JP6129909B2 - 球状銀粉およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、球状銀粉およびその製造方法に関し、特に、積層コンデンサの内部電極や回路基板の導体パターン、プラズマディスプレイパネルや太陽電池の基板の電極や回路などの電子部品に使用する導電性ペースト用の球状銀粉およびその製造方法に関する。
従来、積層コンデンサの内部電極、回路基板の導体パターン、太陽電池やプラズマディスプレイパネル(PDP)用基板の電極や回路などを形成する方法として、銀粉をガラスフリットとともに有機ビヒクル中に加えて混練することによって製造される焼成型の導電性ペーストを基板上に所定のパターンに形成した後、500℃以上の温度で加熱することによって、有機成分を除去し、銀粒子同士を焼結させて導電膜を形成する方法が広く用いられている。
このような方法に使用される導電性ペースト用の銀粉は、電子部品の小型化、導体パターンの高密度化、ファインライン化などに対応するため、粒径が適度に小さく、粒度が揃っていることが要求されている。
このような導電性ペースト用の銀粉を製造する方法として、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えることによって球状銀粉を還元析出させる湿式還元法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−176620号公報(段落番号0008−0013)
しかし、従来の湿式還元法により製造した球状銀粉と同程度の粒径の球状銀粉を焼成型の導電性ペーストに使用した場合に、600℃程度の温度で加熱しても、銀粒子同士を十分に焼結させることができず、良好な導電膜を形成することができない場合があった。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、従来の湿式還元法により製造した球状銀粉と同程度の粒径を有し且つより低い温度で焼成可能な球状銀粉およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、銀イオンを含有する水性反応系に、キャビテーションを発生させながら、還元剤としてアルデヒドを含有する還元剤含有溶液を混合して、銀粒子を還元析出させることにより、従来の湿式還元法により製造した球状銀粉と同程度の粒径を有し且つより低い温度で焼成可能な球状銀粉を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による球状銀粉の製造方法は、銀イオンを含有する水性反応系に、キャビテーションを発生させながら、還元剤としてアルデヒドを含有する還元剤含有溶液を混合して、銀粒子を還元析出させることを特徴とする。この球状銀粉の製造方法において、銀イオンを含有する水性反応系に超音波を照射することによってキャビテーションを発生させるのが好ましい。また、銀イオンを含有する水性反応系が、銀のアンモニア錯体を含有する水溶液であるのが好ましく、還元剤含有溶液が、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドを含有する溶液であるのが好ましい。さらに、還元析出した銀粒子を固液分離し、洗浄した後、100℃以下で乾燥させるのが好ましい。また、球状銀粉が、粒子内部に閉鎖された空隙を有するのが好ましい。
また、本発明による球状銀粉は、粒子内部に閉鎖された空隙を有することを特徴とする。この球状銀粉において、球状銀粉のレーザー回折法による平均粒径D50が0.1〜10μmであるのが好ましい。また、球状銀粉の真比重が9.8g/cm以下であるのが好ましい。さらに、球状銀粉に含まれる炭素、窒素、酸素および水素を除いた不純物元素の含有量がいずれも100ppm未満であるのが好ましい。
さらに、本発明による導電性ペーストは、上記の球状銀粉を導体として用いたことを特徴とする。
本発明によれば、銀イオンを含有する水性反応系に、キャビテーションを発生させながら、還元剤としてアルデヒドを含有する還元剤含有溶液を混合して、銀粒子を還元析出させることにより、従来の湿式還元法により製造した球状銀粉と同程度の粒径を有し且つより低い温度で焼成可能な球状銀粉を製造することができる。
実施例1で得られた球状銀粉の断面の電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)写真を示す図である。 実施例2で得られた球状銀粉の断面のFE−SEM写真を示す図である。 実施例3で得られた球状銀粉の断面のFE−SEM写真を示す図である。 比較例1で得られた球状銀粉の断面のFE−SEM写真を示す図である。
本発明による球状銀粉の製造方法の実施の形態では、銀イオンを含有する水性反応系に、キャビテーションを発生させながら、還元剤としてアルデヒドを含有する還元剤含有溶液を混合して、銀粒子を還元析出させる。
キャビテーション(空洞現象)は、液体中に生じた局所的な圧力差により短時間に気泡の発生と消滅が起こる物理現象をいい、超音波の照射や乳化処理用のホモジナイザーなどにより発生させることができるが、銀イオンを含有する水性反応系全体に発生させるためには、銀イオンを含有する水性反応系に超音波を照射することによって発生させるのが好ましい。照射する超音波の発振周波数は、キャビテーションを発生させることができる発振周波数であればよいが、28〜40kHzであるのが好ましい。また、超音波の出力は、銀粒子の還元析出反応に供する液量に応じて設定すればよい。なお、超音波の照射は、還元剤含有溶液を添加して銀粒子を還元析出させる際に行えばよく、その前後にも行ってもよい。
銀イオンを含有する水性反応系としては、硝酸銀、銀錯体または銀中間体を含有する水溶液またはスラリーを使用することができる。銀錯体を含有する水溶液は、硝酸銀水溶液または酸化銀懸濁液にアンモニア水またはアンモニウム塩を添加することにより生成することができる。これらの中で、銀粉が適当な粒径と球状の形状を有するようにするためには、硝酸銀水溶液にアンモニア水を添加して得られる銀アンミン錯体水溶液を使用するのが好ましい。銀アンミン錯体中におけるアンモニアの配位数は2であるため、銀1モル当たりアンモニア2モル以上を添加する。また、アンモニアの添加量が多過ぎると錯体が安定化し過ぎて還元が進み難くなるので、アンモニアの添加量は銀1モル当たりアンモニア8モル以下であるのが好ましい。なお、還元剤の添加量を多くするなどの調整を行えば、アンモニアの添加量が8モルを超えても適当な粒径の球状銀粉を得ることは可能である。
還元剤としては、アルデヒド基を有する化合物を使用することができるが、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドを使用するのが好ましい。また、アルデヒド単体を使用してもよいし、アルデヒド化合物を組み合わせて使用してもよいし、ホルマリンのように水やアルコールとの混合物を使用してもよい。このような還元剤としてアルデヒドを含有する還元剤含有溶液を添加して銀粒子を還元析出する際に、キャビテーションを発生させることにより、粒子内部に閉鎖された空隙を有する球状銀粉を得ることができる。還元剤の添加量は、銀イオンを含有する水性反応系に対して過剰な量でもよいが、銀イオンを含有する水性反応系中に残留する銀イオンを少なくして貴金属である銀のロスを抑えるためには、銀イオンの未還元分が10ppm以下にするのに必要な還元剤の量であればよい。
また、銀イオンを含有する水性反応系にpH調整剤を添加してもよい。pH調整剤としては、一般的な酸や塩基が使用することができ、例えば、硝酸、水酸化ナトリウムなどを使用することができる。
また、銀イオンを含有する水性反応系に表面処理剤を添加してもよい。表面処理剤としては、脂肪酸、脂肪酸塩、界面活性剤、有機金属化合物、キレート剤、高分子分散剤などを使用することができる。脂肪酸の例としては、プロピオン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などを挙げることができる。脂肪酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、バリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、マンガン、鉛、亜鉛、スズ、ストロンチウム、ジルコニウム、銀、銅などの金属と脂肪酸が塩を形成したものを挙げることができる。界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩やポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン界面活性剤、脂肪族4級アンモニウム塩などの陽イオン界面活性剤、イミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤などを挙げることができる。有機金属化合物の例としては、アセチルアセトントリブトキシジルコニウム、クエン酸マグネシウム、ジエチル亜鉛、ジブチルスズオキサイド、ジメチル亜鉛、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリエチルインジウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、モノブチルスズオキサイド、テトライソシアネートシラン、テトラメチルシラン、テトラメトキシシラン、ポリメトキシシロキサン、モノメチルトリイソシアネートシラン、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などを挙げることができる。キレート剤の例としては、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1H−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3,4−オキサトリアゾール、1,2,3,4−チアトリアゾール、2H−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3,5−オキサトリアゾール、1,2,3,5−チアトリアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾールまたはこれらの塩、あるいは、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、酒石酸、リンゴ酸、タルトロン酸、ヒドロアクリル酸、マンデル酸、クエン酸、アスコルビン酸などを挙げることができる。高分子分散剤の例としては、ペプチド、ゼラチン、コラーゲンペプチド、アルブミン、アラビアゴム、プロタルビン酸、リサルビン酸などを挙げることができる。これらの表面処理剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
銀粒子を還元析出させることによって得られた銀含有スラリーを固液分離し、水洗すると、銀に対して1〜200質量%の水を含み、流動性がほとんどない塊状のケーキが得られる。このケーキの乾燥を早めるために、ケーキ中の水分を低級アルコールなどで置換してもよい。このケーキを強制循環式大気乾燥機、真空乾燥機、気流乾燥装置などの乾燥機により乾燥することによって、乾燥した銀粉が得られるが、銀粉の粒子内部の閉鎖された空隙を保持するために、乾燥温度を100℃以下するのが好ましい。
また、得られた銀粉に乾式解砕処理や分級処理を施してもよい。この解砕の代わりに、粒子を機械的に流動化させることができる装置に銀粉を投入して、銀粉の粒子同士を機械的に衝突させることによって、銀粉の粒子表面の凹凸や角ばった部分を滑らかにする表面平滑化処理を行ってもよい。また、解砕や平滑化処理の後に分級処理を行ってもよい。なお、乾燥、粉砕および分級を行うことができる一体型の装置(株式会社ホソカワミクロン製のドライマイスタや、ミクロンドライヤなど)を用いて乾燥、粉砕および分級を行ってもよい。
上記の球状銀粉の製造方法によって、粒子内部に閉鎖された複数の空隙(複数の密閉孔)を有する球状銀粉を製造することができる。一般に、銀粉を使用する焼成型の導電性ペーストを焼成して導電膜を形成する工程は、(1)希釈溶剤の蒸発、(2)有機成分(表面処理剤および樹脂)の燃焼、(3)焼結助剤であるガラスフリットの軟化、(4)銀粒子の液相焼結から構成されている。導電膜の配線の形成をより低温で行うためには、上記の(2)〜(4)のための温度を低下させる必要がある。通常の球状銀粉を使用する場合、上記の(2)の有機成分の燃焼は、銀粒子の表面のみで起こるので、有機成分の燃焼が銀粒子の焼結に及ぼす効果は限定的であるが、粒子内部に空隙を有する球状銀粉を使用する場合、銀粒子の表面の有機成分の燃焼に加えて、空隙内の物質の膨張とその燃焼のエネルギーが銀粒子の焼結に有利に寄与すると考えられる。一方、粒子内部の空隙が粒子の外部に開放された形状の球状銀粉では、製造中の洗浄および乾燥において粒子内の物質が消失してしまうため、焼成の際に空隙内の物質の膨張および燃焼は起こらず、通常の球状銀粉とほとんど変わらない。なお、粒子内部に空隙を有する銀粉を製造する方法として、銀より卑な金属粒子を母体粒子として、その金属粒子の表面に置換反応により銀を析出させ、母体粒子を溶解除去する方法も考えられるが、この方法では、粒子内部の空隙を閉鎖された空隙とすると、母体粒子の金属成分が残留してしまい、導電性の低下や、酸化による信頼性の低下を招くおそれがあるため、粒子内部の空隙を粒子の外部に開放された空隙にする必要がある。
粒子内部に閉鎖された空隙を有する球状銀粉は、電気抵抗の上昇や、酸化による信頼性の低下を防止するため、(還元時の反応母液の巻き込みにより含有する)不純物となる遷移金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属元素、アルミニウム、マグネシウムなどの不純物元素の含有量をいずれも100ppm未満にするのが好ましい。
粒子内部に閉鎖された空隙を有する球状銀粉の真比重は、9.8g/cm以下であるのが好ましい。バルク銀の真比重は10.5g/cmであるため、9.8g/cm以下であれば、バルク銀に対して7%以上密度が低下していることになる。真比重が9.8g/cmより大きいと、空隙が小さ過ぎるか、少な過ぎるか、あるいは、空隙が外部に開放されており、空隙内の物質の膨張とその燃焼による焼結促進効果が不十分になる場合がある。
粒子内部に閉鎖された空隙を有する球状銀粉のレーザー回折法による平均粒径D50は、0.1〜10μmであるのが好ましい。また、細線化が進む導電膜の形成に使用するためには、5μm以下であるのがさらに好ましい。一方、粒径が小さ過ぎると、比表面積が増加するため、導電性ペーストに使用した場合に粘度が上昇したり、感光性ペーストとして使用する場合に紫外線の透過が不十分になり易いため、0.1μm以上であるのが好ましい。
上記の球状銀粉を導体として使用して導電性ペーストを製造することができる。例えば、上記の球状銀粉を樹脂と混合することにより、導電性ペーストを製造することができる。なお、樹脂の例として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、エチルセルロースなどを挙げることができる。これら樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。この導電性ペーストは、スクリーン印刷、オフセット印刷、フォトリソグラフィ法などにより、基板上に印刷することができる。スクリーン印刷の場合、導電性ペーストの粘度は、25℃で30〜100Pa・sであることが好ましい。導電性ペーストの粘度が30Pa・s未満であると、印刷時に「にじみ」が発生することがあり、100Pa・sを超えると、印刷むらが発生することがある。
以下、本発明による球状銀粉およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
銀8.63gを含む硝酸銀水溶液753gを分取した1Lビーカーを、水温35℃の水を入れた超音波洗浄機(アズワン株式会社製のUS Cleaner USD−4R、出力160W)に入れ、発振周波数40kHzで超音波照射を開始するとともに攪拌を開始した。
次に、上記のビーカー中の硝酸銀水溶液に28質量%のアンモニア水29.1g(銀に対して3.0当量相当)を添加して銀アンミン錯塩を生成させ、アンモニア水の添加から30秒後に、20質量%の水酸化ナトリウム水溶液0.48gを添加し、アンモニア水の添加から20分後に、ホルマリンを純水で希釈した27.4質量%のホルムアルデヒド溶液48.7g(銀に対して11.1当量相当)を添加し、その30秒後に、1.2質量%のステアリン酸エタノール溶液0.86gを添加して、銀粒子を含むスラリーを得た。
次に、超音波照射を終了した後、銀粒子を含むスラリーを濾過し、水洗して得られたケーキを、75℃の真空乾燥機で10時間乾燥させ、乾燥した銀粉をコーヒーミルで30秒間解砕して球状銀粉を得た。
このようにして得られた球状銀粉について、レーザー回折法による粒度分布、BET比表面積、真比重を測定し、粒子断面を観察し、不純物元素および銀の含有量と、有機成分(炭素、窒素、酸素および水素)の含有量を求めた。
レーザー回折法による粒度分布は、球状銀粉0.3gをイソプロピルアルコール30mLに入れ、出力50Wの超音波洗浄器により5分間分散させ、マイクロトラック粒度分布測定装置(ハネウエル−日機装株式会社製の9320HRA(X−100))を用いて測定した。その結果、D10=1.6μm、D50=3.0μm、D90=5.3μmであった。
BET比表面積は、60℃で10分間脱気した後、比表面積測定装置(カウンタクローム(Quanta Chrome)社製のモノソーブ)を用いて、窒素吸着によるBET1点法により測定した。その結果、BET比表面積は0.35m/gであった。
真比重は、球状銀粉10gと、浸液としてイソプロピルアルコールと、容積50mLピクノメーターを使用して測定した。その結果、真比重は9.6g/cmであり、バルク銀の真比重10.5g/cmに対して密度が9%低下していることが確認された。
粒子断面の観察は、集束イオンビーム(FIB)装置(JEOL社製のJEM−9310FIB)で切断した球状銀粉の断面を電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)(JEOL社製JSM−6700F)で観察することによって行った。その結果、図1のFE−SEM写真に示すように、球状銀粉の粒子の内部に閉鎖された空隙が存在することが確認された。また、FE−SEM写真における球状銀粉の全粒子の面積は13.7μm、空隙を有する粒子の面積は0.56μm、全粒子の面積に対する空隙を有する粒子の面積の比率は4.1%であり、観察した球状銀粉の断面が必ずしも粒子の中心を通るとは限らないことを考慮すると、ほとんどの粒子に空隙が存在すると考えられる。また、FE−SEM写真から求めた平均空隙サイズは0.07μmであり、平均粒径D50に対して2.3%に相当し、十分な空隙サイズであることが確認された。
不純物元素の含有量は、球状銀粉1.0gを(1+1)硝酸10mLに溶解し、(1+1)塩酸5mLを添加して塩化銀を析出させ、ろ過して得られたろ液に純水を加えて定容化した後、ICP(サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社製のiCAP6300)による定量分析によって求めた。その結果、Cr=1ppm、Mn<1ppm、Fe=7ppm、Co<5ppm、Ni<5ppm、Cu<1ppm、Zn<5ppm、Cd<1ppm、Pb<5ppm、Sn<10ppm、Ca<1ppm、Mg<1ppm、S<50ppm、Zr<1ppm、Bi<10ppm、Al<10ppm、Sr<1ppm、Ba<1ppm、Li<100ppm、Na<100ppm、K<100ppm、Rb<100ppm、Cs<100ppmであり、いずれの不純物も100ppm未満であることが確認された。
銀の含有量は、上記のろ過により得られた塩化銀を乾燥させ、その塩化銀の重量を精秤することによって求めた。その結果、銀の含有量は、99.37質量%であった。
有機成分(炭素、窒素、酸素および水素)の含有量については、炭素の含有量は、炭素・硫黄分析計(株式会社堀場製作所製のEMIA−U510)を使用して加熱温度1350℃で定量したところ、1700ppmであり、窒素、酸素および水素の含有量は、窒素・酸素・水素分析装置(LECO社製のONH836)を使用して定量したところ、それぞれ745ppm、3020ppm、800ppmであった。
次に、このようにして得られた球状銀粉83.4質量%と、樹脂(和光純薬工業株式会社製のエチルセルロース、100cps)1.2質量%と、溶剤(和光純薬工業株式会社製のテルピネオール)15.4質量%を、プロペラレス自公転式攪拌脱泡装置(株式会社シンキー社製のAR250)を用いて30秒間混合する操作を2回行った後、3本ロール(オットハーマン社製のEXAKT80S)を用いてロールギャップ100μmから20μmまで通過させて混練することにより、導電性ペーストを得た。
次に、このようにして得られた導電性ペーストを、2枚の96%アルミナ基板上の各々に、スクリーン印刷機(マイクロテック社製)を用いて、スキージ圧0.3MPaで、8mm×10mmの長方形の膜になるようにスクリーン印刷し、大気循環式乾燥機を用いて200℃で20分間乾燥させた後、ボックス炉を用いてそれぞれの基板を400℃と700℃で10分間加熱処理して導電膜を作製した。
このようにして得られた導電膜について、表面粗さ計(株式会社小坂研究所製のサーフコーダSE−30D)を用いてアルミナ基板上の導電膜の表面とその導電膜を印刷していない部分との段差を測定することによって導電膜の膜厚を求めるとともに、導電膜の表面抵抗率を抵抗率測定器(三菱ケミカル株式会社製のMCP−T410)を用いて四探針法で測定し、この表面抵抗率を導電膜の体積(=幅×長さ×膜厚)から導電膜の体積抵抗率を求めたところ、400℃で焼成した導電膜では5.2×10−6Ω・cm、700℃で焼成した導電膜では2.6×10−6Ω・cmであり、400℃で焼成した導電膜でも10−6Ω・cmのオーダーの導電性を確保することができた。
[実施例2]
銀8.63gを含む硝酸銀水溶液753gを分取した1Lビーカーを、水温20℃の水を入れた超音波洗浄機(アズワン株式会社製のUS Cleaner USD−4R、出力160W)に入れ、攪拌を開始した。
次に、上記のビーカー中の硝酸銀水溶液に28質量%のアンモニア水26.2g(銀に対して2.7当量相当)を添加して銀アンミン錯塩を生成させ、アンモニア水の添加から19分後に、発振周波数40kHzで超音波照射を開始し、その1分後に、ホルマリンを純水で希釈した27.4質量%のホルムアルデヒド溶液54.4g(銀に対して12.4当量相当)を添加し、その15秒後に、2.1質量%のベンゾトリアゾールエタノール水溶液1.06gを添加して、銀粒子を含むスラリーを得た。
次に、超音波照射を終了した後、銀粒子を含むスラリーを濾過し、水洗して得られたケーキを、75℃の真空乾燥機で10時間乾燥させ、乾燥した銀粉をコーヒーミルで30秒間解砕して球状銀粉を得た。
このようにして得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布、BET比表面積、真比重を測定し、粒子断面を観察し、不純物元素および銀の含有量と、有機成分(炭素、窒素、酸素および水素)の含有量を求めた。
その結果、レーザー回折法による粒度分布は、D10=1.5μm、D50=2.8μm、D90=4.5μmであり、BET比表面積は0.36m/gであった。また、真比重は9.7g/cmであり、バルク銀の真比重10.5g/cmに対して密度が8%低下していることが確認された。
また、粒子断面の観察では、図2のFE−SEM写真に示すように、球状銀粉の粒子の内部に閉鎖された空隙が存在することが確認された。また、FE−SEM写真における球状銀粉の全粒子の面積は11.8μm、空隙を有する粒子の面積は0.34μm、全粒子の面積に対する空隙を有する粒子の面積の比率は2.9%であり、観察した球状銀粉の断面が必ずしも粒子の中心を通るとは限らないことを考慮すると、ほとんどの粒子に空隙が存在すると考えられる。また、FE−SEM写真から求めた平均空隙サイズは、0.05μmであり、平均粒径D50に対して1.7%に相当し、十分な空隙サイズであることが確認された。
さらに、不純物元素の含有量については、Cr=1ppm、Mn<1ppm、Fe=6ppm、Co<5ppm、Ni<5ppm、Cu<1ppm、Zn<5ppm、Cd<1ppm、Pb<5ppm、Sn<10ppm、Ca<1ppm、Mg<1ppm、S<50ppm、Zr<1ppm、Bi<10ppm、Al<10ppm、Sr<1ppm、Ba<1ppm、Li<100ppm、Na<100ppm、K<100ppm、Rb<100ppm、Cs<100ppmであり、いずれの不純物も100ppm未満であることが確認された。また、銀の含有量は99.21質量%、炭素、窒素、酸素および水素の含有量は、それぞれ2400ppm、1710ppm、3360ppm、650ppmであった。
また、得られた球状銀粉を用いて、実施例1と同様の方法により、導電性ペーストから導電膜を作製し、体積抵抗率を求めたところ、400℃で焼成した導電膜では5.7×10−6Ω・cm、700℃で焼成した導電膜では2.4×10−6Ω・cmであり、400℃で焼成した導電膜でも10−6Ω・cmのオーダーの導電性を確保することができた。
[実施例3]
銀9.00gを含む硝酸銀水溶液688gを分取した1Lビーカーを、水温30℃の水を入れた超音波洗浄機(アズワン株式会社製のUS Cleaner USD−4R、出力160W)に入れ、発振周波数28kHzで超音波照射を開始するとともに攪拌を開始した。
次に、上記のビーカー中の硝酸銀水溶液に28質量%のアンモニア水27.6g(銀に対して2.5当量相当)を添加して銀アンミン錯塩を生成させ、アンモニア水の添加から1分後に、20質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.5gを添加し、その20分後に、ホルマリンを純水で希釈した27.4質量%のホルムアルデヒド溶液79.4g(銀に対して13.0当量相当)を添加し、その5秒後に、2.5質量%のステアリン酸溶液2.3gを添加して、銀粒子を含むスラリーを得た。
次に、超音波照射を終了した後、銀粒子を含むスラリーを濾過し、水洗して得られたケーキを、75℃の真空乾燥機で10時間乾燥させ、乾燥した銀粉をコーヒーミルで30秒間解砕して球状銀粉を得た。
このようにして得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布、BET比表面積、真比重を測定し、粒子断面を観察し、不純物元素および銀の含有量と、有機成分(炭素、窒素、酸素および水素)の含有量を求めた。
その結果、レーザー回折法による粒度分布は、D10=0.7μm、D50=1.3μm、D90=2.3μmであり、BET比表面積は0.77m/gであった。また、真比重は9.3g/cmであり、バルク銀の真比重10.5g/cmに対して密度が11%低下していることが確認された。
また、粒子断面の観察では、図3のFE−SEM写真に示すように、球状銀粉の粒子の内部に閉鎖された空隙が存在することが確認された。また、FE−SEM写真における球状銀粉の全粒子の面積は2.08μm、空隙を有する粒子の面積は0.21μm、全粒子の面積に対する空隙を有する粒子の面積の比率は10%であり、観察した球状銀粉の断面が必ずしも粒子の中心を通るとは限らないことを考慮すると、ほとんどの粒子に空隙が存在すると考えられる。また、FE−SEM写真から求めた平均空隙サイズは0.11μmであり、平均粒径D50に対して8.5%に相当し、十分な空隙サイズであることが確認された。
さらに、不純物元素の含有量については、Cr=1ppm、Mn<1ppm、Fe=8ppm、Co<5ppm、Ni<5ppm、Cu=1ppm、Zn<5ppm、Cd<1ppm、Pb<5ppm、Sn<10ppm、Ca<1ppm、Mg<1ppm、S<50ppm、Zr<1ppm、Bi<10ppm、Al<10ppm、Sr<1ppm、Ba<1ppm、Li<100ppm、Na<100ppm、K<100ppm、Rb<100ppm、Cs<100ppmであり、いずれの不純物も100ppm未満であることが確認された。また、銀の含有量は99.00質量%、炭素、窒素、酸素および水素の含有量は、それぞれ3700ppm、575ppm、3955ppm、1300ppmであった。
また、得られた球状銀粉を用いて、実施例1と同様の方法により、導電性ペーストから導電膜を作製し、体積抵抗率を求めたところ、400℃で焼成した導電膜では4.5×10−6Ω・cm、700℃で焼成した導電膜では2.3×10−6Ω・cmであり、400℃で焼成した導電膜でも10−6Ω・cmのオーダーの導電性を確保することができた。
[比較例1]
銀8.63gを含む硝酸銀水溶液28.6gを分取した1Lビーカーを、水温35℃の水を入れた超音波洗浄機(アズワン株式会社製のUS Cleaner USD−4R、出力160W)に入れ、発振周波数40kHzで超音波照射を開始するとともに攪拌を開始した。
次に、上記のビーカー中の硝酸銀水溶液に28質量%のアンモニア水52.7g(銀に対して5.0当量相当)を添加して銀アンミン錯塩を生成させ、アンモニア水の添加から5分後に、0.40質量%のポリエチレンイミン(分子量10,000)水溶液2.2gを添加し、アンモニア水の添加から20分後に、6.2質量%の含水ヒドラジン水溶液19.4g(銀に対して1.2当量相当)を添加し、その30秒後に、1.3質量%ステアリン酸溶液0.77gを添加して、銀粒子を含むスラリーを得た。なお、本比較例では、ヒドラジンの使用により小さくなる粒径を調整するためにポリエチレンイミンを添加している。
次に、超音波照射を終了した後、銀粒子を含むスラリーを濾過し、水洗して得られたケーキを、75℃の真空乾燥機で10時間乾燥させ、乾燥した銀粉をコーヒーミルで30秒間解砕して球状銀粉を得た。
このようにして得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、レーザー回折法による粒度分布、BET比表面積、真比重を測定し、粒子断面を観察し、不純物元素および銀の含有量と、有機成分(炭素、窒素、酸素および水素)の含有量を求めた。
その結果、レーザー回折法による粒度分布は、D10=1.8μm、D50=2.9μm、D90=4.4μmであり、BET比表面積は0.16m/gであった。また、真比重は10.3g/cmであり、バルク銀の真比重10.5g/cmに対して密度が2%しか低下していないことが確認された。
また、粒子断面の観察では、図4のFE−SEM写真に示すように、球状銀粉の粒子の内部に閉鎖された空隙が存在しないことが確認された。
さらに、不純物元素については、Cr=1ppm、Mn<1ppm、Fe=7ppm、Co<5ppm、Ni<5ppm、Cu=2ppm、Zn<5ppm、Cd<1ppm、Pb<5ppm、Sn<10ppm、Ca<1ppm、Mg<1ppm、S<50ppm、Zr<1ppm、Bi<10ppm、Al<10ppm、Sr<1ppm、Ba<1ppm、Li<100ppm、Na<100ppm、K<100ppm、Rb<100ppm、Cs<100ppmであり、いずれの不純物も100ppm未満であることが確認された。また、銀の含有量は99.80質量%、炭素、窒素、酸素および水素の含有量は、それぞれ900ppm、70ppm、320ppm、200ppmであった。
また、得られた球状銀粉を用いて、実施例1と同様の方法により、導電性ペーストから導電膜を作製し、体積抵抗率を求めたところ、400℃で焼成した導電膜では1.1×10−5Ω・cm、700℃で焼成した導電膜では3.0×10−6Ω・cmであり、400℃で焼成した導電膜では10−5Ω・cmのオーダーになって実施例1〜3と比べて導電性が劣っていた。
これらの実施例および比較例で得られた球状銀粉について、レーザー回折法による粒度分布、BET比表面積および真比重を表1に示し、粒子断面の観察の結果を表2に示す。また、これらの実施例および比較例で得られた導電膜の体積抵抗率を表3に示す。
Figure 0006129909
Figure 0006129909
Figure 0006129909
これらの実施例および比較例からわかるように、銀イオンを含有する水性反応系に、キャビテーションを発生させながら、アルデヒドを含有する還元剤含有溶液を混合して銀粒子を還元析出させることにより、粒子内部に閉鎖された空隙を有する球状銀粉を製造することができる。
本発明による球状銀粉は、粒子内部に閉鎖された空隙を有するため、従来の湿式還元法により製造した球状銀粉と同程度の粒径を有し且つより低い温度で焼成可能な球状銀粉として、導電性ペーストの作製に利用することができる。

Claims (5)

  1. 粒子内部に閉鎖された空隙を有することを特徴とする、球状銀粉。
  2. 前記球状銀粉のレーザー回折法による平均粒径D50が0.1〜10μmであることを特徴とする、請求項に記載の球状銀粉。
  3. 前記球状銀粉の真比重が9.8g/cm以下であることを特徴とする、請求項またはに記載の球状銀粉。
  4. 前記球状銀粉に含まれる炭素、窒素、酸素および水素を除いた不純物元素の含有量がいずれも100ppm未満である請求項乃至のいずれかに記載の球状銀粉。
  5. 請求項乃至のいずれかに記載の球状銀粉を導体として用いたことを特徴とする、導電性ペースト。
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