以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動モータ1の、中心軸線を含む断面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である(以下、この断面をII−II断面ともいう)。
本実施形態の電動モータ1は、前ケース10Aに後述する電力変換に係る装置が、後ケース10Bにモータがそれぞれ収められて一体化した、いわゆる機電一体型モータである。この電動モータ1は、例えば車両用のインホイールモータや、電動パワーステアリングの駆動装置等に適用し得る。
後ケース10Bには、永久磁石を有するロータ6のロータ軸7がベアリング8を介して回転自在に支持されている。そして、後ケース10Bの内周壁には、ロータ6を囲むように、ステータ5が圧入等により固定されている。ステータ5は複数相のステータコアからなり、各ステータコアにはステータコイルが巻き回されている。これらのステータコイルに通電することにより、ロータ6が回転する。
ロータ軸7の前ケース10A側の端部には、磁束発生部材としての永久磁石9が配置されている。この永久磁石9はロータ6に配置した永久磁石とは目的も構成も異なり、発生する磁束はロータ6に配置した永久磁石の磁束に比べて十分に弱い。また、永久磁石9は、S極とN極とがロータ軸7の周方向に並ぶように配置される。これにより、永久磁石9の磁束線は、図2の磁束線30のようになる。なお、磁束線30、31は磁束の向きを示すために代表的なものを示したに過ぎず、一般的な磁石と同様に、この他にも同様の向きで多数の磁束線が発生している。
前ケース10Aには、外部に設けられたバッテリからの直流電流を交流電流に変換するインバータ4と、インバータ4と各ステータコイルとを接続するモータコイル2と、モータコイル2に流れる電流を検知するための電流センサ3とが、それぞれステータコアの数だけ備えられる。なお、ステータコイルの巻き方は集中巻、分巻きのいずれであってもよい。
また、前ケース10Aには、モータ制御を実行するコントローラ20も収められている。コントローラ20は、例えば電動モータ1を車両用のインホイールモータとして使用する場合には、統合コントローラからの出力指令等に応じて電動モータ1の出力制御を実行する。
モータコイル2はロータ軸7と平行に配設される。
電流センサ3は、モータコイル2に通電した場合に発生する磁束(以下、モータコイル2の磁束ともいう)を検知する磁束検知素子(例えばホール素子等)を内蔵し、検知した磁束量に応じた電流値を出力するものである。電流センサ3は、検出できる磁束の向きが決まっているので、この検出可能な向きがモータコイル2の磁束の向きと一致するように配置する。図2では、モータコイル2に紙面裏側から表側に向けて電流が流れて、磁束線2Aのように反時計回りの磁束が生じる。そこで、電流センサ3で検出可能な磁束の向き(図2の矢印3A)を、モータコイル2の磁束の向きに合わせる。
また、本実施形態では、電流センサ3を、永久磁石9で発生する磁束(以下、永久磁石9の磁束ともいう)も検出し得るよう配置する。このため、電流センサ3で検出可能な磁束の向きを、永久磁石9の磁束の向きとも合わせる。その結果、例えば、図2に示すような配置となる。
なお、電動モータ1は相の数に応じた複数のモータコイル2及び電流センサ3を備えるが、本実施形態で後述するロータ回転角度の特定に用いるモータコイル2及び電流センサ3は一組なので、図2にはモータコイル2及び電流センサ3を一組だけ示している。
上記のような構成にすることで、電流センサ3は、モータコイル2の磁束を検出することができ、かつ、ロータ軸7の回転に伴って永久磁石9が電流センサ3に近づいたときには、永久磁石9の磁束も検出することができる。
次に、電動モータ1のロータ回転角度の特定方法について説明する。
図3は、相電流がゼロ[A]、つまりモータコイル2に電流が流れていない場合に、電流センサ3で検出する永久磁石9の磁束とロータ回転角度との関係を示す図である。縦軸が永久磁石9の磁束量[Wb]、横軸がロータ回転角度[°]である。
なお、図2の状態、つまり永久磁石9が電流センサ3に最も接近した状態のロータ回転角度をゼロ[°]とする。このときの磁束量をφ1[Wb]とする。
ロータ軸7が回転すると永久磁石9が電流センサ3から遠ざかる方向へ移動し、電流センサ3を通過する永久磁石9の磁束が変化する。このため、ロータ回転角度がゼロ[°]の状態からロータ軸7を回転させると、磁束量はφ1[Wb]から徐々に小さくなり、36[°]でゼロになる。そのままロータ軸7を回転させ続けると、ロータ回転角度が180[°](−180[°])までは永久磁石9は電流センサ3から遠ざかり、180[°]を超えると再び接近し始める。そして、ロータ回転角度が−36[°]より大きくなると電流センサ3は磁束を検出し始め、ゼロ[°]で再び磁束量φ1[Wb]が検出される。つまり、ロータ軸7が一回転する毎に磁束量φ1[Wb]が検出される。
そこで、図3に示すような特性を予めテーブル化等しておけば、永久磁石9が電流センサ3に最も近づくロータ回転角度を基準として±36[°]の範囲において、電流センサ3で検出した磁束量に基づいてロータ回転角度を特定することができる。
なお、上記説明では相電流がゼロ[A]の場合について説明したが、相電流が流れている場合でも、以下に説明するように、同様の範囲でロータ回転角度を特性できる。
相電流が流れるとモータコイル2の磁束が発生し、電流センサ3はこのモータコイル2の磁束量も検出する。したがって、永久磁石9が上述した範囲内に位置するロータ回転角度であれば、電流センサ3により検出される磁束量は、モータコイル2の磁束量と永久磁石9の磁束量との合計となる。一方、永久磁石9が上述した範囲外となるロータ回転角度であれば、電流センサ3はモータコイル2の磁束量のみを検出する。
すなわち、相電流が流れている場合に、永久磁石9の磁束量を電流センサ3が検出可能なロータ回転角度になると、モータコイル2の磁束量よりも大きな磁束量が電流センサ3により検出される。モータコイル2の磁束量は電流値から算出することができるので、電流センサ3で検出された磁束量がモータコイル2の磁束量よりも大きければ、永久磁石9の位置が上述した範囲となるロータ回転角度であると特定できる。
さらに、永久磁石9が上述した範囲に位置するときにモータコイル2の磁束量に上乗せされる磁束量とロータ回転角度との関係は、図3に示す磁束の特性と同様である。つまり、図3の縦軸を、モータコイル2の磁束量に上乗せされる磁束量として見ればよい。これにより、電流センサ3が検出した磁束量とモータコイル2の磁束量との差に基づいて、ロータ回転角度を特性することができる。
なお、永久磁石9、モータコイル2、及び電流センサ3の位置関係は、図2に示したものに限られず、例えば図4−図7に示すような位置関係であってもよい。図4、図5、及び図7は図2と同様の位置から見た永久磁石9、モータコイル2、及び電流センサ3の位置関係を示す図で有る。図6は、図7に示した構成の電動モータ1についての、中心軸線を含む断面図である。
図4の構成は、図2の構成における電流センサ3の位置とモータコイル2の位置を入れ替えたものである。このような構成でも、電流センサ3は永久磁石9及びモータコイル2の磁束量を検出することができる。
図5の構成は、永久磁石9が、N極が外周側でS極が内周側となる向きでロータ軸7に配置されている。このため、永久磁石9の磁束の向きはロータ軸7の径方向外側を向く(図5の破線9B)。そして、電流センサ3は、モータコイル2の磁束量と永久磁石9の磁束量との両方を検出するために、検知可能な磁束の向きがロータ軸7の径方向となる向きで、モータコイル2とロータ軸7の周方向に並ぶように配置されている。
上述した図1、2、4、5の構成は、いずれも同一平面(II−II断面)上に永久磁石9、モータコイル2、及び電流センサ3が存在したが、これらは必ずしも同一平面上にある必要はない。図6の構成では、電流センサ3とモータコイル2とを含むVII−VII断面上に永久磁石9がない。このような構成であっても、図7に示すように、永久磁石9はN極とS極とがロータ軸7の周方向に並ぶ向きで配置され、磁束を検知可能な方向がロータ軸7の周方向となるように電流センサ3が配置されていれば、電流センサ3は永久磁石9とモータコイル2の両方の磁束量を検出することができる。
以上のように本実施形態によれば、機電一体型の電動モータ1において、磁束の向きがロータ6の径方向又はロータ6の周方向となるようにロータ軸7に配置された永久磁石9(磁束発生部材)と、ロータ軸7と平行に配設されたモータコイル2と、モータコイル2に電流が流れることで発生する磁束量に基づいて電流値を検出する電流センサ3と、ロータ軸7の回転角度を特定するコントローラ(ロータ軸回転角度特定手段)20と、を備える。そして、電流センサ3は、モータコイル2の磁束と永久磁石9の磁束とを検出し得るよう配置され、コントローラ20は、モータコイル2の磁束と電流センサ3が検出した磁束との差に基づいてロータ軸7の回転角度を特定する。
これにより、レゾルバを用いることなくロータ回転角度を特定することができる。また、ロータ回転角度の特定のために電動モータ1の運転性能に影響を及ぼすこともない。
例えば、図1、図2で説明した構成においては、電流センサ3で検出された磁束量と相電流が流れた場合に検出されるモータコイル2の磁束量との差が磁束量φ1[Wb]となるたびに、ロータ軸7が一回転したと特定できる。また、上記磁束量の差がφ1[Wb]となる位置を基準として±36[°]の範囲では、上記磁束量の差に基づいてロータ回転角度を特定することができる。
なお、特定可能な範囲は使用する永久磁石の磁束量により定まるものであり、上述した±36[°]というのは、あくまでも一例である。
また、本実施形態では永久磁石9をロータ軸7の外周部に配置したが、電流センサ3で磁束が検知されるのであれば、ロータ軸7の中心部に配置してもよい。中心部に配置しても、ロータ軸7が回転することによって永久磁石9も回転し、電流センサ3で検出される磁束量が変化するので、磁束量に基づいてロータ回転角度を特定することができる。
(第2実施形態)
第1実施形態は、ロータ回転角度が電流センサ3の位置を基準として±36[°]の範囲にある場合のみ、ロータ回転角度を特定できるものであった。これに対し本実施形態は、ロータ軸7が一回転する間の全域にわたってロータ回転角度を特定し得るものである。
本実施形態で用いる電動モータ1は、五相交流モータであり、U相、V相、W相、X相、Y相の各相をそれぞれ2つに分割したものである。そして、同相のスタータコアがロータ軸7を挟んで対向するよう、周方向に均等間隔で配置されている。
図8(A)−図8(C)は、いずれも本実施形態のモータコイル2及び電流センサ3の配置を示す図である。図9は各電流センサ3が検出する永久磁石9の磁束量とロータ回転角度との関係を図3と同様に示す図である。図9中のU1、V1、W1、X1、Y1、U2・・・Y2は、当該磁束量を検知可能な電流センサ3が配置されている相を示している。
図8(A)は図9のロータ回転角度A[°]の状態、図8(B)は図9のロータ回転角度B[°](0[°])の状態、図8(C)は図9のロータ回転角度C[°]の状態を示している。
上記のように、五相交流モータにおいて各相を2分割し、同相のスタータコアがロータ軸7を挟んで対向するよう均等間隔で配置されているので、モータコイル2及び電流センサ3も、図8の各図に示すように周方向に均等間隔で並ぶ。すなわち、10個の電流センサ3が周方向に均等間隔で配置されることとなる。
図8(B)に示すように、永久磁石9がU2相のモータコイル2の磁束量を検出する電流センサ3(以下、U2相の電流センサ3ともいう。他の相についても同様である。)に最も近づいた状態のロータ回転角度をゼロ[°]とする。このとき、図9に示すように、U2相の電流センサ3により磁束量φ1[Wb]が検出される。
なお、各相の電流センサ3で磁束を検出できる範囲は、第1実施形態と同様に永久磁石9が電流センサ3に最も近づいた状態を基準として±36[°]である。
また、図8(A)に示すように、永久磁石9がY1相の電流センサ3に最も近づいた状態、つまりロータ回転角度が−36[°]のときは、Y1相の電流センサ3により磁束量φ1[Wb]が検出される。一方、図8(C)に示すように、永久磁石9がV2相の電流センサ3に最も近づいた状態、つまりロータ回転角度が36[°]のときは、V2相の電流センサ3により磁束量φ1[Wb]が検出される。
つまり、図8(B)の状態からさらにロータ軸7が回転すると、永久磁石9の磁束量φ1[Wb]を検出する電流センサ3は、U2相の電流センサ3、V2相の電流センサ3、X2相の電流センサ3、Y2相の電流センサ3・・・と移行し、ロータ軸7が一回転するとU2相の電流センサ3に戻る。また、図9に示すように、磁束量φ1[Wb]となるロータ回転角度を基準として±36[°]の範囲では、ロータ回転角度に応じた磁束量が検出される。したがって、ロータ回転角度が一回転する間、永久磁石9の磁束量は常にいずれかの電流センサ3により検出されることとなる。
そこで、図9に示すような特性を予めテーブル化等しておき、磁束量を検出している電流センサ3及び検出した磁束量を特定すれば、ロータ回転角度を特定することができる。
例えば、U2相の電流センサ3が磁束量φ1[Wb]を検出しているときは、ロータ回転角度はゼロ[°]と特定できる。また、U2相の電流センサ3とV2相の電流センサ3とがそれぞれ磁束量φ2[Wb]を検出しているときは、ロータ回転角度は18[°]であると特定できる。
以上のように本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、さらに、以下の効果が得られる。
複数のモータコイル2を備え、モータコイル2毎に電流センサ3を配置するので、より広い範囲でロータ回転角度を特定できる。
また、複数の電流センサ3を均等な間隔で環状に配置することで、ロータ回転角度を0−360[°]の全域にわたって特定することができる。
なお、本実施形態も第1実施形態と同様に、相電流が流れている場合でも適用可能である。
(第3実施形態)
本実施形態も、第2実施形態と同様にロータ軸7が一回転する間の全域でロータ回転角度を特定し得るものである。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
図10(A)−図10(C)はそれぞれ図8(A)−図8(C)に対応する図であり、図11は図9に対応する図である。また、図10(A)は図11のロータ回転角度A[°]の状態、図10(B)は図11のロータ回転角度B[°]の状態、図10(C)は図11のロータ回転角度C[°]の状態を示している。
本実施形態の電動モータ1は、三相交流モータであり、各相を2分割している。したがって、図10(A)−図10(C)に示すように、6組のモータコイル2及び電流センサ3が、周方向に均等間隔で配置される。
また、ロータ軸7の端部には、第1、2実施形態と同様の永久磁石9が3つ、周方向に近接して並べて配置されている。上述したように、永久磁石9の磁束は、電流センサ3に最も近づいた状態を基準としてロータ回転角度が±36[°]の範囲にあれば、電流センサ3に検出される。そこで、本実施形態では、電流センサ3がロータ回転方向先頭の永久磁石9の磁束量を検出してから、ロータ回転方向後端の永久磁石9の磁束量が検出されなくなるまでのロータ回転角度範囲が±60[°]となるような間隔で3つの永久磁石9を配置する。
図10(A)の状態、つまり3つの永久磁石9のうち中央の永久磁石9(以下、中央の永久磁石9ともいう)がV1相の電流センサ3に最も近づいた状態では、図11に示すようにV1相の電流センサ3で磁束量が検出される。そして、V1相の電流センサ3で磁束量が検出されるロータ回転角度範囲は、図10(A)の状態を基準として±60[°]である。
図10(B)、図10(C)の状態についても同様に、中央の永久磁石9が最も近づいた状態を基準とした±60[°]の範囲で、電流センサ3により磁束量が検出される。
各相を2分割した三相交流モータの場合、ステータコアは6個なのでモータコイル2も6本となり、配置される電流センサ3も6個となる。このため、第1、第2実施形態のように永久磁石9を一つだけ使用し、各電流センサ3の磁束検出可能範囲が電流センサ3の位置を基準として±36[°]の構成では、隣り合う電流センサ3の間に磁束量を検出できない領域が生じる。つまり、ロータ回転角度の特定が不可能な範囲が生じてしまう。
これに対して本実施形態では、永久磁石9の数を増やすことでロータ軸7側の磁束分布を幅広く持たせ、各電流センサ3の磁束検出可能範囲を±60[°]としたので、6個の電流センサ3を周方向に均等間隔で配置すれば、全域にわたってロータ回転角度を特定することができる。
以上のように本実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果に加え、さらに、以下の効果が得られる。
ロータ軸7の外周の、周方向に延びる一部の領域に、3つの永久磁石9が周方向に近接して並ぶよう配置されているので、永久磁石9が一つだけの場合に比べて広い範囲のロータ回転角度を特定することができる。
なお、本実施形態も第1実施形態と同様に、相電流が流れている場合でも適用可能である。
(第4実施形態)
本実施形態は、第2実施形態と同様にロータ軸7が一回転する間の全域でロータ回転角度を特定し得るものであり、さらに、ロータ回転角度を検知する分解能を高めたものである。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
図12(A)−図12(C)はそれぞれ図8(A)−図8(C)に対応する図であり、図13は図9に対応する図である。また、図12(A)は図13のロータ回転角度A[°]の状態、図12(B)は図13のロータ回転角度B[°]の状態、図12(C)は図13のロータ回転角度C[°]の状態を示している。
本実施形態の電動モータ1は、各相を三分割した三相交流モータであり、図12(A)−図12(C)に示すように、9組のモータコイル2及び電流センサ3が、周方向に均等間隔で配置される。
また、ロータ軸7の端部には、2つの永久磁石9A、9Bが周方向に偏在して配置されている。ここでいう「偏在」とは、一方の永久磁石9がいずれかの電流センサ3に最も近づくロータ回転角度のときに、他方の永久磁石9がいずれか2つの電流センサ3の中間の角度に位置する関係をいう。例えば、図12(A)のように、一方の永久磁石9AがV2相の電流センサ3に最も近づいたときに、他方の永久磁石9BがU1相の電流センサ3とV1相の電流センサ3の中間となる角度に位置する。
永久磁石9A、9Bの磁束は、電流センサ3に最も近づいた状態のロータ回転角度を基準として±30[°]の範囲で電流センサ3に検出されるものとする。
上記のように2つの永久磁石9A、9Bを偏在させると、図12(A)のように永久磁石9AがV2相の電流センサ3に最も近づいたときに、永久磁石9BはU1相の電流センサ3とV1相の電流センサ3との中間に位置する。このため、図13に示すようにV2相の電流センサ3により永久磁石9Aの磁束量が検出される。
そこからロータ軸7が20[°]回転すると、図12(B)に示すように、永久磁石9BがV1相の電流センサ3に最も近づき、永久磁石9AはV2相の電流センサ3とW2相の電流センサ3との中間に位置する状態となる。このとき、図13に示すようにV1相の電流センサ3により永久磁石9Bの磁束量が検出される。
さらにロータ軸7を20[°]回転させると、図12(C)に示すように、永久磁石9AがW2相の電流センサ3に最も近づき、永久磁石9BはV1相の電流センサ3とW1相の電流センサ3との間に位置する状態となる。このとき、図13に示すようにW2相の電流センサ3により永久磁石9Aの磁束量が検出される。
上記のように本実施形態の構成では、ロータ軸7が20[°]回転する毎に永久磁石9A、9Bが交互に電流センサ3に最も近づく。つまり、永久磁石9Aがいずれかの電流センサ3に最も近づいた状態から隣の電流センサ3に最も近づいた状態になるまでの中間で、永久磁石9Bが他の電流センサ3に最も近づいた状態となる。すなわち、永久磁石9が一つだけの場合に比べて、ロータ軸7が一回転する間にいずれかの電流センサ3が磁束量φ1[Wb]を検出する回数が倍になる。このため、ロータ回転角度を検知する分解能が高くなる。
また、本実施形態の構成では、例えばV1相の電流センサ3が磁束量φ1[Wb]を検出した場合に、その磁束が永久磁石9Aの磁束であるか永久磁石9Bの磁束であるかを特定する必要がある。そこで、例えばV1相の電流センサ3が磁束量φ1[Wb]を検出した場合には、他の相の電流センサ3の検出値も読込む。これにより、V2相の電流センサ3とW2相の電流センサ3とが磁束量φ3[Wb]を検出していれば、V1相の電流センサ3で検出した磁束量は永久磁石9Bのものであり、ロータ回転角度はゼロ[°]と特定できる。一方、U3相の電流センサとV3相の電流センサ3とが磁束量φ3[Wb]を検出していれば、V1相の電流センサ3が検出した磁束量は永久磁石9Aのものであり、ロータ回転角度は−140[°]と特定できる。
以上のように本実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果に加え、さらに、複数の永久磁石9が、周方向に偏在して配置されているので、永久磁石9が一つの場合に比べて、ロータ回転角度を特定する分解能を向上させることができる。
なお、本実施形態も第1実施形態と同様に、相電流が流れている場合でも適用可能である。
(第5実施形態)
図14は、本実施形態における永久磁石9、モータコイル2及び電流センサ3の配置について図2等と同様に示したものである。
図14に示すように、磁束量の異なる複数(図中では7個)の永久磁石9A−9Gが、磁束量の大きさの順に円環状に配置されている。以下、永久磁石9A−9Gについて区別する必要がない場合は、単に永久磁石9という。
また、各永久磁石9は、ロータ軸7の直径に沿って外周側がN極、内周側がS極となる向きで配置されている。
モータコイル2は、例えばU相及びV相の2つが設けられ、電流センサ3は、上述した各実施形態と同様に、モータコイル2の磁束と永久磁石9の磁束とを検出可能な向きで配置されている。
図15は、相電流を流さない状態でロータ軸7が回転した場合に、U相の電流センサ3が検出する磁束量とロータ回転角度との関係を示す図である。ロータ回転角度は、図14の状態、つまり最も磁束量が小さい永久磁石9AがU相の電流センサ3に最も近づいた状態をゼロ[°]とする。
永久磁石9Aの磁束量をφ51[Wb]、ロータ軸7の中心を挟んで永久磁石9Aと反対側にある永久磁石9Eの磁束量をφ52[Wb]とすると、ロータ回転角度がゼロ[°]のとき、U相の電流センサ3は永久磁石9Aの磁束量φ51[Wb]を検出する。そして、ロータ回転角度が180[°]近く回転して永久磁石9EがU相の電流センサ3に最も近づくと、U相の電流センサ3は永久磁石9Eの磁束量φ52[Wb]を検出する。その他の永久磁石9についても同様に、永久磁石9の磁束量と、その磁束量が検出されるときのロータ回転角度とを調べると、各永久磁石9の磁束が異なるので、図15に示すように磁束に対するロータ回転角度が一意に定まる。
そこで、検出される磁束とロータ回転角度との関係を予め調べて図15のようなテーブルを作成し、U相の電流センサ3が検出した磁束量で図15のテーブルを検索することで、ロータ回転角度を特定できる。例えば、電動モータ1が作動する前のロータ初期位置を特定することができる。
なお、V相の電流センサ3で検出する磁束量とロータ回転角度との関係について同様の手法でテーブル化し、V相で検出した磁束量を用いてロータ回転角度を特定してもよい。また、本実施形態では二相交流モータに適用する場合について説明したが、本実施形態はいずれか一つの電流センサ3の検出値に基づいてロータ回転角度を特定するものであり、三相交流モータや五相交流モータであっても同様に適用することができる。
また、図14では永久磁石9を磁束の大きさの順に周方向に並べているが、磁束とロータ回転角度との関係が一意に定まるのであれば、他の順に配置しても構わない。
以上のように本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、さらに、以下の効果が得られる。
磁束量が異なる複数の永久磁石9が周方向に並べて配置されているので、電流センサ3で検出される磁束量に応じて、ロータ回転角度が一意に定まる。このため、電流センサ3で検出した磁束量に基づいてロータ回転角度を特定することができる。
なお、本実施形態も第1実施形態と同様に、相電流が流れている場合でも適用可能である。相電流が流れている場合は、電流センサ3が検出する磁束にモータコイル2の磁束が上乗せされるので、図15の縦軸の値は上方向にシフトするが、ロータ回転角度に対して磁束が一意に定まる点は同じである。
(第6実施形態)
本実施形態は、図14に示した二相交流に相電流が流れている場合に、ロータ回転角度を特定するものである。
図16は、U相の電流センサ3で検出する磁束量とV相の電流センサ3で検出する磁束量とを合算した合算磁束と、ロータ回転角度との関係を示す図である。
ロータ回転角度は、第5実施形態と同様に、最も磁束量が小さい永久磁石9AがU相の電流センサ3に最も近づいた図14の状態をゼロ[°]とする。
また、いずれか2つの永久磁石9が同時にU相、V相の電流センサ3に最も近づくことがないように各永久磁石9を配置する。つまり、いずれかの永久磁石9がU相の電流センサ3に最も近づいたときに、他の永久磁石9のいずれも、V相の電流センサ3に最も近づいた状態にはならないよう各永久磁石9を配置する。
ロータ回転角度がゼロ[°]の場合、U相の電流センサ3が検出する磁束量は永久磁石9Aの磁束量φ51とU相のモータコイル2の磁束との合算値となる。一方のV相の電流センサ3が検出する磁束量は、永久磁石9Eの磁束量φ52’とV相のモータコイル2の磁束との合算値となる。なお、ロータ回転角度ゼロ[°]の状態では永久磁石9EはV相の電流センサ3に最も近づいた状態ではないので、この状態でV相の電流センサ3が検出する永久磁石9Eの磁束量φ52’は、永久磁石9EがV相の電流センサ3に最も近づいた場合の磁束量φ52[Wb]に比べると小さい。
ところで、二相交流モータの場合、U相のモータコイル2の磁束とV相のモータコイル2の磁束との総和はゼロ[Wb]となる。したがって、U相の電流センサ3の検出値とV相の電流センサ3の検出値とを合算すると、合算磁束量φt0はU相の電流センサ3が検出した永久磁石9Aの磁束量φ51とV相の電流センサ3が検出した永久磁石9Eの磁束量φ52’との和になる。
上記と同様にロータ回転角度毎に合算磁束量φtを算出すると、2つの永久磁石9が同時にU相及びV相の電流センサ3に最も近づくことがないように配置されているので、図16に示すように、合算磁束量φtに対してロータ回転角度が一意に定まる。そこで、図16に示すようなテーブルを予め作成しておき、算出した合算磁束量φtによりテーブル検索することで、ロータ回転角度を特定することができる。
以上のように本実施形態によれば、第5実施形態と同様の効果に加え、さらに、以下の効果が得られる。
相の異なるモータコイル2に配置された電流センサ3が検出した磁束量の総和に基づいてロータ回転角度を特定するので、相電流が流れている状態でも容易にロータ回転角度を特定することができる。
(第7実施形態)
本実施形態は、第6実施形態とは別の方法により、二相交流に相電流が流れている場合に、ロータ回転角度を特定するものである。
本実施形態の電動モータ1は、各相を2つに分割した二相交流モータとする。
図17は、永久磁石9とモータコイル2と電流センサ3との関係について示した図であり、図14との相違点は、図14のU相の位置がU1相に、同じくV相の位置がU2相になっている点である。なお、モータコイル2及び電流センサ3は、U1相とU2相とについてのみ示し、他の相については省略している。
また、永久磁石9AがU1相の電流センサ3に最も近づいた状態のロータ回転角度をゼロ[°]とし、永久磁石9Aが各電流センサ3に最も近づいた状態の磁束をφ61、永久磁石9Eが各電流センサ3に近づいた状態の磁束をφ62とする。
ロータ回転角度がゼロ[°]のとき、U1相の電流センサ3はU1相のモータコイル2の磁束と、永久磁石9Aの磁束量φ61を検出する。一方、U2相の電流センサ3は、U2相のモータコイル2の磁束と、永久磁石9Eの磁束(磁束量φ62よりやや小さい)を検出する。
ところで、同相のモータコイル2には同じ電流が流れるため、U1相の電流センサ3が検出した磁束とU2相の電流センサ3が検出した磁束の差分(以下、差分磁束ともいう)を算出すると、モータコイル2の磁束は相殺され、永久磁石9Aの磁束と永久磁石9Eの磁束との差分となる。
上記と同様にロータ回転角度毎に差分磁束量φdを算出すると、2つの永久磁石9が同時にU1相及びU2相の電流センサ3に最も近づくことがないように配置されているので、図18に示すように、差分磁束量φdに対してロータ回転角度が一意に定まる。したがって、図18に示すようなテーブルを予め作成しておき、算出した差分磁束量φdによりテーブル検索することで、ロータ回転角度を特定することができる。
なお、上記説明ではU1相及びU2相の電流センサ3の検出値を用いる場合について説明したが、V1相及びV2相の電流センサ3の検出値を用いても同様にロータ回転角度を特定することができる。
以上のように本実施形態によれば、第5実施形態と同様の効果に加え、さらに以下の効果が得られる。
同相のモータコイル2に配置された電流センサ3が検出した磁束量の差分に基づいてロータ回転角度を特定するので、相電流が流れている状態でも容易にロータ回転角度を特定することができる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。