図18は、試料にテラヘルツ波を照射した際の反射波を示す図である。図18(a)は、各層からの反射波を概念的に示した図であり、図18(b)は、各層からの反射波が合成された波形を示す図である。試料30には、例えば3層構造の多層膜32が形成されている。第1層目の膜31aは、例えば導電性プライマ層である。第2層目の膜31bは、例えばメタリックベース層である。第3層目の膜31cは、例えばクリア層である。このような試料3にテラヘルツ波を照射した場合、テラヘルツ波検出器23には、4つの界面からの反射波が到達する。十分に短いテラヘルツ波を照射するため、第3層目の膜31cの表面における反射波77aのパルス幅は十分に短くなる。また、第3層目の膜31cと第2層目の膜31bとの界面における反射波77bのパルス幅も十分に短くなる。しかし、第2層目の膜31bはメタリックベース層であり、メタリックベース層には導電性を有する粒子である導電性粒子、より具体的には金属粒子が含まれている。導電性粒子が含まれているため、第2層目の膜31bにおいては、テラヘルツ波の散乱や吸収が生じ、テラヘルツ波のパルス幅が広がってしまう。このため、第2層目の膜31bと第1層目の膜31aとの界面における反射波77cのパルス幅は大きくなってしまう。また、第1層目の膜31aには、パルス幅が広がったテラヘルツ波が入射されるため、第1層目の膜31aと基材30との界面における反射波77dのパルス幅も大きくなってしまう。テラヘルツ波検出器23においては、これらの反射波77a〜77dが合成された波形77が検出されることとなるが、図18(b)から分かるように、反射波77cによるピークと反射波77dによるピークとを区別するのは困難である。従って、多層膜32中にテラヘルツ波の散乱や吸収を生じさせるような膜31bが存在している場合には、当該膜31bやその下側に位置する膜31aの膜厚を正確に計測することが困難である。
本願発明者は鋭意検討した結果、以下のような発明を想到するに至った。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は本実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下で説明する図面において、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
[一実施形態]
一実施形態による膜厚測定装置及び膜厚測定方法について図面を用いて説明する。図1は、一実施形態による膜厚測定装置のブロック図である。
なお、本実施形態では、安定性や堅牢性を確保すべく、主として光ファイバを用いて各構成要素を光学的に結合する場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。例えば、バルク光学系を用いて各構成要素を光学的に結合させるようにしてもよい。
本実施形態による膜厚測定装置1は、試料3にテラヘルツ波を照射するとともに試料3からの反射波を検出する光学装置2を有している。光学装置2は、レーザ発振器10、分波器11、変調器12、光学遅延部13、テラヘルツ波発生器19、プリズム21、及び、テラヘルツ波検出器23を有している。更に、本実施形態による膜厚測定装置1は、試料3からの反射波の検出信号を増幅するアンプ4と、アンプ4により増幅された検出信号を同期増幅するロックインアンプ5と、膜厚測定装置1全体の制御を司る制御装置(制御部)6とを有している。
レーザ発振器10から出射されるレーザ光は、分波器11によって2つのレーザ光に分岐される。分波器11によって分岐された一方のレーザ光は、ポンプ光として用いられる。かかるポンプ光は、変調器12によって変調され、光学遅延部13を経て、テラヘルツ波発生器19に入射される。テラヘルツ波発生器19から発せられるテラヘルツ波は、プリズム21を介して試料3に照射され、試料3からの反射波がテラヘルツ波検出器23に入射する。一方、分波器11によって分波された他方のレーザ光は、プローブ光として用いられる。かかるプローブ光は、テラヘルツ波検出器23に入射される。テラヘルツ波検出器23は、プローブ光のタイミングにおいて、試料3からの反射波を検出する。テラヘルツ波検出器23により検出された信号は、アンプ4により増幅され、更にロックインアンプ5により同期増幅される。ロックインアンプ5によって同期増幅された信号は、測定データとして制御装置6に入力される。制御装置6は、ロックインアンプ5からの測定データを解析し、膜厚を判定することが可能である。
光学装置2は、レーザ発振器10、分波器11、変調器12、光学遅延部13、パルス幅伸張器14、励起用光源15、光ファイバ増幅器16、及び、パルス圧縮器17を有している。更に、光学装置2は、テラヘルツ波発生器19、偏光板20、プリズム21、偏光板22、及び、テラヘルツ波検出器23を有している。テラヘルツ波発生器19、偏光板20、プリズム21、偏光板22、及び、テラヘルツ波検出器23は、収容部(容器、筐体、ケーシング、ヘッド)29内に配されている。更に、光学装置2は、光路長調整用の光ファイバ24、励起用光源25、光ファイバ増幅器26、及び、圧縮器27を有している。なお、偏光板20及び偏光板22は、それぞれテラヘルツ波用の1/2波長板等に置き換えることもできる。
光学装置2は、レーザ発振器10とテラヘルツ波発生器19とを用いてパルス状のテラヘルツ波、即ち、テラヘルツパルスを発生させる。レーザ発振器10としては、例えば、受動モード同期ファイバレーザ等を用いることができる。ファイバレーザは、増幅媒質として光ファイバを用いた固体レーザである。レーザ発振器10において増幅媒質として用いられる光ファイバとしては、例えばエルビウム(Er)イオンが添加された光ファイバを用いることができる。Erイオンが添加された光ファイバを増幅媒質として用いたレーザ発振器10から出力されるレーザ光は、テラヘルツ波発生器19内に設けられている非線形結晶における位相整合条件を満たしやすく、また、光ファイバ内を伝搬しやすい。従って、ここでは、Erイオンが添加された光ファイバをレーザ発振器10の増幅媒質として用いている。レーザ発振器10から出力されるレーザ光の中心波長は、例えば1.56μm程度とする。レーザ発振器10から出力されるレーザ光のパルス幅は、例えば1psより小さいことが好ましい。ここでは、レーザ発振器10から出力されるレーザ光のパルス幅を、例えば400fs程度とする。また、レーザ発振器10から出力されるレーザ光の平均パワーは、例えば40mW程度とする。また、レーザ発振器10から出力されるレーザ光の繰り返し周波数は、例えば50MHzとする。
なお、レーザ発振器10において増幅媒質として用いられる光ファイバとしては、Erイオンが添加された光ファイバに限定されるものではない。レーザ発振器10における増幅媒質として、例えば、イッテルビウム(Yb)イオンやツリウム(Tm)イオンが添加された光ファイバを用いてもよい。また、レーザ発振器10は、ファイバレーザに限定されるものではない。例えば、増幅媒質として、Ti:サファイア結晶のバルクや、Yb:YAG結晶のバルク等を用いたレーザ発振器10を用いてもよい。
レーザ発振器10の後段には、分波器(BS:Beam Splitter)11が配されている。レーザ発振器10から出力されるレーザ光は、光ファイバ48内を伝搬し、分波器11に入力されるようになっている。光ファイバ48としては、例えば偏波保持光ファイバを用いることができる。分波器11は、入力されるレーザ光を2つのレーザ光に分岐して出力する。分波器11により分岐された2つのレーザ光のうちの一方は、テラヘルツ波の発生用、即ち、ポンプ光として用いられる。分波器11により分岐された2つのレーザ光のうちの他方は、テラヘルツ波の検出用、即ち、プローブ光として用いられる。
分波器11により分岐された2つのレーザ光のうちの一方であるポンプ光は、光ファイバ49内を伝搬し、変調器12に入力される。光ファイバ49としては、例えば偏波保持光ファイバを用いることができる。変調器12としては、例えば音響光学変調器(AOM:Acousto-Optic Modulator)等を用いることができる。変調器12には、変調信号が入力されるようになっている。変調信号としては、例えば、100kHz程度の矩形波を用いることができる。なお、変調信号は、これに限定されるものではなく、適宜設定し得る。変調器12に入力されるポンプ光は、変調器12において強度変調される。変調器12からは、例えば100kHz程度に強度変調されたポンプ光が出力される。なお、変調器12を用いてポンプ光を強度変調するのは、テラヘルツ波検出器23から出力される微弱な電気信号をロックインアンプ5によりロックイン検出(同期検出)するためである。従って、ロックイン検出を用いない場合には、変調器12を設けなくてもよい。
なお、ここでは、ポンプ光を強度変調する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、テラヘルツ波発生器19から出力されるテラヘルツ波に対して強度変調を行うようにしてもよい。また、ここでは、変調器12としてAOMを用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、光チョッパやMEMSミラー等の機械的な手段を用いてポンプ光の強度変調を行うことも可能である。
変調器12の後段には、光学遅延部(遅延ライン)13が配されている。変調器12から出力されるポンプ光は、光ファイバ50内を伝搬し、コリメートレンズ33によりコリメートされ、光学遅延部13に入力されようになっている。光ファイバ50としては、例えば偏波保持光ファイバを用いることができる。光学遅延部13には、例えば4つのミラー34〜37が配されている。光学遅延部13に入力されるポンプ光は、ミラー34〜37により順次反射された後、光学遅延部13から出力される。光学遅延部13から出力されるポンプ光は、集光レンズ38により集光され、光ファイバ51内に導入されるようになっている。光学遅延部13は、直動ステージ等を用いてミラー(可動ミラー)35,36の位置を変化させることにより、ミラー34とミラー35との間の距離、及び、ミラー36とミラー37との間の距離を変化させ得る。このため、光学遅延部13はポンプ光の光路長を変化させることができ、ポンプ光の遅延時間を変化(掃引)させることができる。ポンプ光の遅延時間を変化させることができるため、テラヘルツ波のタイミングとプローブ光のタイミングとを相対的に変化させることができる。テラヘルツ波検出器23から出力される電気信号は、プローブ光のタイミングにおけるテラヘルツ波の電場強度に応じたものである。プローブ光のパルス幅は、テラヘルツ波のパルス幅に比べて十分に小さい。このため、テラヘルツ波検出器23から順次出力される各タイミングの検出信号を用いて、テラヘルツ波の波形を再現することが可能である。
また、ここでは、機械的な光学遅延部13を例に説明したが、光学遅延部13はこれに限定されるものではない。例えば、繰り返し周波数がわずかに異なる2つのレーザ発振器10を用い、一方のレーザ発振器10の出力をポンプ光として用い、他方のレーザ発振器10の出力をプローブ光として用いてもよい。また、繰り返し周波数が周期的に変動するようなレーザ発振器10を用いるようにしてもよい。
また、ここでは、ポンプ光の経路に光学遅延部13を配したが、プローブ光の経路に光学遅延部13を配してもよい。
光学遅延部13の後段には、パルス幅伸張器14が配されている。光学遅延部13から出力されるポンプ光は、集光レンズ38により集光され、光ファイバ51内を伝搬して、パルス幅伸張器14に入力されるようになっている。光ファイバ51としては、例えば偏波保持光ファイバを用いることができる。パルス幅伸張器14としては、例えば、2種類の分散補償ファイバが組み合わされたパルス幅伸張器を用いることができる。このような2種類の分散補償ファイバが組み合わされたパルス幅伸張器は、3次分散まで補償することが可能である。パルス幅伸張器14は、ポンプ光のパルス幅を広げるためのものである。パルス幅伸張器14から出力されるポンプ光のパルス幅は、例えば数十ps程度となる。パルス幅が広くなるため、パルス幅伸張器14から出力されるポンプ光のピーク強度は低くなる。
パルス幅伸張器14の後段には、光ファイバ増幅器16が配されている。パルス幅伸張器14から出力されるポンプ光は、光ファイバ52内を伝搬し、光ファイバ増幅器16に入力されるようになっている。光ファイバ52としては、例えば偏波保持光ファイバを用いることができる。光ファイバ増幅器16は、光信号を電気信号に変換することなく、光信号を光ファイバ中で増幅し得るデバイスである。光ファイバ増幅器16としては、例えば、ErとYbとが共添加された光ファイバを増幅媒質として用いたEr・Yb共添加ファイバ増幅器を用いる。光ファイバ増幅器16において増幅媒質として用いられる光ファイバのコア径は、例えば25μm程度とする。また、かかる増幅媒質として用いられる光ファイバの構造は、例えばダブルクラッド構造とする。なお、増幅媒質として用いられる光ファイバの構造は、ダブルクラッド構造に限定されるものではなく、シングルクラッド構造であってもよい。
また、光ファイバ増幅器16には、励起用光源15から出力されるレーザ光(励起光)が更に入力されるようになっている。励起用光源15から出力されるレーザ光は、光ファイバ53内を伝搬し、光ファイバ増幅器16に入力されるようになっている。光ファイバ53としては、例えば偏波保持光ファイバを用いることができる。励起用光源15としては、例えばレーザダイオード等を用いることができる。かかるレーザダイオードとしては、例えばマルチモードのレーザダイオード等を用いることができる。励起用光源15の定格出力は、例えば10W程度とする。ここでは、十分な励起光を光ファイバ増幅器16に供給するため、2つの励起用光源15を配し、これら2つの励起用光源15の出力を光ファイバ増幅器16に入力している。光ファイバ増幅器16は、励起用光源15から出力されるレーザ光を励起光として用いて、パルス幅伸張器14から出力されるポンプ光を増幅する。光ファイバ増幅器16から出力されるポンプ光の平均パワーは、例えば1.5W程度となる。
光ファイバ増幅器16の後段には、パルス圧縮器17が配されている。光ファイバ増幅器16から出力されるポンプ光は、光ファイバ54内を伝搬し、パルス圧縮器17に入力されるようになっている。光ファイバ54としては、例えば偏波保持光ファイバを用いることができる。パルス圧縮器17は、ポンプ光のパルス幅を小さくし、ポンプ光のピーク強度を大きくするためのものである。パルス圧縮器17としては、例えば、回折格子対を用いたパルス圧縮器を用いることができる。回折格子対は正のチャープを有するレーザパルスに対して異常GVD(負の分散)を与え、レーザパルスのパルス幅を圧縮する。かかる回折格子対には、例えば透過型の回折格子を用いることができる。透過型の回折格子を用いれば、高い回折効率が得られ、パルス圧縮器17におけるパワーロスを低減することができる。パルス幅伸張器14から出力されるレーザパルスは正のチャープを有しており、このようなパルス圧縮器17を用いることによりレーザパルスのパルス幅を圧縮することが可能である。パルス圧縮器17から出力されるポンプ光のパルス幅は、例えば200fs程度となる。パルス圧縮器17から出力されるポンプ光の平均パワーは、例えば1W程度となる。
なお、パルス圧縮器17の回折格子対に用いる回折格子は、透過型の回折格子に限定されるものではない。例えば、反射型の回折格子を用いて、かかる回折格子対を構成してもよい。また、プリズム対を用いたパルス圧縮器17を用いてもよい。
また、パルス幅伸張器14やパルス圧縮器17に位相調整素子(図示せず)を更に付加してもよい。かかる位相調整素子としては、例えば空間液晶光変調器等を用いることができる。パルス幅伸張器14やパルス圧縮器17に位相調整素子を付加すれば、ポンプ光の位相をより厳密に調整することが可能である。
パルス圧縮器17から出力されるポンプ光は、光ファイバ18内を伝搬するようになっている。光ファイバ18としては、高次ソリトン圧縮効果を奏するような光ファイバを用いる。光ファイバ18は、偏波保持光ファイバであることが好ましい。高次ソリトン圧縮効果を奏するような光ファイバ18が用いられているため、ポンプ光が光ファイバ18内を伝搬する過程でポンプ光のパルス幅を狭くすることができる。光ファイバ18のコア径は、例えば20μm程度とする。光ファイバ18の出力端におけるポンプ光のパルス幅は、例えば30fs程度となる。光ファイバ18の出力端におけるポンプ光の平均パワーは、例えば700mW程度とする。こうして、パルス幅が十分に狭くなったポンプ光が、光ファイバ18の出力端から出力されるようになっている。なお、本実施形態において、ポンプ光のパルス幅をこのように十分に狭く設定するのは、薄い膜の膜厚を正確に測定するためには、できるだけパルス幅の狭いテラヘルツ波を用いることが好ましいためである。光ファイバ18の出力端は、収容部29内に位置している。
一方、分波器11により分岐されたレーザ光、即ち、テラヘルツ波の検出用のレーザ光であるプローブ光は、光路長調整用の光ファイバ24内を伝搬する。光路調整用の光ファイバ24を設けるのは、プローブ光を遅延させ、テラヘルツ波がテラヘルツ波検出器23に達するタイミングとプローブ光がテラヘルツ波検出器23に達するタイミングとを合わせるためである。なお、他の光ファイバや空間等によりプローブ光の遅延時間を調整し得る場合には、光路調整用の光ファイバ24を用いなくてもよい。光ファイバ24としては、例えば偏波保持光ファイバを用いることができる。
光ファイバ24内を伝搬したプローブ光は、光ファイバ増幅器26に入力されるようになっている。プローブ光には、ポンプ光のような強い強度は要求されない。従って、増幅率の比較的小さい光ファイバ増幅器26を用いることができる。かかる光ファイバ増幅器26としては、例えばシングルクラッド構造の光ファイバ増幅器を用いることができる。
また、光ファイバ増幅器26には、励起用光源25から出力されるレーザ光(励起光)が更に入力されるようになっている。励起用光源25から出力されるレーザ光は、光ファイバ55内を伝搬し、光ファイバ増幅器26に入力されるようになっている。励起用光源25としては、例えばレーザダイオード等を用いることができる。光ファイバ55としては、例えば偏波保持光ファイバを用いることができる。光ファイバ増幅器26は、励起用光源25から出力されるレーザ光を励起光として用いて、プローブ光を増幅する。
光ファイバ増幅器26の後段には、パルス圧縮器27が配されている。光ファイバ増幅器26から出力されるプローブ光は、光ファイバ56内を伝搬し、パルス圧縮器27に入力されるようになっている。パルス圧縮器27によって、プローブ光のパルス幅を狭くすることができる。光ファイバ56としては、例えば偏波保持光ファイバを用いることができる。
パルス圧縮器27から出力されるプローブ光は、光ファイバ28内を伝搬するようになっている。光ファイバ28としては、高次ソリトン圧縮効果を奏するような光ファイバを用いる。光ファイバ28は、偏波保持光ファイバであることが好ましい。高次ソリトン圧縮効果を奏するような光ファイバ28が用いられているため、プローブ光が光ファイバ28内を伝搬する過程でプローブ光のパルス幅を狭くすることができる。本実施形態では、光ファイバ28として、コア径が互いに異なる2種類の光ファイバを直列に繋いだものを用いる。2種類の光ファイバのうちの1つは、例えばコア径が25μmの光ファイバである。2種類の光ファイバのうちの他方は、例えばコア径が10μmの光ファイバである。パルス圧縮器27から出力されたプローブ光は、まず、コア径が例えば25μmの光ファイバ内を伝搬し、この後、コア径が例えば10μmの光ファイバ内を伝搬する。こうして、光ファイバ28内をプローブ光が伝搬する過程で、2段階のパルス圧縮が行われる。光ファイバ28の出力端から出力されるプローブ光のパルス幅は、例えば30fs程度となる。また、光ファイバ28の出力端から出力されるプローブ光の平均パワーは、例えば100mW程度となる。光ファイバ28の出力端は、収容部29内に位置している。
なお、本実施形態では、分岐器11により分岐した後のレーザ光に対してそれぞれ増幅等を行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、レーザ光の増幅等を行った後に、レーザ光を分岐器11により分岐するようにしてもよい。
光ファイバ18の出力端から出射されるポンプ光は、収容部29内に配されたコリメートレンズ39及び集光レンズ40を経て、テラヘルツ波発生器19に入力されるようになっている。テラヘルツ波発生器19としては、例えばDAST(4−N,N−dimethylamino−4’−N’−methyl−stilbazolium tosylate)結晶を用いることができる。DAST結晶は、非線形係数の高い有機非線形光学結晶である。非線形係数が高いため、DAST結晶をテラヘルツ波発生器19として用いれば、高い変換効率でテラヘルツ波を発生させることができる。しかも、DAST結晶は、波長が1.5μm帯のレーザ光に対して広帯域でコリニア位相整合条件を満たす。従って、テラヘルツ波発生器19としてDAST結晶を用いれば、高強度且つ広帯域なテラヘルツ波を発生させることができる。
なお、テラヘルツ波発生器19として非線形結晶を用いる場合には、非線形効果が最も顕著に現れるような偏光方向でポンプ光が入射されるように設定することが好ましい。
なお、テラヘルツ波発生器19は、DAST結晶に限定されるものではない。テラヘルツ波発生器19として、様々な非線形光学結晶を用いることが可能である。例えば、テラヘルツ波発生器19として、ZnTeやGaP等の無機結晶を用いることも可能である。また、有機非線形光学結晶であるDASC(4−N,N−dimethylamino−4’−N’−methyl−stilbazolium p−chlorobenezenesulfonate)をテラヘルツ波発生器19として用いることも可能である。また、有機非線形光学結晶であるOH1(2−(3−(4−Hydroxystyryl)−5,5−dimethylcyclohex−2−enylidene)malononitrile)等をテラヘルツ波発生器19として用いることも可能である。なお、テラヘルツ波発生器19として用いる非線形光学結晶の種類に応じて、ポンプ光の中心波長を適宜設定すればよい。
また、リチウムナイオベート(LiNbO3)結晶の導波路を用いたチェレンコフ位相整合型のテラヘルツ波源を、テラヘルツ発生器19として用いてもよい。また、光伝導アンテナ素子を、テラヘルツ波発生器19として用いることも可能である。かかる光伝導アンテナ素子は、例えば、光伝導基板に一対の金属電極のダイポールアンテナを設けることにより構成し得る。光伝導基板としては、例えば低温成長GaAs基板等を用いることができる。
テラヘルツ波発生器19として光伝導アンテナ素子を用いる場合には、テラヘルツ光が最も強く出射されるように、ダイポールアンテナの方向に対するポンプ光の入射偏光方向を設定することが好ましい。
テラヘルツ波発生器19から出力されるテラヘルツ波は、コリメートレンズ41、レーザ光カットフィルタ42、偏光板20及び集光レンズ43を経て、プリズム21に入力されるようなっている。コリメートレンズ41や集光レンズ43の材料としては、テラヘルツ波に対する透過効率が十分に高いレンズ材料を用いることが好ましい。テラヘルツ波に対する透過効率が十分に高いレンズ材料としては、例えば、シクロオレフィンポリマーを挙げることができる。テラヘルツ波に対する透過効率が十分に高いコリメートレンズ41や集光レンズ43等を用いることにより、広帯域のテラヘルツ波を得ることができる。広帯域のテラヘルツ波が得られるため、パルス幅の狭いテラヘルツ波を得ることができる。
なお、テラヘルツ波に対する透過効率が十分に高いレンズ材料は、シクロオレフィンポリマーに限定されるものではない。例えば、メチルペンテンポリマー(ポリメチルペンテン)等をコリメートレンズ41や集光レンズ43の材料として用いてもよい。メチルペンテンポリマーは、TPX(登録商標)という名称で提供されている樹脂である。また、シリコン等の半導体材料を、コリメートレンズ41や集光レンズ43の材料として用いてもよい。
なお、ここでは、レンズ41,43を用いてテラヘルツ波に対するコリメートや集光を行う場合を例に説明したが、テラヘルツ波に対してコリメートや集光を行う手段は、これに限定されるものではない。例えば、放物面鏡を用いてテラヘルツ波のコリメートや集光を行ってもよい。また、レンズと放物面鏡とを組み合わせてテラヘルツ波のコリメートや集光を行ってもよい。
集光レンズ43により集光されたテラヘルツ波は、プリズム(カップリングプリズム)21を介して試料3に照射されるようになっている。プリズム21は、テラヘルツ波用のプリズム、即ち、テラヘルツ波が通過することが可能な材料により形成されたプリズムである。プリズム21は、テラヘルツ波が入射される入射面(第1の面)69と、試料3のうちの塗装膜(積層膜)32が形成されている側の面に当接する当接面(第2の面、接触面、センサ面、照射面)70と、試料3において反射したテラヘルツ波が出射される出射面(第3の面)71とを含む。プリズム21の断面は、例えば台形となっている。入射面69に入射されるテラヘルツ波の光軸は、例えば、入射面69の法線方向とする。プリズム21と試料3との界面において反射されて出射面71から出射される反射波の光軸は、例えば、出射面71の法線方向とする。プリズム21の材料としては、例えば、シクロオレフィンポリマー樹脂等を用いることができる。シクロオレフィンポリマーの光学用樹脂は、例えば、ゼオン社からZEONEX(登録商標)という商品名で提供されている。なお、プリズム21の材料は、シクロオレフィンポリマー樹脂に限定されるものではない。例えば、テフロン(登録商標)、石英、シリコン等をプリズム21の材料として用いてもよい。
試料(被測定物、測定対象、検査対象)3としては、例えば、基材30上に積層膜32が形成されたものが挙げられる。積層膜32は、第1層目の膜31aと、第1層目の膜31a上に形成された第2層目の膜31bと、第2層目の膜31b上に形成された第3層目の膜31cとを含む。
基材30の材料としては、例えば樹脂等が挙げられる。第1層目の膜31aとしては、例えば導電性プライマ塗料を塗布することにより形成された導電性プライマ層等が挙げられる。導電性プライマ塗料とは、樹脂等から成る非導電性基材に静電塗装を行う際に用いられる下塗り用の塗料のことである。導電性プライマ塗料には、金属粉体やカーボン粉体等の導電性フィラーが配合されている。導電性プライマ層31aの厚さは、例えば数μm程度、より具体的には、5〜7μm程度に設定される。第2層目の膜31bとしては、メタリックベースを塗布することにより形成されたメタリックベース層等が挙げられる。メタリックベースとは、フレーク状のアルミニウム顔料(アルミニウム粉体)を配合した塗料のことである。第2層目の膜31bの厚さは、例えば10〜15μm程度に設定される。第2層目の膜31bには数μmから数十μmのサイズの導電性粒子(金属粒子、金属粉体)が含まれているため、第2層目の膜31bにおいてはテラヘルツ波の散乱や吸収が生じる。かかる散乱や吸収が生ずると、テラヘルツ波のパルス幅が広がる。なお、第2層目の膜31bの材料は、フレーク状のアルミニウム顔料が配合された塗料に限定されるものではない。例えば、第2層目の膜31bの材料として、フレーク状の雲母(マイカ)顔料(パール顔料)が配合された塗料が用いられていてもよい。第3層目の膜31cとしては、クリアを塗布することにより形成されたクリア層等が挙げられる。クリア層は、光沢性の向上、耐久性の向上、メンテナンス性の向上等を実現するため、最終的な上塗り(トップコート)として塗布される。第3層目の膜31cの厚さは、例えば30〜40μm程度に設定される。一般に、クリア層31cの屈折率は、比較的小さい。一方、一般に、メタリックベース層31bの屈折率は、比較的大きい。また、一般に、導電性プライマ層31aの屈折率は、クリア層31cの屈折率より大きく、メタリックベース層31bの屈折率より小さい。
図2は、試料に照射されるテラヘルツ波の伝搬を示す概略図である。図2に示すように、プリズム21の入射面69から入射されるテラヘルツ波は、プリズム21内を伝搬し、プリズム21の当接面70と第3層目の膜31cとの界面に達する。プリズム21と第3層目の膜31cとの界面におけるテラヘルツ波の入射角は、θ1である。プリズム21と第3層目の膜31cとの界面に達したテラヘルツ波のうちの一部は、プリズム21と第3層目の膜31cの界面において反射され(反射波)、出射面71を介して出射される。一方、プリズム21と第3層目の膜31cとの界面に達したテラヘルツ波のうちの他の一部は、プリズム21と第3層目の膜31cとの界面において屈折し、第3層目の膜31c内を伝搬して、第3層目の膜31cと第2層目の膜31bとの界面に達する。第3層目の膜31cと第2層目の膜31bとの界面におけるテラヘルツ波の入射角は、θ2である。第3層目の膜31cと第2層目の膜31bとの界面に達したテラヘルツ波のうちの一部は、第3層目の膜31cと第2層目の膜31bとの界面において反射され(反射波)、第3層目の膜31cとプリズム21との界面において屈折し、出射面71を介して出射される。第3層目の膜31cと第2層目の膜31bとの界面に達したテラヘルツ波のうちの他の一部は、第2層目の膜31bと第3層目の膜31cとの境界において屈折し、第2層目の膜31b内を伝搬して、第2層目の膜31bと膜31aとの界面に達する。第2層目の膜31bと第1層目の膜31aとの界面におけるテラヘルツ波の入射角は、θ3である。第2層目の膜31bと第1層目の膜31aとの界面に達したテラヘルツ波のうちの一部は、第2層目の膜31bと第1層目の膜31aとの界面において反射され(反射波)、第2層目の膜31bと第3層目の膜31cとの界面において屈折し、第3層目の膜31cとプリズム21との界面において更に屈折し、出射面71を介して出射される。第2層目の膜31bと第1層目の膜31aとの界面に達したテラヘルツ波のうちの他の一部は、第2層目の膜31bと第1層目の膜31aとの界面において屈折し、第1層目の膜31a内を伝搬して、第1層目の膜31aと基材30との界面に達する。第1層目の膜31aと基材30との界面におけるテラヘルツ波の入射角は、θ4である。第1層目の膜31aと基材30との界面に達したテラヘルツ波のうちの一部は、第1層目の膜31aと基材30との界面において反射される(反射波)。第1層目の膜31aと基材30との界面において反射されたテラヘルツ波は、第1層目の膜31aと第2層目の膜31bとの界面において屈折し、第2層目の膜31bと第3層目の膜31cとの界面において更に屈折し、第3層目の膜31cとプリズム21との界面において更に屈折し、出射面71を介して出射される。
本実施形態において、プリズム21を介してテラヘルツ波を試料3に照射しているのは、プリズム21を用いると、第1層目の膜31aと基材30との界面におけるテラヘルツ波の入射角θ4を十分に大きく設定することが可能となるためである。即ち、屈折率の異なる2つの物質の界面にテラヘルツ波がある角度で入射するとき、電場の振動方向が入射面に平行な偏光成分であるP偏光と、電場の振動方向が入射面に垂直な偏光成分であるS偏光とでは、当該界面における反射率が異なる。入射角を0度から徐々に増加していくと、P偏光の反射率は減少していき、ブリュースター角において反射率が0となり、その後は、位相が反転して増加していく。従って、一方、S偏光の反射率は、単調に増加する。従って、第1層目の膜31aと基材30との界面におけるテラヘルツ波の入射角θ4を十分に大きく設定すれば、第1層目の膜31aと基材30との界面におけるP偏光の反射率が十分に小さくなり、又は、第1層目の膜31aと基材30との界面において反射するP偏光の位相が反転する。そうすると、P偏光の時間波形とS偏光の時間波形との間に差異を生じさせることができ、かかる差異に基づいて第1層目の膜31aの厚さを測定することが可能となる。しかしながら、プリズム21を用いることなく、第1層目の膜31aと基材30との界面におけるテラヘルツ波の入射角θ4を十分に大きく設定しようしても、空気に対する第3層目の膜31cの屈折率が著しく大きいためにテラヘルツ波が大きく屈折してしまい、入射角θ4を十分に大きくすることはできない。一方、第3層目の膜31cの表面におけるテラヘルツ波の入射角θ1を小さめに設定した場合には、第1層目の膜31aと基材30との界面におけるテラヘルツ波の入射角θ4が十分に大きくならず、P偏光の反射率とS偏光の反射率との差が第1層目の膜31aと基材30との界面において顕著にならない。P偏光の反射率とS偏光の反射率との差が第1層目の膜31aと基材30との界面において顕著にならないと、後述するような手法で第1層目の膜31aの厚さを測定することは困難である。このような理由により、本実施形態では、プリズム21を介してテラヘルツ波を試料3に照射している。
プリズム21と第3層目の膜31cとの界面、第3層目の膜31cと第2層目の膜31bとの界面、第2層目の膜31bと第1層目の膜31aとの界面、及び、第1層目の膜31aと基材30との界面において、テラヘルツ波が全反射しないように、各々の入射角θ1〜θ4を臨界角より小さくことが重要である。また、第1層目の膜31aと基材30との界面におけるテラヘルツ波の入射角θ4を十分に大きく設定することが重要である。ただし、第1層目の膜31aと基材30との界面におけるテラヘルツ波の入射角θ4は、ブリュースター角と完全に一致していなくてもよい。第1層目の膜31aと基材30との界面におけるテラヘルツ波の入射角θ4をある程度大きく設定すれば、P偏光の時間波形とS偏光の時間波形との間に差異を生じさせることができ、かかる差異に基づいて第1層目の膜31aの厚さを測定することが可能なためである。このような点を総合的に考慮して、テラヘルツ波の入射角を設定するようにすればよい。
測定対象となる試料3の積層膜32の構成は、様々なものが想定される。従って、想定される様々な構成の積層膜32に対して測定が可能となるように、テラヘルツ波の入射角を適切な値に設定することが好ましい。例えば、想定される様々な構成において、全反射が生じない入射角θ1の限界値がθ1maxである場合、プリズム21と第3層目の膜31cとの界面における入射角θ1をθ1maxより若干小さく設定するようにしてもよい。
入射面69から入射されるテラヘルツ波(テラヘルツ波ビーム)のビームウェストは、積層膜32内、又は積層膜32の近傍に位置させることが好ましい。テラヘルツ波ビームのレイリー長は、積層膜32の厚さより長いことが好ましい。
プリズム21の材料としては、テラヘルツ波が透過しやすい材料を用いることが好ましい。また、プリズム21に当接する第3層目の膜31cの屈折率に応じて、プリズム21の材料を適宜選択することが好ましい。例えば、測定対象となる積層膜32が自動車のボディに施された塗装膜である場合、プリズム21に当接する第3層目の膜31cはクリア層である。クリア層におけるテラヘルツ領域の屈折率は、例えば1.7程度と比較的小さい。一方、プリズム21に当接する膜がメタリックベース層や多孔質セラミックス層等である場合には、屈折率は例えば4程度と比較的大きい。プリズム21に当接する第3層目の膜31cの屈折率が比較的低い場合には、プリズム21の材料としても比較的屈折率の低い材料を用いることが好ましい。比較的屈折率が低いプリズム21を形成するための材料としては、例えばシクロオレフィンポリマーやメチルペンテンポリマー等を用いることができる。一方、プリズム21に当接する第3層目の膜31cの屈折率が比較的高い場合には、プリズム21の材料としても比較的屈折率の高い材料を用いることが好ましい。比較的屈折率の高いプリズム21を形成するための材料としては、例えばシリコン等を用いることができる。プリズム21と第3層目の膜31cとの屈折率差が過度に大きくならないようにすれば、プリズム21と第3層目の膜31cとの界面における屈折を小さく抑えることができる。また、プリズム21と第3層目の膜31cとの屈折率差が過度に大きくならないようにすれば、プリズム21と第3層目の膜31cとの界面において反射が過度に生じるのを防止することができ、第1層目の膜31aと基材30との界面に十分な強度のテラヘルツ波を到達させることができる。第1層目の膜31aと基材30との界面に十分な強度のテラヘルツ波を到達させることができるため、第1層目の膜31aと基材30の界面においてテラヘルツ波を十分に反射させることができ、ひいては、第1層目の膜31aの膜厚を確実に測定することが可能となる。
プリズム21の断面形状は、例えば、図2に示すような形状とすることができる。上述したように、プリズム21の入射面69の角度は、例えば、入射面69に入射されるテラヘルツ波の光軸が入射面69の法線方向となるように設定される。また、上述したように、プリズム21の出射面71の角度は、プリズム21と第3層目の膜31cとの界面において反射される反射波の光軸が出射面71の法線方向となるように設定する。プリズム21の寸法は、入射面69を介してテラヘルツ波を試料3に確実に照射することができ、且つ、試料3からの反射波を出射面71から確実に出射させるのに十分な寸法とする。
プリズム21を介して試料3にテラヘルツ波を照射することは、空気中の水分がテラヘルツ波に及ぼす影響を排除することにも寄与する。即ち、湿度が比較的高い環境で膜厚の測定が行われる場合には、テラヘルツ波が空気中をわずか数cm程度進行しただけであっても、テラヘルツ波は空気中の水分の影響を受ける。空気中の水分によってテラヘルツ波が減衰してしまうと、十分な強度の反射波を検出することができず、正確且つ確実に膜厚を測定することが困難となる。また、膜厚を高精度に測定するためには、パルス幅の短い良好なテラヘルツ波を試料3に照射することが重要である。しかし、テラヘルツ波が空気中の水分の影響を受けると、テラヘルツ波の高周波成分が減衰してしまい、テラヘルツ波のパルス幅が広がってしまうことが考えられる。テラヘルツ波のパルス幅が広がってしまうと、膜厚を高精度に測定することが困難となる。また、テラヘルツ波が空気中の水分の影響を受けると、テラヘルツ波のスペクトルが歯抜け状態になってしまうことも考えられる。テラヘルツ波のスペクトルが歯抜け状態になると、細かに継続する振動成分が反射波の時間波形に現れてきてしまう。反射波の時間波形におけるこのような振動成分は、膜厚を高精度に測定することにおける阻害要因となる。本実施形態では、プリズム21を介してテラヘルツ波を試料3に照射するため、収容部29に形成されたテラヘルツ波照射用の開口部をプリズム21により封止することができる。従って、本実施形態によれば、収容部29内を確実に除湿することができ、空気中の水分がテラヘルツ波に及ぼす影響を排除することができる。なお、収容部29内の除湿は、例えば、乾燥空気や窒素等を収容部29内に導入することにより行うことができる。また、収容部29内を真空にするようにしてもよい。
試料3において反射されたテラヘルツ波(反射波)は、プリズム21内を伝搬し、プリズム21の出射面71から出射される。プリズム21の出射面71から出射される反射波は、コリメートレンズ44によりコリメートされ、偏光板22を経て、集光レンズ45により集光され、テラヘルツ波検出器23に入射されるようになっている。テラヘルツ波検出器23としては、例えば光伝導アンテナ素子を用いる。かかる光伝導アンテナ素子は、例えば、光伝導基板に一対の金属電極のダイポールアンテナを設けることにより構成し得る。光伝導基板としては、例えば低温成長GaAs基板等を用いることができる。光伝導基板のうちのダイポールアンテナが形成されていない側の面には、例えばシリコンのレンズが配されている。テラヘルツ波は、かかるレンズを介して光伝導基板に入射される。光伝導基板のうちのダイポールアンテナが形成されている側の面には、プローブ光が照射されるようになっている。より具体的には、一対のダイポールアンテナのギャップにプローブ光が照射される。一対のダイポールアンテナのギャップにプローブ光が照射されたタイミングにおけるテラヘルツ波の電場強度に応じた電気信号(電流信号)が、光伝導アンテナ素子23から出力されるようになっている。
光伝導アンテナ素子は、ダイポールアンテナの向きによって定まる偏光特性を有している。このため、ダイポールアンテナのギャップの長手方向がS偏光とP偏光との中間の角度になるように光伝導アンテナ素子23を設置すれば、S偏光とP偏光の両方の成分を検出することが可能である。
光伝導基板として低温成長GaAs基板を用いた光伝導アンテナ23は、800nm付近の波長のプローブ光を照射することにより動作させる場合が多い。しかし、プローブ光の強度が十分に高ければ、プローブ光の波長が1.5μm帯であっても、動作可能である。
また、1.5μm帯のプローブ光を波長変換素子により波長変換し、波長変換されたプローブ光を光伝導アンテナ23に入力するようにしてもよい。かかる波長変換素子としては、例えば、PPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)等の非線形デバイスを用いることができる。
また、1.5μm帯の波長のプローブ光で動作するように設計された光伝導アンテナ素子をテラヘルツ波検出器23に用いてもよい。かかる光伝導アンテナ素子においては、光伝導基板として、例えばInGaAs基板等が用いられている。
なお、ここでは、テラヘルツ波検出器として、光伝導アンテナ素子を用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、電気光学(EO:Electro-Optic)結晶を用いてテラヘルツ波を検出するようにすることも可能である。電気光学結晶としては、例えば、ZnTe,GaP,InAs等の無機非線形光学結晶を用いることができる。また、電気光学結晶として、DAST、DASC、OH1等の有機非線形光学結晶を用いてもよい。プローブ光、テラヘルツ波の波長帯域や非線形係数等を考慮して、電気光学結晶の種類や厚さ等を適宜選択することが好ましい。電界を加えた電気光学結晶中をテラヘルツ波が通過すると、電気光学効果の1つであるポッケルス効果により、複屈折を受ける。複屈折とは、結晶軸に対して平行な偏光成分を持つ光(常光線)と結晶軸に対して垂直な偏光成分を持つ光(異常光線)との屈折率が異なることをいう。ポッケルス効果においては、複屈折量が印加する電界に依存する。電気光学結晶を用いたテラヘルツ波の検出においては、テラヘルツ波の電場がポッケルス効果を引き起こす電界の役割を果たす。テラヘルツ波の電場強度の時間的変化に応じて、プローブ光(直線偏光)の偏光状態が変化するため、各タイミングのプローブ光の偏光状態を偏光解析することにより、テラヘルツ波の時間波形を測定することができる。
テラヘルツ波検出器23から出力される電気信号(電流信号)は、アンプ4に入力されるようになっている。アンプ4は、テラヘルツ波検出器23から出力される微弱な電気信号(電流信号)を増幅するためのものである。アンプ4としては、例えば電流アンプ(電流増幅器)を用いることができる。
アンプ4により増幅された信号は、ロックインアンプ5に入力されるようになっている。ロックインアンプ5は、信号増幅機能と特定信号検出機能とを併せもつアンプであり、特定の周波数の信号を検出して増幅させ、これにより、ノイズに埋もれた微小信号の検出や高感度の信号検出を行うものである。ロックインアンプ5は、入力される信号の中から検出したい信号だけを取り出すために参照信号を必要とする。ここでは、上述した変調信号に同期した信号が参照信号として用いられている。
なお、ここでは、ロックインアンプ5を用いたが、必ずしもロックインアンプ5を用いなくてもよい。ロックインアンプ5を用いなくても、テラヘルツ波の検出は可能である。例えば、テラヘルツ波検出器23を用いて検出される信号を積分することにより、S/N比の高い信号を得るようにすることも可能である。
本実施形態による膜厚測定装置1は、後述するように、試料3からの反射波のS偏光成分(S波)とP偏光成分(P波)とをそれぞれ検出し、S偏光成分の時間波形(挙動)とP偏光成分の時間波形(挙動)との差に基づいて、第1層目の膜31aの膜厚の測定を行う。このため、本実施形態による膜厚測定装置1は、試料3からの反射波のS偏光成分とP偏光成分とをそれぞれ検出する。試料3からの反射波のS偏光成分とP偏光成分は、例えば以下のようにして検出することができる。
まず、テラヘルツ波発生器19に入射されるポンプ光の偏光方向を、試料3に対して予め傾けておく。テラヘルツ波発生器19に入射されるポンプ光の偏光方向は、光ファイバ18等を回転させることにより調整することが可能である。また、2分の1波長板や4分の1波長板等の波長板を用いることによっても、テラヘルツ波発生器19に入射されるポンプ光の偏向方向を調整することが可能である。テラヘルツ波発生器19における光学軸も、テラヘルツ波発生器19に入射されるポンプ光の偏光方向に応じて予め設定しておく。テラヘルツ波発生器19として非線形結晶を用いる場合には、非線形効果が最も顕著に現れるように、非線形結晶の結晶軸の方向とポンプ光の偏光方向との関係を設定することが好ましい。また、テラヘルツ発生器19として光伝導アンテナ素子を用いる場合には、十分な強度のテラヘルツ波を発生し得るように、光伝導アンテナ素子のダイポールアンテナの方向とポンプ光の偏光方向との関係を設定することが好ましい。このように設定した状態でテラヘルツ波発生器19によりテラヘルツ波を発生させると、テラヘルツ波発生器19から出力されるテラヘルツ波の偏光状態は試料3に対して傾いた状態となる。テラヘルツ波の傾きを45度に設定した場合には、S偏光成分とP偏光成分とが同等となるため、バランスの良い測定が可能となる。従って、ここでは、テラヘルツ波発生器19から出力されるテラヘルツ波の傾きを、例えば45度に設定することとする。
本実施形態では、プリズム21の前段に配された偏光板20を用いて、試料3に照射されるテラヘルツ波の偏光成分を切り替える。テラヘルツ波発生器19から出力されるテラヘルツ波には、S偏光成分とP偏光成分とが含まれている。S偏光成分のみが通過するように偏光板20を設定すれば、試料3にはテラヘルツ波のS偏光成分のみが照射される。一方、P偏光成分のみが通過するように偏光板20を設定すれば、試料3にはテラヘルツ波のP偏光成分のみが照射される。偏光板20を90度回転させれば、P偏光成分のみを通過させるように偏光板20を設定することができる。なお、偏光板20は、例えばアクチュエータ73(図3参照)を用いて回転させることができる。かかるアクチュエータ73は、例えば制御装置6により制御することができる。なお、偏光板20の代わりにテラヘルツ波用の1/2波長板を設け、かかる1/2波長板の回転角を適宜設定することにより偏光状態を切り替えることも可能である。
テラヘルツ波のS偏光成分のみが通過するように偏光板20を設定した場合には、反射波のS偏光成分のみが通過するように偏光板22を設定する。また、テラヘルツ波のP偏光成分のみが通過するように偏光板20を設定した場合には、反射波のP偏光成分のみが通過するように偏光板22を設定する。偏光板22を90度回転させれば、P偏光成分のみを通過させるように偏光板22を設定することができる。なお、偏光板22は、例えばアクチュエータ74(図3参照)を用いて回転させることができる。かかるアクチュエータ74は、例えば制御装置6により制御することができる。
なお、偏光板20のみでテラヘルツ波の偏光成分を切り替え得るため、図1の構成において、偏光板22を設けないようにしてもよい。
テラヘルツ波検出器23は偏光依存性を有するため、例えば、S偏光成分とP偏光成分の両方を検出し得るように、テラヘルツ波検出器23を傾けて設置するようにしてもよい。また、テラヘルツ波検出器23の前段にテラヘルツ波用の1/2波長板を配し、かかる1/2波長板の回転角を適宜設定することによりテラヘルツ波検出器23に入射されるテラヘルツ波の偏光状態を制御することも可能である。
ロックインアンプ5により検出された同期増幅された信号は、測定データとして制御装置6に入力されるようになっている。制御装置6は、ロックインアンプ5からの測定データに基づいて、テラヘルツ波の時間波形を求める。制御装置6は、取得された時間波形に基づいて、膜厚を判定することが可能である。
次に、本実施形態による膜厚測定装置の制御装置の構成について図3を用いて説明する。図3は、本実施形態による膜厚測定装置の制御装置を示すブロック図である。
データバス100は、CPU(処理部、制御部)103と、インターフェース(I/F)101等の各部とのデータの受け渡しを行うためのものである。インターフェース101は信号やデータの入出力のためのポートである。インターフェース101には、ロックインアンプ5、アクチュエータ73,74、光学遅延部13が接続されている。制御装置6は、光学遅延部13の可動ミラー35,36の位置を制御することにより、ポンプ光がテラヘルツ発生器19に到達するタイミングを変えることができる。また、制御装置6は、アクチュエータ73,74を制御することにより、偏光板20,22を適宜回転し、S波とP波との切り替えを行うことができる。
レジスタ102は、CPU103の動作のためのキャッシュレジスタとして、一時的にデータを蓄えるためのメモリである。CPU103は、予め定められた検査プログラムを実行し、光学装置2を制御するとともに、測定データの解析を行う。
ROM105は、制御装置6のBIOS等の基本プログラムを格納するために用いられる。RAM106は、検査プログラムを実行するためのワークエリアとして用いられる。記憶装置(外部記憶装置、データベース)107は、ハードディスクドライブ、CDドライブ、DVDドライブ等であって、測定された検査データ等の保存に用いられる。ディスプレイ108は、例えば液晶表示装置であり、検査データに基づいてテラヘルツ波の時間波形をグラフ表示するとともに、試料3の膜厚、塗装品質等を表示し得る。
次に、本実施形態による膜厚測定装置を用いた膜厚測定方法の概略について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態による膜厚測定方法の概略を示すフローチャートである。
まず、測定対象となる試料3を光学装置2にセットする(ステップS1)。具体的には、プリズム21の当接面70と試料3の表面とを当接させる。本実施形態では、プリズム21の当接面70と試料3の表面とを当接させるだけで、光学装置2に対する試料3の角度を調整することができる。オペレータが制御装置6を操作し、検査プログラムを起動させると、CPU103は記憶装置107に記憶された検査プログラムを実行し、光学装置2、ロックインアンプ5、制御装置6を初期化する(ステップS2)。
次に、制御装置6は測定を実行する(ステップS3)。レーザ発振器10から出力されるレーザ光は、分波器11によりポンプ光とプローブ光とに分岐される。ポンプ光は、変調器12に入射される。変調器12は、所定の変調周波数でポンプ光を変調する。変調されたポンプ光は、光学遅延部13を経て、光ファイバ増幅器16等を用いて増幅され、集光レンズ40を介してテラヘルツ波発生器19に入射される。テラヘルツ波発生器19から発せられたテラヘルツ波は、プリズム21を介して試料3に照射される。試料3において反射したテラヘルツ波(反射波)は、プリズム21を介して、テラヘルツ波検出器23に入射され、テラヘルツ波23により検出される。テラヘルツ波(反射波)のパルスは、変調信号の周波数で繰り返しテラヘルツ波検出器23に入射される。一方、プローブ光は、光ファイバ増幅器26等を用いて増幅され、集光レンズ47を介してテラヘルツ波検出器23のダイポールアンテナのギャップに照射される。この際、テラヘルツ波の電場に比例した微小電流がテラヘルツ波検出器23において流れ、かかる微小電流は電流アンプ4により増幅され、更にロックインアンプ5によって同期検波される。ロックインアンプ5は、増幅した電流をA/D変換器によってディジタルデータに変換し、メモリ上に記録する。これにより、テラヘルツ波の波形の所定のタイミングにおける強度が測定される。
テラヘルツ波(反射波)の波形をサンプリングする場合には、テラヘルツ波のタイミングに対するプローブ光のタイミングをずらしながら、テラヘルツ波検出器23における電場強度を検出する。即ち、制御装置6は光学遅延部13の可動ミラー35,36を駆動し、ポンプ光の遅延時間をt1に設定する。このポンプ光はテラヘルツ波発生器19に入射され、プローブ光のタイミングにおける遅延時間t1のテラヘルツ波の電場強度がテラヘルツ波検出器22によって検出される。続いて、制御装置6は光学遅延部13における遅延時間をt2に設定し、プローブ光のタイミングにおける遅延時間t2のテラヘルツ波の電場強度がテラヘルツ波検出器22によって検出される。同様にして、光学遅延部13における遅延時間をt3、t4、t5・・・と順に変化させることによって、テラヘルツ波の波形をサンプリングすることが可能となる。制御装置6はテラヘルツ波の波形を表す測定データを取り込み、記憶装置107上に保存する(ステップS4)。
制御装置6は、測定データに基づいて、膜厚を判定する(ステップS5)。このようにして得られた測定結果は、ディスプレイ108に表示される。以上の処理を実行した後、測定を続けて行う場合(ステップS6でYES)には、制御装置6はステップS4〜S5の処理を繰り返し実行する。一方、測定が終了した場合(ステップS6でNO)には、制御装置6は処理を終了する。
次に、本実施形態による膜厚測定装置における膜厚判定処理(ステップS5)について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態による膜厚測定装置における膜厚判定処理を示すフローチャートである。
なお、ここでは、基材30上に3層構造の積層膜32が形成された試料3における各々の膜31a〜31cの膜厚を測定する場合を例に説明するが、測定対象(試料)3はこれに限定されるものではなく、様々な測定対象を測定し得る。
まず、制御装置6のディスプレイ108に表示される操作メニューに従って、オペレータは、塗装膜32及び基材30の種類を入力する(ステップS11)。制御装置6は、例えば、塗装膜32を構成する膜31a〜31cの数、塗装膜32を構成する各々の膜31a〜31cの種類、基材30の種類を選択するためのプルダウンメニューを、ディスプレイ108に表示する。オペレータは、塗装膜32を構成する膜31a〜31cの数として、例えば3を選択する。また、オペレータは、第1層目の膜31aの種類として例えば導電性プライマ層を選択し、第2層目の膜31bの種類として例えばメタリックベース層を入力し、第3層目の膜31cの種類として例えばクリア層を選択する。
更に、制御装置6のディスプレイ108に表示される操作メニューに従って、オペレータは、各々の膜31a〜31cがとり得る膜厚範囲を入力する(ステップS12)。各々の膜31a〜31cの膜厚範囲は、最小値及び最大値を入力することによって決定される。
次に、制御装置6は、窓関数(第1の窓関数)を用いて波形データ(時間波形データ)に対してデコンボリューション処理(第1のデコンボリューションフィルタ処理)を行う(ステップS13)。第1の窓関数としては、例えばガウス窓を用いる。ここでは、窓関数として、例えば比較的広いガウス窓を用いる。より具体的には、例えば、デコンボリューション処理後におけるテラヘルツ波のパルス幅が比較的短くなるような比較的広いガウス窓を用いる。例えば、デコンボリューション処理後におけるテラヘルツ波のパルス幅が150fs程度となるようなガウス窓を用いる。図6(a)は、第1の窓関数を用いてデコンボリューション処理を行った後の時間波形を示すグラフである。図6における横軸は時間を示しており、図6における縦軸は波形の振幅を示している。図6における破線はP偏光成分を示しており、図6における実線はS偏光成分を示している。
テラヘルツ波の散乱や吸収を生じさせる膜が塗装膜32中に存在する場合には(ステップS14でYES)、テラヘルツ波の散乱や吸収を生じさせる膜31bより上側に位置する膜31cの膜厚を時間波形のピークに基づいて判定する(ステップS15)。具体的には、まず、第1の窓関数を用いてデコンボリューション処理されたP偏光とS偏光の波形データをそれぞれスキャンすることにより、ピークを検出する。そうすると、例えば、図6(a)に示すようなピークが検出される。S偏光成分の波形データにおいては、例えば、極大値XS11と、極小値XS12とが検出される。P偏光成分の波形データにおいては、例えば、極大値XP11,極大値XP12、極小値XP13、極小値XP14が検出される。第1層目の膜31aが導電性プライマ層であり、第2層目の膜31bがメタリックベース層であり、第3層目の膜31cがクリア層である場合、第2層目の膜31bと第3層目の膜31cとの界面における反射が最も大きい極大値となることが、予め行われたサンプル試料の測定により判明している。従って、制御装置6は、極大値XS11及び極大値XP12を、第2層目の膜31bと第3層目の膜31cとの界面における反射波に対応するものと判定する。極大値XS11、XP12よりも前に現れる極大値は、第3層目の膜31cとプリズム21の当接面70との界面における反射波に対応するものであることが、予め行われたサンプル試料の測定により判明している。従って、制御装置6は、極大値XP11を、第3層目の膜31cとプリズム21との界面における反射波に対応するものと判定する。制御装置6は、例えば、極大値XP11になるタイミングと極大値XP12になるタイミングとの時間差T1に基づいて、第3層目の膜31cの膜厚を判定する。時間差T1と第3層目の膜31cの膜厚との関係は、予め行われたサンプル試料の測定により判明している。従って、時間差T1に基づいて、第3層目の膜31cの膜厚を判定することが可能である。なお、ここでは、極大値XP11になるタイミングと極大値XP12になるタイミングとの差に基づいて第3層目の膜31cの膜厚を判定したが、これに限定されるものではない。例えば、極大値XP11になるタイミングと極大値XS11になるタイミングとの時間差に基づいて、第3層目の膜31cの膜厚を判定するようにしてもよい。
次に、制御装置6は、ステップS13における第1の窓関数と異なる第2の窓関数を用いて波形データ(時間波形データ)に対してデコンボリューション処理(第2のデコンボリューションフィルタ処理)を行う(ステップS16)。第2の窓関数としては、例えばガウス窓を用いる。ここでは、窓関数として、例えば比較的狭いガウス窓を用いる。より具体的には、例えば、第2のデコンボリューションフィルタ処理後におけるテラヘルツ波のパルス幅が比較的長くなるような比較的狭いガウス窓を用いる。例えば、第2のデコンボリューションフィルタ処理後におけるテラヘルツ波のパルス幅が300fs程度となるようなガウス窓を用いる。図6(b)は、第2の窓関数を用いてデコンボリューション処理を行った後の時間波形を示すグラフである。
次に、第2のデコンボリューションフィルタ処理を行った後の時間波形のピークに基づいて、テラヘルツ波の散乱や吸収を生じされる膜31bの膜厚を判定する(ステップS17)。具体的には、まず、第2のデコンボリューション処理を行った後のP偏光の波形データとS偏光の波形データをそれぞれスキャンすることにより、ピークを検出する。そうすると、例えば、図6(b)に示すようなピークが検出される。S偏光成分の波形データにおいては、例えば、極大値XS21と極小値XS22とが検出される。P偏光成分の波形データにおいては、例えば、極大値XP21と極大値XP22とが検出される。第1層目の膜31aが導電性プライマ層であり、第2層目の膜31bがメタリックベース層であり、第3層目の膜31cがクリア層である場合、第2層目の膜31bと第3層目の膜31cとの界面における反射が最も大きい極大値となることが、予め行われたサンプル試料の測定により判明している。従って、制御装置6は、極大値XS21及び極大値XP21を、第2層目の膜31bと第3層目の膜31cとの界面における反射波に対応するものと判定する。極大値XS21、XP21よりも後に現れる極小値は、第2層目の膜31bと第1層目の膜31aとの界面における反射波に対応するものであることが、予め行われたサンプル試料の測定により判明している。従って、制御装置6は、極小値XP22,XS22を、第1層目の膜31aと第2層目の膜31bとの界面における反射波に対応するものと判定する。制御装置6は、例えば、極大値XS21になるタイミングと極小値XS22になるタイミングとの時間差T2に基づいて、第2層目の膜31bの膜厚を判定する。時間差T2と第2層目の膜31bの膜厚との関係は、予め行われたサンプル試料の測定により判明している。従って、時間差T2に基づいて、第2層目の膜31bの膜厚を判定することが可能である。なお、ここでは、S偏光が極大値XS21になるタイミングとS偏光が極小値XS22になるタイミングとの差に基づいて第2層目の膜31bの膜厚を判定したが、これに限定されるものではない。例えば、P偏光が極大値XP21になるタイミングとP偏光が極大値XP22になるタイミングとの時間差に基づいて、第2層目の膜31bの膜厚を判定するようにしてもよい。
次に、第2のデコンボリューションフィルタ処理を行った後のS偏光成分の時間波形(挙動)とP偏光成分の時間波形(挙動)との差(相違)に基づいて、テラヘルツ波の散乱や吸収を生じさせる膜31bより下側に位置する膜31aの膜厚を判定する(ステップS18)。具体的には、P偏光成分の波形が閾値THに達するタイミングとS偏光成分の波形が閾値THに達するタイミングとの時間差T3に基づいて、第1層目の膜31aの膜厚を判定する。上述したように、第1層目の膜31aと基材30との界面におけるテラヘルツ波の入射角θ4が大きく設定されているため、第1層目の膜31aと基材30との界面におけるP偏光の反射率は十分に小さくなり、又は、第1層目の膜31aと基材30との界面において反射するP偏光の位相は反転している。このため、第1層目の膜31aと基材30との界面において、P偏光の反射率が十分に小さくなっていること、又は、P偏光の位相が反転していることは、P偏光が閾値THに達するタイミングを速くさせることに寄与する。従って、P偏光の波形が閾値THに達するタイミングとS偏光の波形が閾値THに達するタイミングとの時間差T3は、顕著になっている。時間差T3と第1層目の膜31aの膜厚との関係は、予め行われたサンプル試料の測定により判明している。従って、時間差T3に基づいて、第1層目の膜31aの膜厚を判定することができる。なお、閾値THは、図6(a)に示した閾値THに限定されるものではなく、適宜設定することができる。
なお、テラヘルツ波の散乱や吸収を生じさせる膜が塗装膜32中に存在しない場合には(ステップS14でNO)、積層膜32の各々の膜31a〜31cの膜厚を時間波形のピークに基づいて判定すればよい(ステップS19)。
こうして、制御装置5は、各々の膜31a〜31cの膜厚をそれぞれ正確に判定することができる。
次に、本実施形態による膜厚測定方法の評価結果について図7を用いて説明する。図7は、本実施形態による膜厚測定方法の評価結果を示すグラフである。図7におけるA,B,Cは、それぞれサンプルA,B,Cについての測定結果である。図7の縦軸は、膜厚を示している。図7における■印は、本実施形態による膜厚測定方法により測定された導電性プライマ層31aの膜厚である。図7における□印は、破壊試験により測定された導電性プライマ層31aの膜厚である。図7における●印は、本実施形態による膜厚測定方法により測定されたメタリックベース層31bの膜厚である。図7における□印は、破壊試験により測定されたメタリックベース層31bの膜厚である。図7における▲印は、本実施形態による膜厚測定方法により測定されたクリア層31cの膜厚である。図7における△印は、破壊試験により測定されたクリア層31cの膜厚である。
図7から分かるように、本実施形態による膜厚測定方法により測定された各層の膜厚と破壊試験により測定された各層の膜厚との差は極めて小さい。
このことから、本実施形態によれば、極めて高精度に各層の膜厚を測定し得ることが分かる。
このように、本実施形態によれば、プリズム21を介してテラヘルツ波を試料3に照射するため、比較的大きい入射角θ4で第1層目の膜31aと試料30との界面にテラヘルツ波を入射させることができる。比較的大きい入射角θ4で第1層目の膜31aと試料30との界面にテラヘルツ波を入射させることができるため、試料3からの反射波のS偏光成分の時間波形(挙動)とP偏光成分の時間波形(挙動)との間に顕著な差を生じさせることができる。このため、本実施形態によれば、テラヘルツ波の散乱や吸収を生じさせる膜31bが積層膜32中に存在する場合であっても、反射波のS偏光成分の時間波形(挙動)と反射波のP偏光成分の時間波形(挙動)との差に基づいて、第1層目の膜31aの膜厚を正確且つ確実に測定することができる。
また、本実施形態によれば、プリズム21の当接面70と試料3の表面とを当接させるだけで、位置合わせ及び角度合わせを行うことができる。即ち、本実施形態によれば、簡便な方法で正確且つ確実にセッティングができるため、高いスループットで高精度に膜厚の測定を行うことができる。
また、本実施形態によれば、プリズム21を介してテラヘルツ波を試料3に照射し、プリズム21を介して試料3からの反射波を取得するため、テラヘルツ波が空気中を伝搬する距離が極めて小さい。このため、空気中の水分によるテラヘルツ波の吸収が少なく、本実施形態によれば、湿度の高い環境中であっても、正確且つ確実に膜厚を測定することができる。
(変形例(その1))
本実施形態による膜厚測定装置の変形例(その1)について図8を用いて説明する。図8は、本変形例による膜厚測定装置を示すブロック図である。
本変形例による膜厚測定装置は、遅延時間を高速で変化させ得る光学遅延部13aが設けられているものである。
図8に示すように、円板58上に複数のコーナーキューブプリズム57が配されている。コーナーキューブプリズム57の数は、例えば4個とする。円板58は、モータ(図示せず)等により高速で回転させることが可能である。光ファイバ49内を伝搬したポンプ光は、コリメートレンズ59によりコリメートされ、偏光ビームスプリッタ60及び1/4波長板61を通過するようになっている。1/4波長板61を通過したポンプ光は、コーナーキューブプリズム57により反射され、ミラー62により更に反射され、コーナーキューブプリズム57により更に反射され、1/4波長板61を再び通過する。1/4波長板61を通過したポンプ光は、偏光ビームスプリッタ60により反射され、集光レンズ63により集光され、光ファイバ51内に導入される。このように、高速な光学遅延部13aを配してもよい。モータの回転数は、例えば1500rpm程度とする。モータの回転数を例えば1500rpmに設定すれば、例えば100Hzの繰り返し周期で遅延時間の掃引を行うことができる。
このような高速の光学遅延部13aを用いる場合には、光学遅延部13の動作にロックインアンプ5の動作が追随し得ない。そこで、本実施形態では、ボックスカー積分器5aが用いられている。ボックスカー積分器5aは、高速な繰り返し信号を効率よく高いS/N比で測定し得る装置である。ボックスカー積分器5aは、任意の時間幅でゲートをかけ、必要な信号成分だけを効率よく取り出すことができる。
なお、ボックスカー積分器13aの処理速度が十分に速くない場合には、光学遅延部13の動作にボックスカー積分器13aが追随しえないため、処理速度が十分に速いボックスカー積分器13aを用いることが好ましい。
なお、本変形例においては、円板58上にコーナーキューブプリズム57を設ける場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、円板58上に複数のミラー(図示せず)を配し、これらミラーの角度をアクチュエータにより適宜変化させるようにしてもよい。
また、ここでは、ボックスカー積分器13aを用いてS/N比の高い信号を取得する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、シグナルアベレージャ等を用いて、S/N比の高い信号を取得するようにしてもよい。シグナルアベレージャは、高速A/Dコンバータと専用ハードウェアとを搭載し、微小信号を高速にアベレージングすることでS/N比を向上する装置である。
このように、高速の光学遅延部13aを用い、高速の光学遅延部13aの動作に追随可能なボックスカー積分器5a等を用いてもよい。本変形例によれば、より高速で膜厚を測定し得る膜厚測定装置を提供することが可能となる。
(変形例(その2))
本実施形態による膜厚測定装置の変形例(その2)について図9を用いて説明する。図9は、本変形例による膜厚測定装置を示すブロック図である。
本変形例による膜厚測定装置は、ポンプ光を増幅する光ファイバ増幅器とプローブ光を増幅する光ファイバ増幅器とが共通化され、ポンプ光を圧縮するパルス圧縮器とプローブ光を圧縮するパルス圧縮器とが共通化されているものである。
図9に示すように、分波器11により分岐されたレーザ光のうちの一方であるポンプ光は、光学遅延部13aを経て、偏光ビームコンバイナ(PBC:Polarization Beam Combiner)64に入力されるようになっている。また、分波器11により分岐されたレーザ光のうちの他方であるプローブ光は、光路長調整用の光ファイバ24を経てPBC64に入力されるようになっている。PBC64は、2本の光ファイバから入力される直交した偏光を合波して1本の光ファイバに出力する部品である。光ファイバ24,48,49,51として偏波保持光ファイバを適宜用いれば、偏波方向が互いに直交するポンプ光とプローブ光とをPBC64に入力することが可能である。PBC64に入力されるポンプ光及びプローブ光は、PBC64により合波される。PBC64により合波されたレーザ光は、光ファイバ65内を伝搬し、パルス幅伸張器14に入力されるようなっている。また、励起用光源15から出力されるレーザ光が、光ファイバ66内を伝搬し、パルス幅伸張器14に入力されるようになっている。光ファイバ65,66としては、例えば偏波保持光ファイバを用いることができる。
パルス幅伸張器14から出力されるレーザ光は、光ファイバ52内を伝搬し、光ファイバ増幅器16に入力されるようになっている。光ファイバ増幅器16から出力されるレーザ光は、光ファイバ54内を伝搬し、パルス圧縮器17に入力されるようになっている。パルス圧縮器17から出力されるレーザ光は、光ファイバ67内を伝搬し、偏光ビームスプリッタ(PBS:Polarizing Beam Splitter)68に入力されるようになっている。光ファイバ52,54,67としては、例えば偏波保持光ファイバを用いる。PBS68は、直交した2つの偏光を2本の光ファイバに分離して出力する部品である。PBS68から出力されるポンプ光は、光ファイバ18内を伝搬するようになっている。一方、PBS68から出力されるプローブ光は、光ファイバ28内を伝搬するようになっている。
このように、ポンプ光を増幅する光ファイバ増幅器とプローブ光を増幅する光ファイバ増幅器とを共通化し、ポンプ光を圧縮するパルス圧縮器とプローブ光を圧縮するパルス圧縮器とが共通化してもよい。本変形例によれば、これら光ファイバ増幅器16及びパルス圧縮器17が共通化されているため、装置コストの低減に寄与することができる。
(変形例(その3))
本実施形態による膜厚測定装置の変形例(その3)について図10を用いて説明する。図10は、本変形例による膜厚測定装置の一部を示す断面図である。
本変形例による膜厚測定装置は、プリズム21の当接面70と試料3の表面との間の間隙を埋めるための部材72を、プリズム21の当接面70と試料3の表面との間に挟み込むものである。
図10に示すように、本変形例では、試料3の表面が凹状に湾曲している。試料3の表面が凹状に湾曲している場合において、当接面70が平坦なプリズム21を試料3に当接させようとした場合には、プリズム21の当接面70と試料3の表面との間に間隙が生じてしまう。プリズム21の当接面70と試料3の表面との間の隙間がテラヘルツ波の波長に対して無視できない程度に大きい場合には、プリズム21の当接面70においてテラヘルツ波が全反射してしまい、試料3にテラヘルツ波を照射することが困難となる。そこで、本変形例においては、プリズム21の当接面70を凸状に湾曲させている。本変形例によれば、プリズム21の当接面70が凸状に湾曲しているため、プリズム21の当接面70と試料3の表面とを確実に当接させることが可能である。従って、本変形例によれば、試料3の表面が凹状に湾曲している場合であっても、テラヘルツ波を試料70に照射することができ、試料70からの反射波を検出することが可能となる。
ところで、プリズム21の当接面70の曲率と試料3の表面の曲率とが異なる場合には、プリズム21の当接面70と試料3の表面とが部分的にしか当接せず、プリズム21の当接面70と試料3の表面との間に間隙が生じてしまう。プリズム21の当接面70と試料3の表面との間の間隙が、テラヘルツ波の波長に対して無視できない程度に大きい場合には、試料70へのテラヘルツ波の照射や試料70からの反射波の検出を確実に行い得ない場合がある。そこで、プリズム21の当接面70の曲率と試料3の表面の曲率とが異なることが想定される場合には、プリズム21の当接面70と試料3の表面との間の間隙を埋めるような部材(屈折率整合材)72を用いることが好ましい。
リズム21の当接面70と試料3の表面との間の間隙を埋めるための部材72は、以下のような条件を満たすことが好ましい。即ち、部材72におけるテラヘルツ波の透過率は、プリズム21におけるテラヘルツ波の透過率と同等程度であることが好ましい。また、部材72の屈折率は、プリズム21の屈折率と同等程度であることが好ましい。このような部材72をプリズム21の当接面と試料3の表面との間に挟み込めば、テラヘルツ波を試料3に確実に照射することができ、また、試料3からの反射波を確実に検出することができる。
なお、部材72におけるテラヘルツ波の透過率は、プリズム21におけるテラヘルツ波の透過率と同等であることに限定されるものではない。部材72におけるテラヘルツ波の透過率とプリズム21におけるテラヘルツ波の透過率とがある程度異なっていても、テラヘルツ波を試料3に照射し、試料3からの反射波を検出することは可能である。また、部材72の屈折率は、プリズム21の屈折率と同等であることに限定されるものではない。部材72の屈折率がプリズム21の屈折率とある程度異なっていても、テラヘルツ波を試料3に照射し、試料3からの反射波を検出することは可能である。
部材72の素材としては、例えば、硬度が小さく柔軟性に富んだ材料であるゲル状体やシート状体等を用いることが好ましい。このような素材は試料3の表面の形状に容易に追随し得るため、プリズム21の当接面70と試料3の表面との間の間隙を確実に埋めることができる。また、プリズム21を試料3から取り外すときに、プリズム21と一緒に部材72を取り外すことが可能であり、試料3に部材72が残存するのを防止することができる。
なお、部材72の材料は、柔軟性に富んだ材料に限定されるものではなく、例えば、柔軟性が乏しい材料であってもよい。例えば、部材72の材料が、プリズム21の材料と同等の材料であってもよい。
また、部材72は、ゲル状体やシート状体の固体に限定されるものではなく、例えば、液体であってもよい。ただし、部材72が液体である場合には、プリズム21を試料3から取り外した際に、試料3の表面に部材72が残存してしまう。このため、部材72が液体である場合には、試料3から部材72を除去する手間が生ずる。このような手間を省く観点からは、上述したように、部材72が固体であることが好ましい。
このように、プリズム21の当接面70と試料3の表面との間の間隙を埋めるための部材72を、プリズム21の当接面70と試料3の表面との間に挟み込むようにしてもよい。本変形例によれば、プリズム21の当接面70と試料3の表面との間の間隙が部材72により確実に埋められるため、テラヘルツ波を試料3に確実に照射することができ、また、試料3からの反射波を確実に検出することができる。
(変形例(その4))
本実施形態による膜厚測定装置の変形例(その4)について図11を用いて説明する。図11は、本変形例による膜厚測定装置の一部を示す断面図である。
本変形例による膜厚測定装置は、空気中におけるテラヘルツ波の伝搬長をより短くしたものである。
図11に示すように、テラヘルツ波発生器19の端面には、コリメートレンズ41aが取り付けられている。テラヘルツ波発生器19に取り付けられたコリメートレンズ41aの後段には、レーザ光カットフィルタ42が配されている。コリメートレンズ41aとレーザ光カットフィルタ42との間の距離は、例えば3mm程度とする。レーザ光カットフィルタ42の後段には、偏光板20が配されている。プリズム21の入射面69には、集光レンズ43aが取り付けられている。偏光板20と集光レンズ43aとの間の距離は、例えば3mm程度とする。テラヘルツ波発生器19、レーザ光カットフィルタ42及び偏光板20は支持部材74により支持されており、かかる支持部材74はプリズム21の入射面69に固定されている。
プリズム21の出射面71には、コリメートレンズ44aが取り付けられている。コリメートレンズ44aが取り付けられたプリズム21の後段には、偏光板22が配されている。コリメートレンズ44aと偏光板22との間の距離は、例えば3mm程度とする。偏光板22の後段には、入力側に集光レンズ45aが取り付けられたテラヘルツ波検出器23が配されている。偏光板22と集光レンズ45aとの間の距離は、例えば3mm程度とする。偏光板22及びテラヘルツ波検出器23は支持部材76により支持されており、かかる支持部材76はプリズム21の出射面71に固定されている。
空気中におけるテラヘルツ波の伝搬箇所は、コリメートレンズ41aとレーザ光カットフィルタ42との間の箇所、レーザ光カットフィルタ42と偏光板20との間の箇所、コリメートレンズ44aと偏光板22との間の箇所、及び、偏光板22と集光レンズ45aとの間の箇所である。テラヘルツ波の伝搬方向におけるこれらの箇所の寸法は、極めて小さい。このため、本変形例によれば、テラヘルツの伝搬経路における空気中に水分が存在している場合であっても、テラヘルツ波が著しく吸収されてしまうことはない。
なお、ここでは、テラヘルツ波発生器19の出射面にコリメートレンズ41aを取り付けたが、テラヘルツ波発生器19とコリメートレンズ41aとを一体化してもよい。また、ここでは、プリズム21の入射面に集光レンズ43aを取り付け、プリズム21の出射面にコリメートレンズ44aを取り付けたが、これら集光レンズ43a及びコリメートレンズ44aをプリズム21と一体化してもよい。また、ここでは、テラヘルツ波検出器23の入射面に集光レンズ45aを取り付けたが、テラヘルツ波検出器23と集光レンズ45aとを一体化してもよい。
このように、本変形例によれば、空気中におけるテラヘルツ波の伝搬距離を極めて小さくすることができる。このため、本変形例によれば、テラヘルツの伝搬経路における空気中に水分が存在している場合であっても、テラヘルツ波が著しく吸収されてしまうことはない。従って、本変形例によれば、テラヘルツの伝搬経路に対して簡便な除湿を行うだけで足り、また、テラヘルツの伝搬経路に対して除湿を行わないようにすることも可能である。
(変形例(その5))
本実施形態による膜厚測定装置の変形例(その5)について図12を用いて説明する。図12は、本変形例による膜厚測定装置の一部を示す斜視図である。なお、図12においては、プリズム21の図示を省略している。
本変形例による膜厚測定装置は、テラヘルツ波発生器19とプリズム21との間に配した偏光板20を用いてS波とP波との切り替えを行うものである。
本変形例では、テラヘルツ波発生器19とプリズム21との間には偏光板20は配されているが、プリズム21とテラヘルツ波検出器23との間には偏光板22(図1参照)は配されていない。テラヘルツ波発生器19から出射されるテラヘルツ波の偏光の傾きは、45度に設定されている。テラヘルツ波発生器19から出射されるテラヘルツ波の偏光の傾きを45度に設定しているのは、S波もP波もバランスよく照射し得るようにするためである。また、本変形例では、テラヘルツ波検出器23のダイポールアンテナ72a、72bの傾きは、45度に設定されている。図9における点線は、ダイポールアンテナ72a、72bのギャップの方向を示している。テラヘルツ波検出器23のダイポールアンテナ72a、72bの傾きを45度に設定しているのは、S波もP波もバランスよく検出し得るようにするためである。
図12(a)は、S波が通過するように偏光板20の角度を設定した場合を示す概略図である。S波のみが通過するように偏光板20の角度が設定されているため、試料3にはS波のみが照射される。そして、試料3により反射されたS波が、テラヘルツ波検出器23の一対のダイポールアンテナ72a、72bに達する。従って、テラヘルツ波検出器23は、試料3において反射されたS波を検出することができる。
図12(b)は、P波が通過するように偏光板20の角度を設定した場合を示す概略図である。図12(a)の状態に対して、偏光板20を90度回転させれば、P波のみを通過させるように偏光板20を設定することができる。なお、偏光板20は、例えばアクチュエータ(図示せず)を用いて回転させることができる。かかるアクチュエータは、例えば制御装置6により制御することができる。P波のみが通過するように偏光板20の角度が設定されているため、試料3にはP波のみが照射される。そして、試料3において反射されたP波が、テラヘルツ波検出器23の一対のダイポールアンテナ72a、72bに達する。テラヘルツ波検出器23は、試料3において反射されたP波を検出する。
なお、ここでは、偏光板20を回転させることにより、P波とS波とを切り替えたが、これに限定されるものではない。P波のみを通過させる偏光子とS波のみを通過させる偏光板とを切り替えるようにしてもよい。P波のみを通過させる偏光板とS波のみを通過させる偏光板との切り替えは、例えばアクチュエータ(図示せず)を用いて行うことができる。かるアクチュエータは、例えば制御装置6により制御することができる。
このように、本変形例によっても、P波とS波とを切り替えて試料3に照射することができる。
(変形例(その6))
本実施形態による膜厚測定装置の変形例(その6)について図13を用いて説明する。図13は、本変形例による膜厚測定装置の一部を示す斜視図である。なお、図13においては、プリズム21の図示を省略している。
本変形例による膜厚測定装置は、テラヘルツ波発生器19を回転させることによりS波とP波との切り替えを行うものである。本変形例では、テラヘルツ波発生器19とプリズム21との間に偏光板20(図1参照)が配されておらず、プリズム21とテラヘルツ波検出器23との間にも偏光板22(図1参照)が配されていない。本変形例では、テラヘルツ波検出器23のダイポールアンテナ72a、72bの傾きは、45度に設定されている。ラヘルツ波検出器23のダイポールアンテナ72a、72bの傾きを45度に設定しているのは、S波もP波もバランスよく検出し得るようにするためである。
図13(a)は、テラヘルツ波発生器19からS波のみが出射されるようにテラヘルツ波19の角度を設定した場合を示す概略図である。S波のみが出射されるようにテラヘルツ波19の角度が設定されているため、試料3にはS波のみが照射される。そして、試料3により反射されたS波が、テラヘルツ波検出器23の一対のダイポールアンテナ72a、72bに達する。従って、テラヘルツ波検出器23は、試料3において反射されたS波を検出することができる。
図13(b)は、テラヘルツ波発生器19からP波のみが出射されるようにテラヘルツ波19の角度を設定した場合を示す概略図である。図13(a)の状態に対して、テラヘルツ波発生器19を90度回転させれば、P波のみが出射されるようにテラヘルツ波発生器19を設定することができる。なお、テラヘルツ波発生器19に入射されるポンプ光の偏光も、テラヘルツ波の偏光と同様に回転させる必要があるため、テラヘルツ波発生器19と光ファイバ18とを一緒に回転させることが好ましい。P波のみが出射されるようにテラヘルツ波19の角度が設定されているため、試料3にはP波のみが照射される。そして、試料3により反射されたP波が、テラヘルツ波検出器23の一対のダイポールアンテナ72a、72bに達する。従って、テラヘルツ波検出器23は、試料3において反射されたP波を検出することができる。
なお、ここでは、テラヘルツ波発生器19を回転させることによりS波とP波との切り替えを行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、テラヘルツ波発生器19の後段にテラヘルツ波用の1/2波長板を配し、1/2波長板の回転角を適宜設定することにより、S波とP波との切り替えを行うようにしてもよい。
このように、本変形例によっても、P波とS波とを切り替えて試料3に照射することができる。
(変形例(その7))
本実施形態による膜厚測定装置の変形例(その7)について図14を用いて説明する。図14(a)は、本変形例による膜厚測定装置の一部を示す平面図であり、図14(b)は、図14(a)に対応する断面図である。
本変形例による膜厚測定装置は、P波を出射するためのテラヘルツ波発生器19aとS波を出射するためのテラヘルツ波発生器19bとを別個に配するものである。本変形例では、試料3において反射されたP波を検出するためのテラヘルツ波検出器23aと、試料3において検出されたS波を検出するためのテラヘルツ波検出器23bとが別個に配されている。プリズム21の形状は、例えば四角錐台、より具体的には、正四角錐台となっている。平面視において、例えばプリズム21の左側にはテラヘルツ波発生器19aが配されており、プリズム21の右側にはテラヘルツ波検出器23aが配されている。また、平面視において、例えばプリズム21の上側にはテラヘルツ波発生器19bが配されており、プリズム21の下側にはテラヘルツ波検出器23bが配されている。このように、平面視においてテラヘルツ波発生器19aとテラヘルツ波検出器23aとを結ぶ線と、平面視においてテラヘルツ波発生器19bとテラヘルツ波検出器23bとを結ぶ線は、互いに交差しており、より具体的には、互いに直交している。
テラヘルツ波発生器19aは、S波のみを発するように設定されている。テラヘルツ波発生器19aから発せられるS波は、プリズム21の入射面69aを介してプリズム21内に導入され、試料3に照射される。試料3において反射されたS波は、プリズム21の出射面71aから出射され、テラヘルツ波検出器23aにより検出される。
テラヘルツ波19bは、例えばP波のみを発するように設定されている。テラヘルツ波発生器19bから発せられるP波は、プリズム21の入射面69bを介してプリズム21内に導入され、試料3に照射される。平面視においてテラヘルツ波発生器19aとテラヘルツ波検出器23aとを結ぶ線と、平面視においてテラヘルツ波発生器19bとテラヘルツ波検出器23bとを結ぶ線とが、互いに交差しているため、S波が照射される箇所と同じ箇所にP波を照射し得る。試料3において反射されたP波は、プリズム21の出射面71bから出射され、テラヘルツ波検出器23bにより検出される。
本変形例では、2つのテラヘルツ波発生器19a、19bが設けられるため、2つのポンプ光が必要である。光ファイバ増幅器16等をそれぞれ2つ設け、これら2つの光ファイバ増幅器16等からそれぞれポンプ光を出力するようにしてもよいし、光ファイバ増幅器16等により増幅されたポンプ光を2つに分岐してするようにしてもよい。
また、本変形例では、2つのテラヘルツ波検出器23a、23bが配されるため、2つのプローブ光が必要である。光ファイバ増幅器26等を2つ設け、これら2つの光ファイバ増幅器26等からそれぞれプローブ光を出力するようにしてもよいし、光ファイバ増幅器26等により増幅されるプローブ光を2つに分岐してするようにしてもよい。
また、テラヘルツ波検出器23aにより検出されるS波とテラヘルツ波検出器23bにより検出されるP波とを、同時にサンプリング処理するようにしてもよいし、交互にサンプリング処理するようにしてもよい。
(変形例(その8))
本実施形態による膜厚測定装置の変形例(その8)について図15を用いて説明する。図15は、本変形例による膜厚測定装置の一部を示す斜視図である。なお、図15においては、プリズム21の図示を省略している。
本変形例による膜厚測定装置は、プリズム21とテラヘルツ波検出器23との間に配した偏光板22を用いてS波とP波との切り替えを行うものである。
本変形例では、プリズム21とテラヘルツ波検出器23との間には偏光板22が配されているが、テラヘルツ波発生器19とプリズム21との間には偏光板20(図1参照)は配されていない。テラヘルツ波発生器19から出射されるテラヘルツ波の偏光の傾きは、45度に設定されている。テラヘルツ波発生器19から出射されるテラヘルツ波の偏光の傾きを45度に設定しているのは、S波もP波もバランスよく照射し得るようにするためである。また、本変形例では、テラヘルツ波検出器23のダイポールアンテナ72a、72bの傾きは、45度に設定されている。テラヘルツ波検出器23のダイポールアンテナ72a、72bの傾きを45度に設定しているのは、S波もP波もバランスよく検出し得るようにするためである。
図15(a)は、S波が通過するように偏光板22の角度を設定した場合を示す概略図である。テラヘルツ波発生器19から出射されるテラヘルツ波の偏光の傾きが45度に設定されているため、試料3にはS波及びP波が照射される。S波のみが通過するように偏光板22の角度が設定されているため、試料3において反射されるS波及びP波のうちのS波のみが偏光板22を通過する。そして、偏光板22を通過したS波が、テラヘルツ波検出器23の一対のダイポールアンテナ72a、72bに達する。従って、テラヘルツ波検出器23は、試料3において反射されたS波及びP波のうちのS波のみを検出する。
図15(b)は、P波が通過するように偏光板22の角度を設定した場合を示す概略図である。図15(a)の状態に対して、偏光板20を90度回転させれば、P波のみを通過させるように偏光板22を設定することができる。なお、偏光板22は、例えばアクチュエータ(図示せず)を用いて回転させることができる。テラヘルツ波発生器19から出射されるテラヘルツ波の偏光の傾きが45度に設定されているため、試料3にはS波及びP波が照射される。P波のみが通過するように偏光板22の角度が設定されているため、試料3において反射されるS波及びP波のうちのP波のみが偏光板22を通過する。そして、偏光板22を通過したP波が、テラヘルツ波検出器23の一対のダイポールアンテナ72a、72bに達する。従って、テラヘルツ波検出器23は、試料3において反射されたS波及びP波のうちのP波のみを検出する。
なお、ここでは、偏光板22を回転させることにより、S波とP波とを切り替えたが、これに限定されるものではない。S波のみを通過させる偏光板とP波のみを通過させる偏光板とを切り替えるようにしてもよい。S波のみを通過させる偏光板とP波のみを通過させる偏光板との切り替えは、例えばアクチュエータ(図示せず)を用いて行うことができる。かるアクチュエータは、例えば制御装置6により制御することができる。
このように、本変形例によっても、S波とP波とをそれぞれ検出することができる。
(変形例(その9))
本実施形態による膜厚測定装置の変形例(その9)について図16を用いて説明する。図16は、本変形例による膜厚測定装置の一部を示す平面図である。
本変形例による膜厚測定装置は、S波とP波とを含むテラヘルツ波をテラヘルツ波発生器19から出力し、テラヘルツ波検出器23aによりS波を検出し、テラヘルツ波検出器23aと別個のテラヘルツ波検出器23bによりP波を検出するものである。テラヘルツ波発生器19から出射されるテラヘルツ波の偏光の傾きは、例えば45度に設定されている。テラヘルツ波発生器19から出射されるテラヘルツ波の偏光の傾きを45度に設定しているのは、S波もP波もバランスよく照射し得るようにするためである。本変形例では、テラヘルツ波発生器19とプリズム21との間には偏光板20(図1参照)は配されていない。プリズム21の後段には、偏光板22aが配されている。偏光板22aは、S波とP波とを分岐し得るものである。
テラヘルツ波発生器19から出力されるテラヘルツ波にはS波もP波も含まれているため、試料3にはS波もP波も照射される。試料3において反射されたS波及びP波は、プリズム21の出射面71を介して出力され、偏光板22aによりS波とP波とに分岐される。偏光板22により分岐されたS波は、テラヘルツ波検出器23aにより検出される。一方、偏光板22により分岐されたP波は、テラヘルツ波検出器23bにより検出される。
また、本変形例では、2つのテラヘルツ波検出器23a、23bが配されるため、2つのプローブ光が必要である。光ファイバ増幅器26等を2つ設け、これら2つの光ファイバ増幅器26等からそれぞれプローブ光を出力するようにしてもよいし、光ファイバ増幅器26等により増幅されたプローブ光を2つに分岐してするようにしてもよい。
また、テラヘルツ波検出器23aにより検出されるS波とテラヘルツ波検出器23bにより検出されるP波とを、同時にサンプリング処理するようにしてもよいし、交互にサンプリング処理するようにしてもよい。
このように、本変形例によっても、S波とP波とをそれぞれ検出することができる。
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、テラヘルツ波の散乱や吸収を生じさせる膜31bが導電性粒子(金属粒子、金属粉体)を含む膜である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、空孔を含む膜においても、テラヘルツ波の散乱や吸収が生じる。空孔を含む膜としては、例えば多孔質膜等が挙げられる。より具体的には、空孔を含む膜として、多孔質のセラミックス層等が挙げられる。多孔質のセラミックス膜の材料としては、例えば酸化ジルコニウム(ZrO2)や酸化アルミニウム(Al2O3)等が挙げられる。多孔質のセラミックス層は、例えば溶射法等により基材上に形成することができる。図17は、本発明の変形実施形態における試料を示す断面図である。図17に示すように、基材30a上に第1層目の膜31dが形成され、第1層目の膜31d上に空孔を含む第2層目の膜31eが形成されている。基材30aの材料としては、例えば樹脂等が挙げられる。第1層目の膜31dの材料としては、例えば樹脂等が挙げられる。第2層目の膜31eは、空孔を含む膜である。より具体的には、第2層目の膜31eとして、多孔質のセラミックス膜等を挙げることができる。第1層目の膜31dと第2層目の膜31eとにより積層膜32aが構成されている。なお、ここでは、基材30a上に形成された積層膜32aが2層構造である場合を例に説明したが、積層膜32aは2層構造に限定されるものではない。テラヘルツ波の散乱や吸収を生じさせる膜31bが3層以上の積層膜中に含まれている場合にも、本発明を適用し得る。なお、ここでは、基材30aの材料が樹脂である場合を例に説明したが、基材30aの材料は樹脂に限定されるものではない。また、ここでは、第1層目の膜31dの材料が樹脂である場合を例に説明したが、第1層目の膜31dの材料も樹脂に限定されるものではない。このように、テラヘルツ波の散乱や吸収を生じさせる膜31bが、空孔を含む膜であってもよい。
また、上記実施形態では、時間差T3と第1層目の膜31aの膜厚との関係を予めサンプル試料を用いて測定しておき、予め測定した関係に基づいて試料3における第1層目の膜31aの膜厚を判定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、S偏光成分の時間波形(挙動)とP偏光成分の時間波形(挙動)との差に対して、計算等を行うことにより、第1層目の膜31aの膜厚を求めるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、第2のデコンボリューションフィルタ処理により得られた時間波形のピークに基づいて、第2層目の膜31bの膜厚を判定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1のデコンボリューションフィルタ処理により得られた時間波形のピークに基づいて、第2層目の膜31bの膜厚を判定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、3層構造の積層膜32の各々の膜31a〜31cの膜厚を測定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。2層構造の積層膜の各々の膜の膜厚を測定する場合にも本発明を適用することができる。例えば、2層構造の積層膜の第2層目の膜においてテラヘルツ波の散乱や吸収等が生じる場合であっても、第1層目の膜の膜厚を正確に測定することが可能である。また、4層以上の積層膜の各々の膜の膜厚を測定する場合にも、本発明を適用可能である。
また、上記実施形態では、メタリックベース層31bの層数が1層である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。メタリックベース層31bが複数層形成されていてもよい。即ち、テラヘルツ波の散乱や吸収を生じさせる膜31bが複数層形成されていてもよい。例えば、図1におけるメタリックベース層31bとクリア層31cとの間に、1層又は2層以上のメタリックベース層が更に形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、クリア層31cの層数が1層である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。クリア層31cが複数層形成されていてもよい。例えば、図1におけるクリア層31c上に、1層又は2層以上のクリア層が更に形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、クリア層31cが形成されている場合を例に説明したが、クリア層31cが形成されていなくてもよい。