JP6183621B2 - 土木用資材の製造方法 - Google Patents
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Description
一般に製鋼工程では、石灰系の副原料などを使用して鋼中の不純物を除去するため、生成した製鋼スラグはCaO含有率が高く、そのまま水に接触させた場合には、水はアルカリ性を呈する。このため製鋼スラグを海域や河川等に施工した場合、特に水の交換があまりない場所などでは、周辺のpHが高くなる場合がある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、製鋼スラグを利用した土木用資材であって、製鋼スラグ表面に安定した皮膜を形成させることで、アルカリ溶出が少なく、周辺環境のpH上昇(アルカリ負荷)を効果的に抑えることができる土木用資材の製造方法を提供することにある。
[1]粉粒状又は塊状の製鋼スラグにpHが5.0以上7.0未満のキトサン溶液を付着させることにより、製鋼スラグの粒子表面にキトサン皮膜を形成することを特徴とする土木用資材の製造方法。
[2]上記[1]の製造方法において、粉粒状又は塊状の製鋼スラグにpHが5.3以上6.7以下のキトサン溶液を付着させることを特徴とする土木用資材の製造方法。
[3]上記[1]の製造方法において、粉粒状又は塊状の製鋼スラグにpHが5.3以上6.3以下のキトサン溶液を付着させることを特徴とする土木用資材の製造方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、製鋼スラグにキトサン溶液を散布し又は製鋼スラグをキトサン溶液に浸漬することにより、製鋼スラグにキトサン溶液を付着させることを特徴とする土木用資材の製造方法。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの製造方法において、キトサン溶液は、キトサンを有機酸溶液に溶解させたものであることを特徴とする土木用資材の製造方法。
[7]上記[6]の製造方法において、有機酸が酢酸、乳酸のうちの1種以上であることを特徴とする土木用資材の製造方法。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかの製造方法において、キトサン溶液を付着させた製鋼スラグ又はスラグ粒子表面にキトサン皮膜を有する製鋼スラグを炭酸化処理することを特徴とする土木用資材の製造方法。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかの製造方法において、製鋼スラグが、溶銑予備処理スラグ、脱炭炉スラグの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする土木用資材の製造方法。
また、キトサン溶液による処理後に炭酸化処理することにより、製鋼スラグからのアルカリ溶出をより効果的に抑制できる皮膜(キトサンを主体とする有機−無機複合皮膜)を形成することができる。
本発明で製造される土木用資材とは、砂、土砂、石などの代替材料として土木用途に用いられる材料(石砂代替材)であり、例えば、埋め戻し材、盛土用材料、路盤用材料、覆砂材料、藻場造成材料、海域や河川などの環境改善材料、潜堤材料などに用いられるものである。
また、上記の無処理の製鋼スラグと、キトサン溶液で処理した後、炭酸化処理した製鋼スラグについて、フェノールフタレインを浸透させ、変色を調べた。フェノールフタレイン変色域はpH10以上:赤紫、pH8.3以下:無色を呈するが、無処理の製鋼スラグは赤紫に呈色したのに対して、キトサン溶液で処理した後、炭酸化処理した製鋼スラグは明確な呈色はみられなかった。
これらによれば、キトサン溶液のpHが6.7を超えると粘度が急激に増加し始め、pHが7.0以上になるとキトサンが液中で固体化し始めることが判る。このようなpHになると、製鋼スラグに溶液を散布等で付着させても、表面でムラが生じ、安定した皮膜が形成できなくなる。また、工業的には保管時の溶液中に固体が分散することとなり、ノズルが詰まったり、製鋼スラグを浸漬しても皮膜を形成できないキトサン分が生じたりすることになり、経済性にも問題がある。キトサン溶液のpHが7.0未満であれば使用可能な粘度に止めることができるが、得られる皮膜性能の観点からはpH6.7以下が好ましく、pH6.3以下がより好ましい。
製鋼スラグは粉粒状、塊状のいずれでもよく、土木用資材としての用途に応じた粒度を有するものであればよい。例えば、埋め戻し材等として用いる場合には粉粒状の製鋼スラグが用いられることが多く、一方、潜堤材料の場合には塊状の製鋼スラグが用いられる場合がある。
また、製鋼スラグにキトサン溶液を散布する方法では、キトサン溶液がスラグ全体にゆきわたるようにするため、溶液散布後の製鋼スラグをミキサーや撹拌機などで撹拌してもよい。
キトサン溶液のキトサン濃度については、濃度が低すぎると皮膜の被覆度が十分に確保できない。この観点から、キトサン濃度は0.05mass%以上が好ましく、0.1mass%以上がより好ましい。一方、キトサン濃度が高いほど皮膜厚を確保できるが、濃度が高すぎると粘性が高まり、皮膜を効率よく形成することが難しくなる。この観点からは、キトサン濃度は2mass%以下が好ましく、特に1mass%以下が好ましい。
炭酸化処理では、スラグ粒子表面に付着したキトサン溶液又は付着水を介して炭酸化反応が生じる。すなわち、キトサン皮膜の非形成部位(欠陥部)の付着溶液又は付着水中にスラグ及び皮膜側からCaイオンやMgイオンが、ガス側からCO2がそれぞれ溶解し、それらが反応して炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムが析出し、キトサン皮膜の非形成部位(欠陥部)を被覆(充填)することになる。
図8によれば、キトサン溶液による処理は、比較的低いキトサン濃度でも効果が認められる。また、水に1週間浸漬後の溶出試験で測定したpHに大きな変化はないが、(a)の製鋼スラグは若干上昇傾向があり、(b)の製鋼スラグは同等ないし若干低下傾向がある。したがって、(a)の製鋼スラグでも有効であるが、(b)の製鋼スラグの方がより安定性が高いといえる。
また、キトサン溶液による処理後に炭酸化処理を行って得られる土木用資材は、製鋼スラグ表面におけるキトサン皮膜の非形成部位(欠陥部)に、製鋼スラグ由来のCa又は/及びMgの炭酸化反応で生成した炭酸カルシウム又は/及び炭酸マグネシウムの皮膜が形成されたものとなる。
すなわち、本発明の土木用資材は以下のような構成からなる。
[1]粉粒状又は塊状の製鋼スラグの表面に、キトサン皮膜を有する土木用資材。
[2]上記[1]の土木用資材において、キトサン皮膜中にCa又は/及びMgの化合物を含有する土木用資材。
[3]上記[1]又は[2]の土木用資材において、製鋼スラグ表面におけるキトサン皮膜の非形成部位に、炭酸カルシウム又は/及び炭酸マグネシウムの皮膜が形成されている土木用資材。
養生後の製鋼スラグ(土木用資材)について、JIS K0058−1に規定されるタンクリーチング試験法による溶出試験により10箇所以上のpHを測定した。測定したpHは、いずれも開始6時間後のものである。
また、比較のため無処理の製鋼スラグ(キトサン溶液による処理や炭酸化処理をしていない製鋼スラグ)、炭酸化処理(炭酸化処理条件:1気圧CO2で6時間処理)のみを施した製鋼スラグについても、同様のpH測定を行った。
以上の試験の結果を表1に示す。
Claims (9)
- 粉粒状又は塊状の製鋼スラグにpHが5.0以上7.0未満のキトサン溶液を付着させることにより、製鋼スラグの粒子表面にキトサン皮膜を形成することを特徴とする土木用資材の製造方法。
- 粉粒状又は塊状の製鋼スラグにpHが5.3以上6.7以下のキトサン溶液を付着させることを特徴とする請求項1に記載の土木用資材の製造方法。
- 粉粒状又は塊状の製鋼スラグにpHが5.3以上6.3以下のキトサン溶液を付着させることを特徴とする請求項1に記載の土木用資材の製造方法。
- 製鋼スラグにキトサン溶液を散布し又は製鋼スラグをキトサン溶液に浸漬することにより、製鋼スラグにキトサン溶液を付着させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の土木用資材の製造方法。
- キトサン溶液のキトサン濃度が0.05mass%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の土木用資材の製造方法。
- キトサン溶液は、キトサンを有機酸溶液に溶解させたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の土木用資材の製造方法。
- 有機酸が酢酸、乳酸のうちの1種以上であることを特徴とする請求項6に記載の土木用資材の製造方法。
- キトサン溶液を付着させた製鋼スラグ又はスラグ粒子表面にキトサン皮膜を有する製鋼スラグを炭酸化処理することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の土木用資材の製造方法。
- 製鋼スラグが、溶銑予備処理スラグ、脱炭炉スラグの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の土木用資材の製造方法。
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