JP6107770B2 - 連続鋳造鋳片の横割れ検知方法及び装置、該検知方法を用いた連続鋳造鋳片の製造方法及び装置 - Google Patents

連続鋳造鋳片の横割れ検知方法及び装置、該検知方法を用いた連続鋳造鋳片の製造方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、連続鋳造鋳片の横割れ検知方法及び装置、該検知方法を用いた連続鋳造鋳片の製造方法及び装置に関するものである。
連続鋳造で得られる鋳造鋳片には多種多様な欠陥があり、発生状況は鋳型の機種、鋼種、鋳造サイズ、及び操業条件等で異なる。
これら欠陥のうち表面縦割れ及び横割れに関しては、特に炭素を0.1〜0.18%の範囲で含有する鋼の場合に発生しやすいことが良く知られている。これは、初期凝固中にパウダーの流入不足や流入過多により局所的な抜熱の不均一が生じ、シェル厚が薄くなった部分で歪みが発生し、これが割れの芽となり、二次冷却でこの芽の部分が拡大して縦割れ及び横割れになるとされている。
鋳造鋳片の縦割れを検知する技術としては、例えば特許文献1に開示された「連続鋳造鋳片の縦割れ検知方法」がある。この特許文献1に開示されたものは、鋳造方向に複数個設置した温度測定素子による鋳型温度の測定結果から、信号のパターン処理(温度低下部が時間と共に下方に移動する現象のパターン化)により、割れの芽の発生を検知する方法である。
また、特許文献2には、鋳造鋳片の表面疵の発生を検知(予知)する技術として「連続鋳造用鋳型に、その鋳造方向及び/又は鋳型幅方向に複数の温度測定素子を設置して鋳型温度を計測し、同時に計測した溶鋼の湯面レベル、及び鋳造速度からオンラインにて伝熱、凝固計算を行い、鋳片シェル厚み及びシェル内温度分布を計算し、この値に基づき、鋳造方向及び鋳型幅方向の鋳片の変形及び応力状態を計算し、引張り応力値又は歪みが、所定値以上になったときに鋳片の表面疵の発生を検知あるいは予知することを特徴とする連続鋳造鋳片の表面疵予知方法。」が開示されている。
さらに、特許文献3には、鋳造鋳片の表面欠陥を検知する技術ではないが、鋳型と鋳造鋳片の間に生じる摩擦力を測定し、摩擦力が定常時の1.5〜2.0倍以上のときにブレークアウトの発生の危険があるとして、オッシレーションのストロークを大きくする等によりブレークアウトを防止する技術が開示されている。
特開平8−117944号公報 特開平2000−317595 特許2976854号
特許文献1に開示された発明は、鋳造鋳片内の状態を知る手段として、温度測定素子の情報を利用しているため、温度測定素子が設置されていない場所での割れの発生を検知することはできない。特に、横割れは鋳造方向に対して直交する方向で発生するものであるから、鋳型内で鋳造鋳片に発生した横割れの核を温度変化として捉えることは非常に難しい。
また、特許文献2に開示された発明も、温度測定素子による温度データを取得していることから、上記の特許文献1と同様に横割れの核を捉えるのは難しい。また、特許文献2の発明は、温度データと伝熱計算を組み合わせることで初期凝固シェル全面において割れの芽を推定しているが、鋳型内ではパウダー状態(ガラス、結晶、液体)やエアギャップ、シェルの変形などといった事象が複雑に影響しあっているため、容易に、かつ、正確に鋳造鋳片内の状態を推定することは極めて困難であり、これに基づいて横割れ発生を正確に予測するのは難しい。
特許文献3の技術は、鋳型と鋳造鋳片間に生じた摩擦力が定常時よりも増加したことをブレークアウトの発生と関連付けている。このように鋳型と鋳片間の摩擦力の測定は行われていたが、摩擦力の増加と横割れ発生との関係は不明であった。
以上のように、鋳造中に横割れの発生を検知して、横割れ発生の危険がある時に何らかの対策をとり、横割れによる鋳造鋳片の品質低下を最小限に抑える方法として有効なものがないのが現状である。
本発明は係る課題を解決するためになされたものであり、横割れ発生を正確に検知すること、及びこの検知に基づいて横割れのない高品質な鋳造鋳片を製造する技術を提供することを目的としている。
鋳型内における凝固シェルの状態を推定する方法としては、鋳型内に設置した温度測定素子を用いるのが一般的である。
確かに、縦割れは鋳造方向に生ずる割れであり、例えば鋳型上部(メニスカスに近い部位)で鋳造鋳片に割れの核が生じた場合、これが鋳型下部の鋳造鋳片にも影響するため、温度測定素子による検知が可能である。
しかし、横割れの核の場合、鋳造方向と直交する鋳型幅方向に生ずる割れであるから、鋳造鋳片が引き抜かれるときにタイミングよく検知できない限り検知するのは難しい。
確かに、温度測定素子によって検知可能な凝固シェルの厚みの変化は横割れの発生原因として、間接的には関連している。
しかし、直接的には、鋳造鋳片に引張り応力や圧縮応力が不均一に作用し、これによってオシレーションマークの深さのばらつきや局所的な応力集中が発生して、鋳造鋳片表面の横割れの要因が生成すると考えられる。
そこで、発明者は、横割れの発生は凝固シェルの鋳造方向に発生する応力と相関があるのではないかと考え、このような応力の発生を鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力の変化で捉えることを考えた。
本発明は以上の考えに基づくものであり、具体的には以下の構成を備えている。
(1)本発明に係る連続鋳造鋳片の横割れ検知方法は、オンライン時及びオフライン時における鋳型加振時の負荷の時間離散データに基づいて鋳型と鋳造鋳片間に生じる摩擦力を算出し、算出した摩擦力の摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])が予め設定した閾値を超えた時に横割れ発生の危険があると検知することを特徴とするものである。
(2)本発明に係る連続鋳造鋳片の横割れ検知方法は、オンライン時及びオフライン時における鋳型加振時の振動変位及び負荷の時間離散データに基づいて鋳型と鋳造鋳片間に生じる摩擦力を算出し、算出した摩擦力の摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])が予め設定した閾値を超えた時に横割れ発生の危険があると検知することを特徴とするものである。
(3)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記閾値は10%であることを特徴とするものである。
(4)本発明に係る連続鋳造鋳片の製造方法は、上記(1)、(2)又は(3)に記載の連続鋳造鋳片の横割れ検知方法を用いた連続鋳造鋳片の製造方法であって、前記横割れ検知方法によって横割れ発生の危険があると検知された場合には、前記摩擦力変動係数が上記(3)に記載の閾値以下となるように操業条件を変更して連続鋳造することを特徴とするものである。
(5)上記(4)に記載のものにおいて、前記操業条件の変更は、鋳造速度を減速すること及び/又は鋳型の振動振幅を小さくすることを特徴とするものである。
(6)本発明に係る連続鋳造鋳片の製造方法は、上記(1)、(2)又は(3)に記載の連続鋳造鋳片の横割れ検知方法を用いた連続鋳造鋳片の製造方法であって、前記横割れ検知方法によって横割れ発生の危険があると検知された場合には、製造された連続鋳造鋳片を検品し、横割れ部を手入れすることを特徴とするものである。
(7)本発明に係る連続鋳造鋳片の横割れ検知装置は、オシレーション装置の油圧シリンダーの油圧計の情報を入力して摩擦力を演算する摩擦力演算手段と、該摩擦力演算手段の演算結果に基づいて摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])を演算する摩擦力変動係数演算手段と、該摩擦力演算手段の演算結果と予め設定した閾値とに基づいて横割れ発生の危険の有無、手入れの要否を判定する判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
(8)本発明に係る連続鋳造鋳片の横割れ検知装置は、オシレーション装置の油圧シリンダーの油圧計の情報と鋳型の変位計の情報を入力して摩擦力を演算する摩擦力演算手段と、該摩擦力演算手段の演算結果に基づいて摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])を演算する摩擦力変動係数演算手段と、該摩擦力演算手段の演算結果と予め設定した閾値とに基づいて横割れ発生の危険の有無、手入れの要否を判定する判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
(9)上記(7)又は(8)に記載のものにおいて、前記閾値は10%であることを特徴とするものである。
(10)本発明に係る連続鋳造鋳片製造装置は、上記(7)、(8)又は(9)に記載の連続鋳造鋳片の横割れ検知装置を備えた連続鋳造鋳片の製造装置であって、前記判定手段によって横割れ発生の危険があると判定されたときに、摩擦力変動係数を小さくするために操業条件を変更する操業条件変更手段を有し、該操業条件変更手段は、鋳造速度を減速するようにピンチローラ制御装置を制御する及び/又は鋳型の振動振幅を小さくするように加振装置を制御することを特徴とするものである。
本発明においては、オンライン時及びオフライン時における鋳型加振時の負荷の時間離散データに基づいて鋳型と鋳造鋳片間に生じる摩擦力を算出し、算出した摩擦力の摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])が予め設定した閾値を超えた時に横割れ発生の危険があると検知するようにしたので、横割れの発生を的確に検知することができ、この検知情報を基にして鋳造速度又は鋳型振動振幅等の操業条件を変更あるいは鋳造鋳片を手入れすることにより、横割れのない高品質な鋳造鋳片を製造することができる。
本発明の一実施の形態に関わる横割れ検知装置を設置した連続鋳造設備の説明図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、摩擦力変動係数と横割れ手入れ面積の関係を示すグラフである。 本発明の一実施の形態に関わる横割れ検知装置及び操業条件変更手段を設置した連続鋳設備の説明図である。 本発明の実施例1を説明する説明図であり、鋳造時間と摩擦力変動係数の関係を示すグラフである。 本発明の実施例2を説明する説明図であり、鋳造時間と摩擦力変動係数の関係を示すグラフである。
[実施の形態1]
図1は本発明の一実施の形態に係る横割れ検知装置を設置した連続鋳造設備の説明図である。連続鋳造設備は、鋳型1、鋳型1から出た鋳造鋳片3をガイドするガイドローラ5、鋳造鋳片3を引き抜くピンチローラ7、ピボット9を介したレバー11の両端に鋳型1と油圧シリンダー13を配置したオシレーション装置17を備えている。
このような構成の連続鋳造設備に、以下の構成からなる横割れ検知装置19が設けられている。
連続鋳造鋳片の横割れ検知装置19は、オシレーション装置17の油圧シリンダー13の油圧計15の情報及び変位計31の情報を入力して摩擦力を演算する摩擦力演算手段21と、該摩擦力演算手段21の演算結果に基づいて摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])を演算する摩擦力変動係数演算手段23と、摩擦力変動係数演算手段23の演算結果と予め設定した閾値とに基づいて横割れ発生の有無を判定する判定手段25とを備えている。
以下、各構成をさらに詳細に説明する。
<摩擦力演算手段>
摩擦力演算手段21は、油圧シリンダー13の油圧計15の情報と鋳型1の変位計31の情報を入力して摩擦力を演算する。摩擦力の演算には、以下に説明する1)又は2)の2通りの方法のいずれかを用いる。
1)油圧計15の情報を用いる方法
オンライン時及びオフライン時における油圧計15の情報を用いて、摩擦力を演算する方法である。ここで油圧シリンダー13の油圧計15の情報とは、油圧シリンダー13の入側の油圧を計測する入側油圧計15aの情報と、油圧シリンダー13の出側の油圧を計測する出側油圧計15bの情報である。
摩擦力演算手段21は、上記の情報を入力して、(1)式に基づいて鋳型1と鋳造鋳片3の間に生じる単位面積当たりの摩擦力Fを演算する。
F=[(P1×S1-P2×S2)-(P1’×S1-P2’×S2)]×r/[2×(d+w)×Le] ・・・ (1)
ただし、F:単位面積当たりの鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力(N/m
S1:油圧シリンダー入側断面積(m
S2:油圧シリンダー出側断面積(m
P1:オンライン時(鋳造時)の油圧シリンダー入側油圧(Pa)
P2:オンライン時(鋳造時)の油圧シリンダー出側油圧(Pa)
P1’:オフライン時(非鋳造時)の油圧シリンダー入側油圧(Pa)
P2’:オフライン時(非鋳造時)の油圧シリンダー出側油圧(Pa)
r:レバー比(L1/L2)
但し、L1:油圧シリンダロッド軸心線からピボットまでの距離(m)
L2:鋳型厚み中心線からピボットまでの距離(m)
d:鋳造鋳片厚み(m)
w:鋳造鋳片幅(m)
Le:鋳造鋳片有効長(m)
上記(1)式の導出過程について説明する。
オンライン時(鋳造時)に鋳型1にかかる力は、オシレーション装置19の加振力(Wfon)、鋳型1と鋳造鋳片3の間に生じる摩擦力(Ftotal)である。
また、見かけの鋳型質量をM、鋳型1の加速度をaとすると、オンライン時の鋳型1の運動方程式は以下のようになる。
Ma=Wfon−Ftotal ・・・・ (2)
また、オフライン時(非鋳造時)には、Ftotal=0となり、またオフライン時のオシレーション装置19の加振力をWfoffとすると、オフライン時の鋳型1の運動方程式は下式(3)となる。
Ma=Wfoff ・・・・・ (3)
(3)式を(2)式に代入して整理すると下式(4)を得ることができる。
total=Wfon−Wfoff ・・・・・ (4)
WfonおよびWfoffは、油圧シリンダー13の入側圧力P1(P1´)と出側圧力P2(P2´)を油圧計15により測定することで、それぞれ求めることができる。
fon=(P1×S1-P2×S2)×r ・・・・・ (5)
foff=(P1’×S1-P2’×S2)×r ・・・・・ (6)
(4)〜(6)式よりFtotalは下式(7)によって求まる。
total=[(P1×S1-P2×S2)-(P1’×S1-P2’×S2)]×r・・・・・ (7)
鋳型1と鋳造鋳片3の間に生じる単位面積当たりの摩擦力Fは、(7)式により求めたFtotalを鋳型1と鋳造鋳片3の接触面積で除することで算出でき、これにより(1)式が導きだされる。
F=[(P1×S1-P2×S2)-(P1’×S1-P2’×S2)]×r/[2×(d+w)×Le] ・・・ (1)
2)油圧計15及び変位計31の情報を用いる方法
オンライン時及びオフライン時における油圧計15及び変位計31の情報を用いて、摩擦力を演算する方法である。ここで変位計31の情報とは、鋳型1の加振時において計測した鋳型1の振動変位の時系列データのことであり、該時系列データを時間に対して2階微分することにより得られる鋳型1の加速度aが求まる。オンライン時における変位計31の情報により求まる該加速度a及び油圧計15の情報により求まる鋳型加振力Wfonを上式(2)に代入することにより鋳型1と鋳型鋳片3の間に生じる摩擦力Ftotalを求め、これを接触面積で除する事で、単位面積あたりの摩擦力Fが得られる。
F=[(P1×S1-P2×S2)-Ma]×r/[2×(d+w)×Le] ・・・ (9)
上記1)及び2)のいずれの方法において、鋳型1の見かけの質量Mは油圧シリンダー13により鋳型1を振動させる際に生じる減衰の効果を含んだものである。上記2)の方法では、上式(3)に示したオフライン時(非鋳造時)における鋳型1の運動方程式にオフライン時における変位計31の情報により求まる該加速度a及び油圧計15の情報により求まる鋳型加振力Wfoffを代入することにより求めた見かけの質量Mを用いる。
さらに、鋳型振動1周期の間に摩擦力は周期的に変動するため、どのような方法で代表値を求めるかという問題があるが、これについては、摩擦力は鋳型振動1周期毎における振幅すなわち最大値と最小値の差を代表値とし、その代表値の集まりの中で標準偏差を求める方法をとった。
<摩擦力変動係数演算手段>
摩擦力変動係数演算手段23は、摩擦力演算手段21の演算結果に基づいて摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])を演算する。
なお、摩擦力変動係数は、摩擦力の標準偏差及び平均値に基づいて算出しているため、摩擦力は時間離散データセットとして提供する必要がある。その際の離散間隔、すなわちサンプリング周期は、鋳型振動の1周期の10分の1より短い間隔でサンプリングするのが好ましい。具体的には、鋳型振動1周期は最も短いものが260ms程度であるから、サンプリング周期は20msで行うようにすればよい。
ここで、鋳造鋳片3の横割れを検知するに際して、摩擦力変動係数を求める方法を用いた理由について説明する。
前述したように、横割れの発生は、凝固シェル内の鋳造方向に大きな応力が発生することと相関があると考えられ、このような応力の発生は鋳型1と鋳造鋳片3の間に生じる摩擦力の変化で捉えることができる。
発明者は、摩擦力の変化を摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])により評価し、摩擦力変動係数(%)と横割れ手入れ面積(m2)の関係を調査した。その結果を図2に示す。図2は、横軸が摩擦力変動係数(%)を示し、縦軸が横割れ手入れ面積(m2)を示している。
図2に示されるように、摩擦力変動係数と横割れ手入れ面積の間には明らかな相関がみられる。摩擦力変動係数が10%以下では横割れ手入れ面積はほぼ0(零)m2であり、摩擦力変動係数が10%を超えると横割れ手入れ面積が徐々に増加し、摩擦力変動係数が14%では横割れ手入れ面積が約1m2である。また、摩擦力変動係数が14%を超えたあたりから横割れ手入れ面積は急激に増加している。
以上のことから、摩擦力変動係数によって横割れ発生の検知が可能であり、かつ摩擦力変動係数の所定の値を閾値として横割れ発生の有無及び手入れの要否を判定することができる。
<判定手段>
判定手段25は、摩擦力変動係数演算手段23の演算結果と、予め設定した閾値とに基づいて横割れ発生の有無ならびに手入れの要否を判定する。前記図2より、摩擦力変動係数が10%以下では横割れ手入れ面積はほぼ0m2、であることから、摩擦力変動係数の値10%を閾値として、10%以下では横割れ発生無し、10%超では横割れ発生有りと判定する。また、摩擦力変動係数の値が10%から14%においては横割れ手入れ面積は1m2以下であり、手入れは不要とみなされる許容範囲であると判定する。さらに、摩擦力変動係数の値が14%を超えた場合、当該部位には手入れが必要であると判定する。
次に、本発明の連続鋳造鋳片の横割れ検知方法を、上述した連続鋳造鋳片の横割れ検知装置19の動作と共に説明する。
摩擦力演算手段21には、オフライン時において計測した油圧シリンダー入側油圧P1’、 油圧シリンダー出側油圧P2’の値を入力しておく。
オンライン時において、入側油圧計15a及び出側油圧計15bから油圧シリンダー13の入側油圧P1及び出側油圧P2を、変位計31から鋳型1の振動変位を入力し、摩擦力演算手段21において(1)式又は(9)式に基づいて鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を演算する。
摩擦力変動係数演算手段23においては、摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])を演算する。
判定手段25では、摩擦力変動係数演算手段23の演算結果に基づいて、横割れの発生の有無又は手入れの要否を判定する。
例えば、摩擦力変動係数が10%以下であれば、横割れ発生の危険無しと判定し、摩擦力変動係数が10%を超えたときには、横割れ発生の危険有りと判定する。そして、横割れ発生の危険有りと判定され、摩擦力変動係数が14%以上の許容範囲を超えた場合には、鋳造鋳片における横割れ発生部位を特定して、当該部位について手入れをするようにすればよい。
以上のように、本実施の形態においては、オンライン時及びオフライン時における鋳型加振時の負荷の時間離散データに基づいて鋳型1と鋳造鋳片3の間に生じる摩擦力を算出し、算出した摩擦力から演算する摩擦力変動係数が予め設定した閾値を超えたときに横割れ発生の危険があると検知するため、この検知結果に基づいて横割れのない高品質な鋳造鋳片を製造することが可能となる。
なお、上記の説明において、鋳型1と鋳造鋳片3の間に生じる摩擦力を算出する(1)式は、ピボット9を介したレバー11の両端に鋳型1と油圧シリンダー13を配置したオシレーション装置17に関するものであるが、オシレーション装置の形式はこれに特定されず、例えば、鋳型に油圧シリンダーを直結した直動タイプの油圧式振動装置であってもよい。その場合はr=1となる。
[実施の形態2]
本実施の形態は、実施の形態1の連続鋳造鋳片の横割れ検知装置19を用いた連続鋳造鋳片の製造装置に関するものであり、図3に示すように、実施の形態1で説明した横割れ検知装置19に加えて、操業条件変更手段27及びピンチローラ制御装置29を備えている。
以下、各構成をさらに詳細に説明する。
<操業条件変更手段>
操業条件変更手段27は、判定手段によって横割れ発生の危険が有りと判定されたときに、ピンチローラ制御装置29に対して鋳造速度を低下させる旨の指示を出す。速度低下の度合いについては、予め設定しておくのが好ましい。
<ピンチローラ制御装置>
ピンチローラ制御装置29は、操業条件変更手段27からの指示に基づいてピンチローラの回転数を制御することで、引抜き速度を制御する。具体的には、操業条件変更手段27から鋳造速度低下の指示があったときに、ピンチローラ制御装置29はピンチローラの回転数を下げて鋳造鋳片の引抜き速度を低下させることにより、鋳造速度を低下させる。
次に、本発明の横割れ検知装置19に加えて操業条件変更手段27及びピンチローラ操業装置29を用いた連続鋳造鋳片製造方法を説明する。
連続鋳造装置のオンライン時における鋳型加振時の負荷の時間離散データに基づいて、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を算出する。算出した摩擦力から演算した摩擦力変動係数が予め設定した閾値を超えた場合、操業条件変更手段27からピンチローラ制御装置29に鋳造速度を低下させる旨の指示を出す。
以上のように、本実施の形態においては、横割れ検知装置19を用いて得られた摩擦力変動係数に基づいて操業条件変更手段27からピンチローラ制御装置29へ指示を出してピンチローラ回転数を制御することにより、鋳造鋳片の横割れ発生を防ぎ、高品質な鋳造鋳片を製造することが可能となる。
なお、上記の説明において、操業条件の変更は、ピンチローラ制御装置19による鋳造速度の低下によって摩擦力変動係数を所定値以下になるようにしたが、摩擦力変動係数を低下させる他の方法として、鋳型振動振幅を小さくする方法がある。
表1にいくつかの鋳造速度、鋳型振動振幅と摩擦力変動係数及び鋳造鋳片表面における横割れの有無の関係を示す。
鋳造速度Vcを一定にし、鋳型振動振幅を変化させたケースに着目する。ケース1および2はVc=1.3m/min、ケース4および5はVc=1.6m/min、ケース7および8はVc=2.0m/min、ケース9および10はVc=2.1m/minで鋳造速度を一定にし、それぞれ鋳型振動振幅を4mmまたは7mmで鋳造したケースである。いずれも、鋳造速度が一定の場合、鋳型振動振幅を4mmで鋳造したケースに比べ7mmで鋳造したケースの方が、摩擦力変動係数が増加している。これにより、鋳型振動振幅を減ずることで、摩擦力変動係数を低減できることが実証された。
また、鋳造速度Vcを変化させ、鋳型振動振幅が一定にしたケースに着目する。ケース1、3、4、7、9、10はVcを1.3m/min〜2.1m/minの間で変化させ、鋳型振動振幅を4mmで鋳造したケースである。鋳造速度Vcが増加するにつれ、摩擦力変動係数が増加している。これにより、鋳造速度を低下させることで、摩擦力変動係数を低減できることが実証された。
次に、摩擦力変動係数の変化と鋳造鋳片の横割れの有無に着目する。ケース1〜ケース7は摩擦力変動係数が10%以下になるケースであり、鋳造鋳片表面において横割れは発生していない。しかし、ケース8〜ケース11は摩擦力変動係数が10%以上となるケースであり、鋳造鋳片表面の横割れが発生している。これにより、摩擦力変動係数を10%以下にすることで、鋳造鋳片表面の横割れ発生を抑制できることが実証された。
以上より、鋳造速度を低下及び/又は鋳型振動振幅を小さくすることで摩擦力変動係数を低減することができ、摩擦力変動係数が10%以下であった鋳造鋳片表面には横割れ発生が見られなかったことが実証された。
本発明の効果を確認すべく実施した確認実験の効果について説明する。実験では垂直曲げ型連続鋳造機を用いて中炭素鋼を鋳造した。鋳造鋳片の幅は2100mm、厚みは250mm、鋳造速度は2.0m/minを選択した。
実験により得られた鋳造鋳片をいくつか抜き出し、表面検品を実施することで、本発明の効果を確認した。
図4は本実験の摩擦力変動係数の時間変化を示すグラフであり、縦軸が摩擦力変動係数(1分間)[%]で、横軸が鋳造時間[min]を示している。摩擦力変動係数の算出は過去1分間の離散時間データに対して行った。鋳造時間を所定の時間で区切り、その区間毎の鋳片1〜8(図4参照)について検品することにより横割れの有無を確認した。
鋳片の検品の結果を表2に示す。
摩擦力変動係数が10%を超えている鋳造時間帯に製造された鋳片4、5、8においては横割れが発生していた。他方、摩擦力変動係数が10%以下の鋳片1〜3、6、7には横割れは発生していなかった。このことより、摩擦力変動係数が10%超えた鋳造鋳片のみを検品・手入れの対象とすればよいことがわかる。また、実際に手入れをするか否かは、摩擦力変動係数の閾値を予め決めておいて、該閾値を超えた鋳造鋳片のみを検品・手入れするようにすればよい。
次に、図4に示すように、鋳造工程において摩擦力変動係数が10%を超えることを予想された(摩擦力変動係数が9%を超えた)ので、図5に示すように鋳造速度を2.0m/minから1.6m/minに減速したところ、摩擦力変動係数は減少した。鋳片の検品の結果を表3に示す。減速前後の鋳片の検品を行ったところ、横割れは発生していなかった。
以上のように、鋳造中に鋳型と鋳造鋳片間に生じる摩擦力を算出し、摩擦力変動係数が10%を超え、横割れが発生すると検知された時に操業条件変更手段及びピンチローラ制御手段を用いて鋳造速度を低下させる等、鋳造の操業条件を変更することで、横割れの無い高品質な鋳造鋳片を製造できることが確認された。
1 鋳型
3 鋳造鋳片
5 ガイドローラ
7 ピンチローラ
9 ピボット
11 レバー
13 油圧シリンダー
15 油圧計
15a 入側油圧計
15b 出側油圧計
17 オシレーション装置
19 横割れ検知装置
21 摩擦力演算手段
23 摩擦力変動係数演算手段
25 判定手段
27 操業条件変更手段
29 ピンチコントローラ制御装置
31 変位計

Claims (10)

  1. オンライン時及びオフライン時における鋳型加振時の負荷の時間離散データに基づいて鋳型と鋳造鋳片間に生じる摩擦力を算出し、算出した摩擦力の摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])が予め設定した閾値を超えた時に横割れ発生の危険があると検知することを特徴とする連続鋳造鋳片の横割れ検知方法。
  2. オンライン時及びオフライン時における鋳型加振時の振動変位及び負荷の時間離散データに基づいて鋳型と鋳造鋳片間に生じる摩擦力を算出し、算出した摩擦力の摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])が予め設定した閾値を超えた時に横割れ発生の危険があると検知することを特徴とする連続鋳造鋳片の横割れ検知方法。
  3. 前記閾値は10%であることを特徴とする請求項1又は2記載の連続鋳造鋳片の横割れ検知方法。
  4. 請求項1、2又は3に記載の連続鋳造鋳片の横割れ検知方法を用いた連続鋳造鋳片の製造方法であって、
    前記横割れ検知方法によって横割れ発生の危険があると検知された場合には、前記摩擦力変動係数が前記閾値以下となるように操業条件を変更して連続鋳造することを特徴とする連続鋳造鋳片の製造方法。
  5. 前記操業条件の変更は、鋳造速度を減速すること及び/又は鋳型の振動振幅を小さくすることを特徴とする請求項4記載の連続鋳造鋳片の製造方法。
  6. 請求項1、2又は3に記載の連続鋳造鋳片の横割れ検知方法を用いた連続鋳造鋳片の製造方法であって、
    前記横割れ検知方法によって横割れ発生の危険があると検知された場合には、製造された連続鋳造鋳片を検品し、横割れ部を手入れすることを特徴とする連続鋳造鋳片の製造方法。
  7. オシレーション装置の油圧シリンダーの油圧計の情報を入力して摩擦力を演算する摩擦力演算手段と、該摩擦力演算手段の演算結果に基づいて摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])を演算する摩擦力変動係数演算手段と、該摩擦力演算手段の演算結果と予め設定した閾値とに基づいて横割れ発生の危険の有無、手入れの要否を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする連続鋳造鋳片の横割れ検知装置。
  8. オシレーション装置の油圧シリンダーの油圧計の情報と鋳型の変位計の情報を入力して摩擦力を演算する摩擦力演算手段と、該摩擦力演算手段の演算結果に基づいて摩擦力変動係数(=摩擦力の標準偏差/平均値×100[%])を演算する摩擦力変動係数演算手段と、該摩擦力演算手段の演算結果と予め設定した閾値とに基づいて横割れ発生の危険の有無、手入れの要否を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする連続鋳造鋳片の横割れ検知装置。
  9. 前記閾値は10%であることを特徴とする請求項7又は8記載の連続鋳造鋳片の横割れ検知装置。
  10. 請求項7、8又は9に記載の連続鋳造鋳片の横割れ検知装置を備えた連続鋳造鋳片の製造装置であって、
    前記判定手段によって横割れ発生の危険があると判定されたときに、摩擦力変動係数を小さくするために操業条件を変更する操業条件変更手段を有し、
    該操業条件変更手段は、鋳造速度を減速するようにピンチローラ制御装置を制御する及び/又は鋳型の振動振幅を小さくするように加振装置を制御することを特徴とする連続鋳造鋳片の製造装置。
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