以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
<1.本発明に係るコポリマー>
本発明に係るコポリマーは、下記式(1A)で表される繰り返し単位、(1B)で表される繰り返し単位及び式(1C)で表される繰り返し単位を含む。本発明に係るコポリマーは、溶解させた際にゲル化しにくいため、塗布成膜するために適している。また、本発
明に係るコポリマーは、光吸収波長領域がより長波長にあり、かつ光吸収性が高く、さらに高い移動度を有する点から好ましい。また、本発明に係るコポリマーは、高分子量のものを得やすい点で好ましい。
式(1A)および式(1B)中、A1とA2は各々独立して、周期表第16族から選ばれる原子を表す。A1とA2として具体的には、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子が挙げられる。なかでも、合成の容易性の点で好ましくは酸素原子、硫黄原子又はセレン原子であり、より好ましくは、硫黄原子又は酸素原子であり、特に好ましくは硫黄原子である。A1とA2は同一でも異なっていてもよく、好ましくは同一である。
式(1C)中、Qは周期表第14族元素から選ばれる原子を表す。周期表第14族元素から選ばれる原子として具体的には、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子及び鉛原子が挙げられる。Qとして好ましくは、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子及びスズ原子であり、より好ましくは、炭素原子、ケイ素原子及びゲルマニウム原子である。さらに好ましくは、ケイ素原子又はゲルマニウム原子である。ケイ素原子及びゲルマニウム原子は炭素原子と比較して原子半径が大きいことから、π−πスタッキングを阻害するような置換基R3及びR4による立体障害が低減されうる。このことは、コポリマー間の分子間相互作用が適度に維持されうる点で好ましい。
式(1A)中、R1は置換基を有していてもよい直鎖アルキル基である。ポリマー間の相互作用を適度に強める観点から好ましい。
直鎖アルキル基の炭素数は、通常1以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。直鎖アルキル基の炭素数が上記範囲内であることは、溶解性向上の点から好ましい。
直鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−イコシル基、n−テトラコシル基又はn−トリアコンチル基等が挙げられる。
なかでも好ましくは、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基
、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−イコシル基、n−テトラコシル基又はn−トリアコンチル基であり、より好ましくは、コポリマーの溶解度を高く維持しつつ、かつコポリマーの分子間距離を離し過ぎないことにより電荷移動を促進しうる点で、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、又はn−ドデシル基である。
式(1B)中、R2は置換基を有していてもよい分岐アルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。R1とR2がこのような組合せであることにより、ポリマー主鎖同士が規則正しく配向することによる起こる溶解度の低下やゲル化を抑制することができ、インク保存安定性を高めることができると考えられる。
なお、R2は、好ましくは、置換基を有していてもよい分岐アルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であり、より好ましくは置換基を有していてもよい分岐アルキル基である。
分岐アルキル基としては、分岐1級アルキル基、分岐2級アルキル基又は分岐3級アルキル基が挙げられる。分岐1級アルキル基とは、遊離原子価を有する炭素原子に結合する水素原子が2つである分岐アルキル基を意味する。分岐2級アルキル基とは、遊離原子価を有する炭素原子に結合する水素原子が1つである分岐アルキル基を意味する。また分岐3級アルキル基とは、遊離原子価を有する炭素原子に結合する水素原子が無い分岐アルキル基を意味する。ここで、遊離原子価とは、有機化学・生化学命名法(上)(改訂第2版、南江堂、1992年発行)に記載のとおり、他の遊離原子価と結合を形成できるものをいう。
適度に分子間相互作用を強めて移動度が向上する点で分岐1級アルキル基が好ましく、溶解性が向上する点で分岐2級アルキル基が好ましい。
分岐1級アルキル基の炭素数は、通常3以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上であり、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。分岐1級アルキル基の炭素数が上記範囲内にあることは、溶解性向上の点から好ましい。
分岐1級アルキル基としては、例えば、2−エチルヘキシル基、2−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−エチルブチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2−メチルペンチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−ヘキシルデシル基、2,2−ジメチルブチル基、2−メチルヘプチル基、2−ブチルオクチル基、2−プロピルペンチル基、2−メチルオクチル基、2−メチルドデシル基又は2,5−ジメチルヘキシル基等が挙げられる。
なかでも、2−エチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,6−ジメチルへプチル基、2−ヘキシルデシル基、2−メチルヘプチル基、2−ブチルオクチル基、2−プロピルペンチル基、2−メチルオクチル基、又は2,5−ジメチルヘキシル基が好ましく、より好ましくは2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基、2−ブチルオクチル基又は2−ヘキシルオクチル基である。
分岐2級アルキル基の炭素数は、通常3以上、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。分岐2級アルキル基の炭素数が上記範囲内にあることにより、溶解性を向上させることができる点で好ましい。
分岐2級アルキル基としては、例えば、1−メチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、1−メチルペンチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルブチル基、1−ブチルヘプチル基、4−メチル−1−プロピルヘキシル基、1,3−ジメチ
ルペンチル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1−ブチルヘキシル基、1,3−ジメチルデシル基、又は1−プロピルヘプチル基等が挙げられる。
なかでも、好ましくは1−エチルヘキシル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−ブチルヘプチル基、1−エチルオクチル基、1−プロピルヘキシル基、4−エチル−1−メチルオクチル基、4−メチル−1−プロピルヘキシル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、1−ブチルヘキシル基又は1−プロピルヘプチル基である。
分岐3級アルキル基の炭素数は、通常4以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。
分岐3級アルキル基としては、例えば、t−ブチル基、2−エチル−1,1−ジメチルペンチル基、1−エチル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジブチルドデシル基、1−ブチル−1−エチルヘキシル基、1−エチル−1−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘプチル基、1,1−ジメチルデシル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,1−ジブチルペンチル基、1−ブチル−1−プロピルペンチル基、1−ヘキシル−1−メチルノニル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、又は1,1,2,2−テトラメチルプロピル基等が挙げられる。
なかでも、t−ブチル基又は1,1−ジメチルプロピル基が好ましく、より好ましくはt−ブチル基である。
シクロアルキル基の炭素数は、通常3以上、より好ましくは4以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基又はシクロラウリル基等が挙げられる。なかでも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基が好ましい。
芳香族炭化水素基の炭素数は、通常6以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは14以下である。このような芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダニル基、インデニル基、フルオレニル基、アントラセニル基又はアズレニル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基又はナフチル基が好ましい。
複素環基としては、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の炭素数は、通常2以上、一方、通常20以下、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは6以下である。このような脂肪族複素環基としては、例えば、オキセタニル基、ピロリジニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基又はテトラヒドロチオピラニル基等が挙げられる。
芳香族複素環基の炭素数は、通常2以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは14以下である。このような芳香族複素環基としては、例えば、チエニル基、フラニル基、ピリジル基、ピリミジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基又はベンゾトリアゾリル基等が挙げられる。なかでも、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、チアゾリル基又はオキサゾリル基が好ましい。R1及びR2が「有していてもよい」置換基としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定はないが、好ましくは、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、カルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ボリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シ
リル基、脂肪族複素環基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基等が挙げられる。なかでも好ましくは、本発明に係るコポリマーの分子内極性をコントロールしうる点で、ハロゲン原子、アルコキシ基又はアルキルチオ基である。
R3及びR4は各々独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。具体的には、置換基を有していてもよい直鎖アルキル基、置換基を有していてもよい分岐アルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基を表し、R1及びR2で定義したものと同義である。R3及びR4は、同一でも異なっていてもよい。
なかでも好ましくは、R3及びR4のうち少なくとも一方が置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基である。
溶解度を向上させる点からは、R3及びR4がともに、置換基を有していてもよいアルキル基がより好ましく、さらに好ましくは、置換基を有していてもよい分岐アルキル基であり、特に好ましくは置換基を有していてもよい分岐1級アルキルである。
また、別法として、Qが不斉原子となり、得られるコポリマーが、多数のジアステレオマーを持つことが出来るため、溶解性を向上させることができる点で、R3が、置換基を有していてもよい直鎖アルキル基、かつR4が置換基を有していてもよい分岐アルキル基がより好ましく、特に好ましくは、R3が置換基を有していてもよい直鎖アルキル基、かつR4が置換基を有していても良い分岐1級アルキル基である。
R3及びR4が「有していてもよい」置換基としては、R1及びR2が「有していてもよい」置換基と同義である。なかでも、水素原子とヘテロ原子とを含む群から選択された原子からなる置換基が好ましく、より好ましくは、極性を上げる点でフッ素原子等のハロゲン原子、又は水素結合能を有する点でアミノカルボニル基若しくはカルボニルアミノ基等のアミド結合を有する基である。
また、R3及びR4のうち少なくとも一方が置換基を有さない分岐アルキル基であることもまた好ましい。特に好ましくは、2−エチルヘキシル基、2−エチルヘプチル基、2−エチルオクチル基、2−エチルノニル基又は2−エチルデカニル基等が挙げられる。
R3及びR4は、少なくともどちらか一方が、分岐鎖アルキル基を含むものが好ましく、両方が、分岐鎖アルキル基であることも溶解性をあげる観点から好ましい。
式(1A)と式(1B)の中で、R1とR2の置換基が異なることにより、ポリマー間の距離を不均一にすることが出来るため、コポリマーの溶解性が向上する。
このことは、本発明に係るコポリマーの有機溶媒への溶解性が向上しやすく、本発明に係るコポリマーが塗布成膜しやすくなりうる点で好ましい。また、本発明に係るコポリマーを溶液とした時にコポリマーが析出したりゲル化したりすることが抑制され、保存安定性が向上しうる点でも好ましい。
ジオキソピロール縮合環上に直鎖アルキル基を有する繰り返し単位とジオキソピロール縮合環上に分岐アルキル基等を有する繰り返し単位は、それぞれ、直線性をもつ置換基を有する繰り返し単位と空間的な広がりをもつ置換基を有する繰り返し単位となると考える。ゆえに、上記繰り返し単位を有する本発明に係るコポリマー同士の分子間距離が適度に離れうる部分と互いに近づける部分とが共存でき、コポリマー間に不規則な距離間を持たせることができることから、溶解性の向上を図ることができると考える。
また、本発明のコポリマーは、直線性をもつ置換基を有する繰り返し単位と空間的な広
がりをもつ置換基を有する繰り返し単位を有することから、複数のコポリマー間において、ジチエノ縮合環とジオキソピロール縮合環との間、及び/又はジチエノ縮合環同士の分子間相互作用が適切に調整される。ゆえに、高分子量体であるにもかかわらず、同時に、溶解度が向上し、コポリマーの凝集、結晶化又はゲル化が抑制されるコポリマーとなり、結果としてコポリマーを含有するインクの安定性が向上しうると考える。
本発明に係るコポリマーは、式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位、及び式(1C)で表される繰り返し単位のうち1以上のそれぞれを、2種以上含んでいてもよい。
本発明に係るコポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、式(1A)、(1B)又は(1C)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位、及び式(1C)で表される繰り返し単位の合計が、本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める割合は、特段の制限は無いが、通常2モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは25モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、よりさらに好ましくは90%以上である。特に好ましくは、本発明に係るコポリマーは、式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位,及び式(1C)で表される繰り返し単位を含みかつこれらの繰り返し単位のみで構成されるか、又はこれらの繰り返し単位を含みかつこれらの繰り返し単位のみで構成されるポリマー鎖を含む。
本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(1A)で表される繰り返し単位の割合は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは2モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上である。一方、通常99モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(1B)で表される繰り返し単位の割合は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上である。一方、通常99モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(1C)で表される繰り返し単位の割合は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは2モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上である。一方、通常99モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
本発明に係るコポリマーにおける、式(1A)+式(1B)で表される繰り返し単位の数に対する、式(1C)で表される繰り返し単の位の数比(1C/1A+1B)は、特段の制限は無いが、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上である。一方、通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは2以下である。
本発明に係るコポリマーにおける、式(1A)、式(1B)及び式(1C)で表される繰り返し単位の配列状態は、ブロック又はランダムのいずれでもよい。すなわち、本発明に係るコポリマーは、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーのいずれでもよい。また、これらのコポリマーのうち中間的な構造を有するコポリマー、例えばブロック性を帯びたランダムコポリマーであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上あるコポリマー、及びデンドリマーも含まれる。なかでも、合成が容易であり、規則性がより低下しうる点で、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであることが好ましく、コポリマーの溶解性が向上しかつコポリマーを溶解させたインクの保存安定性がより向上しうる点で、ランダムコポリマーであることがより好ましい。
なかでも、本発明に係るコポリマーは、下記式(2A)及び式(2B)で表される繰り
返し単位を有することが好ましい。下記式(2A)及び式(2B)で表される繰り返し単位を有するコポリマーは、電荷分離状態をより容易に維持しうる点で好ましい。
式(2A)及び式(2B)中、A1、A2、R1〜R4は上述と同義である。
式(2A)及び式(2B)中、Q1及びQ2は、それぞれ独立して周期表第14族元素から選ばれる原子を表す。Q1及びQ2は、式(1B)及び(1C)におけるQ1及びQ2と同様のものである。
R5及びR6は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、R3及びR4と同義である。
本発明に係るコポリマーは、式(2A)で表される繰り返し単位及び(2B)で表される繰り返し単位のうち1以上のそれぞれを、それぞれ2種以上含んでいてもよい。
本発明に係るコポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、式(2A)又は(2B)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める式(2A)で表される繰り返し単位及び式(2B)で表される繰り返し単位の合計の割合は、特段の制限は無いが、通常2モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは25モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、よりさらに好ましくは90%以上である。特に好ましくは、本発明に係るコポリマーは、式(2A)で表される繰り返し単位及び式(2B)で表される繰り返し単位を含みかつこれらの繰り返し単位のみで構成されるか、又はこれらの繰り返し単位を含みかつこれらの繰り返し単位のみで構成されるポリマー鎖を含む。
本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(2A)で表される繰り返し単位の割合は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上である。一方、通常99モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
本発明に係るコポリマーを構成する繰り返し単位に占める、式(2B)で表される繰り返し単位の割合は、特段の制限は無いが、通常1モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上である。一方、通常99モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
本発明に係るコポリマーにおける、式(2B)で表される繰り返し単位の数に対する式(2A)で表される繰り返し単位の数の数比(2A/2B)は、特段の制限は無いが、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上である。一方、通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。
本発明に係るコポリマーにおける、式(2A)及び式(2B)で表される繰り返し単位の配列状態は、交互、ブロック又はランダムのいずれでもよい。すなわち、本発明に係るコポリマーは、交互コポリマー、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーのいずれでもよい。また、これらのコポリマーのうち中間的な構造を有するコポリマー、例えばブロック性を帯びたランダムコポリマーであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上あるコポリマー、及びデンドリマーも含まれる。なかでも、合成が容易であり、規則性がより低下しうる点で、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであることが好ましく、コポリマーの溶解性が向上しかつコポリマーを溶解させたインクの保存安定性が向上しうる点で、ランダムコポリマーであることがより好ましい。
本発明に係るコポリマーの好ましい具体例を以下に示す。しかしながら、本発明に係るコポリマーが以下の例示に限られるわけではない。下記例示のm、nはモル分率を表し、m+n=1となる正の数である。
本発明に係るコポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常2.0×104以上、好ましくは3.0×104以上、より好ましくは4.0×104以上、さらに好ましくは5.0×104以上、よりさらに好ましくは7.0×104以上、特に好ましくは1.0×105以上である。一方、好ましくは1.0×107以下、より好ましくは1.0×106以下、特に好ましくは5.0×105以下である。光吸収波長を長波長化するという観点、高い吸光度を実現するという観点、高いキャリア移動を実現できるという観点、及び有機溶媒への溶解度の観点から、重量平均分子量がこの範囲にあることが好ましい。
本発明に係るコポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常5.0×103以上、好ましくは1.0×104以上、より好ましくは2.0×104以上、さらに好ましくは2.5×104以上、特に好ましくは3.0×104以上である。一方、好ましくは1.0×107以下、より好ましくは1.0×106以下、さらに好ましくは5.0×105以下、殊更に好ましくは2.0×105以下、特に好ましくは1.0×105以下である。光吸収波長を長波長化するという観点、高い吸光度を実現するという観点、高いキャリア移動を実現できるという観点、及び有機溶媒への溶解度の観点から、数平均分子量がこの範囲にあることが好ましい。
本発明に係るコポリマーの分子量分布(PDI,(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)))は、通常1.0以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.3以上である。一方、好ましくは20.0以下、より好ましくは15.0以下、さらに好ましくは10.0以下である。コポリマーの溶解度が塗布に適した範囲になりうるという点で、分子量分布がこの範囲にあることが好ましい。
本発明に係るコポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。具体的には、カラムとして、PolymerLaboratories GPC用カラム(PLgel MIXED−B 10μm 内径7.5mm,長さ30cm)を2本直列に繋げて用い、ポンプとしてLC−10AT(島津製作所社製)、オーブンとしてCTO−10A(島津製作所社製)、検出器として示差屈折率検出器(島津製作所製:RID−10A)、及びUV−vis検出器(島津製作所製:SPD−10A)を用いることにより測定できる。測定方法としては、測定対象のコポリマー(1mg)をクロロホルム(200mg)に溶解させ、得られた溶液1μLをカラムに注入する。移動相としてクロロホルムを用い、1.0mL/minの流速で測定を行う。解析にはLC−Solution(島津製作所製)を用いる。
本発明に係るコポリマーは、好ましくは光吸収極大波長(λmax)が通常470nm以上、好ましくは480nm以上にあり、一方、通常1200nm以下、好ましくは1000nm以下、より好ましくは900nm以下にある。また、350nmから850nmの範囲で最も長波長側にある吸収極大波長の半値幅が通常10nm以上、好ましくは20nm以上であり、一方、通常300nm以下である。また、本発明に係るコポリマーを太陽電池用途に用いる場合、コポリマーの吸収波長領域は太陽光の波長領域に近いほど望ましい。
本発明に係るコポリマーの溶解度は、特に限定は無いが、好ましくは25℃におけるクロロベンゼンに対する溶解度が通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、一方、通常30質量%以下、好ましくは20質量%である。溶解性が高いことは、塗布によりより厚い膜を成膜できるために好ましい。
本発明に係るコポリマーは、分子間で適度な相互作用が起こることが好ましい。本明細書において、分子間で相互作用するということは、分子間でのπ−πスタッキング等の相互作用によってポリマー鎖間の距離が短くなることを意味する。相互作用が強いほど、高い移動度及び/又は結晶性を示す傾向があるため、半導体材料として好適であるものと考えられる。すなわち、分子間で相互作用するコポリマーにおいては分子間での電子移動が起こりやすいため、例えば光電変換素子において活性層中に本発明に係るコポリマーを用いた場合に、活性層内のp型半導体化合物とn型半導体化合物との界面で生成した正孔(ホール)を効率よく電極(アノード)へ輸送できると考えられる。
結晶性の測定方法としてはX線回折法(XRD)が挙げられる。本明細書において結晶性を有するとは、XRD測定により得られたX線回折スペクトルが回折ピークを有するこ
とを意味する。結晶性を有することは、分子同士が配列した積層構造を有することを意味すると考えられ、後述する活性層を厚膜化できる傾向がある点で好ましい。XRD測定は公知文献(X線結晶解析の手引き(応用物理学選書4))に記載の方法に基づいて行うことができる。
本発明に係るコポリマーの正孔移動度(ホール移動度と記す場合がある)は、通常1.0×10−7cm2/Vs以上、好ましくは1.0×10−6cm2/Vs以上、より好ましくは1.0×10−5cm2/Vs以上、特に好ましくは1.0×10−4cm2/Vs以上である。一方、本発明に係るコポリマーの正孔移動度は通常1.0×104cm2/Vs以下、好ましくは1.0×103cm2/Vs以下であり、より好ましくは1.0×102cm2/Vs以下であり、特に好ましくは1.0×10cm2/Vs以下である。正孔移動度がこの範囲にあることにより、本発明に係るコポリマーは半導体材料として好適に用いられる。また、光電変換素子において高い変換効率を得るためには、n型半導体化合物の移動度と、p型半導体化合物の移動度とのバランスが重要である。本発明に係るコポリマーを光電変換素子においてp型半導体化合物として用いる場合、本発明に係るコポリマーの正孔移動度とn型半導体化合物の電子移動度とを近づける観点から、本発明に係るコポリマーの正孔移動度がこの範囲にあることが好ましい。正孔移動度の測定方法としてはFET法が挙げられる。FET法は公知文献(特開2010−045186号公報)に記載の方法により行うことができる。
一方で、本発明に係るコポリマーは溶液状態での保存安定性が高いことが好ましい。保存安定性が高いとは、溶液とした時に凝集しにくいことを意味する。より具体的には、本発明に係るコポリマー2mgを2mLのスクリューバイアルに入れ、1.5質量%の濃度になるようにo−キシレンに加熱溶解させてから室温まで冷却した際に、冷却を開始してから5分間以上ゲル化しないことが好ましく、1時間以上ゲル化しないことがより好ましい。
本発明に係るコポリマー中の不純物は極力少ないほうが好ましい。特に、パラジウム、銅等の遷移金属触媒が残っていると、遷移金属の重原子効果による励起子トラップが生じるために電荷移動が阻害され、結果として本発明に係るコポリマーを光電変換素子に用いた際に光電変換効率を低下させるおそれがある。遷移金属触媒の濃度は、コポリマー1gあたり、通常1000ppm以下、好ましくは500pm以下、より好ましくは100ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、1ppm以上であってもよく、3ppm以上であってもよい。
本発明に係るコポリマー中の、末端残基(例えば、後述する式(3A)〜(3C)におけるX及びY)を構成する原子の残存量は、特段の制限は無いが、コポリマー1gあたり、通常6000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下、さらに好ましくは2000ppm以下、よりさらに好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは200ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、好ましくは1ppm以上、より好ましくは3ppm以上である。
特に、本発明に係るコポリマー中のSn原子の残存量としては、コポリマー1gあたり、通常5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは2500ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下、よりさらに好ましくは750ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、好ましくは1ppm以上、より好ましくは3ppm以上である。Sn原子の残存量が5000ppm以下であることは、熱分解しやすいアルキルスタニル基等が少ないことを意味し、安定性の点で高い性能を得ることができるために、好まし
い。
また、本発明に係るコポリマー中のハロゲン原子の残存量は、コポリマー1gあたり、通常5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは2500ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下、よりさらに好ましくは750ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。一方、通常0ppmより大きく、好ましくは1ppm以上、より好ましくは3ppm以上である。ハロゲン原子の残存量を5000ppm以下にすることは、コポリマーの光電変換特性及び耐久性等の性能が向上する傾向にあるため、好ましい。
コポリマー中の、末端残基(例えば、後述する式(3A)〜(3C)におけるX及びY)を構成する原子の残存量は、元素量を測定することにより決定できる。コポリマーの元素分析は、例えばPd及びSnについてはICP質量分析法で実施することができ、臭素イオン(Br−)及びヨウ素イオン(I−)についても、ICP質量分析法で実施することができる。
ICP質量分析法は、公知文献(「プラズマイオン源質量分析」(学会出版センター))に記載されている方法により実施できる。具体的には、Pd及びSnについては、試料を湿式分解後、分解液中のPd,SnをICP質量分析装置(Agilent Technologies社製 ICP質量分析装置 7500ce型)を用いて検量線法により定量することができる。又、Br−及びI−については、試料を試料燃焼装置(三菱化学アナリテック社製 試料燃焼装置 QF−02型)にて燃焼し、燃焼ガスを還元剤入りのアルカリ吸収液に吸収させた後、吸収液中のBr−及びI−をICP質量分析装置(Agilent Technologies社製 ICP質量分析装置 7500ce型)を用いて検量線法により定量することができる。
<2.本発明に係るコポリマーの製造方法>
本発明に係るコポリマーの製造方法には特に限定はなく、例えばジオキソピロール縮合環を有する化合物と、ジチエノ縮合環を有する化合物と、を用いて公知の方法で製造することができる。好ましい方法としては、下記一般式(3A)で表される化合物と、下記一般式(3B)で表される化合物と、下記一般式(3C)で表される化合物とを、必要であれば適当な触媒の存在下で、重合する方法が挙げられる。
式(3A)中、R1及びA1は、式(1A)で規定されたものと同義であり、 式(3
B)中、R2及びA2は、式(1B)で規定されたものと同義である。式(3C)中、R3、R4、及びQは式(1C)で規定されたものと同義である。
式(3A)〜(3C)中、X及びYは、重合反応の種類に応じて適宜選択できる。例えば、本発明に係るコポリマーは、カップリング反応を用いた重合反応により製造することができる。使用可能な反応としては、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Yamamotoカップリング反応方法、Grignard反応方法、ヘック反応方法、薗頭反応方法、FeCl3等の酸化剤を用いる反応方法、電気化学的な酸化反応を用いる方法、適当な脱離基を有する中間体化合物の分解による反応方法等が挙げられる。これらの中でも、Suzuki−Miyauraカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Yamamotoカップリング反応方法、Grignard反応方法が、構造制御がしやすい点で好ましい。特に、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Grignard反応方法が、材料の入手しやすさ、反応操作の簡便さの点からも好ましい。これらの反応は、「クロスカップリング−基礎と産業応用−(CMC出版)」、「有機合成のための遷移金属触媒反応(辻二郎著:有機合成化学協会編)」、「有機合成のための触媒反応103(檜山為次郎:東京化学同人)」等の公知文献の記載の方法に従って行うことができる。
X及びYの例としては、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキルスタニル基、アルキルスルホ基、アリールスルホ基、アリールアルキルスルホ基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、ホウ酸残基(−B(OH)2)、ホルミル基、シリル基、アルケニル基又はアルキニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、臭素原子又はヨウ素原子が好ましい。アルケニル基としては、例えば炭素数2以上12以下のアルケニル基が挙げられる。
ホウ酸エステル残基としては、例えば、下式で示されるものが挙げられる。下式において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
アルキルスタニル基としては、例えば、下式で示されるものが挙げられる。下式において、Meはメチル基を表し、Buはn−ブチル基を表す。
式(3A)〜(3C)で表される化合物の合成上の観点及び反応のし易さの観点から、XとYとの一方がハロゲン原子であり、他方がアルキルスタニル基、ホウ酸エステル残基、又はホウ酸残基(−B(OH)2)であることが好ましい。
重合反応は公知の方法に従って行うことができる。例えば、X又はYがアルキルスタニル基である場合には公知のStilleカップリング反応の条件に従って反応を行えばよい。また、X又はYがホウ酸エステル残基又はホウ酸残基である場合には公知のSuzuki−Miyauraカップリング反応の条件に従って反応を行えばよい。さらに、X又はYがシリル基である場合には公知のHiyamaカップリング反応の条件に従って反応を行えばよい。カップリング反応の触媒としては例えば、パラジウム等の遷移金属と、配位子(例えばトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子)との組み合わせを用いることができる。
以下では、Stilleカップリング反応方法を用いて本発明に係るコポリマーを製造する方法について述べる。Stilleカップリング反応方法を用いる場合、式(3A)〜(3C)において、Xがハロゲン原子でありかつYがアルキルスタニル基であるか、Xがアルキルスタニル基でありかつYがハロゲン原子であることが好ましい。
重合反応において用いられる、式(3A)と式(3B)で表される化合物の量に対する、式(3C)で表される化合物の量との合計の比((3A+3B)/3C)は、モル比換算にして、通常0.90以上、好ましくは0.95以上であり、一方、通常1.3以下、好ましくは1.2以下である。比率がこのような範囲内にあることは、より高い収率で高分子量体を取得しうる点で好ましい。
重合反応において用いられる、式(3A)で表される化合物の量に対する、式(3B)で表される化合物の量の比(3A/3B)は、特段の制限は無く目的に応じて適宜設定しうるが、モル比換算にして、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上である。一方、通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは2以下である。
本発明に係るコポリマーが高純度であることが望ましい場合には、重合前のモノマー(式(3A)〜(3C)で表される化合物)を精製した後に、重合反応を行うことが好ましい。精製方法としては、例えば、蒸留、昇華精製、カラムクロマトグラフィー又は再結晶等が挙げられる。
例えば本発明に係るコポリマーを有機光電変換素子用の材料として用いる場合、その純度が高いことにより素子特性が向上しうるため、コポリマーが高純度であることが望ましい。本発明に係るコポリマーを有機光電変換素子用の材料として用いる場合、式(3A)〜(3C)で表される化合物のそれぞれの純度は通常90%以上、好ましくは95%以上である。
重合反応において重合促進のために用いる触媒としては、遷移金属触媒等が挙げられる。遷移金属触媒は、重合の種類に応じて選択すればよい。遷移金属触媒としては、均一系遷移金属触媒と不均一系遷移金属触媒とが挙げられる。
均一系遷移金属触媒としては、重合反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。好ましい例としては、特に、パラジウム、ニッケル、鉄、又は銅を含む、後周期遷移金属錯体触媒が挙げられる。具体的な例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)又はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)等の0価のパラジウム触媒;ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(PdCl2((PPh3))2)又は酢酸パラジウム等の2価のパラジウム触媒等のパラジウム(Pd)触媒;Ni(dppp)Cl2又はNi(dppe)Cl2等のニッケル触媒;塩化鉄等の鉄触媒;ヨウ化銅等の銅触媒等が挙げられる。ここで、dbaはジベンジリデンアセトンを表し、dpppは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを表し、dppeは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンを表す。
0価のPd触媒として具体的には、Pd(PPh3)4、Pd(P(o−tolyl)
3)4、Pd(PCy3)2、Pd2(dba)3、PdCl2(PPh3))2等が挙げられる。PdCl2((PPh3))2又は酢酸パラジウム等の2価のPd触媒を用いる場合には、PPh3やP(o−tolyl)3等の有機配位子と併せて使用することが好ましい。ここで、Phはフェニル基を表し、Cyはシクロヘキシル基を表し、o−tolylは2−トリル基を表す。
不均一系遷移金属触媒としては、上述のような均一系遷移金属触媒を、担体に担持させることによって得られる触媒が挙げられる。不均一系遷移金属触媒が含む遷移金属の好ましい例としては、パラジウム、ニッケル、鉄、又は銅を含む、後周期遷移金属が挙げられる。不均一系遷移金属錯体触媒が有する有機配位子としては、均一系遷移金属錯体触媒について挙げたものと同様のものを用いることができる。また、公知文献(Strem社,”Heterogeneous Catalysts”(2011年))記載の有機配位子を用いることもできる。担体の例としては、金属、ナノコロイド、ナノ粒子、磁性化合物、金属酸化物、多孔質物質、粘土、例えば尿素樹脂のようなポリマー、及びデンドリマー等が挙げられる。多孔質物質の具体的な例としては、ミクロ孔物質、メソ孔物質、活性炭、シリカゲル、アルミナ、及びゼオライト等が挙げられる。特に、ポリマーに担持された不均一系遷移金属錯体触媒を用いることは、不均一系遷移金属錯体触媒の回収が容易であるために好ましい。また、ポリマーが多孔性であることは、反応を促進する点でより好ましい。
重合反応においては、2種以上の遷移金属錯体触媒を用いることが、高分子量のコポリマーが得られうる点で好ましい。例えば、2種以上の均一系遷移金属錯体を用いてもよいし、2種以上の不均一系遷移金属錯体を用いてもよいし、均一系遷移金属錯体と不均一系遷移金属錯体とを組み合わせて用いてもよい。この2種以上の遷移金属錯体触媒のうち、少なくとも1種は不均一系金属錯体触媒であることが、カップリング反応条件下でモノマーをすばやくオリゴマーに変換することができる点で好ましい。また、オリゴマーになると不均一系金属触媒による重合反応速度が落ちる傾向にあるため、オリゴマーからポリマーへの誘導を均一系金属触媒で行う方が、高分子量体を得るために好ましい。この観点から、2種以上の遷移金属錯体触媒のうち、少なくとも1種が不均一系金属錯体触媒であり、かつ少なくとも1種が均一系金属錯体触媒であることがより好ましい。
式(3A)〜(3C)で表される化合物の量の合計に対する遷移金属錯体の添加率は、通常1×10−4mol%以上、好ましくは1×10−3mol%以上、より好ましくは1×10−2mol%以上であり、一方、通常1×102mol%以下、より好ましくは5mol%以下である。触媒の添加率がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率で、より高分子量のコポリマーが得られる傾向にある点で好ましい。
遷移金属触媒を使用する場合に、アルカリ、補触媒又は相間移動触媒を併用してもよい。
アルカリとしては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等の無機塩基;トリエチルアミン等の有機塩基;等が挙げられる。
補触媒としては、例えば、フッ化セシウム、酸化銅又はハロゲン化銅等の無機塩が挙げられる。補触媒の添加率は、式(3A)〜(3C)で表される化合物の量の合計に対して、通常1×10−4mol%以上、好ましくは1×10−3mol%以上、より好ましくは1×10−2mol%以上であり、一方、通常1×104mol%以下、好ましくは1×103mol%以下、より好ましくは1.5×102mol%以下である。補触媒の添加率がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率でコポリマーが得られる傾向にある点で好ましい。
相間移動触媒としては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド又はAliquat3
36(アルドリッチ社製)のような四級アンモニウム塩等が挙げられる。相間移動触媒の添加率は、式(3A)〜(3C)で表される化合物の量の合計に対して、通常1×10−4mol%以上、好ましくは1×10−3mol%以上、より好ましくは1×10−2mol%以上であり、一方、通常5mol%以下、より好ましくは3mol%以下である。相間移動触媒の添加率がこの範囲にあることは、より低コストかつ高い収率でコポリマーが得られる傾向にある点で好ましい。
重合反応に用いられる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン又はシクロヘキサン等の飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン又はキシレン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン又はトリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール又はt−ブチルアルコール等のアルコール類;水;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン又はジオキサン等のエーテル類;DMF等の非プロトン性極性有機溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、一種を単独で用いても二種以上を併用してもよい。
溶媒の添加率は、式(3A)〜(3C)で表される化合物の合計1gに対して、通常、1×10−2mL以上、好ましくは1×10−1mL以上、より好ましくは1mL以上であり、一方、通常1×105mL以下、好ましくは1×103mL以下、より好ましくは2×102mL以下である。溶媒の添加率がこの範囲にあることは、反応の制御がより容易となる点で好ましい。
重合反応の反応温度は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。一方、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下、特に好ましくは160℃以下である。加熱方法としては特段の制限は無いが、オイルバス加熱、熱電対加熱、赤外線加熱、マイクロウェーブ加熱の他、IHヒーターを用いた接触による加熱等が挙げられる。重合反応の時間は、通常1分間以上、好ましくは10分間以上、一方、通常160時間以下、好ましくは120時間以下、より好ましくは100時間以下である。また重合反応は窒素(N2)又はアルゴン(Ar)雰囲気下で行うことが好ましい。これらの反応条件で反応を行うことにより、より短時間かつ高い収率でコポリマーが得られうる。
重合反応により得られたコポリマーに対しては、さらに末端処理を行うことが好ましい。コポリマーの末端処理を行うことにより、コポリマーの末端残基(上述のX及びY)の残存量を減らすことができる。例えば、Stilleカップリング反応によってコポリマーを重合した場合には、コポリマーの末端に存在する臭素(Br)やヨウ素(I)等のハロゲン原子及びアルキルスタニル基を、末端処理によって減らすことができる。この末端処理を行うことは、効率及び耐久性の点でよりよい性能のコポリマーを得ることができるために、好ましい。
重合反応後に行うコポリマーの末端処理方法としては、特段の制限は無いが、例えば末端残基を芳香族基のような他の置換基で置換する方法が挙げられる。
例えば、Stilleカップリング反応によってコポリマーを重合した場合の末端処理方法としては、以下の方法が挙げられる。コポリマーのハロゲン原子の末端処理方法としては、重合反応後の精製前の反応系中に、末端処理剤としてアリールトリアルキルスズを加えた後、加熱攪拌を行うことにより行うことができる。アリールトリアルキルスズの例としてはフェニルトリメチルスズ又はチエニルトリメチルスズ等が挙げられる。コポリマーの末端のハロゲン原子を芳香族基に置換することは、共役安定効果により、コポリマーがより安定になるために、好ましい。
末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、重合反応に用いたハロゲン原子を末端に有するモノマー(3Aおよび3B、又は3C)の量に対して、通常1.0×10−2モル当量以上、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上であり、一方、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下である。ハロゲン原子の末端処理の反応温度は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。一方、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下、特に好ましくは160℃以下である。加熱方法としては、特段の制限は無いが、オイルバス加熱、熱電対加熱、赤外線加熱、マイクロウェーブ加熱の他、IHヒーターを用いた接触による加熱等が挙げられる。コポリマーのハロゲン原子の末端処理の反応時間は、特段の制限は無いが、通常30分以上、好ましくは1時間以上であり、一方、通常50時間以下、好ましくは20時間以下である。これらの反応条件で反応を行うことにより、より短時間かつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
また、コポリマーのアルキルスタニル基の末端処理方法としては、重合反応後の精製前の反応系中に、末端処理剤としてアリールハライドを加えたのち、加熱攪拌を行うことにより行うことができる。アリールハライドの例としてはヨードチオフェン、ヨードベンゼン、ブロモチオフェン又はブロモベンゼン等が挙げられる。コポリマーの末端のアルキルスタニル基を別の置換基へと置換することにより、熱分解しやすいアルキルスタニル基中のSn原子がコポリマー中に存在しなくなり、コポリマーの経時劣化が抑えられうる。また、コポリマーの末端のアルキルスタニル基をアリール基に置換することは、共役安定効果によりコポリマーがより安定になりうる点においても好ましい。
末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、重合に用いたアルキルスタニル基を末端に有するモノマー(3A及び3B、又は3C)の量に対して、通常1.0×10−2モル当量以上、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上であり、一方、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下である。アルキルスタニル基の末端処理の反応温度及び反応条件としては、コポリマーのハロゲン原子の末端処理と同様のものを用いることができる。これらの反応条件で反応を行うことにより、より短時間かつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
また、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応によりコポリマーを重合した場合の末端処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。コポリマーのハロゲン原子の末端処理方法としては、アリールボロン酸を加えたのち、加熱攪拌を行う方法が挙げられる。コポリマーのホウ素原子含有基の末端処理方法としては、末端処理剤としてアリールハライドを加えたのち、加熱攪拌を行う方法が挙げられる。
末端残基Xの末端処理方法及び末端残基Yの末端処理方法に特段の制限はないが、それぞれ独立に行うことが好ましい。なお、それぞれの末端処理の順序に特段の制限は無く、適宜選択できる。
また、末端処理は、コポリマーの精製前に行ってもよいが、コポリマーの精製後に行ってもよい。末端処理をコポリマー精製後に行う場合には、コポリマーと片方の末端処理剤(例えばアリールハライド又はアリールトリアルキルスズ)とを有機溶剤に溶解した後、パラジウム触媒等の遷移金属触媒を加えて反応を行い、さらにもう片方の末端処理剤(アリールトリアルキルスズ又はアリールハライド)を加えて反応を行えばよい。反応を促進する観点から、末端処理をコポリマー精製前に行う場合と同様に、末端処理時には加熱攪拌を行うことか好ましい。また、収率を向上させる観点から、反応を窒素条件下で行うことも好ましい。反応時間は、特段の制限は無いが、通常30分以上、好ましくは1時間以上であり、一方、通常25時間以下、好ましくは10時間以下である。
遷移金属触媒の添加量としては、特段の制限は無いが、式(3A)〜(3C)で表される化合物の量の合計に対して、通常5.0×10−3モル当量以上、好ましくは1.0×10−2モル当量以上であり、一方、通常1.0×10−1モル当量以下、好ましくは5.0×10−2モル当量以下である。触媒の添加量がこの範囲にあることにより、より低コストかつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
コポリマー精製後の末端処理時における、アルキルスタニル基の末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、重合に用いたアルキルスタニル基を末端に有するモノマー(3B及び3C、又は3A)の量に対して、通常1.0×10−2モル当量以上、好ましくは1.0×10−1モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上であり、一方、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下である。末端処理剤の添加量がこの範囲にあることにより、より低コストかつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
コポリマー生成後の末端処理時における、ハロゲン原子の末端処理剤の添加量としては、特段の制限は無いが、重合に用いたハロゲン原子を末端に有するモノマー(3Aおよび3B、又は3C)の量に対して、通常1.0×10−2モル当量以上、好ましくは1.0×10−1モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上であり、一方、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下である。末端処理剤の添加量がこの範囲にあることにより、より低コストかつ高い変換率で末端処理を行うことができる。
重合反応後に行う工程として特に限定はないが、通常はコポリマーを分離する工程が行われる。コポリマーの末端処理を行う場合には、末端処理後にコポリマーを分離する工程を行うことが好ましい。必要に応じて、コポリマーの末端処理前に、さらにコポリマーの分離及び精製を行なってもよい。より短い処理工程でコポリマーを得る観点からは、重合反応後に、コポリマーの末端処理、コポリマーの分離及びコポリマーの精製をこの順に行うことが好ましい。
コポリマーの分離方法としては、例えば、反応溶液と貧溶媒とを混合してコポリマーを析出させる方法、又は、水若しくは塩酸で反応溶液中の活性種をクエンチした後にコポリマーを有機溶媒で抽出し、この有機溶媒を留去する方法等が挙げられる。
コポリマーの精製方法としては、再沈精製、ソックスレー抽出器を用いた抽出、ゲル浸透クロマトグラフィー、又はスキャベンジャーを用いた金属除去等の、公知の方法が挙げられる。
[2−1.式(3A)〜(3C)で表される化合物の製造方法]
重合反応の原料として用いられる式(3A)および(3B)で表される化合物は、J.Am.Chem.Soc.,2010,132(22),7595−7597に記載の方法に準じて製造することができる。また、式(3C)で表される化合物は、J.Mater.Chem.,2011,21,3895、及びJ.Am.Chem.Soc.2008,130,16144−16145に記載の方法に準じて製造することができる。
式(3C)で表される化合物の特に好ましい製造方法としては、下式(4C)で表される化合物を原料として用いる方法が挙げられる。より具体的には、式(4C)で表される化合物に非求核性塩基を反応させた後に、求電子剤を反応させることにより、式(3C)で表される化合物を得ることができる。この方法によれば、式(3C)で表される化合物を製造する際に生じる、例えば置換基Yを1つしか有さない副生物の量を減らすことができる。副生物の量が少ないことは、重合反応により得られる本発明に係るコポリマーがよ
り大きい分子量のものとなりうる点で好ましい。
式(4C)において、Q及びR3〜R4は、式(3C)で規定されたものと同様である。
非求核性塩基の例としては、金属水素化物、嵩高い置換基を有する金属アルコキシド、アミン類、ホスファゼン塩基、嵩高い置換基を有する金属マグネシウム試薬(Grignard試薬)、又は金属アミド等が挙げられる。非求核性の塩基を用いることは、式(4C)で表される化合物が有する縮合環への求核攻撃を効果的に抑制することでき、副生物の生成を抑えることができる点で好ましい。塩基性の高さ及び求核性の低さの点から、非求核性塩基として好ましくは金属アミドであり、特に好ましくは嵩高い置換基を有する金属アミドである。
非求核性塩基を用いて一般式(4C)で表される化合物を脱プロトン化した後、発生したアニオン種と求電子剤とを反応させることで、一般式(3C)で表される化合物を得ることができる。
置換基Yが、アルキルスタニル基である場合には、求電子剤としては、特段の限定は無いが、例えばハロゲン化トリアルキルスズ化合物が挙げられる。置換基Yが、ホウ酸残基又はホウ酸エステル残基である場合には、求電子剤としては、特段の限定は無いが、ホウ酸トリエステルが好ましく用いられる。ホウ酸トリエステルとの反応によって得られたホウ酸エステル残基を有する化合物をそのまま単離することもできるし、ホウ酸エステル残基を加水分解してホウ酸残基に導いた後に化合物を単離してもよい。
式(3C)で表される化合物の、反応後の精製方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。特に好ましい方法としては、ゼオライトを用いる方法が挙げられる。より具体的には、得られた化合物をゼオライトと接触させればよい。この方法は、(3C)で表される化合物の分解を防ぎながら、より簡便に化合物を精製できるために好ましい。ゼオライトとしては、アルミノケイ酸塩、メタロケイ酸塩若しくはシリカライト等のアルミノケイ酸塩系ゼオライト;又は、アルミノリン酸塩、ガロリン酸塩若しくはベリロリン酸塩等のリン酸塩系ゼオライトが好ましい。
式(3C)で表される得られた化合物をゼオライトと接触させる方法としては、(1)ゼオライトを含む層を用意し、化合物を通過させる方法、(2)組成物中にゼオライトを投入し、その後ゼオライトを除去する方法、等が挙げられる。
式(4C)で表される化合物に対して加える非求核性塩基の量に特段の制限はなく、通常は式(4C)で表される化合物に対して2モル当量以上の非求核性塩基が用いられる。一方で、使用する試薬の量を減らすために、非求核性塩基の量は通常20モル当量以下、好ましくは10モル当量以下、さらに好ましくは5モル当量以下である。式(4C)で表される化合物に対して加える求電子試薬の量に特段の制限はなく、通常は式(4C)で表される化合物に対して2モル当量以上の求電子試薬が用いられる。一方で、使用する試薬の量を減らすために、求電子試薬の量は通常モル20当量以下、好ましくは10モル当量以下、さらに好ましくは5モル当量以下である。
式(4C)で表される化合物は、公知の方法を用いて製造することができるが、以下に
示す方法を用いて製造することが特に好ましい。すなわち、式(4C)で表される化合物にシリル基が付加した化合物から、シリル基を脱離させることにより、式(4C)で表される化合物を得ることができる。この方法は、より高収率で式(4C)で表される化合物を得ることができる点で好ましい。
例えば、式(4C)で表される化合物は、下式(5C)で表される化合物の、酸を用いた脱シリル化反応により製造することができる。
式(5C)において、Q及びR3〜R4は、式(3C)で規定されたものと同様である。(5C)において、R5〜R6は置換基を有していてもよいシリル基を表す。2つの置換基R7は互いに異なっていてもよい。置換基を有していてもよいシリル基としては、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、又はトリアリールシリル基等が挙げられる。脱シリル化反応において用いる酸としては特に限定はなく、無機酸又は有機酸を用いることができる。無機酸の種類に特に限定は無く、塩酸、硫酸、硝酸、又はリン酸等を用いることができる。有機酸の種類に特に限定は無く、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、クロロ安息香酸、又はp−トルエンスルホン酸等を用いることができる。
式(5C)で表される化合物は、Qがケイ素原子又はゲルマニウム原子である場合、例えば、ビチオフェン化合物を塩基で処理し、シリルハライド又はゲルミルハライドと反応させることによって得ることができる。より具体的な例としては、5,5’−ビス(トリメチルシリル)−3,3’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェンをn−ブチルリチウムで処理し、R3R4SiCl2、R3R4SiBr2、R3R4GeCl2、又はR3R4GeBr2を反応させることにより、式(5C)で表される化合物が得られうる。また、式(3C)又は(4C)で表される化合物も、R3R4SiCl2、R3R4SiBr2、R3R4GeCl2、又はR3R4GeBr2を用いて合成しうる。この場合、R3R4SiCl2、R3R4SiBr2、R3R4GeCl2、又はR3R4GeBr2は、減圧蒸留で精製することが好ましい。容易に達成可能な減圧度かつより低い温度で減圧蒸留を行うためには、R3及びR4の炭素数は、15以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。
<3.本発明に係るコポリマーを含む有機半導体材料>
本発明に係るコポリマーは、溶媒に対する溶解性、及び長波長領域における光吸収性を持ち、有機半導体材料として好適である。
本発明に係る有機半導体材料は、少なくとも本発明に係るコポリマーを含む。本発明に係る有機半導体材料は、本発明に係るコポリマーのうち一種を含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせで含有していてもよい。また、本発明に係る有機半導体材料は、本発明に係るコポリマーのみからなるものであってもよいが、その他の成分(例えば、その他の高分子、モノマー、各種の添加剤等)を含有していてもよい。
本発明に係る有機半導体材料は、後述する有機電子デバイスの有機半導体層又は有機活性層の材料として好適である。この場合、有機半導体材料を成膜して用いることが好ましい。この際に、本発明に係るコポリマーの有機溶剤への可溶性及びその加工性に優れてい
る等の物性が好ましく活用される。本発明に係る有機半導体を有機電子デバイスにおいて用いる方法については後述する。
本発明に係る有機半導体材料は半導体特性を示し、例えば、電界効果移動度測定において、正孔移動度(ホール移動度と記す場合がある)が通常1.0×10−7cm2/Vs以上、好ましくは1.0×10−6cm2/Vs以上、より好ましくは1.0×10−5cm2/Vs以上、特に好ましくは1.0×10−4cm2/Vs以上であり、一方、正孔移動度が通常1.0×104cm2/Vs以下、好ましくは1.0×103cm2/Vs以下、より好ましくは1.0×102cm2/Vs以下、特に好ましくは1.0×10cm2/Vs以下である。正孔移動度の測定方法としてはFET法が挙げられる。FET法は、公知文献(特開2010−045186号公報)に記載の方法により実施することができる。
本発明に係る有機半導体材料は、単独でも有機電子デバイスの有機半導体層の材料として用いられうるが、他の有機半導体材料と混合及び/又は積層して使用することも可能である。本発明に係る有機半導体材料と併用可能な他の有機半導体材料としては、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[2,6−(4,4−ビス[2−エチルヘキシル]−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン)−alt−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)、ベンゾポルフィリン(BP)、ペンタセン等の既知の有機半導体材料が挙げられ、さらに、n型半導体化合物として知られているペリレン−ビスイミド、[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル([60]PCBM)又はC70等のより大きいフラーレンを有するPCBM、[6,6]−フェニル−C61−酪酸n−ブチルエステル([60]PCBNB)又はC70等のより大きいフラーレンを有するPCBNB等のフラーレン誘導体等も挙げられるが、特にこれらに限定されることはない。
また、本発明に係る有機半導体材料は、溶液の形で用いてもよい。本発明に係るコポリマーは溶液とした際の安定性が高いことから、本発明に係る有機半導体材料と溶媒とを含有する溶液、すなわち本発明に係るコポリマーと溶媒とを含有する溶液は、塗布法により有機半導体層を形成するために好ましく用いられうる。この場合、溶液を塗布して得られた半導体層が、上記の半導体特性を示すことが好ましい。
溶媒としては、本発明に係るコポリマーを均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール又はプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。その中でも好ましくは、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類やクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類である。
<4.本発明に係る有機半導体材料を含む電子デバイス>
次に、本発明に係る有機電子デバイスについて説明する。本発明に係る有機電子デバイスは、本発明に係る有機半導体材料を用いて作製される。すなわち本発明に係る有機電子デバイスは、本発明に係る有機半導体材料を含む。本発明に係る有機半導体材料を適用可能なものであれば、本発明に係る有機電子デバイスの種類に特に制限はない。例としては
、発光素子、スイッチング素子、光電変換素子、光電導性を利用した光センサー等が挙げられる。
発光素子としては、表示デバイスに用いられる各種の発光素子が挙げられる。具体例としては、液晶表示素子、高分子分散型液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロルミネッセント素子、エレクトロクロミック素子等が挙げられる。
スイッチング素子の具体例としては、ダイオード(pn接合ダイオード、ショットキー・ダイオード、MOSダイオード等)、トランジスタ(バイポーラートランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)等)、サイリスタ、更にはそれらの複合素子(例えばTTL等)等が挙げられる。
光電変換素子の具体例としては、薄膜太陽電池、電荷結合素子(CCD)、光電子増倍管、フォトカプラ等が挙げられる。また、光電導性を利用した光センサーとしては、これらの光電変換素子を利用したものが挙げられる。
本発明に係る有機半導体材料を有機電子デバイスのどの部位に用いるかは特に制限されず、任意の部位に用いることが可能である。本発明に係る有機半導体材料の半導体特性を活用するために、有機電子デバイスの半導体層に、本発明に係る有機半導体材料を用いる事が好ましい。特に光電変換素子の場合には、通常は、本発明に係る有機半導体材料を含有する有機半導体層は、有機活性層として使用される。
<5.光電変換素子>
本発明に係る光電変換素子は、一対の電極と、該電極間に配置された活性層とを備える光電変換素子であって、この活性層は本発明に係るコポリマーを含有する。
[5−1.光電変換素子の構成]
図1に、本発明に係る光電変換素子の一実施形態を示す。図1に示される光電変換素子は、一般的な有機薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子であるが、本発明に係る光電変換素子が図1に示されるものに限られるわけではない。本発明の一実施形態としての光電変換素子107は、基材106、アノード101、正孔取り出し層102、活性層103(p型半導体材料とn型半導体材料との混合層)、電子取り出し層104、及びカソード105を含む層構造を有する。なお、図1では、各層が上述した順番に積層された光電変換素子の例を示しているが、光電変換素子107は、基材106、カソード105、電子取り出し層104、活性層103、正孔取り出し層102、及びアノード101をこの順に有する構成であってもよい。また、活性層103は、p型半導体材料とn型半導体材料とを積層させた構成であってもよい。さらに、正孔取り出し層102及び電子取り出し層104は必須の構成ではなく、任意で設ければよい。
活性層103の層構成は、p型半導体材料とn型半導体材料の混合層(バルクヘテロ接合型と称す場合がある。)が好ましいが、他の構成であってもよい。例えば、p型半導体材料とn型半導体材料が積層された薄膜積層型、薄膜積層型の中間層にp型半導体材料とn型半導体材料の混合層(i層)を有する構造であってもよい。なお、活性層103のp型半導体材料としては、本発明に係るコポリマーを用いることが好ましい。
また、光電変換素子107が有するそれぞれの層の間には、後述の各層の機能に影響を与えない程度に、別の層が挿入されていてもよい。
基板106、アノード101、正孔取り出し層102、活性層103のn型半導体材料、電子取り出し層104、及びカソード105は、公知の材料や方法を用いて形成すればよい。具体的には、Solar Energy Materials&Solar Cells 96(2012)155−159、国際公開第2011/016430号又は特
開2012−191194号公報等に記載の通りである。なお、活性層103のp型半導体材料に関しても、本発明に係るコポリマーに加えて、上記公知文献に記載されたようなp型半導体材料とを組み合わせて用いてもよい。また、基板106及び光電変換素子107を構成する各層の好ましい膜厚についても上記公知文献に記載された通りである。なお、上記の公知文献に記載された中でも、基板106及び光電変換素子を構成する各層の材料について好ましいものを以下に説明する。
基板106としては、ガラス基板等の無機材料基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート又はポリイミド等のプラスチック基板、紙又は合成紙等の紙材料から成る基板、ステンレス、銅、チタン又はアルミニウム等の金属に絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料から成る基板が挙げられる。軽量でフレキシブルな光電変換素子が得られる点で、基板106の材料としてはプラスチック基板あるいは複合材料から成る基板を用いることが好ましい。
カソード105としては、特に、インジウム・スズ酸化物(ITO)、銀、銅、アルミニウム等が挙げられる。
電子取り出し層104としては、無機化合物あるいは有機化合物のいずれでも良いが、成膜安定性が優れる点、及び生産コストが低減しうる点で、酸化チタン(TiOx)又は酸化亜鉛(ZnO)が好ましい。
活性層103のn型半導体化合物としては、LUMOエネルギー準位は、特に限定はされないが、例えばサイクリックボルタモグラム測定法により算出される真空準位に対する値が、通常−4.0eV以上、好ましくは−3.9eV以上である材料が好ましい。開放電圧(Voc)はp型半導体化合物のHOMOエネルギー準位とn型半導体化合物のLUMOエネルギー準位との差に依存するため、n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位を高くすると、Vocが高くなる傾向がある。一方、LUMOエネルギー準位を高くしすぎると、p型半導体化合物からの電子移動が起こりにくくなる為、通常−1.0eV以下、好ましくは−2.0eV以下、より好ましくは−3.0eV以下、さらに好ましくは−3.3eV以下である。n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位が上記の範囲にあることで、開放電圧(Voc)と短絡電流密度(Jsc)を同時に高めることができる。
n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。一方、通常−7.0eV以上、好ましくは−6.6eV以上である。n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−7.0eV以上であることは、n型半導体化合物の光吸収も発電に利用しうる点で好ましい。n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることは、正孔の逆移動を阻止できる点で好ましい。
n型半導体化合物の電子移動度は、特段の制限はないが、通常1.0×10−6cm2/Vs以上であり、1.0×10−5cm2/Vs以上が好ましく、5.0×10−5cm2/Vs以上がより好ましく、1.0×10−4cm2/Vs以上がさらに好ましい。一方、通常1.0×104cm2/Vs以下であり、1.0×103cm2/Vs以下が好ましく、5.0×102cm2/Vs以下がより好ましい。n型半導体化合物の電子移動度が上記の範囲であることは、本発明とのコポリマーとの組合せにおいて、変換効率向上等の効果が得られうる点で好ましい。電子移動度の測定方法としてはFET法が挙げられ、公知文献(特開2010−045186号公報)に記載の方法により実施することができる。
n型半導体化合物は有機溶媒に溶解することが本発明のコポリマーとの組合わせで高い
光電変換効率を達成し易い為に好ましい。25℃でのトルエンに対する溶解度は、0.5重量%以上が好ましく、1.0重量%以上がより好ましく、1.5重量%以上がさらに好ましい。一方、通常90重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましく、70重量%以下がさらに好ましい。n型半導体化合物の25℃でのトルエンに対する溶解度が0.5重量%以上であることは、溶液中でのn型半導体化合物の分散安定性が向上し、凝集、沈降、分離等を起こしにくくなるために、好ましい。
具体的には、本発明のコポリマーとの間で理想的な相分離構造を形成し易いことから、置換基を有するフラーレン誘導体が好ましく、特に好ましくはPCBMである。
正孔取り出し層102としては、制限するわけではないが、フェルミ準位が−5.0eV以下(あるいは仕事関数が5.0eV以上)の材料であることが好ましい。より好ましくは、フェルミ準位が−5.1eV以下(仕事関数が5.1eV以上)、特に好ましくはフェルミ準位が−5.2eV以下(仕事関数が5.2eV以上)である。フェルミ準位(あるいは仕事関数)が上記の範囲であることにより、本発明のポリマーから正孔を取り出しやすくなり、光電変換効率や耐久性に優れた光電変換素子を提供することができる。このような条件を満たす材料であれば特段の制限はないが、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基として有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、三酸化モリブデン等の金属酸化物等が挙げられる。が好ましい。
アノード101としては、特に制限はなく、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、銀、金、白金、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金を用いることができる。
<6.本発明に係る太陽電池>
本発明に係る光電変換素子107は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。
図2は本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備える。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
上記構成及びその製造方法については、周知技術を用いることができ、具体的には国際公開第2011/016430号等の公知文献に記載のものを採用することができる。
本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。本発明に係る薄膜太陽電池を適用する分野の例を挙げると、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等である。
本発明に係る太陽電池、特に薄膜太陽電池はそのまま用いても、基材上に太陽電池を設置して太陽電池モジュールとして用いてもよい。例えば、図3に模式的に示すように、基材12上に薄膜太陽電池14を備えた太陽電池モジュール13を用意し、これを使用場所
に設置して用いればよい。基材12については、周知技術を用いることができ、具体的には国際公開第2011/016430号等の公知文献に記載のものを採用することができる。
具体例を挙げると、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として太陽電池パネルを作製することができる。
以下に、実施例により本発明の実施形態を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。なお、本実施例に記載の項目は以下の方法によって測定した。
[重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法]
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により求めた。なお、分子量分布(PDI)は、Mw/Mnを表す。
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定は以下の条件で行った。
カラム:PolymerLaboratories GPC用カラム(PLgel MIXED−B 10μm 内径7.5mm,長さ30cm)2本直列に接続して使用 ポンプ:LC−10AT(島津製作所社製)
オーブン:CTO−10A(島津製作所社製)
検出器:示差屈折率検出器(島津製作所社製,RID−10A)及びUV−vis検出器(島津製作所社製,SPD−10A)
サンプル:試料1mgをクロロホルム(200mg)に溶解させた液1μL
移動相:クロロホルム
流速:1.0mL/min
解析:LC−Solution(島津製作所社製)
[コポリマー含有インクの保存安定性試験]
コポリマー含有インクの保存安定性試験は、次の方法により実施した。2mLのスクリューバイアル中にコポリマーを2mg入れ、ここに1.5質量%の濃度になるようにo−キシレンを加えた。蓋をして容器を密閉し、コポリマーが溶解するまで加熱した。得られたコポリマー含有インクを室温まで冷却し、ゲル化するまでの時間を測定した。ゲル化の判定方法として、所定時間経過後にスクリューバイアルを上下逆さまにした状態で1分間静置し、流動性が認められなかった場合に、ゲル化したものとした。具体的には、熱源から容器を離し、室温下で静置した時点から5分後にゲル化しているか、及び1時間後にゲル化しているかを判定した。
[光電変換効率の測定方法]
光電変換素子に4mm角のメタルマスクを付け、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cm2のソーラシミュレーター(ワコム電創社製、WXS―100SU―10,AM1.5G)を用い、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)により、ITO電極と銀電極との間における電流−電圧特性を測定した。開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm2)、形状因子FF、及び光電変換効率PCE(%)を算出した。ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm2)の際の電圧値であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度である。形状因子FFとは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力をPmaxとすると次式で表される。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCEは、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = (Pmax/Pin)×100 = (Voc×Jsc×FF/Pin)×100
<合成例1:化合物E2の合成>
窒素雰囲気下、200mL四口ナスフラスコ中に、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルシリル)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E1,非特許文献J.Am.Chem.Soc.2008,130,16144−16145に従って合成,1.03g,1.786mmol)を入れ、クロロホルム(50mL)に溶解させた。さらにトリフルオロ酢酸(0.265mL,3.573mmol)を滴下後、約3.5時間攪拌した。反応液に水を加え、下層を水洗後、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮を行った。ヘキサンに溶解してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン)に供することで、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E2)を淡黄色の油状物として得た(702mg,収率94%)。
化合物E2:1H−NMR(400MHz,溶媒:重クロロホルム):δ7.18(d,2H,J=4.8Hz),7.08(d,2H,J=4.8Hz),1.43−1.35(m,2H),1.28−1.09(m,16H),0.98−0.80(m,10H),0.75(d,6H,J=7.3Hz).
<合成例2:化合物E3の合成>
窒素雰囲気下、20mLシュレンク管中に、化合物E2(100mg,0.239mmol)を入れ、テトラヒドロフラン(THF,2.5mL)に溶解させ、−78℃に冷却した。さらにリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M,0.258mL,1.2eq)を滴下し、約1時間攪拌した。さらに塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,0.287mL,1.2eq)を滴下後、徐々に室温まで昇温した。再び−78℃に冷却後、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M,0.258mL,1.2eq)を滴下し、約1時間攪拌した。さらに塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,0.287mL,1.2eq)を滴下後、徐々に室温まで昇温した。再び−78℃に冷却後、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M、0.258mL,1.2eq)を滴下し、約1時間攪拌した。さらに塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,0.310mL,1.3eq)を滴下後、徐々に室温まで昇温した
。反応液に水を加え、ヘキサンで抽出後、有機層を水洗した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過して減圧濃縮後、真空下で乾燥することにより、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E3)を黄緑色油状物として定量的に得た。
化合物E3:1H−NMR(400MHz,溶媒:重クロロホルム):δ7.07(s,2H),1.45−1.37(m,2H),1.32−1.08(m,16H),0.99−0.80(m,10H),0.77(t,6H,J=7.3Hz),0.36(s,18H).
<合成例3:化合物E5の合成>
窒素雰囲気下、300mL四口ナスフラスコ中に、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(化合物E4,J.Am.Chem.Soc.,2011,133,10062−10065に従って合成,7.43g,16.0mmol)を入れ、無水テトラヒドロフラン(THF,150mL)に溶解させ、−78℃に冷却した。さらにリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M,17.3mL,1.2eq)を滴下し、30分攪拌した。続いて、塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,19.2mL,1.2eq)を滴下し、30分攪拌した。さらに、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M,17.3mL,1.2eq)を滴下し、30分攪拌し、塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,19.2mL,1.2eq)を滴下し、30分攪拌した。再度、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)のテトラヒドロフラン/ヘキサン溶液(関東化学社製,濃度1.11M、17.3mL,1.2eq)を滴下し、30分攪拌し、塩化トリメチルスズのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製,1.0M,20.8mL,1.3eq)を滴下後、30分攪拌し、室温に昇温した。反応液に水を加え、ヘキサンで抽出後、有機層を水洗した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ゼオライトろ過した。有機層を減圧濃縮し、メタノールで懸洗してから、真空下で乾燥することにより、4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(化合物E5)を黄緑色油状物として定量的に得た。
化合物E5:1H−NMR(400MHz,溶媒:重クロロホルム):δ7.07(s,2H),1.48(m,2H),1.35−1.12(m,20H),0.85−0.75(m,12H),0.37(s,18H).
<実施例1:コポリマー1の合成>
窒素雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、公知文献(Organic Letters 6巻,3381−3384ページ,2004年)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E6、57.8mg、0.137mmol)、公知文献(Organic Letters 6巻,3381−3384ページ,2004年)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−イソペンチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E7、52.1mg、0.138mmol)、合成例2で得られた化合物E3(218.9mg、0.294mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10mg,3mol%)、不均一系錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,22mg,3mol%)、トルエン(4.9mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.2mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で10時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈してさらに0.5時間加熱撹拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.04mL)を加えて8時間加熱撹拌し、さらにブロモベンゼン(0.2mL)を加えて8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別して、目的とするコポリマー1(144mg)を得た。重量平均分子量Mwは1.56×105であり、PDIは3.1であった。
<実施例2:コポリマー2の合成>
窒素雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、実施例1で用いた化合物E6(91.4mg、0.216mmol)、公知文献(Organic Letters 6巻,3381−3384ページ,2004年)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−ヘキサデシル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E8、22.8mg、0.054mmol)、合成例3で得られた化合物E5(229.0mg、0.290mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10mg,3mol%)、不均一系錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,22mg,3mol%)、トルエン(4.8mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.1mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で10時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈してさらに0.5時間加熱撹拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.04mL)を加えて8時間加熱撹拌し、さらにブロモベンゼン(0.2mL)を加えて8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別して、目的とするコポリマー2(150mg)を得た。重量平均分子量Mwは2.13×105であり、PDIは4.5であった。
<実施例3:コポリマー3の合成>
窒素下50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、実施例1で用いた化合物E6(116mg、0.274mmol)、公知文献(Organic Letters 6巻,3381−3384ページ,2004年)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−(p−キシリル)−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E9、114mg、0.274mmol)、合成例2で得られた化合物E3(439.0mg、0.590mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(20mg,3mol%)、不均一系錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,44mg,3mol%)、トルエン(9.2mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(2.2mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で10時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈してさらに0.5時間加熱撹拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.4mL)を加えて8時間加熱撹拌し、さらにブロモベンゼン(4mL)を加えて8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別して、目的とするコポリマー3(325mg)を得た。重量平均分子量Mwは1.94×105であり、PDIは3.5であった。
<実施例4:コポリマー4の合成>
窒素雰囲気下、1つ目の50mL二口ナスフラスコ(A)に、モノマーとして、実施例1で用いた化合物E6(118mg、0.280mmol)及び合成例2で得られた化合物E3(224mg,0.301mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,22mg,3mol%)、トルエン(4.7mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.1mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で1時間攪拌した。
次に、窒素雰囲気下で、2つ目の50mL二口ナスフラスコ(B)に、モノマーとして、実施例3で用いた化合物E9(116mg、0.280mmol)及び合成例2で得られた化合物E3(224mg、0.301mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,22mg,3mol%)、トルエン(4.7mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド
(1.1mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で1時間攪拌した。ここでフラスコ(B)の反応溶液をフラスコ(A)の反応溶液に加え、100℃で10時間攪拌した。トルエンで4倍に希釈して100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.4mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌し、さらにブロモベンゼン(4.0mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とするコポリマー4(361mg)を得た。得られたコポリマー4の重量平均分子量Mwは1.94×105であり、PDIは3.7であった。
<比較例1:コポリマー5の合成>
窒素雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、実施例1で用いた化合物E6(138mg、0.33mmol)及び合成例2で得られた化合物E3(255mg,0.34mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(12mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,23mg,3mol%)、トルエン(5.3mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.3mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で10時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈して100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.3mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌し、さらにブロモベンゼン(1.5mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とするコポリマー5(174mg)を得た。得られたコポリマー5の重量平均分子量Mwは1.37×105であり、PDIは3.3であった。
<比較例2:コポリマー6の合成>
比較例1において、合成例2で得られた化合物E3の代わりに、合成例3で得られた化合物E5を用いた以外は、比較例1と同様にして合成を行い、目的とするコポリマー6(392mg)を得た。得られたコポリマー6の重量平均分子量Mwは1.87×105であり、PDIは5.7であった。
<実施例5:コポリマー7の合成>
窒素下50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、実施例1で用いた化合物E6(169.3mg、0.400mmol)、公知文献(Organic Letters 6巻,3381−3384ページ,2004年)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−(p−キシリル)−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E9、41.5mg、0.100mmol)、合成例2で得られた化合物E3(400.0mg、0.537mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(20mg,3mol%)、不均一系錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,44mg,3mol%)、トルエン(9.2mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(2.2mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で10時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈してさらに0.5時間加熱撹拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.4mL)を加えて8時間加熱撹拌し、さらにブロモベンゼン(4mL)を加えて8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別して、目的とするコポリマー7(270mg)を得た。重量平均分子量Mwは1.65×105であり、PDIは2.6であった。
<実施例6:コポリマー8の合成>
窒素雰囲気下、1つ目の50mL二口ナスフラスコ(A)に、モノマーとして、実施例1で用いた化合物E6(432mg、1.02mmol)及び合成例2で得られた化合物E3(800mg,1.07mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(40mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,88mg,3mol%)、トルエン(18.4mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(4.4mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で1時間攪拌した。
次に、窒素雰囲気下で、2つ目の50mL二口ナスフラスコ(B)に、モノマーとして、実施例3で用いた化合物E9(104mg、0.250mmol)及び合成例2で得られた化合物E3(200mg、0.269mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,22mg,3mol%)、トルエン(4.6mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(1.1mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で1時間攪拌した。ここでフラスコ(B)の反応溶液をフラスコ(A)の反応溶液に加え、100℃で10時間攪拌した。トルエンで4倍に希釈して100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(1.0mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌し、さらにブロモベンゼン(10.0mL)を加えて100℃で8時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とするコポリマー8(670mg)を得た。得られたコポリマー8の重量平均分子量Mwは3.10×105であり、PDIは3.7であった。
<比較例3:コポリマー9の合成>
化合物E6の代わりに、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2010,132,7595−7597)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−(2−エチルヘキシル)−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E8(250mg,0.59mmol)を用い、他の試薬を同様の比率で用いたこと以外は、比較例1と同様にして目的とするコポリマー9を得た。得られたコポリマー9の重量平均分子量Mwは2.00×105であり、PDIは3.2であった。
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られたコポリマーのそれぞれについて、上記の方法により、コポリマー含有インクの保存安定性試験を行った。結果を下記表1に記載する。表1において、×は熱源から容器を離し室温下で静置した時点から5分以内にゲル化が確認されたことを、○は5分後の時点でゲル化が確認されなかったが1時間後の時点ではゲル化が確認されたことを、◎は1時間後の時点でもゲル化が確認されなかったことを、それぞれ表す。また表1において、モル比(%)は、各コポリマーを構成する繰り返し単位のうち、式(2A)及び(2B)で表される繰り返し単位のモル比を表す。
p型半導体化合物として実施例5で得られたコポリマー7、及びn型半導体化合物としてフラーレン化合物であるPC61BM(フェニルC61酪酸メチルエステル)とPC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル)との混合物(フロンティアカーボン社,nanom spectra E123)を1.8質量%の濃度となるように窒素雰囲気中でo−キシレンとテトラリンとの混合溶媒(体積比9:1)に溶解させた。この時、p型半導体化合物とn型半導体化合物との質量比は1:2とした。この溶液をホットスターラー上で80℃の温度にて1時間攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、活性層塗布用インクを得た。
インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)を、アセトンによる超音波洗浄、ついでイソプロパノールによる超音波洗浄の後、窒素ブローでの乾燥およびUV―オゾン処理を行った。次に、酢酸亜鉛(II)二水和物(和光純薬社)を濃度105mg/mLになるように2−メトキシエタノール(Aldrich社)とエタノールアミン(Aldrich社)の混合溶媒(体積比100:3)に溶解した溶液(約0.1mL)を3000rpmの速度にてスピンコートし、UV―オゾン処理した後、200℃のオーブンで15分間加熱することで、電子取り出し層を形成した。電子取り出し層を成膜した基板をグローブボックスに持ち込み、窒素雰囲気下150℃で3分間加熱処理し、冷却後に上述のように作製した活性層塗布用インク(0.12mL)をスピンコートすることにより活性層を形成した。さらに、活性層上に、正孔取り出し層として厚さ1.5nmの三酸化モリブデン(MoO3)膜を、次いで電極層
として厚さ100nmの銀膜を、抵抗加熱型真空蒸着法により順次成膜し、5mm角の光電変換素子を作製した。このように作製した光電変換素子の光電変換効率を上記の方法で測定した。その結果を、活性層の膜厚と共に表2に示す。
<実施例8:光電変換素子2の作製>
p型半導体化合物として実施例6で得られたコポリマー8を用いたこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を作製し、光電変換効率を測定した。結果を表1に示す。
<比較例4:光電変換素子3の作製>
p型半導体化合物として比較例1で得られたコポリマー5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を作製し、光電変換効率を測定した。結果を表1に示す。
以上のように、比較例1〜3のコポリマーは、高い分子量を有するものの、これらのポリマーを含有するインクの保存安定性は良くないことが判る。一方で、本発明に係るコポリマーである実施例1〜6のコポリマーは、いずれも、分子量が高く、コポリマーを含有するインクの保存安定性が良好であることがわかる。
特に、比較例1のコポリマー5のイミドチオフェン環の窒素原子が有する置換基をオクチル基(直鎖アルキル基)から2−エチルヘキシル基(分岐アルキル基)に置き換えた比較例3のコポリマー9では、インクの保存安定性は向上しなかった。
しかし、これら両方の置換基(オクチル基および2−エチルヘキシル基)を併せ持つ、実施例2に記載のコポリマー2の場合では、溶解性が向上し、インクの保存安定性は良好であった。さらに、実施例3〜6に示すように、窒素原子が有する置換基がo−キシレニル基(芳香族基)であるイミドチオフェン環も、窒素原子が有する置換基がオクチル基であるイミドチオフェン環と組み合わせて用いることで、溶解性が向上した。
このように、イミドチオフェン環として、式(1A)又は式(1B)で表される繰り返し単位のみを有するコポリマーでは、インクの保存安定性を保つのが難しい場合も、式(1A)と式(1B)の置換基の直線性と置換基の空間的広がりの効果を組み合わせることで、コポリマーの特性を損なうことなく、インクの保存安定性を上げることが可能となる。
このように、式(1A)で表される繰り返し単位、式(1B)で表される繰り返し単位及び式(1C)で表される繰り返し単位を含むコポリマーを含有するインクの保存安定性は高く、このインクを用いて塗布成膜を行うことは容易であることから、本発明に係るコポリマーは光電変換素子材料として用いるのに適していることがわかる。
また、本発明に係るコポリマーを用いて作製した光電変換素子は従来のコポリマーを用いて作製した光電変換素子と比較して、光電変換効率が大幅に向上した。この結果からも、本発明に係るコポリマーを用いることによって、光電変換効率の高い光電変換素子を製造することができる。