JP6108398B2 - 光変調システムの制御方法、光変調システム及びそれに用いる光学体 - Google Patents
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Description
本発明に関連する技術を開示する文献として特許文献1〜特許文献4を参照されたい。
この光学体は、直線偏光光の偏光角度を任意に調節可能とするものであり、以下のように構成される。
この光学体は、図1に示すように、SGGG(ガリウム・ガドリニウム・ガーネット基板)1の上へ、酸化タンタル2aと酸化シリコン2bとが交互に9層積層された第一の反射層2がブラッグミラーとして形成されている。そして、第一の反射層2の上には、ビスマス・イットリウム・ガーネットからなる磁気光学材料層3が形成されている。さらに、この磁気光学材料層3の上には透明性電極(ITO)4a、4bに両側から挟まれたPLZTからなる屈折率可変層5が積層されている。そして、さらに外側には酸化タンタル6aと酸化シリコン6bとが交互に18層積層された第二の反射層6がブラッグミラーとして形成されている。
この光学体の特性(電圧−回転角特性)を図2及び図3(特許文献1の図11及び図9)に示す。
屈折率可変層へ印加する電圧を変化させると、回転角とともに回転楕円率(回転方向は一方向)も変化し、その変化に極大点(ピーク:絶対値の最大値)が存在した。このピークを生じる電圧に対応する回転角は小さいので、ピークを生じる電圧及びその前後の電圧の範囲は、直線偏光光の偏光面の回転角度を制御する際には一般的には使用しない。本発明者らは、かかる電圧の範囲を詳細に検討した結果、既述した回転楕円率にピークが存在することと、ゼロ電圧から当該ピークに対応する電圧まで屈折率可変層へ印加する電圧を掃引すると、回転楕円率がリニアに変化することに気がついた。なお、ゼロ電圧では回転楕円率はゼロであった。
かかる回転楕円率の特性(電圧−回転楕円率)において、回転楕円率はそのピークからゼロ電圧に対応する回転楕円率(=0)にかけてその絶対値が減少するので、この減少傾向をさらに進めれば、回転楕円率の符号が逆転するのではないかと考えた。
そこで、特許文献1に記載の光学体の層構成、特に回転角のピーク波長を変更してみた。具体的には、入射光の波長λ1に対して、回転角のピーク波長λ2(光学体内での共振波長)を僅かに大きくした。ちなみに、特許文献1に記載の光学体では入射光の波長λ1と回転角のピーク波長λ2とを一致させている。ピーク波長λ2の前後において回転角が大きく変化するからである。
入射光の波長λ1<回転角のピーク波長λ2としたときの特性を図5に示す。
なお、この特性はマトリックスアプローチ法に基づくシミュレートにより得た。このシミュレート計算については、M.Inoue,T.Fujii,"A theoretical analysis of magneto-optical Faraday effect of YIG films with random multilayer structure",Appl.Phys.81,317(1997).を参照されたい。そしてこの文献はこの明細書の一部として取り入れられる。
具体的な光学体の層構成については後述する。
更には、それぞれの符号においても(即ち、それぞれの回転方向においても)ピークが存在する。このピークを利用したとき、各回転方向の影響を記録媒体へ効率良く反映させられることはもとより、各ピークにおいて透過率も最大値を示しているので、高い出力を確保できる。
第1の波長λ1の第1の光を放射する光源と、
前記第1の光を入射光とし、第2の波長λ2において偏光面の回転角度のピークを有し、第2の光を出力光として出力する光学体であって、一対の反射層、該一対の反射層の間に存在する屈折率可変層及び磁気光学材料層を有する光学体と、
前記屈折率可変層の屈折率を第1の屈折率と第2の屈折率とに制御しうる屈折率制御部と、を備えてなる光変調システムの制御方法であって、
前記光学体の回転角度のピークに対応する前記第2の波長λ2を前記入射光の波長λ1より大きくするとともに、
前記第1の屈折率では前記第2の光を第1の方向の楕円偏光光とし、前記第2の屈折率では前記第2の光を第2の方向の楕円偏光光とするように前記屈折率可変層の屈折率を制御する光変調システムの制御方法。
屈折率可変層の屈折率の変更は電圧切換えで行えるので、出力光の回転方向を高速で切換えられる。
勿論、回転楕円率のピーク値以外においても、異なる回転方向を得られる(回転楕円率の符号の異なる)領域を用いることにより、記録媒体にその違いを書き込むことができる。更には、回転楕円率がリニアに変化しているので、電圧(即ち屈折率)を適宜選択することにより、記憶媒体に対して2方向の回転に加えて、その中間値(濃淡)を書き込むこともできる。
かかる特性の存在は、特許文献1に記載の光学体へ一般的な使用範囲(回転角度がゼロ近くまで)を超えて電圧を掃引してはじめて知り得るものである。この特性は、光学体の回転角度のピークに対応した波長λ2と入力光の波長λ1とを等しくしたときにも得られる。
以上の知見に基づき、この発明の他の第2の局面は次のように規定される。
一対の反射層、該一対の反射層の間に存在する屈折率可変層及び磁気光学材料層を有する光学体を備える光変調部と、
前記屈折率可変層の屈折率を第1の屈折率と第2の屈折率に制御しうる屈折率制御部と、を備えてなる光変調システムの制御方法であって、
前記第2の光の偏光面の回転角度と楕円率とをともに変化させるように屈折率可変層の屈折率を制御する光変調システムの制御方法。
この光変調システムの制御方法では、屈折率可変層の屈折率を変化させることにより、第2の光の偏光面の回転角度と楕円率とをともに変化させられる。
この光変調システムは、図4に示すように、光学体10、光源20及び屈折率制御部30を備えてなる。
光学体10は基板11上に、第一の反射層12、磁気光学材料層13、透光性電極14a、14bに挟持された屈折率可変層14及び第二の反射層15を順次積層した構成である。
基板11の材質は任意に選択可能であるが、従来例(図1参照)と同様にSGGGを採用可能である。
第一の反射層12及び第二の反射層15にはともに誘電体多層膜からなるブラッグミラー層や金属膜を採用することができる。
反射層としてブラックミラー層を採用する場合、誘電体多層膜の繰り返し単位を構成する誘電体層のペアの材質及び膜厚はブラッグの反射条件(d=λ/4:ここに、λは各層の光学波長、dは各層の膜厚)を満足することを条件に、入射光の波長や用途に応じて任意に選択できる。具体的には、誘電体層のペアとして酸化シリコン(SiO2)と酸化タンタル(Ta2O5)との組合せ、酸化シリコン(SiO2)とシリコン(Si)、酸化シリコン(SiO2)と酸化アルミニウム(Al2O3)等が挙げられる。
また金属層としては、アルミニウム、白金、金、銀及びこれらの合金の単層膜若しくは複層膜を挙げることができる。
ここに光学波長はλ0/nで規定される。λ0は真空における入射光の波長、nは実効屈折率である。第一の層と第二の層との間に1種類の材料層のみが介在されるとき、実効屈折率nは当該材料の屈折率に等しい。第一の層と第二の層との間に複数の材料層が介在するときは、複数の異なる材料が連続する層を1つの材料の1つの層と見なしたときの屈折率である。例えば、連続する2層の片方の屈折率と膜厚をn1、d1とし、もう片方をn2、d2としたとき、(n1×d1+n2×d2)/(d1+n2)が連続する2層の実効屈折率となる。
第一の層及び第二の層は反射層とすることが好ましいことは既述したが、第一の層及び第二の層の少なくとも一方を誘電体多重層(ブラッグミラー層)としたとき、多重層を構成する誘電体層の一部又は全部を磁気光学材料や電気光学材料などの屈折率可変層で形成すると、これらの層も光の変調機能に寄与する場合がある。
ファラディ効果を奏する透光性の常磁性体材料として、Tb3AlO12、GGG(Gd3Ga5O12)等の希土類Al置換ガーネット、酸素等の気体、水等の液体、塩化カリウム等の固体、GGG(Gd3Ga5O12)、GGS等のクラウン等のガラスを挙げることができる。
青色光のような短波長を変調対象とする際には、TAG、TGGを採用することが好ましい。短波長をほとんど吸収しないからである。
磁性体材料層は単層若しくは複数層とすることができる。複数層とした場合、この複数層を構成する各層は同一の材料であっても異なる材料であってもよい。
かかる屈折率可変層14を形成する材料として電気光学材料、音響光学材料、熟光学材料等を挙げることができる。電気光学材料は電界の印加によって屈折率が変化する材料であって、PZT(PbZr0.25Ti0.48O3)、PLZT、PLHT、SBN、LT、LN、KDP、DKDP、BNN、KTN、BTO等を挙げることができる。
屈折率可変層14を電気光学材料で形成した場合、当該屈折率可変層へ印加する電界を制御することにより、その屈折率を変化・制御可能である。屈折率可変層へ電界を印加するために、特許文献1にも記載してある通り、当該屈折率可変層を透光性電極14a、14bでサンドイッチする構成を採用できる。勿論、光学体の外部から電界を印加してもよい。この場合、電界の印加の方向は屈折率可変層の面内方向に対して垂直に限らず、傾斜していてもよい。
屈折率可変層14を音響光学材料で形成した場合、当該屈折率可変層14へ印加する応力を制御することにより、その屈折率を変化させることにより制御可能である。屈折率可変層14へ応力を印加するためには、屈折率可変層を光透過性の圧電素子で挟むことが考えられる。
カー効果を有する材料としてはR3Fe5O12 (R-希土類元素、例えばBi、Y、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)のようなガーネット、MFe2O4(M=Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Li0.5Fe0.5)のようなスピネルフェライト、MFe2O4(M=Ba、Pb、Sr、Ca、Ni0.5Fe0.5、Ag0.5La0.5)のような六方晶フェライト、MnBi、PtCo、EuO、PtMnSbからなる多結晶膜、Gd-Co、Gd-Fe、Dy-Fe、Tb-Fe、Gd-Tb-Fe、Gd-Dy-Fe、Tb-Fe-Co、Gd-Tb-Fe-Co、(Gd-Fe)-Bi、(Gd-Fe)-Sn、Nd-Dy-Fe-Coのような希土類一遷移金属薄膜、及び前記材料からなる薄膜からなる複合膜等を挙げることができる。
ここに、光学体10はその回転角度のピーク波長をλ2としたとき、λ1<λ2とする。これにより、屈折率可変層14の屈折率を変化させたとき、出力される楕円偏光光の回転楕円率の符号を逆転可能とし、かつ各回転方向においてピーク値を得ることができる。
なお、回転角度のピーク波長とは、光学体において入力光を、最も効率よく角度偏光できる波長をさす。
光学体においてピーク波長の制御は、磁気光学材料層の材質及び/又は厚さ等を制御することにより行なえる。
以下に説明する実施例では、入射光の波長λ1=800.0nm、光学体における回転角度のピーク波長λ2=800.5nmとした。
屈折率可変層14を電気光学材料で形成し、そこへ電界を印加することによりその屈折率を制御する方式が、屈折率切換えを高速にかつ簡易な構成で実行できるので好ましい。より具体的には、電気光学材料からなる屈折率可変層を一対の透光性電極で挟み、一対の透光性電極へ印加する電圧を切換えることにより、簡易かつ高速に屈折率可変層の屈折率を任意に制御可能となる。
半導体レーザ装置20は、800nmのレーザ光を放射可能とされている。
また、光学体10は、SGGG(ガリウム・ガドリニウム・ガーネット基板:例えばGd2.68Ca0.32Ga4.04Mg0.32Zr0.64O12)11の上へ、酸化タンタル12aと酸化シリコン12bとが交互に9層積層された第一の反射層12がブラッグミラーとして形成されている。そして、第一の反射層12の上には、ビスマス・イットリウム・ガーネットからなる磁気光学材料層13が形成されている。さらに、この磁気光学材料層13の上には透明性電極(ITO)14a、14bに両側から挟まれたPLZTからなる屈折率可変層14が積層されている。そして、さらに外側には酸化タンタル15aと酸化シリコン15bとが交互に9層積層された第二の反射層15がブラッグミラーとして形成されている。
第一の反射層12:光学長λ=800.5nm
(酸化タンタル12aと酸化シリコン12bとの合計の厚さ)
第二の反射層15:光学長λ=800.5nm
(酸化タンタル15aと酸化シリコン15bとの合計の厚さ)
磁気光学材料層13(ビスマス・イットリウム・ガーネット):m=4
ここでmは自然数(1,2,3……)である。
屈折率可変層15(PLZT):m=1
ここでmは自然数(1,2,3……)である。
透明性電極(ITO)14a、14b:
後述するシミュレーションにおいて、透光性電極は厚さを持たず、かつその材料は完全な透光性であり、かつ電気抵抗を持たないものと仮定している。
屈折率制御部30は、透明性電極(ITO)14a、4b間に所定の電位を付与することが可能な電源を備え、透明性電極(ITO)14a、14bに接続されている。屈折率制御部30による付与制御内容については、後述するシミュレーション計算の項において説明する。
透過光の場合のシミュレート計算の結果を図5及び図6に示す。
図5はPLZTからなる屈折率可変層14への印加電圧と、ファラディ回転角、ファラディ回転楕円率及び透過率との関係を示すグラフである。このグラフから、印加電圧が0.26V付近にファラディ回転角のピークが存在し、さらにそのピークを中心に少しずれた両外側に、正負を逆とするファラディ回転楕円率のピークが存在することが分かった。また、ファラディ回転楕円率のピークと透過率の最大ピークの位置とは一致することが分かった。
反射光の場合のシミュレート計算の結果を図7及び図8に示す。
図7は透過光における屈折率の変化と、カー回転角、カー回転楕円率及び透過率との関係を示すグラフである。
透過光における屈折率可変層15の屈折率の変化と、カー回転角、カー回転楕円率及び透過率との関係を示すグラフである。このグラフから、印加電圧が0.26V付近にカー回転角のピークが存在しており、さらにそのピークを中心に少しずれた両外側に、正負を逆とするカー回転楕円率のピークが存在することが分かった。また、カー回転楕円率のピークと透過率の最大ピークの位置とは一致することが分かった。
一方、図8は屈折率の変化(Δn)と、カー回転角、カー回転楕円率及び透過率との関係を示すグラフである。このグラフから、屈折率の変化Δnが0.0075付近にカー回転角のピークが存在し、さらにそのピークを中心に少しずれた両外側に、正負を逆とするカー回転楕円率のピークが存在することが分かった。また、カー回転楕円率のピークと透過率の最大ピークの位置とは一致することが分かった。
このため、書き込み時に使用する光が右円偏光か左円偏光かによって磁化の反転を制御する記録媒体の書き込み用の光源として用いることができる。また、印加電圧の変化は、屈折率可変層に付与される電界変化となって現れ、屈折率の高速制御が可能となるため、高速書き込みが可能となる。
10、20…光変調部(10…光学体、20…半導体レーザ装置(光源))
14…屈折率可変層
13…磁気光学材料層
14a、14b、30…屈折率制御部(14a、14b…透明性電極、30…電位発生装置)
Claims (9)
- 第1の波長λ1の第1の光を放射する光源と、
前記第1の光を入射光とし、第2の波長λ2において回転角度のピークを有し、第2の光を出力光として出力する光学体であって、一対の反射層、該一対の反射層の間に存在する屈折率可変層及び磁気光学材料層を有する光学体と、
前記屈折率可変層の屈折率を第1の屈折率と第2の屈折率とに制御しうる屈折率制御部と、を備えてなる光変調システムの制御方法であって、
前記光学体の回転角度のピークに対応する前記第2の波長λ2を前記入射光の波長λ1より大きくするとともに、
前記第1の屈折率では前記第2の光を第1の方向の楕円偏光光とし、前記第2の屈折率では前記第2の光を第2の方向の楕円偏光光とするように前記屈折率可変層の屈折率を制御する光変調システムの制御方法。 - 前記第1の屈折率において前記第1の方向の楕円偏光光の回転楕円率の絶対値が最大となり、前記第1の屈折率において前記第2の方向の楕円偏光光の回転楕円率の絶対値が最大となるように制御する、請求項1に記載の制御方法。
- 前記屈折率可変層は電界によりその屈折率が変化される電気光学材料からなり、前記屈折率制御部は前記屈折率可変層へ与える電界を制御する、請求項2に記載の制御方法。
- 一対の反射層、該一対の反射層の間に存在する屈折率可変層及び磁気光学材料層を有する光学体と、
前記屈折率可変層の屈折率を第1の屈折率と第2の屈折率に制御しうる屈折率制御部と、を備え
直線偏光光を入力して楕円偏光光を出力する、光変調システムの制御方法であって、
前記楕円偏光光の回転角度と回転楕円率とをともに変化させるように屈折率可変層の屈折率を制御する光変調システムの制御方法。 - 前記屈折率可変層は電界によりその屈折率が変化される電気光学材料からなり、前記屈折率制御部は前記屈折率可変層へ与える電界を制御する、請求項4に記載の制御方法。
- 第1の波長λ1の第1の光を放射する光源と、
前記第1の光を入射光とし、第2の波長λ2において回転角度のピークを有し、第2の光を出力光として出力する光学体であって、一対の反射層、該一対の反射層の間に存在する屈折率可変層及び磁気光学材料層を有する光学体と、
前記屈折率可変層の屈折率を第1の屈折率と第2の屈折率とに制御しうる屈折率制御部と、
前記第1の屈折率では前記第2の光を第1の方向の楕円偏光光とし、前記第2の屈折率では前記第2の光を第2の方向の楕円偏光光とするように前記屈折率可変層の屈折率を制御する制御部と、を備え、
前記光学体の回転角度のピークに対応する前記第2の波長λ2が前記入射光の波長λ1より大きい、光変調システム。 - 前記第1の屈折率において前記第1の方向の楕円偏光光の楕円率の絶対値が最大となり、前記第2の屈折率において前記第2の方向の楕円偏光光の楕円率の絶対値が最大となる、請求項6のシステム。
- 前記屈折率可変層は電界によりその屈折率が変化される電気光学材料からなり、前記屈折率制御部は前記屈折率可変層へ与える電界を制御する、請求項7に記載のシステム。
- 前記屈折率制御部は前記屈折率可変層を挟む一対の透明性電極を有する、請求項8に記載のシステム。
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