JP6163799B2 - 中空糸膜シート状物およびこれを用いた中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents

中空糸膜シート状物およびこれを用いた中空糸膜モジュールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、中空糸膜シート状物およびこれを用いた中空糸膜モジュールの製造方法に関する。
複数本の中空糸膜と、中空糸膜が収納されたケースと、中空糸膜の端部を集束してケースに固定する、熱硬化性樹脂の硬化物からなるポッティング部とを有する中空糸膜モジュールが知られている。また、中空糸膜モジュールとしては、耐薬品性、環境負荷低減(廃棄、再生、リサイクル、埋立、焼却等)、取扱性、原材料価格等の観点から、ポッティング部を構成する材料として、熱硬化性樹脂の硬化物の代わりに、熱可塑性樹脂を用いたものが提案されている。
ポッティング部を構成する材料として熱可塑性樹脂を用いた中空糸膜モジュールの製造方法としては、下記の方法が提案されている。
(1)複数本の中空糸膜を束ねた円柱状の中空糸膜束の端部を、熱可塑性樹脂の粉末およびアルコールを含むペーストに浸漬し、引き上げて乾燥させることによって、中空糸膜束の端部に熱可塑性樹脂の粉末を付着させた後、中空糸膜束をケースに収納し、熱可塑性樹脂の粉末を加熱溶融し、冷却固化することによって、ポッティング部を形成する方法(特許文献1、2)。
(2)複数本の中空糸膜を束ねたシート状の中空糸膜束の端部に、熱可塑性樹脂の粉末およびアルコールを含むペーストを塗布し、乾燥させることによって、中空糸膜束の端部に熱可塑性樹脂の粉末を付着させた後、中空糸膜束を円柱状に巻いてケースに収納し、熱可塑性樹脂の粉末を加熱溶融し、冷却固化することによって、ポッティング部を形成する方法(特許文献3)。
しかし、(1)、(2)の方法では、下記の問題がある。
・ペーストの乾燥に時間がかかる。
・中空糸膜束を巻く際や中空糸膜束をケースに収納する際に熱可塑性樹脂の粉末が中空糸膜束の端部から脱落するため、中空糸膜束を取り扱いにくい。
・脱落した熱可塑性樹脂の粉末によって作業場およびポッティング部分以外の中空糸膜ならびケースが汚染される。
・熱可塑性樹脂の粉末が脱落した部分でポッティング部に空隙が形成される。
・熱可塑性樹脂の粉末の付着が不均一のため、熱可塑性樹脂の粉末が足りない部分ではポッティング部に空隙が形成され、熱可塑性樹脂の粉末が過剰な部分では溶融しない。
・ポッティング部の空隙が、通液時の原液側と濾過液側との間で繋がっている場合は、原液が濾過側へ流入して汚染される。
・ポッティング部に空隙が形成されないようにするために、遠心機が必要な場合がある。
・空隙や未溶融部が形成されてもポッティング部を液密にできるように、ポッティング部を厚くする必要がある。
・ケースの形状は円筒状に限られる。
熱可塑性樹脂の粉末を用いない中空糸膜モジュールの製造方法としては、下記の方法が提案されている。
(3)熱可塑性樹脂の帯状シートで中空糸膜束の各中空糸膜の端部を囲い、加熱溶融で一体化した後、ケースに収納してさらに加熱溶融する方法(特許文献4)。
しかし、(3)の方法では、下記の問題がある。
・中空糸膜のフィラメント1本毎、各々個別にフィラメント全周を囲むことは容易ではない。
・帯状シートで中空糸膜の端部を囲うのは容易ではなく、機械化が難しい。
・加熱溶融を二度行うため、工程が多くなる。
特開平4−63117号公報 特開平8−266872号公報 特開2004−66167号公報 特開平7−80257号公報
本発明は、取扱性がよく、作業場およびポッティング部分以外の中空糸膜ならびにケースを汚染することがなく、ポッティング部に空隙および未溶融部を形成しにくく、ケースの形状を制限することがなく、中空糸膜シート状物自体の製造が簡便であり、中空糸膜モジュールの製造に特殊な装置を用いなくてもよく、中空糸膜シート状物および中空糸膜モジュールの製造時間を短縮できる中空糸膜シート状物およびこれを用いた中空糸膜モジュールの製造方法を提供する。
本発明の中空糸膜シート状物は、複数本の中空糸膜と、該中空糸膜の一部を固定するポッティング部とを有する中空糸膜モジュールの製造に用いられる中空糸膜シート状物であり、中空糸膜からなる緯糸と、前記中空糸膜の材料よりも融点の低い材料からなる経糸とを編成したものであり、前記経糸を編み込む位置は、少なくとも前記ポッティング部を形成する位置に対応する位置である。
本発明の中空糸膜シート状物は、中空糸膜からなる緯糸と、前記中空糸膜の材料よりも融点の低い材料からなる経糸とを編成した中空糸膜シート状物であり、前記経糸が、前記中空糸膜シート状物の少なくとも一方の端部に編成されている。
前記経糸は、前記緯糸の少なくとも一方の端部を結束するものであることが好ましい。
本発明の中空糸膜モジュールの製造方法は、複数本の中空糸膜と、該中空糸膜の一部を固定するポッティング部とを有する中空糸膜モジュールの製造方法であって、中空糸膜からなる緯糸と、中空糸膜の材料よりも融点の低い材料からなる経糸とを編成した中空糸膜シート状物の経糸を加熱溶融して前記ポッティング部を形成することを特徴とする。
中空糸膜モジュールの製造方法においては、前記中空糸膜シート状物の少なくとも一部を束ねてケースに収納した後、前記経糸を加熱溶融することが好ましい。
本発明の中空糸膜シート状物は、取扱性がよく、作業場およびポッティング部分以外の中空糸膜ならびにケースを汚染することがなく、ポッティング部に空隙および未溶融部を形成しにくく、ケースの形状を制限することがなく、中空糸膜シート状物自体の製造が簡便であり、中空糸膜シート状物および中空糸膜モジュールの製造時間を短縮できる。
本発明の中空糸膜モジュールの製造方法によれば、中空糸膜シート状物の取扱性がよく、作業場およびポッティング部分以外の中空糸膜ならびにケースが汚染されにくく、ポッティング部に空隙および未溶融部が形成されにくく、ケースの形状が制限されず、特殊な装置が不要であり、製造時間が短縮される。
本発明の中空糸膜シート状物の一例を示す図である。 本発明の製造方法で得られる中空糸膜モジュールの一例を示す断面図である。 中空糸膜シート状物のロール体の一例を示す図である。 中空糸膜シート状物の経糸を加熱溶融する様子を示す一部断面図である。 本発明の製造方法で得られる中空糸膜モジュールの他の例を示す斜視図である。 図5の中空糸膜モジュールの集水部の断面図である。 中空糸膜シート状物の端部を集水部に挿入した様子を示す断面図である。
<中空糸膜シート状物>
図1は、本発明の中空糸膜シート状物の一例を示す図である。
中空糸膜シート状物10は、1本または複数本の中空糸膜からなる緯糸12と、中空糸膜の材料よりも融点の低い材料からなる経糸14とを編成したものであり、緯糸12を、中空糸膜シート状物10の幅方向の長さに複数回折り返しながら、両側の折り返し部分を、中空糸膜シート状物10の長手方向に延びるチェーンステッチの経糸14にて結束させたラッセル編地である。緯糸12の両端部以外は、経糸14にて結束されていない。
(緯糸)
中空糸膜としては、多孔質中空糸膜、非多孔質中空糸膜、多層(二層、三層またはそれ以上)の複合中空糸膜等が挙げられる。支持体(中空編紐、組紐等)によって補強されたものであってもよい。また、均一な内部構造を有する膜であってもよく、不均一な内部構造を有する膜であってもよく、多孔質層と均質層との両方を具備する複合膜であってもよい。
中空糸膜の材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)等)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体等)、ポリスチレン系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネイト、セルロース誘導体、ポリアミド、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、これらのうち1種類以上を含む樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の共重合体や一部に置換基を導入したものであってもよい。耐薬品性や環境負荷への配慮の点から、ポリオレフィンが好ましく、ポッティング加工時の取扱性、使用液への溶出の低さの点から、ポリエチレン、ポリプロピレンが特に好ましい。
緯糸は、モノフィラメントであっても(1本の中空糸膜から構成されていても)よく、マルチフィラメントであっても(複数本の中空糸膜から構成されていても)よい。マルチフィラメントの場合、内外径および/または孔径の異なる中空糸膜を組合わせてもよく、親水性、疎水性等の性状、さらには原材料が異なる中空糸膜を組合わせてもよい。
緯糸の1本あたりの中空糸膜の数(フィラメント数)は、加工方法、フィラメント径に応じて任意に設定すればよく、1本以上であればよく、1〜50本が好ましく、2〜36本がより好ましい。フィラメント数が2本以上であれば、編成時間を短縮でき、また、中空糸膜シート状物の単位面積当たりの膜面積(中空糸膜の打ち込み数)を大きくできる。フィラメント数が36本以下であれば、中空糸膜(フィラメント)間にポッティング部を構成する材料が浸透しやすい。
(経糸)
経糸の材料は、中空糸膜の材料よりも融点の低い材料であり、中空糸膜の形状を維持しつつ、容易にポッティング部を形成できることと、ポッティング部の特性(耐薬品性、機械的強度等)とのバランスの点から、中空糸膜の材料よりも融点が5℃以上低い材料が好ましく、中空糸膜の材料よりも融点が10〜20℃以上低い材料がより好ましい。
経糸の材料としては、中空糸膜の材料よりも融点の低く、かつポッティング部を構成し得る材料が挙げられ、具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)等)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、ポリスチレン系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネイト、セルロース誘導体、ポリアミド、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、これらのうち1種類以上を含む樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の共重合体や一部に置換基を導入したものであってもよい。耐薬品性や環境負荷への配慮の点から、ポリオレフィンが好ましく、ポッティング加工時の取扱性、使用液への溶出の低さの点から、ポリエチレン、ポリプロピレンが特に好ましい。
ポリオレフィンの重量平均分子量は、10,000〜500,000が好ましく、20,000〜200,000がより好ましい。ポリオレフィンの重量平均分子量が10,000以上であれば、ポッティング部の特性(耐薬品性、機械的強度等)が良好となる。ポリオレフィンの重量平均分子量が10,000未満では、得られる中空糸膜モジュールのポッティング部の機械的強度や靭性が不十分となり、長期間の使用に耐え得る耐久性や耐衝撃性等が得られなくなる。ポリオレフィンの重量平均分子量が500,000以下であれば、加熱溶融しやすく、空隙の少ないポッティング部を形成しやすい。
経糸は、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよい。
経糸の繊度は、5〜1000デニールが好ましく、10〜200デニールがより好ましい。経糸の繊度が10デニール以上であれば、少ない経糸の編み込み数で十分な厚さのポッティング部を形成しやすい。経糸の繊度が200デニール以下であれば、空隙や未溶融部が少ないポッティング部を形成しやすく、また、中空糸膜シート状物の単位面積当たりの膜面積(中空糸膜の打ち込み数)を大きくできる。
経糸としては、編成しにくいものの、空隙の少ないポッティング部を形成しやすい点から、フラットヤーンを用いてもよい。
緯糸の一方の折り返し部分(緯糸の一方の端部)あたりの経糸(チェーンステッチ)の数は、経糸の繊度やポッティング部の厚さによって適宜選択すればよい。空隙や未溶融部が極めて少ないポッティングを形成する点からは、経糸の外径を50μm〜10mm、経糸の編み込み数を1〜1000本/cmとすることがが好ましい。編成時間を短縮する点からは、経糸の外径を200μm〜5mm、経糸の編み込み数を30〜500本/cmとすることがが好ましい
(作用効果)
以上説明した本発明の中空糸膜シート状物にあっては、中空糸膜からなる緯糸と、前記中空糸膜の材料よりも融点の低い材料からなる経糸とを編成したものであるため、下記の作用効果を奏する。
・従来の熱可塑性樹脂の粉末の代わりに、中空糸膜の材料よりも融点の低い材料を経糸として編み込んでいるため、材料(経糸)が脱落することがなく、取扱性がよい。
・材料(経糸)が脱落することがないため、作業場およびポッティング部分以外の中空糸膜ならびにケースを汚染することがない。
・従来の熱可塑性樹脂の粉末の代わりに、中空糸膜の材料よりも融点の低い材料を経糸として編み込んでいるため、材料(経糸)の配置が不均一となることがなく、ポッティング部に空隙および未溶融部を形成しにくい。
・経糸の繊度によって、中空糸膜の間隔(中空糸膜の打ち込み数)を制御できる。
・ポッティング部に空隙および未溶融部を形成しにいため、遠心機が必要ではない。
・ポッティング部に空隙および未溶融部を形成しにいため、ポッティング部を必要以上に厚くする必要がない。
・ポッティング部を必要以上に厚くする必要がないため、余分なポッティング部が少なくなり、中空糸膜の端部開口のための切断で除去されるポッティング部(廃棄物)を減らすことができる。
・従来の中空糸膜シート状物では、熱可塑性樹脂の粉末の脱落を抑えるため、巻いた状態でケースに収納する必要があり、ケースは円筒状に限られたが、本発明の中空糸膜シート状物は必ずしも巻く必要はなく、ケースの形状は円筒状に制限されない。
・取扱性がよく、かつ材料の配置が不均一とならないため、小型の中空糸膜モジュールの製造が容易である。
・既存の編み機を利用できるため、中空糸膜シート状物自体の製造が簡便である。
・熱可塑性樹脂の粉末のペーストの塗布工程および乾燥工程が不要となるため、中空糸膜シート状物および中空糸膜モジュールの製造時間を短縮できる。
・熱可塑性樹脂の帯状シートで中空糸膜の端部を囲う工程および帯状シートを加熱溶融して中空糸膜の端部に固定する工程が不要となるため、中空糸膜シート状物および中空糸膜モジュールの製造時間を短縮できる。
(他の実施形態)
なお、本発明の中空糸膜シート状物は、図示例のものに限定はされない。
例えば、経糸を編み込む位置は、図示例のように、中空糸膜シート状物の幅方向の両端部(緯糸の両端部)に限定はされず、ポッティング部を形成する位置に対応した位置であればよい。よって、経糸は、緯糸の一方の端部のみを結束するものであってもよく、緯糸の端部以外を結束するものであってもよい。通常、ポッティング部は中空糸膜シート状物の幅方向の少なくとも一方の端部に形成されることから、経糸は、緯糸の少なくとも一方の端部を結束するものであることが好ましい。
また、ポッティング部を形成する位置以外に経糸を編み込んでもよい。ポッティング部を形成する位置以外に編み込まれる経糸は、中空糸膜の材料よりも融点の低い材料からなるものに限定はされない。
また、中空糸膜シート状物は、図示例のようなラッセル編地に限定はされず、中空糸膜シート状物の幅方向の長さと同じ長さに切断された緯糸を経糸で編み連ねたすだれ編地であってもよい。
<中空糸膜モジュールの製造方法>
(第1の実施形態)
図2は、本発明の製造方法で得られる中空糸膜モジュールの一例を示す断面図である。
中空糸膜モジュール20は、円柱状に束ねられた複数本の中空糸膜22と、中空糸膜22が収納され、側部に複数の通液口(図示略)が形成された円筒状のハウジング24(ケース)と、中空糸膜22の端部を集束してハウジング24に固定するポッティング部26とを有する。
中空糸膜22は、中空糸膜シート状物10の緯糸12に由来し、ポッティング部26は、中空糸膜シート状物10の経糸14に由来する。中空糸膜22およびポッティング部26の材料の説明は省略する。
ハウジング24の材料としては、樹脂材料(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、硬質ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、アクリル樹脂、ABS樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド等)、金属材料(ステンレススチール等)等が挙げられる。耐薬品性や環境負荷低減(廃棄、再生、リサイクル、埋立、焼却等)の点から、ポリオレフィンが好ましく、ポッティング加工時の取扱性、使用液への溶出の低さの点から、ポリエチレン、ポリプロピレンが特に好ましい。一般水道水を通液する場合は、残留塩素に耐性からポリエチレンが好ましい。
中空糸膜モジュール20は、下記の工程を経て製造される。
(a)中空糸膜からなる緯糸と、中空糸膜の材料よりも融点の低い材料からなる経糸とを編成して中空糸膜シート状物を製造する工程。
(b)中空糸膜シート状物を巻き、ロール体を得る工程。
(c)ロール体をハウジングに収納し、中空糸膜シート状物の経糸を加熱溶融してポッティング部を形成する工程。
(d)必要に応じて、ポッティング部の端面近傍を中空糸膜とともに切断して、中空糸膜の端部を開口させる工程。
(工程(a))
緯糸12を、中空糸膜シート状物10の幅方向の長さに複数回折り返しながら、両側の折り返し部分を、中空糸膜シート状物10の長手方向に延びるチェーンステッチの経糸14にて結束させるラッセル編みによって、図1に示すような中空糸膜シート状物10を製造する。
(工程(b))
中空糸膜シート状物10を経糸14の長さ方向に向かって巻き、図3に示すような円柱状のロール体16とする。
中空糸膜の集束率を上げるために、複数枚の中空糸膜シート状物10を重ねて巻いてもよい。
(工程(c))
図4に示すように、ロール体16を円筒状のハウジング24に収納し、加熱体としてヒータ30を用いて、ロール体16の端面側およびハウジング24の側面側のいずれか一方または両方から経糸14を加熱溶融してポッティング部26を形成する。経糸14の温度をできるだけ均一にし、ポッティング部における空隙や未溶融部をできるだけ少なくする点からは、ロール体16の端面側およびハウジングの側面側の両方から経糸14を加熱することが好ましい。
加熱体による加熱方法としては、緯糸12の端面方向から加熱する方法、ハウジング24の周囲方向からの加熱する方法、またはこれらを組合わせた加熱方法が挙げられ、これらのいずれの方法を用いても差し支えない。溶融含浸される時の経糸14の温度を極力均一にし、経糸14の溶融粘度を極力均一にすることが、緯糸12間への均一な含浸を可能にし、得られた中空糸膜モジュール20のポッティング部26におけるリークの防止を可能にする。
したがって、経糸14の温度は、緯糸12の繊維軸方向、またはこれに垂直な断面方向に拘らず一定であることが好ましい。また、経糸14を加熱溶融させるために必要な加熱熱量は、経糸14以外の物質に極力伝熱浪費されないことが重要である。このため、本発明では、ハウジング24の肉厚を、ハウジング24の外径の1/10以下にすることが好ましい。
加熱温度は、経糸14の材料の融点以上であり、融点以上緯糸12の融点以下が好ましい。
加熱時間は、ポッティング部26の大きさ等に応じて、経糸14が十分に溶融される時間とする。
なお、加熱にあたってはハウジング24を回転させ、端部に遠心力を与えることによって、加熱溶融した経糸14の緯糸12間への含浸を向上させてポッティング部26を形成させてもよい。
加熱溶融後は、強制的に冷却して材料を固化させてもよく、常温で放置して材料を固化させてもよい。
(工程(d))
ポッティング部26を冷却して、流動性がなくなったところで、外部に面したポッティング部26の端面近傍を、中空糸膜22およびハウジング24とともに切断して、中空糸膜22の端部を開口させる。ポッティング部26の形状は、ハウジング24とそのハウジング24をセットする冶具の形状で任意の形状とすることができる。形状によってはポッティング部26がハウジング24から突出した形態となり、この場合、ポッティング部26および中空糸膜22部分のみカットすることができ、ハウジング24と共に切断しない形状とすることもできる。
工程(a)の段階で中空糸膜の端部(緯糸12の折り返し部分)をあらかじめ切断して開口させた場合、工程(d)は不要である。本発明の製造方法においては、加熱溶融した経糸14の材料が、従来の液状の熱硬化性樹脂に比べて中空糸膜の端部開口を閉塞しにくい。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の製造方法で得られる中空糸膜モジュールの他の例を示す斜視図であり、図6は、図5の中空糸膜モジュールの集水部の断面図である。
中空糸膜モジュール40は、シート状に引き揃えられた複数の中空糸膜42と、中空糸膜42の端部が収納された長尺の集水部44(ケース)と、中空糸膜42の端部を集水部44に固定するポッティング部46とを有する。
中空糸膜42は、中空糸膜シート状物10の緯糸12に由来し、ポッティング部46は、中空糸膜シート状物10の経糸14に由来する。中空糸膜42およびポッティング部46の材料の説明は省略する。
集水部44は、内部に内部路48が形成された断面U字形の筒状体である。集水部44の少なくとも一方の端部には、内部路48に連通し、外部に開口した配管50が設けられている。
集水部44の側面には、中空糸膜42の端部をあらかじめ開口状態とした開口端部を内部路48に収納するための挿入口となるスリット状の開口部52が形成され、この開口部52の周囲を囲むように、ポッティング部46の垂れ防止のための堰54が集水部44と一体になって形成されている。堰54に囲まれた部分が、ポッティング部46を形成するための空間となる。
集水部44の材料としては、樹脂材料(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリスチレン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、アクリル樹脂、ABS樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド(PPO)等)、金属材料(ステンレス、チタン、アルミニウム、真鍮、鉄、金、銀、銅、他合金等)等が挙げられる。
中空糸膜モジュール40は、下記の工程を経て製造される。
(a)中空糸膜からなる緯糸と、中空糸膜の材料よりも融点の低い材料からなる経糸とを編成して中空糸膜シート状物を製造する工程。
(c)中空糸膜シート状物の幅方向の端部を集水部に収納し、中空糸膜シート状物の経糸を加熱溶融してポッティング部を形成する工程。
(工程(a))
緯糸12を、中空糸膜シート状物10の幅方向の長さに複数回折り返しながら、両側の折り返し部分を、中空糸膜シート状物10の長手方向に延びるチェーンステッチの経糸14にて結束させるラッセル編みによって、中空糸膜シート状物10を製造する。中空糸膜の端部(緯糸12の折り返し部分)をあらかじめ切断して開口させておく。
経糸14としては、堰54に囲まれた部分にポッティング部46が形成されるように、繊度の大きいものを用いることが好ましく、経糸14の位置は、中空糸膜シート状物10の幅方向の端部を集水部44に収納した際に、堰54に囲まれた部分となるような位置が好ましい。
(工程(c))
図7に示すように、中空糸膜シート状物10の幅方向の端部を、集水部44の開口部52から中空糸膜42の開口端部が集水部44の内部路48に位置するように挿入する。ヒータ(図示略)を用いて経糸14を加熱溶融して、図6に示すように堰54に囲まれた部分にポッティング部46を形成する。
加熱温度は、経糸14の材料の融点以上であり、緯糸12の融点以下が好ましい。
加熱時間は、ポッティング部46の大きさ等に応じて、経糸14が十分に溶融される時間とする。
加熱溶融後は、強制的に冷却して材料を固化させてもよく、常温で放置して材料を固化させてもよい。
さらには、集水部44の開口部52に挿入された中空糸膜シート状物10の、開口部52近傍に経糸14を集中させて加熱溶融させ、まず、開口部52のみが封鎖された状態し、その後、経糸14と同じ材料を別途加熱溶融させて集水部44の堰54に囲まれた部分に流し込み充填させ、ポッティング部46を形成させることもできる。
(作用効果)
以上説明した本発明の中空糸膜モジュールの製造方法にあっては、本発明の中空糸膜シート状物の経糸を加熱溶融してポッティング部を形成しているため、中空糸膜シート状物の取扱性がよく、作業場およびポッティング部分以外の中空糸膜ならびにケースが汚染されにくく、ポッティング部に空隙および未溶融部が形成されにくく、ケースの形状が制限されず、特殊な装置が不要であり、製造時間が短縮される。
(他の実施形態)
なお、本発明の中空糸膜モジュールの製造方法は、第1の実施形態および第2の実施形態に限定はされない。
例えば、中空糸膜シート状物をケースに収納することなく、経糸を加熱溶融してポッティング部を形成してもよい。あらかじめポッティング部を形成した後、ポッティング部付き中空糸膜シート状物をケース等に収納し、固定してもよい。
ケースは、円筒状のハウジングや長尺の集水部に限定されず、様々な形状のハウジングや集水部であってもよい。また、中空糸膜の少なくとも一部を収納できるものであればよく、ハウジングや集水部以外もの(固定部材等)であってもよい。
本発明の中空糸膜シート状物は、中空糸膜モジュールの製造に用いる中空糸膜シート状物として有用である。
10 空糸膜シート状物
12 緯糸
14 経糸
16 ロール体
20 中空糸膜モジュール
22 中空糸膜
24 ハウジング
26 ポッティング部
30 ヒータ
40 中空糸膜モジュール
42 中空糸膜
44 集水部
46 ポッティング部
48 内部路
50 配管
52 開口部
54 堰

Claims (5)

  1. 複数本の中空糸膜と、該中空糸膜の一部を固定するポッティング部とを有する中空糸膜モジュールの製造に用いられる中空糸膜シート状物であり、
    前記中空糸膜シート状物は、
    中空糸膜からなる緯糸と、
    前記中空糸膜の材料よりも融点の低い材料からなる経糸とを編成したものであり、
    前記経糸を編み込む位置は、少なくとも前記ポッティング部を形成する位置に対応する位置である、中空糸膜シート状物。
  2. 中空糸膜からなる緯糸と、
    前記中空糸膜の材料よりも融点の低い材料からなる経糸とを編成した中空糸膜シート状物であり、
    前記経糸が、前記中空糸膜シート状物の少なくとも一方の端部に編成されている、中空糸膜シート状物。
  3. 前記経糸が、前記緯糸の少なくとも一方の端部を結束する、請求項1または2に記載の中空糸膜シート状物。
  4. 複数本の中空糸膜と、該中空糸膜の一部を固定するポッティング部とを有する中空糸膜モジュールの製造方法であって、
    中空糸膜からなる緯糸と、中空糸膜の材料よりも融点の低い材料からなる経糸とを編成した中空糸膜シート状物の経糸を加熱溶融して前記ポッティング部を形成する、中空糸膜モジュールの製造方法。
  5. 前記中空糸膜シート状物の少なくとも一部を束ねてケースに収納した後、前記経糸を加熱溶融する、請求項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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