JP6182047B2 - 藻類の成長促進剤および藻類の増殖方法 - Google Patents

藻類の成長促進剤および藻類の増殖方法 Download PDF

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Description

本発明は、藻類の成長促進剤および藻類の増殖方法に関する。
腐植物質は、環境中の物質循環、生物活性、重金属またはPPCPs(日用品由来医薬)の動態に関与しており、結合作用、分散作用、湿潤作用または潤滑作用等様々な機能を有する天然資源である。腐植物質とは、生物の死後、生体有機物が微生物学的または熱化学的作用を受けて崩壊して生じた、化学構造が特定されない有機物(非生体有機物)の総称であり、地球上の水圏、土壌または堆積物環境に広く分布している。腐植物質は、分離法に基づいた操作主義的にフミン酸画分またはフルボ酸画分等に定義され、その構造、分子量または官能基含有量等は、生成される環境によって大きく異なる。
水溶性ガス田施設では、地下500m以深から地下水(かん水)が汲み上げられ、そこに溶解しているメタンまたはヨードは分離・回収され、販売されている。これらが回収されたかん水は地盤沈下防止のために一部は地下に還元圧入されている。また、かん水は還元圧入のために施設内のサクションタンクに一時貯蔵されているが、そこには藻類の増殖に必要な成分が少なく、増殖し難い環境条件にある。
しかし、サクションタンク内には藻類ブルームの形成が確認されている。かん水には、藻類ではないが、イネなどの大型植物の成長を促進する効果を有する物質(腐植物質)の存在が確認されている。すなわち、かん水には植物の増殖を促進する効果を有する物質が含まれ、これらが藻類の増殖に効果がある可能性が考えられる。
また、藻類を増殖させる別の方法も知られている。例えば、特許文献1には、藻細胞分裂の速度および藻細胞数を増加させる、藻類の生成物生成に最適化された、フルボ酸およびフミン酸を使用する培養方法が記載されている。
特許文献2には、フルボ酸およびフミン酸等の植物成長調節剤(成長ホルモン、インドール酢酸等)およびホルモン模倣体(フェノキシ酢酸化合物等)の使用により、独立栄養的、従属栄養的、または光従属栄養的に生育した藻類からのバイオマスの生成を向上させる方法が記載されている。
特許文献3には、かん水に含まれる腐植物質から製造されたフルボ酸は、従来のフルボ酸以上に、植物の生長を促進するのみならず、発芽を促進し、耐病性を向上し、耐乾燥性を向上し、光合成を促進し、代謝を促進し、植物性酵素を活性化することが開示されている。
しかしながら、腐植物質の成分であるフルボ酸のどのような成分が、最も効果的に藻類を増殖させるかについては不明な点が多い。一方、藻類によるバイオ燃料生産においては、大量の藻類を時間的およびエネルギー効率的に増殖させることが事業性を左右するため、増殖速度の速い藻類の探索または育種、藻類の成長促進剤およびフォトバイオリアクターの改変等様々な検討が行われている(特許文献4、非特許文献1)。
特表2012−512655号公報 特表2012−514978号公報 特開2003−171215号公報 特開平5−186304号公報
「微細藻類によるエネルギー生産と事業展開」、CMC出版、2012年、p.232−244
したがって、本発明は、藻類の増殖を効果的に促進する成長促進剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、かん水に含有される特定の物性を有するフルボ酸含有組成物が藻類の増殖を効果的に促進することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
1.かん水から調製したフルボ酸含有組成物を含有する藻類の成長促進剤であって、該フルボ酸含有組成物の分子径が0.45μm以下であり、且つ元素分析値が、C(32±10%)、N(2.0±10%)の範囲にあり、C/Nが15以上である藻類の成長促進剤。
2.前記フルボ酸含有組成物が、分子径が0.025μm以下であり、且つ分子量500〜3,000でUV吸収を持つフルボ酸含有組成物を含有する前項1に記載の藻類の成長促進剤。
3.前記フルボ酸含有組成物が以下の(a)〜(c)のいずれか1である前項1に記載の藻類の成長促進剤。
(a)分子量10,000〜30,000でUV吸収を持たないフルボ酸含有組成物
(b)分子量500〜3,000でUV吸収を持つフルボ酸含有組成物
(c)分子量300以上500未満でUV吸収が相対的に強いフルボ酸含有組成物
4.前記藻類が、配列番号1で示される16S rRNA配列を有する前項1〜3のいずれか1項に記載の藻類の成長促進剤。
5.前記かん水が、地殻変動により地中に封鎖された海水、周辺の地層から溶出した塩分を含有する地下水、淡水に比べて塩分濃度が高い湧水、淡水に比べて塩分濃度が高い温泉水、油層水、および油田、ガス田または炭田の坑廃水から選ばれる少なくとも1である前項1〜4のいずれか1項に記載の藻類の成長促進剤。
6.かん水を超音波洗浄機で超音波処理し、少なくとも二種類のMF膜および/またはUF膜で分画したフルボ酸含有組成物を、藻類を含有する培養液に成長促進剤として添加する藻類の増殖方法。
本発明の藻類の成長促進剤は、フルボ酸含有組成物を含有することにより、藻類、特に藍藻、緑藻および珪藻の増殖を効果的に促進する。また、かん水に本発明の藻類の成長促進剤を添加し、藻類を培養することにより、かん水中の重炭酸イオン、アンモニウムイオン濃度を大幅に減少させることが可能となり、還元井の閉塞の予防策として有効である。
図1(a)〜(d)は、かん水に含まれる有機物質群のGPC−TCおよびUV吸収特性を示す図である。 図2は、かん水Bに含まれるフルボ酸様物質のFT−IRスペクトルを示す図である。 図3は、かん水B中の腐植物質(DOC)濃度が単離藻類の増殖に与える効果を示す図である。 図4は、分子径0.025μm以下の分画成分が単離藻類の増殖率を高めることを示す図である。 図5は、分画成分をかん水Bに追加添加した単離藻類の増殖率に与える効果を示す図である。 図6は、分画成分をかん水Bに追加添加した単離藻類の増殖率に与える効果を示す図である。 図7は、超音波処理で分散させたかん水B中の物質が単離藻類の増殖に与える効果を示す図である。 図8は、高い脂質蓄積能を有する藻類(藍藻、緑藻、珪藻)の増殖に対するかん水Bの膜画分による効果を示す図である。
本発明の藻類の成長促進剤に含まれるフルボ酸を含有する組成物(以下、本発明に用いるフルボ酸含有組成物ともいう)は、腐植物質を豊富に含み特定の特性を有するかん水を選択し、該かん水の液性を酸性とし、得られた酸性水から多孔性吸着剤が充填されたカラムにより精製した後、少なくとも二種類のMF膜および/またはUF膜で分画する方法を採用することにより、実用レベルで製造することができる。
本発明において「フルボ酸」とは、IHSS(International Humic Substance Society;国際腐植物質学会)法(Thurman and Malcolm,1981)により、かん水の液性を酸性にして、フミン酸などの酸不溶な腐植物質の画分と、酸可溶な画分とを分離した後、濾過または遠心法などにより酸不溶成分を除去した脱離液を陽イオン交換樹脂等の多孔性吸着剤に吸着させて分離した画分を意味する。
かん水とは淡水に比べて塩分濃度の高い地下水を言う。かん水としては、例えば、地殻変動により地中に封鎖された海水、周辺の地層から溶出した塩分を含有する地下水、淡水に比べて塩分濃度が高い湧水、淡水に比べて塩分濃度が高い温泉水、油層水、または油田、ガス田若しくは炭田の坑廃水が挙げられる。しかしながら、原料となるかん水としては、腐植物質を多量に含有しているものが好ましく、腐植物質を多量に含有しているかん水は一般に着色している。
なお、かん水の含有物および含有物濃度は産出される地域により大きく異なる。また、同じ地域から産出されるかん水の場合も、採取する深度によって、含有物および含有物濃度は大きく異なる。従って、十分な品質のフルボ酸含有組成物を十分な生産性で得るためには、使用するかん水を注意深く選択する必要がある。
上記の様なかん水の中には、腐植物質の大部分がフルボ酸であるものが存在し、この様なかん水を用いれば、実質的にフルボ酸のみを含有するフルボ酸含有組成物を、安価に製造できるので好ましい。具体的には、腐植物質中のフルボ酸含有量が70質量%以上であるかん水が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
また、上記の様なかん水の中には、0.098MPa(1atm)下で25℃の水に溶解する飽和溶解度以上のメタンと、50質量ppm以上のヨウ素とを含有するものがある。この様なかん水としては、水溶性天然ガス付随かん水などを挙げることができる。
上記の様なかん水からフルボ酸含有組成物を製造する際に、かん水を脱気処理してメタンを初めとする天然ガス成分を除去した後に得られるかん水、または、少なくとも酸化処理しヨウ素を除去して得られる二次かん水を使用することにより、藻類の成長促進剤として高活性なフルボ酸含有組成物が得られると考えられる。
二次かん水は、酸化処理中にフルボ酸の一部が分解され低分子量化され、藻類に対する吸収効率が向上することができると考えられる。また、フルボ酸の分解により生成した低分子化合物が更に反応および重合などして生じた化合物が関与しているとも考えられる。更に、酸化処理中に活性な官能基がフルボ酸およびフルボ酸分解物に導入される等の化学反応も考えられる。加えて、かん水に含まれるヨウ素および酸化処理で使用される塩素などに起因している可能性もある。
また、フルボ酸含有組成物を製造する際に、かん水を脱気処理してメタンを初めとする天然ガス成分を除去し、フルボ酸を回収した後にヨウ素を回収することにより、ヨウ素の回収率を向上することができる。
以上で説明した様なフルボ酸含有組成物は、以下に述べる様な特定の方法を採用することにより、実用レベルで製造することができる。
先ず、かん水を濃縮することが好ましい。濃縮倍率は通常5倍が好ましく、10倍以上がより好ましく、一方、通常100倍以下が好ましく、50倍以下がより好ましい。濃縮方法としては、例えば、減圧蒸発法、吸着法、膜分離法、凍結濃縮法および溶媒抽出法などを挙げることができる。
膜分離法の中でも、精密濾過法、限外濾過法、逆浸透濾過法または透析濾過法などが、濃縮効率が高く、フルボ酸の劣化が少ないと予想され好ましい。
引続き、かん水の液性を酸性とする。これにより、フミン酸などの酸不溶な腐植物質の画分と、酸可溶なフルボ酸とを分離することができる。具体的には、かん水に塩酸、酢酸またはトリフルオロ酢酸(TFA)などを添加してpHを所定の値に調整するが、添加する酸が揮発性の酸であることにより脱塩が容易であるので好ましく、フルボ酸の劣化が少ないなどの理由から、塩酸が好ましい。また、pHとしては、十分な分画を行いフルボ酸の劣化を抑制する観点から、1以上が好ましく、一方、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
かん水を酸性とした後、濾過または遠心法などにより酸不溶成分を除去し、酸性水中のフルボ酸を非イオン性多孔質吸着剤に吸着する。
その後、0.1モル/Lの水酸化ナトリウムによりフルボ酸を溶出し、再度塩酸等を用いて前記と同様にpHを調整する。その後、H+型陽イオン交換樹脂によりフルボ酸をナトリウムフリーとし、これを例えば凍結乾燥してフルボ酸を得る。
ここで、原料のかん水がメタン等の天然ガスおよびヨウ素を含んでいる場合、先ず、かん水を脱気して天然ガスを除去する。その後、かん水を酸化処理し、ヨウ素を除去して二次かん水とする。酸化処理によりかん水中のヨウ化物イオンはヨウ素分子に酸化され除去される。なお、酸化処理をすることにより、同時に殺菌処理も行われていると考えられ、滅菌された最終製品を得ることができる。酸化処理の方法としては、例えば、塩素水を添加する方法が挙げられる。
以上の様にして得られた二次かん水は、かん水の原水の場合と同様に濃縮し、二次かん水の液性を酸性として、二次酸性水からXAD−8樹脂などの非イオン性多孔質吸着剤により精製することが好ましい。2次かん水からフルボ酸含有組成物を製造することにより、植物活力剤として更に高い活性を有するフルボ酸含有組成物を得ることができる。
本発明に用いるフルボ酸含有組成物は、かん水を少なくとも二種類のMF膜および/またはUF膜で分画することにより得られる。本発明において使用する濾過膜は、MF膜(精密濾過膜)は、0.025〜0.45μmの孔径を有することが好ましい。UF膜(限外濾過膜)は、0.0012〜0.0090μmの孔径を有することが好ましい。
複数膜を用いた分画は、具体的には、例えば、下記の手法により行う。
1)1回目の濾過は、より大きい孔径の膜を使用してかん水を濾過して濾液を得る。
2)2回目は、一度濾過した濾液を1段階細かいフィルターで再濾過する。
3)再濾過後のフィルターには、1回目に使用した膜と2回目に使用した膜の各孔径間孔径を有する物質が残留する。
4−1)精密濾過(MF)膜を使用して分画する場合は、孔径0.025μmの濾過膜で濾過したかん水を用いて2回目に濾過したフィルターを逆洗し、残留物質を回収して、1回目に使用した膜と2回目に使用した膜で分画された物質とする。
4−2)限外濾過(UF)膜を使用する場合、膜の構造上逆洗が出来ないので、新たなかん水に再濾過したフィルターを浸漬し、残留物質を回収し、1回目に使用した膜と2回目に使用した膜で分画された物質とする。
なお、かん水は保管中に、増殖促進物質同士が結合して大きな構造を形成する可能性が考えられ、かん水を超音波処理することにより、藻類の増殖を促進する効果が向上し得る。
MF膜およびUF膜の材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、酢酸セルロース(CA)、ポリエチレン(PE)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)およびセラミックス等が挙げられる。
本発明に用いるフルボ酸含有組成物の元素分析値は、C(32±10%)およびN(2.0±10%)であり、好ましくはC(32±7%)およびN(2.0±7%)、より好ましくはC(32±5%)およびN(2.0±5%)である。また、C/N比は、15以上であり、好ましくは17以上である。フルボ酸含有組成物の元素分析は、元素分析装置または理化学分析により行うことができる。
本発明に用いるフルボ酸含有組成物は、分子径が0.45μm以下である。フルボ酸含有組成物の分子径としては、0.001〜0.025μm、0.012μm以下、0.001μm未満の画分が挙げられる。本発明に用いるフルボ酸含有組成物としては、分子径が0.025μm以下であり、且つ分子量500〜3,000でUV吸収を持つフルボ酸含有組成物が挙げられる。
また、本発明に用いるフルボ酸含有組成物としては、以下の(a)〜(c)のいずれか1が挙げられる。なお、フルボ酸含有組成物の平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー法またはサイズ排除クロマトグラフィー法などにより測定できる。
(a)分子量10,000〜30,000でUV吸収を持たないフルボ酸含有組成物
(b)分子量500〜3,000でUV吸収を持つフルボ酸含有組成物
(c)分子量300以上500未満(300付近)でUV吸収が相対的に強いフルボ酸含有組成物
全分画成分中、前記(b)に属する分画成分は40〜50質量%であることが好ましく、数平均分子量は300以上が好ましく、500以上がより好ましく、また、50000以下が好ましく、40000以下がより好ましい。前記(c)に属する分画成分は32〜42質量%であることが好ましい。また、親水性は80%以上であることが好ましい。
フルボ酸含有組成物のUV吸収については、GPC−UV/TC計による分子量分画分析(GPC:ゲル・パーメイション・クロマトグラフィー)で分析することができる(特許第2828367号公報)。
本発明に用いるフルボ酸含有組成物は、254nmの紫外吸光/有機炭素が、3SAC/OC(HS)inL(mg・m)以下であることが好ましく、2.5SAC/OC(HS)inL(mg・m)以下であることがより好ましく、2SAC/OC(HS)inL(mg・m)以下であることがさらに好ましい。
ここで、SACは紫外吸収検出器(UVD、Ultra violet detector)で得られた254nmの分光吸収係数[Spectral Absorption Coefficient(254nm at 1m path)]、OCは有機炭素(Organic carbon)、HSは腐植物質(Humics)を意味する。
UVDにおける応答が芳香族および不飽和構造を反映していることから、SAC/OCはHSピークの特定の紫外吸光、およびHSの芳香族性の尺度となる[Stefan A.Huber et.al.,WATER RESEARCH,45(2011),p.879−885]。
フルボ酸含有組成物の形態としては、溶液およびコロイドの少なくとも何れか一方の形態でフルボ酸含有組成物を含有する水性組成物;フルボ酸含有組成物を支持する担持体を含有する分散系組成物;フルボ酸含有組成物を支持する担持体を含有する固形組成物などを挙げることができる。フルボ酸含有水性組成物は、所定量のフルボ酸含有組成物を水および水溶液などに添加することで製造できる。
例えば、少なくとも腐植物質を含み、必要に応じてヨウ素およびメタン等を含むかん水から、フルボ酸含有組成物を単離することなく、フルボ酸の濃度が所定の範囲となるようかん水を濃縮または希釈して、フルボ酸含有水性組成物を製造できる。なお、必要に応じて、過剰の塩類などを除去したり、塩分濃度を低下するために希釈することもある。
また、少なくとも腐植物質を含み、必要に応じてヨウ素およびメタン等を含むかん水を濃縮する前に、フルボ酸含有組成物の製造の場合と同様に、かん水を脱気して天然ガスを除去し、更に必要に応じて酸化処理してヨウ素を除去し、得られた二次かん水を濃縮または希釈し、過剰の塩類などを除去して、フルボ酸含有水性組成物を製造することもできる。
本発明に用いるフルボ酸含有組成物はフルボ酸含有水性組成物またはフルボ酸含有分散系組成物とすることにより、例えば、藻類などの植物成長促進剤として使用できる。また、フルボ酸含有組成物がフルボ酸含有固形組成物の場合、該組成物は例えば培地上または耕地中に設置して使用できる。
本発明において、「藻類」には、原核生物、真核生物を問わず、緑藻類、褐藻類、藍藻類若しくは紅色光合成細菌等の原生動物、または水草等の水生の光合成能を有する生物が含まれる。より具体的には、例えば、光合成緑藻類のクロレラ、バイノス(パラクロレラ属微細藻類パラクロレラ・エスピー・バイノス(Parachlorella sp.binos)、重油を生産するボトリオコッカスおよびアスタキサンチンを生産することで知られるヘマトコッカスが挙げられる。褐藻類としては、例えば、ワカメまたは昆布等の海草類が挙げられる。藍藻類としては、例えば、スピルリナおよびシネココッカスが挙げられる。
これらの中でも、藍藻類が好ましく、Synechocystis属細菌に属する藻類がより好ましく、配列表の配列番号1で示される16S rRNA配列を有する藻類が特に好ましい。
藍藻、珪藻または緑藻等の脂質を産生する藻類を含有する培養液に、本発明の藻類の成長促進剤を添加することにより、該藻類による脂質の生産量を高めることができる。
また、本発明の藻類の成長促進剤を添加してかん水中で藻類を培養することにより、かん水中の重炭酸イオンおよびアンモニウムイオン濃度を大幅に減少させることが可能となり、還元井の閉塞の予防策として有効であり、ガス田の生産効率を向上することができる。
なお、本明細書において「有機物質群」または「物質群」と記載することがあるが、それらはフルボ酸を含有する複数の物質の混合物であり、かん水から調製されたフルボ酸を含有する組成物を意味する。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はそれらに限定されない。
<実施例1>
(フルボ酸様物質の分析)
日本国千葉県成東地区の地下500m以深から採取した地下かん水(以下、「かん水A」とする)およびかん水Aを酸化処理してヨウ素を回収したかん水(以下、「かん水B」とする)を含む溶液を分析試料とし、フミン酸およびフルボ酸の定量、GPC分析、三次元蛍光分析、赤外吸光分析(FT−IR)および元素分析を行った。また、420nmの吸光度(腐植物質の吸光)を測定した。なお、かん水Aおよびかん水Bによる藻類の成長促進における効果は、実質的に同等であると考えられる。
試料溶液は濃縮し、アルカリ性として可溶性分を採取し、酸性として不溶分のフミン酸を除去した試料を測定試料とした。比較用試料は「段戸」フミン酸およびフルボ酸を用いた。「段戸」フミン酸およびフルボ酸は愛知県北設楽郡設楽町の段戸褐色森林土壌由来であり、腐植物質学会標準品となっている。
(分画液のDOC濃度)
分画液の腐植物質濃度としてDOC(溶存有機炭素)濃度を測定した結果、ほぼ全ての有機物がフルボ酸分画に画分され、かん水A DOC=41(mg/L)、かん水B DOC=35(mg/L)となった。
試料 フミン酸分画 フルボ酸分画
かん水A <10 54
かん水B <10 44
吸光光度(段戸標準)での定量値は、分子構造の差異(吸光度の特性)に起因する誤差があると思われるが、下記測定値が得られた。
試料 フミン酸分画 フルボ酸分画
かん水A <2 17
かん水B <2 26
(GPC分析I)
GPC(Gel Permeation Chromatography)−UV/TC検出器による分子量分画分析を行い、Asahipak GS−320 20G(排除限界:40,000Da分取用、マルチモード)をカラムとして用いてGPC分析を行った。
標準物質による分画特性を表1に示すが、分子量(対数)と保持時間に直線性があるため、出現ピーク位置による推定分子量が計算可能となる。
Figure 0006182047
GPC分析の結果、図1(a)〜(d)に示すように、かん水Aおよびかん水Bに含まれる有機物質群は、分子量数百〜数万のサイズを持つ物質群(複数物質が混合)が主体である、以下の1〜3に示す物質群(複数の物質の混合物)であった。
1.分子量10,000〜30,000でUV吸収を持たない有機物質群
2.分子量500〜3,000でUV吸収を持つ有機物質群
3.分子量300付近でUV吸収が相対的に強い有機物質群
また、かん水Bに含まれるフルボ酸は、図2のFT−IRスペクトルに示すように、カルボキシル基などによる親水性が強いことがわかった。
(GPC分析II)
Huber社LC−OCDによる分子量分画分析(LC−OCD:Liquid Chromatography−Organic Carbon Detection)を行い、TOSO TSK HW−50S(排除限界:50,000Da分取用、マルチモード)をカラムとして用いてGPC分析を行った。
その結果、かん水Aおよびかん水Bに含まれるフルボ酸はカルボキシル基などによる親水性が80%以上と強く、芳香族含有量は、2.3〜2.6SAC/OC(HS)inL(mg・m)であった。
(三次元蛍光分析)
フミン酸、フルボ酸の存在を調べるため、かん水Aおよびかん水Bの3次元蛍光分光分析を下記の測定条件で行った。
・測定装置 Fluorolog 3−22(堀場Jobin Yvon社製)
・光源 キセノンランプ
・検出器 PMT(dark countを補正した)
・励起波長 250〜550nm(5nmおき)
・観測波長 250〜650nm(2nmおき)
・スリット幅 励起側2nm 観測側2nm
・時定数 0.2s
・測定モード SC/RC(※)各波長の励起光強度で、発光強度を規格化している。
特にフィルターは使用していない。
・溶液測定(光路長1cm石英セル) 90°観測
3次元蛍光スペクトルによる測定の結果、かん水Aおよびかん水Bでは、330nm付近の光励起で400nm付近に発光している成分が見られ、その濃度はかん水Aの方が大きいものと考えられた。この発光ピーク位置は、段戸(愛知県北設楽郡設楽町の段戸褐色森林土壌由来、腐植物質学会標準品)(フミン酸)より、段戸(フルボ酸)の方に近かった。
しかし、段戸(フルボ酸)では、320nm付近の光励起で440nm付近に発光しており、かん水Aおよびかん水Bに含まれるフルボ酸は段戸(フルボ酸)とは化学構造が異なると思われる。実際、段戸(フルボ酸)の方が、発光強度はかん水Aおよびかん水Bの方が大きかったことからも、その可能性が考えられる。
(元素分析)
かん水Aおよびかん水Bに含まれるフルボ酸含有組成物の試料として、かん水Aおよびかん水BをThermo社製透析膜CassetteG2(2,000MWCO)にて透析し、電気伝導率を、原水の約5(S/m)から0.01(S/m)以下にしたものを、凍結乾燥して元素分析計にて測定した(誤差範囲は、測定値±5%)。その結果を表2に示す。
Figure 0006182047
表2に示すように、かん水Aおよびかん水Bに含まれるフルボ酸含有組成物の元素分析値は、C(32±10%)、N(2.0±10%)の範囲にあり、C/Nが15以上であることがわかった。
<実施例2>
(かん水B中DOCが藻類の増殖に及ぼす効果)
かん水B中に含まれる腐植物質が藻類の増殖に及ぼす効果を検討した。かん水Bと表3に示すTOC(全有機炭素)またはDOCを含まない人工かん水(人工培地)とを様々な割合で混合し、かん水B中の腐植物質(DOC濃度)と単離藻類の増殖率との関係を調べた結果を図3に示す。図3に示すように、腐植物質が多い(DOC濃度が高い)ほど、単離藻類の増殖率も増加した。
Figure 0006182047
藻類の増殖率は試験開始時と7日間培養後のサンプルの吸光度(750nm)を分光光度計にて測定し、式1を用いて増殖率を算出し評価した。
増殖率(%)=対象系の吸光度/コントロール系の吸光度×100%・・・式1
なお、コントロール系の吸光度とはかん水Bそのものを用いて藻類を7日間培養した後の吸光度であり、対象系の吸光度とは、膜を使った分画操作を加えたかん水Bを用いて藻類を7日間培養した後の吸光度である。
単離藻類の培養は、サクションタンクから藻類ブルームを回収し、少量をかん水Bに植菌し蛍光灯にて光強度5.0±0.5W/m2にて連続照射した。7日間経過後にはかん水Bに適した藻類が優先的に増殖した。この一連の作業を複数回実施することで増殖速度の速い藻叢を集積した。次に、集積した藻叢をBG−11平板培地上に塗抹し、同培養条件下において生育するコロニーを釣菌した。さらに、コロニーをPYG培地で培養して共生微生物の有無を確認した。以上の操作により、増殖速度の高い藻類を単離し、当該藻類を供試藻類とした。なお、当該藻類は、形態学的観察より、藍色細菌(藍藻)であると推察された。
前記藻類の16S rRNA配列を配列表の配列番号1に示す。前記藻類の菌体生産量、油分含有量、油分成分、油分成分生産性を調べた結果を表4に示す。
Figure 0006182047
(藻類の同定)
かん水B中で増殖速度の速い藻類を特定するために、(1)藻類の顕微鏡観察による形態的特徴の確認と、(2)遺伝子解析としてダイレクトシークエンス法による16S−rRNA遺伝子配列の解読を実施し、2つのデータを合わせて藻類の特定を行った。
(1)藻類試料液をスライドグラスに滴下し顕微鏡観察を行い、形態的特徴について確認した結果、緑色のCyanobacteria門細菌様の細胞が検出された。細胞形状は単細胞であり、球菌−二連球菌であった。細胞の大きさは、2.6±0.2μm(n=16)であった。これらの特徴は、Cyanobacteria subsection I(Chroococcales目)の特徴と一致した(Richard W.et al.,In,Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology second edition,p.473,2004)。したがって、本試料中に含まれる藻類はCyanobacteria subsection I(Chroococcales目)に分類されるものと考えられた。
(2)ダイレクトシークエンスによる塩基配列の解析
試料を遠心分離により集菌した後、上清を除去し、滅菌水で数回菌体を洗浄した。洗浄した菌体からSoil DNA Isolatin kit(MoBio社製)を用いてDNAを抽出した。抽出方法は説明書に従った。
抽出したDNAを鋳型として、藻類(Cyanobacteria門細菌)の16S rRNA遺伝子配列に特異的なプライマーを用いてPCRを行った。PCRの反応条件は、96℃にて1分間の後に、96℃にて30秒間、60℃にて1分間および72℃にて1分間を30サイクル後、72℃にて10分間とした。プライマーは既往の報告(Nubel,U.et al.Applied and environmental microbiology 63:3327−32,1997)において、Cyanobacteria門細菌の16S rRNA遺伝子配列の特異的な増幅に用いられている表5に示すプライマーを用いた。
Figure 0006182047
試料から抽出したDNAを鋳型として、Cyanobacteria門細菌の16S rRNA遺伝子配列を増幅し、塩基配列を決定した。その結果、塩基長977bpである配列表の配列番号1に示す配列であった。BLASTによる相同性解析の結果、解読した塩基配列はSynechocystis sp.PCC 6803 strain GT−Sと98%と高い相同性を示した。
16S rRNA遺伝子配列の解析結果から、藻類(Cyanobacteria門細菌)はSynechocystis属細菌に属する藻類である可能性が考えられた。また、顕微鏡観察からはCyanobacteria subsection Iに分類される可能性が考えられ、このCyanobacteria subsection Iの中には、Synechocystis属細菌は含まれている。
そこで本試料とSynechocystis属細菌の形態的特徴の比較を行い、種名の特定を行った結果、試料中に含まれる藻類は形態的および遺伝子配列においてもSynecocystis属細菌に分類された。分子系統樹を作成して種名の特定を試みたところ、本試料に最も近縁な種はBLASTによる相同性解析と同様にSynechocystis sp.であった。以上の結果から、かん水B中で増殖速度の速い藻類はSynechocystis sp.であると考えられた。
(かん水Bの画分が単離藻類の増殖に与える効果)
精密濾過膜であるMillipore社製Nitrocellulose Membrane(孔径0.45μm、0.22μm、0.1μm、0.05μmまたは0.025μm)を用いてかん水Bを濾過した。この濾液(画分)を培地として用いることで画分に残留しているかん水B内の物質が単離藻類の増殖に与えている効果を検討した。また、分子径が0.025μm以下の物質についても検討を行うため、分子量(Mw)で分画可能な限外濾過膜であるMillipore社製Amicon Ultra[Mw:100,000(=孔径0.0090μm)、30,000(=孔径0.0034μm)、3,000(=孔径0.0012μm)]を用いてNitrocellulose Membraneと同様の方法で培地を調製した。該培地に単離藻類を植菌し増殖に与える効果を確認した。
最初に、かん水Bを上記MF/UF膜の各々単独膜を用いて濾過し、培養用の濾液を調製し、取り除いた物質の効果を検討した。その結果、図4から分かるように、ネガティブコントロールにおいて、0.0012μm〜0.025μmの大きさを有する物質が単離藻類の増殖を促進する効果を与えていると考えられる。
次に、複数の濾過膜を使用して分画成分を得る方法について説明する。まず、30mlのかん水Bを精密濾過膜であるMillipore社製Nitrocellulose Membrane(孔径0.45μm、0.22μm、0.1μm、0.05μmまたは0.025μm)およびAmicon Ultra(孔径0.0090μm、0.0034μmまたは0.0012μm)を用いて濾過した。一度濾過した後に1段階細かいフィルターで再濾過した(孔径0.45μmで濾過した場合、孔径0.22μmで再濾過する)。すると、再濾過後のフィルター(この場合孔径0.22μm)には各孔径間のサイズ(分子径0.22μm〜0.45μm)を有する物質が残留する。
その後、Millipore社製Nitrocellulose Membraneのものは孔径0.025μmで濾過したかん水Bを用いて再濾過したフィルターを逆洗し、残留物質を回収した。一方、Amicon Ultraのものは逆洗が出来ない構造のため、30mlの新たなかん水Bに再濾過したフィルターを浸漬し、残留物質を回収した。
なお、初期かん水B量を60ml、90mlとして濾液を作成することでNitrocellulose Membrane系は1倍,2倍,3倍濃縮液を、Amicon Ultra系は2倍,3倍,4倍濃縮液を得た。そして、これらの溶液に単離藻類を植菌し、その増殖傾向を観察することで増殖促進物質がどの分子径に存在するか検討を行った。
膜画分の追加投入による単離藻類の培養実験により、分画物質が単離藻類の増殖に与える効果を検討した結果を図5に示す。
膜画分の追加投入による単離藻類の培養実験において、分子径0.0012μm以下の物質(UF膜で回収)を加えた系では膜画分を加えることで単離藻類の増殖に寄与している可能性が示唆された。また、物質が細かくなるほど増殖への効果が得られた。図5は分子径0.0012μm以下の分画成分が最も増殖率を高めたことを示している。
更に、図6はかん水B中の増殖促進物質を分子径ごとに分画し、その画分を新たなかん水Bに追加添加(画分量を増加)したものに、単離藻類を植菌した場合における増殖率を分かりやすく表示している。ただし、孔径0.0012μm、0.0034μmまたは0.0090μmのフィルターを使用した膜分画はかん水Bに追加投入した。
図6に示すように、分子径0.0090μm以下の物質を加えた系では、画分量を増加(濃縮率が高い)させた全ての系で単離藻類の増殖が促進される傾向が見られた。
<実施例3>
(超音波処理したかん水B中成分の単離藻類に及ぼす増殖効果)
ガス田より採水したかん水は保管中に、増殖促進物質同士が結合して大きな構造を形成する可能性が考えられる。そこで、かん水Bを超音波洗浄機で38Hz、60分間、超音波処理し、各画分で単離藻類を培養、かん水B中の増殖促進物質の分子径を検討した。すなわち、分散させたかん水B中の物質が単離藻類の増殖に与える効果を検討した。
かん水Bを超音波破砕し、濾過を行った対象系(超音波破砕のプロット)では分子径0.0012μm、0.0034μmおよび0.0090μmのいずれの場合でも100%に近い増殖率が得られた。その結果を図7に示す。図7に示すように、藻類の増殖促進効果を持つ物質は0.0012μm以下の分子径を有する可能性が示唆された。従って、かん水を超音波処理することは、藻類の成長促進剤を調製する方法として優れている。
<実施例4>
(脂質蓄積能を有する藻類への適用試験)
高脂質蓄積能をもつ3種(藍藻、珪藻、緑藻)の藻類をNIESカルチャーコレクション等から数種類ずつ入手、かん水Bの膜画分に植菌、培養し、高脂質蓄積能をもつ藻類への適用性を検討し、図8に示す結果を得た。
図8に示すように、その結果、超音波処理前と処理後の増殖率で単離藻類と同様の傾向が見られた。従って、かん水Bの増殖促進物質は高脂質蓄積能を有する様々な藻類にも適用可能である。すなわち、図8はX軸の分子径よりも小さい物質のみを含有する画分に、脂質蓄積能が優れた藻類(藍藻、緑藻、珪藻)を植菌した場合の増殖率を表している。
図8に示すように、分子径0.45μm以下の画分は藻類の増殖促進効果を有することがわかった。また、単離藻類の場合と同様に、超音波破砕を行っていないかん水Bの画分では、分子径0.0090μm〜0.025μmの画分に増殖促進物質の存在が示唆されたが、超音波破砕後では分子径0.0012μm以下の物質のみしか含有されていない画分を使用した場合でも目立った増殖率の減少は見られなかった。
このことから、脂質蓄積能が優れた藻類でも分子径0.0012μm以下の画分にも増殖促進物質があることが示唆された。また、かん水Bに含まれる増殖促進物質は藍藻だけでなく、緑藻および珪藻でも同様の効果が得られる可能性が示唆された。
更に、カラムクロマト法により測定したかん水Aの流路壁底面に自生している藻類中の脂質含有量を表6に示す。
Figure 0006182047
表6に示すように、かん水Aの流路壁底面に自生している藻類マット中の脂質含有量は、日照条件が不利な冬季においても3.8%であった。この結果から、これらの藻類に抽出可能な脂質が存在することが分かり、かん水を活用した粗放的な藻類培養の可能性が示唆された。
<実施例5>
(かん水採取時/藻類培養後の培養液の分析結果)
ガス田の管理上、硫酸還元菌等の微生物によるスライム形成(水酸化鉄)が圧入井閉塞の一因となっている。そこで、藻類を培養することで、重炭酸イオン、アンモニウムイオン濃度を大幅に減少させることが可能か否か試験し、還元井の閉塞に対する予防策としての可能性を検討した。
試料は、かん水A、かん水Bおよび培養後培養液を使用し、pH、重炭酸イオンおよびアンモニウムイオン濃度を測定した。
重炭酸イオンおよびアンモニウムイオン濃度の分析結果を表7に示す。表7に示すように、かん水で藻類を培養し、培養後の濾過液を還流させれば還元井の閉塞に対する予防策として有効であることが分かった。
Figure 0006182047
以上の結果から、かん水中に藻類の増殖促進効果をもたらす物質が含まれていることが確認された。かん水を超音波破砕後、濾過によって得た画分で単離藻類を培養した実験とGPC分析の結果を比較すると、いずれの結果からも分子径が0.0012μm以下の物質が藻類の増殖に顕著な促進効果を与えていることが示唆された。この分子径の範囲には腐植物質が存在するため、腐植物質が藻類の増殖促進に寄与していることが推察される。
また、前記物質はガス田由来の単離藻類だけではなく、脂質蓄積能が優れた藻類の増殖にも増殖促進効果を与えていることが確認された。このことから、かん水の利用方法として脂質蓄積に優れた藻類の培養が可能であり、効率的なエネルギー生産が期待される。
本発明の藻類の成長促進剤は、植物の成長促進剤として農業分野での利用が期待される。また、かん水に本発明の藻類の成長促進剤を添加すれば、重炭酸イオン、アンモニウムイオン濃度を大幅に減少させることが可能となり、還元井の閉塞の予防策として有効であり、ガス田の生産効率が向上する。

Claims (3)

  1. かん水由来のフルボ酸含有組成物(但し、かん水それ自体を除く)を含有する藻類の成長促進剤であって、
    該フルボ酸含有組成物は分子径が0.0034μm以下であり、
    元素分析値が、C(32±10%)、N(2.0±10%)の範囲にあり、C/Nが15以上であり、
    且つ以下の(b)または(c)である藻類の成長促進剤。
    (b)分子量500〜3,000でUV吸収を持つフルボ酸含有組成物
    (c)分子量300以上500未満でUV吸収が相対的に強いフルボ酸含有組成物
  2. 前記藻類が、配列番号1で示される16S rRNA配列を有する請求項1に記載の藻類の成長促進剤。
  3. かん水を超音波洗浄機で超音波処理し、少なくとも二種類のMF膜および/またはUF膜で分画した分子径が0.0034μm以下であり、且つ(b)または(c)であるフルボ酸含有組成物を、藻類を含有する培養液に成長促進剤として添加する藻類の増殖方法。
    (b)分子量500〜3,000でUV吸収を持つフルボ酸含有組成物
    (c)分子量300以上500未満でUV吸収が相対的に強いフルボ酸含有組成物
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