以下、本発明の一実施形態に係る空気電池システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムを示す構成概略図である。図1に示すように、空気電池システム1は、空気電池スタックCと、正極側出力端子2Aと、負極側出力端子2Bと、セル電圧計3と、スタック電圧計4と、バイパス回路5と、開閉器6と、制御装置7とを具備するものである。そして、空気電池スタックCは、正極層A1と、正極層A1に接続された正極層タブA2と、負極層A3と、負極層A3に接続された負極層タブA4とを備えた複数の空気電池Aが積層され、かつ、電気的に直列接続された構造を有するものである。また、正極側出力端子2Aは、空気電池スタックCの正極側に接続されたものである。更に、負極側出力端子2Bは、空気電池スタックCの負極側に接続されたものである。また、セル電圧計3は、各空気電池Aの正極層タブA2と負極層タブA4との間の電圧を測定するものである。更にスタック電圧計4は、空気電池スタックCの正極側出力端子2Aと負極側出力端子2Bとの間の電圧を測定するものである。また、バイパス回路5は、各空気電池Aの正極層タブA2及び正極側出力端子2Aと他の各空気電池Aの負極層タブA4及び負極側出力端子2Bとを接続可能なものである。更に、開閉器6は、バイパス回路5の電気的な接続を切替可能なものである。また、制御装置7は、予め取得してある各空気電池Aの規定セル電圧データ及び空気電池スタックCの規定スタック電圧データと、セル電圧計3から入力されるセル電圧データ及びスタック電圧計4から入力されるスタック電圧データとをそれぞれ対比して得られた結果に応じて、開閉器6を制御するものである。そして、制御装置7は、少なくとも1つの空気電池Aのセル電圧データが当該空気電池Aの規定セル電圧データ未満であり、かつ、空気電池スタックCのスタック電圧データが当該空気電池スタックCの規定スタック電圧データ以上であると判断したとき、開閉器6を制御して、空気電池Aのセル電圧データが当該空気電池Aの規定セル電圧データ未満である異常な空気電池Aに隣接する他の空気電池A同士、又は空気電池Aのセル電圧データが当該空気電池Aの規定セル電圧データ未満である異常な空気電池Aに隣接する他の空気電池Aと正極側出力端子2A又は負極側出力端子2Bとの電気的な接続をバイパス回路により直列接続として、空気電池スタックCの放電を継続させる。
これにより、空気電池システムは、異常放電や、水素ガスや酸素ガス発生の原因となる転極が起こることを抑制ないし防止しつつ、空気電池スタックの高容量化を実現できる。また、問題なく使用できる他の空気電池によって空気電池スタックを構成することができるため、空気電池スタックに残存する放電容量を有効に利用することができるといった利点もある。更に、このような空気電池システムは、種々の装置やシステムの電源として用いることができるが、高容量化された特性を効果的に発揮することができるという観点から、車両に搭載させることが好ましい。このとき、このような空気電池システムは、例えば、車両の駆動用電動機への給電、車両に搭載されるリチウムイオン二次電池などの主電池の充電、車両に搭載される鉛蓄電池などの補助電池の充電などを空気電池スタックに実行させることができる。
ここで、本発明において「規定セル電圧データ」とは、予備実験などにより空気電池を良好状態で放電させたときのセル電圧を測定して得られたデータ(I−V曲線)によって規定することができる。空気電池を良好状態で放電させたときのセル電圧を100%としたとき、例えば、使用態様に応じて80〜100%程度で規定することができる。
また、本発明において「規定スタック電圧データ」とは、予備実験などにより空気電池スタックを良好状態で放電させたときのスタック電圧を測定して得られたデータ(I−V曲線)によって規定することができる。空気電池スタックを良好状態で放電させたときのスタック電圧を100%としたとき、例えば、使用態様に応じて80〜100%程度で規定することができる。
更に、図1に示すように、空気電池システム1は、空気電池スタックCの出力電流を測定するスタック電流計8を具備することが好ましい。また、このような空気電池システム1においては、制御装置7が、予め取得してある各空気電池Aの規定セル電圧データ、空気電池スタックCの規定スタック電圧データ及び空気電池スタックCの規定放電容量データと、セル電圧計3から入力されるセル電圧データ、スタック電圧計4から入力されるスタック電圧データ、及びスタック電流計8から入力されるスタック電流データから算出される積算放電容量データとをそれぞれ対比して得られた結果に応じて、開閉器6を制御することが好ましい。この場合、制御装置7は、少なくとも1つの空気電池Aのセル電圧データが当該空気電池Aの規定セル電圧データ未満であり、かつ、空気電池スタックCのスタック電圧データが当該空気電池スタックCの規定スタック電圧データ未満であり、かつ、空気電池スタックCの積算放電容量データが当該空気電池スタックCの規定放電容量データ未満であると判断したとき、開閉器6を制御して、空気電池Aのセル電圧データが当該空気電池Aの規定セル電圧データ未満である異常な空気電池Aに隣接する他の空気電池A同士、又は空気電池Aのセル電圧データが当該空気電池Aの規定セル電圧データ未満である異常な空気電池Aに隣接する他の空気電池Aと正極側出力端子2A又は負極側出力端子2Bとの電気的な接続をバイパス回路5により直列接続として、空気電池スタックCの放電を継続させて、図示しない車両の補助電池の充電を空気電池スタックCに実行させることが好ましい。
これにより、空気電池システムは、異常放電や、水素ガスや酸素ガス発生の原因となる転極が起こることを抑制ないし防止しつつ、空気電池スタックの高容量化を実現できる。また、このような空気電池システムは、空気電池スタックの出力電圧が低下し、車両に搭載されるリチウムイオン二次電池などの主電池の充電を空気電池スタックに実行させることができない場合であっても、車両に搭載される鉛蓄電池などの補助電池の充電を空気電池スタックに実行させることによって、空気電池スタックに残存する放電容量を更に有効に利用することができる。
また、本発明において「規定放電容量データ」とは、予備実験などにより空気電池スタックを良好状態で放電させたときに出力電流を測定して積算して得られたデータによって規定することができる。空気電池スタックを良好状態で放電させたときの出力電流の積算値を100%としたとき、例えば、使用態様に応じて80〜100%程度で規定することができる。
更に、図1に示すように、空気電池システム1は、各空気電池Aの電解質層A5の機能を不能にするために電解質層A5の一部である電解液を除去するバルブを有する不能化手段9を具備することが好ましい。また、このような空気電池システム1においては、制御装置7が、予め取得してある各空気電池Aの規定セル電圧データ及び空気電池スタックCの規定スタック電圧データと、セル電圧計3から入力されるセル電圧データ及びスタック電圧計4から入力されるスタック電圧データとをそれぞれ対比して得られた結果に応じて、開閉器6及び電解液を除去するバルブを有する不能化手段9を制御することが好ましい。この場合、制御装置7が、少なくとも1つの空気電池Aのセル電圧データが当該空気電池Aの規定セル電圧データ未満であり、かつ、空気電池スタックCのスタック電圧データが当該空気電池スタックCの規定スタック電圧データ以上であると判断したとき、開閉器6を制御して、空気電池Aのセル電圧データが当該空気電池Aの規定セル電圧データ未満である異常な空気電池Aに隣接する他の空気電池A同士、又は空気電池Aのセル電圧データが当該空気電池Aの規定セル電圧データ未満である異常な空気電池Aに隣接する他の空気電池Aと正極側出力端子2A又は負極側出力端子2Bとの電気的な接続をバイパス回路5により直列接続とし、かつ、バルブを有する不能化手段9を制御して、空気電池Aのセル電圧データが当該空気電池Aの規定セル電圧データ未満である異常な空気電池Aの電解質層5Eの機能を不能にするために電解質層の全部又は一部である電解液を除去して、空気電池スタックの放電を継続させることが好ましい。
これにより、空気電池システムは、異常放電や、水素ガスや酸素ガス発生の原因となる転極が起こることを抑制ないし防止しつつ、空気電池スタックの高容量化を実現できる。また、バイパス回路を利用して、電流を取り出さないようにした異常な空気電池について、不能化手段により電解液を除去することにより、自己放電による発熱やガス発生を抑制することができるため、他の空気電池への悪影響を小さく、すなわち、異常な空気電池の過熱による隣接する空気電池の異常放電を抑制することができ、空気電池スタックの容量低下を抑制することができる。
なお、図示しないが、本発明においては、各空気電池の負極層又は電解質層の機能を不能にするために負極層又は電解質層の全部又は一部を中和剤や凝固剤などの不活性化剤を添加することにより不活性な状態にする不能化手段を具備していてもよく、各空気電池の負極層の機能を不能にするために負極層の全部又は一部を除去する不能化手段を具備していてもよい。
ここで、本発明の一実施形態に係る空気電池システムにおける制御フローについて図面を用いて説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムにおける制御フローの一例を示すフロー図である。
図2に示すように、放電開始と共に制御フローを開始する。ステップ1(図中では「S1」と記載する。また、以下の記載においても同様である。)においては、制御装置がセル電圧が規定セル電圧以上であるか否かを判断する。S1において、制御装置がセル電圧が規定セル電圧以上でないと判断したときは、S2に進む。S1において、制御装置がセル電圧が規定セル電圧以上であると判断したときは、S5に進む。
S2においては、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であるか否かを判断する。S2において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であると判断したときは、S3に進む。S2において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上でないと判断したときは、放電終了と共に制御フローを終了する。
S3においては、制御装置が、異常セルを特定して、S4に進む。
S4においては、制御装置が、開閉器を制御して、異常セルのバイパス回路を接続して、S1に戻る。
S5においては、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であるか否かを判断する。S5において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上でないと判断したときは、S6に進む。S5において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であると判断したときは、S1に戻る。
S6においては、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上であるか否かを判断する。S6において、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上であると判断したときは、放電終了と共に制御フローを終了する。S6において、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上でないと判断したときは、S7に進む。
S7においては、異常対応を行って、S1に戻る。なお、本発明において、「異常対応」とは、電解液や溶媒、電解質などの追加供給、酸素含有ガスの流量制御などを意味する。
また、図3は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムにおける制御フローの他の一例を示すフロー図である。
図3に示すように、放電開始と共に制御フローを開始する。S11においては、制御装置がセル電圧が規定セル電圧以上であるか否かを判断する。S11において、制御装置がセル電圧が規定セル電圧以上でないと判断したときは、S12に進む。S11において、制御装置がセル電圧が規定セル電圧以上であると判断したときは、S15に進む。
S12においては、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であるか否かを判断する。S12において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であると判断したときは、S13に進む。S12において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上でないと判断したときは、S18に進む。
S13においては、制御装置が、異常セルを特定して、S14に進む。
S14においては、制御装置が、開閉器を制御して、異常セルのバイパス回路を接続して、S11に戻る。
S15においては、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であるか否かを判断する。S15において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上でないと判断したときは、S16に進む。S15において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であると判断したときは、S11に戻る。
S16においては、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上であるか否かを判断する。S16において、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上であると判断したときは、放電終了と共に制御フローを終了する。S16において、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上でないと判断したときは、S17に進む。
S17においては、異常対応を行って、S11に戻る。
S18においては、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上であるか否かを判断する。S18において、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上でないと判断したときは、S19に進む。S18において、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上であると判断したときは、放電終了と共に制御フローを終了する。
S19においては、制御装置が、空気電池スタックに補助電池の充電を実行させて、放電終了と共に制御フローを終了する。
更に、図4は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムにおける制御フローの更に他の一例を示すフロー図である。
図4に示すように、放電開始と共に制御フローを開始する。S21においては、制御装置がセル電圧が規定セル電圧以上であるか否かを判断する。S21において、制御装置がセル電圧が規定セル電圧以上でないと判断したときは、S22に進む。S21において、制御装置がセル電圧が規定セル電圧以上であると判断したときは、S26に進む。
S22においては、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であるか否かを判断する。S22において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であると判断したときは、S23に進む。S22において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上でないと判断したときは、放電終了と共に制御フローを終了する。
S23においては、制御装置が、異常セルを特定して、S24に進む。
S24においては、制御装置が、開閉器を制御して、異常セルのバイパス回路を接続して、S25に進む。
S25においては、制御装置が、不能化手段を制御して、異常セルを不能化して、S21に戻る。
S26においては、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であるか否かを判断する。S26において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上でないと判断したときは、S27に進む。S26において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であると判断したときは、S21に戻る。
S27においては、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上であるか否かを判断する。S27において、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上であると判断したときは、放電終了と共に制御フローを終了する。S27において、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上でないと判断したときは、S28に進む。
S28においては、異常対応を行って、S21に戻る。
更に、図5は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムにおける制御フローの更に他の一例を示すフロー図である。
図5に示すように、放電開始と共に制御フローを開始する。S31においては、制御装置がセル電圧が規定セル電圧以上であるか否かを判断する。S31において、制御装置がセル電圧が規定セル電圧以上でないと判断したときは、S32に進む。S31において、制御装置がセル電圧が規定セル電圧以上であると判断したときは、S36に進む。
S32においては、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であるか否かを判断する。S32において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であると判断したときは、S33に進む。S32において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上でないと判断したときは、S39に進む。
S33においては、制御装置が、異常セルを特定して、S34に進む。
S34においては、制御装置が、開閉器を制御して、異常セルのバイパス回路を接続して、S35に進む。
S35においては、制御装置が、不能化手段を制御して、異常セルを不能化して、S31に戻る。
S36においては、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であるか否かを判断する。S36において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上でないと判断したときは、S37に進む。S36において、制御装置がスタック電圧が規定スタック電圧以上であると判断したときは、S31に戻る。
S37においては、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上であるか否かを判断する。S37において、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上であると判断したときは、放電終了と共に制御フローを終了する。S37において、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上でないと判断したときは、S38に進む。
S38においては、異常対応を行って、S31に戻る。
S39においては、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上であるか否かを判断する。S39において、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上でないと判断したときは、S40に進む。S39において、制御装置が積算放電容量が規定放電容量以上であると判断したときは、放電終了と共に制御フローを終了する。
S40においては、制御装置が、空気電池スタックに補助電池の充電を実行させて、放電終了と共に制御フローを終了する。
以下、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の形態)
図6は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第1の形態を説明する断面図(A)、平面図(B)及び外枠部材の部分を拡大した断面図(C)である。
図6に示すように、空気電池A11は、円盤状を成すものであって、電解質層11を間にして、図中で上側の正極層12と、図中で下側の負極層13を備えると共に、電気絶縁性を有し且つ少なくとも正極層12及び電解質層11の外周を包囲する外枠部材14を備えている。
正極層12は、正極部材121と、正極部材121の片面に配置した正極集電部材122と、正極表面に配置した導電性液密通気部材123を積層状態に備えている。また、正極集電部材122は正極層タブ122Aを有する。図示例では、正極部材121の電解質層11側(図中で下側)に正極集電部材122が設けてある。また、負極層13は、負極部材131と、負極表面に配置した負極集電部材132を積層状態に備えている。更に、負極集電部材132は負極層タブ132Aを有する。
電解質層11は、例えば、電解液、必要に応じて、多孔質のセパレータを含む。電解液は、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶液や非水溶液を適用することができる。しかしながら、これらに限定されるものではなく、空気電池に適用される従来公知の電解液を適用することができる。セパレータには水溶液や非水溶液を貯留するため、微細な孔が所定の割合で形成されている。また、セパレータは、水溶液である電解液に対しては、例えば、撥水処理を行っていないグラスペーパー、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜を好適に用いることができる。しかしながら、これらに限定されるものではなく、空気電池に適用される従来公知の材料を適用することができる。なお、電解質層自体を、固体あるいはゲル状の電解質としても良い。
正極層12において、正極部材121は、例えば、触媒成分と、触媒成分を担持する導電性の触媒担体と、触媒成分を結着するバインダとを含み、多孔質構造が形成されている。代表的には、カーボン材料とバインダー樹脂とで形成した導電性多孔体の内部に、二酸化マンガンなどの触媒を担持させたものである。なお、触媒担体及びバインダは必要に応じて含有される。以下、触媒担体に触媒成分が担持されてなる複合体を「電極触媒」とも称する。
触媒成分としては、具体的には、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、タングステン(W)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)等の金属並びにこれらの合金などから選択することができる。なお、合金とは、一般に金属元素に1種異常の金属元素又は非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。具体的には、上述の金属元素に1種以上の金属元素又は非金属元素を加えたものを挙げることができる。なお、合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である協商合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物又は金属と非金属との化合物を形成しているものなどがある。本発明においては、上記のいずれの合金組織であってもよい。しかしながら、これらに限定されるものではなく、空気電池に適用される従来公知の材料を適用することができる。
触媒成分の形状や大きさは、特に限定されるものではなく、従来公知の触媒成分と同様の形状及び大きさを採用することができる。ただし、触媒成分の形状は、粒状であることが好ましい。また、触媒粒子の平均粒子径は、1〜30nmであることが好ましい。触媒粒子の平均粒子径がこのような範囲内の値であると、触媒利用率と担持の簡便さとのバランスを適切に制御することができる。なお、触媒利用率は、電気化学反応が進行する電極表面の有効電極面積に関連するものである。
なお、本発明における「触媒粒子の平均粒子径」は、X線回折における触媒成分の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径や、透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値として測定することができる。また、触媒担体は、上述した触媒成分を担持するための担体、及び触媒成分と他の部材との間での電子の授受に関与する電子伝導パスとして機能する。触媒担体としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、充分な電子伝導性を有しているものであればよく、主成分がカーボンであることが好ましい。触媒担体としては、具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。
なお、「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、「炭素原子のみからなる」と「実質的に炭素原子からなる」との双方の意味を含む概念である。なお、「実質的に炭素原子からなる」とは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容され得ることを意味する。
触媒担体のBET比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに充分な比表面積であればよく、好ましくは20〜1600m2/g、より好ましくは80〜1200m2/gである。触媒担体の比表面積がこのような範囲内の値であると、触媒担体上での触媒成分の分散性と触媒成分の有効利用率とのバランスを適切に制御することができる。
触媒担体のサイズについても特に限定されるものではない。担持の簡便さ、触媒利用率、触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、触媒担体の平均粒子径を5〜200nm程度、好ましくは10〜100nm程度とすることが好ましい。電極触媒において、触媒成分の担持量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。触媒成分の担持量がこのような範囲内の値であると、触媒担体上での触媒成分の分散度と触媒性能とのバランスが適切に制御され得る。なお、電極触媒における触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって測定することができる。しかしながら、これらに限定されるものではなく、空気電池に適用される従来公知の材料を適用することができる。
更に、バインダとしては、特に限定されるものではないが、以下のような材料を挙げることができる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)及びポリアミド(PA)が挙げられる。また、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体並びにスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物も挙げることができる。さらに、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)並びにポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂も挙げられる。その他、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム及びエポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらのバインダは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
正極集電部材122は、正極層における面内方向(面に沿う方向)の導電性を良好に確保するものであって、ステンレス、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、カーボンなどの材料で形成した通気性を有する導電部材である。この正極集電部材は、正極部材の導電性に応じて通気部分の開口率を選択し、金網状の部材である場合には、例えば、50〜600メッシュ相当の仕様の中から選択して使用することができる。正極集電部材には、金網状部材のほか、カーボンペーパーも使用可能である。また、正極集電部材122には、正極層タブ122Aが接続している。正極層タブ122Aは、例えば、ステンレス、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金などの材料で形成した導電部材である。
導電性液密通気部材123は、例えば、導電性撥水層を好適に用いることができる。当該導電性撥水層は、空気電池に含まれている電解液が漏液するのを抑制可能な撥水性を有する一方、ガスが比較的容易に流通可能な多孔質の構造を有する。さらに、当該導電性撥水層は、正極上で三相界面を形成して反応性を向上させるものであると同時に導電性を有しており、かつ、導電経路としても機能する。このような導電性液密通気部材としては、撥水性を有する導電材や、撥水材及び導電材を含むものを挙げることができる。これらは、1種を単独で、2種以上を組み合わせて用いることができる。撥水性を有する導電材の代表例は、導電性高分子材料である。また、撥水材及び導電材を含むものの代表例は、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料に導電材としての導電性フィラーが添加された樹脂である。
導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル及びポリオキサジアゾールなどが挙げられる。このような導電性高分子材料は、導電材を添加しなくても十分な導電性を有する。
また、非導電性高分子材料としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)などのフッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)並びにポリスチレン(PS)などが挙げられる。このような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性又は耐溶媒性を有する。その中でも、オレフィン系樹脂やフッ素系樹脂が好ましい。
上記の導電性高分子材料又は非導電性高分子材料には、必要に応じて導電材を添加することができる。特に、基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電材が必須となる。導電材は、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性に優れた材料として、金属、導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)及びカリウム(K)からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属若しくはこれらの金属を含む合金又は金属酸化物を含むものを好適例として挙げることができる。
また、導電性カーボンとしては、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、フラーレン及び気相成長炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものを好適例として挙げることができる。
導電材の形状は、特に限定されるものではなく、繊維状導電材や粒状導電材のうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて適用することができる。また、例えば、上述した導電性高分子材料や導電性フィラーに適用されるような材料によって、多孔質導電性層を形成した後、フッ素処理などの撥水処理を施すことによって得られる導電性撥水層を適用することもできる。また、導電性撥水層は、上述したように多孔質であることも要求される。例えば、導電性フィラーに適用されるような材料によって形成される微多孔膜、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料によって形成される不織布などの繊維集合体を適用することができる。他にも、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料によって形成される織布などの繊維構造体を適用することができる。なお、図示の形態においては、導電性液密通気部材として、微多孔カーボンにフッ素処理をした撥水性を有する導電材を含有するものを適用している。
負極層13において、負極部材131は、リチウム(Li)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、及びマグネシウム(Mg)等の純金属、もしくは合金などの材料から成るものである。なお、当該合金の組織に関しては上述した通りである。
負極集電部材132は、電解質層の電解液が外部に漏出するのを阻止し得る材質から成る導電部材であって、例えば、ステンレス、銅、銅合金、金属材料の表面に耐食性を有する金属をメッキしたものなどである。また、負極集電部材132には、負極層タブ132Aが接続している。負極層タブ132Aは、ステンレス、銅、銅合金などの材料で形成した導電部材である。
外枠部材14は、円形のリング状を成している。また、外枠部材14は、電解質層11及び正極層12の外周に加えて、負極層13の負極部材131の外周をも包囲している。このため、負極層13の負極集電部材132は、外枠部材14と同等の直径を有し、外枠部材14の負極側の開口部分を閉塞するように設けてある。
外枠部材14は、ポリプロピレン(PP)やエンジニアリングプラスチック(いわゆるエンプラ)などの耐電解液性を有する樹脂製であることが好ましく、これにより軽量化も図ることができる。また、外枠部材14は、機械的強度を持たせるために、樹脂をカーボン繊維やガラス繊維などの強化繊維によって複合化した繊維強化プラスチック(FRP)を使用することもできる。
図7は、図6に示す空気電池を分解状態で示す断面図である。図7に示すように、空気電池A11は、正極部材121、正極集電部材122及び導電性液密通気部材123を積層して正極層12を形成する。その一方で、負極部材131と負極集電部材132を積層して負極層13を形成する。そして、外枠部材14の内側に、正極層12(又は負極層13)を装着すると共に、図中に仮想線で示す電解質層11を設け、その後、外枠部材14の内側に、負極層13(又は正極層12)を装着して、電解質層11を閉じ込めた状態にする。
上記構成を備えた空気電池A11は、外枠部材14の外端部を、導電性液密通気部材123の表面よりも外側に突出させているので、外枠部材14の外端部の内側には、導電性液密通気部材123との段差に相当する深さDの扁平な凹空間を形成している。
そして、上記凹空間に、ばね形状の導電性多孔体15が収容されている。この導電性多孔体15は、金属製であって、例えば、銅(Cu)、ステンレス、ニッケル(Ni)などの金属を使用することができる。また、その他の金属でも電解液に対する耐食性が確保されるように表面処理を行えば、それを使用することができる。さらに、導電性多孔体15は、導電性液密通気部材123との接触抵抗を低減するために、接触面に、金(Au)や銀(Ag)などのメッキを施すことができる。
図8は、図6に示す空気電池が直列接続された構造を有する空気電池スタックを示す断面図である。図8に示すように、空気電池A11は、導電性多孔体15の外端部が正極端子になると共に、その反対側の負極集電部材132が負極端子になって、電池同士の直接的な直列接続を実現することができる。すなわち、空気電池A11は、図8に示すように、複数個を直接的に直列接続して空気電池スタックC1を構成し、この際、導電性多孔体15の外端部が隣接する空気電池A11の負極集電部材32に接触する。また、導電性液密通気部材123と隣接する空気電池A11の負極集電部材132との間に、上記凹空間による空気流路16を形成する。
このように、空気電池A11は、複数個を直接的に直列接続して空気電池スタックC1を容易に構成し得るので、空気電池スタックC1の小型化や構造の簡略化を実現することができ、車載用の電源としても非常に好適なものとなる。
なお、空気流路16の厚さは、発電量と酸素の供給形態に依存するが、例えば、1〜10mm程度の範囲から適宜選択することができる。また、導電性多孔体15は、上記の如くばね形状を成して空気流路16を形成するので、外部から空気流路16に空気を導入するための溝や孔を適当な箇所に設けておくことが望ましい。
さらに、空気電池A11は、電池外周部が、電気絶縁性を有する外枠部材14で構成してあるので、導電性多孔体15の外端部である正極端子と、負極集電部材132である負極端子とが互いに相反する位置関係になる。これにより、短絡し難い構造になり、安全性の高いものとなる。なお、周知のボタン電池のように、一方の極が電池外装部を兼用している構造では、正極と負極の距離が短くなることから、安全性の観点から車載用の電源には不適当である。
また、空気電池A11は、導電性多孔体15の外端部の端面と外枠部材14の端面とを同一面状に連ねてあるので、複数個を接続した際に、導電性多孔体15及び外枠部材14の両方が隣接する空気電池A11に接触することとなり、接触部分の安定性が良好になる。さらに、空気電池A11は、導電性多孔体15の外端部を、外枠部材14の端面を僅かに超える突出量にすることもできる。この場合には、隣接する空気電池A11に対する導電性多孔体15の外端部の圧接力が増大し、接触抵抗の低減を図ることができる。
なお、空気電池A11は、負極集電体132の外側面(下面)に、導電性多孔体15に対応するばね形状の導電性多孔体を設けたりすることも可能である。このような負極集電体132側の導電性多孔体によっても、電池同士の直接的な直列接続と、空気流路16の確保の両立を実現することができる。
図9は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第1の形態の他の例を説明する要部の断面図である。また、図10は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第1の形態の更に他の例を説明する要部の断面図である。なお、以下の各形態において、先の形態の同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図9に示すように、空気電池A11は、導電性液密通気部材123と導電性多孔体15Aの構成が先の形態と相違している。つまり、導電性液密通気部材123としては、図示しないオレフィン系樹脂の不織布とカーボン繊維123Aとを混合したものに対してフッ素処理をした撥水性を有する導電材を含有するものを適用している。また、導電性多孔体15Aとしては、メッシュ形状の導電性多孔体を適用している。なお、導電性多孔体としては、例えば、金属粉末焼結体などの粒子集合体を適用することができる。また、例えば、金属繊維、カーボン繊維及び導電性樹脂繊維等の不織布などの繊維集合体並びに金属繊維、カーボン繊維及び導電性樹脂繊維藤の織布やメッシュなどの繊維構造体も適用することができる。さらに、例えば、パンチングメタル、エキスパンドメタルなどの多孔板も適用することができる。しかしながら、これらに限定されるものではなく、従来公知のものを適用することができる。
空気電池A11は、先の形態と同様の作用及び効果を得ることができるうえに、導電性液密通気部材123と導電性多孔体15との接触面積をできるだけ大きく確保することができ、接触抵抗や集中抵抗を小さく抑えることができる。
図10に示すように、空気電池A11は、導電性液密通気部材123と導電性多孔体15Bの構成が先の形態と相違している。つまり、導電性液密通気部材123としては、図示しないオレフィン系樹脂の不織布とカーボン粒子123Bとを混合したものに対してフッ素処理をした撥水材及び導電材を含有するものを適用している。また、導電性多孔体15Bとしては、メッシュ形状の導電性多孔体を適用している。
空気電池A11は、先の形態と同様の作用及び効果を得ることができるうえに、導電性液密通気部材123と導電性多孔体15との接触面積をできるだけ大きく確保することができ、接触抵抗や集中抵抗を小さく抑えることができる。
図11は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第1の形態の更に他の例を説明する平面図である。なお、以下の各形態において、先の形態の同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図11に示す空気電池A12は、先の各形態では円板状であったのに対して、矩形板状を成している。この空気電池A12は、先の形態と同等の積層構造を有している。このように、矩形板状を成す空気電池A12の場合には、空気供給量と圧力損失との関係から、平面上の縦横比や導電性多孔体の数及び配置を選択する。
この空気電池A12にあっても、先の各形態と同様の作用及び効果を得ることができる。なお、空気電池の形態は、各形態で示した円盤状や矩形板状のほか、楕円形状や多角形状にすることも可能であり、これに加えて、単数又は複数の導電性多孔体を配置することができる。
図12は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第1の形態の更に他の例を説明する平面図(A)、及び正面図(B)である。また、図13は、図11に示すI‐I線に沿う断面図である。更に、図14は、図11に示す空気電池が積層された構造を有する空気電池スタックの断面図である。
この空気電池スタックC1は、三つの空気電池A13を上下三段に積み重ねたものである。空気電池A13は、先の形態と同等の基本構造を有すると共に、その外観が、外枠部材14、発電体B1、防護部材140(導電性多孔体15)、負極集電部材132、正極層タブ122A及び負極層タブ132Aで構成してある。また、この形態では、電解質層11、正極層12及び負極層13からなる構成を発電体B1としている。外枠部材14は、上下両面を開口した円筒形に形成されている。
発電体B1は、図7に示すように、電解液を含浸したセパレータから成る電解質層11の一方の面に正極層12を配設し、他方の面に負極層13を配設すると共に、正極層12の外面に液密通気部材123を積層したものであり、その電解質層11の正極層12寄りには、正極集電部材122が配設されている。
正極集電部材122は、外枠部材14の内径に一致した平面視円形に形成されており、イオンを流通させられる大きさの流通孔を有する導電性の金網等である。
導電性液密通気部材123は、外枠部材14の内径に一致する外径にした平面視円形に形成されている。換言すると、正極部材121の外面121aを被覆するように形成されている。
防護部材140(導電性多孔体15)は、外部から異物が内部に突入することを阻止して、発電体B1すなわち正極層12等を防護するためのものであり、外枠部材14の内径に一致する外径の平面視円形にした通気性、導電性及び弾性を有する金網である。具体的には、導電性液密通気部材123の外面123aを被覆するよう配設されている。
この形態において示す防護部材140(導電性多孔体15)は、#600〜700メッシュのような超緻密なものであり、導電性液密通気部材123よりも開口率を高くしている。
また、この防護部材140(導電性多孔体15)を導電性液密通気部材123に載置したとき、外枠部材14の上面よりもやや上方に突出する高さH2にしている。すなわち、積み重ねた隣り合う他の空気電池A13の負極集電部材132に弾接するようにし、接触面積を増加させているとともに、構成部材に圧縮荷重を与えることができるようにしている。
また、防護部材140の面方向の総開口面積が、導電性液密通気部材123の厚さ方向の総開口面積よりも大きく設定している。換言すると、防護部材140の図示平面視における開口面積が、導電性液密通気部材123の厚さ方向の総開口面積よりも大きく設定されている。
これにより、防護部材140を通じて流通する空気が、導電性液密通気部材123の上面に沿って外周縁部に向けて拡散するようにし、防護部材140が他の空気電池と隣接するときにも、防護部材140の面方向においてガス供給を行なえるようし、発電効率の向上を図っている。
図14は、図11に示す空気電池が積層された構造を有する空気電池スタックの断面図である。図14に示すように、この形態に係る空気電池スタックC1は、空気電池A13を互いに図示上下多段に積み重ねたものである。なお、図14には、三つの空気電池を積層させた空気電池スタックを例示しているが、その個数に限るものでない。
図14において、最も下側の空気電池A13aに空気電池A13bを積み重ねると、空気電池A13aの防護部材140(導電性多孔体15)の当接端面15aに、空気電池A13bの負極集電部材132の下面132aが当接して導通する。また、その負極集電部材132の下面132aに当接した防護部材140(導電性多孔体15)が押圧されて弾性変形し、空気電池A13aの導電性液密通気部材123や正極層12等に所要の荷重を与えることができ、これらの接触抵抗を低減することができる。
また、最も外側に位置する二つの空気電池A13a,A13cに挟まれた空気電池A13bは、これの防護部材140(導電性多孔体15)が、図示最も上側に位置する空気電池A13cの負極集電部材132の下面132aに当接して弾性的に押圧され、空気電池A13aと同様に、導電性液密通気部材123や正極層12等に所要の荷重を与えることができ、これらの接触抵抗を低減することができる。そして、最も外側に位置する空気電池A13cは、防護部材140(導電性多孔体15)によって導電性液密通気部材123を被覆しているので、発電体B1の損傷を防止できる。
ところで、この形態における空気電池スタックC1では、全ての空気電池A13にそれぞれ防護部材140(導電性多孔体15)を設けた構成について例示したが、図示最も下側に配置した空気電池A13aと、これの上側において隣接する空気電池A13bについては、必ずしも防護部材140として機能するものを配設する必要はない。すなわち、少なくとも正極層12が外側となる積層端部(図14中で上端部)の空気電池A13cに防護部材140を配設すればよい。但し、導電性多孔体15は必要である。
図15は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第1の形態の更に他の例を示す平面図である。なお、上述した形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
図15に示すように空気電池A14は、その外観が、平面視長方形に形成された外枠部材171、発電体B1、防護部材140(導電性多孔体15)、正極層タブ122A、図示しない負極集電部材及び負極層タブを有して構成されている。図15に示す構成からなる空気電池であっても、上述した空気電池A11〜A14と同様の効果を得ることができる。
上述した形態においては、防護部材140として金網等の金属製のものを例示したが、樹脂製のものであってもよい。また、最上段に位置する防護部材を樹脂製のものにし、中段に位置する防護部材を金属製製のものにしてもよい。
上述した形態においては、空気電池スタックを三つの空気電池を積層したものを例として説明したが、それら三つの空気電池を一体にしたモジュールとし、これらのモジュールを二つ以上積層した構造としてもよい。
この場合、防護部材を、各モジュールの最も外側(図示上側)に位置する空気電池毎に配設する。これにより、各モジュールの最も外側に位置する空気電池の発電体を防護することができる。また、モジュール化することにより、一部の空気電池に故障が生じたとしても、その空気電池を含むモジュールを交換することができる。
上述した形態においては、防護部材として、通気性、導電性及び弾性を有する金網であって、#600〜700メッシュの金属メッシュ、樹脂メッシュ、エキスパンドメタル又は金属・非金属製の不織布を採用することができる。
上述した形態においては、電解質層11として、固体状或いはゲル状の電解質膜を採用することができる。
上述した形態においては、流路が、内部に導電性多孔体を備え、空気電池における層厚み方向と空気電池スタックにおける導電経路方向とが、略平行に構成されていることが好ましい。
上述した形態においては、導電性液密通気部材が、導電性及び水密通気性を有する導電性撥水層であることが好ましい。
上述した形態においては、導電性撥水層が、撥水性を有する導電材、並びに撥水材及び導電材を含むものの少なくとも一方を含有することが好ましい。
上述した形態においては、導電性撥水層が、微多孔膜、繊維集合体及び繊維構造体からなる群より選ばれる少なくとも1種のものを含有することが好ましい。
上述した形態においては、導電材が、繊維状導電材及び粒子状導電材の少なくとも一方であることが好ましい。
上述した形態においては、導電材が、カーボン及び金属の少なくとも一方を含有することが好ましい。
上述した形態においては、撥水材が、オレフィン系樹脂及びフッ素系樹脂の少なくとも一方を含有することが好ましい。
上述した形態においては、導電性多孔体が、粒子集合体、繊維集合体、繊維構造体及び多孔板からなる群より選ばれる少なくとも1種のものであることが好ましい。
上述した形態においては、導電性多孔体が、カーボン及び金属の少なくとも一方を含有することが好ましい。
上述した形態においては、撥水性を有する導電材及び撥水材の少なくとも一方が、非撥水性材料を撥水処理して得られるものを含有することが好ましい。
上述した形態においては、撥水処理が、フッ素処理であることが好ましい。
(第2の形態)
図16は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第2の形態を説明する断面図(A)、平面図(B)及び外枠部材の部分を拡大した断面図(C)である。
図16に示すように、空気電池A21は、円盤状を成すものであって、電解質層21を間にして、図中で上側の正極層22と、図中で下側の負極層23を備えると共に、電気絶縁性を有し且つ少なくとも正極層22及び電解質層21の外周を包囲する外枠部材24を備えている。
正極層22は、正極部材221と、正極部材221の片面に配置した正極集電部材222と、正極表面に配置した液密通気部材223を積層状態に備えている。また、正極集電部材222は正極層タブ222Aを有する。図示例では、正極部材221の電解質層21側(図中で下側)に正極集電部材222が設けてある。また、負極層23は、負極部材231と、負極表面に配置した負極集電部材232を積層状態に備えている。更に、負極集電部材132は負極層タブ232Aを有する。
また、正極層22は、断面上において、外枠部材24との間に、内端部(図中では下端部)が正極集電部材222の周縁部に接触し且つ外端部(図中では上端部)が正極表面側に露出する接点部材25を備えている。接点部材25は、その外端部が、液密通気部材223の表面よりも外側に突出し且つ少なくとも外枠部材24の端面と同一面位置に達する突出量である。つまり、接点部材25は、その端面(上面)が、外枠部材24の端面と同じ又はそれ以上となる突出量であり、図示例の場合は、外端部の端面が外枠部材24の端面と同一面状に連なっている。
電解質層21は、例えば、電解液、必要に応じて、多孔質のセパレータを含む。電解液は、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶液や非水溶液を適用することができる。しかしながら、これらに限定されるものではなく、空気電池に適用される従来公知の電解液を適用することができる。セパレータには水溶液や非水溶液を貯留するため、微細な孔が所定の割合で形成されている。また、セパレータは、水溶液である電解液に対しては、例えば、撥水処理を行っていないグラスペーパー、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜を好適に用いることができる。しかしながら、これらに限定されるものではなく、空気電池に適用される従来公知の材料を適用することができる。なお、電解質層自体を、固体あるいはゲル状の電解質としても良い。
正極層22において、正極部材221は、例えば、触媒成分と、触媒成分を担持する導電性の触媒担体と、触媒成分を結着するバインダとを含み、多孔質構造が形成されている。代表的には、カーボン材料とバインダー樹脂とで形成した導電性多孔体の内部に、二酸化マンガンなどの触媒を担持させたものである。なお、触媒担体及びバインダは必要に応じて含有される。以下、触媒担体に触媒成分が担持されてなる複合体を「電極触媒」とも称する。
触媒成分としては、具体的には、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、タングステン(W)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)等の金属並びにこれらの合金などから選択することができる。なお、合金とは、一般に金属元素に1種異常の金属元素又は非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。具体的には、上述の金属元素に1種以上の金属元素又は非金属元素を加えたものを挙げることができる。なお、合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である協商合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物又は金属と非金属との化合物を形成しているものなどがある。本発明においては、上記のいずれの合金組織であってもよい。しかしながら、これらに限定されるものではなく、空気電池に適用される従来公知の材料を適用することができる。
触媒成分の形状や大きさは、特に限定されるものではなく、従来公知の触媒成分と同様の形状及び大きさを採用することができる。ただし、触媒成分の形状は、粒状であることが好ましい。また、触媒粒子の平均粒子径は、1〜30nmであることが好ましい。触媒粒子の平均粒子径がこのような範囲内の値であると、触媒利用率と担持の簡便さとのバランスを適切に制御することができる。なお、触媒利用率は、電気化学反応が進行する電極表面の有効電極面積に関連するものである。
なお、本発明における「触媒粒子の平均粒子径」は、X線回折における触媒成分の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径や、透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値として測定することができる。また、触媒担体は、上述した触媒成分を担持するための担体、及び触媒成分と他の部材との間での電子の授受に関与する電子伝導パスとして機能する。触媒担体としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、充分な電子伝導性を有しているものであればよく、主成分がカーボンであることが好ましい。触媒担体としては、具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。
なお、「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、「炭素原子のみからなる」と「実質的に炭素原子からなる」との双方の意味を含む概念である。なお、「実質的に炭素原子からなる」とは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容され得ることを意味する。
触媒担体のBET比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに充分な比表面積であればよく、好ましくは20〜1600m2/g、より好ましくは80〜1200m2/gである。触媒担体の比表面積がこのような範囲内の値であると、触媒担体上での触媒成分の分散性と触媒成分の有効利用率とのバランスを適切に制御することができる。
触媒担体のサイズについても特に限定されるものではない。担持の簡便さ、触媒利用率、触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、触媒担体の平均粒子径を5〜200nm程度、好ましくは10〜100nm程度とすることが好ましい。電極触媒において、触媒成分の担持量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。触媒成分の担持量がこのような範囲内の値であると、触媒担体上での触媒成分の分散度と触媒性能とのバランスが適切に制御され得る。なお、電極触媒における触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって測定することができる。しかしながら、これらに限定されるものではなく、空気電池に適用される従来公知の材料を適用することができる。
更に、バインダとしては、特に限定されるものではないが、以下のような材料を挙げることができる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)及びポリアミド(PA)が挙げられる。また、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体並びにスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物も挙げることができる。さらに、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)並びにポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂も挙げられる。その他、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム及びエポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらのバインダは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
正極集電部材222は、正極層における面内方向(面に沿う方向)の導電性を良好に確保するものであって、ステンレス、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、カーボンなどの材料で形成した通気性を有する導電部材である。この正極集電部材は、正極部材の導電性に応じて通気部分の開口率を選択し、金網状の部材である場合には、例えば、50〜600メッシュ相当の仕様の中から選択して使用することができる。正極集電部材222には、金網状部材のほか、カーボンペーパーも使用可能である。また、正極集電部材222には、正極層タブ222Aが接続している。正極層タブ222Aは、例えば、ステンレス、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金などの材料で形成した導電部材である。
液密通気部材223は、電解質層の電解液に対して液密性(水密性)を有し、且つ酸素に対して通気性を有する部材である。この液密通気部材223は、電解液が外部へ漏出するのを阻止し得るように、フッ素樹脂などの撥水膜を用いており、一方、正極部材221に酸素を供給し得るように多数の微細孔を有している。
負極層23において、負極部材231は、リチウム(Li)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、及びマグネシウム(Mg)等の純金属、もしくは合金などの材料から成るものである。なお、当該合金の組織に関しては上述した通りである。
負極集電部材232は、電解質層の電解液が外部に漏出するのを阻止し得る材質から成る導電部材であって、例えば、ステンレス、銅、銅合金、金属材料の表面に耐食性を有する金属をメッキしたものなどである。また、負極集電部材232には、負極層タブ232Aが接続している。負極層タブ232Aは、ステンレス、銅、銅合金などの材料で形成した導電部材である。
外枠部材24は、円形のリング状を成しており、枠内側に、接点部材25を収容する段差部24Aを有している。このとき、接点部材24が正極層22の構成部材であるから、段差部24Aは、外枠部材24の正極層側の開口部分に形成してある。また、この形態の外枠部材24は、電解質層21及び正極層22の外周に加えて、負極層23の負極部材231の外周をも包囲している。このため、負極層23の負極集電部材232は、外枠部材24と同等の直径を有し、外枠部材24の負極側の開口部分を閉塞するように設けてある。
外枠部材24は、ポリプロピレン(PP)やエンジニアリングプラスチック(いわゆるエンプラ)などの耐電解液性を有する樹脂製であることが好ましく、これにより軽量化も図ることができる。また、外枠部材24は、機械的強度を持たせるために、樹脂をカーボン繊維やガラス繊維などの強化繊維によって複合化した繊維強化プラスチック(FRP)を使用することもできる。
接点部材25は、この形態では、円形のリング状であって、外枠部材24の段差部24Aに収まる断面積を有している。この接点部材25は、金属製であって、例えば、銅(Cu)、ステンレス、ニッケル(Ni)などの金属を使用することができる。また、その他の金属でも電解液に対する耐食性が確保されるように表面処理を行えば、それを使用することができる。さらに、接点部材25は、正極集電部材222との接触抵抗を低減するために、互いの接触面の少なくとも一方に、金(Au)や銀(Ag)などのメッキを施すことができる。
図17は、図16に示す空気電池を分解状態で示す断面図である。図17に示すように、空気電池A21は、正極部材221、正極集電部材222及び液密通気部材223を積層して正極層22を形成すると共に、接点部材25の内側に正極層22を装着する。その一方で、負極部材231と負極集電部材232を積層して負極層23を形成する。そして、外枠部材24の内側に、正極層22(又は負極層23)を装着すると共に、図中に仮想線で示す電解質層21を設け、その後、外枠部材24の内側に、負極層23(又は正極層22)を装着して、電解質層21を閉じ込めた状態にする。
上記構成を備えた空気電池A21は、とくに正極層22において、正極集電部材222及び接点部材25により通電経路を形成している。また、空気電池A21は、接点部材25の外端部を、液密通気部材223の表面よりも外側に突出させているので、接点部材25の外端部の内側には、液密通気部材223との段差に相当する深さDの扁平な凹空間を形成している。
図18は、図16に示す空気電池が直列接続された構造を有する空気電池スタックを示す断面図である。図8に示すように、空気電池A21は、接点部材25の外端部が正極端子になると共に、その反対側の負極集電部材232が負極端子になって、電池同士の直接的な直列接続を実現することができる。すなわち、空気電池A21は、複数個を直接的に直列接続して空気電池スタックC2を構成し、この際、接点部材25の外端部が隣接する空気電池A21の負極集電部材232に接触する。また、液密通気部材223と隣接する空気電池A21の負極集電部材232との間に、上記凹空間による空気流路26を形成する。
このように、空気電池A21は、複数個を直接的に直列接続して空気電池スタックC2を容易に構成し得るので、空気電池スタックC2の小型化や構造の簡略化を実現することができ、車載用の電源としても非常に好適なものとなる。
なお、空気流路26の厚さは、発電量と酸素の供給形態に依存するが、例えば、1〜10mm程度の範囲から適宜選択することができる。また、接点部材25は、上記の如くリング状を成して外端部の内側に空気流路26を形成するので、外部から空気流路26に空気を導入するための溝や孔を適当な箇所に設けておくことが望ましい。
さらに、空気電池A21は、電池外周部が、電気絶縁性を有する外枠部材24で構成してあるので、接点部材25の外端部である正極端子と、負極集電部材232である負極端子とが互いに相反する位置関係になる。これにより、短絡し難い構造になり、安全性の高いものとなる。なお、周知のボタン電池のように、一方の極が電池外装部を兼用している構造では、正極と負極の距離が短くなることから、安全性の観点から車載用の電源には不適当である。
さらに、空気電池A21は、接点部材25の外端部の端面と外枠部材24の端面とを同一面状に連ねてあるので、複数個を接続した際に、接点部材25及び外枠部材24の両方が隣接する空気電池A21に接触することとなり、接触部分の安定性が良好になる。また、空気電池A21は、接点部材25の外端部を、外枠部材24の端面を僅かに超える突出量にすることもできる。この場合には、隣接する空気電池A21に対する接点部材25の外端部の圧接力が増大し、接触抵抗の低減を図ることができる。
なお、空気電池A21は、負極集電体232の外側面(下面)に、接点部材25に対応するリング状の接点部材を設けたり、リング状の突条接点を一体的に形成したりすることも可能である。このような負極集電体232側の接点部材や突条接点によっても、電池同士の直接的な直列接続と、空気流路26の確保の両立を実現することができる。
図19は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第2の形態の他の例を説明する要部の断面図である。また、図20は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第2の形態の更に他の例を説明する要部の断面図である。更に、図21は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第2の形態の更に他の例を説明する要部の断面図である。また、図22は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第2の形態の更に他の例を説明する要部の断面図である。更に、図23は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第2の形態の更に他の例を説明する要部の断面図である。また、図24は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第2の形態の更に他の例を説明する要部の断面図である。なお、以下の各形態において、第2の形態の同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図19に示すように、空気電池A21は、先の第2の形態と同様に、正極層22が、電解質層21側に正極集電部材222を備えると共に、外枠部材24が、その枠内側に、接点部材25を収容する段差部24Aを有している。そして、この空気電池A21は、段差部24Aの段差面(平面)と接点部材25との間で正極集電部材222の周縁部を挟持した構造になっている。
空気電池A21は、先の第2の形態と同様の作用及び効果を得ることができるうえに、正極集電部材222と接点部材25との接触面積をできるだけ大きく確保することができ、接触抵抗や集中抵抗を小さく抑えることができる。また、外枠部材24の段差部24Aにより、正極集電部材222や接点部材25の位置決めが成されるので、外枠部材24に対する正極層22組付け性が良好になる利点もある。
図20に示すように、空気電池A21は、先の第2の形態と同等の基本構成を備えると共に、接点部材25が、液密通気部材223の周縁部を受ける凹部25Aを有している。この形態では、接点部材25の内周側に、段差状の凹部25Aが設けてある。
空気電池A21は、先の第2の形態と同様の作用及び効果を得ることができるうえに、正極部材221よりも液密通気部材223の面積が大きくなり、電解質層21の電解液の漏出をより確実に阻止することができる。また、凹部25Aにより、接点部材25に対する液密通気部材223の組付け性が良好になる利点もある。
図21に示すように、空気電池A21は、先の第2の形態と同等の基本構成を備えると共に、接点部材25が、液密通気部材223の表面上に延出したフランジ部25Bを有している。
空気電池A21は、先の第2の形態と同様の作用及び効果を得ることができるうえに、フランジ部25Bにより、接点部材25の外端部の端面面積が大きくなる。これにより、空気電池スタックC2を構成した際に、隣接する空気電池A21の負極集電部材232に対する接触面積が大きくなり、電気抵抗を低減することができる。
また、空気電池A21は、フランジ部25Bにより、正極層22を押え付けることができる。これにより、正極層22の各構成部材間の接触抵抗を低減することができると共に、正極層22の脱落を防止することもできる。さらに、空気電池A21は、正極層22のうちの少なくとも正極部材221及び正極集電部材222と、フランジ部25Bを有する接点部材25とを予めアッセンブリ化しておくことができるので、組付け性の向上に貢献することができる。
図22に示すように、空気電池A21は、先の第2の形態と同等の基本構成を備えると共に、接点部材25が、液密通気部材223の周縁部を受ける凹部25Aと、液密通気部材223の表面上に延出したフランジ部25Bとを有している。
空気電池A21は、先の第2の形態と同様の作用及び効果を得ることができるうえに、凹部25Aによる効果すなわち電解液の漏出阻止等の効果と、フランジ部25Bによる効果すなわち電気抵抗や接触抵抗の低減等の効果を併せ持つものとなる。また、この形態の場合には、本体部分とフランジ部25Bとを別体にした接点部材25を用いることもできる。
図23に示すように、空気電池A21は、先の第2の形態と同等の基本構成を備えると共に、接点部材25が、金属製であって、外端部の端面に表面処理Mが施してある。この表面処理Mには、とくに限定されないが、高導電性の被膜が好ましく、例えば、ダイヤモンドライクカーボンに代表される硬質炭素被膜などを適用することもできる。
空気電池A21は、先の第2の形態と同様の作用及び効果を得ることができるうえに、表面処理Mにより、耐食性、耐摩耗性及び良好な導電性を得ることが可能となり、空気電池スタックC2を構成した際には、隣接する空気電池A21との接触抵抗を低減することができる。
図24に示すように、空気電池A21は、先の第2の形態と同等の基本構成を備えると共に、接点部材25が、金属製であって、外端部の端面に表面処理Mが施してあると共に、接点部材25の内端部と正極集電部材222の周縁部とが、少なくとも一部で接合(符号W)してある。その接合には、溶接や接着等の手段を採用することができる。
空気電池A21は、先の第2の形態と同様の作用及び効果を得ることができるうえに、表面処理Mによる効果に加えて、接点部材25と正極集電部材222とを接合Wしたことにより、双方間の接触抵抗を低減することができる。また、接合Wにより、正極層22の各構成部材と接点部材25を予めアッセンブリ化しておくことができ、組付け性のさらなる向上などに貢献することができる。
図25は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第2の形態の更に他の例を説明する各々平面図(A)(B)である。図25(A)に示すように、空気電池A22は、先の第2の形態では円板状であったのに対して、矩形板状を成している。この空気電池A22は、先の第2の形態と同等の積層構造を有すると共に、矩形枠状の接点部材25を備えている。また、図25(B)に示すに示すように空気電池A22は、一対の短辺部分に接点部材25,25を配置した構成になっている。このように、矩形板状を成す空気電池A22の場合には、空気供給量と圧力損失との関係から、平面上の縦横比や接点部材の数及び配置を選択する。
これらの空気電池A22にあっても、先の第2の形態と同様の作用及び効果を得ることができる。なお、空気電池の形態は、上記の円盤状や矩形板状のほか、楕円形状や多角形状にすることも可能であり、これに加えて、単数又は複数の接点部材を配置することができる。
図26は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の第2の形態の更に他の例を説明する平面図(A)、及び正面図(B)である。また、図27は、図26に示すII‐II線に沿う断面図である。更に、図28は、図26に示す空気電池が積層された構造を有する空気電池スタックの断面図である。
この空気電池スタックC2は、三つの空気電池A23を上下三段に積み重ねたものである。空気電池A23は、先の第2の形態と同等の基本構造を有すると共に、その外観が、外枠部材24、接点部材25、発電体B2、防護部材240、正極層タブ222A、負極集電部材232及び負極層タブ232Aで構成してある。また、この形態では、電解質層21、正極層22及び負極層23からなる構成を発電体B2としている。
外枠部材24は、上下両面を開口した円筒形に形成されており、この外枠部材24の一方の開口24a寄りには、詳細を後述する接点部材25を嵌合するための段差部24Aが形成されている。段差部24Aは、接点部材25の外径に一致する内径D1にし、かつ、その接点部材25の高さにほぼ一致する高さH1にした段差として形成されている。
発電体B2は、図17に示すように、電解液を含浸したセパレータから成る電解質層21の一方の面に正極層22を配設し、他方の面に負極層23を配設すると共に、正極層22の外面に液密通気部材223を積層したものであり、その電解質層21の正極層22寄りには、正極集電部材222が配設されている。
正極集電部材222は、段差部24Aの内径に一致した平面視円形に形成されており、イオンを流通させられる大きさの流通孔を有する導電性の金網等である。この正極集電部材222は、これの外周縁部が、段差部24Aに嵌入した接点部材25の底壁25cとの間に挟入固定されるようになっている。
接点部材25は、導電性を有する金属製のものであり、電解質層21及び正極層22とそれぞれ導通接続され、かつ、図示上側において隣接する他の空気電池A23の負極集電部材232に導通接触させるためのものである。
この形態において示す接点部材25は、所要の外径にしたリング形にしたものであり、その段差部24Aに嵌合したときに、正極集電部材222を底壁25cとの間に挟入した状態において、外枠部材24の開口24aと面一となる高さに形成されている。
液密通気部材223は、接点部材25の内径に一致する外径にした平面視円形に形成されている。換言すると、正極部材221の外面221aを被覆するように形成されている。
防護部材240は、外部から異物が内部に突入することを阻止して、発電体B2すなわち正極層22等を防護するためのものであり、接点部材25の内径に一致する外径の平面視円形にした通気性、導電性及び弾性を有する金網である。具体的には、液密通気部材223の外面223aを被覆するよう配設されているとともに、外縁部において接点部材25と導通接触させている。「導通接触」の態様としては、例えば、溶着の他、当接させることによってもよい。
この形態において示す防護部材240は、#600〜700メッシュのような超緻密なものであり、液密通気部材223よりも開口率を高くしている。
また、この防護部材240を液密通気部材223に載置したとき、接点部材25の上面よりもやや上方に突出する高さH2にしている。すなわち、積み重ねた隣り合う他の空気電池A23の負極集電部材232に弾接するようにし、接触面積を増加させているとともに、構成部材に圧縮荷重を与えることができるようにしている。
また、防護部材240の面方向の総開口面積が、液密通気部材223の厚さ方向の総開口面積よりも大きく設定している。換言すると、防護部材240の図示平面視における開口面積が、液密通気部材223の厚さ方向の総開口面積よりも大きく設定されている。
これにより、防護部材240を通じて流通する空気が、液密通気部材223の上面に沿って外周縁部に向けて拡散するようにし、防護部材240が他の空気電池と隣接するときにも、防護部材240の面方向においてガス供給を行なえるようし、発電効率の向上を図っている。
この形態に係る空気電池スタックCは、図18に示すように、空気電池A23を互いに図示上下多段に積み重ねたものである。なお、図18には、三つの空気電池を積層させた空気電池スタックを例示しているが、その個数に限るものでない。
図18において、最も下側の空気電池A23aに空気電池A23bを積み重ねると、空気電池A23aの接点部材25の当接端面25aに、空気電池A23bの負極集電部材232の下面232aが当接して導通する。また、その負極集電部材232の下面232aに当接した防護部材240が押圧されて弾性変形し、空気電池A23aの液密通気部材223や正極層22等に所要の荷重を与えることができ、これらの接触抵抗を低減することができる。
また、最も外側に位置する二つの空気電池A23a,A23cに挟まれた空気電池A23bは、これの防護部材240が、図示最も上側に位置する空気電池A23cの負極集電部材232の下面232aに当接して弾性的に押圧され、空気電池A23aと同様に、液密通気部材223や正極層22等に所要の荷重を与えることができ、これらの接触抵抗を低減することができる。そして、最も外側に位置する空気電池A23cは、防護部材240によって液密通気部材223を被覆しているので、発電体230の損傷を防止できる。
ところで、この形態における空気電池スタックCでは、全ての空気電池A23にそれぞれ防護部材240を設けた構成について例示したが、図示最も下側に配置した空気電池A23aと、これの上側において隣接する空気電池A23bについては、必ずしも防護部材240を配設する必要はない。すなわち、少なくとも正極層22が外側となる積層端部(図18中で上端部)の空気電池A23cに防護部材240を配設すればよい。
次に、図29を参照してさらに他の形態に係る空気電池について説明する。図29は、空気電池の断面図である。なお、上述した第2の形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
この形態に係る空気電池A24は、上述した空気電池A23とは異なる構成の接点部材260を採用している。同図(A)に示す接点部材260は、導電性を有する金属製のものであり、電解質層21及び正極層22とそれぞれ電気的に接続され、かつ、隣接する他の空気電池A24の負極集電部材232に導通接触させるためのものである。
この接点部材260は、所要の外径にしたリング形に形成された断面縦長の基部260aと、この基部260aの上部に、防護部材240を液密通気部材223との間に挟持するための一定幅にした挟持片260bを内方に向けて形成したものである。
なお、この接点部材260を段差部24Aに嵌合したときに、外枠部材24の上面24aと面一となる高さに形成されていることは、上記したものと同様である。上記の構成からなる接点部材260を採用することにより、よりしっかりと防護部材240を挟持固定することができる。
なお、上述した第2の形態に限るものではなく、次のような変形が可能である。
上述した第2の形態においては、空気電池として平面視円形のものを例として説明したが、図30に示すような形状にしてもよい。図30(A)は、さらに他の形態に係る空気電池の平面図、(B)は、別の形態に係る空気電池の平面図である。なお、上述した形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
同図(A)に示す形態に係る空気電池A25は、その外観が、平面視長方形に形成された外枠部材271、接点部材270,270、発電体B2、防護部材240及び図示しない負極集電部材を有して構成されている。接点部材270,270は、外枠部材271の長辺両端部に起立して形成されているものである。
同図(B)に示す形態に係る空気電池A26は、その外観が、平面視長方形に形成された外枠部材281、接点部材280、発電体B2、防護部材240及び図示しない負極集電部材を有して構成されている。
接点部材280は、外枠部材281の内周壁面によって区画される空間に嵌合する平面視長方形にした四角枠形のものである。上記図30(A),(B)に示す構成からなる空気電池であっても、上述した空気電池A21〜A24と同様の効果を得ることができる。
上述した形態においては、防護部材240として金網等の金属製のものを例示したが、樹脂製のものであってもよい。また、最上段に位置する防護部材を樹脂製のものにし、中段に位置する防護部材を金属製製のものにしてもよい。
上述した形態においては、空気電池スタックを三つの空気電池を積層したものを例として説明したが、それら三つの空気電池を一体にしたモジュールとし、これらのモジュールを二つ以上積層した構造としてもよい。
この場合、防護部材を、各モジュールの最も外側(図示上側)に位置する空気電池毎に配設する。これにより、各モジュールの最も外側に位置する空気電池の発電体を防護することができる。また、モジュール化することにより、一部の空気電池に故障が生じたとしても、その空気電池を含むモジュールを交換することができる。
上述した形態においては、防護部材として、通気性,導電性及び弾性を有する金網であって、#600〜700メッシュの金属メッシュ、樹脂メッシュ、エキスパンドメタル又は金属・非金属製の不織布を採用することができる。
上述した形態においては、電解質層21として、固体状或いはゲル状の電解質膜を採用することができる。
上述した形態においては、接点部材が、液密通気部材の周縁部を受ける凹部を有していることが好ましい。
上述した形態においては、接点部材が、液密通気部材の表面上に延出したフランジ部を有していることが好ましい。
上述した形態においては、接点部材が、金属製であって、外端部の端面に表面処理が施してあることが好ましい。
上述した形態においては、接点部材が、金属製であって、接点部材の内端部と正極集電部材の周縁部とが、少なくとも一部で接合してあることが好ましい。
上述した形態においては、液密通気部材の外面に、通気性を有し且つ正極層を防護するための防護部材を配設したことが好ましい。
上述した形態においては、防護部材が、導電性のものであり、且つ電解質層及び正極層と導通接続されていることが好ましい。
上述した形態においては、接点部材に、防護部材を挟持するための挟持片が形成されており、その挟持片によって液密通気部材との間に挟持固定されていることが好ましい。
上述した形態においては、防護部材の面方向の総開口面積が、液密通気部材の厚さ方向の総開口面積よりも大きく設定されていることが好ましい。
上述した形態においては、防護部材は、金属メッシュ、樹脂メッシュ、エキスパンドメタル又は金属・非金属製の不織布であることが好ましい。
上述した形態においては、少なくとも正極層が外側となる積層端部の空気電池が、液密通気部材の外面に、通気性を有し且つ正極層を防護するための防護部材を備えていることが好ましい。
上述した形態においては、防護部材が、隣接する空気電池の負極集電部材に弾接していることが好ましい。
(第3の形態)
図31は、本発明の一実施形態に係る空気電池システムに適用される空気電池の一例を示す断面図である。また、図32は、(A)が図31に示す空気電池の正極層の平面図であり、(B)が図32(A)中のA−A線断面図であり、(C)が負極層の平面図である。図31及び図32に示すように、空気電池A31は、矩形板状を成すものである。さらに、空気電池A31は、正負の電極である正極層31及び負極層32と、正極層31及び負極層32の外周部に配置した外枠部材(331,332)を備えている。また、正極層31は正極層タブ31Aを有する。更に、負極層32は負極層タブ32Aを有する。なお、図31では、図32(A)に示す正極層31のB−B線に基づく断面と、図32(C)に示す負極層32のC−C線に基づく断面とを示している。
外枠部材として、正極層1を一体的に接合した第1外枠部材331と、負極層32を一体的に接合した第2外枠部材332とを備えている。そして、第1外枠部材331及び第2外枠部材332同士を溶着等により気密的に接合することにより、正極層31と負極層32との間に電解液の収容部34を形成している。なお、図示は省略したが、第1外枠部材331及び第2外枠部材332のいずれか一方又は両方には、バルブ類を備えた電解液注入部を設けることができる。これにより、注液式の空気電池A31となる。
第1外枠部材331及び第2外枠部材332は、電極層(正極層31及び負極層32)の厚さよりも大きい厚さを有している。特に、正極層31と接合した第1外枠部材331は、図32(A)中における上下の辺部分が、図32(B)に示すように、正極層表面と同一面状を成すように薄肉になっている。これにより、図33に示すように、空気電池31Aを複数個積層して空気電池スタックC3を構成した際に、正極層31の表面側に、図32中の矢印で示す面内方向(面に沿う方向)の空気流路Fを形成する。
また、第1外枠部材331及び第2外枠部材332は、電気絶縁性を有することが好ましい。例えば、第1外枠部材331及び第2外枠部材332は、ポリプロピレン(PP)やエンジニアリングプラスチックなどの耐電解液性を有する樹脂製であることが好ましく、これにより軽量化を図ることもできる。さらに、第1外枠部材331及び第2外枠部材332は、機械的強度をより高めるために、樹脂とカーボン繊維やガラス繊維等の強化繊維とを複合化した繊維強化プラスチック(FRP)を用いることもできる。
正極層31は空気中の酸素と接触し、当該酸素を正極活物質として使用するものである。具体的には、正極層31は、ガス拡散層を含む触媒層311と、正極層表面(図31中では電池上面)に配置した液密通気部材(撥水層)312とを備えている。触媒層311は、導電性の多孔質材料で形成されている。具体的には、触媒層311は、例えば、カーボン材料とバインダー樹脂とで形成した導電性多孔体の内部に、二酸化マンガンなどの触媒を担持させたものである。
撥水層312は、電解液に対して液密性を有し、かつ、酸素に対して通気性を有する部材である。この撥水層312は、電解液が外部へ漏出するのを阻止し得るように、フッ素樹脂などの撥水膜を用いている。一方、撥水層312は、触媒層311に酸素を供給し得るように多数の微細孔を有している。
負極層32は、負極活物質として機能する金属を含有する負極金属層321と、負極層表面(図31中では電池下面)に配置した負極集電層322を備えている。負極活物質として機能する金属は、リチウム(Li)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる純金属であることが好ましい。また、負極活物質として機能する金属は、リチウム(Li)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する合金であることが好ましい。本形態では、負極金属層321としてアルミニウム(Al)を用いている。
負極集電層322は、電解液が外部に漏出することを阻止し得る材質から成る導電部材である。負極集電層322としては、ステンレス、銅、銅合金、及び金属材料の表面に耐食性を有する金属をメッキした材料からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を用いることが好ましい。負極集電層322は、負極金属層321よりも耐電解液性の高い材料から成るものであることがより好ましい。本形態では、負極集電層322として銅箔を用いている。
正極層31と負極層32との間に介在する電解液は、水酸化カリウム(KOH)や塩化物を主成分とした水溶液又は非水電解液であることが好ましい。なお、当該電解液は、固体あるいはゲル状の電解質に置換することも可能である。
ここで、本形態の空気電池A31は、第1外枠部材331及び第2外枠部材332が樹脂製であり、例えば、射出形成などにより、電極層(正極層31、負極層32)の外周部に一体成形してある。これにより、正極層31及び負極層32は、その外周部全体が樹脂中に埋設された状態で、各々の外枠部材(331,332)と一体化している。このような構成により、電極の機械的強度と電解液に対するシール性とを高めることが可能となる。
より詳細に説明すると、本形態の空気電池A31における第1外枠部材331は、正極層31の外周部と一体的に接合され、正極層31と第1外枠部材331との接合部より電解液の漏れを防止する構成となっている。具体的には、正極層31の外周部と第1外枠部材331とが接着剤を用いて接合されていてもよい。さらに、正極層31の外周部を第1外枠部材331に埋没させることで接合されていてもよい。また、正極層31の外周部の一部分と第1外枠部材331とが接着剤を用いて接合され、さらに正極層31の外周部の他の部分を第1外枠部材331に埋没させることで接合されていてもよい。このような構成により、正極層31の外周部が第1外枠部材331に支持され、正極層31の強度を高めることが可能となる。さらに、正極層31の外周部が第1外枠部材331に接合されることで、電解液の漏出も抑制することが可能となる。
なお、本形態の空気電池A31では、正極層31の外周部の少なくとも一部が外枠部材と一体的に接合されている必要がある。ただ、電解液の漏れを防止するという観点から、正極層31の外周部の全体が外枠部材と一体的に接合されていることが好ましい。また、正極層31の外周部と外枠部材との接合は、接着剤や埋没させることに限定されず、例えば、溶着により接合してもよい。
同様に、本形態の空気電池A31における第2外枠部材332は、負極層32の外周部と一体的に接合され、負極層32と第2外枠部材332との接合部より電解液の漏れを防止する構成となっている。具体的には、負極層32の外周部と第2外枠部材332とが接着剤を用いて接合されていてもよい。さらに、負極層32の外周部を第2外枠部材332に埋没させることで接合されていてもよい。また、負極層32の外周部の一部分と第2外枠部材332とが接着剤を用いて接合され、さらに負極層32の外周部の他の部分を第2外枠部材332に埋没させることで接合されていてもよい。このような構成により、負極層32の外周部が第2外枠部材332に支持され、負極層32の強度を高めることが可能となる。さらに、負極層32の外周部が第2外枠部材332に接合されることで、電解液の漏出も抑制することが可能となる。
なお、本形態の空気電池A31では、負極層32の外周部の少なくとも一部が外枠部材と一体的に接合されていることが好ましい。ただ、電解液の漏れを防止するという観点から、負極層32の外周部の全体が外枠部材と一体的に接合されていることがより好ましい。また、負極層32の外周部と外枠部材との接合は、接着剤や埋没させることに限定されず、例えば、溶着により接合してもよい。
空気電池A31は、上述したように、負極層32が、アルミニウム製の負極金属層321と、負極金属層321よりも耐電解液性の高い材料である銅箔製の負極集電層322とを備えている。そして、負極金属層321及び負極集電層322のうちの少なくとも負極集電層322と第2外枠部材332とが一体化されていることが好ましい。なお、図31及び図32(C)では、負極金属層321及び負極集電層322の両方が第2外枠部材332と一体化されている。つまり、負極金属層321及び負極集電層322の両方の外周部が第2外枠部材332に埋没している。
さらに、空気電池A31は、負極金属層321と負極集電層322とが一体化されている。つまり、負極金属層321と負極集電層322とが積層され、互いに接合されている。しかも、図31及び図32(C)に示すように、負極集電層322が、平面視において、負極金属層321の外側に外周部を有する大きさになっている。
上記構成を備えた空気電池A31は、部品点数が少なく、構造が極めて簡単で薄型なものとなる。そして、空気電池A31を複数個積層した場合には、例えば、外枠部材(331,332)に接点部材を設けたり、隣接する空気電池A31の間に導電部材を挿入したりすることで、配線類を用いることなく、互いに直列接続することが可能となる。その結果、空気電池A31を積層した空気電池スタックは、自動車等の車両に搭載する電源として非常に好適なものとなる。
そして、空気電池A31は、両電極のうちの少なくとも正極層31と第1外枠部材331とが一体的に接合してあるので、正極層31が第1外枠部材331で補強された状態になり、機械的強度と電解液に対するシール性を高めることができる。これにより、空気電池の更なる薄型化を図ることができる。さらに、この薄型化に伴って内部抵抗も減少することから、空気電池A31の高出力化を図ることもできる。
また、空気電池A31を複数個積層した際には、正極層31が撓んで外周部に応力集中が生じることがある。しかし、上述のように、空気電池A31は機械的強度及びシール性が高いので、正極層31の変形に伴って電解液のシール性が損なわれるような恐れを解消することができる。
図31に示すように、空気電池A31では、正極層31と第1外枠部材331だけでなく、負極層32と第2外枠部材332も一体的に接合してある。これにより、負極層32の機械的強度や電解液に対するシール性が高められる。その結果、負極層32及び第2外枠部材332と正極層31及び第1外枠部材331と組み合わせることで、空気電池A31の更なる薄型化及び高出力化に貢献することができる。
また、空気電池A31は、第1外枠部材331及び第2外枠部材332が樹脂製であり、正負の電極層(31,32)の外周部に一体成形してある。そのため、薄くても十分な強度を確保し得ると共に、電解液に対するシール性がより一層高くなり、生産性に優れている。
さらに空気電池A31は、負極層32を構成する負極金属層321及び負極集電層322のうちの少なくとも負極集電層322と第2外枠部材332とが一体化してある。これにより、空気電池A31は、発電に伴って負極金属層321が消耗した場合でも、負極集電層322により電解液に対するシール性を良好に維持することができる。さらに、空気電池A31は、負極集電層322の材料が負極金属層321よりも耐電解液性の高いものであるから、電解液に対するシール性がより一層高められる。
なお、負極集電層322の材料は、必ずしも負極金属層321よりも耐電解液性が高いものでなくても使用可能である。つまり、空気電池A31では発電時間や負極金属層321の消耗量が予め分かっており、負極集電層322が発電終了後に電解液の漏出を阻止し得るものであればよい。そのため、厚さなどを適宜選択すれば、負極集電層322と負極金属層321とが同一材料である場合も有り得る。しかし、負極金属層321よりも耐電解液性が高い材料から成る負極集電層322を用いれば、電解液に対するシール性がより確実になり、安全性の高い空気電池を提供することが可能となる。
さらに空気電池A31は、負極層32において、負極金属層321と負極集電層322とを一体化している。そのため、負極金属層321及び負極集電層322が互いに補強し合う状態になると共に、双方間の接触抵抗も低減され、薄くて強度が高いうえに集電ロスの少ない負極層32を得ることができる。
空気電池A31は、負極集電層322が、平面視において負極金属層321の外側に外周部を有する大きさである。つまり、負極集電層322が負極金属層321の全体を十分に覆っているので、電解液に対するシール性の更なる向上を実現することができる。また、負極集電層322の外周部において、第2外枠部材332の内部に埋没する部分が増加することから、電解液の漏れをより抑制することが可能となる。
図34〜図43では、本形態の空気電池の更に他の例を示す。なお、以下の各形態において、本形態と同一の構成部位は同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図34に示す空気電池の正極層31は、第1外枠部材331と一体的に接合してある。本形態では、樹脂製の第1外枠部材331に正極層31の外周部を埋設したのに対して、この形態では、第1外枠部材331の一部に正極層31の外周部を組み込んで、接着や溶着などにより接合したものである。この正極層31を備えた空気電池にあっても、本形態と同様に、正極層31の機械的強度及び電解液に対するシール性が高められ、空気電池の薄型化や高出力化に貢献し得るものとなる。
図35に示す空気電池の正極層31は、第1外枠部材331が、少なくとも一部に、正極層31を機械的に固定する電極固定構造を備えている。また、正極層31の撥水層312と触媒層311との間に、補強層35を備えている。すなわち、本形態の空気電池は、第1外枠部材331及び第2外枠部材332が、少なくとも一部に、電極層(31,32)を機械的に固定する電極固定構造を備えている構成とし、また、少なくとも正極層31が、補強層35を備えている構成とすることができる。
補強層35は、導電性及び通気性を有する部材である。そして、補強層35としては、例えば、パンチングメタルなどの多孔金属板や金属メッシュ、若しくは多孔樹脂板や樹脂メッシュの表面にめっき等の金属被膜を形成したものを用いることができる。
電極固定構造は、図35(A)に示す矩形形状の正極層31において、少なくとも四隅に設ければ所定の機能を得ることができる。つまり、薄型の空気電池では、積層時において正極層31の中央部が撓むので、特に正極層31が矩形状である場合には、外周部の四隅に応力集中が生じる。そこで、電極固定構造は、少なくとも第1外枠部材331の四隅に設けるのが好ましく、全周に渡って設けることがより好ましい。電極固定構造の具体例を図35(B)〜(E)に示す。
図35(A)に示す電極固定構造は、第1外枠部材331が上側部材331Aと下側部材331Bとに分割してある。さらに、上側部材331A及び下側部材331Bの相対する面に、互いに係合可能な凹部331C及び凸部331Dを相対的に設けている。この電極固定構造は、上側部材331Aと下側部材331Bとの間に正極層31の外周部を挟み込んで、凹部331C及び凸部331Dを互いに係合して、上側部材331Aと下側部材331Bを接着等により接合する。これにより、正極層31と第1外枠部材331とを一体的に接合して固定する。
図35(C)に示す電極固定構造は、第1外枠部材331が、断面が鉤状の外側部材331Eと、その内側に収容される内側部材331Fとに分割してある。さらに、正極層31の外周部に折曲部31Aを設けている。この電極固定構造は、外側部材331Eと内側部材331Fとの間に正極層31の折曲部31Aを挟み込んで、外側部材331Eと内側部材331Fとを接着等により接合する。これにより、正極層31と第1外枠部材331とを一体的に接合して固定する。
図5(D)に示す電極固定構造は、正極層31の外周部と第1外枠部材331とに、互いに係合可能な凹凸や穴、突起などの係合部331Gを設けた構成である。この電極固定構造は、正極層31及び第1外枠部材331を係合部331Gで係合して、さらに双方を接着等により接合する。これにより、正極層31と第1外枠部材331とを一体的に接合して固定する。
図5(E)に示す電極固定構造は、正極層31の外周部に折曲部31Aを設け、正極層31の外周部に樹脂製の第1外枠部材331を一体成形する。これにより、樹脂中に正極層31の折曲部31Aを埋設状態にし、正極層31と第1外枠部材331とを一体的に接合して固定する。
電極固定構造を有する空気電池は、本形態と同様の作用及び効果を得ることができる。さらに、正極層31と第1外枠部材331とを機械的に連結したうえで双方が一体化される。そのため、薄型でも十分な機械的強度や、電解液に対するシール性を高めることができる。電極固定構造は、電極の製造工程に合わせて好適なものを選択することができる。
また、本形態の正極層31を備えた空気電池は、補強層35によって機械的強度がより高くなる。その結果、積層時における正極層31の撓みを抑制して、応力集中を大幅に緩和することができ、空気電池の更なる薄型化、高出力化及び軽量化を実現することができる。しかも、導電性を有する補強層35を設けることで、補強層35が集電体として機能し、内部抵抗の低減を実現することが可能となる。
さらに、電極固定構造は、負極層32と第2外枠部材332との接合にも当然採用することができる。その結果、正極側と同様に機械的強度や電解液に対するシール性が高められるので、正極層31との構成と相まって空気電池の高性能化に貢献し得るものとなる。
図36に示す空気電池の正極層31は、撥水層312、ガス拡散層を含む触媒層311及び補強層35が互いに積層された構成を有する。そして、撥水層312、触媒層311及び補強層35のうちの少なくとも一層と第1外枠部材331とが一体化してある構成である。
図36(A)に示す正極層31は、正極層表面から順に、撥水層312、補強層35及び触媒層311を備えている。この正極層31は、撥水層312及び補強層35の外周部を第1外枠部材331と一体化し、補強層35の下面に触媒層311を設けたものである。
図36(B)に示す正極層31は、正極層表面から順に、撥水層312、触媒層311及び補強層35を備えている。この正極層31は、撥水層312の外周部を第1外枠部材331と一体化し、この撥水層312の下面に触媒層311及び補強層35を設けたものである。
図36(C)に示す正極層31は、正極層表面から順に、撥水層312、補強層35及び触媒層311を備えている。この正極層31は、補強層35の外周部を第1外枠部材331と一体化し、補強層35の上面に撥水層312を設けると共に、補強層35の下面に触媒層311を設けたものである。
図36(D)に示す正極層31は、正極層表面から順に、撥水層312、補強層35及び触媒層311を備えている。この正極層31は、全ての層の外周部と第1外枠部材331とを一体化したものである。
ここで、補強層35は、上述したように、多孔板やメッシュのような通気性部材で形成されることが好ましい。ただ、図35及び図36に示す形態では、図36(E)に示すように、通気性の無い枠部35Aを有する構成とすることが好ましい。これにより、補強層35は、枠部35Aを糊代として用いることで、隣接する撥水層312や触媒層311への接着性を高めることができる。また、枠部35Aと第1外枠部材331とを接合することで、双方の密着性やシール性を高めることができる。
図36に示す正極層31を備えた空気電池であっても、本形態と同様に、機械的強度や電解液に対するシール性を著しく高めることができる。さらに、撥水層312、触媒層311及び補強層35の間の接触抵抗を一層低減することができ、空気電池の更なる薄型化、高出力化及び軽量化に貢献することができる。
図37に示す空気電池の負極層32は、負極集電層322が、複数の空気電池を直列接続した際に、隣接する空気電池の正極層31の表面に空気流路Fを形成する負極集電部材326Aで形成してある。そして、負極層32は、負極金属層321及び負極集電部材326Aの外周部に、第2外枠部材332を一体化している。
負極集電部材326Aは、その下面に突出する複数の突条326aが所定間隔を設けて並列に配置されている。図37では、負極集電部材326Aの下面に4本の突条326aが所定間隔を設けて並列に配置されている。これらの突条326aは、図32に示す空気の流れ方向に沿って形成してある。このような負極集電部材326Aは、金属板をプレス加工したもので、突条326aの反対面は溝状を成している。
負極層32は、図38に示すように、負極層32に一体化した第2外枠部材332と、正極層31に一体化した第1外枠部材331とを気密的に接合して空気電池A31を構成する。また、正極層31と負極層32との間には、電解液の収容部34を形成する。そして、空気電池A31を複数個積層して空気電池スタックC3を構成する。
空気電池スタックC3においては、空気電池A31の正極層31に、その上側に隣接する負極層32の負極集電部材326Aの突条326aが接触して、突条326a同士の間に、正極層31に対する空気流路Fを形成する。これにより、負極集電部材326Aは、互いに隣接する正極層31及び負極層32の間のスペーサ及びコネクタとして機能する。
図39に示す空気電池の負極層32では、複数の空気電池を直列接続した際に、負極集電層322が、隣接する空気電池の正極層31の表面に空気流路Fを形成する負極集電部材326Bで形成してある。そして、負極層32は、負極金属層321及び負極集電部材326Bの外周部に、第2外枠部材332を一体化している。
この形態の負極集電部材326Bは、断面が波状を成すものである。この負極集電部材326Bを備えた負極層32にあっても、本形態と同様に、負極集電部材326Bが正極層31に対する空気流路Fを形成すると共に、スペーサ及びコネクタとして機能する。
図40に示す空気電池の負極層32では、複数の空気電池を直列接続した際に、負極集電層322が、隣接する空気電池の正極層31の表面に空気流路Fを形成する負極集電部材326Cで形成してある。そして、負極層32は、負極金属層321及び負極集電部材326Cの外周部に、第2外枠部材332を一体化している。
この形態の負極集電部材326Cは、その下面に突出する複数の突部326bを縦横に配列したものである。この負極集電部材326Cを備えた負極層32にあっても、本形態と同様に、負極集電部材326Cが正極層31に対する空気流路Fを形成すると共に、スペーサ及びコネクタとして機能する。
図41に示す空気電池の負極層32では、複数の空気電池を直列接続した際に、負極集電層322が、隣接する空気電池の正極層31の表面に空気流路Fを形成する負極集電部材326Dで形成してある。そして、負極層32は、負極金属層321及び負極集電部材326Dの外周部に、第2外枠部材332を一体化している。
この形態の負極集電部材326Dは、負極集電層322に、下方へ突出する複数の突部を一体成形したものである。そして、負極集電部材326Dは、負極金属層321に接合する平面状の本体部326cと、本体部326cから突出した複数のリブ状突部326dを備えている。図41では、7本のリブ状突部326dを備えている。これらのリブ状突部326dは、所定間隔を設けて並列に配置されている。
この負極集電部材326Dを備えた負極層32にあっても、本形態と同様に、負極集電部材326Dが正極層31に対する空気流路を形成すると共に、スペーサ及びコネクタとして機能する。
図42に示す空気電池の負極層32は、隣接する空気電池の正極層31の表面に空気流路Fを形成する負極集電部材326Eを備えている。この負極集電部材326Eは、図41に示す形態と同様に、負極金属層321に接合する平面状の本体部326cと、本体部326cから突出した複数(図示例では7本)のリブ状突部326dを備えている。そして、負極集電部材326Eは、各リブ状突部326dを貫通させた状態にして本体部326cに接合する支持層327を備えている。
負極集電部材326Eを備えた負極層32にあっても、本形態と同様に、負極集電部材326Eが、正極層31に対する空気流路Fを形成すると共に、スペーサ及びコネクタとして機能する。また、負極層32は、支持層327により本体部326cが補強されるので、本体部326cの更なる薄型化及び軽量化を実現し、さらに負極金属層321が消耗した際の負極層32の撓みを抑制することができる。
図37〜図42に示す空気電池の負極層32は、空気流路Fを得るために厚さ方向に立体化した負極集電部材(323A,326B,326C,326D,326E)を採用したので、負極集電部材の形状自体によっても機械的強度を高めることができる。なお、隣接する空気電池A31同士の間には空気流路Fが不可欠であるから、厚さ方向に立体化した負極集電部材を使用しても、空気電池A31の薄型化を損なう心配は全く無い。また、負極集電部材の採用により、配線類を用いることなく空気電池A31同士を電気的に接続することができる。これにより、内部抵抗の低減や部品点数の削減を実現することができ、空気電池A31及び空気電池スタックC3の高出力化や低コスト化を図ることができる。
さらに、図37及び図39に示す負極集電部材(326A,326B)は、突条326a同士の間や、波形状の下側の谷部を空気流路Fとするのである。そして、突条326aや波形状の下側の山部に多数の孔を形成しておけば、突条326aの裏側の溝状部分や波形状の上側の谷部も空気流路Fとして用いることができる。
図43に示す空気電池A31は、正極層31が、その表面に導電性を有する構成である。図示例の正極層31は、撥水層312の上側に正極集電層316を備えたもので、正極集電層316により正極層表面に導電性を確保している。この正極集電層316は、撥水層312に空気を供給するために通気性を有している。具体的には、正極集電層316は、補強層35にように、パンチングメタルなどの多孔金属板や金属メッシュ、多孔樹脂板や樹脂メッシュの表面にめっき等の金属被膜を形成したものなどを用いることができる。
空気電池A31は、図43に示すように、複数個を積層して空気電池スタックC3を構成し、隣接する空気電池A31の間に空気流路Fを形成する。このとき、正極集電層316は、隣接する負極層32に接触してスペーサ及びコネクタとして機能する。また、空気電池A31は、正極集電層316を第1外枠部材331と一体化してもよい。
正極層31を備えた空気電池A31にあっても、先の各形態と同様に、機械的強度の向上、薄型軽量化、内部抵抗の低減及び高出力化などを図ることができる。なお、本形態の空気電池A31は、正極層31の表面に導電性を有するものを含む。したがって、正極層31は、正極集電層316を備えた構成のほか、先の図38に示すような空気電池スタックA31においては、撥水層312が導電性を有するものとなる。
上述した形態では、正極層及び負極層に第1外枠部材及び第2外枠部材を各々一体化した場合を例示したが、正極層と負極層との間に電解液の収容部を形成したうえで、正極層及び負極層の外周部に単一の外枠部材を一体的に接合することも可能である。
上述した形態では、第1外枠材及び第2外枠材同士を接合すると共に、正極層と負極層との間に電解液の収容部を形成することが好ましい。
上述した形態では、外枠部材は、樹脂製であり、さらに正極層及び負極層の少なくともいずれか一方の外周部に一体成形してあることが好ましい。
上述した形態では、外枠部材は、正極層及び負極層の少なくともいずれか一方を機械的に固定する電極固定構造を備えていることが好ましい。
上述した形態では、正極層は補強層を備えていることが好ましい。
上述した形態では、補強層は導電性を有することが好ましい。
上述した形態では、正極層は、互いに積層された撥水層、触媒層及び補強層を備え、撥水層、触媒層及び補強層のうちの少なくとも一層と外枠部材とが一体的に接合されていることが好ましい。
上述した形態では、負極層は、負極金属層と、負極金属層よりも耐電解液性の高い材料から成る負極集電層とを備え、負極集電層と外枠材とが一体的に接合されていることが好ましい。
上述した形態では、負極金属層と負極集電層とが一体化されていることが好ましい。
上述した形態では、負極集電層は、平面視において、負極金属層の外側に外周部を有する大きさであることが好ましい。
上述した形態では、負極集電層は、複数の空気電池を直列接続した際に、隣接する空気電池の正極層の表面に空気流路を形成する負極集電部材であることが好ましい。
上述した形態では、負極集電部材は、負極金属層に接合する平面状の本体部と、本体部から突出した多数の突部と、突部を貫通させた状態にして本体部に接合する支持層とを備えることが好ましい。
上述した形態では、正極層の表面は導電性を有することが好ましい。
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形が可能であることは、当業者には自明である。
すなわち、本発明に適用される空気電池及び空気電池スタックは、その構成が各形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の細部を適宜変更することができる。