JP6108398B2 - 光変調システムの制御方法、光変調システム及びそれに用いる光学体 - Google Patents

光変調システムの制御方法、光変調システム及びそれに用いる光学体 Download PDF

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Description

本発明は光変調システムの制御方法、光変調システム及びそれに用いる光学体に関する。
情報記録媒体の高密度化に伴い、記録媒体の書き込み速度の高速化が求められている。最近、磁気記録媒体内の情報書き込み速度を飛躍的に高めることが可能な、光磁気書き込み方式が提案・実証されている。これはフェトム秒からピコ秒オーダーのパルス光によって記録媒体中の磁化反転を行い、ビット書き込みを行う方式であるが、書き込み時に使用する光の偏光状態によって、記録媒体の磁化方向の制御が可能となる。すなわち、右円偏光か左円偏光か(即ち、回転楕円率の符号の如何)によって磁化の反転の制御が可能となる。更には、回転方向の割合に応じた濃淡を記録媒体に書き込むこともできる。このような高速化が可能な光磁気書き込み方式を実現するために、光の偏光状態を素早く制御する光変調システムが不可欠となる。
本発明に関連する技術を開示する文献として特許文献1〜特許文献4を参照されたい。
WO2011/043309号公報 特開2010−145913号公報 特開2006−201472号公報 特開平07−333579号公報
しかしながら、現状においては、上記記録媒体への書き込みに適するような、小型かつ小電力で駆動し、右円偏光と左円偏光とを高速で切替え可能なデバイスは知られていない。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討を重ねてきところ、特許文献1に開示のデバイス(光学体)に注目した。
この光学体は、直線偏光光の偏光角度を任意に調節可能とするものであり、以下のように構成される。
この光学体は、図1に示すように、SGGG(ガリウム・ガドリニウム・ガーネット基板)1の上へ、酸化タンタル2aと酸化シリコン2bとが交互に9層積層された第一の反射層2がブラッグミラーとして形成されている。そして、第一の反射層2の上には、ビスマス・イットリウム・ガーネットからなる磁気光学材料層3が形成されている。さらに、この磁気光学材料層3の上には透明性電極(ITO)4a、4bに両側から挟まれたPLZTからなる屈折率可変層5が積層されている。そして、さらに外側には酸化タンタル6aと酸化シリコン6bとが交互に18層積層された第二の反射層6がブラッグミラーとして形成されている。
このように構成された光学体では、直線偏光光であるレーザ光を入射光として第一の層1側から入射すると、ビスマス・イットリウム・ガーネットからなる磁気光学材料層3を通過して右回り円偏光光と左回りの円偏光光とに変換される。ここで右円偏光光と左円偏光光とには位相差がある。屈折率可変層5にかける電界を制御することにより、この位相差を変更できる。さらには、入射された光は第一の層1と第二の層6の間で多重反射させるため、当該位相差が増幅される。
したがって、磁気光学材料層3の磁気光学効果により生じた右円偏光光と左円偏光光との位相差が僅かなものであっても、第一の層1から出射する際には当該位相差は有意な大きさとなる。このように増幅された右円偏光光と左円偏光光との位相差は磁気光学材料層3を通過するときに直線偏光光に戻り、その偏光面の角度は当該位相差に応じて回転する。したがって、入射光に対して出射光は偏光面の回転角度が変調されたこととなる。
ここにおいて、屈折率可変層5の屈折率を制御すれば、入射光に対する出射光の偏光面の回転角度変調を大きな範囲において、任意に制御可能となる。この光学体を用いて光変調システムを構築した場合、光の偏光状態を極めて速く制御することができる。このため、前述した光磁気書き込み方式のように、光の偏光状態の極めて速い変調を必要とする書き込み方式には適した光変調システムとなりうる。
この光学体の特性(電圧−回転角特性)を図2及び図3(特許文献1の図11及び図9)に示す。
かかる光学体を詳細に検討した結果、以下の特性に気がついた。
屈折率可変層へ印加する電圧を変化させると、回転角とともに回転楕円率(回転方向は一方向)も変化し、その変化に極大点(ピーク:絶対値の最大値)が存在した。このピークを生じる電圧に対応する回転角は小さいので、ピークを生じる電圧及びその前後の電圧の範囲は、直線偏光光の偏光面の回転角度を制御する際には一般的には使用しない。本発明者らは、かかる電圧の範囲を詳細に検討した結果、既述した回転楕円率にピークが存在することと、ゼロ電圧から当該ピークに対応する電圧まで屈折率可変層へ印加する電圧を掃引すると、回転楕円率がリニアに変化することに気がついた。なお、ゼロ電圧では回転楕円率はゼロであった。
かかる回転楕円率の特性(電圧−回転楕円率)において、回転楕円率はそのピークからゼロ電圧に対応する回転楕円率(=0)にかけてその絶対値が減少するので、この減少傾向をさらに進めれば、回転楕円率の符号が逆転するのではないかと考えた。
そこで、特許文献1に記載の光学体の層構成、特に回転角のピーク波長を変更してみた。具体的には、入射光の波長λ1に対して、回転角のピーク波長λ2(光学体内での共振波長)を僅かに大きくした。ちなみに、特許文献1に記載の光学体では入射光の波長λ1と回転角のピーク波長λ2とを一致させている。ピーク波長λ2の前後において回転角が大きく変化するからである。
入射光の波長λ1<回転角のピーク波長λ2としたときの特性を図5に示す。
なお、この特性はマトリックスアプローチ法に基づくシミュレートにより得た。このシミュレート計算については、M.Inoue,T.Fujii,"A theoretical analysis of magneto-optical Faraday effect of YIG films with random multilayer structure",Appl.Phys.81,317(1997).を参照されたい。そしてこの文献はこの明細書の一部として取り入れられる。
具体的な光学体の層構成については後述する。
図5の結果から、電圧を変化させたとき、回転角のピークを境にして回転楕円率の符号が逆転することがわかる。即ち、回転の方向が逆転する。
更には、それぞれの符号においても(即ち、それぞれの回転方向においても)ピークが存在する。このピークを利用したとき、各回転方向の影響を記録媒体へ効率良く反映させられることはもとより、各ピークにおいて透過率も最大値を示しているので、高い出力を確保できる。
この発明は、本発明者らが見出した上記の知見に基づきなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。
第1の波長λ1の第1の光を放射する光源と、
前記第1の光を入射光とし、第2の波長λ2において偏光面の回転角度のピークを有し、第2の光を出力光として出力する光学体であって、一対の反射層、該一対の反射層の間に存在する屈折率可変層及び磁気光学材料層を有する光学体と、
前記屈折率可変層の屈折率を第1の屈折率と第2の屈折率とに制御しうる屈折率制御部と、を備えてなる光変調システムの制御方法であって、
前記光学体の回転角度のピークに対応する前記第2の波長λ2を前記入射光の波長λ1より大きくするとともに、
前記第1の屈折率では前記第2の光を第1の方向の楕円偏光光とし、前記第2の屈折率では前記第2の光を第2の方向の楕円偏光光とするように前記屈折率可変層の屈折率を制御する光変調システムの制御方法。
このように規定される第1の局面の光変調システムによれば、本発明者らが今回見出した新たな特性(図5参照)から明らかなように、電圧を調整して屈折率可変層の屈折率を第1の屈折率としたとき出力光(第2の光)を第1の方向の楕円偏光光とし、電圧を変化させて屈折率可変層の屈折率を第2の屈折率としたとき出力光(第2の光)を第1の方向と異なる符号の、即ち第1の方向と異なる回転方向(第2の回転方向)とすることができる。
屈折率可変層の屈折率の変更は電圧切換えで行えるので、出力光の回転方向を高速で切換えられる。
ここに、図5から明らかな通り、第1の方向と第2の方向においてそれぞれピーク(極大点)が存在するので、この両ピークの回転楕円率を利用できるように、光学体の回転角のピークに対応する波長λ2を定めることが好ましい。
勿論、回転楕円率のピーク値以外においても、異なる回転方向を得られる(回転楕円率の符号の異なる)領域を用いることにより、記録媒体にその違いを書き込むことができる。更には、回転楕円率がリニアに変化しているので、電圧(即ち屈折率)を適宜選択することにより、記憶媒体に対して2方向の回転に加えて、その中間値(濃淡)を書き込むこともできる。
図5に示された特性より、電圧の変化に伴い、回転角度と回転楕円率とがともに変化していることを新たに見出した。更に詳細にいえば、回転楕円率がゼロからそのピークの電圧範囲において、回転楕円率と回転角度がともにリニアに変化している。
かかる特性の存在は、特許文献1に記載の光学体へ一般的な使用範囲(回転角度がゼロ近くまで)を超えて電圧を掃引してはじめて知り得るものである。この特性は、光学体の回転角度のピークに対応した波長λ2と入力光の波長λ1とを等しくしたときにも得られる。
以上の知見に基づき、この発明の他の第2の局面は次のように規定される。
一対の反射層、該一対の反射層の間に存在する屈折率可変層及び磁気光学材料層を有する光学体を備える光変調部と、
前記屈折率可変層の屈折率を第1の屈折率と第2の屈折率に制御しうる屈折率制御部と、を備えてなる光変調システムの制御方法であって、
前記第2の光の偏光面の回転角度と楕円率とをともに変化させるように屈折率可変層の屈折率を制御する光変調システムの制御方法。
この光変調システムの制御方法では、屈折率可変層の屈折率を変化させることにより、第2の光の偏光面の回転角度と楕円率とをともに変化させられる。
なお、特許文献1に記載の光学体では、直線偏光光である入射光に対して出力光も直線偏光光としてその偏光面の回転角度を制御していた。この発明の光学体も基本的な層構成は特許文献1に記載の光学体のそれと同一であるが、一対の反射層の反射率を調整することにより、入射光の入射面と反対側の面より円偏光された出力光を取り出せるようにしている。
特許文献1に実施例として記載されている光学体の模式断面図である。 特許文献1に記載されている光変調システムについての電圧−回転角、電圧−位相)を示すグラフである(特許文献1の図11)。 特許文献1に記載されている光変調システムについての波長−回転角を示すグラフである(特許文献1の図9)。 この発明の実施形態の光変調システムの模式図である。 透過光における印加電圧と、ファラディ回転角、ファラディ回転楕円率及び透過率との関係を示すグラフである。 透過光における屈折率の変化と、ファラディ回転角、ファラディ回転楕円率及び透過率との関係を示すグラフである。 反射光における印加電圧と、カー回転角、カー回転楕円率及び反射率との関係を示すグラフである。 反射光における屈折率の変化と、カー回転角、カー回転楕円率及び反射率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の光変調システムについて詳細に説明する。
この光変調システムは、図4に示すように、光学体10、光源20及び屈折率制御部30を備えてなる。
光学体10は基板11上に、第一の反射層12、磁気光学材料層13、透光性電極14a、14bに挟持された屈折率可変層14及び第二の反射層15を順次積層した構成である。
基板11の材質は任意に選択可能であるが、従来例(図1参照)と同様にSGGGを採用可能である。
第一の反射層12及び第二の反射層15にはともに誘電体多層膜からなるブラッグミラー層や金属膜を採用することができる。
反射層としてブラックミラー層を採用する場合、誘電体多層膜の繰り返し単位を構成する誘電体層のペアの材質及び膜厚はブラッグの反射条件(d=λ/4:ここに、λは各層の光学波長、dは各層の膜厚)を満足することを条件に、入射光の波長や用途に応じて任意に選択できる。具体的には、誘電体層のペアとして酸化シリコン(SiO2)と酸化タンタル(Ta2O5)との組合せ、酸化シリコン(SiO2)とシリコン(Si)、酸化シリコン(SiO2)と酸化アルミニウム(Al2O3)等が挙げられる。
誘電体層ペアの繰返し数も任意に選択可能であるが、第一の反射層と第二の反射層とで同じ誘電体ペアを採用するときは、第一の反射層の繰返し数より第二の反射層の繰返し数が大きいものとする。誘電体層のペアとして酸化シリコン(SiO2) と酸化タンタル(Ta2O5)との組合せを採用したときは、第一の反射層は3ペア以上、第二の反射層は5ペア以上とすることが好ましい。更に好ましくは、第一の反射層は5ペア以上、第二の反射層は7ペア以上とする。
また金属層としては、アルミニウム、白金、金、銀及びこれらの合金の単層膜若しくは複層膜を挙げることができる。
この光学体では入射光を第一の反射層12へ入射し、第二の反射層15側から透過した光を出力光としている。この出力光は楕円偏光光となる。
第一の層と第二の層との間隔は、m×λ/2(ここに、mは自然数、λは第一の層と第二の層との間の光学波長)とする。これにより、第一の層と第二の層との間隔が光学波長の節の幅と一致する。
ここに光学波長はλ/nで規定される。λは真空における入射光の波長、nは実効屈折率である。第一の層と第二の層との間に1種類の材料層のみが介在されるとき、実効屈折率nは当該材料の屈折率に等しい。第一の層と第二の層との間に複数の材料層が介在するときは、複数の異なる材料が連続する層を1つの材料の1つの層と見なしたときの屈折率である。例えば、連続する2層の片方の屈折率と膜厚をn、dとし、もう片方をn、dとしたとき、(n×d+n×d)/(d+n)が連続する2層の実効屈折率となる。
設計容易性の観点からは、第一の層と第二の層の間に複数の層が介在される場合は、各層の厚さを(各層の光学波長/2)の自然数倍とすることが好ましい。例えば、第一の層と第二の層との間に層A及び層Bが介在される場合、層A及び層Bの厚さをそれぞれ(m×λ)/2、(m×λ)/2とする。ここに、λは層Aの光学波長、λは層Bの光学波長である。このように設計すれば、第一の層と第二の層との間に複数の層が介在される場合においても、第一の層と第二の層との間隔はm×λ/2(ここに、mは自然数、λは第一の層と第二の層間の光学波長)の関係が常に維持される。第一の層と第二の層との間に透光性電極層を介在させる場合には、当該透光性電極層も上記の関係を保持するものとすることが好ましい。
上記において、第一の層と第二の層との間隔を規定するとき、及び第一の層と第二の層との間に介在される複数の層における各層の厚さを規定するときに光学波長λが用いられている。この光学波長λは多少のマージンを有することができる。各層の厚さをnmオーダーで正確に制御することは極めて困難だからである。また、多少のマージン(好ましくは±10%以内、更に好ましくは±5%以内)があっても、目的にかなった変調ができるからである。
第一の層及び第二の層は反射層とすることが好ましいことは既述したが、第一の層及び第二の層の少なくとも一方を誘電体多重層(ブラッグミラー層)としたとき、多重層を構成する誘電体層の一部又は全部を磁気光学材料や電気光学材料などの屈折率可変層で形成すると、これらの層も光の変調機能に寄与する場合がある。
磁気光学材料層13を構成する磁気光学材料は磁気光学効果(ファラディ効果、カー効果)を有し、直線偏光光が磁気光学材料の中を通ると、これを右回りの楕円偏光光(右円偏光光)と左回りの楕円偏光光(左円偏光光)とに変換する。このとき、右円偏光光と左円偏光光とには位相差が生じている。またこの磁気光学材料は非相反性を有するので、位相差の生じた右円偏光光と左円偏光光を再度磁気光学材料へ通過させて直線偏光光へ再変換したとき、その位相差が維持されて直線偏光光の偏光面の回転(角度の変化)としてあらわれる。
このような磁気光学効果を奏する磁気光学材料には強磁性体材料、反強磁性体材料、フェリ磁性体材料、常磁性体材料を挙げられる。ファラディ効果を奏する透光性の強磁性体材料としてCdCo、のような磁性記憶媒体用材料、CoFe2O4のようなスピネルフェライト、PbFe12O19のようなヘキサゴナルフェライト、CdCr2S4のようなカルコゲナイド、フェライト、CrCl3のようなクロム化トリハライド、Y3Fe5O12(BiY)3Fe5O12のようなガーネット、(LaSr)MoO3のようマンガン酸化合物、EuOのようなユウロピウム化合物、Fe及びその合金からなる金属薄膜、Co及びその合金からなる薄膜、Mn及びその合金からなる薄膜、その他Fe2O4等やポリエチレン等の有機材料を挙げることができる。
ファラディ効果を奏する透光性の反強磁性体材料としては、酸化マンガン等を挙げることができる。
常磁性体材料は外部から磁界を印加することにより磁気光学効果を奏する。
ファラディ効果を奏する透光性の常磁性体材料として、Tb3AlO12、GGG(Gd3Ga5O12)等の希土類Al置換ガーネット、酸素等の気体、水等の液体、塩化カリウム等の固体、GGG(Gd3Ga5O12)、GGS等のクラウン等のガラスを挙げることができる。
青色光のような短波長を変調対象とする際には、TAG、TGGを採用することが好ましい。短波長をほとんど吸収しないからである。
磁性体材料層は単層若しくは複数層とすることができる。複数層とした場合、この複数層を構成する各層は同一の材料であっても異なる材料であってもよい。
屈折率可変層14はこれを通過する光に対して、光通過方向にその屈折率を変化させる。
かかる屈折率可変層14を形成する材料として電気光学材料、音響光学材料、熟光学材料等を挙げることができる。電気光学材料は電界の印加によって屈折率が変化する材料であって、PZT(PbZr0.25Ti0.48O3)、PLZT、PLHT、SBN、LT、LN、KDP、DKDP、BNN、KTN、BTO等を挙げることができる。
屈折率可変層14を電気光学材料で形成した場合、当該屈折率可変層へ印加する電界を制御することにより、その屈折率を変化・制御可能である。屈折率可変層へ電界を印加するために、特許文献1にも記載してある通り、当該屈折率可変層を透光性電極14a、14bでサンドイッチする構成を採用できる。勿論、光学体の外部から電界を印加してもよい。この場合、電界の印加の方向は屈折率可変層の面内方向に対して垂直に限らず、傾斜していてもよい。
音響光学材料は応力の印加・歪によって屈折率変化が生じる材料であって、PZT (PbZr0.25Ti0.48O3)、LT、LN、Al2O3、Y3Al5O12、Si、SiO2等を挙げることができる。
屈折率可変層14を音響光学材料で形成した場合、当該屈折率可変層14へ印加する応力を制御することにより、その屈折率を変化させることにより制御可能である。屈折率可変層14へ応力を印加するためには、屈折率可変層を光透過性の圧電素子で挟むことが考えられる。
熱光学材料は温度により屈折率が変化する材料であって、液晶が該当する屈折率可変層を熱光学材料で形成した場合、当該屈折率可変層へ印加する熱を制御することにより、その屈折率を変化させることにより制御可能である。屈折率可変層の温度を制御するには、例えばヒーターを具備すればよい
屈折率可変層14は単層若しくは複数層とすることができる。複数層とした場合、この複数層を構成する各層は同一の材料であっても異なる材料であってもよい。
この明細書において「透光性」とは入射光(変調対象光)を透過する特性を指し、いわゆる透明性(可視光についての透光性)に限られるものではない。また、屈折率可変層は必然的に透光性を有するものとする。
カー効果を有する材料としてはR3Fe5O12 (R-希土類元素、例えばBi、Y、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)のようなガーネット、MFe2O4(M=Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Li0.5Fe0.5)のようなスピネルフェライト、MFe2O4(M=Ba、Pb、Sr、Ca、Ni0.5Fe0.5、Ag0.5La0.5)のような六方晶フェライト、MnBi、PtCo、EuO、PtMnSbからなる多結晶膜、Gd-Co、Gd-Fe、Dy-Fe、Tb-Fe、Gd-Tb-Fe、Gd-Dy-Fe、Tb-Fe-Co、Gd-Tb-Fe-Co、(Gd-Fe)-Bi、(Gd-Fe)-Sn、Nd-Dy-Fe-Coのような希土類一遷移金属薄膜、及び前記材料からなる薄膜からなる複合膜等を挙げることができる。
磁気光学材料層を光透過性としたとき、磁気光学材料層と屈折率可変層との積層体を繰返してなる多層構造を採用することもできる。この多層構造を採用する場合、各磁気光学材料層は同一の材料で形成することが好ましいが、また異なる材料で形成することを除外するものではない。同様に、各屈折率可変層も同一の材料で形成することが好ましいが、異なる材料で形成してもよい。
光源20は直線偏光光を出力可能とし、例えば半導体レーザ装置を用いることができる。光源から出力される入射光の波長をλ1とする。
ここに、光学体10はその回転角度のピーク波長をλ2としたとき、λ1<λ2とする。これにより、屈折率可変層14の屈折率を変化させたとき、出力される楕円偏光光の回転楕円率の符号を逆転可能とし、かつ各回転方向においてピーク値を得ることができる。
なお、回転角度のピーク波長とは、光学体において入力光を、最も効率よく角度偏光できる波長をさす。
光学体においてピーク波長の制御は、磁気光学材料層の材質及び/又は厚さ等を制御することにより行なえる。
以下に説明する実施例では、入射光の波長λ1=800.0nm、光学体における回転角度のピーク波長λ2=800.5nmとした。
屈折率制御部30は屈折率可変層14の屈折率を変更するものであり、屈折率可変層14の特性に応じて屈折率可変層14へ所望のエネルギーを印加する。
屈折率可変層14を電気光学材料で形成し、そこへ電界を印加することによりその屈折率を制御する方式が、屈折率切換えを高速にかつ簡易な構成で実行できるので好ましい。より具体的には、電気光学材料からなる屈折率可変層を一対の透光性電極で挟み、一対の透光性電極へ印加する電圧を切換えることにより、簡易かつ高速に屈折率可変層の屈折率を任意に制御可能となる。
以下、この発明の実施例の光変調システムを、図4を参照しながら、説明する。
<半導体レーザ装置>
半導体レーザ装置20は、800nmのレーザ光を放射可能とされている。
<光学体>
また、光学体10は、SGGG(ガリウム・ガドリニウム・ガーネット基板:例えばGd2.68Ca0.32Ga4.04Mg0.32Zr0.64O12)11の上へ、酸化タンタル12aと酸化シリコン12bとが交互に9層積層された第一の反射層12がブラッグミラーとして形成されている。そして、第一の反射層12の上には、ビスマス・イットリウム・ガーネットからなる磁気光学材料層13が形成されている。さらに、この磁気光学材料層13の上には透明性電極(ITO)14a、14bに両側から挟まれたPLZTからなる屈折率可変層14が積層されている。そして、さらに外側には酸化タンタル15aと酸化シリコン15bとが交互に9層積層された第二の反射層15がブラッグミラーとして形成されている。
各層の厚さは以下のとおりである。
第一の反射層12:光学長λ=800.5nm
(酸化タンタル12aと酸化シリコン12bとの合計の厚さ)
第二の反射層15:光学長λ=800.5nm
(酸化タンタル15aと酸化シリコン15bとの合計の厚さ)
磁気光学材料層13(ビスマス・イットリウム・ガーネット):m=4
ここでmは自然数(1,2,3……)である。
屈折率可変層15(PLZT):m=1
ここでmは自然数(1,2,3……)である。
透明性電極(ITO)14a、14b:
後述するシミュレーションにおいて、透光性電極は厚さを持たず、かつその材料は完全な透光性であり、かつ電気抵抗を持たないものと仮定している。
これらの各層はスパッタリング法によって形成することができる。ただし、スパッタリング法に限定されるものではなく、蒸着法、イオンプレーティング法、スプレー法、イオンビーム照射法などのPVD法や、CVD法など、汎用的な薄膜製造技術を適用可能である。
<屈折率制御部>
屈折率制御部30は、透明性電極(ITO)14a、4b間に所定の電位を付与することが可能な電源を備え、透明性電極(ITO)14a、14bに接続されている。屈折率制御部30による付与制御内容については、後述するシミュレーション計算の項において説明する。
以上のように構成された光変調システムについて、半導体レーザ装置20を用いて直線偏光光であるレーザ光を入射光として第一の層11側から入射した場合のシミュレート計算をマトリックスアプローチ法によって行った。シミュレート計算は、透過光および反射光の両方について行った。
<透過光の場合>
透過光の場合のシミュレート計算の結果を図5及び図6に示す。
図5はPLZTからなる屈折率可変層14への印加電圧と、ファラディ回転角、ファラディ回転楕円率及び透過率との関係を示すグラフである。このグラフから、印加電圧が0.26V付近にファラディ回転角のピークが存在し、さらにそのピークを中心に少しずれた両外側に、正負を逆とするファラディ回転楕円率のピークが存在することが分かった。また、ファラディ回転楕円率のピークと透過率の最大ピークの位置とは一致することが分かった。
一方、図6は透過光における屈折率可変層15の屈折率の変化Δnと、ファラディ回転角、ファラディ回転楕円率及び透過率との関係を示すグラフである。このグラフから、屈折率の変化Δnが0.0075付近にファラディ回転角のピークが存在し、さらにそのピークを中心に少しずれた両外側に、正負を逆とするファラディ回転楕円率のピークが存在することが分かった。また、ファラディ回転楕円率のピークと透過率の最大ピークの位置とは一致することが分かった。
<反射光の場合>
反射光の場合のシミュレート計算の結果を図7及び図8に示す。
図7は透過光における屈折率の変化と、カー回転角、カー回転楕円率及び透過率との関係を示すグラフである。
透過光における屈折率可変層15の屈折率の変化と、カー回転角、カー回転楕円率及び透過率との関係を示すグラフである。このグラフから、印加電圧が0.26V付近にカー回転角のピークが存在しており、さらにそのピークを中心に少しずれた両外側に、正負を逆とするカー回転楕円率のピークが存在することが分かった。また、カー回転楕円率のピークと透過率の最大ピークの位置とは一致することが分かった。
一方、図8は屈折率の変化(Δn)と、カー回転角、カー回転楕円率及び透過率との関係を示すグラフである。このグラフから、屈折率の変化Δnが0.0075付近にカー回転角のピークが存在し、さらにそのピークを中心に少しずれた両外側に、正負を逆とするカー回転楕円率のピークが存在することが分かった。また、カー回転楕円率のピークと透過率の最大ピークの位置とは一致することが分かった。
この例では、入射光として波長λ1=800.0nmのレーザ光を用い、光学体におけるピーク波長をλ2=800.5nmに設定している。
以上のように、実施例1の光変調システムでは、屈折率可変層14への印加電圧を制御することにより、レーザ光の透過光や反射光において、正負を逆とする回転楕円率のピークが存在するという特異な効果を奏することができる。
このため、書き込み時に使用する光が右円偏光か左円偏光かによって磁化の反転を制御する記録媒体の書き込み用の光源として用いることができる。また、印加電圧の変化は、屈折率可変層に付与される電界変化となって現れ、屈折率の高速制御が可能となるため、高速書き込みが可能となる。
12、15…反射層(12…第一の反射層、15…第二の反射層)
10、20…光変調部(10…光学体、20…半導体レーザ装置(光源))
14…屈折率可変層
13…磁気光学材料層
14a、14b、30…屈折率制御部(14a、14b…透明性電極、30…電位発生装置)

Claims (9)

  1. 第1の波長λ1の第1の光を放射する光源と、
    前記第1の光を入射光とし、第2の波長λ2において回転角度のピークを有し、第2の光を出力光として出力する光学体であって、一対の反射層、該一対の反射層の間に存在する屈折率可変層及び磁気光学材料層を有する光学体と、
    前記屈折率可変層の屈折率を第1の屈折率と第2の屈折率とに制御しうる屈折率制御部と、を備えてなる光変調システムの制御方法であって、
    前記光学体の回転角度のピークに対応する前記第2の波長λ2を前記入射光の波長λ1より大きくするとともに、
    前記第1の屈折率では前記第2の光を第1の方向の楕円偏光光とし、前記第2の屈折率では前記第2の光を第2の方向の楕円偏光光とするように前記屈折率可変層の屈折率を制御する光変調システムの制御方法。
  2. 前記第1の屈折率において前記第1の方向の楕円偏光光の回転楕円率の絶対値が最大となり、前記第1の屈折率において前記第2の方向の楕円偏光光の回転楕円率の絶対値が最大となるように制御する、請求項1に記載の制御方法。
  3. 前記屈折率可変層は電界によりその屈折率が変化される電気光学材料からなり、前記屈折率制御部は前記屈折率可変層へ与える電界を制御する、請求項2に記載の制御方法。
  4. 一対の反射層、該一対の反射層の間に存在する屈折率可変層及び磁気光学材料層を有する光学体と、
    前記屈折率可変層の屈折率を第1の屈折率と第2の屈折率に制御しうる屈折率制御部と、を備え
    直線偏光光を入力して楕円偏光光を出力する、光変調システムの制御方法であって、
    前記楕円偏光光の回転角度と回転楕円率とをともに変化させるように屈折率可変層の屈折率を制御する光変調システムの制御方法。
  5. 前記屈折率可変層は電界によりその屈折率が変化される電気光学材料からなり、前記屈折率制御部は前記屈折率可変層へ与える電界を制御する、請求項4に記載の制御方法。
  6. 第1の波長λ1の第1の光を放射する光源と、
    前記第1の光を入射光とし、第2の波長λ2において回転角度のピークを有し、第2の光を出力光として出力する光学体であって、一対の反射層、該一対の反射層の間に存在する屈折率可変層及び磁気光学材料層を有する光学体と、
    前記屈折率可変層の屈折率を第1の屈折率と第2の屈折率とに制御しうる屈折率制御部と、
    前記第1の屈折率では前記第2の光を第1の方向の楕円偏光光とし、前記第2の屈折率では前記第2の光を第2の方向の楕円偏光光とするように前記屈折率可変層の屈折率を制御する制御部と、を備え、
    前記光学体の回転角度のピークに対応する前記第2の波長λ2が前記入射光の波長λ1より大きい、光変調システム。
  7. 前記第1の屈折率において前記第1の方向の楕円偏光光の楕円率の絶対値が最大となり、前記第2の屈折率において前記第2の方向の楕円偏光光の楕円率の絶対値が最大となる、請求項6のシステム。
  8. 前記屈折率可変層は電界によりその屈折率が変化される電気光学材料からなり、前記屈折率制御部は前記屈折率可変層へ与える電界を制御する、請求項7に記載のシステム。
  9. 前記屈折率制御部は前記屈折率可変層を挟む一対の透明性電極を有する、請求項8に記載のシステム。
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