JP6095497B2 - セルロースナノファイバーを含む樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
(A)天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して得られたセルロースナノファイバーと、分散媒と、アクリル酸系モノマー又はメタクリル酸系モノマーとの混合物を得る工程、
(B)前記混合物から分散媒を除去してゲル状体を得る工程、及び
(C)前記ゲル状体中のアクリル酸系モノマー又はメタクリル酸系モノマーを重合反応に付す工程、を有するセルロースナノファイバーを含む樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
(A)天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して得られたセルロースナノファイバーと、分散媒と、アクリル酸系モノマー又はメタクリル酸系モノマーとの混合物を得る工程。
(B)前記混合物から分散媒を除去してゲル状体を得る工程。
(C)前記ゲル状体中のアクリル酸系モノマー又はメタクリル酸系モノマーを重合反応に付す工程。
以下、それぞれの工程について説明する。
固形分濃度0.0001質量%のセルロースナノファイバー水分散液を調製し、該分散液を、マイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料とし、原子間力顕微鏡(NanoNaVi II, SPA400,エスアイアイナノテクノロジー(株)製、プローブは同社製のSI−DF40Alを使用)を用いて、該観察試料中のセルロースナノファイバーの繊維高さを測定する。そして、セルロースナノファイバーが確認できる顕微鏡画像において、セルロースナノファイバーを5本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。一般に高等植物から調製されるセルロースナノファイバーの最小単位は6本×6本の分子鎖がほぼ正方形の形でパッキングされていることから、AFMによる画像で分析できる高さを繊維の幅と見なすことができる。
乾燥質量0.5gのセルロースナノファイバーを100mlビーカーにとり、イオン交換水を加えて全体で55mlとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加えて分散液を調製し、セルロースナノファイバーが十分に分散するまで該分散液を攪拌する。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(AUT−50、東亜ディーケーケー(株)製)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度及びpHの値を測定する。pH11になるまで測定を続け、電導度曲線を得る。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により、セルロースナノファイバーのカルボキシル基含有量を算出する。
カルボキシル基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.05M)/セルロースナノファイバーの質量(0.5g)
具体例として以下の炭化水素基が挙げられる。
・炭素数1の炭化水素基:メチル基。
・炭素数2〜30の飽和の、直鎖状の炭化水素基:エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、オクタコサニル基。
・炭素数2〜30の不飽和の、直鎖状の炭化水素基:オレイル基、ミリストレイル基、パルミトレイル基、リノレイル基、リノレニル基、エイコサニル基。
・炭素数2〜30の飽和の、分岐状の炭化水素基:イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、イソへキシル基、2−ヘキシル基、ジメチルブチル基、エチルブチル基。
炭化水素基の結合量(mmol/g)=炭化水素基導入前のセルロースナノファイバーのカルボキシル基含有量(mmol/g)−炭化水素基導入後のセルロースナノファイバー複合体のカルボキシル基含有量(mmol/g)
乾燥質量0.5gのセルロースナノファイバー複合体を100mLビーカーにとり、イオン交換水又はメタノール/水=2/1の混合溶媒を加えて全体で55mLとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mLを加えて分散液を調製し、セルロースナノファイバー複合体が十分に分散するまで該分散液を攪拌する。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−50」)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度及びpHの値を測定し、pH11になるまで測定を続け、電導度曲線を得る。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により、セルロースナノファイバー複合体のカルボキシル基含有量を算出する。
セルロースナノファイバー複合体のカルボキシル基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.05M)/セルロースナノファイバー複合体の質量(0.5g)
炭化水素基の結合量(mmol/g)=反応に供するアミン化合物又は第4級アンモニウム化合物質量(g)/アミン化合物又は第4級アンモニウム化合物の分子量(g/mol)/ 反応に供するセルロースナノファイバー質量(g)×103
乾燥質量0.5gのセルロースナノファイバー複合体を100mLビーカーにとり、イオン交換水又はメタノール/水=2/1の混合溶媒を加えて全体で55mLとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mLを加えて分散液を調製し、セルロースナノファイバー複合体が十分に分散するまで該分散液を攪拌する。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−50」)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度及びpHの値を測定し、pH11になるまで測定を続け、電導度曲線を得る。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により、セルロースナノファイバー複合体のカルボキシル基含有量を算出する。
セルロースナノファイバー複合体のカルボキシル基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.05M)/セルロースナノファイバー複合体の質量(0.5g)
<1>
セルロースナノファイバーと、アクリル樹脂又はメタクリル樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法であって、
(A)天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して得られたセルロースナノファイバーと、分散媒と、アクリル酸系モノマー又はメタクリル酸系モノマーとの混合物を得る工程、
(B)前記混合物から分散媒を除去してゲル状体を得る工程、及び
(C)前記ゲル状体中のアクリル酸系モノマー又はメタクリル酸系モノマーを重合反応に付す工程、を有するセルロースナノファイバーを含む樹脂組成物の製造方法。
前記セルロースナノファイバーからセルロースナノファイバー複合体を得た後に、該セルロースナノファイバー複合体と、前記分散媒と、前記アクリル酸系モノマー又は前記メタクリル酸系モノマーとの混合物を得る<1>に記載の製造方法。
<3>
前記セルロースナノファイバーに、アミド結合を介して炭化水素基を結合させて、前記セルロースナノファイバー複合体を得る<2>に記載の製造方法。
<4>
前記セルロースナノファイバーに、イオン結合を介して炭化水素基を結合させて、前記セルロースナノファイバー複合体を得る<2>に記載の製造方法。
<5>
前記アクリル酸系モノマー又は前記メタクリル酸系モノマーの蒸気圧は、前記分散媒の蒸気圧よりも小さい<1>ないし<4>のいずれか1に記載の製造方法。
<6>
前記アクリル酸系モノマー又は前記メタクリル酸系モノマーの20℃における蒸気圧(mmHg、20℃)をP1、分散媒の20℃における蒸気圧(mmHg、20℃)をP2とした場合、P1/P2が、好ましくは0.001〜0.9、更に好ましくは0.001〜0.5である<1>ないし<5>のいずれか1に記載の製造方法。
前記分散媒として水を用いる<1>ないし<6>のいずれか1に記載の製造方法。
<8>
前記分散媒として有機溶媒を用いる<1>ないし<6>のいずれか1に記載の製造方法。
<9>
得られる樹脂組成物に占める前記セルロースナノファイバーの割合を、0.1質量%以上50質量%以下とする<1>ないし<8>のいずれか1に記載の製造方法。
<10>
前記重合反応としてラジカル重合反応を用い、
前記(A)ないし(C)のいずれかの工程において熱重合開始剤又は活性エネルギー線重合開始剤を添加する<1>ないし<9>のいずれか1に記載の製造方法。
<11>
前記(C)の工程の直前に、前記熱重合開始剤又は前記活性エネルギー線重合開始剤を添加する<1>ないし<10>のいずれか1に記載の製造方法。
<12>
前記分散媒にイソプロパノールを用いた場合、炭素数が10〜14の飽和直鎖状の炭化水素基がアミド結合又はイオン結合を介して結合したセルロースナノファイバー複合体を用いる<1>ないし<11>のいずれか1に記載の製造方法。
(1)セルロースナノファイバーの製造
針葉樹の漂白クラフトパルプ(製造会社:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名「Machenzie」、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(製造会社:ALDRICH、Free radical、98%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(製造会社:和光純薬工業(株))を用いた。臭化ナトリウムとしては、市販品(製造会社:和光純薬工業(株))を用いた。まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、パルプ質量100gに対し、TEMPO1.25%、臭化ナトリウム12.5%、次亜塩素酸ナトリウム28.4%をこの順で添加した。pHスタットを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持し、酸化反応を行った。酸化を120分行った後に滴下を停止し、カルボキシル基含有セルロース繊維を得た。イオン交換水を用いてカルボキシル基含有セルロース繊維を十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、得られたカルボキシル基含有セルロース繊維100gをイオン交換水9900gに分散させ、高圧ホモジナイザー(HJP−25005、(株)スギノマシン製)を用いて、吐出圧力245MPaの条件で2回処理を行った。その操作によって繊維の微細化処理を行い、セルロースナノファイバーの分散液を得た。分散液の固形分濃度は1.0%であった。このセルロースナノファイバーの平均繊維径は3.3nmであり、カルボキシル基含有量は1.2mmol/gであった。
(1)で得られたセルロースナノファイバー分散液100質量部(セルロースナノファイバーとして1部、分散媒としてのイオン交換水99部)に対して、メタクリル酸系モノマーとしての2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA、和光純薬工業(株))を混合して混合物を得た。混合の割合は、以下の表1に示すとおりとした。
(2)で得られた混合物30gをPFA(フッ素樹脂)製のシャーレ(直径75mm)に注ぎ、その後イオン交換水を除去してゲル状体を調製した。イオン交換水の除去は、シャーレを23℃50%RH環境下に7日間静置して、イオン交換水を揮発させることで行った。得られたゲル状体に含まれるイオン交換水の割合は5%以下になっていた。
熱重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN、シグマアルドリッチ社)のメタノール溶液(3.6%)を調製し、シャーレに入った状態の(3)で得られたゲル状体に満遍なく注ぎ、次いでAIBNの浸透とメタノールの乾燥のために23℃50%RH環境下に2時間静置した。その後、該ゲル状体をシャーレから取り出し、剥離フィルム(X−44B#50、三井化学東セロ(株)製)で挟み、更にガラス板で挟んだ状態で、窒素パージされた恒温槽に入れ、60℃、24時間加熱することでラジカル重合を行った。熱重合開始剤の配合量(モノマー質量に対する割合)は,表1に示すとおりになるようにした。このようにして、セルロースナノファイバーを含むメタクリル樹脂組成物を得た。
以下の表1に示す条件を採用する以外は実施例1と同様にして、セルロースナノファイバーを含むメタクリル樹脂組成物を得た。
実施例1で用いたメタクリル酸系モノマーに代えて、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート(分子量480、シグマアルドリッチ社)を用いた。また実施例1で用いた熱重合開始剤に代えて、活性エネルギー線重合開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(東京化成工業(株))を用いた。更に実施例1で行った加熱に代えて、紫外線(UV)の照射を行い、ラジカル重合を行った。ラジカル重合はゲル状体に対して約50mmの距離に波長365nmの光源を配置し、放射照度が約500mW/cm2となる状態で、3分間紫外線を照射することで行った。これら以外は実施例1と同様にして、セルロースナノファイバーを含むアクリル樹脂組成物を得た。
以下の表1に示す条件を採用する以外は実施例5と同様にして、セルロースナノファイバーを含むアクリル樹脂組成物を得た。
本比較例は、実施例1において、セルロースナノファイバー及び分散媒を用いなかった例である。それ以外は実施例1と同様にしてメタクリル樹脂を得た。
本比較例は、実施例5において、ゲル状体を調製しなかった例である。詳細には、実施例1と同様にして得られたセルロースナノファイバー分散液10gをPFA(フッ素樹脂)製のシャーレ(直径75mm)に注ぎ、自然乾燥することで、坪量0.1g/m2のキャストフィルムを製造した。このキャストフィルムをポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート及び2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン混合液中に浸漬して、該キャストフィルムにポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレートを含浸させた。この含浸シートについて、表1に示す条件でラジカル重合を行い、セルロースナノファイバーを含むメタクリル樹脂組成物を得た。なおキャストフィルムと重合後の樹脂組成物と質量変化から、セルロースナノファイバー含有率を算出した。
本比較例は、実施例5において、セルロースナノファイバー及び分散媒を用いなかった例である。それ以外は実施例5と同様にしてアクリル樹脂を得た。
本実施例は、酸型のカルボキシル基を有する酸型セルロースナノファイバーを用いた例である。詳細には、以下の操作を行った。
(1)酸型セルロースナノファイバーの製造
実施例1で得られた1.0質量%セルロースナノファイバー分散液1000gにイオン交換水を1000g加えて、0.5質量%のセルロースナノファイバー分散液とした。該分散液に1M塩酸水溶液を加えて、pHを2に調整し、120分間攪拌した後、ガラスろ過器を用いて該分散液を吸引ろ過した。次いで、ろ紙上に形成されたセルロースナノファイバーのマット上に、0.01M塩酸800gを加えて、再度吸引ろ過を行った。0.01M塩酸による吸引ろ過の処理を2回繰り返した後、同様にイオン交換水800gを加えて吸引ろ過を行った。イオン交換水による吸引ろ過の処理を2回繰り返すことで、酸型のカルボキシル基を有する、酸型セルロースナノファイバーが製造された。カルボキシル基の状態はFTIR等の分析によって確認できる。
(1)で得られた酸型セルロースナノファイバー10gと分散媒としてのジメチルホルムアミド(DMF、和光純薬工業(株))1990gを混合し、高圧ホモジナイザー(NM2−2000AR−D10−S、吉田機械興業(株)製)を用いて、吐出圧力200MPaの条件で2回処理を行った。このようにして酸型セルロースナノファイバー分散液を得た。分散液の固形分濃度は0.5%であった。
(2)で得られた混合物30gをPFA(フッ素樹脂)製のシャーレ(直径75mm)に注ぎ、その後DMFを除去してゲル状体を調製した。DMFの除去は、シャーレを23℃50%RH環境下に7日間静置して、DMFを揮発させることで行った。得られたゲル状体に含まれるDMFの割合は5%以下になっていた。
活性エネルギー線重合開始剤としての2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンのメタノール溶液(3.6%)を調製し、シャーレに入った状態の(3)で得られたゲル状体に満遍なく注ぎ、次いで2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンの浸透とメタノールを乾燥するために23℃50%RH環境下に2時間静置した。その後、該ゲル状体をシャーレから取り出し、剥離フィルム(X−44B#50、三井化学東セロ(株)製)で挟み、更にガラス板で挟んだ状態で、紫外線の照射を行い、ラジカル重合を行った。ラジカル重合はゲル状体に対して約50mmの距離に波長365nmの光源を配置し、放射照度が約500mW/cmとなる状態で、3分間紫外線を照射することで行った。このようにして、酸型セルロースナノファイバーを含む樹脂組成物を得た。
本実施例は、セルロースナノファイバーに、イオン結合を介して炭化水素基を結合させてなるセルロースナノファイバー複合体を用いた例である。詳細には、以下の操作を行った。
(1)セルロースナノファイバー複合体の製造
実施例9で得られた酸型セルロースナノファイバー10gにイオン交換水とイソプロピルアルコール(IPA、和光純薬工業(株))の混合溶媒(混合比50:50)2000gを加えた。次いでアミン化合物としてデシルアミン(和光純薬工業(株))0.19gを加えて、60分間攪拌した後、イオン交換水を4000g加えた。この処理によって発生するセルロースナノファイバー複合体の凝集物を、ガラスろ過器を用いて吸引ろ過した。次いで、ろ紙上に形成されたセルロースナノファイバーのマット上に、IPA400gを加えて、再度吸引ろ過を行った。IPAによる吸引ろ過の処理を3回繰り返すことで、炭素数10の炭化水素基がイオン結合を介して結合してなるセルロースナノファイバー複合体が製造された。
(1)で得られたセルロースナノファイバー複合体10gと分散媒としてのIPA1990gを混合し、高圧ホモジナイザー(NM2−2000AR−D10−S、吉田機械興業(株)製)を用いて、吐出圧力200MPaの条件で2回処理を行った。このようにしてセルロースナノファイバー複合体分散液を得た。分散液の固形分濃度は0.5%であった。
(2)で得られた混合物30gをPFA(フッ素樹脂)製のシャーレ(直径75mm)に注ぎ、その後IPAを除去してゲル状体を調製した。IPAの除去は、シャーレを23℃50%RH環境下に7日間静置して、IPAを揮発させることで行った。得られたゲル状体に含まれるIPAの割合は5%以下になっていた。
(3)で得られたゲル状体に、実施例9と同様にしてラジカル重合を行った。活性エネルギー線重合開始剤の使用量は表2に示すとおりとした。このようにして、セルロースナノファイバー複合体を含む樹脂組成物を得た。
実施例10において、アミン化合物として、ドデシルアミン(和光純薬工業(株))0.22gを用いた。これ以外は実施例10と同様にして、セルロースナノファイバー複合体を含む樹脂組成物を得た。
実施例10において、アミン化合物として、オクタデシルアミン(和光純薬工業(株))0.32gを用いた。これら以外は実施例10と同様にして、セルロースナノファイバー複合体を含む樹脂組成物を得た。
本実施例は、セルロースナノファイバーに、アミド結合を介して炭化水素基を結合させてなるセルロースナノファイバー複合体を用いた例である。詳細には、以下の操作を行った。
(1)セルロースナノファイバー複合体の製造
ビーカーに実施例1で用いたセルロースナノファイバー分散液1000gにイオン交換水1000gを加え0.5質量%の分散液とし、メカニカルスターラーにて室温下、3時間攪拌した。続いて1M塩酸水溶液を加えてpH2に調整し、2時間攪拌した。その後、アセトンで再沈し、ろ過、その後、アセトン/イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸及び塩を除去した。最後にアセトンを加えろ過し、アセトンにセルロースナノファイバーが膨潤した状態のアセトン含有酸型セルロースナノファイバーを得た。
(1)で得られたセルロースナノファイバー複合体10gと分散媒としてのジメチルホルムアミド(DMF)1990gを混合し、高圧ホモジナイザー(NM2−2000AR−D10−S、吉田機械興業(株)製)を用いて、吐出圧力200MPaの条件で2回処理を行った。このようにしてセルロースナノファイバー複合体分散液を得た。分散液の固形分濃度は0.5%であった。
(2)で得られた混合物30gをPFA(フッ素樹脂)製のシャーレ(直径75mm)に注ぎ、その後DMFを除去してゲル状体を調製した。DMFの除去は、シャーレを23℃50%RH環境下に7日間静置して、DMFを揮発させることで行った。得られたゲル状体に含まれるDMFの割合は5%以下になっていた。
(3)で得られたゲル状体に、実施例9と同様にしてラジカル重合を行った。活性エネルギー線重合開始剤の使用量は表2に示すとおりとした。このようにして、セルロースナノファイバー複合体を含む樹脂組成物を得た。
本比較例は、実施例9において、セルロースナノファイバー及び分散媒を用いなかった例である。それ以外は実施例9と同様にして樹脂を得た。
本比較例は、背景技術の項で述べた特許文献3に記載の方法に対応するものである。本比較例では分散媒を用いておらず、ゲル状体を調製していない。詳細には、実施例10で用いたセルロースナノファイバー複合体と、表2に示すモノマーとを、同表に示す割合で混合した。混合によって得られた混合物に、同表に示す活性エネルギー線重合開始剤としての2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンを添加し、次いで該ゲル状体に、実施例10と同様の条件で紫外線の照射を行い、ラジカル重合を行った。活性エネルギー線重合開始剤の使用量は同表に示すとおりとした。このようにして、セルロースナノファイバー複合体を含む樹脂組成物を得た。
各実施例及び各比較例で得られた樹脂組成物及び樹脂について、以下に述べる方法で全光線透過率、線熱膨張係数及び耐熱性を測定した。その結果を以下の表1及び表2に示す。また樹脂組成物について、それに含まれるセルロースナノファイバー又はセルロースナノファイバー複合体の割合を以下の表1及び2に示す。
全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠して測定する。これらの測定にはヘイズメーター(NDH5000、日本電色工業(株)製)を用いた。また表1,2に記載の全光線透過率は厚みが0.1mmの値として補正している。補正については、以下の式で導入される。補正後の透過率をT(%)、補正前の実測の透過率をT1(%)、実測の厚みa(mm)とする。
T=100×10[log(T1/100)/ 10a]
線熱膨張係数は熱機械的分析装置TMA/SS6100(セイコーインスツルメンツ(株)製)の引張モードを用いて測定した。0℃から300℃まで昇温速度5℃/分、荷重7mN、窒素雰囲気下で昇温し、20℃から200℃までのサンプル伸びから線熱膨張係数を算出した。
粘弾性測定装置EXSTAR TMA6100(エスアイアイナノテクノロジー(株)製)の引張モードを用いて、樹脂組成物の粘弾性を測定した。測定条件は以下のとおりである。
・温度範囲:−20〜300℃
・昇温速度:2℃/分
・周波数:1Hz
・窒素雰囲気下
この測定により、各温度における貯蔵弾性率の値が測定される。20℃での貯蔵弾性率をA、200℃での貯蔵弾性率をBとしたとき、耐熱性は以下の式で定義した。
耐熱性=B/A
一般に貯蔵弾性率は温度と共に低下していくため、A>Bとなり、耐熱性は1以下の値を示す。AからBの低下が少ないほど、耐熱性は1に近い値を示す。この値が1に近いほど熱に対する強度安定性が高いことを意味する。
Claims (8)
- セルロースナノファイバーと、アクリル樹脂又はメタクリル樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法であって、
(A)天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して得られたセルロースナノファイバーと、分散媒と、アクリル酸系モノマー又はメタクリル酸系モノマーとの混合物を得る工程、
(B)前記混合物から分散媒を除去してゲル状体を得る工程、及び
(C)前記ゲル状体中のアクリル酸系モノマー又はメタクリル酸系モノマーを重合反応に付す工程、を有するセルロースナノファイバーを含む樹脂組成物の製造方法。 - 前記セルロースナノファイバーからセルロースナノファイバー複合体を得た後に、該セルロースナノファイバー複合体と、前記分散媒と、前記アクリル酸系モノマー又は前記メタクリル酸系モノマーとの混合物を得る請求項1に記載の製造方法。
- 前記セルロースナノファイバーに、アミド結合を介して炭化水素基を結合させて、前記セルロースナノファイバー複合体を得る請求項2に記載の製造方法。
- 前記セルロースナノファイバーに、イオン結合を介して炭化水素基を結合させて、前記セルロースナノファイバー複合体を得る請求項2に記載の製造方法。
- 前記分散媒として水を用いる請求項1ないし4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記分散媒として有機溶媒を用いる請求項1ないし4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 得られる樹脂組成物に占める前記セルロースナノファイバーの割合を、0.1質量%以上50質量%以下とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記重合反応としてラジカル重合反応を用い、
前記(A)ないし(C)のいずれかの工程において熱重合開始剤又は活性エネルギー線重合開始剤を添加する請求項1ないし7のいずれか一項に記載の製造方法。
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