JP6093636B2 - 積層多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、及び非水電解液二次電池 - Google Patents
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Description
また、特開2001−118558号公報(特許文献2)では、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム上へ部分的に(表面被覆率50%以下)接着層を塗工したセパレータが提案されている。
特許文献2に記載されているセパレータは、係る問題を解決できるものの、部分塗工であるため電極・セパレータ界面にセパレータに保持されない電解液が多く存在するため、サイクル特性の低下等の問題が生じる。また、液漏れの信頼性という観点からフィルム外装電池には適さない。
また、貼り合わせるというのは単に重ねるだけで本質的に一体化されているわけではなく、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムと接着層の剥離が生じるなど、生産性の観点からも問題がある。
[2]前記有機高分子(a)が、ポリフッ化ビニリデン及びその共重合体、ポリアクリロニトリル及びその共重合体、ポリアクリル酸エステル及びその共重合体、ポリオキシアルキレン及びその共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでなることを特徴とする[1]に記載の積層多孔フィルム。
[3]前記被覆層における前記有機高分子(a)の目付け量が、0.1g/m2以上、10g/m2未満であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の積層多孔フィルム。
[4]前記被覆層が、塗布乾燥法によりポリオレフィン系樹脂多孔層上に形成されることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の積層多孔フィルム。
[5]前記被覆層を形成する際に用いる、前記有機高分子(a)を溶解させた塗料の溶媒が、100℃以上の沸点を有する溶媒(X)と、100℃未満の沸点を有する溶媒(Y)の少なくとも2種を含むことを特徴とする[4]に記載の積層多孔フィルム。
[6]前記ポリオレフィン系樹脂多孔層がポリプロピレン系樹脂を含んでなることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の積層多孔フィルム。
[7]前記ポリオレフィン系樹脂多孔層がβ晶活性を有することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の積層多孔フィルム。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の積層多孔フィルムを用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
[9][8]に記載の非水電解液二次電池用セパレータを用いた非水電解液二次電池。
なお、本発明において、「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占める意を包含するものである。
また、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
ポリオレフィン系樹脂多孔層に用いるポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンを重合した単独重合体または共重合体が挙げられる。また、これらの単独重合体または共重合体を2種以上混合することもできる。この中でもポリプロピレン系樹脂、または、ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましく、特に、本発明の積層多孔フィルムの機械的強度、耐熱性などを維持する観点から、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、本発明の積層多孔フィルムの機械的強度、耐熱性などを維持する観点から、ホモポリプロピレンがより好適に使用される。
アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al(Macromolecules8,687,(1975))に準拠した。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びエチレンを主成分とする共重合体、すなわち、エチレンとプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などの炭素数3〜10のα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル、共役ジエンや非共役ジエンのような不飽和化合物の中から選ばれる1種または2種以上のコモノマーとの共重合体または多元共重合体あるいはその混合組成物が挙げられる。エチレン系重合体のエチレン単位の含有量は通常50質量%を超えるものである。
密度の測定は密度勾配管法を用いてJIS K7112に準じて測定することができる。
MFRはJIS K7210に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定している。
本発明の積層多孔フィルムにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂多孔層はβ晶活性を有することが好ましい。β晶活性は、延伸前の膜状物においてβ晶を生成していたことを示す一指標と捉えることができる。延伸前の膜状物中にβ晶を生成していれば、フィラー等の添加剤を使用しない場合においても、延伸を施すことで微細孔が容易に形成されるため、透気特性を有する積層多孔フィルムを得ることができる。
また、仮に、ポリプロピレン系樹脂からなる層以外に、ポリプロピレン系樹脂を含有する層などを積層させる場合には、両層ともにβ晶活性を有することが好ましい。
この場合、示差走査型熱量計で積層多孔フィルムを25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で昇温後1分間保持し、次に240℃から25℃まで冷却速度10℃/分で降温後1分間保持し、更に25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で再昇温させた際に、ポリプロピレン系樹脂のβ晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)が検出された場合、β晶活性を有すると判断する。
β晶活性度(%)=〔ΔHmβ/(ΔHmβ+ΔHmα)〕×100
例えば、前記ポリプロピレン系樹脂がホモポリプロピレンの場合は、主に145℃以上160℃未満の範囲で検出されるβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)と、主に160℃以上170℃以下に検出されるα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)から計算することができる。また、例えばエチレンが1〜4モル%共重合されているランダムポリプロピレンの場合は、主に120℃以上140℃未満の範囲で検出されるβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)と、主に140℃以上165℃以下の範囲に検出されるα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)から計算することができる。
β晶活性度の上限値は特に限定されないが、β晶活性度が高いほど前記効果がより有効に得られるので100%に近いほど好ましい。
β晶活性の有無を、特定の熱処理を施した積層多孔フィルムの広角X線回折測定により得られる回折プロファイルから判断する場合、詳細には、ポリプロピレン系樹脂の融点を超える温度である170℃〜190℃の熱処理を施し、徐冷してβ晶を生成・成長させた積層多孔フィルムについて広角X線測定を行い、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の(300)面に由来する回折ピークが2θ=16.0°〜16.5°の範囲に検出された場合、β晶活性が有ると判断する。
ポリプロピレン系樹脂のβ晶構造と広角X線回折に関する詳細は、Macromol.Chem.187,643−652(1986)、Prog.Polym.Sci.Vol.16,361−404(1991)、Macromol.Symp.89,499−511(1995)、Macromol.Chem.75,134(1964)、及びこれらの文献中に挙げられた参考文献を参照することができる。広角X線回折を用いたβ晶活性の詳細な評価方法については、後述の実施例にて示す。
本発明で用いるβ晶核剤としては以下に示すものが挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の生成・成長を増加させるものであれば特に限定される訳ではなく、また2種類以上を混合して用いても良い。
β晶核剤としては、例えば、アミド化合物;テトラオキサスピロ化合物;キナクリドン類;ナノスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分Aと周期表第2族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物;環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられる。そのほか核剤の具体的な種類については、特開2003−306585号公報、特開平08−144122号公報、特開平09−194650号公報に記載されている。
本発明においては、前述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤をポリオレフィン系樹脂多孔層に適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性およびポリオレフィン系樹脂多孔層の諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂やシリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤または着色剤などの添加剤が挙げられる。
また開孔を促進するためや、成形加工性を付与するために、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、変性ポリオレフィン系樹脂、脂肪族飽和炭化水素樹脂もしくはその変性体、エチレン系重合体、ワックス、または低分子量ポリプロピレンを添加しても構わない。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂多孔層は、単層でも積層でもよく、特に制限されるものではない。中でも、前記ポリオレフィン系樹脂を含む層(以下「A層」と称する場合がある)の単層、当該A層の機能を妨げない範囲で、当該A層と他の層(以降「B層」と称する場合がある)との積層が好ましい。例えば非水電解液二次電池用セパレータとして用いる際には、特開平04−181651号に記載されているような高温雰囲気化で孔閉塞し、電池の安全性を確保する低融点樹脂層を積層させることができる。
具体的にはA層/B層を積層した2層構造、A層/B層/A層、若しくは、B層/A層/B層として積層した3層構造などが例示できる。また、他の機能を持つ層と組み合わせて3種3層の様な形態も可能である。この場合、他の機能を持つ層との積層順序は特に問わない。更に層数としては4層、5層、6層、7層と必要に応じて増やしても良い。
本発明の積層多孔フィルムは、ポリオレフィン系樹脂多孔層の少なくとも片面に、電解液膨潤性有機高分子(a)を含有する多孔性の被覆層を有することが重要である。被覆層をポリオレフィン系樹脂多孔層の少なくとも片面に有することによって、積層多孔フィルムを電池用セパレータとして用いる場合に電極との優れた界面密着性を発現し、フィルム外装電池に用いられた場合であっても電極とセパレータのズレが生じるおそれが小さい。
なお、被覆層はポリオレフィン系樹脂多孔層の少なくとも片面に有していれば良く、両面に有していればさらに電極とセパレータの界面密着性が高まる。
本発明に用いる電解液膨潤性有機高分子(a)とは、セパレータを使用する二次電池における電解液と接触した際に、化学的に結合して膨潤する性質を有する有機高分子を指すものであり、係る機能を有する有機高分子であれば特に限定されるものではない。
中でも非水電解液二次電池、さらにその中でもリチウムイオン二次電池に使用する電解液との親和性を鑑みると、例えば、ポリフッ化ビニリデン及びその共重合体、ポリアクリロニトリル及びその共重合体、ポリアクリル酸エステル及びその共重合体、ポリオキシアルキレン及びその共重合体などが挙げられる。特にポリフッ化ビニリデン及びその共重合体、並びに、ポリアクリロニトリル及びその共重合体が化学的安定性に優れ、二次電池に組み込んだ際に劣化を起こしにくいため、好ましい。
また、被覆層の空孔率や空孔径を制御する目的で、無機フィラーや有機フィラーなどを、電極やポリオレフィン系樹脂多孔層との界面密着性を阻害しない範囲で必要に応じて加えてもよい。
本発明の積層多孔フィルムは、前記ポリオレフィン系樹脂多孔層が二軸方向に延伸されており、かつ、前記被覆層が一軸方向に延伸されていることが重要である。これにより、ポリオレフィン系樹脂多孔層と被覆層の界面密着性が従来の技術に比べて遥かに優れたものとなる。かかる効果を発現するのは、前記ポリオレフィン系樹脂多孔層と前記被覆層の界面において、いわゆるアンカー効果が強く働くからであると推測される。
すなわち、前述した特表2003−535683号公報に記載の技術では、ポリオレフィン系樹脂無孔膜に無孔のPVdF層を積層した後で延伸を試みているが、係る技術ではポリオレフィン系樹脂層とPVdF層の層間でアンカー効果が働かず、界面密着性が不十分であるのに対し、ポリオレフィン系樹脂多孔層が少なくとも一軸方向に延伸されている状態で被覆層を積層するという本発明の技術では、ポリオレフィン系樹脂多孔層と被覆層の界面密着性が遥かに優れることを見出したのである。
(I)ポリオレフィン系樹脂多孔層に係るフィルムの無孔膜状物を作製し、これを一軸方向に延伸する(第一延伸)。その後、少なくとも片面に被覆層を形成し、積層した状態で第一延伸と垂直方向に延伸を行い(第二延伸)、積層多孔フィルムを得る。
(II)ポリオレフィン系樹脂多孔層に係るフィルムの無孔膜状物を作製し、これを二軸方向に延伸する。一方、被覆層に係るフィルムの無孔膜状物を作製し、これを一軸方向に延伸する。その後、ポリオレフィン系樹脂多孔層に係るフィルムの少なくとも片面に、被覆層に係るフィルムを積層して積層多孔フィルムを得る。
以下、本発明の積層多孔フィルムの製造方法として、(I)に係る好ましい実施形態を例として説明する。
前記(I)の方法においては、前記ポリオレフィン系樹脂を用いて、溶融押出により無孔膜状物を作製し、当該無孔膜状物を延伸することにより厚さ方向に連通性を有する微細孔を多数形成したポリオレフィン系樹脂多孔層を得ることができる。
但し、ポリオレフィン系樹脂多孔層に係るフィルムについて、被覆層形成時の機械特性を維持する目的で、一軸方向に延伸した後又は延伸すると同時に、当該一軸方向と垂直な方向に僅かに延伸することを妨げない。
なお、膜状物及びフィルムの長手方向を「縦方向」、長手方向に対して垂直方向を「横方向」と称する。また、長手方向への延伸を「縦延伸」、長手方向に対して垂直方向への延伸を「横延伸」と称する。
まずポリオレフィン系樹脂と、必要であれば熱可塑性樹脂、添加剤の混合樹脂組成物を作製する。例えば、ポリプロピレン系樹脂、β晶核剤、および所望によりその他添加物等の原材料を、好ましくはヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて、または袋の中に全成分を入れてハンドブレンドにて混合した後、一軸あるいは二軸押出機、ニーダー等、好ましくは二軸押出機で溶融混練後、カッティングしてペレットを得る。
使用するTダイのギャップは、最終的に必要なフィルムの厚み、延伸条件、ドラフト率、各種条件等から決定されるが、一般的には0.1〜3.0mm程度、好ましくは0.5〜1.0mmである。0.1mm以上であれば生産速度という観点から好ましく、また3.0mm以下であれば、ドラフト率が大きくなり過ぎないため生産安定性の観点から好ましい。
キャストロールによる冷却固化温度は本発明において非常に重要であり、膜状物中のポリオレフィン系樹脂のβ晶の比率を調整することができる。キャストロールの冷却固化温度は好ましくは80〜150℃、より好ましくは90〜140℃、更に好ましくは100〜130℃である。冷却固化温度を80℃以上とすることで、膜状物中のβ晶の比率を十分に増加させることができるために好ましい。また、150℃以下とすることで押出された溶融樹脂がキャストロールへ粘着し巻き付いてしまうなどのトラブルが起こりにくく、効率よく膜状物化することが可能であるので好ましい。
延伸前の膜状物中のβ晶比率は、示差走査型熱量計を用いて、該膜状物を25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で昇温させた際に、検出されるポリオレフィン系樹脂のα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)とβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)を用いて下記式で計算される。
β晶比率(%)=〔ΔHmβ/(ΔHmβ+ΔHmα)〕×100
第一延伸の延伸速度としては、500〜12000%/分が好ましく、1500〜10000%/分がさらに好ましく、2500〜8000%/分であることが更に好ましい。
次に、第一延伸を行ったポリオレフィン系樹脂多孔層の少なくとも片面に被覆層を形成する。第一延伸により開孔したポリオレフィン系樹脂多孔層に被覆層を形成することで、ポリオレフィン系樹脂多孔層と被覆層との界面のアンカー効果に起因すると考えられる、優れた界面密着性を発現することができる。
被覆層の形成方法としては、ラミネート法、塗布乾燥法等が挙げられるが、連続生産性の面で塗布乾燥法により形成することが好ましい。より具体的には、前記電解液膨潤性有機高分子(a)を溶媒に溶解させた塗料を作製し、これをポリオレフィン系樹脂多孔層の少なくとも片面に塗布した後、乾燥することにより被覆層を形成することが好ましい。
本発明において、塗布乾燥法により被覆層を形成する際に用いる、前記電解液膨潤性有機高分子(a)を溶解させた塗料の溶媒は、沸点が100℃以上の溶媒(X)と沸点が100℃未満の溶媒(Y)の少なくとも2種からなることが好ましい。
沸点が100℃以上の溶媒(X)を使用することで、被覆層に好適な空孔形成が成されるという効果がある。溶媒(X)の沸点の上限については特に制限は無いが、生産性の面で250℃以下が好ましい。
また、沸点が100℃未満の溶媒(Y)を使用することで、塗料の安定性と塗工性が向上し、本発明の積層多孔フィルムの生産性が向上するという効果がある。溶媒(Y)の沸点の下限については特に制限はないが、塗料の安定性の面で40℃以上が好ましい。
溶媒(X)と溶媒(Y)を併用することにより、上記の優れた効果が相乗するため好ましい。
前記要件を満たす溶媒(X)としては、水、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトアミド(AcA)、テトラメチル尿素(TMU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられるが、入手の容易さから、水、NMP、DMAc、DMF、DMSOが好ましい。
前記要件を満たす溶媒(Y)としては、アセトニトリル、アセトン、C3以下の低級アルコール、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテルなどが挙げられる。入手の容易さ、毒性の低さから、アセトン、低級アルコールが好ましい。
前記(I)の方法においては、ポリオレフィン系樹脂多孔層の少なくとも片面に被覆層を形成した積層フィルムについて、一軸方向に第二延伸を行い、ポリオレフィン系樹脂多孔層が二軸方向に延伸されており、かつ、被覆層が一軸方向に延伸されている本発明の積層多孔フィルムを得る。
この際、ポリオレフィン系樹脂多孔層の多孔構造を制御する観点から、第二延伸は第一延伸と垂直方向に延伸する。これによってポリオレフィン系樹脂多孔層が二軸方向に延伸されることとなる。
なお、第一延伸の際に、一軸方向に延伸した後又は延伸すると同時に、当該一軸方向と垂直な方向に僅かに延伸する場合には、僅かに延伸した方向と平行方向に延伸する。
前記延伸工程の延伸速度としては、300〜12000%/分が好ましく、400〜10000%/分がさらに好ましく、500〜8000%/分であることが更に好ましい。
本発明の積層多孔フィルムの厚みは5〜100μmが好ましい。より好ましくは8〜50μm、更に好ましくは10〜30μmである。電池用セパレータとして使用する場合、5μm以上であれば、実質的に必要な電気絶縁性を得ることができ、例えば電極の突起部分に大きな力がかかった場合でも、電池用セパレータを突き破って短絡しにくく安全性に優れる。また、厚みが100μm以下であれば、積層多孔フィルムの電気抵抗を小さくすることができるので、電池の性能が十分に確保することができる。
透気度はフィルム厚み方向の空気の通り抜け難さを表し、具体的には100mLの空気が当該フィルムを通過するのに必要な数で表現されている。そのため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方がフィルムの厚み方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方がフィルム厚み方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とはフィルム厚み方向の孔のつながり度合いである。本発明の積層多孔フィルムの透気度が低ければ様々な用途に使用することができる。例えば電池用セパレータとして使用する場合、透気度が低いということはリチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れるため好ましい。
なお、本発明において透気度は、JIS P8117に準拠して測定される。
なお、本発明において突刺強度は、後述する実施例に記載の方法で測定される。
続いて、本発明の前記積層多孔フィルムを電池用セパレータとして収容している非水電解液二次電池について、図1に参照して説明する。
正極板21、負極板22の両極は電池用セパレータ10を介して互いに重なるようにして渦巻き状に捲回し、巻き止めテープで外側を止めて捲回体としている。
前記捲回工程について詳しく説明する。電池用セパレータの片端をピンのスリット部の間に通し、ピンを少しだけ回転させて電池用セパレータの一端をピンに巻きつけておく。この時、ピンの表面と電池用セパレータの被覆層とが接触している。その後、電池用セパレータを間に挟むようにして正極と負極を配置し、捲回機によってピンを回転させて、正負極と電池用セパレータを捲回する。捲回後、ピンは捲回物から引き抜かれる。
塗料中の溶媒(X)と溶媒(Y)の比を溶媒比(X/Y)とした。
総厚みは、1/1000mmのダイアルゲージにて、積層多孔フィルムの面内を不特定に5箇所測定し、その平均値として算出した。
被覆層の厚みは、総厚みから、被覆層を形成せずに延伸のみで得たポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの総厚みを引き去ることで算出した。なお、比較例3は被覆層のみから形成されているものとした。
得られたフィルムの外観を以下の判定基準により判断した。
○:目視で確認可能な被覆層の剥離や割れ・裂け目がない。
×:目視で確認可能な被覆層の剥離又は割れ・裂け目がある。
透気度は、JIS P8117に準拠して測定し、透気度が1000秒/100mL以下である場合を合格とした。
ホルダーで固定した積層多孔フィルム(測定部:直径10mmの円形)に、直径1mm、先端曲率半径0.5mmの金属(SUS440C)製針を厚み方向に300mm/minの速さで突き刺して、穴が開口する最大荷重を測定した。強度が100gf以上である場合を合格とした。
積層多孔フィルムの試料10mgについて、株式会社パーキンエルマー製の示差走査型熱量計(DSC−7)を用いて、窒素雰囲気下で25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で昇温後1分間保持し、次に240℃〜25℃まで冷却速度10℃/分で降温後1分間保持し、次に25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で再昇温させた。この再昇温時にポリプロピレン系樹脂のβ晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)である145〜160℃にピークが検出されるか否かによりβ晶活性の有無を以下の基準にて評価した。
○:Tmβが145℃〜160℃の範囲内に検出された場合(β晶活性あり)
×:Tmβが145℃〜160℃の範囲内に検出されなかった場合(β晶活性なし)
積層多孔フィルムを縦60mm、横60mm角に切り出し、図2(A)に示すように中央部が40mmφの円状に穴の空いたアルミ板(材質:JIS A5052、サイズ:縦60mm、横60mm、厚さ1mm)2枚の間にはさみ、図2(B)に示すように周囲をクリップで固定した。
積層多孔フィルムをアルミ板2枚に拘束した状態で設定温度180℃、表示温度180℃である送風定温恒温器(ヤマト科学株式会社製、型式:DKN602)に入れ3分間保持した後、設定温度を100℃に変更し、10分以上の時間をかけて100℃まで徐冷を行った。表示温度が100℃になった時点で取り出し、アルミ板2枚に拘束した状態のまま25℃の雰囲気下で5分間冷却して得られたものについて、以下の測定条件で、中央部の40mmφの円状の部分について広角X線回折測定を行った。
・広角X線回折測定装置:株式会社マックサイエンス製、型番:XMP18A
・X線源:CuKα線、出力:40kV、200mA
・走査方法:2θ/θスキャン、2θ範囲:5°〜25°、走査間隔:0.05°、走査速度:5°/min
得られた回折プロファイルについて、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の(300)面に由来するピークより、β晶活性の有無を以下のように評価した。
○:ピークが2θ=16.0〜16.5°の範囲に検出された場合(β晶活性あり)
×:ピークが2θ=16.0〜16.5°の範囲に検出されなかった場合(β晶活性なし)
なお、積層多孔フィルム片が縦60mm、横60mm角に切り出せない場合は、中央部に40mmφの円状の穴に積層多孔フィルムが設置されるように調整しても構わない。
ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製、ノバテックPP FY6HA、密度:0.90g/cm3、MFR:2.4g/10分)と、β晶核剤として、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを準備した。このポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、β晶核剤を0.2質量部の割合で各原材料をブレンドし、東芝機械株式会社製の同方向二軸押出機(口径:40mmφ、L/D:32)に投入し、設定温度300℃で溶融混合後、水槽にてストランドを冷却固化し、ペレタイザーにてストランドをカットし、ポリプロピレン系樹脂のペレットを作製した。
前記無孔膜状物について、第一延伸として縦延伸機を用いて100℃で縦方向に4.6倍延伸し、続いてVETAPHONE社製ジェネレータ CP1を使用し、出力0.4kW、10m/minでコロナ表面処理を施すことでポリオレフィン系樹脂多孔層の縦延伸フィルムを得た。
ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(アルケマ社:Kynar Flex 2801)をDMAc/アセトンの比が90/10の混合溶媒に溶解し、固形分24%の塗料を得た。
続いて上記塗料を♯6番手のバーコーターを用いて、ポリオレフィン系樹脂多孔層の縦延伸フィルムに塗布を実施した。その後1時間、常温常湿下静置し、ゲル化を進行させ、続いて第二延伸として、135℃に設定したテンターにより、2.2倍に横延伸を実施することで、目的の積層多孔フィルムを得た。
ポリオレフィン系樹脂多孔層の縦延伸フィルムを、第二延伸として135℃に設定したテンターにより2.2倍に横延伸し、ポリオレフィン多孔フィルムを得た。得られたフィルム上に実施例1で用いた塗料を#6番手のバーコーターを用いて塗布し、その後24時間、常温常湿下静置し、ゲル化・乾燥を行なうことで積層多孔フィルムを得た。
無孔膜状物に0.4kW、10m/minでコロナ表面処理を施し、続いて、前記塗料を♯6番手のバーコーターを用いて塗布した。その後1時間、常温常圧下静置し、ゲル化を進行させ、続いて第一延伸として、縦延伸機にて100℃で4.6倍に縦延伸した。この際、被覆層が剥離し、縦延伸機に巻き取られる問題が発生した。その後、第二延伸として、135℃に設定したテンターにより2.2倍に横延伸を実施することで多孔フィルムを得た。その結果を表1にまとめた。
実施例1で作製した塗料を、♯50番手のバーコーターを用いて、PETフィルム上に塗布を実施した。その後1時間、常温常圧下静置し、ゲル化を進行させ、剥離することで多孔フィルムを得た。当該フィルムは相分離により多孔化はしているが、極めて強度が低く延伸はできなかった。その結果を表1にまとめた。
また、被覆層に剥離や割れが生じず、優れた製膜性や生産性を有していた。これは、第一延伸を施した後に被覆層を形成したことにより、ポリオレフィン系樹脂多孔層と被覆層の界面におけるアンカー効果が発現して密着性が向上した為と考えられる。
比較例2で得た多孔フィルムは、ポリオレフィン系樹脂多孔層と被覆層の界面密着性が不十分なため、縦延伸時にPVDF系樹脂がほとんど剥離し、実質的にポリオレフィン系樹脂多孔層のみからなる多孔フィルムとなってしまった。
比較例3で得た多孔フィルムはPVDF系樹脂のみからなり、ポリオレフィン系樹脂と積層されていない為、強度が不十分であった。
20 二次電池
21 正極板
22 負極板
24 正極リード体
25 負極リード体
26 ガスケット
27 正極蓋
31 アルミ板
32 サンプル
33 クリップ
34 フィルム縦方向
35 フィルム横方向
Claims (9)
- ポリオレフィン系樹脂多孔層の少なくとも片面に、電解液膨潤性有機高分子(a)からなる多孔性の被覆層を有し、前記ポリオレフィン系樹脂多孔層が二軸方向、前記被覆層が一軸方向に延伸されていることを特徴とする積層多孔フィルム。
- 前記有機高分子(a)が、ポリフッ化ビニリデン及びその共重合体、ポリアクリロニトリル及びその共重合体、ポリアクリル酸エステル及びその共重合体、ポリオキシアルキレン及びその共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の積層多孔フィルム。
- 前記被覆層における前記有機高分子(a)の目付け量が、0.1g/m2以上、10g/m2未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層多孔フィルム。
- 前記被覆層が、塗布乾燥法によりポリオレフィン系樹脂多孔層上に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層多孔フィルム。
- 前記被覆層を形成する際に用いる、前記有機高分子(a)を溶解させた塗料の溶媒が、100℃以上の沸点を有する溶媒(X)と、100℃未満の沸点を有する溶媒(Y)の少なくとも2種を含むことを特徴とする請求項4に記載の積層多孔フィルム。
- 前記ポリオレフィン系樹脂多孔層がポリプロピレン系樹脂を含んでなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層多孔フィルム。
- 前記ポリオレフィン系樹脂多孔層がβ晶活性を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層多孔フィルム。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムを用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
- 請求項8に記載の非水電解液二次電池用セパレータを用いた非水電解液二次電池。
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