JP6160625B2 - 被削性に優れたフェライト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品 - Google Patents
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Description
C:0.32〜0.48%、
Si:0.85%以下、
Mn:0.1〜2%、
Ni:1.5%以下、
Cr:16〜23%、
Nb:3.2〜5%、
Nb/C:9〜11.5、
N:0.15%以下、
S:0.05〜0.2%、及び
Al:0.01〜0.08%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする。
0.35≦0.1Nb+Al≦0.53・・・(1)
(ただし、元素記号は各元素の含有量(質量%)を示す。)を満たすのが好ましい。
本発明のフェライト系耐熱鋳鋼の組成及び組織を以下詳細に説明する。なお、各元素の含有量は特に断りのない限り質量%で示す。
(1) C(炭素):0.32〜0.48%
Cはフェライト系耐熱鋳鋼用溶湯の凝固開始温度を降下させて流動性(湯流れ性、鋳造性)を高める。また、Cは初晶δ相の形成に寄与するが、初晶δ相によりさらに凝固開始温度が低下し、湯流れ性が向上する。その上、CはNbと結合してδ相とNb炭化物(NbC)との共晶(δ+NbC)相を形成し、フェライト系耐熱鋳鋼の高温強度を高める。このような作用を有効に発揮するために、本発明のフェライト系耐熱鋳鋼は、0.32%以上のCを含有する必要がある。しかし、C含有量が0.48%を超えると、共晶(δ+NbC)相が多くなり過ぎて、フェライト系耐熱鋳鋼は脆化し、常温靭性が低下するとともに、被削性が劣化する。このため、C含有量は0.32〜0.48%とする。C含有量の上限は好ましくは0.45%であり、より好ましくは0.44%であり、最も好ましくは0.42%である。
Siは溶湯の脱酸剤として作用するとともに耐酸化性を改善する。しかし、0.85%を超えると、Siは基地組織のフェライトに固溶して、基地組織を著しく脆化させる。このため、Siの含有量は0.85%以下(0%を含まず)とする。Si含有量の下限は好ましくは0.2%であり、より好ましくは0.3%である。また、Si含有量の上限は好ましくは0.6%である。
MnはSiと同様に溶湯の脱酸剤として作用する。その上、MnはCr及びSと結合して、マンガン硫化物(MnS)やマンガンクロム硫化物(MnCr)S等の硫化物を形成し、耐熱鋳鋼の被削性を改善する。特にマンガンクロム硫化物(MnCr)Sはフェライト系耐熱鋳鋼の凝固温度範囲を拡大し、水素を材料の外部へ逃散させる経路として作用するので、耐ガス欠陥性の向上に寄与する。これらの効果を有効に発揮させるために、Mnの含有量は0.1%以上必要である。しかし、2%を超えるMnはフェライト系耐熱鋳鋼の耐酸化性及び靭性を劣化させる。このため、Mnの含有量は0.1〜2%とする。Mn含有量の下限は好ましくは0.15%であり、より好ましくは0.2%である。また、Mn含有量の上限は好ましくは1.85%であり、より好ましくは1.5%である。
Niは、オーステナイト安定化元素でγ相を形成する。オーステナイトは、常温まで冷却される間に靭性及び被削性を著しく悪化させるマルテンサイトに変態する。従って、Ni含有量は極力少ないのが望ましいが、Niは通常原料となるステンレス系鋼屑のスクラップ材に含有されているため、不可避的にフェライト系耐熱鋳鋼に混入する可能性が高い。靭性及び被削性への悪影響が実質的にないNi含有量の上限は1.5%である。そのため、Ni含有量は1.5%以下(0%を含む)とする。Ni含有量は好ましくは0〜1.25%であり、より好ましくは0〜1.0%であり、最も好ましくは0〜0.9%である。
Crはフェライト組織を安定化して耐酸化性を高めるだけでなく、Mn及びSとの結合により(MnCr)Sを形成して被削性及び耐ガス欠陥性を向上させる。特に900℃付近での耐酸化性を向上させ、かつ被削性を改善するためには、Crは16%以上含有する必要がある。一方、フェライト基地においてCrが23%超えると、シグマ脆性が発生しやすくなり、靭性及び被削性が著しく悪化する。そのため、Cr含有量は16〜23%とする。Cr含有量の下限は好ましくは17%であり、より好ましくは17.5%である。また、Cr含有量の上限は好ましくは22.5%であり、より好ましくは22%である。
強い炭化物形成能を有するNbは、凝固時にCを炭化物(NbC)に固定するので、強力なオーステナイト安定化元素であるCが基地組織のフェライトに固溶してγ相を晶出するのを抑制するだけでなく、初晶δ相の結晶粒及び共晶(δ+NbC)相の結晶粒を微細化して靭性を著しく向上させる。またNbは、共晶(δ+NbC)相の形成により高温強度を向上させるとともに、凝固開始温度を低下させて良好な湯流れ性を確保する。さらに後述するように、NbCの形成により切削時の切削温度が上昇し、もって構成刃先の抑制により被削性が向上し、工具寿命が改善する。上記効果を十分に発揮するために、Nbは3.2%以上必要である。しかし、Nbが5%を超えると、硬質炭化物(NbC)を含む共晶(δ+NbC)相が多くなりすぎ、被削性がかえって悪化するだけでなく、脆化により靭性が著しく低下する。またNbが5%を超えると、凝固開始温度が低下して湯流れ性は改善するが、凝固温度範囲が縮小して短時間に凝固が終了するため、ガス欠陥の発生傾向が著しく高まる。従って、Nb含有量は3.2〜5%とする。Nb含有量の下限は好ましくは3.4%である。また、Nb含有量の上限は好ましくは4.5%であり、より好ましくは4.2%であり、最も好ましくは3.8%である。
本発明のフェライト系耐熱鋳鋼が必要な特性をバランス良く兼備するためには、CとNbの含有量のバランスが重要である。具体的には、NbとCの含有量の比(Nb/C)を所定の範囲に規制することにより、初晶δ相と共晶(δ+NbC)相の結晶粒を微細化するとともに、余剰のCをNb炭化物(NbC)として晶出させる。その結果、C及びNbはフェライト基地にほとんど固溶せず、靭性に有害なγ相の晶出を阻止し、δ相へのNbの固溶を抑制し、もって靭性及び被削性の劣化を抑制する。
Nは強力なオーステナイト安定化元素であり、γ相を形成する。γ相は常温まで冷却される間にマルテンサイト化し、靭性及び被削性を劣化させる。そのため、Nは極力少ない方が望ましいが、Nはもともと鋼屑(スクラップ)等の原料に含有しているため、不可避的不純物として混入する。靭性及び被削性を実質的に悪化させないNの上限は0.15%であるので、N含有量は0.15%以下(0%を含む)とする。N含有量の上限は好ましくは0.13%であり、より好ましくは0.11%であり、最も好ましくは0.10%である。
Sは、本発明のフェライト系耐熱鋳鋼において被削性を改善する重要な元素である。SはMn及びCrと結合してMnS、(MnCr)S等の球状又は塊状の硫化物を形成し、被削性を向上させる。球状又は塊状の硫化物粒子は切削時に潤滑作用を有し、切粉を分断することにより被削性を向上させることが知られている。しかし、SとAlとの併用により硫化物単独の場合より大きな被削性向上効果が得られることが分った。これは本発明の重要な特徴である。また、SはMn及びCrと結合してマンガンクロム硫化物(MnCr)Sを形成し、凝固温度範囲を拡大して耐ガス欠陥性を向上する。このような効果を得るには、Sは0.05%以上必要である。しかし、Sが0.2%を超えると、靭性の低下が顕著となる。そのため、Sの含有量は0.05〜0.2%とする。S含有量の下限は好ましくは0.08%であり、より好ましくは0.1%であり、最も好ましくは0.12%である。また、S含有量の上限は好ましくは0.18%である。
Alも被削性を改善する重要な元素である。Alは、通常鋼屑(スクラップ)等の原料や、溶解工程及び出湯工程で使用する脱酸剤からフェライト系耐熱鋳鋼に不可避的に混入する。本発明は、Sとの併用により顕著な被削性向上効果を得るために、Alの臨界的な含有量を規定した。例えば耐熱鋳鋼を工具により切削する場合、耐熱鋳鋼の基地中に固溶したAlは、切削加工で発生する熱により大気中の酸素と反応し、耐熱鋳鋼の表面に高融点酸化物であるAl2O3を形成する。Al2O3は保護被膜として機能し、工具への耐熱鋳鋼の焼き付きを防止する。その結果、耐熱鋳鋼の被削性は向上し、工具寿命を延長させる。被削性の向上効果は、Alの単独添加では得られず、所定量のSとの併用によりはじめて達成される。さらに、Alは硫化物粒子を均一に微細化し、構成刃先を抑制して耐熱鋳鋼の被削性を向上させる。
W及びMoはいずれも炭化物を生成して被削性を低下させるが、基地組織のδ相に固溶することにより高温強度を改善する。被削性を著しく損なわない範囲でフェライト系耐熱鋳鋼の高温強度をさらに向上させる場合、W及び/又はMoを付加的に含有させても良い。鋼屑(スクラップ)等の原料から混入するW及びMoは通常フェライト系耐熱鋳鋼にそれぞれ0.5%未満程度不可避的に含まれるが、高温強度改善効果を顕在化させるためには、W及び/又はMoを合計で0.8%以上含有させるのが好ましい。W及びMoの単独添加でも複合添加でも、3.2%を超えるとフェライト系耐熱鋳鋼に粗大な炭化物が生成し、靱性及び被削性が著しく劣化する。なお、高温強度改善効果については、W及びMoの単独添加でも複合添加でも、約3%で飽和する。従って、W及び/又はMoの含有量は合計で0.8〜3.2%とする。W及び/又はMoの合計含有量の下限は好ましくは1.0%である。また、W及び/又はMoの合計含有量の上限は好ましくは3.0%であり、より好ましくは2.5%である。
被削性をいっそう向上させるために、上記組成範囲の要件を満足した上で、式(1) を満たすのが好ましい。なお、式中の元素記号はその含有量(質量%)を示す。本発明者等は、(a) 本発明のフェライト系耐熱鋳鋼の被削性に影響を及ぼす因子として、(A) 切削加工における構成刃先の抑制、及び(B) 耐熱鋳鋼中の共晶炭化物及び介在物の制御が重要であること、及び(b) これらの因子は耐熱鋳鋼中のNb及びAlの含有量に依存し、被削性及び工具寿命に影響を与えることを発見した。より良好な被削性を本発明のフェライト系耐熱鋳鋼に付与するためには、Nb及び/又はAlの含有量だけでなく、両者の関係を式(1) に示すように規定するのが好ましい。式(1) の値を0.35以上にするのは切削加工において構成刃先を抑制するための条件(A) であり、式(1) の値を0.53以下にするのは耐熱鋳鋼中の共晶炭化物及び介在物を制御するための条件(B) である。
構成刃先を抑制する手法としては、(A-1) 共晶炭化物(NbC)を適量形成して切削温度を上昇すること、及び(A-2) 硫化物粒子を均一かつ微細に分散することが有効である。上記手法(A-1) 及び(A-2) による構成刃先の抑制のメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下の通りであると推測される。
耐熱鋳鋼中に硬質な共晶炭化物(NbC)が適量形成されると、切削加工の際に切削抵抗が増大し、切削により発生する摩擦熱の上昇にともなって、被削材、切粉及び工具刃先の温度(切削温度)が上昇する。構成刃先は切削温度の上昇により軟化又は溶融状態になり、工具刃先から容易に脱落するので、その生成及び成長が抑制される。その結果、粗大化した構成刃先の脱落による工具刃先の欠損が防止されると考えられる。上記効果を得るには、共晶炭化物(NbC)の全組織に対する面積率は20%以上であるのが好ましい。共晶炭化物(NbC)の面積率を制御するには、C及びNbの含有量及びNb/C比を上記範囲に規制する。
耐熱鋳鋼中に均一かつ微細に形成されたMnS、(MnCr)S等の硫化物粒子による切削時の潤滑作用や切粉の分断作用により、耐熱鋳鋼の被削性は改善される。硫化物粒子が均一かつ微細に分散しているほど、工具寿命を延長する効果が大きい。硫化物粒子は、切削時に被削材の微小なクラックの生成サイト、即ち脆化の起点となり、その潤滑作用及び切粉の分断作用により被削性を向上させる。特に微小クラックによる切粉の分断作用により構成刃先は小さくかつ脱落しやすくなるので、その生成及び成長が抑えられる。
被削性に影響を及ぼす共晶炭化物及び介在物の晶出を規制するのが重要である。共晶炭化物(NbC)については、その晶出量が多くなると構成刃先の抑制効果が飽和するだけでなく、硬質なためにその増加にともなって工具と被削材との間に発生する摩擦が大きくなり、摩耗により工具寿命を短くする。工具寿命の短縮を抑えるためには、共晶炭化物(NbC)の全組織に対する面積率は40%以下であるのが好ましい。共晶炭化物(NbC)の面積率を制御するには、C及びNbの含有量及びNb/C比を上記範囲に規制する。
(1) 硫化物粒子:視野面積14000μm2当たり20個以上
組織中に晶出する硫化物粒子が多いほど、本発明のフェライト系耐熱鋳鋼の被削性は向上し、工具寿命は延びる傾向にある。良好な被削性を得るためには、耐熱鋳鋼組織中に晶出する硫化物粒子の数は、視野面積14000μm2当たり20個以上であるのが好ましく、30個以上であるのがより好ましく、40個以上であるのが最も好ましい。ここで、硫化物粒子の数は、倍率500倍の顕微鏡写真(視野:140μm×100μm)において1μm以上の粒径(円相当径)の硫化物粒子を画像解析によりカウントして求めたものである。
上記フェライト系耐熱鋳鋼を用いて製造される本発明の排気系部品はいかなる鋳造排気系部品も含むが、その好ましい例は、エキゾーストマニホールド、タービンハウジング、タービンハウジングとエキゾーストマニホールドとを一体に鋳造したタービンハウジング一体エキゾーストマニホールド、触媒ケース、触媒ケースとエキゾーストマニホールドとを一体に鋳造した触媒ケース一体エキゾーストマニホールド、エキゾーストアウトレット等である。勿論、本発明の排気系部品はこれらに限定されず、例えば板金製又はパイプ製の部材と溶接される鋳造部品も含む。
実施例1〜42の鋳鋼の化学組成及び式(1) の値を表1-1及び1-2に、比較例1〜26の鋳鋼の化学組成及び式(1) の値を表2-1及び2-2に、実施例43〜88の鋳鋼の化学組成及び式(1) の値を表3-1及び3-2に、比較例27〜55の鋳鋼の化学組成及び式(1) の値を表4-1及び4-2にそれぞれ示す。実施例1〜88は本発明の組成範囲内のフェライト系耐熱鋳鋼であり、比較例1〜55は本発明の組成範囲外の鋳鋼である。
比較例1及び27の鋳鋼はC含有量が少なすぎ、
比較例2及び28の鋳鋼はC含有量が多すぎ、
比較例3及び29の鋳鋼はSi含有量が多すぎ、
比較例4及び30の鋳鋼はMn含有量が少なすぎ、
比較例5及び31の鋳鋼はMn含有量が多すぎ、
比較例6及び32の鋳鋼はS含有量が少なすぎ、
比較例7及び33の鋳鋼はS含有量が多すぎ、
比較例8及び34の鋳鋼はNi含有量が多すぎ、
比較例9及び35の鋳鋼はCr含有量が少なすぎ、
比較例10及び36の鋳鋼はCr含有量が多すぎ、
比較例11及び37の鋳鋼はN含有量が多すぎ、
比較例12〜14及び38〜40の鋳鋼はNb含有量が少なすぎ、
比較例15〜17及び41〜43の鋳鋼はNb含有量が多すぎ、
比較例18及び44の鋳鋼はNb/Cが小さすぎ、
比較例19及び45の鋳鋼はNb/Cが大きすぎ、
比較例20〜22及び46〜49の鋳鋼はAl含有量が少なすぎ、
比較例23〜25及び50〜52の鋳鋼はAl含有量が多すぎ、
比較例26及び53の鋳鋼はS及びAl含有量が少なすぎ、
比較例54の鋳鋼はW含有量が多すぎ、
比較例55の鋳鋼はMo含有量が多すぎる。
各供試材から切り出した外径96 mm、内径65 mm及び高さ120 mmの円筒状試験片の端面に対して、TiAlNをPVDコーティングした超硬インサートを用いて以下の条件でフライス切削した。
切削速度 :150 m/分
刃当り送り:0.2 mm/刃
切込み量 :1.0 mm
送り速度 :48〜152 mm/分
回転速度 :229〜763 rpm
切削液 :なし(乾式)
被削性評価後の各円筒状試験片の端部から切り出した組織観察用試験片におけるMnS、(Cr/Mn)S等の硫化物粒子の個数を、各試験片を鏡面研磨し、腐食なしで任意の5視野の光学顕微鏡写真を撮り、各視野について画像解析により140μm×100μmの観察領域(視野面積:14000μm2)における1μm以上の粒径(円相当径)の硫化物粒子の個数をカウントし、それを5視野について平均することにより求めた。実施例1〜42の結果を表1-3に示し、比較例1〜26の結果を表2-3に示し、実施例43〜88の結果を表3-3に示し、比較例27〜55の結果を表4-3に示す。なお、硫化物粒子は、電界放出型走査電子顕微鏡に装着されたエネルギー分散型X線分析装置(FE-SEM EDS:株式会社日立製作所製のS-4000、EDX KEVEX DELTAシステム)を用いた分析により特定した。
エンジンから排気される1000℃近い高温の排ガス(硫黄酸化物、窒素酸化物等の酸化性ガスを含有する。)に曝される排気系部品の表面には、酸化膜が形成される。酸化が進行すると酸化膜を起点に亀裂が入り、排気系部品内部まで酸化が進展し、最終的には排気系部品の表面から裏面まで亀裂が貫通して排ガスの漏洩や排気系部品の割れを招く。エンジンから排出される排ガスの温度が1000℃近くに上昇すると、排気系部品の温度も900℃に達することがあるので、900℃における耐酸化性を評価するために、以下の方法により各鋳鋼の酸化減量を求めた。すなわち、1インチYブロックの各供試材から直径10 mm及び長さ20 mmの丸棒試験片を切り出し、これを大気中900℃に200時間保持した後、ショットブラスト処理を施して酸化スケールを除去し、酸化試験前後の単位面積当たりの質量変化[酸化減量(mg/cm2)]を求めた。実施例1〜42における酸化減量を表1-4に示し、比較例1〜26における酸化減量を表2-4に示し、実施例43〜88における酸化減量を表3-4に示し、比較例27〜55における酸化減量を表4-4に示す。
排気系部品には、エンジンの運転(加熱)と停止(冷却)の繰り返しによっても熱変形を生じにくい耐熱変形性が要求される。十分な耐熱変形性を確保するためには、高い高温強度を有するのが好ましい。高温強度は、900℃における0.2%耐力(高温耐力)により評価できる。1インチYブロックの各供試材から標点間距離50 mm及び直径10 mmの平滑丸棒つばつき試験片を切り出し、これを電気−油圧サーボ式材料試験機(株式会社島津製作所製、商品名サーボパルサーEHF-ED10T-20L)に取り付け、各試験片について大気中900℃での0.2%耐力(MPa)を測定した。実施例1〜42における高温耐力の測定結果を表1-4に示し、比較例1〜26における高温耐力の測定結果を表2-4に示し、実施例43〜88における高温耐力の測定結果を表3-4に示し、比較例27〜55における高温耐力の測定結果を表4-4に示す。
排気系部品には生産過程やエンジンへの組み付け過程等で機械的振動及び衝撃が加わるので、それに用いるフェライト系耐熱鋳鋼は、機械的振動及び衝撃でも亀裂及び割れが生じないように、十分な常温靭性を有する必要がある。靭性の評価に引張伸び(延性)を測定することもあるが、機械的振動及び衝撃に対する抵抗力(亀裂及び割れの発生しにくさ)を評価するには、引張試験より亀裂の進展が速いシャルピー衝撃試験による常温衝撃値を測定する方が実態に則している。
排気系部品には、エンジンの運転(加熱)と停止(冷却)の繰り返しによっても熱亀裂を生じにくい耐熱亀裂性が要求される。耐熱亀裂性は熱疲労寿命により評価できる。熱疲労寿命は、1インチYブロックの各供試材から標点間距離20 mm及び直径10 mmの平滑丸棒試験片を切り出し、これを前記高温耐力の試験と同じ電気−油圧サーボ式材料試験機に拘束率0.5で取り付け、各試験片に対して大気中で、冷却下限温度150℃、加熱上限温度900℃、及び温度振幅750℃で、1サイクルを昇温時間2分、保持時間1分、及び冷却時間4分の合計7分とする加熱冷却サイクルを繰り返し、加熱冷却にともなう伸縮を機械的に拘束して熱疲労破壊を起こさせる熱疲労試験により評価した。熱疲労試験での加熱冷却の繰り返しにより生じる亀裂や変形により熱疲労破壊に至るまでのサイクル数が多いほど熱疲労寿命が長く、耐熱性(耐熱亀裂性)及び耐久性に優れていると言える。
2・・・共晶炭化物(NbC)
3・・・硫化物粒子
Claims (5)
- 質量基準で、
C:0.32〜0.48%、
Si:0.85%以下、
Mn:0.1〜2%、
Ni:1.5%以下、
Cr:16〜23%、
Nb:3.2〜5%、
Nb/C:9〜11.5、
N:0.15%以下、
S:0.05〜0.2%、及び
Al:0.01〜0.08%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする被削性に優れたフェライト系耐熱鋳鋼。 - 請求項1に記載のフェライト系耐熱鋳鋼において、さらに質量基準で、W及び/又はMoを合計で0.8〜3.2%含有することを特徴とする被削性に優れたフェライト系耐熱鋳鋼。
- 請求項1又は2に記載のフェライト系耐熱鋳鋼において、さらにNb及びAlが下記式:
0.35≦0.1Nb+Al≦0.53・・・(1)
[ただし、各元素記号はその含有量(質量%)を示す。]
を満たすことを特徴とするフェライト系耐熱鋳鋼。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト系耐熱鋳鋼において、硫化物粒子が視野面積14000μm2当たり20個以上の組織を有することを特徴とするフェライト系耐熱鋳鋼。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のフェライト系耐熱鋳鋼からなることを特徴とする排気系部品。
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