JP6155498B2 - 圧電素子 - Google Patents
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基板と、この基板の一方の面側に積層された圧電体とを備え、
前記圧電体が、Ba、Ca、Ti及びZrを含む粉体を有する圧電ペーストを用いてスクリーン印刷及び焼成することで形成されている圧電素子である。
Ba1−xCaxTiyZrzO3 (1)
(前記式(1)中のxが0.04以上0.10以下であり、yが0.95以上0.98以下であり、zが0.02以上0.05以下である。)
図1及び図2の圧電素子1は、基板2、一対の電極3及び圧電体4を積層したものである。このような積層タイプの圧電素子1は、曲げ振動の検出センサやアクチュエータとして利用できるものである。具体的には、圧電素子1は、医療用センサ、超音波発振源、楽器用センサ、スピーカ等のアクチュエータなどとして好適に使用することができる。
基板2は、可撓性及び絶縁性を有する板状体である。この基板2の平面視形状は、例えば矩形、円形等である。基板2は、下面20が凸となるように湾曲している。基板2の湾曲の程度は、基板2の寸法や達成すべき圧電性等に応じて決定すればよい。基板2の湾曲の程度は、一例において、基板2の端縁の反り上がり寸法として表され、また湾曲前の基板2の長さ寸法に対する反り上がり寸法の比(以下「寸法比」という)として表すこともできる。
一対の電極3は、圧電体4に電圧(電気エネルギ)を印加するため、あるいは圧電体から電気エネルギを取り出すためのものである。一対の電極3は、下部電極5及び上部電極6を含む。下部電極5は、基板2の上面21に積層されている。上部電極6は、圧電体4の上面40に形成されている。
圧電体4は、付与された機械的エネルギを電気エネルギに変換し、付与された電気エネルギを機械的エネルギに変換するものである。この圧電体4は、基板2の上面21側において下部電極5を覆う厚膜に形成されている。
Ba1−xCaxTiyZrzO3 (1)
次に、圧電素子1の製造方法の一例について、図3(A)〜図3(F)を参照しつつ説明する。
当該圧電素子1は、スクリーン印刷による圧電ペーストの塗布及び焼成により基板上に圧電体4が形成される。焼成後の温度低下過程では基板2及び圧電体4が収縮する。このとき、基板2と圧電体3との熱膨張率の差によって圧電体4に応力が作用する。その結果、圧電体4のキュリー温度が高くなり、当該圧電素子1の圧電性を示す温度範囲が拡げられる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
<試料1>
試料1は、厚みが0.2mmである長矩形状(46mm×76mm)のジルコニア基板上に、短冊状(1.5mm×65mm)の下部電極、圧電体及び上部電極を順次積層することで作製した。なお、試料1は、ジルコニア基板及び圧電体が、基板側が凸となるように反っており、その反りの程度(図1の距離H)は、約2mmであった。
ジルコニア基板としては、日本ファインセラミック社の「セラフレックスA」を使用した。
下部電極は、導電ペーストの塗布及び焼成により厚みが2〜3μmとなるように形成した。導電ペーストの塗布は、スクリーン印刷により行った。導電ペーストとしては、白金ペースト(田中貴金属工業社の「TR−7091」)を使用した。導電ペーストの焼成は、850℃で20分行った。
上部電極は、導電ペーストの塗布及び焼成により厚みが2〜3μmとなるように形成した。導電ペーストの塗布は、スクリーン印刷により行った。導電ペーストとしては、金ペースト(田中貴金属工業社の「TR−1531」)を使用した。導電ペーストの焼成は、850℃で20分行った。
下記式(2)を満たすように、BaZrO3、CaCO3、BaCO3及びTiO3を秤量し、混合した。ただし、下記式(2)におけるx(Ca濃度)は、0(mol)、0.04(mol)、0.06(mol)、0.08(mol)、又は0.10(mol)とした。
圧電体は、圧電体ペーストの塗布及び焼成により厚みが30〜40μmとなるように形成した。圧電体ペーストの塗布は、スクリーン印刷により行った。圧電体ペーストとしては、圧電体粒子100質量部に対して、バインダ樹脂としてのエチルセルロース11質量部、及び溶剤としてのターピネオール11質量部を混合したペーストを使用した。圧電体ペーストの焼成は、1350℃で1時間行った。
試料1と同様にして調製した圧電体粒子100質量部に対して、エチルセルロース0.5質量部、及び溶剤としてのターピネオール4質量部を混合したバインダ樹脂を混合し、造粒を行った。造粒した粉体は、0.5gずつ直径1.2mmのプレス面を有する成形用金型に充填し、成形圧力60MPaで成形した。バルク成形体は、600℃1時間で脱バインダーしたのち、1370℃、2時間で焼成した。
本実施例では、試料1及び試料2を用いて、圧電素子における圧電体のキュリー温度のCa濃度依存性を評価した。ここで、キュリー温度は、140℃から降温した際に、結晶構造が立方晶(Cubic)から正方晶(Tetragonal)に相転移する温度とした。
圧電素子を恒温槽中に設置した後、インピーダンスアナライザ(アジレント・テクノロジー社の「HP4192A」)を用いて140℃から−40℃まで降温し、圧電素子の静電容量を測定した。降温過程で、静電容量が最初に極大値を示す温度をキュリー温度とした。キュリー温度の測定結果については、横軸をCa濃度として図5に示した。
図5に示すように、圧電体のCa濃度が大きくなるとキュリー温度が大きくなる傾向があった。また、圧電体をバルク成形した試料2に比べて、圧電体をスクリーン印刷により厚膜に形成した試料1のほうがキュリー温度が高くなった。この結果から、圧電体をスクリーン印刷により形成することでキュリー温度を高め、圧電性を示す温度範囲を拡げられる可能性が確認された。特に、スクリーン印刷によって形成された試料1においては、Ca濃度が0.04以上0.1以下であるときに高いキュリー温度を得ることができる。
本実施例では、試料1及び試料2を用いて、圧電素子における圧電体のT−O相転移温度のCa濃度依存性を評価した。ここで、T−O相転移温度は、結晶構造が正方晶(Tetragonal)から斜方晶(Orthorhombic)に相転移する温度である。
圧電素子を恒温槽中に設置した後、インピーダンスアナライザ(アジレント・テクノロジー社の「HP4192A」)を用いて140℃から−40℃まで降温し、圧電素子の静電容量を測定した。降温過程で、静電容量が最初に極大値を示す温度をキュリー温度、次に極大値を示す温度をT−Oの結晶相転移温度とした。T−O相転移温度の測定結果については、横軸をCa濃度として図6に示した。
図6に示すように、圧電体をスクリーン印刷により厚膜に形成した試料1とバルク成形した試料2の双方ともに、圧電体のCa濃度が大きくなるとT−O相転移温度が直線的に小さくなる傾向があった。また、試料1(スクリーン印刷)と試料2(バルク成形)とは、T−O相転移温度が同程度であった。この結果から、圧電体をスクリーン印刷により形成することによってもT−O相転移温度が高くならないことが確認された。そのため、T−R相転移温度とキュリー温度との温度差は、キュリー温度を高めることでその分だけ大きくできる。従って、実施例1の結果も踏まえると、スクリーン印刷を適用して圧電体を形成した圧電素子は、圧電体をバルク体として形成する場合に比べて、圧電性を示す温度範囲を拡げられることが確認された。
試料3は、上記試料1と同様な手法により作製した。但し、試料3については分極処理を行った。分極処理は室温で2kV/mmの電界を圧電体に1分間与えることで行った。
圧電定数d31は、レーザードップラー振動計(グラフテック社の「センサユニット:AT0023、復調ユニット:AT3600」)を用いてd31モードで測定した変位値に基づいて、「Sensors and Actuators A 107 (2003) P.68−74」に記載の内容を参考にして算出した。圧電定数d31の算出結果については、下記表1に示した。
比誘電率は、インピーダンスアナライザ(アジレント・テクノロジー社の「HP4192A」)を用い、周波数を1kHz、真空の誘電率を8.854×10−12F/mとして測定した。比誘電率の測定結果については下記表2に示した。
残留分極量は、ヒステリシス測定装置(東陽テクニカ社の「FCE−2」)を用いて1kHzでの残留分極値と印加電界とのP−Eヒステリシスの測定を行い、このヒステリシス測定における印加電界が「0」のときの値(絶対値)として測定した。残留分極量の測定結果については下記表3に示した。
2 基板
20 下面
21 上面
3 一対の電極
4,4A,4B,4C,4D 圧電体
40 上面
41,41C 下面
42,42C 周縁部
43,43A,43B,43C,43D 端面
44A 上縁部
5,5D 下部電極
50D 端面
6,6D 上部電極
60D 端面
7 圧電膜
70 周縁部
71 下面
72 端面
H 距離
T 接線
Claims (4)
- 基板と、この基板の一方の面側に積層された圧電体とを備え、
前記圧電体が、下記式(1)で表される組成の圧電材料を主成分とし、前記圧電材料の結晶構造が、下記式(1)中のxが0.06以上のときに0℃において正方晶であり、
前記圧電体が、Ba、Ca、Ti及びZrを含む粉体を有する圧電ペーストを用いてスクリーン印刷及び焼成することで形成されている圧電素子。
Ba 1−x Ca x Ti y Zr z O 3 (1)
(前記式(1)中のxが0.04以上0.1以下であり、yが0.95以上0.98以下であり、zが0.02以上0.05以下である。) - 前記粉体の平均粒径が0.05μm以上10μm以下であり、
前記スクリーン印刷に用いるスクリーンメッシュのオープニングが、30μm以上100μm以下である請求項1に記載の圧電素子。 - 前記基板が、セラミクスを主成分とし、その平均厚みが100μm以上300μm以下の可撓性基板である請求項2に記載の圧電素子。
- 前記圧電材料の結晶構造が、前記式(1)中のxが0.1以上のときに−20℃において正方晶である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の圧電素子。
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