JP6192522B2 - インダクタンス素子及びインダクタンス素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性コアの内部にコイルが埋め込まれたインダクタンス素子及びその製造方法に関する。
特許文献1にコイル封入圧粉コアに関する発明が開示されている。このコイル封入圧粉コアは、圧粉コアと、圧粉コアに覆われるコイルと、コイルに電気的に接続される端子部とを有している。圧粉コアはFe基非晶質合金の磁性粉末とバインダ樹脂とで形成されている。コイルと端子部は、共にCu(銅)基材で形成されている。端子部には、外部回路との半田付けのためにめっき処理による表面処理が施されている。
Fe基非晶質合金の磁性粉末とバインダ樹脂とで形成された圧粉コアは磁気特性の向上のために成形後に熱処理を行うことが好ましいとされているため、端子部の表面処理に使用される金属は、前記熱処理で変質しないことが必要である。そこで、特許文献1に記載のコイル封入圧粉コアでは、端子部を形成するCu基材の表面処理として、Niの下地層の表面にAg(銀)又はAg−Pd(銀−パラジウム)で形成された表面電極層をめっき処理で形成している。
特開2011−258737号公報
しかしながら、特許文献1に記載のコイル封入圧粉コアのように、端子部の表面にAgを主体とした表面電極層を形成すると、実装基板上においてコアどうしを近接して実装した場合、または他の電子部品と接近して実装した場合に、コイルと端子部に通電したときに、表面電極層に含まれるAgが電池作用によって表出し、表出したAgによって隣り合う端子部間が短絡するおそれがあった。
そこで本発明は、端子部にAgを含む表面電極層を形成した場合に、この端子部と他の端子部などを接近させて配置しても、Agの表出を抑制できるようにしたインダクタンス素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のインダクタンス素子は、圧粉コアと、圧粉コアの内部に埋め込まれたコイルと、溶接によってコイルに電気的に接続される端子部とを備えたインダクタンス素子であって、端子部は、Cu基材と、Cu基材の表面に形成された表面電極層とを有し、表面電極層が、Ag又はAgの合金で形成されており、端子部は、コイルに溶接される溶接部と、実装基板に対して半田接合される半田接合部とを有し、 前記表面電極層は、前記溶接部の方が前記半田接合部よりも層厚が厚く形成されており、前記半田接合部における前記表面電極層の層厚は0.2μm以上1.3μm以下であることを特徴としている。
本発明は、端子部の表面にAgを含む表面電極層を形成することで、表面電極層が熱処理などで変質しにくくなる。そして、半田接合部においてAgを含む表面電極層の層厚を抑えることにより、電池作用によって表出するAgの量を制御することができ、これにより、実装基板上で他のインダクタンス素子や他の電子部品と接近させて実装したときに、
表出したAgによって短絡するのを防ぎやすくなる。一方で、端子部の溶接部はAgを含む表面電極層の層厚を大きくしているため、端子部とコイルとの溶接強度を確保できるようになる。
また、半田接合部における表面電極層の層厚を0.2μm以上1.3μm以下とすることによって、半田濡れ性を確保することができる。
本発明のインダクタンス素子において、端子部は、圧粉コアに埋め込まれている部分と、圧粉コアから露出している部分を有し、溶接部は圧粉コアの内部に位置しており、端子部の圧粉コアから露出している部分の表面電極層は、溶接部の表面電極層よりも層厚が薄く形成されていることが好ましい。
圧粉コアから露出している部分には半田が広がってくるため、電池作用によってAgが表出するおそれがある。このため、圧粉コアから露出している部分において端子部の表面の層厚を薄くすることにより、表出するAgの量を抑えることができる。
本発明のインダクタンス素子において、溶接部における表面電極層の層厚は2μm以上8μm以下であることが好ましい。
溶接部における表面電極層の層厚を2μm以上8μm以下にすることによって、コイルとの溶接強度を確保できる
本発明のインダクタンス素子において、溶接部は抵抗溶接部であることが好ましい。
本発明のインダクタンス素子の製造方法は、圧粉コアと、圧粉コアの内部に埋め込まれたコイルと、コイルに電気的に接続される端子部とを備え、端子部が、コイルに溶接される溶接部と、実装基板に対して半田接合される半田接合部とを有するインダクタンス素子の製造方法であって、端子部のCu基材を所定の形状に形成し、端子部の表面に、溶接部の方が半田接合部よりも層厚が厚く、かつ前記半田接合部における層厚が0.2μm以上1.3μm以下となるように、Ag又はAgの合金で表面電極層を形成する工程と、コイルを溶接部に溶接することによって端子部とコイルを電気的に接続する工程と、圧粉コアを成形して、圧粉コア内に端子部が接続されたコイルを埋設する工程と、を特徴としている。
さらに、圧粉コアに対して熱処理を施す工程を有するものである。
この製造方法によれば、Agを含む表面電極層において、半田接合部の層厚を抑えることにより、電池作用によって表出するAgの量を制御することができる。
本発明のインダクタンス素子の製造方法において、端子部では、Cu基材の表面に下地層を形成し、その表面に表面電極層をめっき工程で形成することが好ましい。
本発明のインダクタンス素子の製造方法において、コイルと端子部を抵抗溶接で溶接することが好ましい。
本発明によると、端子部の表面にAgを含む表面電極層を形成することで、熱による表面電極層の変質を防止でき、常に端子部の表面の半田の濡れ性を良好な状態にできる。しかも、他のインダクタンス素子や他の電子部品との実装間隔を狭めた場合であっても、電池効果などによるAgの表出を抑制でき、また、端子部とコイルとの溶接強度を高く維持することができる。
本発明の実施形態に係るインダクタンス素子の全体構成を一部透視して示す斜視図である。 図1に示すインダクタンス素子を実装基板上に実装した状態を示す部分正面図である。 図2の領域Aの部分拡大縦断面図である。 図1に示す実施形態における端子電極プレートを示す斜視図である。 図4に示す端子電極プレートに表面電極層を形成する工程で用いる治具の構成を示す斜視図である。 図1に示すインダクタンス素子の製造工程を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態に係るインダクタンス素子及びインダクタンス素子の製造方法について図面を参照しつつ詳しく説明する。
まず、図1〜図3を参照して、本実施形態のインダクタンス素子の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るインダクタンス素子1の全体構成を一部透視して示す斜視図である。図1では、インダクタンス素子1の下面(実装面)が上向きの姿勢で示されている。図2は、図1に示すインダクタンス素子1を実装基板10上に実装した状態を示す部分正面図である。図3は、図2の領域Aの部分拡大縦断面図である。
図1に示すインダクタンス素子1は、圧粉コア3と、圧粉コア3の内部に埋め込まれたコイルとしての空芯コイル2と、溶接によって空芯コイル2に電気的に接続される一対の端子部4とを備えて構成される。
空芯コイル2は、絶縁被膜された導線を螺旋状に巻回して形成されたものである。空芯コイル2は、巻回部2aと巻回部2aから引き出された引出端部2b、2bとを有して構成される。空芯コイル2の巻き数は必要なインダクタンスに応じて適宜設定される。
圧粉コア3は、例えばFe基非晶質合金の粉末が結着材(バインダ樹脂)によって固化されて成形されたものである。Fe基非晶質合金としては、例えば、主成分としてのFeと、Ni、Sn、Cr、P、C、B、Si(ただし、Ni、Sn、Cr、B、Siの添加は任意)とを添加してなる軟磁性合金である。このようなFe基非晶質合金を、例えば、アトマイズ法により粉末状に、あるいは液体急冷法により帯状(リボン状)に製造できる。
Fe基非晶質合金(Fe基非晶質合金)の好ましい組成は、組成式が、Fe100−a−b−c−x−y−z−tNiSnCrSiで示され、0at%≦a≦10at%、0at%≦b≦3at%、0at%≦c≦6at%、3.0at%≦x≦10.8at%、2.2at%≦y≦9.8at%、0at%≦z≦4.2at%、0at%≦t≦3.9at%である。
結着材としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、PVA(ポリビニルアルコール)、アクリル樹脂等の液状又は粉末状の樹脂あるいはゴムや、水ガラス(NaO−SiO)、酸化物ガラス粉末(NaO−B−SiO、PbO−B−SiO、PbO−BaO−SiO、NaO−B−ZnO、CaO−BaO−SiO、Al−B−SiO、B−SiO)、ゾルゲル法により生成するガラス状物質(SiO、Al、ZrO、TiO等を主成分とするもの)等を挙げることができる。
また潤滑剤として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等を添加してもよい。結着材の混合比は5質量%以下、潤滑剤の添加量は0.1質量%〜1質量%程度である。
図1に示すように、圧粉コア3において、実装基板に対する実装面3aに、端子部4の一部を収納するための収納凹部30が形成されている。収納凹部30は、実装面3aの両側に形成されており、圧粉コア3の側面3b、3cに向けて解放されて形成されている。圧粉コア3の側面3b、3cから突出する端子部4の一部が実装面3aに向けて折り曲げられて、収納凹部30の内部に収納される。
端子部4は、薄板状のCu基材で形成されている。端子部4は圧粉コア3の内部に埋設されて空芯コイル2の引出端部2b、2bに電気的に接続される接続端部40と、圧粉コア3の外面に露出し、前記圧粉コア3の側面3b、3cから実装面3aにかけて順に折り曲げ形成される第1曲折部42a及び第2曲折部42bとを有して構成される。接続端部40は、空芯コイル2に溶接される溶接部である。第1曲折部42aと第2曲折部42bは、実装基板10に対して半田接合される半田接合部である。半田接合部は、端子部4のうちの圧粉コア3から露出している部分であって、少なくとも圧粉コア3の外側に向けられる表面を意味している。
端子部4の接続端部40と空芯コイル2の引出端部2bとは、抵抗溶接によって接合されている。
図2に示すように、インダクタンス素子1は、実装基板10上に実装される。
実装基板10の表面には外部回路と導通する導体パターンが形成され、この導体パターンの一部によって、インダクタンス素子1を実装するための一対のランド部11が形成されている。
図2に示すように、インダクタンス素子1においては、実装面3aが実装基板10側に向けられて、圧粉コア3から外部に露出している第1曲折部42aと第2曲折部42bが実装基板10のランド部11との間で半田層12にて接合される。
ハンダ付け工程は、ランド部11にペースト状の半田が印刷工程で塗布された後に、ランド部11に第2の曲折部41aが対面するようにしてインダクタンス素子1が実装され、加熱工程で半田が溶融する。図2と図3に示すように、第2曲折部42bは実装基板10のランド部11に対向し、第1曲折部42aはインダクタンス素子1の側面3b、3cに露出しているため、フィレット状の半田層12は、ランド部11に固着するとともに、半田接合部である第2曲折部42bと第1曲折部42aの双方の表面に十分に広がって固着される。
図3に示すように、端子部4の表面には、半田層12との濡れ性を向上させるための表面電極層17が形成されている。すなわち、端子部4を構成するCu基材15の表面に下地層16が形成され、下地層16の表面に表面電極層17が形成されている。
下地層16は、Niで形成される。表面電極層17は、AgあるいはAgの合金で形成される。Agの合金としては、例えばAg−Pdを用いる。下地層16と表面電極層17は、別個のめっき工程によってそれぞれ、Cu基材15の表裏両面に形成される。ここで行うめっき処理は、電解めっき、無電解めっきのどちらでもよい。
端子部4を形成するCu基材15の厚みは、200μm程度である。またCu基材15のCuの材質は特に限定されるものでないが、銅損による空芯コイル2の効率低下を避けるため無酸素銅が好ましく適用される。
下地層16の厚みは、1〜5μm程度であることが好適である。下地層16は、表面電極層17をめっきする際に適切に析出させ、また、Cu基材15からの拡散等をできる限り抑制等するためのものである。
表面電極層17は、めっき工程で形成され、接続端部40(溶接部)の方が、第1曲折部42aと第2曲折部42b(半田接合部)よりも層厚が厚くなるように形成されている。別言すると、端子部4の圧粉コア3から露出している部分の表面電極層17は、圧粉コア3の内部に位置する溶接部の表面電極層よりも層厚が薄く形成されている。
例えば、接続端部40における表面電極層17の層厚は2μm以上8μm以下であり、第1曲折部42a及び第2曲折部42bにおける表面電極層17の層厚は0.2μm以上1.3μm以下である。ここで、接続端部40における表面電極層17の層厚は従来と同程度であって、第1曲折部42a及び第2曲折部42bにおける表面電極層17の層厚は従来よりも薄くすることが好ましい。この構成によれば、第1曲折部42a及び第2曲折部42bにおけるAgの電池作用を抑えることができる。これによって、表面電極層17のAgが表出するのを抑制でき、実装基板10上で、接近して配置されている他のインダクタンス素子1や他の電子部品の端子部やランド部との短絡を防ぐことができる。
表面電極層17がAgで形成される場合には、例えば有機キレート皮膜型の変色防止剤にて表面電極層17の表面処理を行うことが好適である。
次に、図4〜図6を参照して、本実施形態のインダクタンス素子の製造方法について説明する。
図4は、端子電極プレート45を示す斜視図である。図5は、図4に示す端子電極プレート45に表面電極層をめっき形成する工程で用いる治具50の構成を示す斜視図である。図6は、インダクタンス素子1の製造工程を示す平面図である。
図4に示す薄板状の端子電極プレート45は、個々の端子部4として分離される前のいわゆるフープ材である。端子電極プレート45は、幅方向D1の両端において長手方向D2に沿って延びるブリッジ部46によって、複数組の端子部4が方向D2に沿って順に連結された構成である。この端子電極プレート45には、めっき処理によりあらかじめ表裏両面にNiの下地層16が形成されている。
表面電極層17をめっき工程で形成する際に、図5に示す治具50が使用される。端子電極プレート45は、図5に示す治具50内に、長手方向Lに向けて挿入されて保持される。この状態でめっき処理を行うことにより、端子電極プレート45の表裏両面に表面電極層17が形成される。
治具50は、めっき液が適正量マスキング可能な材料で例えばPVC(ポリ塩化ビニル)で構成され、図5に示すように、内部には端子電極プレート45を保持するための保持穴部51が形成されている。保持穴部51は、治具50の長手方向Lに沿って、治具50を貫通するように設けられている。治具50の長手方向Lを直交する断面の形状は、長手方向Lに渡って同一であって、保持穴部51の幅方向Wの中央部52は、その両側の保持部53、53よりも高さ方向Hにおいて広い開口となっている。中央部52の位置及び幅は、後の工程で端子電極プレート45から取り出される端子部4において、圧粉コア3の内部に埋め込まれる範囲に対応する。また、中央部52の幅は、少なくとも、後の工程で2の引出端部2bと溶接される接続端部40を含む範囲である。
治具50の中央部52と保持部53の高さは、めっき工程で端子部4の形成される表面電極層17の層厚(めっき厚)が、接続端部40(溶接部)の方が、第1曲折部42aと第2曲折部42b(半田接合部)よりも厚くなるように設定される。
端子電極プレート45は、治具50を用いためっき処理を行うことによって、一度のめっき工程で、中央部52と保持部53のH方向の高さにより表面電極層17の層厚がそれぞれ規定され、接続端部40の方が、第1曲折部42aと第2曲折部42bよりも厚くなるように形成することが可能になる。図4と図6(a)では、端子電極プレート45において、表面電極層17のめっきの層厚を厚くする領域がTmで示されている。
治具50を用いためっき処理の後、図6(b)に示すように、端子電極プレート45を、対となる端子部4に分離する。この切断工程では、端子部4に前記領域Tmが残されるように、端子電極プレート45の中央部を切断して除去する。
次に図6(c)の工程では、空芯コイル2の引出端部2b、2bと端子部4の接続端部40とを抵抗溶接により接合する。接続端部40は、本実施形態ようにAgを含む表面電極層17が形成された接続端部40とCuで形成された空芯コイル2の引出端部2bとを抵抗溶接する場合、その接合強度はAgを含む表面電極層の厚さに依存する傾向がある。本実施形態においては、Agを含む表面電極層17の層厚が厚いので、抵抗溶接による接合強度を高く維持することができる。
続いて図6(d)の工程では、空芯コイル2の位置にて、上記したFe基非晶質合金の粉末と結着材とを有してなる圧粉コア3をプレス成形し、空芯コイル2を圧粉コア3内に埋設する。このとき、接続端部40は圧粉コア3の内部に埋め込まれ、第1曲折部42a及び第2曲折部42bは圧粉コア3から外部に露出する。
次に、圧粉コア3に対して応力歪の除去に必要な熱処理を施す。本実施形態では、前述した組成比のFe基非晶質合金を使用することでガラス遷移温度(Tg)を低くでき、したがって圧粉コア3に対する最適熱処理温度を従来に比べて低くできる。ここで「最適熱処理温度」とは、Fe基非晶質合金に対して効果的に応力歪みを緩和でき、コアロスを最小限に小さくできる熱処理温度である。例えば、N2ガス、Arガス等不活性ガス雰囲気において、昇温速度を40℃/minとし、所定の熱処理温度に到達したらその熱処理温度に1時間保持し、そしてコアロスWが最も小さくなるときの前記熱処理温度を最適熱処理温度と認定する。
続いて、図6(d)の状態で端子部4、4をブリッジ部46から切断した後、端子部4、4を図1に示すように折り曲げて、表面が半田接合面となった半田接合部である、第1曲折部42aと第2曲折部42bを形成する。
その後、図2、図3に示すように、端子部4の第1曲折部42a及び第2曲折部42bと、実装基板10のランド部11との間をリフロー工程により半田接合する。Pbフリー半田接合時の加熱温度は、245〜260℃程度である。
端子部4は、Cu基材15の表面にNiからなる下地層16を介して、Ag又はAgの合金からなる表面電極層17が形成された積層構造となっている。これにより、350℃〜400℃程度の熱処理が施されても、表面電極層17が変質してしまうことを抑制できる。ここで、Cuの拡散はある程度生じているものと思われるが、表面電極層17をAg又はAgの合金で形成することで、表面電極層17が変質するのを抑制することができ、したがって、端子部4の半田付け性を従来よりも効果的に向上させることが可能になる。
よって、図2、図3に示すように、インダクタンス素子1を実装基板10上に半田接合するとき、Ag又はAgの合金からなる表面電極層17が最表面に露出した端子部4の半田濡れ性は良好であり、端子部4と実装基板10のランド部11間に適切にフィレット状の半田層12を形成することができ、適切且つ安定した半田接合を行うことが可能である。
さらに、この構成によれば、第1曲折部42a及び第2曲折部42bにおけるAgの電池作用を抑えることができ、これによって、表面電極層17のAgが表出するのを抑制でき、実装基板10上で隣り合うインダクタンス素子1や他の電子部品との間で短絡が発生するのを防ぎやすくなる。
上記したように、表面電極層17がAgで形成される場合、変色対策として、変色防止剤にて表面電極層17の表面処理を行うことが好適である。あるいは、表面電極層17をAg−Pdで形成することで変色を抑制することができる。
なお、圧粉コア3の成形に使用される非晶質合金は、上記した組成のものに限定されない。なおその場合でも、最適熱処理温度が350℃〜400℃程度となるFe基非晶質合金を用いることが好適である。
(半田濡れ性評価)
JIS規格C0099及びJISC60068−2−54により、端子部の半田濡れ性を評価した。この評価では、端子部に形成した表面電極層の膜厚を変えたサンプルについて半田濡れ性を比較した。表1は、半田濡れ性評価の結果を示す表である。
(1)評価方法
評価方法:急加熱昇温法
半田:千住金属製M705(Sn96.5%、Ag3%、Cu0.5%)
測定温度:245°C
浸漬深さ:0.2mm
浸漬時間:5s(秒)
浸漬速度:10mm/s
加速エージング条件:温度120°C、相対湿度85%で8時間
(2)サンプル
基材:Cu(外形8.68mm×3.2mm、厚さ0.2mm)
下地層:Ni(厚さ1.1〜1.3μm)
サンプル数:各10個
実施例・比較例の層構成:
(実施例1)Cu基材/下地層/表面電極層:Ag(厚さ1.0〜1.3μm)、加速エージングなし
(実施例2)Cu基材/下地層/表面電極層:Ag(厚さ0.2〜0.3μm)、加速エージングなし
(実施例3)Cu基材/下地層/表面電極層:Ag(厚さ1.0〜1.3μm)、加速エージングあり
(実施例4)Cu基材/下地層/表面電極層:Ag(厚さ0.2〜0.3μm)、加速エージングあり
(比較例1)Cu基材/下地層/表面電極層:Ag(厚さ2.3〜2.6μm)、加速エージングなし
(比較例2)Cu基材/下地層/表面電極層:Ag(厚さ2.3〜2.6μm)、加速エージングあり
以上の構成の下地層と表面電極層を基材上にめっき処理によって順に形成し、ゼロクロス時間(秒)を測定した(表1)。
(3)評価結果
Figure 0006192522
表1の実施例1、2と比較例1の比較、又は、実施例3、4と比較例2の比較から分かるように、表面電極層を薄くしてもゼロクロス時間に有意差は認められなかった。したがって、表面電極層を薄くしても半田濡れ性に問題がないことが分かった。
また、表1の実施例3、4と、実施例1、2及び比較例1とを比較して分かるように、加速エージングを行ってもゼロクロス時間に有意差は認められなかった。したがって、表面電極層を薄くしたサンプルの半田濡れ性は長時間経過後にも問題ないと考えられる。よって、半田濡れ性の観点から、半田接合部における表面電極層の層厚は0.2μm以上1.3μm以下であることが好ましいことが分かった。
(溶接強度評価)
表2は、溶接強度評価の結果を示す表である。
(1)評価方法:引張試験器(AGS−50NJ(SHIMADZU社製))を用いて行った。
(2)サンプル
コイル:帯状の導線の幅寸法を0.87mm、厚さ寸法を0.21mm、ターン数を7.5ターンのコイルを作製し、レーザーを照射して被覆を除去した。
端子部:Cu基材(外形4.09mm×3.2mm、厚さ0.2mm)上に下地層としてNiを厚さ1〜3μm形成した。
コイルと端子部の溶接条件:電圧1.15/1.6V、エア圧:0.4MPa
端子部の層構成:
(比較例1)Cu基材/下地層/表面電極層:Ag(厚さ1〜3μm)
(実施例1)Cu基材/下地層/表面電極層:Ag(厚さ2〜4μm)
(実施例2)Cu基材/下地層/表面電極層:Ag(厚さ5〜8μm)
以上の構成のインダクタンス素子を用いて、上記引張試験器を用いて、溶接強度(単位N)を測定した(表2)。
(3)評価結果
Figure 0006192522
表2から分かるように、比較例1は溶接強度にばらつきがあるため実用面で不十分であると判断した。これに対して実施例1、2では、溶接強度が常に10N以上あり、かつ、測定値のばらつきが少ないため、十分な溶接強度が得られている。したがって、溶接強度の観点から、溶接部における表面電極層の層厚は2μm以上8μm以下であることが好ましいことが分かった。
上記実施例により、表面電極層の膜厚を全て2μm以上8μm以下とした場合、Agの電池作用による表面電極層のAgの表出により、実装基板上で接近して配置される他のインダクタンス素子や他の電子部品の端子部やランド部との短絡が発生する可能性が大きくなる。一方で、半田接合部における表面電極層の膜厚を0.2μm以上1.3μm以下と薄くし、溶接部における表面電極層の膜厚は2μm以上8μm以下と厚くすることで、強い溶接強度を維持し、他のインダクタンス素子や他の電子部品との短絡の発生を防止できることが期待できることが分かる。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
以上のように、本発明に係るインダクタンス素子は、端子部の表面電極層にAg又はAgの合金を用いた構成で実装基板上に近接配置しても、インダクタンス素子同士が短絡することを防止できる点で有用である。
1 インダクタンス素子
2 空芯コイル(コイル)
3 圧粉コア
4 端子部
10 実装基板
12 半田層
15 Cu基材
16 下地層
17 表面電極層
40 接続端部(溶接部)
42a 第1曲折部(半田接合部)
42b 第1曲折部(半田接合部)
50 治具

Claims (8)

  1. 圧粉コアと、前記圧粉コアの内部に埋め込まれたコイルと、溶接によって前記コイルに電気的に接続される端子部とを備えたインダクタンス素子であって、
    前記端子部は、Cu基材と、前記Cu基材の表面に形成された表面電極層とを有し、前記表面電極層が、Ag又はAgの合金で形成されており、
    前記端子部は、前記コイルに溶接される溶接部と、実装基板に対して半田接合される半田接合部とを有し、
    前記表面電極層は、前記溶接部の方が前記半田接合部よりも層厚が厚く形成されており、前記半田接合部における前記表面電極層の層厚は0.2μm以上1.3μm以下であることを特徴とするインダクタンス素子。
  2. 前記端子部は、前記圧粉コアに埋め込まれている部分と、前記圧粉コアから露出している部分を有し、前記溶接部は前記圧粉コアの内部に位置しており、前記端子部の圧粉コアから露出している部分の前記表面電極層は、前記溶接部の表面電極層よりも層厚が薄く形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインダクタンス素子。
  3. 前記溶接部における前記表面電極層の層厚は2μm以上8μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインダクタンス素子。
  4. 前記溶接部は抵抗溶接部であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のインダクタンス素子。
  5. 圧粉コアと、前記圧粉コアの内部に埋め込まれたコイルと、前記コイルに電気的に接続される端子部とを備え、前記端子部が、前記コイルに溶接される溶接部と、実装基板に対して半田接合される半田接合部とを有するインダクタンス素子の製造方法であって、
    前記端子部のCu基材を所定の形状に形成し、前記端子部の表面に、前記溶接部の方が前記半田接合部よりも層厚が厚く、かつ前記半田接合部における層厚が0.2μm以上1.3μm以下となるように、Ag又はAgの合金で表面電極層を形成する工程と、
    前記コイルを前記溶接部に溶接することによって前記端子部と前記コイルを電気的に接続する工程と、
    前記圧粉コアを成形して、前記圧粉コア内に前記端子部が接続された前記コイルを埋設する工程と、
    を有することを特徴とするインダクタンス素子の製造方法。
  6. 前記圧粉コアを成形した後に、前記圧粉コアに対して熱処理を施す工程を有することを特徴とする請求項5に記載のインダクタンス素子の製造方法。
  7. 前記端子部では、前記Cu基材の表面に下地層を形成し、その表面に表面電極層をめっき工程で形成することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のインダクタンス素子の製造方法。
  8. 前記コイルと前記端子部を抵抗溶接で溶接する請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のインダクタンス素子の製造方法。
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