JP6168904B2 - 導波管平面線路変換器 - Google Patents

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Description

本発明は、導波管平面線路変換器に係り、更に詳しくは、矩形導波管とマイクロストリップ線路との間で電磁波を伝達する導波管平面線路変換器の改良に関する。
マイクロストリップアンテナは、誘電体基板上に形成されたMSL(マイクロストリップ線路)を利用して、マイクロ波帯やミリ波帯の電波を送受信する平面アンテナである。この様な平面アンテナに導波管を用いて給電する場合、導波管平面線路変換器が用いられる。
例えば、特許文献1に記載の導波管平面線路変換器は、矩形導波管に連通する矩形形状の貫通孔が形成された接地板と、当該貫通孔内に配置された整合素子と、誘電体基板と、導波管の広壁と交差する方向に延びるMSLと、MSLを配置するための切り込みが形成された短絡板により構成される。誘電体基板は、一方の主面が矩形導波管を閉鎖し、他方の主面上にMSL及び短絡板が形成される。MSLは、接地板の貫通孔と重複する誘電体基板上の領域内で誘電体基板を挟んで整合素子と対向し、整合素子と電磁的に結合する。この様な構成により、矩形導波管によって伝送された電磁波をMSLへ、或いは、それとは逆に、MSLによって伝達された電磁波を矩形導波管へ効率良く伝達することができる。
しかしながら、上述した様な従来の導波管平面線路変換器では、接地板の貫通孔及び整合素子が誘電体基板上に形成した導体層をエッチング加工によってパターニングすることにより形成される。このため、導体層のエッチング加工に高い精度が要求され、接地板の貫通孔や整合素子のパターニング精度が低ければ、伝送損失が増大してしまうという問題があった。
なお、特許文献2及び3には、整合素子及び短絡板を備えない導波管平面線路変換器が開示されている。これらの特許文献2,3に記載の導波管平面線路変換器は、スロット励振型の変換器であり、接地板に形成された細長い矩形形状からなる貫通孔がスロット励振器を構成する。しかしながら、この種の導波管平面線路変換器は、整合素子及び短絡板を備えた導波管平面線路変換器に比べ、反射量が多く伝送損失が大きいという問題があった。
特開2011−223203号公報 特開2002−76723号公報 特開2002−9512号公報
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、伝送損失が増大するのを抑制しつつ、製造を容易化した導波管平面線路変換器を提供することを目的とする。また、従来の導波管平面線路変換器よりも広い周波数帯域で反射量を抑制することができる導波管平面線路変換器を提供することを目的とする。
第1の本発明による導波管平面線路変換器は、矩形導波管に連通する導波路を有し、上記導波路の広壁を傾斜させて先端開口を上記矩形導波管の断面よりも狭くしたテーパー導波管と、一方の主面が上記テーパー導波管を閉鎖し、他方の主面上にマイクロストリップ線路及び短絡板が形成された誘電体基板とを備え、上記短絡板が、領域全体が上記先端開口と重複している上記誘電体基板上の閉鎖領域を覆うとともに、上記マイクロストリップ線路を配置するための切り込みが形成された連続領域からなり、上記マイクロストリップ線路が、上記閉鎖領域の長辺を跨いでいるように構成される。
この様な構成によれば、導波路の広壁を傾斜させたテーパー導波管を介在させることにより、反射量が抑えられるので、矩形導波管を誘電体基板によって直接に閉鎖する場合に比べ、導波管平面線路変換器の伝送損失が増大するのを抑制することができる。また、テーパー導波管の先端開口は、矩形導波管の断面よりも狭く、誘電体基板によって閉鎖されたテーパー導波管の先端部をスロット励振器として機能させ、テーパー導波管全体をグランドとして機能させることができる。また、マイクロストリップ線路は、領域全体が先端開口と重複している誘電体基板上の閉鎖領域の長辺を跨いでおり、誘電体基板を挟んでスロット励振器と電磁的に結合する。このため、マイクロストリップ線路と電磁的に結合させる整合素子が不要になるので、導波管平面線路変換器の製造を容易化することができる。
第2の本発明による導波管平面線路変換器は、上記構成に加え、上記テーパー導波管及び上記誘電体基板間に配置され、孔全体が上記先端開口と重複している細長い矩形形状の貫通孔を有する接地板を備えて構成される。
この様な構成によれば、テーパー導波管及び誘電体基板間に配置された接地板の貫通孔がスロット励振器として機能する。つまり、接地板の貫通孔と誘電体基板との重複領域が閉鎖領域になり、その様な閉鎖領域の長辺を跨ぐようにマイクロストリップ線路を形成することにより、整合素子及び短絡板を備えない導波管平面線路変換器に比べ、伝送損失を低減させることができる。
第3の本発明による導波管平面線路変換器は、上記構成に加え、上記短絡板が、上記閉鎖領域の長辺と略平行であって、上記閉鎖領域の上記長辺から管内波長の略1/4倍だけ外側に形成された外縁を有し、上記マイクロストリップ線路が、管内波長の0.4倍以上かつ0.6倍以下の距離だけ上記外縁から内側に挿入されているように構成される。
この様な構成によれば、誘電体基板上の短絡板が閉鎖領域の長辺から管内波長の略1/4倍だけ外側に形成された外縁を有するので、電磁波が閉鎖領域の長辺と交差する方向に誘電体基板内を伝搬する場合に、短絡板の外縁を境界として電磁波が反射される。また、閉鎖領域から進入する入射波が短絡板の外縁で反射された反射波と打ち消し合うので、誘電体基板内を伝搬する電磁波が短絡板の外側へ漏出するのを抑制することができる。
さらに、本発明の発明者らによる伝送特性の実験では、テーパー導波管を備えた導波管平面線路変換器において、マイクロストリップ線路が管内波長の0.4倍以上かつ0.6倍以下の距離だけ短絡板の外縁から内側に挿入されている場合に、良好な伝送特性が得られた。例えば、従来の導波管平面線路変換器よりも広い周波数帯域で反射量が抑制される。一方、マイクロストリップ線路の上記外縁に対する挿入長が管内波長の0.4倍以上0.6倍以下の範囲から外れれば、伝送損失が著しく増大することが確かめられた。従って、上述した構成を採用することにより、従来の導波管平面線路変換器よりも広い周波数帯域で反射量を抑制することができる。
本発明によれば、伝送損失が増大するのを抑制しつつ、製造を容易化した導波管平面線路変換器を提供することができる。また、従来の導波管平面線路変換器よりも広い周波数帯域で反射量を抑制することができる。
本発明の実施の形態1による導波管平面線路変換器1の一構成例を分解して示した斜視図である。 図1の導波管平面線路変換器1の構成例を示した図であり、導波管平面線路変換器1を上方から見た様子が示されている。 図2の導波管平面線路変換器1の構成例を示した断面図である。 図2の導波管平面線路変換器1の構成例を示した断面図であり、導波管平面線路変換器1をB−B切断線により切断した場合の切断面が示されている。 図2の導波管平面線路変換器1の伝送特性の一例を従来例と比較して示した図である。 図2の導波管平面線路変換器1の他の構成例を示した断面図であり、テーパー導波管10の長さLwを異ならせた場合が示されている。 図6の導波管平面線路変換器1の伝送特性の一例を示した図である。 本発明の実施の形態2による導波管平面線路変換器1の一構成例を示した断面図であり、導波路10aの一方の広壁Ww1だけを傾斜させた場合が示されている。
実施の形態1.
<導波管平面線路変換器1>
図1は、本発明の実施の形態1による導波管平面線路変換器1の一構成例を分解して示した斜視図である。図中には、矩形導波管2に連結される導波管平面線路変換器1が矩形導波管2の管軸方向を鉛直方向と一致させて描画されている。ここでは、水平面内で矩形導波管2の広壁Ww及び狭壁Wnと直交する方向をそれぞれx方向及びy方向と呼び、鉛直方向をz方向と呼ぶことにする。
この導波管平面線路変換器1は、スロット励振型の変換器であり、矩形導波管2に連通するテーパー導波管10と、励振スロット11aが形成された接地板11と、MSL13及び短絡板14が形成された誘電体基板12により構成される。
矩形導波管2は、z方向に延びる導波路2aを有する方形導波管であり、z方向の任意の位置で水平面により切断した場合の切断面が矩形形状からなる。導波路2aは、水平方向の幅が広く、互いに対向する2つの広壁Wwと、水平方向の幅が狭く、互いに対向する2つの狭壁Wnとで囲まれた空間からなる。矩形導波管2では、広壁Ww及び狭壁Wnがいずれもz方向に概ね等幅である。この矩形導波管2は、金属、例えば、アルミニウムからなる直方体形状のブロック体からなり、当該ブロック体に形成された中空部が導波路2aとなる。
テーパー導波管10は、矩形導波管2の導波路2aに連通する導波路10aを有し、導波路10aの広壁を傾斜させることにより、先端開口10bを矩形導波管2の断面よりも狭くした導波管である。つまり、導波路10aを水平面により切断した場合の切断面は、その面積が上方ほど小さくなっており、テーパー導波管10の下端面では、導波路2aの開口と略一致し、上端面では、y方向に細長い矩形形状からなる。このテーパー導波管10は、互いに対向する2つの広壁がいずれも鉛直面(yz面)に対し傾斜した傾斜面からなる。
この様なテーパー導波管10を介在させることにより、矩形導波管2を誘電体基板12によって直接に閉鎖する場合に比べ、反射量を低減させることができる。テーパー導波管10は、矩形導波管2の上端面に接合される。テーパー導波管10も、矩形導波管2と同様に、金属、例えば、アルミニウムからなる直方体形状のブロック体からなり、当該ブロック体に形成された中空部が導波路10aとなる。なお、矩形導波管2とテーパー導波管10とは、別体ではなく、一体で作製しても良い。
接地板11は、誘電体基板12を挟んでMSL13及び短絡板14のグランドを構成する導体板であり、テーパー導波管10及び誘電体基板12間に配置される。励振スロット11aは、孔全体が先端開口10bと重複している細長い矩形形状の貫通孔からなる。この励振スロット11aは、先端開口10bと略同一の形状及びサイズからなる。
誘電体基板12は、誘電体、例えば、エポキシ樹脂等に比べて、比誘電率が小さいフッ素樹脂からなる絶縁性の樹脂基板であり、下面がテーパー導波管10を閉鎖し、上面にMSL13及び短絡板14が形成されている。
短絡板14は、矩形導波管2を終端させるための導体板であり、MSL13を配置するための切り込み14aが形成された連続領域からなる。切り込み14aは、x方向に概ね等幅で延びる溝形状からなり、短絡板14のy方向の中央部に形成されている。MSL13は、電磁波をx方向に伝送する伝送線路であり、切り込み14aの内部からx方向に概ね等幅で延伸し、誘電体基板12の側端面に到達している導体パターンからなる。このMSL13は、励振スロット11aのy方向における中央部に配置されている。
接地板11、短絡板14及びMSL13は、誘電体基板12上に、金属薄膜、例えば、銅箔を貼り付けた後、その金属薄膜をエッチング加工によってパターニングすることによって製作される。接地板11、短絡板14及びMSL13が形成された誘電体基板12をテーパー導波管10の上端面に接合することにより、この導波管平面線路変換器1が完成する。
図2は、図1の導波管平面線路変換器1の構成例を示した図であり、導波管平面線路変換器1を上方から見た様子が示されている。短絡板14は、励振スロット11aを覆うとともに、切り込み14aが形成された連続領域からなる。より詳細に説明すれば、短絡板14は、y方向に延伸し、励振スロット11aの長辺と略平行な外縁14bと、x方向に延伸し、励振スロット11aの短辺と略平行な外縁14cとを有する連続領域からなる。
MSL13が露出している誘電体基板12の側端面を前端面と呼び、反対側の側端面を後端面と呼ぶことにすれば、外縁14bは、励振スロット11aよりも前端面側と、励振スロット11aよりも後端面側とにそれぞれ形成されている。これらの外縁14bは、いずれも励振スロット11aの長辺から管内波長λgの略1/4倍だけ外側に形成されている。
テーパー導波管10及び誘電体基板12間に配置された接地板11の励振スロット11aは、孔全体がテーパー導波管10の先端開口10bと重複しており、スロット励振器として機能する。つまり、誘電体基板12上における励振スロット11aとの重複領域が、導波路10aを閉鎖する閉鎖領域Rc(図3,4に示す)になる。
一般に、誘電体基板の実効誘電率は、材質等が均一であっても、誘電体基板の表面状態によって変化する。また、誘電体基板内を電磁波が伝搬する場合、電磁波は、実効誘電率の変化点で反射される。このため、短絡板14が形成された誘電体基板12では、短絡板14の外縁14b,14cを境界として実効誘電率が変化し、電磁波が反射される。
電磁波が上記閉鎖領域Rcの長辺と交差する方向に誘電体基板12内を伝搬する場合、外縁14bを境界として電磁波が反射される。また、閉鎖領域Rcから進入する入射波は、外縁14bまでの距離がλg/4であることから、外縁14bで反射された反射波と打ち消し合う。このため、誘電体基板12内をx方向に伝搬する電磁波が短絡板14の外側へ漏出するのを抑制することができ、電磁波を効率良くMSL13に伝達することができる。
電磁波の漏れが抑えられる理由を別の観点から説明すれば、テーパー導波管10の端面に接続するスタブとして、スタブ長がλg/4からなるオープンスタブを設けたことにより、テーパー導波管10の端面が全て電気的に短絡され、スルーホールがある場合と等価になる。このため、テーパー導波管10がスルーホールに囲まれている場合と同様の原理によって、誘電体基板12内への電磁波の漏れを抑えることができる。
一方、外縁14cは、励振スロット11aよりも左端面側と、励振スロット11aよりも右端面側とにそれぞれ形成されている。これらの外縁14cは、いずれも励振スロット11aの短辺から管内波長λgの略1/4倍だけ外側に形成されている。電磁波が閉鎖領域Rcの短辺と交差する方向に誘電体基板12内を伝搬する場合には、短絡板14の外縁14cを境界として電磁波が反射される。また、閉鎖領域Rcから進入する入射波は、外縁14cまでの距離がλg/4であることから、外縁14cで反射された反射波と打ち消し合う。このため、誘電体基板12内をy方向に伝搬する電磁波が短絡板14の外側へ漏出するのを抑制することができる。
なお、電磁波が誘電体基板12内をy方向に伝搬して短絡板14の外側へ漏れる割合は、非常に小さいので、励振スロット11aの短辺から外縁14cまでの距離は、λg/4でなくても良い。
MSL13は、誘電体基板12の前端面からx方向に延伸し、励振スロット11aの長辺を跨いでおり、誘電体基板12を挟んで励振スロット11aと電磁的に結合する。このため、MSL13と電磁的に結合させる整合素子が不要になるので、導波管平面線路変換器1の製造を容易化することができる。
テーパー導波管10及び誘電体基板12間に配置された接地板11の励振スロット11aは、孔全体がテーパー導波管10の先端開口10bと重複しており、スロット励振器として機能する。つまり、励振スロット11aと誘電体基板12との重複領域が閉鎖領域Rcになり、その様な閉鎖領域Rcの長辺を跨ぐようにMSL13を形成することにより、整合素子及び短絡板14を備えない導波管平面線路変換器に比べ、伝送損失を低減させることができる。
より詳しく説明すれば、MSL13は、管内波長λgの0.4倍以上かつ0.6倍以下の距離だけ外縁14bから内側に挿入されている。すなわち、MSL13の外縁14bに対する挿入長Lmは、0.4λg≦Lm≦0.6λgの関係を満たしている。
この導波管平面線路変換器1では、矩形導波管2の広壁Wwの幅をa、狭壁Wnの幅をbとし、概ねa=2bの関係を満たしている。また、励振スロット11aのy方向の長さ、すなわち、スロット長は、広壁Wwの幅aと同程度であり、x方向の幅、すなわち、スロット幅Wsは、狭壁Wnの幅bよりも狭い。また、MSL13の幅、すなわち、線路幅Wmは、広壁Wwの幅aよりも十分に狭い。
図3は、図2の導波管平面線路変換器1の構成例を示した断面図である。図中の(a)には、導波管平面線路変換器1をA1−A1切断線により切断した場合の切断面が示され、(b)には、導波管平面線路変換器1をA2−A2切断線により切断した場合の切断面が示されている。
テーパー導波管10は、導波路10aの両広壁Ww1を傾斜させることにより、先端開口10bのx方向の幅を矩形導波管2の狭壁Wnの幅bよりも狭くしている。広壁Ww1は、傾きが一定の傾斜面からなる。接地板11の励振スロット11aは、導波路10aと連通する貫通孔からなる。
短絡板14は、領域全体が励振スロット11aと重複している誘電体基板12上の閉鎖領域Rcを覆っており、励振スロット11aの長辺から外縁14bまでの距離D1は、概ねλg/4である。
図4は、図2の導波管平面線路変換器1の構成例を示した断面図であり、導波管平面線路変換器1をB−B切断線により切断した場合の切断面が示されている。導波路10aの両狭壁Wn1は、水平面に垂直な壁面からなり、先端開口10bのy方向の長さは、矩形導波管2の広壁Wwの幅aと同程度である。
短絡板14は、領域全体が励振スロット11aと重複している誘電体基板12上の閉鎖領域Rcを覆っており、励振スロット11aの短辺から外縁14cまでの距離D2は、概ねλg/4である。
図5は、図2の導波管平面線路変換器1の伝送特性の一例を従来例と比較して示した図である。図中には、横軸を正規化周波数とし、縦軸を反射量RL及び透過量ILとしてこれらの対応関係を示す特性曲線RL1,RL2,IL1,IL2が描画されている。正規化周波数は、ターゲットとする周波数fを用いて正規化した周波数f/fである。例えば、f=76.5GHzである。
反射量RLは、反射損失(リターンロス)をdB単位で示す。透過量ILは、挿入損失(インサーションロス)をdB単位で示す。特性曲線RL1及びIL1は、本発明による導波管平面線路変換器1を用いた場合の反射量RL及び透過量ILをそれぞれ表している。また、特性曲線RL2及びIL2は、整合素子及び短絡板を備えた従来の導波管平面線路変換器を用いた場合の反射量RL及び透過量ILをそれぞれ表している。
本発明の発明者らによる伝送特性のシミュレーション実験によれば、MSL13の挿入長Lmが0.4λg以上0.6λg以下の範囲内にある場合に、良好な伝送特性が得られた。一方、MSL13の挿入長Lmが上記範囲から外れれば、伝送損失が著しく増大することが確かめられた。
図5に示す特性曲線RL1及びIL1は、広壁Wwの幅a=3.2mm、狭壁Wnの幅b=1.55mmの矩形導波管2に対し、広壁Ww1の傾斜角度=5°、先端開口10bの幅(スロット幅Wsに相当)=0.2mmのテーパー導波管10を用いるとともに、MSL13の挿入長LmがLm=0.47λg(1.33mmに相当)である場合のシミュレーション結果である。挿入長Lm=0.47λgは、他のパラメータを固定した場合の最適値である。
特性曲線IL1は、0.9以上1.1以下の範囲内において、正規化周波数=1付近をピークとして概ね一定である。透過量ILのピーク値は、−0.5dBである。特性曲線IL2は、特性曲線IL1とほぼ近似した傾向を示しているが、低周波数側において透過量ILが若干落ち込んでいる。従って、導波管平面線路変換器1は、透過量ILにおいて、従来の導波管平面線路変換器と同程度以上の性能を有していることが判る。
これに対し、特性曲線RL1は、0.9以上1.1以下の範囲内において、正規化周波数=1付近で急激に減少し、反射量RLの最小値は、−27dB程度となっている。また、反射量RLが−10dB以下となる周波数帯域の帯域幅Wb1は、14%である。一方、特性曲線RL2の最小値は、−22dB程度であり、反射量RLが−10dB以下となる周波数帯域の帯域幅Wb2は、4.6%である。つまり、導波管平面線路変換器1では、従来の導波管平面線路変換器よりも広い周波数帯域で反射量RLが抑制されることが判る。
本実施の形態によれば、導波路10aの広壁Ww1を傾斜させたテーパー導波管10を介在させることにより、反射量RLが抑えられるので、矩形導波管2を誘電体基板12によって直接に閉鎖する場合に比べ、導波管平面線路変換器1の伝送損失が増大するのを抑制することができる。また、MSL13は、領域全体が先端開口10bと重複している誘電体基板12上の閉鎖領域Rcの長辺を跨いでおり、誘電体基板12を挟んで励振スロット11aと電磁的に結合する。このため、MSL13と電磁的に結合させる整合素子が不要になるので、導波管平面線路変換器1の製造を容易化することができる。
図6は、図2の導波管平面線路変換器1の他の構成例を示した断面図であり、テーパー導波管10の長さLwを異ならせた場合が示されている。図中の(a)には、テーパー導波管10の長さLwを図3に示したテーパー導波管10の1/2程度にした場合が示され、(b)には、図3のテーパー導波管10の1/3程度にした場合が示されている。長さLwは、z方向の管長である。
このテーパー導波管10は、導波路10aの両広壁Ww1を傾斜させることにより、先端開口10bのx方向の幅を矩形導波管2の狭壁Wnの幅bよりも狭くしている。広壁Ww1の傾斜角度は、図3のテーパー導波管10と同程度である。また、励振スロット11aの長辺から外縁14bまでの距離D1は、概ねλg/4である。
図6(a)のテーパー導波管10の場合、先端開口10bの幅、すなわち、スロット幅Wsは、0.75mmであり、MSL13の挿入長Lmは、0.48λg(1.37mmに相当)である。
図6(b)のテーパー導波管10の場合、先端開口10bの幅、すなわち、スロット幅Wsは、1.25mmであり、MSL13の挿入長Lmは、0.49λg(1.40mmに相当)である。
図7は、図6の導波管平面線路変換器1の伝送特性の一例を示した図である。図中の(a)には、図6(a)に示したテーパー導波管10の場合が示されている。特性曲線RL3及びIL3は、反射量RL及び透過量ILをそれぞれ表している。
特性曲線IL3は、0.9以上1.1以下の範囲内において、正規化周波数=1付近をピークとし、正規化周波数1までの範囲内で緩やかに増加する一方、1を越えれば、急激に減少している。透過量ILのピーク値は、−1.6dBである。特性曲線RL3は、0.9以上1.1以下の範囲内において、正規化周波数=1付近で最小となり、反射量RLの最小値は、−8dB程度となっている。
図中の(b)には、図6(b)に示したテーパー導波管10の場合が示されている。特性曲線RL4及びIL4は、反射量RL及び透過量ILをそれぞれ表している。特性曲線IL4は、0.9以上1.1以下の範囲内において、正規化周波数=1付近をピークとし、正規化周波数1までの範囲内で緩やかに増加する一方、1を越えれば、急激に減少している。透過量ILのピーク値は、−2.6dBである。特性曲線RL4は、0.9以上1.1以下の範囲内において、正規化周波数=1付近で最小となり、反射量RLの最小値は、−6dB程度となっている。
これらのシミュレーション結果から、テーパー導波管10の長さLwを変更してスロット幅Wsを異ならせた場合であっても、MSL13の挿入長Lmが0.4λg以上0.6λg以下の範囲内であれば、概ね良好な伝送特性が得られていることが判る。
実施の形態2.
実施の形態1では、導波管平面線路変換器1が導波路10aの両広壁Ww1を傾斜させたテーパー導波管10を備える場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、導波路10aの一方の広壁Ww1だけを傾斜させたテーパー導波管10を備える場合について説明する。
図8は、本発明の実施の形態2による導波管平面線路変換器1の一構成例を示した断面図であり、導波路10aの一方の広壁Ww1だけを傾斜させたテーパー導波管10を備える場合が示されている。このテーパー導波管10は、前側の広壁Ww1が水平面に垂直な壁面からなるのに対し、後側の広壁Ww1は、前側へ傾斜している。
広壁Ww1の傾斜角度は、図3に示したテーパー導波管10の広壁Ww1と同程度であり、長さLwは、図3のテーパー導波管10の2倍程度である。この様に構成することにより、先端開口10bの幅、すなわち、スロット幅Wsが0.2mmのテーパー導波管10を得ることができる。
接地板11の励振スロット11aは、導波路10aと連通する貫通孔からなる。短絡板14における励振スロット11aの長辺から外縁14bまでの距離D1は、概ねλg/4である。この様な構成であっても、伝送損失が増大するのを抑制しつつ、製造を容易化した導波管平面線路変換器1を提供することができる。
なお、実施の形態1及び2では、導波管平面線路変換器1が励振スロット11aを有する接地板11を備える場合の例について説明したが、本発明は、その様な接地板11を備えないものにも適用することができる。例えば、誘電体基板12をテーパー導波管10の上端面に貼り付けて導波路10aを閉鎖することにより、テーパー導波管10の先端部をスロット励振器として機能させ、テーパー導波管10全体をグランドとして機能させることができる。この場合、テーパー導波管10の先端開口10bに対向する誘電体基板12上の領域が閉鎖領域Rcになる。また、短絡板14は、テーパー導波管10の先端開口10bを覆い、MSL13は、先端開口10bの長辺を跨ぐように形成される。
また、実施の形態1及び2では、励振スロット11aがテーパー導波管10の先端開口10bと略同一の形状及びサイズからなる場合の例について説明したが、本発明は励振スロット11aの構成をこれに限定するものではない。例えば、励振スロット11aのスロット長やスロット幅Wsは、先端開口10bの長さや幅よりも短くても良い。
1 導波管平面線路変換器
10 テーパー導波管
10a 導波路
10b 先端開口
11 接地板
11a 励振スロット
12 誘電体基板
13 MSL
14 短絡板
14a 切り込み
14b,14c 外縁
2 矩形導波管
Rc 閉鎖領域
Wn 矩形導波管2の狭壁
Ww 矩形導波管2の広壁
Wn1 テーパー導波管10の狭壁
Ww1 テーパー導波管10の広壁

Claims (3)

  1. 矩形導波管に連通する導波路を有し、上記導波路が中空部からなり、上記導波路の広壁を傾斜させて先端開口を上記矩形導波管の断面よりも狭くしたテーパー導波管と、
    一方の主面が上記テーパー導波管を閉鎖し、他方の主面上にマイクロストリップ線路及び短絡板が形成された誘電体基板とを備え、
    上記短絡板は、領域全体が上記先端開口と重複している上記誘電体基板上の閉鎖領域を覆うとともに、上記マイクロストリップ線路を配置するための切り込みが形成された連続領域からなり、
    上記マイクロストリップ線路は、上記閉鎖領域の長辺を跨いでいることを特徴とする導波管平面線路変換器。
  2. 上記テーパー導波管及び上記誘電体基板間に配置され、孔全体が上記先端開口と重複している細長い矩形形状の貫通孔を有する接地板を備えたことを特徴とする請求項1に記載の導波管平面線路変換器。
  3. 上記短絡板は、上記閉鎖領域の長辺と略平行であって、上記閉鎖領域の上記長辺から管内波長の略1/4倍だけ外側に形成された外縁を有し、
    上記マイクロストリップ線路は、管内波長の0.4倍以上かつ0.6倍以下の距離だけ上記外縁から内側に挿入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導波管平面線路変換器。
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