JP6141597B2 - タンパク質凝集物を除去するためのスルホン基を含有する膜 - Google Patents

タンパク質凝集物を除去するためのスルホン基を含有する膜 Download PDF

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Description

本発明は、全般的には、タンパク質溶液から生物学的物質を除去するための媒体に関する。より詳しくは、本発明は、重合架橋被覆組成物で飽和された負荷電濾過膜、ならびにその製造方法および使用方法に関する。
タンパク質凝集物およびウイルスの除去は、全生物または哺乳類細胞培養に由来するタンパク質性治療用生物学的分子の製造工程中にしばしば生じる分離上の難題である。例えば、血漿由来タンパク質溶液、例えば免疫グロブリンタンパク質(IgG)、および他のタンパク質(天然物または組換え体)、例えばモノクローナル抗体(mAb)、ペプチド、糖ならびに/または核酸は、典型的には、タンパク質三量体またはそれより多量体であるタンパク質重合体を含むタンパク質凝集物を含有し、これはウイルス保持フィルターなどを閉塞させる。
濾過によるタンパク質溶液からのウイルス粒子の除去における一般的な問題は、比較的低い性能の限外濾過フィルターの使用であり、これはコストをかなり増加させ、濾過操作を遅らせる。ウイルス粒子のサイズはタンパク質分子のサイズの約3〜5倍大きい(すなわち、約5〜10nmに対して約25nm)に過ぎないため、該フィルターの細孔径は、これらの実体のサイズの間となるように注意深く選択される必要がある(通常は約20nm)。したがって、およそ、三量体またはそれより多量体であるタンパク質重合体および変性タンパク質、脂質、トリグリセリドなどより大きなタンパク質凝集物は、典型的なウイルス保持フィルターを通過できず、孔の閉塞を引き起こし、該フィルターの性能(処理量)を有意に低下させるであろう。0.01〜0.1%の低い濃度であっても、これらの不要な望ましくない成分はウイルス保持フィルターを急速に閉塞させるであろう。
しかし、タンパク質凝集は、溶解力価の増加により、タンパク質性治療用生物学的分子のバイオプロセス製造方法における、依然として増大しつつある問題である。タンパク質凝集物は精製プロセスの種々の段階で生じ、ウイルス保持フィルターの適度な処理量を維持するためには、タンパク質凝集物は、ウイルス保持フィルターに達する前に除去される必要がある。およそ三量体またはそれより多量体であるタンパク質重合体より大きなタンパク質凝集物をタンパク質溶液から選択的に除去するための選択肢は、高価なゲルクロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィーを使用することを含む。タンパク質凝集物を選択的に除去するための最も簡便な方法は、下流に位置するウイルス粒子限外濾過保持フィルターに達する前に上流においてタンパク質および/または他の生体分子の溶液を濾過媒体に通過させ、それによりタンパク質凝集物を上流において選択的に保持させて、タンパク質溶液中のタンパク質単量体を該ウイルス保持フィルターに通過流動させることによるものである。
タンパク質凝集物およびウイルス粒子をタンパク質溶液から除去するための1つの方法は、各工程において限外濾過膜を使用する2工程の限外濾過プロセスを含む。例えば、Antoniouの米国特許第6,365,395号を参照されたい。該特許においては、第1濾過工程において、上流のタンパク質溶液からタンパク質凝集物が除去され、第2濾過工程において、下流のタンパク質凝集物非含有タンパク質溶液からウイルス粒子が除去される。
Siwakらの米国特許第7,118,675号は、タンパク質凝集物およびウイルス粒子をタンパク質流から除去するためのもう1つの2工程濾過方法を教示しており、この場合、まず、該タンパク質流が、吸着性デプスフィルター、荷電もしくは表面修飾多孔性膜または小さな吸着床のクロマトグラフィー媒体の、1以上の層により濾過されて、タンパク質凝集物非含有タンパク質流を与える。この後、回収溶液を限外濾過膜に通過させてウイルス粒子を除去する第2工程を行う。
タンパク質流の前処理のために利用可能な1つの方法は、無機フィルター補助物質と組合されたセルロース媒体を使用するデプス(depth)濾過を用いる。例えば、Millipore Corporationから商業的に入手可能なViresolve(登録商標)Prefilterは、ウイルス濾過前にタンパク質流を前処理するために使用された場合にパルボウイルスフィルターの処理量を増加させることを意図したものである。しかし、このプレフィルターは苛性処理に対する不適切な耐性および比較的高い有機抽出物を示している。ウイルスフィルターを苛性溶液で清掃し又は衛生的にすることがしばしば望ましいため、また、ウイルスフィルターがプレフィルターと組合された場合、該衛生化方法は、両方が同一処理により直列的に衛生化されうる場合には、有意に、より頑強かつ経済的になる。したがって、前濾過特性の低下を伴うことなく水性苛性溶液に対する暴露(例えば、0.1N NaOHで1時間)に耐えうる、タンパク質溶液のための前処理媒体を得ることが望ましい。また、ウイルス濾過は、典型的には、タンパク質精製方法の後期において用いられ、この場合、流体流に進入する有機抽出物の量を最小にすることが望ましい。セルロースおよびフィルター補助物質に基づくデプスフィルターは膜より有意に高いレベルの抽出物を示しており、したがって、生物学的分子などの後期精製に関する潜在的な問題を引き起こしうる。
したがって、下流濾過媒体(例えば、タンパク質および/または生体分子含有溶液からのウイルス粒子の下流限外濾過除去と共に用いられるもの)の早期閉塞を防ぐ上流前濾過プロセスによりタンパク質および/または生体分子含有溶液からタンパク質凝集物および他の閉塞成分を除去するための濾過媒体ならびにそれを使用および製造するための装置および方法を得ることが望ましいであろう。
本発明のこれらの利点および追加的な本発明の特徴は、本明細書に記載されている本発明の説明から明らかとなろう。
米国特許第6,365,395号 米国特許第7,118,675号
全生物または哺乳類細胞培養に由来する生体分子およびタンパク質性治療用生物学的分子の製造におけるタンパク質凝集物およびウイルス粒子の除去に関連した前記の要求に対応して、本発明は、ある実施形態において、ウイルス粒子の限外濾過除去の上流のタンパク質溶液からタンパク質凝集物を選択的に除去する際の使用に適した苛性安定である(すなわち、アルカリ溶液による分解に対して耐性である)高い電荷密度を有する負荷電(負に荷電した)細孔濾過媒体を教示する。
本発明は、ある実施形態においては、タンパク質流の下流ウイルス濾過または他のバイオプロセス工程の前のタンパク質流からのタンパク質凝集物の上流除去を教示する。タンパク質凝集物の上流除去は、下流ウイルスフィルターに生じる閉塞を軽減し、それにより、その処理量および流量を増加させる。
ある実施形態においては、本発明は、タンパク質溶液からタンパク質凝集物を除去するための使い捨て可能な負荷電細孔媒体を教示し、それにより、使用と使用との間の濾過媒体の清掃および保存に関連したコストが不要となり、政府規制機関により要求されるそのような清掃法の妥当性評価に関連したコストおよび時間が不要となる。
ある実施形態においては、本発明は、細孔基体と架橋被覆組成物(これは、化学重合フリーラジカル開始剤の非存在下、電子線にさらされて該基体の外部および内部表面上でインシトゥ(in situ)で重合される)とを含む、高い電荷密度を有する負荷電被覆細孔媒体を提供する。該架橋被覆組成物は、好ましくは、負荷電フリーラジカル重合可能アクリルアミドアルキル単量体およびアクリルアミド架橋剤から形成される。
ある実施形態においては、本発明は、細孔基体と架橋被覆組成物(これは、負荷電付随スルホン酸含有基およびその塩を有する重合可能多官能性アクリルアミドアルキル単量体と、該基体の外部および内部表面上でインシトゥで重合される多官能性アクリルアミド架橋剤とから形成される)とを含む、高い電荷密度を有する負荷電被覆細孔媒体を提供する。重合は、好ましくは、該単量体/架橋剤/媒体系を、化学重合フリーラジカル開始剤の非存在下、例えば電子線のような電離放射線にさらすことにより開始されるが、重合を開始させるために、適切な化学重合フリーラジカル開始剤も使用されうる。
もう1つの実施形態においては、本発明は、細孔基体と架橋被覆組成物(これは、該基体の外部および内部表面上でインシトゥで重合される、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)およびその塩の重合可能単量体ならびにN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAm)架橋剤を含む反応物溶液から形成される)を含む、負荷電被覆細孔媒体を教示する。得られる重合架橋被覆組成物は、アミド−アミド架橋結合のみを含む。
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、細孔基体とAMPSおよびその塩の架橋重合被覆組成物とを含む負荷電被覆細孔膜を教示し、ここで、該架橋被覆組成物は該基体の外部および内部表面上でインシトゥで重合される。
もう1つの実施形態においては、本発明は、好ましくは負荷電スルホン酸含有基単量体または架橋剤のいずれよりも少ない量で存在する補足的な特性修飾単量体を更に含む、細孔基体の内部および外部表面の全体を覆う重合架橋被覆組成物を有する細孔膜を教示する。
他の実施形態においては、本発明は、全量(dead end)法線(normal)流動濾過(NFF)法においてタンパク質溶液からタンパク質凝集物を選択的に除去するための、前濾過装置における使用に適した被覆細孔膜を提供する。該タンパク質溶液は、タンパク質凝集物を実質的に含有しないタンパク質溶液を回収するために、本明細書に教示されている被覆細孔膜の層の1以上を含む濾過媒体を通過させて前濾過される。
さらに他の実施形態においては、本発明は、細孔基体を、該細孔基体の全内部および外部表面上に蒸着される、重合可能アクリルアミドアルキル単量体、アクリルアミド架橋剤および場合によっては化学フリーラジカル開始剤を含有する負荷電スルホン酸基を含む架橋被覆組成物で被覆(コーティング)し、該架橋被覆組成物と接触させ、または該架橋被覆組成物で飽和させる、高い電荷密度を有する負荷電被覆細孔媒体の製造方法を提供する。
さらに他の実施形態においては、本発明は、細孔基体を、AMPSおよびその塩の重合可能単量体とアクリルアミド架橋剤(例えば、MBAm)とを含む重合架橋被覆組成物で該細孔基体の全外部および内部表面にわたって被覆して、該架橋被覆組成物が該細孔基体の全内部および外部表面上でインシトゥで重合させるようにする、高い電荷密度を有する負荷電被覆細孔媒体の製造方法を提供する。
もう1つの実施形態においては、本発明は、a)細孔基体を準備し、b)場合によっては、該細孔基体を湿潤液で洗浄して、該基体の全内部および外部表面を湿潤させ、c)場合によっては、該細孔基体の湿潤表面を第2湿潤液で洗浄して第1湿潤液との置換を行って、該基体の外部および内部表面を該第2液で湿潤させ、d)該基体を、負荷電重合可能アクリルアミドアルキル単量体、アクリルアミド架橋剤(例えば、MBAm)および場合によってはフリーラジカル重合開始剤を含む反応物溶液と接触させ、e)負荷電架橋アクリルアミドアルキル単量体被覆組成物を該基体の内部および外部表面上に蒸着させ、f)該架橋被覆組成物で飽和された被覆基体を該反応物溶液から取り出し、g)該架橋アクリルアミドアルキル被覆組成物を重合させて、該基体の全内部および外部表面上に重合架橋被覆組成物を形成させ、h)該被覆細孔基体を水および/または有機溶媒中で洗浄して、未反応およびオリゴマー物質を除去し、i)該被覆細孔基体を乾燥させる工程を含む、重合架橋被覆組成物で被覆された細孔基体の製造方法を提供する。
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、まず、本明細書中に教示されている被覆細孔膜の層の1以上を有する前濾過装置でタンパク質溶液を法線流動濾過形態で濾過し、ついで、タンパク質凝集物を実質的に含有しないタンパク質溶液を回収することを含む2工程濾過法によるタンパク質溶液からのタンパク質凝集物およびウイルス粒子の選択的分離を提供する。第2濾過工程は、回収されたタンパク質溶液を1以上の限外濾過ウイルス除去膜に通してNFFまたは接線(tangential)流動濾過(TFF)形態で濾過して該ウイルス粒子を保持させ、ウイルス粒子を含有しないタンパク質溶液を通過させることを含む。
他の実施形態においては、本発明は、タンパク質凝集物および他の閉塞性成分をタンパク質の水溶液から選択的に除去するための全量NFF法を用いる前濾過装置における使用に適した負荷電被覆細孔膜を提供する。
他の実施形態においては、本発明は、NFF法を用いることによりタンパク質凝集物を生物学的溶液から選択的に除去するための、本明細書中に教示されている1以上の使い捨て可能な被覆細孔膜を含む前濾過装置を使用する前濾過方法を提供する。
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、ウイルス粒子の除去の前に水性生体分子含有溶液からタンパク質凝集物を選択的に除去するための方法であって、本明細書中に教示されている1以上の被覆細孔膜で該水性生体分子含有溶液をNFF操作形態で濾過し、タンパク質凝集物を実質的に含有しない生体分子含有溶液を回収することを含む方法を提供する。
ウイルス粒子の下流除去の前にタンパク質凝集物、変性タンパク質、脂質、トリグリセリドなどを水性生体分子含有溶液から選択的に除去するための方法であって、本明細書中に教示されている1以上の前濾過被覆細孔膜で該水性生体分子溶液をNFF操作形態で濾過し、タンパク質凝集物、変性タンパク質、脂質、トリグリセリドなどを実質的に含有しない水性生体分子溶液を回収することを含む方法を提供することが本発明のもう1つの目的である。
もう1つの実施形態においては、本発明は、本明細書中に教示されている1以上の負荷電被覆細孔膜をNFF操作形態で使用してタンパク質凝集物をタンパク質溶液から選択的に除去するための方法を提供する。
さらに他の態様においては、本発明は、本明細書中に教示されている1以上の負荷電被覆細孔膜をNFF形態で使用してタンパク質凝集物をタンパク質溶液から選択的に除去し、ついで、1以上の限外濾過ウイルス除去膜でNFFまたはTFF形態によりウイルス粒子を除去するための方法を提供する。
本発明は更に、正荷電生体分子を含有する生物学的流体を処理するための方法であって、該生物学的流体を、本明細書中に教示されている負荷電被覆細孔膜と接触させることを含む方法を提供する。
本発明は更に、本明細書中に教示されている高い電荷密度を有する1以上の負荷電細孔被覆基体を含むフィルター装置、クロマトグラフィー装置および/または膜モジュールを提供する。
以下の詳細な説明および特許請求の範囲に本発明の追加的な特徴および利点を記載する。当業者に明らかなとおり、本発明の多数の修飾および変更が、その精神および範囲から逸脱することなく施されうる。特許請求の範囲の前記の一般的な説明および以下の詳細な説明ならびに添付図面は典型的かつ説明的なものに過ぎず、本教示の種々の実施形態の説明を与えると意図されると理解されるべきである。本明細書に記載されている具体的な実施形態は例示として記載されているに過ぎず、何ら限定的なものではないと意図される。
(発明の詳細な説明)
本発明を更に詳細に説明する前に、いくつかの用語を定義する。これらの用語の用い方は本発明の範囲を限定するものではなく、専ら本発明の説明を促進するためのものである。
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的においては、特に示さない限り、本明細書および特許請求の範囲において用いられる成分量、物質の百分率または比率、反応条件および他の数値を表す全ての数字は、全ての場合において「約」なる語により修飾されていると理解されるべきである。
したがって、特に示さない限り、以下の説明および添付の特許請求の範囲において記載されている数的パラメーターは、本発明により得られることが望まれる所望の特性に応じて変動しうる近似値である。少なくとも、そして特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするものではなく、各数的パラメーターは少なくとも、示されている有効数字の数字を考慮して、そして通常の丸め技術を適用することにより解釈されるべきである。
本発明の広い範囲を示す数的範囲およびパラメーターは近似値あるが、具体例において記載されている数値は可能な限り厳密に示されている。しかし、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値において見出される標準偏差から必然的に生じる或る誤差を本質的に含有する。さらに、本明細書に開示されている全ての範囲は、それに包含される全ての部分範囲を含むと理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、最小値1と最大値10(それらも含む)との間の全ての部分範囲、すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を有する全ての部分範囲(例えば、5.5〜10)を含む。
本明細書中で用いる単数形の「a」、「an」、「the」は、文脈に明らかに矛盾しない限り、複数形の指示物を含む。
本明細書中で用いる「AMPS」は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩を意味する。
本明細書中で用いる「生体分子」または「生物学的分子」なる語は、生きた生物の一部である任意の有機分子またはその類似体を意味すると意図される。したがって、生体分子は、アミノ酸の重合体、例えばペプチドおよびタンパク質(抗体および酵素を含む)、ならびにヌクレオチドの重合体、例えばDNAまたはRNA分子、およびDNAおよびRNAプローブを含むが、これらに限定されるものではない。炭水化物および脂肪も生体分子の定義内に含まれる。前記のもののそれぞれの合成的に製造された類似体も「生体分子」なる語の定義に含まれると意図される。
本発明の膜基体および方法に関して本明細書中で用いる「清潔な膜」なる語は、製造された際に、
a.本明細書に記載されているNVR抽出試験により測定された場合に、膜1平方センチメートル当たり約50マイクログラム未満の抽出物、好ましくは、1平方センチメートル当たり約25マイクログラム未満の抽出物、または
b.本明細書に記載されているTOC抽出物試験により測定された場合に、膜1平方センチメートル当たり約25マイクログラム未満の抽出物
を含有する膜または膜基体を意味する。
本発明の被覆細孔膜に適用して本明細書中で用いる「苛性耐性」または「苛性安定」なる語は、0.1 NaOHに室温で2時間さらされた後で透過性または吸着性特性の測定可能な変化を有さない膜を意味する。
本明細書中で用いる「架橋重合体」なる語は、重合反応に関与しうる又は別々の重合体鎖を架橋しうる2以上の反応性部位を有する2以上の単量体から製造された重合体を意味する。
本明細書中で用いる「MBAm」はN,N’−メチレンビスアクリルアミドを意味する。
本明細書中で用いる「NFF」は法線(normal)流動濾過を意味する。
本明細書中で用いる「重合体」なる語は、1以上の重合可能単量体から形成された重合組成物を含むと意図される。
本明細書中で用いる「多官能性単量体」なる語は、2以上の不飽和官能基を有する単量体を意味する。
本明細書中で用いる「反応物溶液」なる語は、1以上の負荷電スルホン酸基およびその塩を有する多官能性重合可能単量体ならびに多官能性アクリルアミド架橋剤を少なくとも含む溶液を意味する。該反応物溶液の好ましい実施形態の一例は、AMPSおよびその塩の重合可能単量体とMBAm架橋剤とを含む水溶液である。
本発明の膜および方法の表面被覆に適用する本明細書中で用いる「表面」なる語は、細孔媒体または膜の外部表面または外表面および内部表面または内表面を含む、細孔媒体または膜の全表面領域を意味するものとする。「外部表面」または「外表面」なる語は、視界にさらされる表面、例えば、膜の平面または細孔表面のいずれかを意味する。「内部表面」または「内表面」なる語は、細孔媒体または膜の細孔網状構造の内部表面、すなわち、間質領域を示すと意図される。
本明細書中で用いる「TFF」なる語は接線(tangential)流動濾過を意味する。
細孔基体
本発明に関して、本発明者らは、Pure Appl.Chem.,1996,68,1479において公開されている国際純正・応用化学連合(IUPAC)の“Terminology for membranes and membrane processes”の定義に基づいて、限外濾過基体を、基体膜と比較して以下のとおりに定義することとする。
精密濾過:圧力により駆動される、膜に基づく分離法であり、0.1μmより大きな粒子および溶存巨大分子が排除される。
限外濾過:圧力により駆動される、膜に基づく分離法であり、0.1μmより小さく且つ約2nmより大きな粒子および溶存巨大分子が排除される。
膜、基体、フィルターまたは媒体に関して本明細書中で用いる「精密濾過」または「細孔」なる語は、シート、チューブおよび中空糸(これらに限定されるものではない)を含む幾つかの形態のいずれであることも可能である。
膜、基体、フィルターまたは媒体に関して本明細書中で用いる「限外濾過」なる語は、シート、チューブおよび中空糸(これらに限定されるものではない)を含む幾つかの形態のいずれであることも可能である。
本発明の実施において有用な多孔性膜は、膜の厚さにわたる、または中空糸の場合には該糸の細孔壁にわたる細孔径の均一性に関して、対称または非対称なものとして分類される。本明細書中で用いる「対称膜」なる語は、膜横断面にわたって実質的に均一な細孔径を有する膜を意味する。「非対称膜」なる語は、膜横断面にわたって平均細孔径が一定ではない膜を意味する。
例えば、非対称膜においては、細孔径は、膜横断面を貫く位置の関数として滑らかに又は不連続的に変化しうる。理解されるとおり、一方の外部表面上の細孔径の、反対側の外部表面上の細孔径に対する、実質的に1を超える比を有する膜は、「非対称膜」の定義に含まれる。
本明細書中に教示されている本発明における使用のための代表的な膜には、負に荷電している並びに例えばMoyaの米国特許第5,629,084号およびSteuckの米国特許第4,618,533号に教示されているような表面化学(例えば、親水性または疎水性)を有しうる細孔膜または基体から形成または構成される膜が含まれる。多種多様な材料から製造される多種多様な細孔基体が本発明の実施において有用である。そのような細孔基体の具体例には、多糖、不織布、セラミック、金属、綿、セルロース、例えばセルロース/シリカ混合物、およびセルロース誘導体、例えば酢酸セルロース、ガラス繊維、重合体に基づくもの、ならびにそれらの組合せが含まれる。
本明細書中に教示されているとおり、好ましい実施形態においては、架橋被覆組成物を受け取るための細孔基体は、細孔性の重合体に基づく膜である。
本発明において有用な細孔基体および膜を製造するために使用されうる代表的な重合体には、置換された又は置換されていないポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリメタクリルアミド、ポリイミド、ポリアクリラート、ポリカルボナート、ポリメタクリラート、ポリビニル親水性重合体、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体、芳香族ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、過フッ素化熱可塑性重合体、ポリオレフィン、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、超高分子量ポリエチレン、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステルおよびそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明において有用な細孔基体は、サイズ排除媒体、イオン交換媒体および疎水性または親水性媒体を含むクロマトグラフィー媒体からも製造されうる。特に好ましい実施形態においては、該細孔膜基体はポリエーテルスルホン膜である。本発明に適した細孔基体の形成において有用な他の重合体を当業者は容易に特定しうるであろう。細孔膜基体が親水性である実施形態においては、該基体のための好ましい材料には、ポリアミド、酢酸セルロースおよびセルロースが含まれる。
重合架橋被覆組成物
重合架橋被覆組成物は、1以上の負荷電付随スルホン酸含有基および/またはその塩を有する重合可能多官能性アクリルアミドアルキル単量体と、多官能性アクリルアミド架橋剤とを少なくとも含む反応物溶液から形成される。好ましい実施形態においては、該反応物溶液は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)およびその塩の重合可能単量体と、多官能性アクリルアミド架橋剤、例えばN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAm)とを含む水溶液であり、ここで、得られる重合架橋被覆組成物はアミド−アミド架橋結合のみを含む。
該反応物溶液は、好ましくは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)およびその塩の重合可能単量体と、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAm)架橋剤との水溶液を含む。一般に、AMPS単量体は、該反応物溶液の重量に対して約1wt%〜約20wt%、好ましくは約3wt%〜約6wt%の濃度で該反応物溶液中に存在する。MBAm架橋剤は、好ましくは、該AMPS単量体の重量に対して約5wt%〜約100wt%の濃度で該反応物溶液中に存在する。
該架橋被覆組成物は、化学重合フリーラジカル開始剤の非存在下、電子線放射に対する暴露に際して細孔基体および内部孔壁の表面上でインシトゥで重合される。好ましくは、該重合架橋被覆組成物は細孔基体の全外部および内部表面を覆う。
該架橋被覆組成物は、負荷電付随スルホン酸含有基を有する多官能性アクリルアミドアルキル単量体または多官能性アクリルアミド架橋剤のいずれよりも少ない量で好ましくは存在する補足的な特性修飾単量体を更に含みうる。
負荷電被覆多孔性基体の製造方法
該反応物溶液を細孔基体の外部および内部表面上に適用して、該基体がその全外部および内部表面にわたって該反応物溶液で飽和されるようにする。細孔基体の内部および外部表面上への該反応物溶液の所望の蒸着は直接被覆として行われ、中間的な結合性化学成分または部分(例えば、アミノ酸など)を必要とせず、また、それを利用しない。
重合溶液で容易に湿潤状態になる細孔基体を使用することが好ましい。これは、非湿潤性基体を有機溶媒で予め湿潤させ溶媒交換を行うのに関連した時間および費用を最小にする。
しかし、非湿潤性細孔基体を使用する場合には、内部および外部表面の実質的に全体を重合架橋/グラフト化重合体組成物で飽和させるために、被覆細孔基体の形成における第1工程は、好ましくは、細孔基体を膨潤させたり溶解したりせず、細孔基体の外部表面および該孔の内部壁を湿潤させる有機溶媒と水との混合物のような溶媒組成物で該基体を洗浄することを含む。
この目的のための適切な水−有機溶媒組成物には、メタノール/水、エタノール/水、アセトン/水、テトラヒドロフラン/水などが含まれる。この湿潤工程の目的は、重合可能AMPS単量体およびその塩ならびにMBAm架橋剤が、細孔基体と接触した後、細孔基体の全内部および外部表面を湿潤させることを確実なものとすることである。この予備湿潤工程は、後記の試薬浴自体が細孔基体の全表面を湿潤させるように働く場合には省略されうる。これは、該試薬浴が高濃度(例えば、15重量%以上)の有機反応物を含有する場合に行われうる。
細孔基体を湿潤させた後、フリーラジカル重合可能AMPS単量体およびその塩とMBAm架橋剤を溶媒中に含む試薬浴を細孔基体と接触させ、それにより、該基体の内部および外部表面を飽和させる。該試薬浴に使用される個々の溶媒は、細孔基体を形成させるために使用される個々の重合体または物質に左右されるであろう。必要な全てのことは、AMPS単量体およびMBAm架橋剤が該溶媒に溶解すること、該溶媒が細孔基体を攻撃しないこと、ならびに該溶媒が該重合反応に負の影響を及ぼさないことである。代表的な適切な溶媒には、水または有機溶媒、例えば、アルコール、エステル、アセトンまたはそれらの適合性水性混合物が含まれる。
細孔基体を該反応溶液中に含浸させて、該内部および外部表面が該反応物溶液で完全に飽和されるようにした後、該細孔基体を該溶液から取り出して、重合可能AMPS単量体が浪費されないように該溶液の外部で重合反応を行う。したがって、該反応はバッチ形態で、または連続的に行われうる。連続法として行う場合には、細孔基体のシートを反応物溶液で飽和させ、ついで反応領域に移動させ、その領域において、それを電子線からのエネルギーに暴露させて重合反応を行う。
重合は、化学重合フリーラジカル開始剤の非存在下、電離放射線を使用することにより開始されることが可能であり、あるいは電離放射線の代わりにフリーラジカル化学開始剤が使用されうる。
フリーラジカル開始剤を使用する場合には、細孔基体を湿潤させる前に、典型的には、0.01〜1%の量で、それを重合溶液に加える。該フリーラジカル開始剤の化学的性質に応じて、重合は熱またはUV照射により開始されうる。UV活性化開始剤(すなわち、光開始剤)の一例として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(Ciba Specialty Chemicals,Basel,Switzerlandから商品名Irgacure(登録商標)2959として入手可能)が挙げられる。
反応物溶液を重合させるために化学フリーラジカル重合開始剤を使用しない場合には、重合はインシトゥで生じ、該基体の内部および外部表面を飽和させる反応物溶液を電子線放射に少なくとも約0.1Mラド〜約6Mラドの線量で暴露させてAMPS単量体の重合を引き起こすことにより行われ、それにより、全内部および外部表面上で重合架橋被覆組成物で被覆された細孔基体を得る。該架橋重合体での細孔基体の完全な被覆は、化学フリーラジカル重合開始剤を必要とすることなく行われうることが判明している。
所望の放射線量が電子線により加えられた後、該被覆細孔基体を水および/またはメタノールで洗浄して、未反応の及びオリゴマー性の物質を除去する。ついで該被覆基体を乾燥させ、再湿潤性、流動性および他の特性に関して試験する。
以下の実施例は本発明を例示するものであり、それを限定するものではない。
以下の実施例においては、以下のことが適用される。
膜処理量は、単位膜面積当たりの体積として表され、実用的閾値を超えて流量が減少する(一定圧力形態の場合)または圧力が増加する(一定流動形態の場合)前に該膜で濾過されうる溶液の体積である。以下の実施例においては、V75なる数字は、実験を30psiの一定圧力で行った場合に初期流量が75%減少した際のプレフィルターとウイルス保持フィルターとの組合せの処理量(スループット)である。
流動時間
流動時間は、基体細孔径に対する被覆(コーティング)の厚さの影響の尺度である。被覆が非常に薄ければ、該基体の細孔径の変化は小さく、流動時間の変化は小さいであろう。被覆の厚さが大きければ、基体細孔径の及び流動時間の変化は大きいであろう。該基体の流動時間は、生じた細孔制限の度合を決定するために修飾の前および後に測定される。該修飾基体により維持された元の流動に対する割合を計算する。一般に、元の流動の維持が大きければ大きいほど、該基体はより望ましいものとなる。
流動時間は、特異的かつ再現可能な条件下で測定される。本発明において用いる流動時間を測定するための標準的な方法は、27.5インチ水銀真空においてガラスフィルターホルダーにおける基体の47mmディスクを500mlの水が通過流動するのに要する秒単位の時間を測定するというものである。
タンパク質の凝集物含有溶液を、G.R.Boltonら,Biotechnol.Appl.Biochem.(2006)43,55−63に記載されている方法に従い調製した。50mM 酢酸バッファー(pH 5.0,100mM NaCl)中の0.1g/l ヒトIgG(HS−475;SeraCare Life Sciences,Oceanside,CA,U.S.A.)の溶液を60℃で1時間加熱して、該タンパク質を変性させ、凝集物を生成させた。この溶液を9vol%で非変性IgG中に再び加えた。膜処理量を測定するために、該実験の全体にわたって、該溶液を使用した。
水で自然に被覆基体が湿潤状態になりうることは被覆基体の重要な特性である。該被覆基体を水上に滴らせ、該被覆基体が十分に湿潤するまでの秒単位の時間を測定することにより、再湿潤時間を決定する。これは、湿潤するにつれて該被覆基体が濃厚色になることにより、視覚的に観察される。
基体の被覆のための一般的方法
以下の手順は、高い電荷密度を有する負荷電被覆細孔基体を製造するための、電子線放射による被覆細孔基体の処理のための一般的方法を説明するものである。該基体をメタノール中で湿潤させ、水中で洗浄し、水性重合可能AMPS単量体/MBAm架橋剤反応物溶液中に数分間浸漬して完全な交換を確実なものとする。該水性重合可能AMPS単量体/MBAm架橋反応溶液が該基体を直接的に湿潤させうる場合には、該予備湿潤交換工程は必要ではない。
該基体の表面上のAMPS単量体の重合を開始させるために用いる電子線技術には、例えば、Steuckの米国特許第4,944,879号(その開示を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている方法が含まれる。Steuckは、例えば、電子線プロセッサにより生成された電子のカーテンを通過するウェブまたは個々のサンプルを教示している。該プロセッサは約100kV〜約200kVの所望線量を放出する。移動中のウェブまたはサンプルは、該カーテン下で所望の暴露時間をもたらすのに適した速度で輸送される。線量と共に暴露時間が線量率を決定する。典型的な暴露時間は約0.5秒〜約10秒である。線量率は、一般に、0.01kGy(キログレイ)〜約6kGly(すなわち、0.1〜約6Mラド)である。
放射の所望の線量が電子線により放出された後、処理された細孔基体を水および/またはメタノール中で洗浄して、未反応およびオリゴマー性の物質を除去する。ついで該基体を乾燥させ、再湿潤性、流動性および他の特性に関して試験する。
以下の手順は、高い電荷密度を有する負荷電被覆細孔基体を製造するための、光開始剤を使用することによる被覆細孔基体の処理のための一般的方法を説明するものである。該基体をメタノール中で湿潤させ、水中で洗浄し、フリーラジカル光開始剤を含有する水性重合可能AMPS単量体/MBAm架橋剤反応物溶液中に数分間浸漬して完全な交換を確実なものとする。該水性重合可能AMPS単量体/MBAm架橋反応溶液が該基体を直接的に湿潤させうる場合には、該予備湿潤交換工程は必要ではない。
該基体の表面上のAMPS単量体の重合を開始させるために用いる光開始剤には、例えば、J.−P.Fouassier,Photoinitiation,Photopolymerization、ならびにPhotocuring:Carl Hanser Verlag,Munich,Germany,1995,pp.20−93およびTable 3−1,p.21に記載されているものが含まれる。
AMPS/架橋剤/光開始剤溶液で飽和された該多孔性基体を、該光開始剤の分解およびフリーラジカルの生成を引き起こすのに十分な線量まで紫外線、可視光線または赤外線にさらすことにより、AMPS重合を行う。紫外線の適切な線源には、Fusion UV Systems,Inc.(Gaithersburg,MD)により製造された、2つのUV光源(1つは最上部、1つは最下部)を有するUVコンベヤが含まれうる。
放射の所望の線量が光源により放出された後、処理された細孔基体を水および/またはメタノール中で洗浄して、未反応およびオリゴマー性の物質を除去する。ついで該基体を乾燥させ、再湿潤性、流動性および他の特性に関して試験する。
負荷電被覆多孔性基体の使用
1つの実施形態においては、本発明は、タンパク質三量体およびそれより多量体であるタンパク質重合体ならびに他の閉塞性の望ましくない成分(これらに限定されるものではない)を含むタンパク質凝集物をタンパク質および/または生体分子含有溶液から選択的に除去するための方法を提供する。
本発明のもう1つの実施形態においては、タンパク質溶液を、まず、保持媒体で濾過して、タンパク質三量体およびそれより多量体であるタンパク質重合体を含むタンパク質凝集物を選択的に保持させる一方で、タンパク質単量体を通過流動させる。この濾過工程は、吸着膜の1以上の層の装置を使用して行われる。これらの物質を使用する場合、約85%を超えるタンパク質単量体、好ましくは約90%を超えるタンパク質単量体、最も好ましくは98%を超えるタンパク質単量体を回収する一方で実質的に完全なタンパク質凝集物除去が行われる。
図1は、一定圧力形態の濾過を用いる本発明の方法10の好ましい実施形態の1つを示す。タンパク質溶液12は加圧貯蔵容器により保持され、タンク内の圧力により導管18を経由して濾過媒体単位16へと送出される。該溶液は法線流動形態の濾過に付され、凝集物は該媒体により保持され、凝集物非含有溶液は濾液として第1工程10から排出される。該濾液は、導管20を経由して、濾過22(後記で詳細に説明する)の第2工程のような更なる下流処理のために運ばれ、ついで出口導管24へ運ばれる。このようにして操作することにより、タンパク質凝集物は媒体単位16により保持され、一方、タンパク質単量体は媒体16を通過する。
あるいは、該系の一定圧力を生成させるためにポンプを使用することも可能であるが、それは好ましくはない。なぜなら、ポンプ出力を弁により一定圧力またはポンプ速度に注意深く制御する必要があり、圧力が一定に保たれることが保証されるようにフィードバック系を要するからである。
本発明のもう1つの実施形態を図2に示す。この場合、一定流動形態の操作が行われる。この系においては、一定流動を維持するために、貯蔵容器28(図1における実施形態の加圧貯蔵容器14と比較して、これは典型的には非加圧である)と第1濾過工程30との間に位置するポンプ26が使用される。タンパク質溶液31は導管32を経由してポンプ入口34へ送出され、ついで導管36を経由して第1濾過工程30へ送出される。タンパク質溶液31は法線流動形態の濾過に付され、凝集物は第1工程30のフィルターにより保持され、ここで、凝集物非含有溶液は濾液として第1工程30から排出される。該濾液は、導管38を経由して、濾過40(後記で詳細に説明する)の第2工程のような更なる下流処理のために運ばれ、ついで出口導管42へ運ばれる。
所望により、第1濾過工程30の出口(示されていない)に再循環ループ(示されていない)を加え、濾液を濾過工程30を経由して1回以上の追加回数にわたって再循環させて、濾液中の凝集物レベルを更に減少させることが可能である。弁(示されていない)の使用は、再循環ループと下流導管との間の流動を制御するための最も簡便な手段である。しかし、追加的な再循環通過は一般に不要であり、製造にかかる時間およびコストを不必要に増加させる。1回の再循環通過で典型的には十分であることが判明している。
第2濾過工程(22または40)においては、凝集物の除去の後でウイルス除去濾過を行う。例えば2000年11月3日付け出願の米国特許第6,365,395号(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているような法線流動濾過(NFF)または接線流動濾過(TFF)フィルターにより、凝集物非含有溶液からウイルスを除去する。
まず、タンパク質凝集物を除去するために、本明細書中に教示されている高い電荷密度を有する負荷電被覆細孔媒体プレフィルターによりタンパク質溶液を前濾過する。前濾過は、好ましくは、全量NFF形態を用いて行われる。全量濾過は、濾過されている全流体流が、再循環または濃縮水流動を伴うことなくフィルターを通る濾過を意味する。該フィルターを通過しない物質はどんなものであれ、該フィルターの上部表面上に残るか、または該フィルター内に残る。
本明細書中に教示されているとおりにタンパク質凝集物を除去するために該被覆細孔媒体プレフィルターを使用して、第1工程において、上流でタンパク質溶液を濾過する場合には、第2工程において下流でウイルス粒子保持フィルターが使用されうる。1つの実施形態においては、該タンパク質凝集物除去フィルターは使用後に廃棄されうる。
ウイルス粒子を選択的に保持させるために、例えばAntoniouの米国特許第6,365,395号(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているような第2濾過工程を用いる場合、TFFまたは全量NFFにより1以上の限外濾過膜を使用して濾過を行うことが可能であり、この場合、この2工程濾過法により生成されるタンパク質溶液は凝集物非含有かつウイルス非含有タンパク質である。前記の1以上の限外濾過膜はウイルス粒子を保持する一方で、タンパク質単量体を通過流動させる。
TFFウイルス濾過工程の後、所望により、該限外濾過膜に水または水性バッファー溶液を流通させて、該膜に保持されたタンパク質を回収することが可能である。
タンパク質三量体およびそれより多量体であるタンパク質重合体を含むタンパク質溶液を、まず、本明細書中に教示されている高い電荷密度を有する負荷電細孔被覆膜で前濾過する場合、タンパク質凝集物は選択的に保持される一方、タンパク質単量体は通過流動する。この前濾過工程は、負荷電被覆細孔膜の1以上の層を有するプレフィルターを使用して行われ、この場合、該タンパク質溶液からの実質的に完全なタンパク質凝集物除去が行われる一方で、約85%を超えるタンパク質単量体、好ましくは約90%を超えるタンパク質単量体、より好ましくは98%を超えるタンパク質単量体が回収される。
生体分子溶液から閉塞性成分を除去するための、該前濾過工程において使用される負荷電被覆細孔膜の使用は、現在使用されている通常のタンパク質およびウイルス粒子分離法と比較した場合の重要な利点をもたらす。(閉塞性成分を除去する)第1工程の濾過装置はNFF形態で運転されるため、それは使い捨て可能であり、妥当性評価などの手続きを受ける必要のある清掃プロセスは存在しない。また、法線流動形態の運転は、購入および運転において、より安価である。なぜなら、そのような系を準備するためには、TFF限外濾過型の系と比較して少ない資本の消費で済むからである。さらに、ウイルス粒子を除去する第2濾過工程において使用される膜はタンパク質凝集物で閉塞しないため、その有用な寿命は延長される。
本明細書中に教示されている本発明によりもたらされるもう1つの利点には、第1前濾過工程において使用される被覆細孔膜が限外濾過膜である必要がないことが含まれる。
総合すると、NFF凝集物除去工程で得られる処理量(スループット)および流量における改善が認められうる。Vmaxは、NFF凝集物除去工程を行わないで得られるVmaxより少なくとも900%大きかった。
本発明は、下流ウイルス濾過または他の処理工程を行う前のタンパク質流および/または溶液からのタンパク質凝集物の上流除去のための簡便な手段を提供する。この前濾過工程は、下流ウイルス保持フィルターに生じる閉塞などを軽減して、処理量を劇的に増加させる。また、これは、購入および運転に高い経費を要し使用と使用との間に清掃を要するTFFを必要とすることなく行われる。本発明は、凝集物フィルターを廃棄することを可能にして、使用と使用との間の該膜の清掃および保存のコスト、ならびにFDAのような規制機関に対する、その実施における手順の妥当性評価のコストおよび時間を不要にすることを可能にする。
タンパク質凝集物を実質的に含有しないタンパク質溶液からウイルス粒子を除去する場合、タンパク質凝集物除去工程からの濾液は第2濾過工程に送られる。第2濾過工程は、TFF形態またはNFF形態のいずれかで行われうる1以上のウイルス保持濾過(典型的には限外濾過)膜を使用する。
いずれの形態においても、該濾過は、一般には20〜100ナノメートル(nm)の直径を有するウイルス粒子を該膜表面上に保持する一方でタンパク質単量体および一部のタンパク質二量体を該膜を介して通過させる条件下で行われる。
第2工程のウイルス粒子除去工程において使用される代表的な適切な限外濾過ウイルス保持膜には、再生セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)などから形成されるものが含まれ、また、Millipore Corporation of Billerica,MA,USAから入手可能なVIRESOLVE(登録商標)NFP、VIRESOLVE(登録商標)ProおよびRETROPORE(登録商標)膜が含まれる。これらは、カートリッジNFF形態、例えばVIRESOLVE(登録商標)NFPウイルスフィルター、またはTFF用のカセット、例えばPELLICON(登録商標)カセット(同様にMillipore Corporation of Billerica,MA,USAから入手可能)として供給されうる。
本発明の方法において使用されるウイルスフィルターは、ウイルス粒子および他の粒子に関するlog保持値(LRV;篩い係数の負の対数)により特徴づけられ、これは、20〜100nmの直径のウイルス粒子の関心サイズ範囲においては、該粒子の直径と共に単調増加する。実験的には、LRVは粒子投影面積(粒子径の平方)の大きさと共に連続的に増加する。
小型ウイルス粒子がタンパク質溶液から除去されると、少なくとも約3の満足しうるLRVが得られる。しかし、分子量カットオフは減少し、それによりタンパク質回収が減少する。したがって、満足しうるLRVおよびタンパク質回収をもたらす膜が好ましい。本発明の方法において使用される膜はウイルス粒子に関する3のLRVを与えることが可能であり、ウイルス粒子サイズが直径10〜100nmである場合には、それは約8以上にも達しうる。
ついで、タンパク質凝集物を含有しないタンパク質流は1以上の限外濾過膜で濾過されて、少なくとも3 LRVの保持レベルでウイルス粒子を保持し、ウイルス粒子を含有せずタンパク質凝集物を含有しないタンパク質溶液の通過流動を可能にしうる。
本発明は更に、本明細書中に教示されている1以上の負荷電細孔被覆基体を含む装置、例えばフィルター装置、クロマトグラフィー装置、巨大分子移動装置、流動分配配置および/または膜モジュールを提供する。該装置はいずれかの適切な形態であることが可能であり、例えば、該装置は、実質的に平面またはヒダ付き形態の本明細書中に教示されている負荷電細孔被覆基体を含むフィルター要素を含みうる。もう1つの実施形態においては、該フィルター要素は中空の一般には円柱状の形態を有しうる。
所望により、該要素は、上流および/または下流支持または排水層と組合された、本明細書中に教示されているプレフィルター細孔被覆膜を含みうる。該装置は、例えば多層フィルター要素を与える複数の膜を含むことが可能であり、あるいは膜モジュール、例えば膜クロマトグラフィーにおける使用のための膜モジュール積層を与えるように積層された複数の膜を含むことが可能である。流動密閉をもたらすためのハウジングおよびエンドキャップを含めることにより、ならびに少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を含めることにより、フィルターカートリッジが構築されうる。該装置は、直交流または接線流動(TFF)形態または全量形態(NFF)で作動するように構築されうる。したがって、処理されるべきタンパク質含有溶液または流は、例えば膜表面に対して接線方向に通過することが可能であり、あるいは膜表面に対して垂直方向に通過することが可能である。
もう1つの実施形態においては、タンパク質含有溶液が平行または連続的流動で1以上のプレフィルター要素と接触するように、本明細書中に教示されている細孔被覆膜は個別に又は集合体として使用されうる。例えば、本明細書中に教示されている被覆細孔膜は、集合体として、例えば、同一ハウジング内に密閉された積層された複数の層(一般には3〜8個)として使用されうる。例えば、Boeddinghausらの米国特許第2,788,901号およびOstreicherの米国特許第5,085,784号を参照されたい。
図1に示す本発明の1つの実施形態は第1処理工程10を示し、この場合、一定圧力形態の濾過が用いられる。タンパク質溶液12は加圧貯蔵容器により保持され、タンク内の圧力により導管18を経由して濾過媒体単位16へと送出される。タンパク質溶液12は法線流動形態の濾過に付され、タンパク質凝集物は、濾過媒体単位16内に含有される本明細書中に教示されている負荷電細孔被覆媒体プレフィルターにより保持され、タンパク質凝集物非含有溶液は濾液として第1工程10から排出される。ついで該濾液は、導管20を経由して、第2濾過処理工程22(前記で説明されている)のような更なる下流処理のために運ばれ、ここで、濾液は出口導管24を経由して処理工程22へ運ばれる。このようにして操作することにより、タンパク質凝集物は、本明細書中に教示されている負荷電細孔被覆媒体プレフィルターを有する媒体単位16により保持される一方で、タンパク質単量体などは媒体16を通過して、タンパク質凝集体非含有溶液が得られる。
あるいは、該系の一定圧力を生成させるためにポンプを使用することも可能であるが、それは好ましくはない。なぜなら、ポンプ出力を弁により一定圧力またはポンプ速度に注意深く制御する必要があり、圧力が一定に保たれることが保証されるようにフィードバック系を要するからである。
本発明のもう1つの実施形態が図2に示されており、これは第1処理工程30を示す。この場合、一定流動形態の操作が行われる。この系においては、一定流動を維持するために、貯蔵容器28(図1に示す実施形態の加圧貯蔵容器14と比較して、これは典型的には非加圧貯蔵容器である)と濾過媒体単位35との間にポンプ26が位置する。タンパク質溶液31は導管32を経由してポンプ入口34へ送出され、導管36を経由して濾過媒体単位35へ送出される。この場合もまた、第1工程30において使用されるプレフィルターは、本明細書中に教示されており図1においても使用されている負荷電細孔被覆媒体である。タンパク質溶液31は法線流動形態の濾過に付され、この場合、タンパク質凝集物は濾過媒体単位35におけるプレフィルターにより保持され、タンパク質凝集物非含有溶液は濾液として排出され、導管38を経由して第2濾過処理工程40(前記で説明されている)のような更なる下流処理のために運ばれ、ついで出口導管42へ運ばれる。このようにして操作することにより、タンパク質凝集物は、本明細書中に教示されている負荷電細孔被覆媒体プレフィルターを有する媒体単位35により保持される一方で、タンパク質単量体などは媒体35を通過して、タンパク質凝集体非含有溶液が得られる。
所望により、第1濾過工程(10、30)の出口(示されていない)に再循環ループ(示されていない)を配置することが可能であり、濾液を第1濾過工程を経由して1回以上の追加回数にわたって再循環させて、濾液中のタンパク質凝集物レベルを更に減少させることが可能である。弁(示されていない)の使用は、再循環ループと下流導管との間の流動を制御するための最も簡便な手段である。1回の再循環通過で十分であることが判明している。追加的な再循環通過は一般に不要であり、製造にかかる時間およびコストを不必要に増加させる。
以下の実施例は本発明を例示するものであり、本発明の典型例であると意図され、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
本発明の膜プレフィルターは、主として、その負荷電表面上での正荷電タンパク質凝集物のイオン結合により機能すると仮定される。該プレフィルターのメカニズムがどのように機能すると考えられるのかというこの理解に基づいて、操作条件、妥当性評価方法の選択および潜在的な問題の解決の検討が適切に判断されうる。
プレフィルターの機能のメカニズムは、ある範囲の溶液条件におけるプレフィルターの性能を分析することにより調べられうる。例えば、チャレンジ溶液の伝導度およびpHを変動させ、該プレフィルター/フィルターの組合せの処理量を測定した。熱ショック化SeraCare IgG(約6〜9の等電点または「pI」)(SeraCare Life Sciences,Inc.,Milford,MA,USA)を該チャレンジ溶液において30psig操作圧力で使用した。図3に示されているとおり、該プレフィルターは、凝集物のpIより低いpH範囲および約2〜16mS/cmの伝導度範囲において最も有効である。pHが該pIに近づくにつれて該凝集物上の実効正電荷は減少し、該伝導度が増加するにつれて全体的な電荷相互作用は弱くなる。高いpHおよび高い伝導度における該プレフィルターの相対的に低い性能は、イオン相互作用が、主として、該抗体流からの凝集物除去をもたらしていることを証明しているようである。
処理量試験中に膜プレフィルターに結合したタンパク質性物質を取り出し(溶出させ)、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分析した。以下の2つの溶出条件を研究した:1M NaCl溶液での溶出(図4に示されている)、および脱イオン水(図5に示されている)での溶出。該SDS−PAGEデータからは、図5における脱イオン水においてはタンパク質溶出は観察されなかったが、図4における1M塩溶出物においては強力な抗体および凝集物バンドが存在した。図6に示されているとおり、溶出したタンパク質の分子量をSECで定量した。該水溶出サンプルにおいてはタンパク質は検出されなかったが、該塩溶出物においては有意量の高分子量(HMW)種が見出された(図6に示されている)。該供給溶液においてはHMW種の量は検出限界未満であるが、該プレフィルター膜からは有意量(23%)が溶出し、このことは該凝集物の優先的結合を示している(同様に図6に示されている)。これは、該膜表面への凝集物のイオン結合がプレフィルター機能の主要メカニズムであるという仮定を更に裏付けるものである。
本発明の方法の第1実施形態を例示する流れ図である。 本発明の方法のもう1つの実施形態を例示する流れ図である。 ある範囲の種々の伝導度およびpH溶液条件にわたって30psigの操作圧力で熱ショック化SeraCare IgG(約6〜9の等電点)のチャレンジ溶液を使用するもう1つの実施形態によるプレフィルター/フィルターの組合せの処理量性能測定結果をグラフ表示する。 処理量試験中の、もう1つの実施形態による、膜プレフィルターに結合し1M NaCl溶液で溶出したタンパク質性物質のSDS−PAGE分析を示す。 処理量試験中の、もう1つの実施形態による、膜プレフィルターに結合し脱イオン水で溶出したタンパク質性物質のSDS−PAGE分析を示す。 SECで定量された溶出タンパク質の分子量をグラフ表示する。ここで、水溶出サンプルにおいてはタンパク質は検出されず、塩溶出物質中には有意量の高分子量(HMW)種が見出され、ここで、供給溶液においてはHMW種の量は検出限界未満であり、一方、もう1つの実施形態のプレフィルター膜からは23%のHMW種が溶出し、これは該凝集物の優先的結合を示している。 ウイルス除去の脱共役前濾過形態の概要を示す。 ウイルス除去の添加経由(spike−across)(共役)前濾過形態の概要を示す。
(実施例)
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のナトリウム塩(AMPS−Na)4.5wt%およびN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.9%を含有する水溶液を調製した。0.22μmとみなされる細孔径を有する親水性ポリエーテルスルホン膜(Millipore Express(登録商標)SHFとして商業的に入手可能)を14cm四方の正方形断片に切断し、この溶液中に30秒間浸して、完全な湿潤を確保した。過剰の溶液を挟み取り、不活性雰囲気下、該膜を2Mラドの電子線放射に暴露させた。ついで該膜を脱イオン水で洗浄し、風乾させた。この膜の3層を膜濾過面積3.1cmでベント式ポリプロピレン装置内に密閉した。該ホルダーを、Viresolve(登録商標)Proパルボウイルス除去膜の2層を含有する同様の装置に直列接続した。この装置の組合せを、まず、酢酸バッファー溶液の透過性に関して試験し、ついで、前記のとおりに調製されたポリクローナル抗体の凝集物含有溶液での処理量に関して試験した。表1は、このフィルターの組合せの合計処理量を示す。
実施例1に記載されている手順に従ったが、AMPS−Naの代わりに2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)4.0wt%を使用した。
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のナトリウム塩(AMPS−Na)4.5wt%およびN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.9%を含有する水溶液を調製した。0.22μmとみなされる細孔径を有する疎水性ポリエーテルスルホン膜(Millipore Express(登録商標)SHFの未親水性化前駆体)を14cm四方の正方形断片に切断し、イソプロパノール中に1分間浸し、脱イオン水中に5分間移し、ついで該単量体溶液中に3分間浸した。過剰の溶液を挟み取り、不活性雰囲気下、該膜を2Mラドの電子線放射に暴露させた。ついで該膜を脱イオン水で洗浄し、風乾させた。実施例1に記載されている試験手順に従った。
実施例1に記載されている手順に従った。この場合は、Polypore Inc.unit Membrana GMBH,Wuppertal,Germanyから商品名Micropesで商業的に入手可能な、0.8μmとみなされる細孔径を有する親水性ポリエーテルスルホン膜を使用した。
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のナトリウム塩(AMPS−Na)4.5wt%、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.9%およびUV開始剤1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(Ciba Specialty Chemicals,Basel,Switzerlandから商品名Irgacure(登録商標)2959として入手可能)を含有する水溶液を調製した。0.65μmとみなされる細孔径を有する疎水性ポリビニリデンジフルオリド膜を14cm四方の正方形断片に切断し、イソプロパノール中に1分間浸し、脱イオン水中に5分間移し、ついで該単量体溶液中に3分間浸した。過剰の溶液を挟み取り、不活性雰囲気下、該膜を紫外線放射に暴露させた。ついで該膜を脱イオン水で洗浄し、風乾させた。実施例1に記載されている試験手順に従った。
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のナトリウム塩(AMPS−Na)4.5wt%、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.9%およびUV開始剤1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(Ciba Specialty Chemicals,Basel,Switzerlandから商品名Irgacure(登録商標)2959として入手可能)を含有する水溶液を調製した。0.65μmとみなされる細孔径を有する親水性超高分子量ポリエチレン膜を14cm四方の正方形断片に切断し、この溶液中に30秒間浸して、完全な湿潤を確保した。過剰の溶液を挟み取り、不活性雰囲気下、該膜を紫外線放射に暴露させた。ついで該膜を脱イオン水で洗浄し、風乾させた。実施例1に記載されている試験手順に従った。
実施例1に記載されているとおりに修飾膜を調製した。この膜の1、2、3および6層を含有する成形ポリプロピレン装置を製造し、実施例1に記載されているとおりに試験した。
実施例1における手順に従った。この場合は、AMPS−Naの濃度を2〜6%で変化させた。
実施例1において調製した膜をそれぞれ30kGyのガンマ照射に2回暴露させた(60kGyの合計線量)。実施例1に記載されているとおり、暴露の前および後に凝集物除去効率を試験した。
実施例1において調製した膜に水酸化ナトリウムの0.5N 溶液を25psiの一定圧力で1時間流し(flush)、ついで脱イオン水を30psiで60分間流し、実施例1に記載されているとおりに凝集物除去効率に関して試験した。
(比較例1)
実施例1に記載されているとおりに処理量試験を行った。ただし、この場合は、前濾過工程を行わなかった。Millipore CorporationのViresolve(登録商標)Proパルボウイルス除去膜の2層をベンチ式ポリプロピレン装置内に密閉した。この装置を、まず、酢酸バッファー溶液の透過性に関して試験し、ついで、前記のとおりに調製されたポリクローナル抗体の凝集物含有溶液での処理量に関して試験した。表1は、このフィルターの組合せの合計処理量を示す。
(比較例2)
タンパク質流からタンパク質凝集物を除去するためにMillipore CorporationのViresolve(登録商標)プレフィルターを使用した。5cmの濾過面積を有する商業的に入手可能な装置をViresolve(登録商標)Pro含有装置に直列接続し、前記のとおりに試験した。
Figure 0006141597
モノクローナル抗体用途のためのウイルス濾過工程の開発における1つの態様は、この濾過工程により達成されるウイルス除去がサイズ排除(SEC)のみにより行われることの実証のための方法の決定である。ウイルス実証法および推奨は、プレフィルターへのウイルス結合の理解によりもたらされる。
Viresolve(登録商標)プレフィルター(ケイ藻土を含有するセルロース繊維)は混合形態吸着により哺乳類ウイルスを除去することが示されている。ウイルス濾過工程の妥当性評価(実証)においてサイズ排除(SEC)のみによるウイルス除去を証明することは、規制機関により定められた要件であるため、Viresolve(登録商標)プレフィルターは、図7に示されているとおりにウイルスフィルターから分断(脱共役)されなければならない。該供給物質を、まず、Viresolve(登録商標)プレフィルターで濾過し、ついでウイルスを添加し、ついでウイルス濾過を行う。多くの場合、該ウイルスフィルターからのViresolve(登録商標)プレフィルターの分断(脱共役)はウイルス添加の非存在下であっても性能低下を招きうる。図7はウイルス除去の脱共役前濾過形態の概要を示す。一方、図8はウイルス除去の添加経由(spike−across)(共役)前濾過形態の概要を示す。
ウイルス除去用途における本発明による膜に基づく負荷電プレフィルターの潜在的な利点は、性能を最大にして、使い易さを改善するためにウイルス実証中に該プレフィルターを介してウイルスを添加しうることであろう。
該前濾過工程にわたって最小のウイルス除去が観察されれば、このプレフィルター越しに添加して、潜在的な脱共役の影響を排除し、該ウイルス添加からの汚染物の追加的な精製をもたらすことが可能かもしれない。
この負荷電プレフィルターへのバクテリオファージおよび哺乳類ウイルスの結合の評価を行った。これは2段階で完了した。第1段階は、該哺乳類ウイルスのモデルとしてバクテリオファージを評価することであった。該プレフィルター越しの除去の主要メカニズムは、電荷に基づく結合であるため、関連哺乳類ウイルスに類似した等電点を有するバクテリオファージを選択した。
Figure 0006141597
共役装置から集めた供給サンプルは、該プレフィルターを越えた場合に、最小(<0.2 log)のバクテリオファージ(Phi−X 174およびPP7)の保持および約0.6〜1 logのMMVを示した。平均して約2 logのXMuLVが保持された。これは、十中八九、このウイルスと該試験におけるその他のウイルスとの間のサイズの相違によるものであろう。これらの結果は、該共役形態における該プレフィルター越しの添加を含むウイルス実証法が可能でありうることを示唆している。
本明細書中に教示されている負荷電細孔被覆媒体の有利な特性には、濾過特性の低下を伴わない、清掃または衛生化操作における高アルカリ性溶液との接触に耐える化学的耐性、ならびに他の望ましい表面、化学的および力学的特性が含まれる。
タンパク質凝集物のような閉塞性成分を生物学的溶液から除去するためにNFF形態で操作される本明細書中に教示されている負荷電被覆細孔媒体を使用する前濾過法は、現在使用されている分離法と比較して幾つかの利点をもたらす。なぜなら、該被覆細孔媒体は使い捨て可能であり、したがって、妥当性評価(実証)手続きを受ける必要のある清掃処理を要さないからである。また、NFF形態の操作は、TFF限外濾過型の系と比較して安価に操作される。
また、タンパク質溶液からのウイルス粒子の除去の上流で使用される本明細書中に教示されている負荷電被覆細孔媒体は、閉塞性成分を保持することにより、下流で使用されるウイルス粒子保持限外濾過媒体の閉塞を防ぎ、それにより、該限外濾過ウイルス粒子保持媒体の有用な寿命を延長させる。
本発明の負荷電被覆細孔媒体の特性は、タンパク質、アミノ酸、核酸およびウイルス粒子のような生体分子の前濾過、検出、分離および/または精製における使用に関して、それを魅力的なものにする。核酸の具体例には、修飾された又は修飾されていない、合成または天然のRNAおよびDNAが含まれる。
本明細書中に教示されている負荷電被覆細孔媒体は、タンパク質、正荷電原子、分子、生体分子および粒子を含有する流体の前濾過および濾過、電気泳動ゲルからの巨大分子の転移、例えば、電気泳動ゲルから固定化マトリックスへの核酸およびタンパク質の転移のような種々の用途においても有用である。
本明細書中に教示されている負荷電被覆細孔媒体は、生物学的流体中に存在する種々の成分の分離または精製においても有用である。したがって、例えば、該被覆細孔媒体は、血清からのヒトアルブミンの精製において、および血液の治療用分画において、および遺伝的に操作された細胞培養または発酵ブロスにおける成分の分離において使用されうる。該被覆細孔媒体は、例えば、ウイルスワクチンおよび遺伝子治療用ベクター、例えばアデノ随伴ウイルス粒子の精製においても使用されうる。
本発明は、上流のタンパク質流から、またはウイルス濾過もしくは他の下流処理工程の前に、タンパク質凝集物を除去するための簡便な前濾過手段を提供する。本明細書中に教示されている前濾過手段は、ウイルス保持フィルターなどに生じる閉塞を軽減し、それにより、本明細書中に教示されている被覆細孔膜を含まない通常の濾過方法と比較して処理量および流量を増加させる。
特許、特許出願および刊行物を含む、本明細書中で引用されている全ての参考文献の全体を、参照により本明細書に組み入れることとする。
前記の開示は、独立した有用性を有する複数の別個の発明を含みうる。これらの発明のそれぞれはその好ましい形態において開示されているが、本明細書中で開示され例示されているその具体的な実施形態は、多数の変更が可能であるため、限定的な意味で解釈されるべきではない。本発明の主題は、本明細書中に開示されている種々の要素、特徴、機能および/または特性の全ての新規および非自明な組合せ及び部分的組合せを含む。
以下の特許請求の範囲は、新規かつ非自明とみなされる或る組合せ及び部分的組合せを特に示すものである。特徴、機能、要素および/または特性の他の組合せ及び部分的組合せに含まれる発明は、本出願または関連出願に基づく優先権主張出願において特許請求されうる。そのようなクレーム(特許請求の範囲)も、異なる発明に関するものであっても同じ発明に関するものであっても、また、元のクレームと比べて範囲において広い、狭い、等しい又は異なるかどうかにかかわらず、本開示の本発明の主題に含まれるとみなされる。

Claims (6)

  1. タンパク質凝集物およびウイルス粒子を含有するタンパク質溶液からタンパク質凝集物およびウイルス粒子を選択的に除去するための方法であって、
    a)タンパク質凝集物およびウイルス粒子を含有するタンパク質溶液を負荷電細孔媒体で濾過し(ここで、該媒体は、負荷電架橋重合被覆で被覆された細孔基体を含み、該被覆は、1以上の負荷電付随基を有する重合可能アクリルアミドアルキル単量体とアクリルアミド架橋剤とを含む反応物溶液から形成され、電子線に対する暴露に際して化学重合フリーラジカル開始剤の非存在下に該細孔基体の表面上でインシトゥ(in situ)で重合される)、
    b)タンパク質凝集物を実質的に含有しないタンパク質溶液を回収し、
    c)該回収タンパク質溶液を1以上の限外濾過膜で濾過し、
    d)少なくとも3 LRVのレベルで前記の1以上の限外濾過膜においてウイルス粒子を保持させ、
    e)ウイルス粒子を実質的に含有しないタンパク質溶液を回収する工程を含み、
    該重合可能アクリルアミドアルキル単量体が、反応物溶液の重量に対して1〜20wt%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩を含み、
    該重合架橋被覆がアミド−アミド架橋結合のみを含み、
    該負荷電付随基がスルホン酸を含む
    ことを特徴とする、方法。
  2. 前記の1以上の限外濾過膜上に保持されたタンパク質をフラッシュ(flush)する工程を更に含む、請求項に記載の方法。
  3. 工程(a)の濾過が法線(normal)流動濾過形態を含む、請求項に記載の方法。
  4. 該重合可能アクリルアミドアルキル単量体が2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩を含み、該アクリルアミド架橋剤がN,N’−メチレンビスアクリルアミドを含む、請求項のいずれか一項に記載の方法。
  5. 該重合架橋被覆が、反応物溶液の重量に対して1〜20wt%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩と、該2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩の重量に対して1〜20wt%のN,N’−メチレンビスアクリルアミドとを含む、請求項に記載の方法。
  6. 工程(c)の濾過が法線流動濾過形態または接線流動濾過形態のいずれかを含む、請求項に記載の方法。
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