JP6192511B2 - ポリエステル系接着剤、フラットケーブル形成用接着剤、およびフラットケーブル - Google Patents
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Description
この接着剤組成物によれば、結晶性ポリエステル樹脂の溶剤溶解性や溶解後の安定性を向上させることができるので、樹脂基材に対する接着力が向上させることができる。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、樹脂基材との接着性のみならず、金属、木材、紙、皮革等の非樹脂基材との接着性にも優れ、かつ有機溶剤に容易に溶解し、溶液安定性に優れるポリエステル系接着剤を提供することを目的とするものである。
また、このポリエステル系接着剤がフラットケーブルにおける樹脂基材と導体との間に介在する接着剤として用いられるフラットケーブル形成用接着剤、このフラットケーブル形成用接着剤が基材と導体との間に介在するフラットケーブルを提供することを目的とするものである。
本発明のポリエステル系接着剤は、多価カルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とが重合されてなるポリエステル系樹脂を含有する。まず、多価カルボン酸成分(A)およびポリオール成分(B)について順次説明する。
本発明で用いられる多価カルボン酸成分(A)は、テレフタル酸およびイソフタル酸を少なくとも含有する。
多価カルボン酸成分(A)全体に対するテレフタル酸の含有量は、50〜99モル%であることが好ましく、特に好ましくは60〜95モル%、更に好ましくは65〜90モル%である。テレフタル酸の含有量が少なすぎると接着力が低下する傾向があり、多すぎると溶液安定性が低下する傾向がある。
その他の多価カルボン酸としては、例えば、ベンジルマロン酸、ジフェン酸、4,4′−オキシジ安息香酸等の芳香族ジカルボン酸;
マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、チオジプロピオン酸、ジグリコール酸等の脂肪族ジカルボン酸;
1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;
等が挙げられる。これらその他の多価カルボン酸の中から選ばれる1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
また、本発明で用いられる多価カルボン酸成分(A)は、上記の各種ジカルボン酸の他に、三価以上の多価カルボン酸を少量用いることができる。例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、アダマンタントリカルボン酸、トリメシン酸等も使用することができる。
本発明で用いられるポリオール成分(B)は、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオールおよびエチレングリコールを含有する。
ポリオール成分(B)全体に対する1,6−ヘキサンジオールの含有量は、35モル%以上であり、好ましくは35〜90モル%、特に好ましくは35〜80モル%、更に好ましくは35〜70モル%である。1,6−ヘキサンジオールの含有量が少なすぎると溶液安定性が低下する傾向があり、多すぎると接着力が低下する傾向がある。
上記その他のポリオールとしては、例えば、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;
1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環族ジオール;
4,4′−チオジフェノール、4,4′−メチレンジフェノール、ビスフェノールS,ビスフェノールA、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、o−,m−およびp−ジヒドロキシベンゼン、2,5−ナフタレンジオールおよびp−キシレンジオール等の芳香族ジオール;
等が挙げられる。
これらその他のポリオールの中から選ばれる1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
上記多価カルボン酸成分(A)と上記ポリオール成分(B)とからポリエステル系樹脂を製造する方法について説明する。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂は、例えば、多価カルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)を所定の割合で配合し、好ましくは触媒存在下、エステル化反応および重合反応を行うことにより得ることができる。
なお、本発明において融点は、例えば、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC2920により測定することができる。
数平均分子量=56.11×1000×2/(酸価+水酸基価)
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えば、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC2920を用いて測定することができる。
上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、芳香族炭化水素化合物等の芳香族系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソホロン、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキノン等のケトン系溶剤、ジエチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤等が挙げられ、これら有機溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤を用いることができる。好ましくは、芳香族系溶剤およびケトン系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤であり、例えばトルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶剤である。
本発明のポリエステル系接着剤全体に対する有機溶剤の配合割合は、通常、20〜90重量%であり、好ましくは40〜90重量%、特に好ましくは60〜85重量%である。かかる配合割合が少なすぎると溶液安定性が低下する傾向があり、多すぎると十分な接着剤の厚みを確保するのが困難となる傾向がある。
本発明のポリエステル系接着剤をフラットケーブル形成用接着剤として用いる場合をフラットケーブルとともに説明する。
本発明のフラットケーブル形成用接着剤は、フラットケーブルにおける樹脂基材と導体との間に介在する接着剤として用いられる。また、本発明のフラットケーブルは、本発明のフラットケーブル形成用接着剤が樹脂基材と導体との間に介在されてなる構成のものである。
フラットケーブルにおける樹脂基材の樹脂としては、機械的強度、寸法安定性等に優れ、かつ耐熱性、可撓性、耐薬品性、耐溶剤性、屈曲性、絶縁性等に富む樹脂が好適に使用でき、中でも、ポリエステル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂としては、例えば、PET、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を挙げることができる。また、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン6等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等も用いることができる。
まず、本発明の接着剤を有機溶剤に溶解した後、樹脂基材上に塗布し、溶媒を揮発させて、樹脂基材上に接着剤層が積層されたフラットケーブル用フィルムを調製する。接着剤層の乾燥後の厚さは、15〜100μm程度が好ましく、20〜40μm程度が特に好ましい。なお、樹脂基材上に接着剤層を形成する方法は、接着剤の溶液を塗布する方法に限定されない。例えば、多軸の溶融押出機を用いて、樹脂基材と接着剤層とを一体成形してもよい。
次に、フラットケーブル用フィルムを2枚用い、各々の接着剤層の面が対向するように配置し、その層間に金属等の導体を介在させる。加熱ロ−ルまたは加熱板等を用いて加熱加圧し、接着剤層を軟化、溶融させて接着剤層と導体とを密接着させる。これにより、導体が接着剤層中に埋め込まれ、接着剤層を相互に自己密接着させて導体との間に空隙等の発生が防止されながら、導体を挟んで2枚のフラットケーブル用フィルムが一体化される。
温度計、攪拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸成分(A)としてテレフタル酸305.9部(1.84mol)およびイソフタル酸131.1部(0.79mol)、ポリオール成分(B)としてエチレングリコール49.0部(0.79mol)、1,4−ブタンジオール189.6部(2.10mol)および1,6−ヘキサンジオール124.3部(1.05mol)、触媒としてテトラブチルチタネート0.3部(0.0009mol、多価カルボン酸成分(A)に対して0.00034倍モル)を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.3部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂を製造した。
さらに、100℃まで冷却し冷却管を取り付け、20%溶液になるようにトルエン/メチルエチルケトン〔80/20(重量比)〕の混合溶剤を加えて攪拌しながら冷却し、ポリエステル系接着剤(20%樹脂溶液)を得た。
実施例1のポリエステル系樹脂の製造において、モノマー組成を、テレフタル酸321.8部(1.94mol)、イソフタル酸107.3部(0.65mol)、エチレングリコール48.1部(0.77mol)、1,4−ブタンジオール139.7部(1.55mol)および1,6−ヘキサンジオール183.1部(1.55mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル系樹脂を製造し、さらに同様にしてポリエステル系接着剤(20%樹脂溶液)を得た。
実施例1のポリエステル系樹脂の製造において、モノマー組成を、テレフタル酸306.9部(1.85mol)、イソフタル酸109.6部(0.66mol)、アジピン酸19.3部(0.13mol)、エチレングリコール49.1部(0.79mol)、1,4−ブタンジオール190.3部(2.11mol)および1,6−ヘキサングリコール124.8部(1.06mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル系樹脂を製造し、さらに同様にしてポリエステル系接着剤(20%樹脂溶液)を得た。
実施例1のポリエステル系樹脂の製造において、モノマー組成を、テレフタル酸273.0部(1.64mol)、イソフタル酸117.0部(0.70mol)、エチレングリコール65.6部(1.06mol)、1,4−ブタンジオール275.0部(3.05mol)および1,6−ヘキサンジオール69.4部(0.59mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル系樹脂を製造し、さらに同様にしてポリエステル系接着剤(20%樹脂溶液)を得た。
実施例1のポリエステル系樹脂の製造において、モノマー組成を、テレフタル酸265.0部(1.60mol)、イソフタル酸44.2部(0.27mol)、アジピン酸116.6部(0.80mol)、エチレングリコール33.0部(0.53mol)、1,4−ブタンジオール215.6部(2.39mol)および1,6−ヘキサングリコール125.7部(1.06mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル系樹脂を製造し、さらに同様にしてポリエステル系接着剤(20%樹脂溶液)を得た。
上記実施例1〜3および比較例1、2で得られたポリエステル系樹脂およびポリエステル系接着剤について、以下の測定および評価を行った。これらの結果を表1に示す。
得られたポリエステル系樹脂をd−クロロホルムに溶解した後、バリヤン社製「200MHZ−NMR」を用いて、H−NMRを測定し、各モノマー成分のモル比(mol%)を求めた。
得られたポリエステル系樹脂の酸価および水酸基価を、JIS K 0070に準拠して測定した。
末端基定量法により酸価と水酸基価より計算した。
数平均分子量=56.11×1000×2/(酸価+水酸基価)
得られたポリエステル系樹脂に対して、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC2920を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm)に、上記ポリエステル系接着剤を乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工し、その後、錫メッキ銅シート(厚み1mm)と熱ロール機(ロール温度150℃、圧力0.1MPa、速度1.5m/分)で貼り合せて、積層体を得た。得られた積層体を23℃、65%RHの環境下に1日放置した後、オートグラフ(島津製作所製「オートグラフAGS−H 500N」)を用いて、剥離速度100mm/分で180度剥離強度(N/10mm)を測定した。評価基準は以下のとおりである。
(評価)
○・・・10N/10mm以上
△・・・5N/10mm以上〜10N/10mm未満
×・・・5N/10mm未満
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm)に、上記ポリエステル系接着剤を乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工し、その後、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm)と熱ロール機(ロール温度150℃、圧力0.1MPa、速度1.5m/分)で貼り合せて、積層体を得た。得られた積層体を23℃、65%RHの環境下に1日放置した後、オートグラフ(島津製作所製「オートグラフAGS−H 500N」)を用いて、剥離速度100mm/分で180度剥離強度(N/10mm)を測定した。評価基準は以下のとおりである。
(評価)
○・・・10N/10mm以上
△・・・5N/10mm以上〜10N/10mm未満
×・・・5N/10mm未満
(評価)
○・・・7日でゲル化しない。
△・・・2〜6日でゲル化した。
×・・・1日以内でゲル化した。
一方で、1,6−ヘキサンジオールの含有量が少ない比較例1のポリエステル系接着剤は、錫に対する接着力が低いことに加え、溶液安定性が悪いものであることがわかる。
また、1,6−ヘキサンジオールの含有量は多いものの、アジピン酸含有量が多い比較例2のポリエステル系接着剤は、錫およびPETに対する接着力が極めて低く接着性に劣ることがわかる。
Claims (7)
- 多価カルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とからなるポリエステル系樹脂を含有するポリエステル系接着剤であって、
多価カルボン酸成分(A)として、テレフタル酸およびイソフタル酸を少なくとも含有し、
ポリオール成分(B)として、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオールおよびエチレングリコールを含有し、
多価カルボン酸成分(A)として含有することがあるアジピン酸の含有量が10モル%以下であり、
ポリオール成分(B)全体に対して、1,6−ヘキサンジオールの含有量が35モル%以上であることを特徴とするポリエステル系接着剤。 - ポリエステル系樹脂の融点が60℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系接着剤。
- ポリエステル系樹脂の数平均分子量が5, 000〜50, 000であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル系接着剤。
- ポリエステル系樹脂のガラス転移温度が45℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル系接着剤。
- ポリエステル系樹脂が芳香族系溶剤およびケトン系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤に溶解されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル系接着剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル系接着剤が、フラットケーブルにおける樹脂基材と導体との間に介在する接着剤として用いられることを特徴とするフラットケーブル形成用接着剤。
- 請求項6に記載のフラットケーブル形成用接着剤が樹脂基材と導体との間に介在することを特徴とするフラットケーブル。
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