た。得られた乳化液(I)を、冷却管、撹拌翼を備えたフラスコに、乳化液(I)を移し、撹拌下70℃に昇温し、70℃に保持したまま12時間撹拌を続けた後、30℃まで冷却し、ふるい(東京スクリーン株式会社製;目開き0.5mm、ワイヤ線形0.315mm)を用いて凝集物を除去し、合成樹脂エマルジョン(A−1)(合成樹脂粒子の平均粒子径58.7nm)を得た。
[製造例2]<合成樹脂エマルジョン(A−2)の製造>
メタクリル酸n−ブチル(n−BMA)100部、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)2.77部、過硫酸カリウム(KPS)1.81部、水1428部を下記配合にて混合撹拌し、乳化液(I)を得た。得られた乳化液(I)を、冷却管、撹拌翼を備えたフラスコに、乳化液(I)を移し、撹拌下70℃に昇温し、70℃に保持したまま12時間撹拌を続けた後、30℃まで冷却し、ふるい(東京スクリーン株式会社製;目開き0.5mm、ワイヤ線形0.315mm)を用いて凝集物を除去し、合成樹脂エマルジョン(A−2)(合成樹脂粒子の平均粒子径77.8nm)を得た。
[製造例3]<合成樹脂エマルジョン(A−3)の製造>
メタクリル酸n−ブチル(n−BMA)100部、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)1.39部、過硫酸カリウム(KPS)1.81部、水1428部を下記配合にて混合撹拌し、乳化液(I)を得た。得られた乳化液(I)を、冷却管、撹拌翼を備えたフラスコに、乳化液(I)を移し、撹拌下70℃に昇温し、70℃に保持したまま12時間撹拌を続けた後、30℃まで冷却し、ふるい(東京スクリーン株式会社製;目開き0.5mm、ワイヤ線形0.315mm)を用いて凝集物を除去し、合成樹脂エマルジョン(A−3)(合成樹脂粒子の平均粒子径114nm)を得た。
[比較製造例1]<合成樹脂エマルジョン(A’−1)の製造>
メタクリル酸n−ブチル(n−BMA)100部、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.69部、過硫酸カリウム(KPS)1.81部、水1428部を下記配合にて混合撹拌し、乳化液(I)を得た。得られた乳化液(I)を、冷却管、撹拌翼を備えたフラスコに、乳化液(I)を移し、撹拌下70℃に昇温し、70℃に保持したまま12時間撹拌を続けた後、30℃まで冷却し、ふるい(東京スクリーン株式会社製;目開き0.5mm、ワイヤ線形0.315mm)を用いて凝集物を除去し、合成樹脂エマルジョン(A’−1)(合成樹脂粒子の平均粒子径204nm)を得た。
[実施例1〜8]
上記製造例1〜3で製造した合成樹脂エマルジョン(A)の固形分100部に対して、酸化ジルコニウム水分散液(住友大阪セメント株式会社製;商品名「ナノジルコニア水分散液A」(solid content=12.33%、ζ電位+27.0mV、平均粒子径8nm)を下記表1に記載の配合量(有効成分量)で添加し、合成樹脂エマルジョン組成物を製造した。また、得られた合成樹脂エマルジョン組成物中の粒子数比率((β/α)×100)を、上述の式に基づき、エマルジョンの比重1.0、ジルコニアの比重を5.8として計算した。
[比較例1〜6]
上記製造例1〜3で製造した合成樹脂エマルジョン(A)、比較製造例1および2で製造した合成樹脂エマルジョン(A’)の固形分100部に対して、酸化ジルコニウム水分散液(住友大阪セメント株式会社製;商品名「ナノジルコニア水分散液A」(solid content=12.33%、ζ電位+27.0mV、平均粒子径8nm)を下記表2に記載の配合量(有効成分量)で添加し、合成樹脂エマルジョン組成物を製造した。また、得られた合成樹脂エマルジョン組成物中の粒子数比率((β/α)×100)を、上述の式に基づき、エマルジョンの比重1.0、ジルコニアの比重を5.8として計算した。
[透明性]
得られた合成樹脂エマルジョン組成物をガラス板上に乾燥後の膜厚が10μmとなるように滴下し、100℃で24時間乾燥させ、塗膜を得た。
得られた塗膜について、紫外-可視吸光度計(JASCO V-530 UV/vis Spectrophotometer)を用いて波長550nmにおける透過率測定を行った。評価基準は下記の通りである。
(評価)
○・・・透過率60%以上
△・・・透過率40%以上60%未満
×・・・透過率40%未満
Figure 0006091114
Figure 0006091114
合成樹脂粒子の平均粒子径が150nm以下であり、金属酸化物の配合量が50重量部以上である実施例1〜8の合成樹脂エマルジョン組成物は、透明性に優れる塗膜が得られるものである。
一方、金属酸化物の配合量が50重量部より少ない比較例1〜3、および合成樹脂粒子の平均粒子径が150nmよりも大きい比較例4〜6の合成樹脂エマルジョン組成物は、実施例に比べて塗膜の透明性に劣るものであることが解る。
本発明の合成樹脂エマルジョン組成物は、高屈折率でかつ透明な塗膜が得られるものであり、更には水系であるため、環境負荷も少ないとコーティング剤が得られ、特に光学用の部材に対するとコーティング剤として有用である。また、シートやフィルムとしても用いることもできる。

Claims (4)

  1. 合成樹脂エマルジョン(A)、および平均粒子径が20nm以下の金属酸化物(B)を含有してなる合成樹脂エマルジョン組成物の製造方法であり、
    合成樹脂エマルジョン(A)中の合成樹脂粒子の平均粒子径が150nm以下であり、
    金属酸化物(B)が酸化ジルコニウムであり、
    かつ、
    金属酸化物(B)の含有量が、合成樹脂エマルジョン(A)の固形分100重量部に対して、50重量部以上である合成樹脂エマルジョン組成物が、
    ζ電位が−100〜−10mVの合成樹脂エマルジョン(A)に、ζ電位が+1〜+50mVの金属酸化物(B)の水分散液を配合して得られることを特徴とする合成樹脂エマルジョン組成物の製造方法。
  2. 金属酸化物(B)の平均粒子径から算出される合成樹脂エマルジョン組成物中に含まれる金属酸化物の粒子数α(個)と、合成樹脂粒子の平均粒子径から算出される合成樹脂エマルジョン組成物に含まれる合成樹脂粒子の粒子数β(個)の粒子数比率((β/α)×100)が、0.10〜1.40であることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂エマルジョン組成物の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の製造方法で得られた合成樹脂エマルジョン組成物を用いてなることを特徴とするコーティング剤の製造方法。
  4. 請求項3記載の製造方法で得られたコーティング剤を塗工してなることを特徴とする塗膜の製造方法。
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