JP6094577B2 - 透明ガスバリアーフィルム、その製造方法及び電子デバイス - Google Patents

透明ガスバリアーフィルム、その製造方法及び電子デバイス Download PDF

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Description

本発明は、新規の透明ガスバリアーフィルム、その製造方法及びそれを用いた電子デバイスに関する。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(electroluminescence、以下、ELと略記す。)を利用した有機電界発光素子、いわゆる有機EL素子や液晶表示素子などの有機材料を構成要素として用いた電子デバイスにおいては、構成に用いる有機材料や電極は、水分や酸素に対し極めて耐性が低く、外部から侵入したこれらのガス(例えば、水蒸気、空気)によって劣化が生じ易い。上記問題に対し、例えば、光透過性を有するバリアー膜を用いることにより、発光光の外部取り出しを損ねることなく、有機電界発光素子へのこれらのガスの侵入を抑える構成が検討されている。
このような光透過性を有するバリアー膜としては、例えば、無機酸化物を含む蒸着薄膜層/水溶性高分子を含むガスバリアー性被膜層/金属アルミニウムを含む蒸着薄膜層/水溶性高分子を含むガスバリアー性被膜層を、この順に積層した構成の透明積層体が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、水溶性高分子を用いた塗布膜の表面をプラズマ処理することによって強密着処理層を形成し、この上部にアルミニウム、ニッケル、又はチタンを用いた金属薄膜層を設けることにより、ガスバリアー性の向上が図られた構成が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に開示されているガスバリアー膜は、いずれも高温高湿環境下で保存した後において、十分な光透過性と水分や酸素に対する十分なバリアー性との両立を図ることが困難であった。
このような問題に対応した技術として、シランカップリング剤をアンカーコート層として設けた積層型のガスバリアーフィルムが提案されている。(例えば、特許文献3参照。)。特許文献3に開示されている方法の技術的な思想は、いわゆるアンカーコート層を特定の構成とすることにより、長期間にわたり層間密着性を確保すると同時に、耐環境試験を施しても、試験後の性能劣化が生じない積層フィルムを提供することにある。
しかしながら、このようなガスバリアーフィルムを、有機EL素子等に適用する場合には、ガスバリアー性を有すると同時に導電性を兼ね備え、耐久性の高い積層フィルムが望まれているが、引用文献3で開示されているガスバリアーフィルムでは、基材と特定機能層との接着性及び耐久性は達成できるものの、ガスバリアー層やITOなどの透明導電層等複数の特定機能層を形成する場合に、それぞれの界面の相互接着性、耐久性を確保することが困難であった。
特開2004−330669号公報 特開2011−5837号公報 特開2010−5817号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、有機EL素子の様な各種電子デバイスの基板として用いられ、高いガスバリアー性能を有するとともに、耐久性(折り曲げ耐性)に優れた透明ガスバリアーフィルムとその製造方法、そのガスバリアーフィルムを用いた電子デバイスを提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、基材上に、少なくとも、ガスバリアー層、平滑層及び金属層をこの順で有し、平滑層と金属層との間に、更に、窒素原子を含有した下地層を有することを特徴とする透明ガスバリアーフィルムにより、高いガスバリアー性及び優れた耐久性(折り曲げ耐性)を備えた透明ガスバリアーフィルムを実現することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.基材上に、少なくとも、ガスバリアー層、平滑層及び金属層をこの順で有し、前記金属層が、銀又は銀を主成分とした合金を用いて形成された層であり、前記平滑層と、金属層との間に、更に、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物を含有した下地層を有し、かつ前記平滑層がウレタン結合を有する化合物を含有することを特徴とする透明ガスバリアーフィルム。
2.前記窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする第1項に記載の透明ガスバリアーフィルム。
Figure 0006094577
〔式中、Y は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E 51 〜E 66 、E 71 〜E 88 は、各々、C(R )または窒素原子を表し、R は水素原子または置換基を表す。但し、E 1〜E 79 の少なくとも1つ及びE 80 〜E 88 の少なくとも1つは、窒素原子を表す。n3及びn4は、各々0〜4の整数を表すが、n3+n4は2以上の整数である。〕
.前記ガスバリアー層が、ポリシラザン改質層であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明ガスバリアーフィルム。
.前記ガスバリアー層が、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有し、層厚方向に組成が連続的に変化し、下記(1)及び(2)で規定する要件を満たす構成のガスバリアー層Bであることを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の透明ガスバリアーフィルム。
(1)前記ガスバリアー層BについてのX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、当該ガスバリアー層Bの層厚方向における前記ガスバリアー層Bの表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する炭素原子の量の比率(「炭素原子比率(at%)」という。)との関係を示す炭素分布曲線において、2つ以上の極値を有し、前記炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が3.0at%以上である。
(2)前記ガスバリアー層Bの全層厚の90%以上の領域において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する各原子の平均原子比率が、下記式(A)又は(B)で表される序列の大小関係を有する。
式(A)
(炭素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(酸素平均原子比率)
式(B)
(酸素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(炭素平均原子比率)
.前記ガスバリアー層が少なくとも2層で構成され、基材側に位置する第1のガスバリアー層が前記ガスバリアー層Bであり、最表層側に位置する第2のガスバリアー層が、前記ガスバリアー層B上に形成されたポリシラザン改質層であることを特徴とする第項に記載の透明ガスバリアーフィルム。
.前記平滑層の厚さが、20〜500nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の透明ガスバリアーフィルム。
.基材上に、少なくとも、ガスバリアー層、平滑層及び金属層をこの順で設ける透明ガスバリアーフィルムの製造方法であって、前記金属層が、銀又は銀を主成分とした合金を用いて形成された層であり、前記平滑層と、金属層との間に、更に、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物を含有した下地層を設け、かつ前記平滑層がウレタン結合を有する化合物を含有することを特徴とする透明ガスバリアーフィルムの製造方法。
.前記ガスバリアー層を、基材上にポリシラザン含有塗布液を塗布したのち、改質処理を施して形成することを特徴とする第項に記載の透明ガスバリアーフィルムの製造方法。
.前記ガスバリアー層は、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有し、層厚方向に組成が連続的に変化させ、下記(1)及び(2)で規定する要件を満たす構成のガスバリアー層Bとすることを特徴とする第項又は第項に記載の透明ガスバリアーフィルムの製造方法。
(1)前記ガスバリアー層BについてのX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、当該ガスバリアー層Bの層厚方向における前記ガスバリアー層Bの表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する炭素原子の量の比率(「炭素原子比率(at%)」という。)との関係を示す炭素分布曲線において、2つ以上の極値を有し、前記炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が3.0at%以上とする。
(2)前記ガスバリアー層Bの全層厚の90%以上の領域において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する各原子の平均原子比率が、下記式(A)又は(B)で表される序列の大小関係を有する。
式(A)
(炭素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(酸素平均原子比率)
式(B)
(酸素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(炭素平均原子比率)
.前記ガスバリアー層を少なくとも2層で形成し、基材側に位置する第1のガスバリアー層を前記ガスバリアー層Bとし、最表層側に位置する第2のガスバリアー層を、前記ガスバリアー層B上にポリシラザン含有塗布液を塗布したのち、改質処理を施して形成することを特徴とする第項に記載の透明ガスバリアーフィルムの製造方法。
.第1項から第項までのいずれか一項に記載の透明ガスバリアーフィルムを具備することを特徴とする電子デバイス。
.前記電子デバイスが、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする第1項に記載の電子デバイス。
本発明によれば、有機EL素子の様な各種電子デバイスの基板として用いられ、高いガスバリアー性能を有するとともに、耐久性(折り曲げ耐性)に優れた透明ガスバリアーフィルムとそのガスバリアーフィルムを用い、ガスバリアー性及び耐久性(ダークスポット耐性)に優れた電子デバイスを得ることができる。
本発明で規定する構成により、上記問題を解決することができたのは、以下の理由によるものと推測している。
本発明の透明ガスバリアーフィルムは、導電性を付与するための金属層を有している。この金属層は、層の膜厚が厚いほど導電性としては安定しやすくなる反面、フィルムの透明性が低下しやすくなり、薄い場合はその逆の関係となる。透明性を高くするために金属層の膜厚を薄くすると、金属層の連続性が、それを支持する基材表面の平滑性に左右されやすくなり、基材表面の粗さが小さいほどガスバリアーフィルムの透明性と導電性の両立がし易くなる。また、平滑性のみならず、金属層が形成される表面の組成に、窒素原子を有する化合物を使用すると、金属層の厚さが薄い場合でも良好な導電性が得られることが本発明者らによって明らかとなった。また、ガスバリアー層を形成する場合、物理的、又は化学的蒸着などの方法で形成されたガスバリアー層よりも、ガスバリアー層を形成するための前駆体素材を塗布により基材上に積層して、改質処理を行って形成したガスバリアー層の方が、更に良好な表面平滑性が得られる。その結果、導電性を付与する金属層の厚さを更に薄膜化することが可能となり、極めて透明性の高いガスバリアーフィルム、及び発光効率の高い発光素子や受光効率が良好な光電変換素子等の各種電子デバイスを得ることができることを見出した。
本発明の透明ガスバリアーフィルムの層構成の一例を示す概略断面図 本発明の透明ガスバリアーフィルムの層構成の他の一例を示す概略断面図 本発明の透明ガスバリアーフィルムの層構成の他の一例を示す概略断面図 本発明に係る貸すバリアー層の形成に適用可能な磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置の一例を示す概略図 本発明に係るガスバリアー層のケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線の一例を示すグラフ 本発明の透明ガスバリアーフィルムと有機EL素子を具備した電子デバイスの一例を示す断面図 実施例で作製した電子デバイス(有機EL素子)の断面図
本発明の透明ガスバリアーフィルムは、基材上に、少なくとも、ガスバリアー層、平滑層及び金属層をこの順で有し、前記金属層が、銀又は銀を主成分とした合金を用いて形成された層であり、前記平滑層と、金属層との間に、更に、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物を含有した下地層を有し、かつ前記平滑層がウレタン結合を有する化合物を含有することを特徴とし、高いガスバリアー性能を有するとともに、耐久性(折り曲げ耐性)に優れた透明ガスバリアーフィルムを実現することができる。この特徴は、請求項1から請求項1に係る発明に共通する技術的特徴である。
また、本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、平滑層が、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物として、前記一般式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。また、ガスバリアー層が、基材上にポリシラザン含有塗布液を塗布したのち、改質処理を施して形成されていることが好ましい。また、平滑層が、ウレタン結合を有する化合物を含有することが好ましい。また、平滑層の厚さが、20〜500nmの範囲内であることが好ましい。更には、本発明の電子デバイスは、本発明の透明ガスバリアーフィルムを具備することを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
また、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明するが、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
《透明ガスバリアーフィルム》
本発明の透明ガスバリアーフィルムは、基材上に、少なくとも、ガスバリアー層、平滑層、及び銀又は銀を主成分とした合金を用いて形成された金属層をこの順で有することを特徴とする。
本発明でいう透明とは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が、70%以上であることをいう。
本発明の透明ガスバリアーフィルム(以下、単にガスバリアーフィルムあるいはバリアーフィルムともいう。)は、樹脂フィルムなどの基材上に、プラズマCVD法などの蒸着法によって形成された金属酸化物を含有するガスバリアー層、あるいはポリシラザンを含む液体を湿式塗布方式で塗布、乾燥した後、真空紫外光等を照射して形成されたポリシラザン改質層等からなるガスバリアー層を有し、その上に、平滑層を、更にその上に銀又は銀を主成分とした合金を用いて形成された金属層を有する構成であることを特徴とする。
図1は、本発明の透明ガスバリアーフィルムの層構成の代表例を示す概略断面図である。
図1Aは、本発明のガスバリアーフィルム1の基本的な構成を示しており、基材2上に、ガスバリアー層3、平滑層4及び金属層5が積層された構成を示してある。
本発明のガスバリアーフィルム1の特徴としては、図1Bに示すように、平滑層4と金属層5との間に、更に下地層6を有する構成である。
更に、本発明のガスバリアーフィルム1のその他の構成としては、図1Cに示すように、基材2の平滑性や基材2に対するガスバリアー層2(蒸着層やポリシラザン改質層)の密着性を向上させるため、中間層としてアンカーコート層7を設けてもよい。また、基材2のガスバリアー層等が有する面とは反対側の面(裏面ともいう)には、傷や汚れが付くことを防止する目的で、ブリードアウト防止層8を基材2上に設けてもよい。
以下、本発明のガスバリアーフィルムの各構成層の詳細について説明する。
〔基材〕
本発明のガスバリアーフィルム1における基材2は、可撓性を有する折り曲げ可能な透明な樹脂フィルムであることが好ましい。基材2としては、ガスバリアー性を有するガスバリアー層3(例えば、蒸着層、ポリシラザン改質層等)を保持することができる材料であれば、特に限定されるものではない。
基材2としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の樹脂材料からなる樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(例えば、製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、更には上記のフィルム材料を2層以上積層して構成される積層樹脂フィルム等を用いることもできる。
これら樹脂フィルムのうち、経済性や入手容易性の観点からは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等のフィルムが好ましく用いられる。また、光学的透明性、耐熱性、ガスバリアー層3(例えば、蒸着層、ポリシラザン改質層等)との密着性等の観点からは、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムも好ましく用いられる。
この基材2の厚さは、5〜500μmの範囲内であることが好ましく、更に好ましくは25〜250μmの範囲内である。
また、基材2は、透明であることが好ましい。基材2が透明であって、かつ基材2上に形成する各層も同様に高い光透過性を有する膜とすることにより、優れた光透過性を備えたガスバリアーフィルムとすることが可能となる。基材2が光透過性を有することにより、有機EL素子の発光光を透過させたり、太陽電池へ向かう太陽光を通過させたりすることが可能になるので、有機EL素子や太陽電池を封止する封止フィルム(透明基板)としても好適に用いることができる。また、上記の樹脂材料を用いた基材2は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
また、上記の樹脂材料から構成される基材2は、従来公知の一般的な製膜法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、基材の搬送方法(縦軸)方向、又は基材の搬送方向と直角(横軸)の方向に延伸することにより、延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材を構成する樹脂の特性に合わせて適宜選択することできるが、延伸倍率としては縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍の範囲内であることが好ましい。
また、この基材2においては、ガスバリアー層3などを形成する前に、基材表面に、コロナ処理等の公知の親水化処理を施してもよい。
〔アンカーコート層〕
本発明のガスバリアーフィルムにおいては、本発明に適用する基材2の表面には、その上に形成するガスバリアー層3(例えば、蒸着層やポリシラザン改質層)との密着性を向上させる目的から、アンカーコート層7(図1Cに記載)を形成してもよい。
アンカーコート層7は、微小な突起等が存在する基材2の粗面を平坦化し、基材2表面の突起等によって基材2に成膜するガスバリアー層3などに凹凸やピンホールが生じないようにするために設けられる。
このアンカーコート層に用いられるアンカーコート層形成用材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、及びアルキルチタネート等を、1種又は2種以上併せて使用することができる。これらのアンカーコート層形成用材料には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート材料を、適当な溶媒等で溶解してアンカーコート層塗布液を調製した後、当該アンカーコート層塗布液を、ローラーコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の湿式塗布方法により基材上にコーティングし、溶媒、希釈剤等を乾燥除去することにより、アンカーコート層を形成することができる。
このアンカーコート層形成用材料の塗布量としては、乾燥状態で0.1〜5.0g/mの範囲内が好ましい。
一方、本発明においては、アンカーコート層を、例えば、感光性樹脂を硬化させて形成してもよい。このアンカーコート層の形成に用いられる感光性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和結合を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。反応性モノマーは、1種又は2種以上の混合物として、あるいは、その他の化合物との混合物として使用することができる。
また、この感光性樹脂の組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤は、1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
この様な感光性樹脂組成物を用いて、アンカーコート層7を基材2表面に形成する方法は、特に制限はないが、例えば、上記のようにスピンコート、スプレーコート、ブレードコート、ディップコート等の湿式塗布方法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
上記のような感光性樹脂組成物を用いてアンカーコート層を形成する際、必要に応じて、上記した感光性樹脂に酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、形成したアンカーコート層への成膜性向上や、アンカーコート層に成膜された膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
なお、感光性樹脂を溶媒に溶解又は分散させた塗布液を用いてアンカーコート層を形成する際に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
また、アンカーコート層の平滑性は、JIS B 0601で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10〜30nmの範囲内であることが好ましい。Rtが10nm以上であれば、後述する珪素化合物(ポリシラザン溶液)を塗布する段階で、ワイヤーバー、ワイヤレスバー等の塗布方式でアンカーコート層表面に塗工手段が接触する場合に、塗布性が損なわれることがない。また、Rtが30nm以下であれば、後述する珪素化合物(ポリシラザン溶液)を塗布した後の凹凸を平滑化することができ、好ましい。
また、アンカーコート層を形成する際に加える添加剤としての好ましい態様のひとつは、感光性樹脂中に、表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」ともいう)を含むものである。ここで、光重合性を有する感光性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基等を挙げることができる。また感光性樹脂は、この反応性シリカ粒子の表面に導入された光重合反応性を有する感光性基と光重合反応可能な化合物、例えば、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物を含むものであってもよい。また感光性樹脂としては、このような反応性シリカ粒子や重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物に適宜汎用の希釈溶剤を混合することによって固形分を調整したものを用いることができる。
ここで、反応性シリカ粒子の平均粒子径としては、0.001〜0.1μmの平均粒子径の範囲内であることが好ましい。平均粒子径をこのような範囲にすることにより、後述する平均粒子径1〜10μmの無機粒子からなるマット剤と組合せて用いることによって、防眩性と解像性とをバランスよく満たす光学特性と、ハードコート性とを兼ね備えたアンカーコート層を形成し易くなる。なお、このような効果をより得易くする観点からは、更に平均粒子径が0.001〜0.01μmの範囲内にある反応性シリカ粒子を用いることがより好ましい。
本発明において、アンカーコート層中には、上述の様な無機粒子をアンカーコート層全質量に対し、20〜60質量%の範囲内で含有することが好ましい。無機粒子を20質量%以上含有させることにより、ガスバリアー層との密着性が向上する。一方、無機粒子の含有率が60質量%以下であれば、フィルムを湾曲させたり、加熱処理を行った場合のクラックの発生を防止し、ガスバリアーフィルムの透明性や屈折率等の光学的物性に安定して維持することができる。
なお、本発明においては、重合性不飽和基修飾加水分解性シランが、加水分解性シリル基の加水分解反応によって、シリカ粒子との間に、シリルオキシ基を生成して化学的に結合しているようなものを、反応性シリカ粒子として用いることができる。加水分解性シリル基としては、例えば、アルコキシリル基、アセトキシリル基等のカルボキシリレートシリル基、クロシリル基等のハロゲン化シリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、ヒドリドシリル基等が挙げられる。重合性不飽和基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレート基、アクリルアミド基等が挙げられる。
本発明において、アンカーコート層の厚さとしては、1〜10μmの範囲内が好ましく、更には2〜7μmの範囲内が好ましい。アンカーコート層の厚さを1μm以上にすることにより、アンカーコート層を設けることにより、ガスバリアーフィルムとしての平滑性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、ガスバリアーフィルムの光学特性のバランスを調整し易くなると共に、アンカーコート層をガスバリアーフィルムの一方の面にのみ設けた場合におけるガスバリアーフィルムのカールを抑え易くすることができるようになる。
〔ブリードアウト防止層〕
また、本発明のガスバリアーフィルムにおいては、図1Cに例示した様に、基材2の裏面(ガスバリアー層を形成する面とは反対側に面)には、ブリードアウト防止層8を形成してもよい。
ブリードアウト防止層8は、樹脂から構成されるフィルム状の基材を加熱した際に、基材中から表面に未反応のオリゴマー等が移行して、基材の表面を汚染する現象を抑制する目的で、アンカーコート層を有する基材2の反対面に設けることができる。ブリードアウト防止層8は、上記現象の抑制機能を有していれば、基本的には、上述したアンカーコート層7と同じ構成をとっても構わない。
ブリードアウト防止層8には、ハードコート材料を添加することができる。ハードコート材料としては、可能な重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物等を挙げることができ、例えば、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、あるいは分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等を挙げることができる。
ブリードアウト防止層に適用することができるその他の添加剤として、マット剤を挙げることができる。マット剤としては、平均粒子径が0.1〜5μmの範囲にある無機粒子が好ましい。このような無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等の1種又は2種以上を併せて使用することができる。なお、無機粒子からなるマット剤は、ハードコート剤の固形分100質量部に対して2質量部以上、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上、20質量部以下、好ましくは18質量部以下、より好ましくは16質量部以下の割合で混合されていることが望ましい。
また、ブリードアウト防止層には、ハードコート剤及びマット剤の他に、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、光重合開始剤等を含有させてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、光重合性プレポリマーもしくは光重合性モノマー等の1種又は2種以上を混合した電離放射線硬化塗料に、電離放射線(紫外線又は電子線)を照射することで硬化するものを使用することができる。ここで光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このアクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等が使用できる。また光重合性モノマーとしては、上記に記載した多価不飽和有機化合物等が使用できる。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾインベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。
以上のようなブリードアウト防止層は、ハードコート剤、マット剤及び必要に応じて添加される他の成分を配合して、所定の希釈溶剤を加えて塗布液として調製し、その塗布液を基材2の表面に従来公知の塗布方法によって塗布した後、電離放射線を照射して硬化させることにより形成することができる。なお、電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する手段、又は走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射する手段により行うことができる。
本発明においては、ブリードアウト防止層の厚さとしては、1〜10μmの範囲内が好ましく、更に好ましくは2〜7μmの範囲内である。ブリードアウト防止層の厚さを1μm以上にすることにより、ガスバリアーフィルムとしての耐熱性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、ガスバリアーフィルムの光学特性のバランスを調整し易くなると共に、平滑層をガスバリアーフィルムの一方の面に設けた場合におけるガスバリアーフィルムのカールを抑え易くすることができるようになる。
〔ガスバリアー層〕
本発明のガスバリアーフィルム1においては、基材2上あるいはアンカーコート層7を介して、ガスバリアー層3が形成されている。本発明に係るガスバリアー層3としては、その形成方法に制限はなく、例えば、蒸着法によって形成された金属酸化物から構成されるガスバリアー層や、ポリシラザン化合物を含む塗布液を湿式塗布した後、形成したポリシラザン層に真空紫外光を照射して改質処理を施して形成するガスバリアー層を挙げることができる。
(1)ガスバリアー層の形成方法1
基材2に、蒸着法によりガスバリアー層3を形成する際に、適用可能な蒸着法としては、物理気相成長法及び化学気相成長法が挙げられる。
物理気相成長法とは、気相中で基材2の表面に物理的手法により目的とする物質、例えば、炭素膜等の薄膜を堆積する方法であり、これらの方法としては、蒸着(抵抗加熱法、電子ビーム蒸着、分子線エピタキシー)法、また、イオンプレーティング法、スパッタ法等がある。
一方、化学気相成長法(化学蒸着法、Chemical Vapor Deposition)は、気相中で、基材2に目的とする薄膜の形成成分を含む原料ガスを励起した放電ガスに混合して供給し、基材表面あるいは気相中で、化学反応により、基材2上に薄膜を堆積する方法である。特に、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがあり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など公知のCVD方式等がある。
本発明においては、基材2にガスバリアー層を形成する方法としては、成膜速度や処理面積の観点からプラズマCVD法を適用することができ、一つの方法としては真空を必要としない大気圧プラズマCVD法も好ましい。
大気圧又は大気圧近傍でのプラズマCVD処理を行う大気圧プラズマCVD法は、真空下のプラズマCVD法に比べ、減圧にする必要がなく生産性が高いだけでなく、プラズマ密度が高密度であるために成膜速度が速く、更には通常のCVD法の条件に比較して、大気圧という高圧力条件下では、ガスの平均自由工程が非常に短いために極めて均質の膜が得られる。
本発明でいう大気圧もしくはその近傍の圧力とは、20kPa〜110kPaの圧力範囲内であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93kPa〜104kPaであることが好ましい。また、本発明でいう励起したガスとは、エネルギーを得ることによって、ガス中の分子の少なくとも一部が、今ある状態からより高いエネルギー状態へ移ることをいい、励起ガス分子、ラジカル化したガス分子、イオン化したガス分子を含むガスがこれに該当する。
本発明において、蒸着法により金属酸化物を含有するガスバリアー層3を形成する方法は、大気圧もしくはその近傍の圧力下で高周波電界を発生させた放電空間に、珪素などの金属元素を含有する原料ガスを、励起した放電ガスと混合して二次励起ガスを形成し、この二次励起ガスに基材2を晒すことによって、基材2上に無機膜(セラミック膜)を形成するプラズマCVD法である。すなわち、対向電極間(放電空間)を大気圧もしくはその近傍の圧力とし、放電ガスを対向電極間に導入し、高周波電圧を対向電極間に印加して放電ガスをプラズマ状態とし、続いてプラズマ状態になった放電ガスと原料ガスとを放電空間外で混合させて供給し、この混合ガス(二次励起ガス)に基材2を晒して、基材2上にガスバリアー層3を形成する。
なお、本発明におけるプラズマCVD法により形成される金属酸化物を含有するガスバリアー層3は、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等の複合化合物であってもよい。
プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法により得られるガスバリアー層は、原料である有機又は無機の金属化合物の選択、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件の選択を行うことにより、その目的に応じて、金属酸化物のセラミック膜、また金属酸化物と金属炭化物、金属窒化物、金属硫化物等の混合物のセラミック膜を適宜形成することができる。例えば、珪素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば珪素酸化物のセラミック膜が生成する。また、亜鉛化合物を原料化合物として用い、分解ガスに二硫化炭素を用いれば硫化亜鉛のセラミック膜が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような無機膜(セラミック膜)の原料としては、典型元素又は遷移金属元素を有していれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。また、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒を使用できる。なお、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において分子状、原子状に分解されるため、成膜への影響は殆ど無視することができる。
また、金属元素を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、例えば、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガスなどが挙げられる。
金属元素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、金属酸化物、また金属酸化物と金属炭化物、金属窒化物、金属ハロゲン化物、金属硫化物等の混合物のセラミック膜を得ることができる。
蒸着法によるガスバリアー層3の形成に際し、原料ガスと分解ガスの反応性ガスに対して、プラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電処理装置に混合ガスを送りこむ。このような放電ガスとしては、窒素ガス及び/又は周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に、窒素がコストも安く好ましい。
放電ガスと反応性ガスを混合した混合ガスをプラズマ放電処理装置に供給することで、蒸着膜であるガスバリアー層3を形成する。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、放電ガスの割合を50%以上として反応性ガスを供給することが好ましい。
以上のように、上記原料ガス(反応性ガス)を放電ガスと共に使用することにより、様々な無機膜(セラミック膜)を形成することができる。本発明においては、蒸着法により形成するガスバリアー層3は、これらの条件を変えた複数の層から構成されてもよく、また放電ガスと反応性ガスの比率や、放電の条件を連続的に変化させた、膜厚方向に不均質な膜から構成されてもよい。
(2)ガスバリアー層の形成方法2:大気圧プラズマ法
ここで、本発明のガスバリアーフィルムを製造する方法において用いることのできる大気圧プラズマCVD法について、更に詳細に説明する。
CVD法(化学的気相成長法)は、揮発・昇華した有機金属化合物が高温の支持体(基材2)表面に付着し、熱により分解反応が起き、熱的に安定な無機物の薄膜が生成されるというものである。このような通常のCVD法(熱CVD法とも称する)では、通常500℃以上の基板温度が必要であるため、プラスチック製の基材2への製膜には使用することが難しい。
一方、プラズマCVD法は、支持体(基材2)近傍の空間に電界を印加し、プラズマ状態となった気体が存在する空間(プラズマ空間)を発生させ、揮発・昇華した有機金属化合物がこのプラズマ空間に導入されて分解反応が起きた後、支持体(基材2)上に吹きつけられることにより、無機物の薄膜を形成するというものである。プラズマ空間内では、数%の高い割合の気体がイオンと電子に電離しており、ガスの温度は低く保たれるものの、電子温度は非常な高温のため、この高温の電子、あるいは低温ではあるがイオン・ラジカルなどの励起状態のガスと接するために、無機膜の原料である有機金属化合物は低温でも分解することができる。従って、無機物を製膜する支持体(基材2)についても低温化することができ、プラスチック製の基材2(樹脂フィルム)へも十分製膜することが可能な製膜方法である。このプラズマCVD法によれば、樹脂フィルム(基材2)上にセラミック膜を形成させたときの膜密度が緻密であり、安定した性能を有する薄膜が得られる。また、残留応力が圧縮応力で、0.01〜20MPaという範囲のセラミック膜が安定に得られることが特徴である。
なお、本発明に適用できるプラズマ放電処理装置としては、例えば、特開2004−68143号公報、同2003−49272号公報、国際公開第02/48428号等に記載されている装置を挙げることができる。
(3)ガスバリアー層の形成方法3:磁場印加プラズマCVD法
本発明に係るガスバリアー層としては、層厚方向で構成原子配分を精緻に制御したガスバリアー層を好ましく適用することができる。本発明に係るガスバリアー層の形成方法としては、特に制限はないが、緻密に元素分布が制御させたガスバリアー層を形成することができる観点からは、有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを用いて、磁場を印加したローラー間に放電空間を有する放電プラズマ化学気相成長法により形成する方法が好ましい。本発明では、このガスバリアー層形成方式を、磁場印加プラズマCVD法あるいはローラーCVD法ともいう。
本発明に係るガスバリアー層としては、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有し、層厚方向に組成が連続的に変化し、下記要件(1)及び(2)を同時に満たす構成であることが好ましい。
すなわち、
(1)ガスバリアー層についてのX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、当該ガスバリアー層の層厚方向における前記ガスバリアー層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する炭素原子の量の比率(「炭素原子比率(at%)」という。)との関係を示す炭素分布曲線において、極値を有し、前記炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が5at%以上である。
(2)ガスバリアー層の全層厚の90%以上の領域において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する各原子の平均原子比率が、下記式(A)又は(B)で表される序列の大小関係を有する。
式(A)
(炭素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(酸素平均原子比率)
式(B)
(酸素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(炭素平均原子比率)
なお、基材界面領域における測定精度は、基材の構成原子のノイズ等でやや精度が低下するため、上記式(A)又は式(B)で規定する関係を満たす領域としては、ガスバリアー層の全層厚の90〜95%の範囲内の領域であることが好ましい。
また、より好ましい態様としては、本発明に係るガスバリアー層の層厚が、50〜1000nmの範囲内であることが好ましい。
以下、本発明に係るガスバリアー層の詳細について説明する。
本発明において、本発明に係るガスバリアー層内における炭素原子の含有比率の平均値は、後述するXPSデプスプロファイルの測定によって求めることができる。
以下、本発明に係る真空蒸着法により形成するガスバリアー層の詳細について更に説明する。
(3.1)ガスバリアー層における炭素元素プロファイル
本発明に係るガスバリアー層は、ガスバリアー層の構成元素として炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含み、層厚方向に組成が連続的に変化し、X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、当該ガスバリアー層の層厚方向における前記ガスバリアー層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する炭素原子の量の比率(「炭素原子比率(at%)」という。)との関係を示す炭素分布曲線において、極値を有し、前記炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が5at%以上であることが好ましい。
また、本発明に係るガスバリアー層においては、炭素原子比率がガスバリアー層の特定の領域において、濃度勾配を有して連続的に変化する構成を有することが、ガスバリアー性と屈曲性を両立する観点から好ましい態様である。
このような炭素原子分布プロファイルを有する本発明に係るガスバリアー層においては、層内における炭素分布曲線が少なくとも一つの極値を有することが好ましく、更に、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも三つの極値を有することが特に好ましい。前記炭素分布曲線が極値を有さない場合には、得られるガスバリアー性フィルムのフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリアー性が不十分となる。また、このように少なくとも二つ又は三つの極値を有する場合においては、前記炭素分布曲線が有する一つの極値及び該極値に隣接する極値における前記ガスバリアー層の層厚方向における前記ガスバリアー層の表面からの距離の差の絶対値がいずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
なお、本発明において分布曲線の極値とは、ガスバリアー層の層厚方向における、ガスバリアー層の表面からの距離に対する元素の原子比率の極大値又は極小値の測定値のことをいう。
本発明において極大値とは、ガスバリアー層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比率の値が増加から減少に変わる点であって、かつその点の元素の原子比率の値よりも、該点からガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比率の値が3at%以上減少する点のことをいう。
さらに、本発明において極小値とは、ガスバリアー層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が減少から増加に変わる点であり、且つその点の元素の原子比率の値よりも、該点からガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上増加する点のことをいう。
本発明に係るガスバリアー層においては、極値を有し、前記炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が5at%以上であることが好ましい態様である。
(3.2)ガスバリアー層における各元素プロファイル
本発明に係るガスバリアー層においては、構成元素として炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有することを特徴とするが、それぞれの原子の比率と、最大値及び最小値についての好ましい態様を、以下に説明する。
〈3.2.1〉炭素原子比率の最大値と最小値の関係
本発明に係るガスバリアー層では、炭素分布曲線における炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)の差が5at%以上であることが好ましい。また、このようなガスバリアー層においては、炭素原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。炭素原子比率の最大値及び最小値の差を5at%以上とすることにより、作製したガスバリアー性フィルムを屈曲させた際のガスバリアー性が十分となる。
〈3.2.2〉酸素原子比率の最大値と最小値の関係
本発明に係るガスバリアー層においては、酸素分布曲線における最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であることが好ましく、6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。前記絶対値が5at%以上では、得られるガスバリアー性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリアー性が十分となる。
〈3.2.3〉ケイ素原子比率の最大値と最小値の関係
本発明に係るガスバリアー層においては、ケイ素分布曲線における最大値及び最小値の差の絶対値が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。前記絶対値が5at%未満であれば、得られるガスバリアー性フィルムのガスバリアー性及び機械的強度が十分となる。
〈3.2.4〉酸素原子+炭素原子の合計量の比率
本発明に係るガスバリアー層においては、層厚方向における該層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子及び炭素原子の合計量の比率(酸素−炭素合計の原子比率という。)である酸素−炭素合計の分布曲線(酸素炭素分布曲線ともいう。)において、前記酸素−炭素合計の原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。前記絶対値が5at%未満であれば、得られるガスバリアー性フィルムのガスバリアー性が十分となる。
なお、後述する図3に示すような炭素原子分布プロファイル(ケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線)に関する上記説明において、「ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量」とは、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計at%を意味し、「炭素原子の量」とは、炭素原子数を意味する。本発明でいうat%とは、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の総原子数を100%としたときの各原子の原子数比率を意味する。また、図3及び図4に示すようなケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び酸素炭素分布曲線についての「ケイ素原子の量」及び「酸素原子の量」についても同様である。
〈3.2.5〉表面から層厚方向での全層厚領域における元素分布
本発明に係るガスバリアー層においては、ガスバリアー層の全層厚の90%以上の領域において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する各原子の平均原子比率が、下記式(A)又は(B)で表される序列の大小関係を有することが好ましい態様である。
式(A)
(炭素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(酸素平均原子比率)
式(B)
(酸素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(炭素平均原子比率)
(3.3)X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定
ガスバリアー層の層厚方向におけるケイ素分布曲線、酸素分布曲線、及び炭素分布曲線、及び酸素−炭素合計の分布曲線等は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は層厚方向における前記ガスバリアー層の層厚方向における前記ガスバリアー層の表面からの距離におおむね相関することから、「ガスバリアー層の層厚方向におけるガスバリアー層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるガスバリアー層の表面からの距離を採用することができる。また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、エッチングイオン種としてアルゴン(Ar)を用いた希ガスイオンスパッタ法を採用し、そのエッチング速度(エッチングレート)を0.05nm/sec(SiO熱酸化膜換算値)とすることが好ましい。
また、本発明においては、膜面全体において均一で、かつ優れたガスバリアー性を有するガスバリアー層を形成するという観点から、ガスバリアー層が膜面方向(ガスバリアー層の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。本発明において、ガスバリアー層が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によりガスバリアー層の膜面の任意の2箇所の測定箇所について前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線及び前記酸素−炭素合計の分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が、互いに同じであるか若しくは5at%以内の差であることをいう。
本発明に係るガスバリアー性フィルムは、本発明で規定する前記要件(1)及び(2)を同時に満たすガスバリアー層を少なくとも1層備えることが好ましい態様であるが、そのような条件を満たす層を、2層以上を備えていてもよい。さらに、このようなガスバリアー層を2層以上備える場合には、複数のガスバリアー層の材質は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、このようなガスバリアー層を2層以上備える場合には、このようなガスバリアー層は前記基材の一方の表面上に形成されていてもよく、前記基材の両方の表面上に形成されていてもよい。また、このような複数のガスバリアー層としては、ガスバリアー性を必ずしも有しないガスバリアー層を含んでいてもよい。
また、前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線及び前記炭素分布曲線において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対するケイ素原子比率は、19〜40at%の範囲であることが好ましく、30〜40at%の範囲であることがより好ましい。また、前記ガスバリアー層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子比率は、33〜67at%の範囲であることが好ましく、41〜62at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記ガスバリアー層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子比率は、1〜19at%の範囲であることが好ましく、3〜19at%の範囲であることがより好ましい。
(3.4)ガスバリアー層の厚さ
本発明に係る真空蒸着法で形成されるガスバリアー層の厚さは、5〜1000nmの範囲内であることが好ましく、10〜1000nmの範囲内であることより好ましく、100〜1000nmの範囲内であることが特に好ましい。ガスバリアー層の厚さが前記範囲内であれば、酸素ガスバリアー性、水蒸気バリアー性等のガスバリアー性に優れ、屈曲によるガスバリアー性の低下がみられない。
ガスバリアー層の厚さの合計値が前記範囲内であると、所望の平面性を実現することができると共に、酸素ガスバリアー性、水蒸気バリアー性等のガスバリアー性が十分であり、屈曲によりガスバリアー性も低下しにくい傾向にある。
(3.5)ガスバリアー層の形成方法
本発明に係るガスバリアー層の形成方法としては、本発明で規定する元素プロファイルを実現することができる薄膜形成方法であれば特に制限はないが、緻密に元素分布が制御させたガスバリアー層を形成することができる観点からは、有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを用いて、磁場を印加したローラー間に放電空間を有する放電プラズマ化学気相成長法により形成する方法が好ましい。
より詳しくは、本発明に係るガスバリアー層は、磁場を印加したローラー間放電プラズマ処理装置を用い、樹脂基材を一対の成膜ローラーに巻き回し、一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電してプラズマ化学気相成長法により形成される層である。また、このように一対の成膜ローラー間に磁場を印加しながら放電する際には、一対の成膜ローラー間の極性を交互に反転させることが好ましい。更に、このようなプラズマ化学気相成長法に用いる成膜ガスとしては、有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを用い、その成膜ガス中の酸素ガスの含有量は、成膜ガス中の有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。また、本発明に係るガスバリアー性フィルムにおいては、ガスバリアー層が連続的な成膜プロセスにより形成された層であることが好ましい。
次に、本発明に係るガスバリアー層の具体的な形成方法について説明する。
本発明に適用可能な磁場を印加したローラー間放電プラズマ化学気相成長法(以下、磁場印加プラズマCVD法、あるいはローラーCVD法ともいう。)においては、プラズマを発生させる際に、複数の成膜ローラー間に磁場を印加しながら、形成した放電空間にプラズマ放電を発生させることが好ましく、本発明では一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラーのそれぞれに樹脂基材を巻き回して、当該一対の成膜ローラー間に、磁場を印加した状態で放電してプラズマを発生させることが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上に樹脂基材を巻き回して、かかる一対の成膜ローラー間にプラズマ放電することにより、樹脂基材と成膜ローラーとの間の距離が変化することによって、前記炭素原子比率が濃度勾配を有し、かつ層内で連続的に変化するようなガスバリアー層を形成することが可能となる。
また、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在する樹脂基材の表面部分を成膜しつつ、もう一方の成膜ローラー上に存在する樹脂基材の表面部分も同時に成膜することが可能となって効率よく薄膜を製造できるばかりか、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となり、効率よく上記要件(1)及び(2)を同時に満たすガスバリアー層を形成することが可能となる。
また、このようなプラズマ化学気相成長法によりガスバリアー層を形成する際に用いることが可能な装置としては、特に制限されないが、少なくとも一対の磁場を印加する装置を具備した成膜ローラーと、プラズマ電源とを備え、かつ一対の成膜ローラー間において放電することが可能な構成となっている装置であることが好ましく、例えば、図2に示す製造装置を用いた場合には、プラズマ化学気相成長法を利用しながらロールツーロール方式で、ガスバリアー性フィルムを製造することができる。
以下、図2を参照しながら、本発明に係るガスバリアー層の形成方法についてより詳細に説明する。なお、図2は、本発明に係るガスバリアー層の形成において好適に利用することができる磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。
図2に示す磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置(以下、プラズマCVD装置ともいう。)は、主には、送り出しローラー111と、搬送ローラー121、122、123及び124と、成膜ローラー131及び132と、成膜ガス供給管141と、プラズマ発生用電源151と、成膜ローラー131及び132の内部に設置された磁場発生装置161及び162と、巻取りローラー171とを備えている。また、このようなプラズマCVD製造装置においては、少なくとも成膜ローラー131及び132と、成膜ガス供給管141と、プラズマ発生用電源151と、磁場発生装置161及び162とが、図示を省略した真空チャンバー内に配置されている。更に、このようなプラズマCVD製造装置において、真空チャンバー(不図示)は、真空ポンプ(不図示)に接続されており、この真空ポンプにより真空チャンバー内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このようなプラズマCVD製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー131と成膜ローラー132)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源151に接続されている。一対の成膜ローラー(成膜ローラー131と成膜ローラー132)に、プラズマ発生用電源151より電力を供給することにより、成膜ローラー131と成膜ローラー132との間の空間に放電することが可能となり、これにより成膜ローラー131と成膜ローラー132との間の空間(放電空間ともいう。)にプラズマを発生させることができる。なお、このように、成膜ローラー131と成膜ローラー132を電極として利用することになるため、電極として利用可能な材質や設計を適宜変更すればよい。また、このようなプラズマCVD製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー131及び132)は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー(成膜ローラー131及び132)を配置することにより、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となる。
また、成膜ローラー131及び成膜ローラー132の内部には、成膜ローラーが回転しても回転しないようにして固定された磁場発生装置161及び162がそれぞれ設けられている。
さらに、成膜ローラー131及び成膜ローラー132としては、適宜公知のローラーを用いることができる。成膜ローラー131及び132としては、より効率よく薄膜を形成することができる観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、成膜ローラー131及び132の直径としては、放電条件、チャンバーのスペース等の観点から、直径が100〜1000mmφの範囲、特に100〜700mmφの範囲が好ましい。直径が100mmφ以上であれば、プラズマ放電空間が小さくなることがないため生産性の劣化もなく、短時間でプラズマ放電の全熱量がフィルムにかかることを回避でき、残留応力が大きくなりにくく好ましい。一方、直径が1000mmφ以下であれば、プラズマ放電空間の均一性等も含めて装置設計上、実用性を保持することができるため好ましい。
また、このようなプラズマCVD製造装置に用いる送り出しローラー111及び搬送ローラー121、122、123及び124としては、公知のローラーを適宜選択して用いることができる。また、巻取りローラー171としても、ガスバリアー層を形成した樹脂基材1を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
成膜ガス供給管141としては、原料ガス及び酸素ガスを所定の速度で供給又は排出することが可能なものを適宜用いることができる。さらに、プラズマ発生用電源151としては、従来公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源151は、これに接続された成膜ローラー131と成膜ローラー132に電力を供給して、これらを放電のための対向電極として利用することを可能とする。このようなプラズマ発生用電源151としては、より効率よくプラズマCVD法を実施することが可能となることから、一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源151としては、より効率よくプラズマCVD法を実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWの範囲とすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzの範囲とすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置161及び62としては、適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。
図2に示すようなプラズマCVD装置を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、磁場発生装置の強度、真空チャンバー内の圧力、成膜ローラーの直径、並びに、樹脂基材の搬送速度を適宜調整することにより、本発明に係るガスバリアー層を形成することができる。すなわち、図2に示すプラズマCVD装置を用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバー内に供給しつつ、一対の成膜ローラー(成膜ローラー131及び132)間に、磁場を発生させながらプラズマ放電を行うことにより、成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー131上の樹脂基材101の表面上並びに成膜ローラー132上の樹脂基材101の表面上に、本発明に係るガスバリアー層がプラズマCVD法により形成される。なお、このような成膜に際しては、樹脂基材101が送り出しローラー111や成膜ローラー131等により、それぞれ搬送されることにより、ロールツーロール方式の連続的な成膜プロセスにより樹脂基材101の表面上に前記ガスバリアー層が形成される。
〈3.5.1〉原料ガス
本発明に係るガスバリアー層の形成に用いる成膜ガスを構成する原料ガスは、少なくともケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。
本発明に適用可能な有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、成膜での取り扱い及び得られるガスバリアー層のガスバリアー性等の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記成膜ガスは、原料ガスの他に反応ガスとして、酸素ガスを含有することを特徴とする。酸素ガスは、前記原料ガスと反応して酸化物等の無機化合物となるガスである。
前記成膜ガスとしては、前記原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、前記成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガスや水素ガスを用いることができる。
このような成膜ガスが、ケイ素を含有する有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスを含有する場合、原料ガスと酸素ガスの比率としては、原料ガスと酸素ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる酸素ガスの量の比率よりも、酸素ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。酸素ガスの比率を過剰にし過ぎてしまうと、本発明で目的とするガスバリアー層が得られにくい。よって、所望したバリアー性フィルムとしての性能が得る上では、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下とすることが好ましい。
〈3.5.2〉真空度
真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5Pa〜100Paの範囲とすることが好ましい。
〈3.5.3〉ローラー成膜
図2に示すようなプラズマCVD装置等を用いたプラズマCVD法においては、成膜ローラー131及び132間に放電するために、プラズマ発生用電源151に接続された電極ドラム(図2においては、成膜ローラー131及び132に設置されている。)に印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるものであり一概にいえるものでないが、0.1〜10kWの範囲内とすることが好ましい。このような範囲の印加電力であれば、パーティクル(不正粒子)の発生も見られず、成膜時に発生する熱量も制御範囲内であるため、成膜時の基材表面温度の上昇による、樹脂基材の熱変形、熱による性能劣化や成膜時の皺の発生もない。また、熱で樹脂基材が溶けて、裸の成膜ローラー間に大電流の放電が発生することによる成膜ローラーに対する損傷等を防止することができる。
樹脂基材101の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲内とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲内とすることがより好ましい。ライン速度が前記範囲内であれば、樹脂基材の熱に起因する皺も発生し難く、形成されるガスバリアー層の厚さも十分に制御可能となる。
以上のようにして形成される本発明に係るガスバリアー層のXPSデプスプロファイルによる層の厚さ方向の各元素プロファイルの一例を図3に示す。
図3は、本発明に係るガスバリアー層のケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線の一例を示すグラフである。
図3において、符号A〜Dは、Aが炭素分布曲線、Bがケイ素分布曲線、Cが酸素分布曲線、Dが酸素炭素分布曲線を表す。図3に示すグラフであるように、本発明に係るガスバリアー層が、極値を有し、炭素原子比率の最大の極大値と最小の極大値との差が5at%以上であり、かつガスバリアー層の全層厚の90%以上の領域において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する各原子の平均原子比率が、前式(A)又は(B)で規定する序列の大小関係を満たしていることが分かる。
(ガスバリアー層の形成方法3:ポリシラザン改質法による形成)
本発明のガスバリアーフィルム1は、ポリシラザン改質法により、ガスバリアー層3を基材2上に直接設けること、あるいはアンカーコート層7を介して基材2上に設けることができる。
本発明におけるポリシラザン改質法とは、ポリシラザン化合物の一部又は大部分部を、改質処理により、酸化珪素又は酸化窒化珪素へ転化する処理をいう。
この改質処理は、本発明のガスバリアーフィルム1を作製するに際し、プラスチック基板への適応という観点から、より低温で、転化反応が可能な紫外光を適用した転化反応が好適に用いられる。
ポリシラザン改質法により形成するガスバリアー層3は、ポリシラザンを含む液体を塗布及び乾燥した後、真空紫外光を照射して改質処理を施すことにより形成されており、形成するガスバリアー層3としては、珪素酸化物を含有している。
〈ポリシラザン化合物を含む塗布液による塗布〉
本発明に係るポリシラザン化合物とは、珪素−窒素結合を有するポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
当該ポリシラザン化合物を含む塗布液を塗布する塗布方法としては、従来公知の適切な湿式塗布方法を採用することができる。具体例としては、スピンコート法、ローラーコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
本発明において、ガスバリアー層3の厚さは、目的に応じて適切に設定することができる。例えば、乾燥後の厚さとしては、1nm〜100μmの範囲内であることが好ましく、更に好ましくは10nm〜10μmの範囲内であり、最も好ましくは10nm〜1μmの範囲内である。
また、ポリシラザン化合物としては、基材2の性状を損なわないように塗布するため、比較的低温でセラミック化してシリカに変性する化合物が好ましく、例えば、特開平8−112879号公報に記載の下記一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有する化合物が好ましい。
Figure 0006094577
上記一般式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
本発明では、得られるガスバリアー膜としての緻密性の観点から、R、R、及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
また、そのSiと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンでは、メチル基等のアルキル基を有することにより、下地である基材2との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、膜厚(平均膜厚)をより厚くした場合でも、クラックの発生が抑えられる利点がある。そこで用途に応じて適宜、パーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と、6及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は、数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体又は固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。これらの化合物は、有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。
低温でセラミック化するポリシラザン化合物の他の例としては、上記一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有するポリシラザンに、珪素アルコキシドを反応させて得られる珪素アルコキシド付加ポリシラザン(例えば、特開平5−238827号公報参照。)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−122852号公報参照。)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−240208号公報参照。)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(例えば、特開平6−299118号公報参照。)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(例えば、特開平6−306329号公報参照。)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(例えば、特開平7−196986号公報参照。)等が挙げられる。
ポリシラザン化合物を含有するガスバリアー層形成用塗布液を調製する有機溶媒としては、ポリシラザン化合物と容易に反応するようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは好ましくない。従って、具体的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒や、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。詳しくは、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの有機溶媒は、ポリシラザンの溶解度や有機溶媒の蒸発速度等の特性にあわせて選択し、複数の有機溶媒を混合してもよい。
ポリシラザン化合物を含有するガスバリアー層形成用塗布液中におけるポリシラザン濃度は、目的とするポリシラザン改質層の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35質量%の範囲内であることが好ましい。
ポリシラザン化合物を含有するガスバリアー層形成用塗布液には、酸化珪素化合物への転化を促進するため、アミンや金属の触媒を添加することもできる。具体的には、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製のアクアミカ NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
本発明に用いるポリシラザン化合物を含有するガスバリアー層形成用塗布液により形成されたポリシラザン改質層(ガスバリアー層)は、改質処理前又は改質処理中に水分が除去されていることが好ましい。そのために、ポリシラザン改質層中の有機溶媒の除去を目的とする第一乾燥工程と、それに続くポリシラザン改質層中の水分の除去を目的とする第二乾燥工程とに分かれていてもよい。
第一乾燥工程においては、主に有機溶媒を取り除くため、乾燥条件を熱処理等の方法で適宜決めることができ、このときに水分が除去される条件であってもよい。熱処理温度は迅速処理の観点から高い温度であることが好ましいが、樹脂フィルムである基材2に対する熱ダメージを考慮し、温度と処理時間を適宜決定することが好ましい。例えば、基材2として、ガラス転位温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を用いる場合には、熱処理温度は150℃以下を設定することが好ましい。処理時間は溶媒が除去され、かつ基材2への熱ダメージが少なくなるように短時間に設定することが好ましく、熱処理温度が150℃以下であれば30分以内に設定することができる。
第二乾燥工程は、ポリシラザン改質層(ガスバリアー層3)の水分を取り除くための工程で、水分を除去する方法としては低湿度環境に維持して除湿する形態が好ましい。低湿度環境における湿度は温度により変化するので、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−8℃(温度25℃/湿度10%)以下、更に好ましい露点温度は−31℃(温度25℃/湿度1%)以下である。また、水分を取り除きやすくするため、減圧乾燥してもよい。減圧乾燥における圧力は常圧〜0.1MPaの範囲内で選ぶことができる。
第一乾燥工程の条件に対する第二乾燥工程の好ましい条件としては、例えば、第一乾燥工程として温度60〜150℃、処理時間1分〜30分間の範囲で溶媒を除去したときには、第二乾燥工程としては、露点は4℃以下で、処理時間は5分〜120分により水分を除去する条件を選ぶことができる。
本発明に係るポリシラザン改質層(ガスバリアー層3)は、第二乾燥工程により水分が取り除かれた後も、その状態を維持しながら改質処理を施すことが好ましい。
〈ポリシラザン層の改質処理及び真空紫外光照射処理〉
本発明におけるポリシラザン層の改質処理とは、ポリシラザン化合物の一部又は全部が、酸化珪素又は酸化窒化珪素への転化する反応をいう。
ガスバリアー層の形成に用いる改質処理は、ポリシラザン化合物の転化反応に基づく公知の方法を選ぶことができる。ポリシラザン化合物の置換反応による酸化珪素膜又は酸化窒化珪素膜の形成には、通常450℃以上の高温が必要であり、樹脂フィルムを基材2に用いたフレキシブル基板においては、その適応が難しい。従って、本発明のガスバリアーフィルムを作製するに際しては、プラスチック基板への適応という観点から、より低温で、転化反応が可能な真空紫外光を用いた転化反応が好ましい。
本発明に係るガスバリアーフィルム1の製造方法において、水分が取り除かれたポリシラザン塗膜に対して、紫外光照射による改質処理が施される。紫外線(紫外光と同義)によって生成されるオゾンや活性酸素原子は高い酸化能力を有しており、低温環境下で、高い緻密性と絶縁性を有する酸化珪素膜や酸化窒化珪素膜等を形成することが可能である。
この紫外光照射により、セラミックス化に寄与するOとHOや、紫外線吸収剤、ポリシラザン化合物自身が励起、活性化される。そして、励起したポリシラザン化合物のセラミックス化が促進され、得られるセラミックス膜が緻密になる。紫外光照射は、塗膜形成後であればいずれの時点で実施しても有効である。
本発明での真空紫外光の照射処理には、常用されているいずれの紫外線発生装置を使用することが可能である。なお、本発明でいう紫外光とは、一般には、真空紫外光とよばれる10〜200nmの範囲内に波長を有する電磁波を含む紫外光をいう。
真空紫外光の照射は、照射される改質前のポリシラザン層を担持している基材2がダメージを受けない範囲で、照射強度や照射時間を設定することが好ましい。
基材2としてプラスチックフィルムを用いた場合を例にとると、例えば、2kW(80W/cm×25cm)のランプを用い、基材表面の強度が20〜300mW/cm、好ましくは50〜200mW/cmの範囲内になるように、基材−紫外線照射ランプ間の距離を設定し、0.1秒〜10分間の範囲内で照射を行うことができる。
一般に、紫外線照射処理時の基材温度が150℃以上になると、プラスチックフィルム等の場合には、変形したりその強度が劣化したりするなど、基材2の特性が損なわれることになる。しかしながら、ポリイミド等の耐熱性の高いフィルムなどの場合には、より高温での改質処理が可能である。従って、この紫外線照射時の基材温度としては、一般的な上限はなく、基材2の種類によって当業者が適宜設定することができる。また、紫外線照射雰囲気に特に制限はなく、空気中で実施すればよい。
このような紫外線の発生手段としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマランプ、UV光レーザー等が挙げられるが、特に限定されない。また、発生させた紫外線を、改質前のポリシラザン層に照射する際には、効率向上と均一な照射を達成する観点から、発生源からの紫外線を反射板で反射させてから改質前のポリシラザン層に当てる方式が望ましい。
紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する基材2の形状によって適宜選定することができる。ポリシラザンの改質処理により形成するガスバリアー層3を有する基材2が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら上記のような紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することによりセラミックス化することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材2やガスバリアー層3の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜10分の範囲であり、好ましくは0.5秒〜3分の範囲である。
また、真空紫外光(VUV)を照射する際の、酸素濃度は300〜10000ppm(1%)の範囲内とすることが好ましく、更に好ましくは、500〜5000ppmの範囲内である。このような酸素濃度の範囲に調整することにより、酸素過多のガスバリアー層の生成を防止して、ガスバリアー性の劣化を防止することができる。真空紫外光(VUV)照射時には、これら酸素以外のガスとしては乾燥不活性ガスを用いることが好ましく、特に、経済性の観点からは乾燥窒素ガスにすることが好ましい。
酸素濃度の調整は、照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。具体的に、本発明に係る改質前のポリシラザン層の改質処理方法は、真空紫外光照射による処理である。真空紫外光照射による処理は、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、好ましくは100〜180nmの波長の光のエネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温で酸化珪素膜の形成を行う方法である。これに必要な真空紫外光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。
なお、Xe、Kr、Ar、Ne等の希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電等によりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は、他の原子と結合して分子を作ることができる。希ガスがキセノンの場合には、
e+Xe→e+Xe
Xe+Xe+Xe→Xe +Xe
となり、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに、172nmのエキシマ光(真空紫外光)を発光する。
エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を低く保つことができる。更には、始動及び再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯及び点滅が可能である。
エキシマ発光を得るには、誘電体バリアー放電を用いる方法が知られている。誘電体バリアー放電とは、両電極間に誘電体(エキシマランプの場合は透明石英)を介してガス空間を配し、電極に数10kHzの高周波高電圧を印加することによりガス空間に生じる、雷に似た非常に細いmicro dischargeと呼ばれる放電である。
また、効率よくエキシマ発光を得る方法としては、誘電体バリアー放電以外には、無電極電界放電も知られている。無電極電界放電とは、容量性結合による放電であり、別名RF放電とも呼ばれる。ランプと電極及びその配置は、基本的には誘電体バリアー放電と同じでよいが、両極間に印加される高周波は数MHzで点灯される。無電極電界放電は、このように空間的にまた時間的に一様な放電が得られる。
そして、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。また、有機物の結合を解離させる波長の短い172nmの光のエネルギーは、能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン膜の改質を実現できる。従って、波長185nm、254nmの紫外光を発する低圧水銀ランプやプラズマ洗浄と比べて、高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基板、樹脂フィルム等への照射を可能としている。
また、エキシマランプは、光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で単一波長のエネルギーを照射するため、照射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を有する。このため、熱の影響を受けやすいとされるポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムを基材2とするガスバリアーフィルムへの照射に適している。
本発明に係るガスバリアー層は、ポリシラザン化合物を含有するガスバリアー層形成用塗布液により形成されたポリシラザン膜に改質処理を施して形成したガスバリアー層が好ましく用いられる。基材上に形成されるガスバリアー層としては、蒸着法で形成されたガスバリアー層よりも、ポリシラザン化合物の改質処理により形成されたガスバリアー層は、表面の微細な凹凸を解消する効果がより大きく、その後の平滑層で平滑化する際の負荷を低減できる。
(複数層から構成されるガスバリアー層ユニット)
本発明に係るガスバリアー層の構成としては、上記説明した化学蒸着法により形成するガスバリアー層、あるいはポリシラザン改質法による形成するガスバリアー層であってもよいが、更に好ましい態様は、ガスバリアー層が少なくとも2層で構成され、基材側に位置する第1のガスバリアー層が、上記説明した炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有し、層厚方向に組成が連続的に変化し、前記要件(1)及び(2)を同時に満たす構成であガスバリアー層Bであり、最表層側に位置する第2のガスバリアー層が、ガスバリアー層B上に上記説明したポリシラザン含有塗布液を塗布したのち、改質処理を施して形成されたガスバリアー層であるハイブリッドガスバリアー層ユニットであることが好ましい。
〔平滑層〕
本発明のガスバリアーフィルムにおいては、上記説明したガスバリアー層3の表面に、平滑層4を有することを特徴とする。本発明においては、平滑層は、ウレタン結合を有する化合物を含有することを特徴とする。ウレタン結合を有する化合物、例えば、ポリオール化合物とイソシアネート基を有する化合物とを含有する平滑層形成用塗布液を、ガスバリアー層3上に塗布乾燥することにより、平滑層4を形成することが好ましい態様である。本発明のガスバリアーフィルム1においては、平滑層4は基材2の少なくとも一方の面上に形成されている。
平滑層4は、微小な突起等が存在するガスバリアー層3の粗表面を平坦化し、ガスバリアー層3表面の突起等によってガスバリアー層3上に成膜する、後述する下地層6や金属層5などに凹凸やピンホールが生じないようにするために設けられる。このような平滑層4を形成する化合物としては、ウレタン結合を有する化合物であることを特徴とし、例えば、ポリマー骨格中に少なくとも1つのウレタン結合を有する化合物などが好ましく用いられ、具体的には1分子中に少なくとも2つ以上のヒドロキシ基を有する公知のポリオール化合物と、1分子中にイソシアネート基を2つ以上有する公知の多官能イソシアネート化合物を用いて、ウレタン架橋した硬化樹脂であることが好ましい。この様な範囲にはイソシアネート化合物で架橋硬化したフェノキシ樹脂及びその共重合体や、ポリビニルアセタール樹脂も含まれる。
平滑層のもうひとつの目的は、無機性の高い金属酸化物等からなるガスバリアー層3と、後述の必要に応じて設ける下地層6との間の接着性を向上させ、高温環境や長期の時間経過後でも良好な層間密着性を維持させることができる。
更には、フレキシブルな樹脂基材で、ガスバリアー層3表面に平滑層4を積層することで、ロールtoロールで製造される場合の搬送や巻取り、あるいは、バリアーフィルムとして曲げたりする取り扱い時のガスバリアー層3の物理的破壊を抑制する効果が期待できる。
本発明に係る平滑層において、特に好ましく用いられる窒素原子を有する化合物として、ウレタン結合を有する化合物の例を下記に示す。
〈ポリオール化合物〉
本発明のガスバリアーフィルムにおいて、平滑層4の形成に用いられるポリオール化合物は、分子内にヒドロキシ基を2つ以上有するものであり、代表的なものとしては、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、ポリエステルポリオールとしては、日本ポリウレタン工業株式会社製のニッポラン NIPPOLLAN 121E、NIPPOLLAN 125P、NIPPOLLAN 133EP、NIPPOLLAN 139、NIPPOLLAN 179P、NIPPOLLAN 131、NIPPOLLAN 800、NIPPOLLAN 1100、NIPPOLLAN 4040、NIPPOLLAN 4009、NIPPOLLAN 4010、NIPPOLLAN 3027、NIPPOLLAN 164、NIPPOLLAN 4073、NIPPOLLAN 136、NIPPOLLAN 152、NIPPOLLAN 1004、NIPPOLLAN 141、NIPPOLLAN 4042等が挙げられる。
また、アクリルポリオールの例としては、東レ・ファインケミカル株式会社製のアクリルポリオール樹脂、例えば、コ−タックス LHシリーズのLH−455、LH−681、LH−404、LH−307、LH−649、LH−677、LH−591、LH−650、LH−629、LH−601、LH−633、LH−613、LH−408、LH−615、LH−635等が例示化合物として挙げられる。
また、ウレタンポリオールとしては、ジイソシアネート化合物とヒドロキシ基含有化合物から製造することができる。ジイソシアネート化合物としては、耐光黄変性の点から、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)などの脂肪族、脂環族、芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が好ましい。また、ヒドロキシ基含有化合物としては、低分子量のジオールやトリオール、マクロポリオールが耐候性、耐加水分解性、屈曲性の点から好ましい。
低分子量のジオールやトリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
前記マクロポリオールとしては、例えば、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール及びオキシアルキレンの共重合体などのポリエーテルポリオール;ジカルボン酸とグリコールとの重縮合物、ε−カプロラクトンの開環重合物などのポリエステルポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリオレフィンのポリオール誘導体などのポリオレフィンポリオール;エポキシポリオールなどが挙げられる。これらのなかでも、耐屈曲性、耐光黄変性の点から、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールが好ましい。なお、マクロポリオールの分子量としては、500〜5000の範囲、更には500〜2000の範囲のものが好ましい。
前記ポリウレタンポリオールは、主鎖にウレタン結合を有し、末端にヒドロキシ基を有する。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)及び/又は複素環式エーテル(テトラヒドロフラン等)を重合又は共重合して得られるもの、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−ポリプロピレングリコール(ブロツク又はランダム共重合体)、ポリエチレン−テトラメチレングリコール(ブロツク又はランダム共重合体)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリ−γ−バレロラクトンポリオール等や、更に、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール等の多価アルコールを開始剤とし、これにアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)を付加してなるもの等を挙げることができる。
本発明のガスバリアーフィルムを構成する平滑層においては、上記各化合物の中でもポリエステルポリオールがより好ましく用いられる。
〈イソシアネート基を有する化合物〉
本発明のガスバリアーフィルムにおいて、平滑層の形成に用いられるイソシアネート基を有する化合物としては、ポリイソシアネート類を用いることが好ましい。具体的には、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネートや、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。特に2官能以上のポリイソシアネートが好ましい。
具体的なポリイソシアネートとしては、例えば、TDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)等のイソシアネート基を有する日本ポリウレタン工業株式会社から販売されているコロネート、ミリオネートの各種の汎用タイプ、速乾タイプ、湿気硬化タイプ、無黄変タイプ、ブロックタイプ等を単独もしくは混合して用いる方法が挙げられる。
本発明に係る平滑層に用いられる、その他の窒素原子を有する化合物としては、例えば、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ナイロン、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂などのアミノ樹脂、アルキル基等で置換されたオルガノポリシラザン、アミノ基で変性された、エポキシ、ポリエステル、アクリル系樹脂などが挙げられる。
本発明に係る平滑層に窒素原子を有する化合物を含有させることにより、必要に応じて設ける隣接する下地層との相互作用で、層間密着性を安定化させることができ、各種デバイスに適用したときに、長期にわたって良好な導電性を維持できるガスバリアーフィルムとなる。
本発明に係る平滑層4を基材2の表面に形成する方法は、特に制限はないが、例えば、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウェットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
また、平滑層4を形成する際には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、形成した平滑層4への成膜性向上や、平滑層4に成膜された膜のピンホール発生防止等のため、適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。なお、樹脂を溶媒に溶解又は分散させた塗布液を用いて平滑層4を形成する際に使用する溶媒としては、イソシアネート基との反応性が低いものを用いることが好ましく、例えば、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類等を挙げることができる。
また、平滑層4の平滑性は、JIS B 0601で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、80nm以下であることが好ましい。Rtが80nm以下であれば、後述する金属層5あるいは必要に応じて設ける下地層6を積層した後に、それらの層の表面を平滑化することができる。
本発明においては、平滑層4の厚さとしては、好ましくは20〜500nmの範囲内であり、より好ましくは100〜300nmの範囲内である。平滑層4の厚さを20nm以上にすることにより、ガスバリアー層表面の凹凸を効率よく平坦化することができ、500nm以下にすることにより、ガスバリアーフィルムの光学特性のバランスを調整し易くなると共に、平滑層4をガスバリアーフィルムの一方の面にのみ設けた場合におけるそのガスバリアーフィルムのカールを抑え易くすることができるようになる。
〔下地層〕
本発明のガスバリアーフィルムにおいては、平滑層4と、後述する金属層5との間に、更に、下地層6を有することが特徴の一つである。
本発明に係る下地層6は、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物を含有することを特徴とする。窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物のうち、その上に形成する金属層5、例えば、銀(Ag)との間に、特定の関係を有する化合物を用いて構成された層であることが好ましい。
下地層の層厚は、5nm〜1μmの範囲内であることが好ましく、10〜500nmの範囲内であることがより好ましい。
(1)窒素原子を含有する化合物:一般式(2)、一般式(3)で表される化合物
下地層6を構成する窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物において、窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
更には、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物として好ましく用いられる化合物は、例えば、下記一般式(2)で表される化合物や、以降に示す一般式(3)で表される化合物が例示される。
本発明の透明ガスバリアーフィルム1において、本発明に係る下地層6には、これらの一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物を選択して用いることが好ましい。
Figure 0006094577
上記一般式(2)において、Y5は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E51〜E66、E71〜E88は、各々、C(R)又は窒素原子を表し、Rは水素原子又は置換基を表す。但し、E71〜E79の少なくとも1つ及びE80〜E88の少なくとも1つは、窒素原子を表す。n3及びn4は、各々0〜4の整数を表すが、n3+n4は2以上の整数である。
一般式(2)において、Y5で表されるアリーレン基としては、例えば、o−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジイル基、3,3′−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等が例示される。
また一般式(2)において、Y5で表されるヘテロアリーレン基としては、例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等が例示される。
Y5で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、ヘテロアリーレン基の中でも、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を含むことが好ましく、また、当該3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基としては、ジベンゾフラン環から導出される基又はジベンゾチオフェン環から導出される基が好ましい。
一般式(2)において、E51〜E66、E71〜E88で各々表されるC(R)におけるRで表される置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(2)において、E51〜E58のうちの6つ以上及びE59〜E66のうちの6つ以上が、各々C(R)で表されることが好ましい。
一般式(2)において、E75〜E79の少なくとも1つ及びE84〜E88の少なくとも1つが、窒素原子を表すことが好ましい。
更には、一般式(2)において、E75〜E79のいずれか1つ及びE84〜E88のいずれか1つが、窒素原子を表すことが好ましい。
また、一般式(2)において、E71〜E74及びE80〜E83が、各々C(R3)で表されることが好ましい態様として挙げられる。
更に、一般式(2)で表される化合物において、E53がC(R)で表され、かつRが連結部位を表すことが好ましく、更に、E61も同時にC(R)で表され、かつRが連結部位を表すことが好ましい。
更に、E75及びE84が各々窒素原子で表されることが好ましく、E71〜E74及びE80〜E83が、各々C(R)で表されることが好ましい。
また、下地層6を構成する化合物の他の例として下記一般式(3)で表される化合物が用いられる。
Figure 0006094577
上記一般式(3)において、T11及びT12のうちの少なくとも1つは窒素原子であり、T21〜T25のうちの少なくとも1つは窒素原子であり、T31〜T35のうちの少なくとも1つは窒素原子である。
また、一般式(3)において、Rは置換基を表す。Rで表される置換基の例としては、一般式(2)におけるRと同様のものが挙げられる。これらの置換基は、上記の置換基によって更に置換されていてもよい。
また、本発明に係る下地層には、上記説明した般式(2)又は一般式(3)で表される化合物のほかに、以下に説明する窒素原子及び硫黄原子から選択される少なくとも1種の原子を有する有機化合物を、適宜選択して含有することができる。
(2)窒素原子を有する低分子有機化合物
本発明において、窒素原子を有する低分子有機化合物とは、融点が80℃以上であり、分子量Mが150〜1200の範囲内である化合物であれば、特に制限されることなく使用することができるが、銀又は銀の合金との相互作用が大きい化合物であることが好ましく、例えば、含窒素複素環化合物、フェニル基置換アミン化合物等が挙げられる。
また、窒素原子を有する有機化合物は、有効非共有電子対含有率[n/M](窒素原子を有する有機化合物の分子量Mに対する有効非共有電子対の数nの割合)が、2.0×10−3以上となるように選択された化合物であり、3.9×10−3以上であることがより好ましい。
ここで、有効非共有電子対とは、化合物を構成する窒素原子が有する非共有電子対のうち、芳香族性に関与せず、かつ金属に配位していない非共有電子対であることとする。
ここでの芳香族性とは、π電子を持つ原子が環状に配列された不飽和環状構造をいい、いわゆる「ヒュッケル則」に従う芳香族性であって、環上のπ電子系に含まれる電子の数が「4n+2」(nは0以上の整数)個であることを条件としている。
以上のような有効非共有電子対は、その非共有電子対を備えた窒素原子自体が、芳香環を構成するヘテロ原子であるか否かに関わらず、窒素原子が有する非共有電子対が芳香族性と関与しているか否かによって選択される。例えば、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子であっても、その窒素原子が芳香族性に関与しない非共有電子対を有していれば、その非共有電子対は有効非共有電子対の一つとしてカウントされる。
これに対して、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子でない場合であっても、その窒素原子の非共有電子対の全てが芳香族性に関与していれば、その窒素原子の非共有電子対は有効非共有電子対としてカウントされることはない。
なお、各化合物において、有効非共有電子対の数nは、有効非共有電子対を有する窒素原子の数と一致する。
下地層が、複数の窒素原子を有する有機化合物を用いて構成されている場合、有効非共有電子対含有率[n/M]は、各化合物の混合比に基づき、混合化合物の分子量Mと有効非共有電子対の数nを算出し、この分子量Mに対しての有効非共有電子対の数nの割合を有効非共有電子対含有率[n/M]とし、この値が上述した所定範囲であることが好ましい。
以下に、下地層を構成する窒素原子を有する低分子有機化合物として、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]が2.0×10−3以上である例示化合物No.1〜45を示すが、特にこれに限定されるものではない。なお、例示化合物No.31の銅フタロシアニンにおいては、窒素原子が有する非共有電子対のうち、銅に配位していない窒素原子の非共有電子対が有効非共有電子対としてカウントされる。下記に例示する化合物には、前述の一般式(2)、一般式(3)で表される化合物を含む。
Figure 0006094577
Figure 0006094577
Figure 0006094577
Figure 0006094577
Figure 0006094577
Figure 0006094577
上記例示化合物No.1〜45について、有効非共有電子対の数n、分子量M及び有効非共有電子対含有率[n/M]を表1に示す。
Figure 0006094577
(3)窒素原子を有するポリマー
本発明においては、窒素原子を有する有機化合物として、ポリマーを用いることもできる。
窒素原子を有するポリマーは、重量平均分子量が1000〜1000000の範囲内であることが好ましい。
窒素原子を有するポリマーとしては、下記一般式(P1)で表される部分構造、又は下記一般式(P2)で表される部分構造を有するポリマーであることが好ましい。
Figure 0006094577
一般式(P1)中、Aは、2価の窒素原子含有基を表す。Yは、2価の有機基又は結合手を表す。n1は、重量平均分子量が1000〜1000000の範囲内となる繰り返し数を表す。
Figure 0006094577
一般式(P2)中、Aは、1価の窒素原子含有基を表す。n2は、1以上の整数を表す。n2は、銀との相互作用性の点から1〜3の整数であることが好ましく、合成容易性の点から1又は2であることがより好ましい。n2が2以上である場合、複数のAは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。A及びAは、2価の窒素原子含有基を表す。A及びAは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。n3及びn4は、それぞれ独立に、0又は1を表す。Yは、(n2+2)価の有機基を表す。n1は、重量平均分子量が1000〜1000000の範囲内となる繰り返し数を表す。
上記一般式(P1)又は(P2)で表される部分構造を有するポリマーは、上記一般式(P1)又は(P2)由来の単一の構成単位のみから構成される単独重合体(ホモポリマー)であってもよいし、上記一般式(P1)及び/又は(P2)由来の2種以上の構成単位のみから構成される共重合体(コポリマー)であってもよい。
また、上記一般式(P1)又は(P2)で示される構造単位に加えて、更に窒素原子含有基を有さない他の構造単位を有して共重合体を形成していてもよい。
窒素原子を有するポリマーが窒素原子含有基を有していない他の構造単位を有する場合、当該他の構造単位由来の単量体の含有量は、本発明に係る窒素原子を有するポリマーによる効果を損なわない程度であれば特に制限されないが、全構造単位由来の単量体中、好ましくは10〜75モル%の範囲内、より好ましくは20〜50モル%の範囲内である。
一般式(P1)又は(P2)で表される部分構造を有するポリマーの末端は、特に制限されず、使用される原料(単量体)の種類によって適宜規定されるが、通常、水素原子である。
一般式(P2)において、Aで表される1価の窒素原子含有基は、窒素原子を有する有機基であれば特に制限されない。そのような窒素原子含有基としては、例えば、アミノ基、ジチオカルバメート基、チオアミド基、シアノ基(−CN)、イソニトリル基(−N≡C)、イソシアナート基(−N=C=O)、チオイソシアナート基(−N=C=S)、又は置換若しくは無置換の含窒素芳香族環を含む基が挙げられる。
以下に、本発明に適用可能な窒素原子を有するポリマーを構成するモノマーの具体例(PN1〜41)を示すが、特にこれに限定されるものではない。なお、窒素原子を有するポリマーは、下記に示すモノマーを重量平均分子量が1000〜1000000となる範囲の繰り返し数で構成されている。
Figure 0006094577
Figure 0006094577
Figure 0006094577
Figure 0006094577
Figure 0006094577
本発明において、下地層に適用可能な窒素原子を有する低分子有機化合物及びポリマーは、公知、周知の方法で合成することができる。
(4)硫黄原子を有する有機化合物
本発明において、下地層に適用可能な硫黄原子を有する有機化合物としては、分子内に、スルフィド結合、ジスルフィド結合、メルカプト基、スルホン基、チオカルボニル結合等を有している。これらの中でも、スルフィド結合又はメルカプト基を有していることが好ましい。
硫黄原子を有する有機化合物としては、下記一般式(A)〜(D)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(A)
−S−R
一般式(A)において、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を表す。
一般式(B)
−S−S−R
一般式(B)において、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を表す。
一般式(C)
−S−H
一般式(C)において、Rは置換基を表す。
Figure 0006094577
一般式(D)において、Rは置換基を表す。
一般式(A)において、R及びRで表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す。)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えば、ジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基は、更にこれらの置換基によって置換されていてもよいし、互いに連結して環を形成していてもよい。
一般式(B)において、R及びRで表される置換基としては、一般式(A)において、R及びRで表される置換基と同様の置換基が挙げられる。
一般式(C)において、Rで表される置換基としては、一般式(A)において、R及びRで表される置換基と同様の置換基が挙げられる。
一般式(D)において、Rで表される置換基としては、一般式(A)において、R及びRで表される置換基と同様の置換基が挙げられる。
以下に、下地層を構成する硫黄原子を有する有機化合物の例示化合物(1−1)〜(4−1)を示すが、特にこれに限定されるものではない。
Figure 0006094577
Figure 0006094577
Figure 0006094577
Figure 0006094577
Figure 0006094577
(5)硫黄原子を有するポリマー
本発明においては、硫黄原子を有する有機化合物として、ポリマーを用いることもできる。
硫黄原子を有するポリマーは、重量平均分子量が1000〜1000000の範囲内であることが好ましい。
以下に、硫黄原子を有するポリマーを構成するモノマーの具体例(PS1〜14)を示すが、特にこれに限定されるものではない。
なお、硫黄原子を有するポリマーは、下記に示すモノマーを重量平均分子量が1000〜1000000となる範囲の繰り返し数で構成されている。また、括弧外に付記した数値は、それぞれのモノマー単位の構成比率(モル比、組成比ともいう。)を表している。
Figure 0006094577
上記したモノマー単位からなるポリマーの重量平均分子量を表2に示す。
Figure 0006094577
本発明に適用可能な硫黄原子を有する有機化合物及びポリマーは、公知、周知の方法で合成することができる。
なお、本発明に適用可能な窒素原子又は硫黄原子を有するポリマーの重量平均分子量は、室温(25℃)の環境下で、下記の測定条件にて測定を行った値である。
〈測定条件〉
装置:東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC
カラム:TOSOH TSKgel Super HM−M
検出器:RI及び/又はUV
溶出液流速:0.6ml/分
温度:30℃
試料濃度:0.1質量%
試料量:100μl
検量線:標準ポリスチレンにて作製(標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500までの13サンプルを用いて検量線(校正曲線ともいう。)を作成し、測定対象物の重量平均分子量の算出に使用した。ここで、サンプルに用いたポリスチレンの重量平均分子量は、ほぼ等間隔に設定した。)
(6)下地層の形成
下地層の形成方法としては、蒸着法、CVD法、塗布法(例えば、キャスト法、スピンコート法等)等の通常使用することができる方法が挙げられる。中でも、塗布法は、製造速度にも優れていることから好ましい。
塗布法による下地層の形成方法としては、例えば、本発明に係る有機化合物を適当な溶媒に溶解して溶液を調製し、この溶液を透明支持体上に塗布し、乾燥した後、加熱処理する方法がある。溶液中には、必要に応じて、他の添加物(界面活性剤、粘度調整剤、防腐剤等)を加えてもよい。
溶媒としては、有機化合物等を溶解できるものであれば特に制限されないが、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラフルオロプロパノール等のアルコールの水素原子がハロゲン原子で置換された含ハロゲンアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、アルコール、含ハロゲンアルコール、又はこれらの混合溶媒であることが好ましい。
この際の溶液中の有機化合物(他の添加物を含む。)の濃度(固形分濃度)は、特に制限されないが、0.005〜0.5質量%の範囲内であることが好ましい。
塗布法としては、特に制限はないが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ブレードコート法、ワイヤバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。さらには、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングすることもできる。
また、塗布後の加熱処理条件としては、下地層を形成できる条件であれば特に制限されないが、好ましくは室温(25℃)〜180℃の範囲内、より好ましくは60〜120℃の範囲内である。
また、加熱処理時間としては、好ましくは10秒〜10分の範囲内、より好ましくは30秒〜5分の範囲内である。
を用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
〔金属層〕
本発明のガスバリアーフィルムにおいては、図1の(a)に示すように、平滑層4上に金属層5を有することを特徴とする。通常、金属層を構成する金属として、例えば、銅、錫、鉛、アルミニウム、白金、パラジウム、イリジウム、金、亜鉛、ニッケル、チタン、ジルコニウム、銀又はそれらの合金、あるいはそれらの酸化物等が挙げられるが、本発明においては、金属層が、銀又は銀を主成分とした合金を用いて形成された層であることを特徴とする。
以下、本発明に係る銀又は銀を主成分とした合金を用いた金属層の詳細について説明する。
本発明に係る金属層5は、銀又は銀を主成分とした合金を用いて構成された層である。本発明に係る金属層5は、図1の(a)に示すように、平滑層4上に、あるいは図1の(b)及び(c)に示すように下地層6上に成膜される層である。
本発明に係る金属層5の成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などを適宜選択して形成することができる。上記成膜方法の中でも、蒸着法が好ましく適用される。また、金属層5は、平滑層4、あるいは下地層6上に成膜されることにより、成膜後の高温アニール処理等がなくても、十分な導電性を有することができるが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであっても良い。
金属層5を構成する銀(Ag)を主成分とする合金としては、例えば、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)などが挙げられる。
以上のような金属層5は、銀又は銀を主成分とした合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
更にこの金属層5は、膜厚が4〜12nmの範囲内にあることが好ましい。膜厚が12nm以下であれば、層の吸収成分又は反射成分を制御でき、透明ガスバリアーフィルムの高い透過性を維持することができる。
《電子デバイス:有機ELパネル》
上記説明した本発明のガスバリアーフィルムは、太陽電池、液晶表示素子、有機EL素子等の電子デバイスを封止する封止フィルムとして用いることができる。
以下、本発明のガスバリアーフィルムの代表的な適用例として、有機EL素子への適用について説明する。
〔有機EL素子〕
有機EL素子の一例として、ボトムエミッション型の有機電界発光素子について説明する。
(有機電界発光素子の構成)
図4は、本発明の電子デバイスの一例であり、本発明の透明ガスバリアーフィルムを適用した有機電界発光素子の一例を示す断面構成図である。
図4に示す有機電界発光素子は、透明基板2上に透明ガスバリアーフィルム1を設け、この上部に発光機能層10と対向電極16とをこの順に積層した構成である。
更に詳しく説明すると、図4に示す有機電界発光素子20は、透明基板2上に設けられており、透明基板2側から順に、ガスバリアー層3、平滑層4、下地層6、金属層5、発光機能層10、及び対向電極16が積層されている。
この有機電界発光素子20では、透明ガスバリアーフィルム1の金属層5がアノードとして用いられている。このような有機電界発光素子20は、少なくとも透明基板2側から発光光hを取り出すボトムエミッション型として構成されている。透明基板2としては、本発明の透明ガスバリアーフィルム1を構成する基材2として、光透過性を有する透明なものが選択して用いられる。
このような有機電界発光素子20の全体的な層構造は、限定されることはなく、一般的な層構造であって良い。図4に示す構成では、アノードとして機能する透明ガスバリアーフィルム1の金属層5の上部に、正孔注入層11/正孔輸送層12/発光層13/電子輸送層14/電子注入層15がこの順に積層され、更にこの上部にカソードとなる対向電極16が積層された構成が例示される。ただし、このうち少なくとも有機材料を用いて構成された発光層13を有することが必須の構成要件である。また、電子輸送層14は、電子注入層15を兼ねたもので、電子注入性を有する電子輸送層14として設けられていても良い。
なお、発光機能層10は、これらの層の他にも、必要に応じたさまざまな構成層が採用され、ここでの図示を省略したが、例えば、正孔阻止層や電子阻止層等が設けられても良い。
以上のような構成において、本発明の透明ガスバリアーフィルム1と対向電極16とで発光機能層13が挟持された部分が、有機電界発光素子20における発光領域となる。
また、本発明に係る有機電界発光素子20においては、アノードとして機能する金属層5上に、直接、発光機能層3が設けられる。
また以上のような層構成においては、アノードとして用いられる透明ガスバリアーフィルム1の金属層5における低抵抗化を図ることを目的とし、金属層5に接して補助電極17が設けられていても良い。
更に、発光機能層10の上方にカソードとして設けられる対向電極16は、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物、及びこれらの混合物等により構成される。具体的には、金(Au)等の金属、ヨウ化銅(CuI)、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体などが挙げられる。
以上のような対向電極16は、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜として形成することにより作製することができる。また、対向電極16としてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μmの範囲内であり、好ましくは5〜200nmの範囲内で選ばれる。
また、このようなボトムエミッション型の有機電界発光素子20を封止する封止材18としては、特に光透過性を有している必要はない。
封止材18は、有機電界発光素子20を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材であって、接着剤19によって透明基板2側に固定されるものであって、あるいは封止膜であっても良い。このような封止材18は、有機電界発光素子20における透明ガスバリアーフィルム1の金属層5及び対向電極16の端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光機能層3を覆う形態で設けられている。
板状(フィルム状)の封止材18としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられ、これらの基板材料を更に薄膜状フィルムにして用いても良い。ガラス基板としては、特に、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属基板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
なかでも、有機電界発光素子を薄膜化できるということから、封止材としてポリマー基板や金属基板を薄膜のフィルム状にしたものを好ましく使用することができる。
更には、フィルム状としたポリマー基板は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
また、以上のような基板材料は、凹板状に加工して封止材18として用いても良い。この場合、上述した基板部材に対してサンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
また、このような板状の封止材18を、透明ガスバリアーフィルム1、あるいは対向電極16側に固定するための接着剤19は、封止材18と透明基板2との間に挟持された有機電界発光素子20を封止するためのシール剤として用いられる。このような接着剤19は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、このような接着剤19としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機電界発光素子20を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着剤19は、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤19中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
接着部分への接着剤19の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明のガスバリアーフィルムを詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《ガスバリアーフィルムの作製》
〔ガスバリアーフィルム1の作製:本発明〕
(基材の作製)
両面に易接着加工を施した厚さが75μmのポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製、コスモシャインA4300)を支持体として用い、下記に示す方法に従って、裏面側(ガスバリアー層を形成する面とは反対側の面)にブリードアウト防止層、表面側(ガスバリアー層等の形成面)にアンカーコート層を形成して、基材を作製した。
〈ブリードアウト防止層の形成〉
上記支持体の裏面側に、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材であるOPSTAR Z7535を、塗布及び乾燥後の膜厚が4μmとなる条件でワイヤーバーを用いて塗布した後、80℃で3分間の乾燥を行った後、大気雰囲気下で高圧水銀ランプを使用し、1.0J/cmの硬化条件で塗膜を硬化して、ブリードアウト防止層を形成した。
〈アンカーコート層の形成〉
次いで、上記支持体の表面側に、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材であるOPSTAR Z7501を、塗布及び乾燥後の膜厚が4μmとなる条件でワイヤーバーを用いて塗布した後、80℃で3分間の乾燥を行った後、大気雰囲気下で高圧水銀ランプを使用して1.0J/cmの硬化条件で硬化して、アンカーコート層を形成した。
得られたアンカーコート層は、JIS B 0601で規定される表面粗さに準じて測定した結果、粗さ曲線における最大断面高さRt(p)は16nmであった。
(ガスバリアー層の形成)
次いで、パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液と、アミン触媒のN,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサンの10質量%ジブチルエーテル溶液を、99:1の割合で混合したガスバリアー層形成用塗布液を、ロッドの表面に一定の幅、深さを有する溝を一定ピッチで設けたワイヤレスバーを用いて、乾燥後の(平均)膜厚が、250nmとなる条件で、上記作製した基材のアンカーコート層上に塗布し、温度50℃、露点−5℃の乾燥空気で1分間乾燥した。次いで、温度95℃、露点−5℃の乾燥空気で2分間処理し、基材のアンカーコート層上にポリシラザン含有層を形成した。
〈ポリシラザン層の改質処理〉
上記形成したポリシラザン層表面に、下記装置及び改質条件で真空紫外光照射(エキシマ改質処理)を行い、ポリシラザン層を改質してガスバリアー層を形成した。
・改質処理装置
(株)エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
・改質処理条件
平均エキシマ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:95℃
照射装置内の酸素濃度:0.1%以下を維持
エキシマ光照射時のステージ搬送速度:10mm/秒
エキシマ光照射時のステージ搬送回数:試料表面へのエキシマ光露光量の積算量が5000mj/cmとなるように調整した。
(平滑層の形成)
上記形成したガスバリアー層上に、二液型ポリウレタン樹脂塗料(第1液:ワシンコート MP−6103A(固形分濃度40質量%の酸ノルマルブチル溶液)/トリレンジイソシアネート系変性イソシアネート樹脂(イソシアネート基を有する素材)、第2液:ワシンコート MP−6103B(固形分濃度30質量%のトルエン・メチルエチルケトン混合溶液)/変性ポリエステル樹脂(ポリオール))を混合し、塗布液としての固形分濃度が10質量%になるように、メチルエチルケトン:メチルイソブチルケトンの1:1の混合溶媒で希釈して、平滑層形成用塗布液を調製した。
この平滑層形成用塗布液を用いて、乾燥後の膜厚が200nmになる条件で、ワイヤーバーを用いて塗布した後、乾燥条件として80℃、3分間乾燥し、その後、40℃の環境下で48時間放置した。
得られた平滑層のJIS B 0601で規定される表面粗さに準じて測定した結果、粗さ曲線における最大断面高さRt(p)は20nm以下であった。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出し、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さとして求めた。
(下地層及び金属層の形成)
上記平滑層まで形成した基材を、真空蒸着装置の基材ホルダーに、蒸着領域がパターン状に形成するための蒸着マスクを対面させて固定した。次いで、下記に示す化合物Aをタンタル製抵抗加熱ボートに入れた。これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
この状態で、先ず、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、下記化合物Aの入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒で、平滑層上に膜厚25nmの下地層を設けた。
次に、下地層まで成膜した基材を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で銀から構成される膜厚5nmの金属層を形成し、ガスバリアーフィルム1を作製した。
Figure 0006094577
〔ガスバリアーフィルム2の作製:比較例〕
上記ガスバリアーフィルム1の作製において、平滑層の形成を除いた以外は同様にして、ガスバリアーフィルム2を作製した。
〔ガスバリアーフィルム3の作製:本発明〕
上記ガスバリアーフィルム1の作製において、下地層の形成を除いた以外は同様にして、ガスバリアーフィルム3を作製した。
〔ガスバリアーフィルム4の作製:比較例〕
上記ガスバリアーフィルム1の作製において、下地層及び金属層を、下記の方法に従って形成した透明導電膜(ITO膜)に変更した以外は同様にして、ガスバリアーフィルム4を作製した。
(透明導電膜(iTO膜)の形成)
プラズマ放電装置としては、電極対が平行平板型のものを用い、この電極間に、ガスバリアー層まで形成した基材を載置し、混合ガスを導入して薄膜形成を行った。なお、アース(接地)電極としては、200mm×200mm×2mmのステンレス板に高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させて封孔処理を行い、このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にしてRmaxが5μmとなるように加工した電極を用いた。また、印加電極としては、中空の角型の純チタンパイプに対し、アース電極と同様の条件にて誘電体を被覆した電極を用いた。印加電極は複数作製し、アース電極に対向した位置に複数個設けて放電空間を形成した。また、プラズマ発生に用いる電源は、パール工業(株)製の高周波電源CF−5000−13Mを用い、周波数13.56MHzで、5W/cmの電力を供給した。
上記電極間に、下記組成の混合ガスを流入して、プラズマ状態とし、上記基材を大気圧プラズマ処理し、ガスバリアー層上に錫ドープ酸化インジウム(ITO)膜を100nmの厚さで成膜し、ガスバリアーフィルム4を作製した。
〈混合ガス組成〉
放電ガス:ヘリウム 98.5体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:インジウムアセチルアセトナート 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
〔ガスバリアーフィルム5の作製:本発明〕
上記ガスバリアーフィルム1の作製において、ガスバリアー層の形成方法を、下記の方法に変更した以外は同様にして、ガスバリアーフィルム5を作製した。
(ガスバリアー層の形成)
プラズマ放電処理ユニット(特開2008−56967号公報の図3に記載されているロールtoロール方式の大気圧プラズマ放電処理装置)を用いて、大気圧プラズマ法により、以下の条件で3層構成の蒸着法によるガスバリアー層(蒸着層)を形成した。
第1から第3の蒸着層は、それぞれ金属酸化物(酸化珪素)を含有しており、第1から第3の蒸着層の厚さは、それぞれ100nm、30nm、30nmで、合計160nmであった。
〈第1蒸着層の形成〉
ガス組成;
放電ガス :Nガス
反応ガス1:水素ガスを全ガスに対し1%
反応ガス2:TEOS(テトラエトキシシラン)を全ガスに対し0.5%
成膜条件;
第1電極側 電源種類 応用電機製 80kHz
周波数 80kHz
出力密度 8W/cm
電極温度 115℃
第2電極側 電源種類 パール工業製 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm
電極温度 95℃
〈第2蒸着層の形成〉
ガス組成;
放電ガス :Nガス
反応ガス1:酸素ガスを全ガスに対し5%
反応ガス2:TEOSを全ガスに対し0.1%
成膜条件;
第1電極側 電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 10W/cm
電極温度 120℃
第2電極側 電源種類 パール工業製 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm
電極温度 95℃
〈第3蒸着層の形成〉
ガス組成;
放電ガス :Nガス
反応ガス1:水素ガスを全ガスに対し1%
反応ガス2:TEOSを全ガスに対し0.5%
成膜条件;
第1電極側 電源種類 応用電機製 80kHz
周波数 80kHz
出力密度 8W/cm
電極温度 120℃
第2電極側 電源種類 パール工業製 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm
電極温度 100℃
上記作製したガスバリアーフィルム4において、平滑層まで積層した後のJIS B 0601で規定される表面粗さに準じて測定した結果、粗さ曲線における最大断面高さRt(p)は60nm以下であった。
〔ガスバリアーフィルム6の作製:本発明〕
上記ガスバリアーフィルム1の作製において、平滑層の形成方法を、下記の方法に変更した以外は同様にして、ガスバリアーフィルム6を作製した。
(平滑層の形成)
上記基材に形成したガスバリアー層上に、アミノ基置換シランカップリング剤である3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−903)をブタノールで固形分濃度が10質量%になるように希釈して調製した平滑層形成用塗布液を用いて、乾燥後の膜厚が0.2μmになるようにスピンコーターで塗布した後、乾燥条件として80℃で3分間乾燥し、その後、40℃の環境下で48時間放置して、平滑層を形成した。
得られた平滑層のJIS B 0601で規定される表面粗さに準じて測定した結果、粗さ曲線における最大断面高さRt(p)として30nm以下であった。
〔ガスバリアーフィルム7の作製:本発明〕
上記ガスバリアーフィルム1の作製において、平滑層の形成方法を、下記の方法に変更した以外は同様にして、ガスバリアーフィルム7を作製した。
(平滑層の形成)
上記基材に形成したガスバリアー層上に、エポキシ基変性シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−403)を、ブタノールで固形分濃度が10質量%になるように希釈して調製した平滑層形成用塗布液を用いて、乾燥後の膜厚が0.2μmになるようにスピンコーターで塗布した後、乾燥条件として80℃で3分間乾燥し、その後、40℃の環境下で48時間放置して、平滑層を形成した。
得られた平滑層のJIS B 0601で規定される表面粗さに準じて測定した結果、粗さ曲線における最大断面高さRt(p)は40nm以下であった。
〔ガスバリアーフィルム8の作製:本発明〕
上記ガスバリアーフィルム1の作製において、平滑層の形成方法を、下記の方法に変更した以外は同様にして、ガスバリアーフィルム8を作製した。
(平滑層の形成)
上記基材に形成したガスバリアー層上に、ポリエステル樹脂(バイロン200 東洋紡績(株)製)の脱水メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン=1/1の10質量%溶液を用い、これを平滑層形成用塗布液とし、乾燥後の膜厚が0.2μmになるようにスピンコーターで塗布した後、乾燥条件として80℃で3分間乾燥し、その後、40℃の環境下で48時間放置して、平滑層を形成した。
得られた平滑層のJIS B 0601で規定される表面粗さに準じて測定した結果、粗さ曲線における最大断面高さRt(p)は40nm以下であった。
〔ガスバリアーフィルム9〜15の作製:本発明〕
上記ガスバリアーフィルム1の作製において、形成する平滑層の厚さを、表1に記載の厚さに変更した以外は同様にして、ガスバリアーフィルム9〜15を作製した。
〔ガスバリアーフィルム16の作製:本発明〕
上記ガスバリアーフィルム1の作製において、金属層の形成で用いる金属を、銀に代えて、銅を用いた以外は同様にして、ガスバリアーフィルム16を作製した。
〔ガスバリアーフィルム17の作製:本発明〕
ガスバリアーフィルム1の作製において、ガスバリアー層の形成及び下地層の形成を、下記の方法に変更した以外は同様にして、ガスバリアーフィルム17を作製した。
(ガスバリアー層の形成)
次いで下記の方法に従って、磁場印加方式のプラズマCVD法を用いて、ガスバリアー層を形成した。
図2に記載の磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置を用い、樹脂基材のアンカー層を形成した面とは反対側の面が成膜ローラーと接触するようにして、樹脂基材を装置に装着し、下記の成膜条件(プラズマCVD条件)により、アンカー層上にガスバリアー層を、厚さが300nmとなる条件で成膜した。
〈プラズマCVD条件〉
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン、HMDSO)の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:2m/min
〈元素分布プロファイルの測定〉
上記形成したガスバリアー層について、下記条件にてXPSデプスプロファイル測定を行い、層厚方向の薄膜層の表面からの距離における、ケイ素元素分布、酸素元素分布、炭素元素分布及び酸素炭素分布を得た。
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチングレート(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名「VG Theta Probe」
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びそのサイズ:800×400μmの楕円形
以上のようにして測定した全層領域におけるケイ素元素分布、酸素元素分布、炭素元素分布及び酸素炭素分布より、各元素組成における連続変化領域の有無、極値の有無、炭素の原子比率の最大値と最小値の差、全層厚の90%以上の領域において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の平均原子比率を求めた。
その結果、図3に示すように、組成における連続変化領域及び極値が有り、炭素の原子比率の最大値と最小値の差が16at%で、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の平均原子比率が、全層厚の90%以上の領域で、式(A)で規定する関係、すなわち(炭素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(酸素平均原子比率)の関係を満たしていることを確認した。
(下地層の形成)
ガスバリアーフィルム1の作製に記載の下地層の形成において、下地層形成材料として、化合物Aに代えて、例示化合物NO.44を用いた以外は同様にして、下地層を形成した。
〔ガスバリアーフィルム18の作製:本発明〕
ガスバリアーフィルム17の作製において、ガスバリアー層の形成及び下地層の形成を、下記の方法に変更した以外は同様にして、ガスバリアーフィルム18を作製した。
(ガスバリアー層の形成)
上記ガスバリアーフィルム17と同様のガスバリアー層(磁場印加方式のプラズマCVD法)を第1のガスバリアー層を形成した後、その上に、上記ガスバリアーフィルム1と同様のガスバリアー層(ポリシラザン/エキシマ改質処理)を第2のガスバリアー層として積層した。
(下地層の形成)
ガスバリアーフィルム1の作製に記載の下地層の形成において、下地層形成材料として、化合物Aに代えて、例示化合物NO.45を用いた以外は同様にして、下地層を形成した。
《ガスバリアーフィルムの評価》
以上のように作製したガスバリアーフィルム1〜18について、下記の性能評価を行った。
ガスバリアーフィルムの性能評価は、水蒸気バリアー性(作製直後の水蒸気透過率と折り曲げ処理後の水蒸気透過率の測定)と、ガスバリアーフィルムを用いて有機EL素子を作製し、ガスバリアーフィルムに起因する有機EL素子の発光ムラ耐性(ダークスポット耐性)の評価を行った。
〔ガスバリアーフィルムの水蒸気バリアー性の評価〕
(作製直後の水蒸気透過度の測定)
以下の測定方法に従って、各ガスバリアーフィルムの水蒸気バリアー性(水蒸気透過度;WVTR)を測定した。
〈測定装置〉
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
〈水蒸気バリアー性評価用セルの作製〉
真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE−400)を用い、ガスバリアーフィルム1〜16のガスバリアー層(蒸着層、ポリシラザン改質層)面に金属カルシウムを蒸着させた。その後、乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製)を介して金属カルシウム蒸着面を対面させて接着し、紫外線を照射することで、評価用セルを作製した。
得られた試料(評価用セル)を40℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐食量からセル内に透過した水分量を計算した。
なお、ガスバリアーフィルム面以外からの水蒸気の透過がないことを確認するために、比較試料としてガスバリアーフィルム試料の代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した試料を、同様な40℃、90%RHの高温高湿下保存を行い、10000時間経過後でも金属カルシウム腐食が発生しないことを確認した。
こうして測定された各ガスバリアーフィルムの水分量を下記の5段階に分類し、水蒸気バリアー性を評価した。
5:水分量が、1×10−5g/m/day未満
4:水分量が、1×10−5g/m/day以上、1×10−4g/m/day未満
3:水分量が、1×10−4g/m/day以上、1×10−3g/m/day未満
2:水分量が、1×10−3g/m/day以上、1×10−2g/m/day未満
1:水分量が、1×10−2g/m/day以上
(折り曲げ処理後の水蒸気透過度の測定:折り曲げ耐性の評価)
各ガスバリアーフィルムを、5mmの曲率半径になるように、ガスバリアー層形成面を外側にして100回の屈曲を繰り返した後、上記と同様の方法で水蒸気透過度を測定し、屈曲処理前後での水蒸気透過度の変化より、下式に従って水蒸気透過度の劣化率を測定し、下記の基準に従って折り曲げ耐性を評価した。
水蒸気透過度の劣化度=〔(屈曲試験後の水蒸気透過度−屈曲試験前の水蒸気透過度)/屈曲試験前の水蒸気透過度)〕×100(%)
この水蒸気透過度の劣化度について、下記の5段階に分類して評価した。
5:水蒸気透過度の劣化度が、5%未満である
4:水蒸気透過度の劣化度が、5%以上、15%未満である
3:水蒸気透過度の劣化度が、15%以上、50%未満である
2:水蒸気透過度の劣化度が、50%以上、90%未満である
1:水蒸気透過度の劣化度が、90%以上である
《有機EL素子への適用及び評価》
上記ガスバリアーフィルムの評価で作製した屈曲処理を施していない未処理のガスバリアーフィルム1A〜18Aと、屈曲処理を施したガスバリアーフィルム1B〜18Bを用いて、下記の方法に従って、図5に記載の構成からなる有機EL素子1A〜18A(ガスバリアーフィルム未屈曲処理)及び有機EL素子1B〜18B(ガスバリアーフィルム屈曲処理有)を作製し、ガスバリアーフィルムに起因する有機EL素子の発光斑(ダークスポット耐性)について評価した。
〔有機EL素子の作製〕
図5に記載の構成からなる有機EL素子を作製した。
上記作製したガスバリアーフィルム1A〜18A及び試料1B〜18Bを100mm×80mmに断裁してガスバリアーフィルム基板(1)とし、これにパターニングを行った後、この金属層を有するガスバリアーフィルム基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥した。
このガスバリアーフィルム基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにα−NPDを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにホスト化合物としてCBPを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにバソキュプロイン(BCP)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにIr−1を100mg入れ、更に別のモリブデン製抵抗加熱ボートにAlqを200mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
Figure 0006094577
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に、中央に位置する様に80mm×60mmの面積で蒸着し、正孔輸送層を設けた。更にCBPとIr−1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.2nm/秒、0.012nm/秒で前記正孔輸送層上に共蒸着して発光層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。更にBCPの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層の上に蒸着して膜厚10nmの正孔阻止層を設けた。その上に、更にAlqの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記正孔阻止層の上に蒸着して、更に膜厚40nmの電子輸送層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
引き続き、フッ化リチウム0.5nm及びアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、それぞれ透明導電膜付の試料1A〜18A及び試料1B〜18Bを用いた有機EL素子1A〜18A(ガスバリアーフィルム未屈曲処理)及び有機EL素子1B〜18B(ガスバリアーフィルム屈曲処理有)を作製した。
(有機EL素子の封止)
窒素ガス(不活性ガス)によりパージされた環境下で、上記作製した有機EL素子1A〜18A及び有機EL素子1B〜18Bのアルミニウム蒸着面と、厚さ100μmのアルミ箔を対面させる様にして、ナガセケムテックス社製エポキシ系接着剤を介して、基材端部の4辺をそれぞれ10mm幅で接着させて封止を行った。
〔有機EL素子の評価〕
(ダークスポット耐性の評価)
封止された有機EL素子1A〜18A及び有機EL素子1B〜18Bを、40℃、90%RHの環境下で通電を行い、ダークスポットの発生や発光ムラの状況を0日から120日までの変化を観察し、下記の基準に従って、ダークスポット耐性の評価を行った。
5:0日目でダークスポットや輝度ムラは観察されない。120日経過後に非発光領域が全発光面積の0.1%未満であり、発生したダークスポットは全て目視では容易に観察できない大きさ(0.1mm以下)であった。
4:0日目で発生したダークスポットは、全て目視では容易に観察できない大きさ(0.1mm以下)であり、また輝度ムラは観察されない。120日経過後に非発光領域が全発光面積の0.1%以上、2.0%未満であり、発生したダークスポットは目視では容易に観察できない大きさ(0.1mm以下)を維持した。
3:0日目に目視で判別可能な輝度ムラが観察されず、発生したダークスポットは全て目視では容易に観察できない大きさ(0.1mm以下)であった。120日経過後に非発光領域が全発光面積の2.0%以上、10%未満であった。
2:0日目に目視で判別可能な輝度ムラやダークスポットが観察され、120日経過後にダークスポットの総非発光領域が、全発光面積の2.0%以上、10%未満であった。
1:0日目に目視で判別可能なダークスポットや輝度ムラの非発光領域が全発光面積の1.0%を超えて観察され、120日以内に非発光領域が全発光面積の10%を超えた。
以上により得られたガスバリアーフィルムの評価及び有機EL素子に適用した際の評価結果を、表1に示す。
Figure 0006094577
に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる透明ガスバリアーフィルムは、比較例に対し、水蒸気バリアー性及び耐久性(折り曲げ耐性)に優れていることがわかる。更に、この透明ガスバリアーフィルムを適用した電子デバイス(有機EL素子)は、比較例に対し、ダークスポット耐性、耐久性(折り曲げ耐性)に優れ、輝度ムラの発生が低減していることがわかる。
本発明の透明ガスバリアーフィルムは、高いガスバリアー性能を有するとともに、耐久性(折り曲げ耐性)に優れた特性を備え、有機EL素子の様な各種電子デバイスのガスバリアー性及び耐久性(ダークスポット耐性)に優れた基板として好適に利用できる。
1 ガスバリアーフィルム
2 基材
3 ガスバリアー層
4 平滑層
5 金属層
6 下地層
7 アンカーコート層
8 ブリードアウト防止層
10 発光機能層
11 正孔注入層
12 正孔輸送層
13 発光層
14 電子輸送層
15 電子注入層
16 対向電極
17 補助電極
18 封止材
19 接着剤
20 電子デバイス(有機EL素子)

Claims (12)

  1. 基材上に、少なくとも、ガスバリアー層、平滑層及び金属層をこの順で有し、前記金属層が、銀又は銀を主成分とした合金を用いて形成された層であり、前記平滑層と、金属層との間に、更に、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物を含有した下地層を有し、かつ前記平滑層がウレタン結合を有する化合物を含有することを特徴とする透明ガスバリアーフィルム。
  2. 前記窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の透明ガスバリアーフィルム。
    Figure 0006094577
    〔式中、Y は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E 51 〜E 66 、E 71 〜E 88 は、各々、C(R )または窒素原子を表し、R は水素原子または置換基を表す。但し、E 1〜E 79 の少なくとも1つ及びE 80 〜E 88 の少なくとも1つは、窒素原子を表す。n3及びn4は、各々0〜4の整数を表すが、n3+n4は2以上の整数である。〕
  3. 前記ガスバリアー層が、ポリシラザン改質層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明ガスバリアーフィルム。
  4. 前記ガスバリアー層が、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有し、層厚方向に組成が連続的に変化し、下記(1)及び(2)で規定する要件を満たす構成のガスバリアー層Bであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明ガスバリアーフィルム。
    (1)前記ガスバリアー層BについてのX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、当該ガスバリアー層Bの層厚方向における前記ガスバリアー層Bの表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する炭素原子の量の比率(「炭素原子比率(at%)」という。)との関係を示す炭素分布曲線において、2つ以上の極値を有し、前記炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が3.0at%以上である。
    (2)前記ガスバリアー層Bの全層厚の90%以上の領域において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する各原子の平均原子比率が、下記式(A)又は(B)で表される序列の大小関係を有する。
    式(A)
    (炭素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(酸素平均原子比率)
    式(B)
    (酸素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(炭素平均原子比率)
  5. 前記ガスバリアー層が少なくとも2層で構成され、基材側に位置する第1のガスバリアー層が前記ガスバリアー層Bであり、最表層側に位置する第2のガスバリアー層が、前記ガスバリアー層B上に形成されたポリシラザン改質層であることを特徴とする請求項4に記載の透明ガスバリアーフィルム。
  6. 前記平滑層の厚さが、20〜500nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の透明ガスバリアーフィルム。
  7. 基材上に、少なくとも、ガスバリアー層、平滑層及び金属層をこの順で設ける透明ガスバリアーフィルムの製造方法であって、前記金属層が、銀又は銀を主成分とした合金を用いて形成された層であり、前記平滑層と、金属層との間に、更に、窒素原子をヘテロ原子した複素環を有する化合物を含有した下地層を設け、かつ前記平滑層がウレタン結合を有する化合物を含有することを特徴とする透明ガスバリアーフィルムの製造方法
  8. 前記ガスバリアー層を、基材上にポリシラザン含有塗布液を塗布したのち、改質処理を施して形成することを特徴とする請求項7に記載の透明ガスバリアーフィルムの製造方法。
  9. 前記ガスバリアー層は、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有し、層厚方向に組成が連続的に変化させ、下記(1)及び(2)で規定する要件を満たす構成のガスバリアー層Bとすることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の透明ガスバリアーフィルムの製造方法。
    (1)前記ガスバリアー層BについてのX線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、当該ガスバリアー層Bの層厚方向における前記ガスバリアー層Bの表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する炭素原子の量の比率(「炭素原子比率(at%)」という。)との関係を示す炭素分布曲線において、2つ以上の極値を有し、前記炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が3.0at%以上とする。
    (2)前記ガスバリアー層Bの全層厚の90%以上の領域において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する各原子の平均原子比率が、下記式(A)又は(B)で表される序列の大小関係を有する。
    式(A)
    (炭素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(酸素平均原子比率)
    式(B)
    (酸素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(炭素平均原子比率)
  10. 前記ガスバリアー層を少なくとも2層で形成し、基材側に位置する第1のガスバリアー層を前記ガスバリアー層Bとし、最表層側に位置する第2のガスバリアー層を、前記ガスバリアー層B上にポリシラザン含有塗布液を塗布したのち、改質処理を施して形成することを特徴とする請求項9に記載の透明ガスバリアーフィルムの製造方法。
  11. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の透明ガスバリアーフィルムを具備することを特徴とする電子デバイス
  12. 前記電子デバイスが、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項11に記載の電子デバイス。
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