JP6199040B2 - Aba型トリブロックコポリマー、増粘剤及び水性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ABA型トリブロックコポリマー、増粘剤及び水性組成物に関する。
水等の媒体を含有する組成物などの系に、可逆的な増粘又は減粘による粘度変化によりゾル−ゲル変化を起こさせる可逆性ゲル化材料は、増粘剤などの粘度調整剤の一種として、ドラッグデリバリーシステム等の薬物担持体、ティッシュエンジニアリング(Tissue Engineering)等の再生医療材料、人工筋肉等のアクチュエーター、ポンプ、化粧料、表示素子、記録素子、太陽電池等のエネルギー素子、インクの添加剤、専用紙のコート剤、各種機能膜などへの応用が期待されている。
前記系の粘度変化に可逆性を与える因子としては、例えば、温度、pH(厳密にはH+)、光、電界、イオン、溶媒の添加などが挙げられる。これらの中でも、大掛かりな装置が必要なく迅速に付与できること、及び生体内にはpHの異なる部位があることから、可逆性を与える因子として、pHが注目されている。
可逆性を与える因子がpHの場合は、酸解離定数(pKa)付近での解離状態と非解離状態との違いで、媒体を含有する系がゾル−ゲル変化などの粘度変化を起こす。
pHの違いにより系に可逆的な粘度変化を起こさせるpH応答性ポリマーであるポリアクリル酸は、pKaが5〜6のカルボン酸を有するポリマーであり、低pHではプロトンを受け取るが、高pHでは解離するため静電反発により溶解しやすくなる。例えば、化学的に架橋した架橋型ポリアクリル酸は、前記架橋型ポリアクリル酸を含有する系が酸性の場合、ポリアクリル酸のカルボキシル基が非解離状態のため収縮している。そのため、前記系は低粘度である。一方、前記架橋型ポリアクリル酸を含有する系がアルカリ性の場合、前記架橋型ポリアクリル酸は、解離したカルボキシルイオンの静電反発により膨潤しミクロゲルを形成する。そのため、前記系は高粘度である。一方、キトサン、架橋型ポリ−N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(PDMAEMA)、架橋型ポリ−N−ジエチルアミノエチルメタクリレート(PDEAEMA)などは、分子内にアミノ基を有するため、これらを含有する系が酸性の場合、アンモニウムイオンの静電反発により、前記系は高粘度である。
しかし、前記架橋型ポリアクリル酸、及び前記架橋型ポリ−N−ジエチルアミノエチルメタクリレートといった静電反発による体積膨張で増粘作用を発現するpH応答性ポリマーは、系中に存在するイオンの影響を受けるため、電解質材料を含有するエネルギー素子や染料インクなどイオンを多く含む場合には、増粘作用がほとんど得られないという問題がある。また、体積膨張を利用したpH応答性ポリマーの場合、体積変化に時間を要し、増粘作用の応答時間が遅いという問題がある。
そのような問題を解決するpH応答性ポリマーとして、疎水会合を利用して系に粘度変化を生じさせるポリマーがある。疎水会合を利用して系に粘度変化を生じさせるポリマーとしては、例えば、2−ジイソプロピルアミノエチルメタクリレート(DPA)又は2−ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEA)をAブロックとし、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)をBブロックとしたABA型トリブロックコポリマーが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この提案の技術のABA型トリブロックコポリマーは、系に電解質を加えても増粘作用を発現するポリマーである。
しかし、前記提案の技術の前記ABA型トリブロックコポリマーは、充分な増粘作用を発現する、例えば、系をゲル化するには、ポリマー1分子に平均40モル%以上のpH応答性モノマー(DPA、DEA)が必要であり、更に水中にポリマーが10質量%程度必要であるため、アンモニウムイオンの脱プロトンをするのに相当量のアルカリを要し、充分なゲル化に要する応答速度が遅くなるという問題がある。
また、一般的に、疎水会合を利用して系に粘度変化を生じさせるポリマーは、充分な増粘作用を発現するには高いポリマー濃度が必要で、材料コストが高くなるという問題、及び可逆的な増粘作用を発現する前から系の粘度が高くなってしまう問題がある。
なお、前記提案の技術は、アルカリ条件で疎水会合して系に粘度変化を生じさせる材料の例であるが、酸性条件で疎水化する材料、及びその応用の例として、酸性で疎水化するモノマー(例えば、11−メタクリルアミドウンデカン酸(MAU))とpHに関係なく親水性であるモノマー(例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS))とのジブロックコポリマー(MAU/AMPS=95/5(モル比))及びそのポリマーを粉末表面処理剤として用いてこれを配合した化粧料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案の技術は、酸化チタンなどの粉末材料の分散性を向上させる分散剤としての役割と、皮膚に塗布したときの撥水性付与と、石鹸等のアルカリでの洗い流し性とを兼ね備えたものである。この提案の技術において用いられているポリマーは、親水と疎水の可逆変化を利用したポリマー材料であるが、可逆的な粘度変化を生じさせる機能はほとんどない。
したがって、系内に電解質が存在する状態においても使用でき、粘度変化の応答時間が早く、低濃度でも可逆性のある増粘作用を発現できるpH応答性のポリマーの提供が求められているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、系内に電解質が存在する状態においても使用でき、粘度変化の応答時間が早く、低濃度でも可逆性のある増粘作用を発現できるABA型トリブロックコポリマーを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明のABA型トリブロックコポリマーは、下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有するAブロックと、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有するBブロックとを含有することを特徴とする。
ただし、前記一般式(1)中、R1は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R2は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、Mは、水素原子及び一価の金属原子のいずれかを表し、X1は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。前記一般式(2)中、R11は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R12は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表し、X11は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、系内に電解質が存在する状態においても使用でき、粘度変化の応答時間が早く、低濃度でも可逆性のある増粘作用を発現できるABA型トリブロックコポリマーを提供することができる。
図1は、合成例1で得られた11−アクリルアミドウンデカン酸の1H−NMRスペクトルである。 図2は、合成例2で得られたS,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネートの1H−NMRスペクトルである。 図3は、実施例1で得られた11−アクリルアミドウンデカン酸の10量体の1H−NMRスペクトルである。 図4は、実施例1で得られた11−アクリルアミドウンデカン酸の10量体のGPCチャートである。 図5は、実施例1で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトルである。 図6は、実施例1で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートである。 図7は、実施例2で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトルである。 図8は、実施例2で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートである。 図9は、実施例3で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトルである。 図10は、実施例3で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートである。 図11は、実施例4で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトルである。 図12は、実施例4で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートである。 図13は、実施例5で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトルである。 図14は、実施例5で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートである。 図15は、実施例6で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートである。 図16は、実施例7で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートである。 図17は、実施例8で得られた6−アクリルアミドヘキサン酸の50量体の1H−NMRスペクトルである。 図18は、実施例8で得られた6−アクリルアミドヘキサン酸の50量体のGPCチャートである。 図19は、実施例8で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトルである。 図20は、実施例8で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートである。 図21は、実施例9で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトルである。 図22は、実施例9で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートである。 図23は、実施例10で得られた11−アクリルアミドウンデカン酸の10量体の1H−NMRスペクトルである。 図24は、実施例10で得られたAB型ジブロックコポリマー(メタノール溶液中)の1H−NMRスペクトルである。 図25は、実施例10で得られたAB型ジブロックコポリマー(粉末)の1H−NMRスペクトルである。 図26は、実施例10で得られたABA型トリブロックコポリマー(メタノール溶液中)の1H−NMRスペクトルである。 図27は、実施例10で得られたABA型トリブロックコポリマー(粉末)の1H−NMRスペクトルである。 図28は、実施例10で得られたABA型トリブロックコポリマー(粉末)のGPCチャートである。
(ABA型トリブロックコポリマー)
本発明のABA型トリブロックコポリマーは、下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有するAブロックと、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有するBブロックとを含有する。
<Aブロック>
前記Aブロックは、下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有する。
ただし、前記一般式(1)中、R1は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R2は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、Mは、水素原子及び一価の金属原子のいずれかを表し、X1は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。前記一般式(2)中、R11は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R12は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表し、X11は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。
前記Mにおける一価の金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
前記R2における炭素数5〜18のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数6〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数9〜11のアルキレン基がより好ましく、炭素数10のアルキレン基が特に好ましい。また、前記炭素数5〜18のアルキレン基としては、直鎖状であることが好ましい。
前記R12における炭素数5〜18のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数6〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数9〜13のアルキレン基がより好ましく、炭素数11のアルキレン基が特に好ましい。また、前記炭素数5〜18のアルキレン基としては、直鎖状であることが好ましい。
前記一般式(1)におけるR1、X1、R2、及びMの組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、増粘作用がより優れる点で、R1が水素原子であり、X1が酸素原子であり、R2が炭素数9〜11のアルキレン基であり、Mが水素原子又はナトリウムである組合せ、R1が水素原子であり、X1が−NH−であり、R2が炭素数9〜11のアルキレン基であり、Mが水素原子又はナトリウムである組合せ、R1がメチル基であり、X1が酸素原子であり、R2が炭素数9〜11のアルキレン基であり、Mが水素原子又はナトリウムである組合せ、R1がメチル基であり、X1が−NH−であり、R2が炭素数9〜11のアルキレン基であり、Mが水素原子又はナトリウムである組合せが好ましい。
前記一般式(1)で表されるモノマーとしては、例えば、6−アクリルアミドヘキサン酸、11−アクリルアミドウンデカン酸、8−アクリルアミドオクタン酸、12−アクリルアミドドデカン酸などが挙げられる。
前記一般式(1)で表されるモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、前記一般式(1)で表されるモノマーは、下記一般式(1’)で表される繰り返し単位を形成している。
ただし、前記一般式(1’)中、R1は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R2は、炭素数5〜18のアルキレン基(好ましくは炭素数6〜18のアルキレン基)を表し、Mは、水素原子及び一価の金属原子のいずれかを表し、X1は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。
前記一般式(2)におけるR11、X11、R12、R13、及びR14の組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、増粘作用がより優れる点で、R11が水素原子であり、X11が酸素原子であり、R12が炭素数9〜13のアルキレン基であり、R13及びR14がエチル基である組合せ、R11が水素原子であり、X11が−NH−であり、R12が炭素数9〜13のアルキレン基であり、R13及びR14がエチル基である組合せが好ましい。
前記一般式(2)で表されるモノマーとしては、例えば、アクリルアミドデシル−N,N−ジエチルアミン、アクリルアミドウンデシル−N,N−ジエチルアミン、アクリルアミドドデシル−N,N−ジエチルアミンなどが挙げられる。
前記一般式(2)で表されるモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、前記一般式(2)で表されるモノマーは、下記一般式(2’)で表される繰り返し単位を形成している。
ただし、前記一般式(2’)中、R11は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R12は、炭素数5〜18のアルキレン基(好ましくは炭素数6〜18のアルキレン基)を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表し、X11は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、前記Aブロックが、前記一般式(1)で表されるモノマーを構成単位に有する場合は、前記ABA型トリブロックコポリマーを含有する系を酸性にすることにより、増粘作用が発現する。増粘作用の発現は、前記Aブロックの疎水会合によるものと考えられる。例えば、前記ABA型トリブロックコポリマーを含有する水溶液に塩酸などの酸成分を添加すると、前記一般式(1)で表されるモノマー中のカルボキシル基のプロトン化により前記Aブロックが疎水会合することで、増粘作用が発現すると考えられる。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、前記Aブロックが、前記一般式(2)で表されるモノマーを構成単位に有する場合は、前記ABA型トリブロックコポリマーを含有する系をアルカリ性にすることにより、増粘作用が発現する。増粘作用の発現は、前記Aブロックの疎水会合によるものと考えられる。例えば、前記ABA型トリブロックコポリマーを含有する水溶液に水酸化ナトリウムなどのアルカリ成分を添加すると、前記一般式(2)で表されるモノマー中のアミノ基の脱プロトン化により前記Aブロックが疎水会合することで、増粘作用が発現すると考えられる。
前記Aブロックは、本発明の効果を阻害しない範囲において、前記一般式(1)及び前記一般式(2)で表されるモノマー以外のその他のモノマーを構成単位に有していてもよい。前記その他のモノマーとしては、ラジカル重合可能なモノマーであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Aブロックの構成単位における前記その他のモノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5モル%以下が好ましく、1モル%以下が好ましい。
前記ABA型トリブロックコポリマーが、酸性条件により増粘作用を発現するABA型トリブロックコポリマーである場合には、前記Aブロックとしては、前記一般式(1)で表されるモノマーを構成単位として95モル%以上含有することが好ましく、99モル%以上含有することがより好ましく、100モル%含有することが特に好ましい。
前記ABA型トリブロックコポリマーが、アルカリ条件により増粘作用を発現するABA型トリブロックコポリマーである場合には、前記Aブロックとしては、前記一般式(2)で表されるモノマーを構成単位として95モル%以上含有することが好ましく、99モル%以上含有することがより好ましく、100モル%含有することが特に好ましい。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、一方の前記Aブロックと、他方の前記Aブロックとは、同じ重合度であってもよいし、異なる重合度であってもよい。一方の前記Aブロックと、他方の前記Aブロックとの重合度の差としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、増粘作用の点から、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が特に好ましい。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、一方の前記Aブロックの構成単位と、他方の前記Aブロックの構成単位とは、同じ分子構造であってもよいし、異なる分子構造であってもよい。
<Bブロック>
前記Bブロックは、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有する。
前記親水性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ここで、前記親水性モノマーの親水性とは、例えば、25℃の水1Lにモノマーが100g以上溶解することをいう。溶解したかどうかは、水が透明かどうかで判断でき、目視により確認することができる。
前記親水性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(3)で表されるモノマーが、増粘作用がより優れる点で好ましい。
ただし、前記一般式(3)中、R21は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表す。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、前記一般式(3)で表されるモノマーは、下記一般式(3’)で表される繰り返し単位を形成している。
ただし、前記一般式(3’)中、R21は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表す。
前記親水性モノマーとしては、例えば、アクリルアミド(AA)、メタクリルアミド(MA)、N−メチルアクリルアミド(MAA)、N−メチルメタクリルアミド(MMA)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)、N,N−ジエチルアクリルアミド(DEAA)、N,N−ジエチルメタクリルアミド(DEMA)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(AMPS)、p−スチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)、N−ビニルピロリドン(NVP)、ビニルアルコール(VA)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記Bブロックは、本発明の効果を阻害しない範囲において、前記親水性モノマー以外のその他のモノマーを構成単位に有していてもよい。前記その他のモノマーとしては、ラジカル重合可能なモノマーであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Bブロックの構成単位における前記その他のモノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5モル%以下が好ましく、1モル%以下が好ましい。
前記Bブロックは、前記親水性モノマーを構成単位として90モル%以上含有することが好ましく、95モル%以上含有することがより好ましく、99モル%以上含有することが更に好ましく、100モル%含有することが特に好ましい。なお、前記構成単位には、重合の際の開始剤残基、連鎖移動剤残基は含まれない。
<平均重合度>
前記Aブロックの平均重合度〔P(A)〕と前記Bブロックの平均重合度〔P(B)〕としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記式(I)及び下記式(II)を満たすことが、増粘作用がより優れる点で好ましい。
3<P(A)<10 ・・・式(I)
20<P(B)/P(A)<300 ・・・式(II)
なお、前記平均重合度〔P(A)〕は、前記ABA型トリブロックコポリマーの両末端の各前記Aブロックの重合度の平均値である。
前記P(A)が、3以下であると、前記Aブロックの疎水会合力が弱くなり、増粘作用が低下することがある。前記P(A)が、10以上であると、増粘作用の発現に必要なH+やOH−が多量に必要になり、粘度変化の応答性が低下することがある。
前記P(B)/P(A)が、20以下であると、増粘作用の発現に必要なH+やOH−が多量に必要になり、粘度変化の応答性が低下することがあり、また、ポリマー1分子あたりの疎水会合力が強くてポリマー凝集が起こり、増粘作用が低下することがある。前記P(B)/P(A)が、300以上であると、ポリマーの水溶性が高いため、前記Aブロックを疎水化しても疎水会合による増粘作用が起こりにくくなることがある。
前記平均重合度は、例えば、1H−NMRにより測定できる。
また、前記ABA型トリブロックコポリマーにおける個々の前記Aブロックの重合度〔P(A’)〕と前記平均重合度〔P(B)〕とは、下記式(XI)及び式(XII)を満たすことが、更に増粘作用がより優れる点から好ましい。
3<P(A’)<10 ・・・式(XI)
20<P(B)/P(A’)<300 ・・・式(XII)
個々の前記Aブロックの重合度〔P(A’)〕は、例えば、1H−NMRにより測定できる。
前記平均重合度〔P(A)〕と前記平均重合度〔P(B)〕とは、下記式(I’)及び下記式(II’)を満たすことが、より好ましい。
4<P(A)<6 ・・・式(I’)
100<P(B)/P(A)<200 ・・・式(II’)
前記式(I’)及び前記式(II’)を満たすことにより、増粘作用が顕著に優れる。その結果、前記ABA型トリブロックコポリマーを含有する系がゲル化する程度の増粘作用が得られる。
ここで、「ゲル化」とは、系が流動性を失った状態をいい、例えば、せん断速度が1/sのときのせん断粘度が10,000mPa・s以上である状態をいう。
<分子量分布>
前記ABA型トリブロックコポリマーの分子量分布(Mw/Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、増粘作用がより優れる点で、2.00以下が好ましく、1.50以下がより好ましい。なお、下限値は、1.00である。
前記分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
前記ABA型トリブロックコポリマーの平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記式(III)で表される平均分子量などが挙げられる。
P(A)×Mn(A)×2+P(B)×Mn(B) ・・・式(III)
ただし、前記式(III)中、P(A)及びP(B)は、前記式(I)及び式(II)を満たす。
ここで、Mn(A)は、前記一般式(1)又は前記一般式(2)で表されるモノマーの分子量であり、Mn(B)は前記親水性モノマーの分子量である。
前記平均分子量が、前記式(III)の範囲より小さいと、系内において前記ABA型トリブロックコポリマーが低濃度の場合に、増粘作用が小さくなることがある。前記平均分子量が、前記式(III)の範囲より大きいと、増粘作用を発現する前の系内の粘度が高くなることがある。
また、前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて、一方のAブロックの重合度と他方のAブロックの重合度とが異なる場合の、前記ABA型トリブロックコポリマーの平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記式(III’)で表される平均分子量などが挙げられる。
P(A1’)×Mn(A)+P(A2’)×Mn(A)+P(B)×Mn(B)
・・・式(III’)
ここで、前記P(A1’)は、前記ABA型トリブロックコポリマーにおける一方のAブロックの重合度を表し、前記P(A2’)は、他方のAブロックの重合度を表す。
ただし、前記式(III’)中、前記P(A1’)及び前記P(A2’)は、それぞれ、以下の式を満たす。
3<P(A1’)<10 ・・・式(I’’)
3<P(A2’)<10 ・・・式(I’’’)
また、前記式(III’)中、P(B)は、式(II)を満たす。
ここで、Mn(A)は、前記一般式(1)又は前記一般式(2)で表されるモノマーの分子量であり、Mn(B)は前記親水性モノマーの分子量である。
前記平均分子量が、前記式(III’)の範囲より小さいと、系内において前記ABA型トリブロックコポリマーが低濃度の場合に、増粘作用が小さくなることがある。前記平均分子量が、前記式(III’)の範囲より大きいと、増粘作用を発現する前の系内の粘度が高くなることがある。
前記ABA型トリブロックコポリマーの数平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10,000〜300,000が好ましく、50,000〜100,000がより好ましい。
ここで、前記数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
前記ABA型トリブロックコポリマーは、重合の際の開始剤残基、又は連鎖移動剤残基を有してもよい。前記開始剤残基、及び前記連鎖移動剤残基は、前記ABA型トリブロックコポリマーの末端に有していてもよく、前記Aブロックと前記Bブロックとの連結部に有していてもよく、前記Bブロック中に有していてもよい。
前記ABA型トリブロックコポリマーは、チオカーボネート(例えば、トリチオカーボネートなど)を連鎖移動剤として用いたRAFT(Reversible Addition Fragmentation chain Transfer、可逆的付加開裂連鎖移動)法により製造されることが、分子量分布が狭い点で好ましい。前記ABA型トリブロックコポリマーが前記RAFT法により製造されたことは、例えば、ポリマー中の連鎖移動剤の残基の存在により確認できる。前記連鎖移動剤の残基の存在は、例えば、1H−NMRにより確認できる。
前記RAFT法においては、重合開始剤と、連鎖移動剤とを用いる。前記連鎖移動剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、脱離基を1つ有する連鎖移動剤、脱離基を2つ有する連鎖移動剤が好ましい。
<ABA型トリブロックコポリマーの製造方法>
前記ABA型トリブロックコポリマーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リビングラジカル重合などが挙げられる。
前記リビングラジカル重合としては、例えば、ATRP(Atom Transfer Radical Polymerization、原子移動ラジカル重合)法、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)法、前記RAFT法などが挙げられる。これらの中も、前記一般式(1)で表されるモノマー、及び前記一般式(2)で表されるモノマーの重合に適している点、並びに狭い分子量分布が得られ易く、重合の制御が容易である点で、RAFT法が好ましい。
−RAFT法によるABA型トリブロックコポリマーの製造(その1)−
前記RAFT法による前記ABA型トリブロックコポリマーの製造方法(その1)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Aブロック2倍体合成工程と、Bブロック合成工程とを含む製造方法が挙げられる。
−−Aブロック2倍体合成工程−−
前記Aブロック2倍体合成工程としては、連鎖移動剤の存在下で、前記一般式(1)で表されるモノマー又は前記一般式(2)で表されるモノマーを、重合開始剤を用いて重合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Aブロック2倍体合成工程により、2つの前記Aブロックが連鎖移動剤を介して結合したAブロック2倍体が得られる。
前記連鎖移動剤としては、前記RAFT法に用いることができ、かつ脱離基を2つ有する連鎖移動剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チオカルボニルチオ化合物などが挙げられる。前記チオカルボニルチオ化合物としては、例えば、ジチオエステル、ジチオカルバメート、トリチオカーボネート、キサンタートなどが挙げられる。これらの中でも、副反応が少なく前記一般式(1)で表されるモノマー、前記一般式(2)で表されるモノマーなどのアクリル系モノマー、アクリルアミド系モノマーの重合に適している点でトリチオカーボネートが好ましく、S,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネートがより好ましい。
前記重合開始剤としては、ラジカル重合を開始可能な開始剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、過硫酸系重合開始剤などが挙げられる。前記アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)などが挙げられる。前記過酸化物系重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。前記過硫酸系重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
前記Aブロック2倍体合成工程は、溶媒中で行うことができる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、塩化物系溶媒、芳香族系溶媒、非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。前記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。前記炭化水素系溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、流動パラフィンなどが挙げられる。前記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。前記エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。前記塩化物系溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などが挙げられる。前記芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。前記非プロトン性極性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
前記溶媒としては、前記重合開始剤のラジカル発生温度よりも沸点が高い溶媒が好ましい。
前記Aブロック2倍体合成工程における重合温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃〜100℃などが挙げられる。
前記Aブロック2倍体合成工程における重合時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間〜24時間などが挙げられる。
前記Aブロック2倍体合成工程は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。前記不活性雰囲気としては、例えば、アルゴンなどが挙げられる。
−−Bブロック合成工程−−
前記Bブロック合成工程としては、前記Aブロック2倍体合成工程により得られた前記Aブロック2倍体及び重合開始剤存在下で親水性モノマーを重合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Bブロック合成工程においては、前記Aブロック2倍体における前記Aブロックと前記連鎖移動剤との結合が切れ、開裂的連鎖移動により前記Aブロックの末端に前記親水性モノマーがラジカル的に付加して成長反応することで前記ABA型トリブロックコポリマーが得られる。
前記親水性モノマーは、前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて説明した前記親水性モノマーである。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記Aブロック2倍体合成工程において例示した前記重合開始剤などが挙げられる。
なお、前記Aブロック2倍体合成工程に用いる前記重合開始剤と、前記Bブロック合成工程に用いる前記重合開始剤とは、同じ重合開始剤であってもよく、異なる重合開始剤であってもよい。
前記Bブロック合成工程は、溶媒中で行うことができる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記Aブロック2倍体合成工程において例示した前記溶媒などが挙げられる。
なお、前記Aブロック2倍体合成工程に用いる前記溶媒と、前記Bブロック合成工程に用いる前記溶媒とは、同じ溶媒であってもよく、異なる溶媒であってもよい。
前記Bブロック合成工程における重合温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃〜100℃などが挙げられる。
前記Bブロック合成工程における重合時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間〜24時間などが挙げられる。
前記Bブロック合成工程は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。前記不活性雰囲気としては、例えば、アルゴンなどが挙げられる。
なお、前記RAFT法(その1)により得られる前記ABA型トリブロックコポリマーにおいては、前記Bブロック中に連鎖移動剤の残基が存在する。
−RAFT法によるABA型トリブロックコポリマーの製造(その2)−
前記RAFT法による前記ABA型トリブロックコポリマーの製造方法(その2)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第1のAブロック合成工程と、Bブロック合成工程と、第2のAブロック合成工程とを含む製造方法が挙げられる。
−−第1のAブロック合成工程−−
前記第1のAブロック合成工程としては、連鎖移動剤の存在下で、前記一般式(1)で表されるモノマー又は前記一般式(2)で表されるモノマーを、重合開始剤を用いて重合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1のAブロック合成工程により、前記ABA型トリブロックコポリマーの一方のAブロックである第1のAブロックが得られる。前記第1のAブロックの末端には、前記連鎖移動剤の残基が結合している。
前記連鎖移動剤としては、前記RAFT法に用いることができ、かつ脱離基を1つ有する連鎖移動剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チオカルボニルチオ化合物などが挙げられる。前記チオカルボニルチオ化合物としては、例えば、ジチオエステル、ジチオカルバメート、トリチオカーボネート、キサンタートなどが挙げられる。これらの中でも、副反応が少なく前記一般式(1)で表されるモノマー、前記一般式(2)で表されるモノマーなどのアクリル系モノマー、アクリルアミド系モノマーの重合に適している点でトリチオカーボネートが好ましく、2−メチル−2−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸がより好ましい。
前記重合開始剤としては、ラジカル重合を開始可能な開始剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、過硫酸系重合開始剤などが挙げられる。前記アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)などが挙げられる。前記過酸化物系重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。前記過硫酸系重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
前記第1のAブロック合成工程は、溶媒中で行うことができる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、塩化物系溶媒、芳香族系溶媒、非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。前記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。前記炭化水素系溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、流動パラフィンなどが挙げられる。前記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。前記エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。前記塩化物系溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などが挙げられる。前記芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。前記非プロトン性極性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
前記溶媒としては、前記重合開始剤のラジカル発生温度よりも沸点が高い溶媒が好ましい。
前記第1のAブロック合成工程における重合温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃〜100℃などが挙げられる。
前記第1のAブロック合成工程における重合時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間〜24時間などが挙げられる。
前記第1のAブロック合成工程は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。前記不活性雰囲気としては、例えば、アルゴンなどが挙げられる。
−−Bブロック合成工程−−
前記Bブロック合成工程としては、前記第1のAブロック合成工程により得られた前記第1のAブロック及び重合開始剤存在下で親水性モノマーを重合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Bブロック合成工程においては、前記第1のAブロックと前記連鎖移動剤との結合が切れ、開裂的連鎖移動により前記第1のAブロックの末端に前記親水性モノマーがラジカル的に付加して成長反応することで、Bブロックが形成され、AB型ジブロックコポリマーが得られる。
前記AB型ジブロックコポリマーにおいては、前記Bブロックの前記Aブロック側とは反対側の末端に前記連鎖移動剤の残基が結合している。
前記親水性モノマーは、前記ABA型トリブロックコポリマーにおいて説明した前記親水性モノマーである。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1のAブロック合成工程において例示した前記重合開始剤などが挙げられる。
なお、前記第1のAブロック合成工程に用いる前記重合開始剤と、前記Bブロック合成工程に用いる前記重合開始剤とは、同じ重合開始剤であってもよく、異なる重合開始剤であってもよい。
前記Bブロック合成工程は、溶媒中で行うことができる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1のAブロック合成工程において例示した前記溶媒などが挙げられる。
なお、前記第1のAブロック合成工程に用いる前記溶媒と、前記Bブロック合成工程に用いる前記溶媒とは、同じ溶媒であってもよく、異なる溶媒であってもよい。
前記Bブロック合成工程における重合温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃〜100℃などが挙げられる。
前記Bブロック合成工程における重合時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間〜24時間などが挙げられる。
前記Bブロック合成工程は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。前記不活性雰囲気としては、例えば、アルゴンなどが挙げられる。
−−第2のAブロック合成工程−−
前記第2のAブロック合成工程としては、前記Bブロック合成工程により得られた前記AB型ジブロックコポリマー及び重合開始剤存在下で、前記一般式(1)で表されるモノマー又は前記一般式(2)で表されるモノマーを重合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第2のAブロック合成工程においては、前記AB型ジブロックコポリマーにおける前記Bブロックと前記連鎖移動剤との結合が切れ、開裂的連鎖移動により前記Bブロックの末端に前記一般式(1)で表されるモノマー又は前記一般式(2)で表されるモノマーがラジカル的に付加して成長反応することで、第2のAブロックが形成され、ABA型トリブロックコポリマーが得られる。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいては、前記第2のAブロックの前記Bブロック側とは反対側の末端に前記連鎖移動剤の残基が結合している。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1のAブロック合成工程において例示した前記重合開始剤などが挙げられる。
なお、前記第2のAブロック合成工程に用いる前記重合開始剤と、前記第1のAブロック合成工程、及び前記Bブロック合成工程に用いる前記重合開始剤とは、同じ重合開始剤であってもよく、異なる重合開始剤であってもよい。
前記第2のAブロック合成工程は、溶媒中で行うことができる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1のAブロック合成工程において例示した前記溶媒などが挙げられる。
なお、前記第2のAブロック合成工程に用いる前記溶媒と、前記第1のAブロック合成工程、及び前記Bブロック合成工程に用いる前記溶媒とは、同じ溶媒であってもよく、異なる溶媒であってもよい。
前記第2のAブロック合成工程における重合温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃〜100℃などが挙げられる。
前記第2のAブロック合成工程における重合時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間〜24時間などが挙げられる。
前記第2のAブロック合成工程は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。前記不活性雰囲気としては、例えば、アルゴンなどが挙げられる。
なお、前記RAFT法(その2)により得られる前記ABA型トリブロックコポリマーにおいては、前記Aブロックの末端に連鎖移動剤の残基が存在する。
前記ABA型トリブロックコポリマーは、系内に電解質が存在する状態においても使用でき、粘度変化の応答時間が早く、低濃度でも可逆性のある増粘作用を発現できることから、ドラッグデリバリーシステム等の薬物担持体、ティッシュエンジニアリング(Tissue Engineering)等の再生医療材料、人工筋肉等のアクチュエーター、ポンプ、化粧料、表示素子、記録素子、太陽電池等のエネルギー素子、インクの添加剤、専用紙のコート剤、各種機能膜などに好適に用いることができる。
(増粘剤)
本発明の増粘剤は、本発明の前記ABA型トリブロックコポリマーからなる。
前記増粘剤は、前記増粘剤を含有する系内のpHの変化により、前記増粘剤の増粘作用により前記系を増粘させる。前記増粘による粘度変化には可逆性がある。
前記増粘剤は、系内に電解質が存在する状態においても増粘作用が発現することから、電解質含有水性組成物用の増粘剤として特に適している。
前記電解質含有水性組成物は、水と、電解質とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記電解質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機アルカリ金属塩、有機アルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
前記無機アルカリ金属塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化ルビジウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
前記有機アルカリ金属塩としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸水素カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、塩化コリンなどが挙げられる。
また、前記電解質としては、一価のアルカリ金属塩、二価以上の金属塩が挙げられる。これらの中でも、一価のアルカリ金属塩が、前記ABA型トリブロックコポリマーの溶解性、及び分散性を損ねない点で好ましい。
前記電解質含有水性組成物における前記電解質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記増粘剤は、系内に電解質が存在する状態においても使用でき、粘度変化の応答時間が早く、低濃度でも可逆性のある増粘作用を発現できることから、ドラッグデリバリーシステム等の薬物担持体、ティッシュエンジニアリング(Tissue Engineering)等の再生医療材料、人工筋肉等のアクチュエーター、ポンプ、化粧料、表示素子、記録素子、太陽電池等のエネルギー素子、インクの添加剤、専用紙のコート剤、各種機能膜など好適に用いることができる。
(水性組成物)
本発明の水性組成物は、本発明の前記ABA型トリブロックコポリマー又は本発明の前記増粘剤と、水とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、電解質などのその他の成分を含有する。
前記水性組成物は、前記ABA型トリブロックコポリマー又は前記増粘剤の増粘作用により、前記水性組成物のpHが変化することで増粘する。前記増粘による粘度変化には可逆性がある。
前記水性組成物における前記ABA型トリブロックコポリマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が特に好ましい。上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30質量%以下が好ましい。前記含有量が、30質量%を超えると、増粘作用を示す前から系の粘度が高くなることがある。
<電解質>
通常のpH応答性ポリマーは、電解質の存在により増粘作用がほとんどなくなるが、前記ABA型トリブロックコポリマー又は前記増粘剤は、電解質の存在下でも増粘作用が得られる。
前記電解質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記増粘剤の説明において例示した前記電解質と同様のものなどが挙げられる。好ましい態様も同様である。
前記水性組成物における前記電解質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薬剤、DNA、タンパク質、細胞、保湿剤、界面活性剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、殺虫剤、農薬、香料、紫外線吸収剤、染料、前記ABA型トリブロックコポリマー以外のその他の水溶性ポリマー、O/Wエマルション、W/O/Wエマルション、樹脂エマルション、有機顔料、無機顔料、セルロース、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、セルロースファイバーなどが挙げられる。
前記水性組成物は、流動性のあるゾル状態からpH変化により流動性のないゲル状態になる水性組成物であってもよいし、流動性のないゲル状態からpH変化により流動性のあるゾル状態になる水性組成物であってもよい。
前記水性組成物は、系内に電解質が存在する状態においても使用でき、粘度変化の応答時間が早く、低濃度でも可逆性のある増粘作用を発現できることから、化粧料、インクなどに好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
本実施例において、1H−NMR測定には、JEOL JNM−ECX500 FT NMR SYSTEM(日本電子株式会社製)を用いた。導電率の測定には、電気伝導率計ES−51(株式会社堀場製作所製)を用いた。
GPC測定は、以下の条件で行った。
〔AaU(X)(Aブロックのみの状態)の分子量測定条件〕
ポンプ:PU−2085plus(JASCO社製)
カラムオーブン:U−620 TYPE30(スガイケミ社製)
屈折率検出器:RISE−61(ショーデックス社製)
カラム:
Shodex Asahipak GF−1G 7B(ガードカラム1本、ショーデックス社製)
Shodex Asahipak GF−7M HQ(分析カラム1本、ショーデックス社製)
展開溶媒:
0.1M LiClO4メタノール溶液
〔実施例1〜9のABA型トリブロックコポリマーの分子量測定条件〕
デガッサ:ERC 3215アルファ(ショーデックス社製)
ポンプ:DP−8020(東ソー株式会社製)
カラムオーブン:CTO−10ASVP(株式会社島津製作所製)
屈折率検出器:RI−8020(東ソー株式会社製)
カラム:
Shodex OHpak SB−G(ガードカラム1本、ショーデックス社製)
Shodex OHpak SB−804HQ(分析カラム2本、ショーデックス社製)
展開溶媒:
アセトニトリル:水(pH8、50mMリン酸)=10:90(体積比)
〔実施例10〜13のABA型トリブロックコポリマーの分子量測定条件〕
装置:HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム:Shodex HFIP−LG+HFIP−806M×2本
検出器:示差屈折計(RI)
展開溶媒:HFLP+10mM CF3COONa
(合成例1)
<11−アクリルアミドウンデカン酸(AaU)の合成>
40.3gの11−アミノウンデカン酸と36gの水酸化ナトリウムとを1.5Lの脱イオン水に溶解し、そこへ56.6gのアクリロイルクロリドと0.1gの重合禁止剤(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)との混合物を約15分間かけて滴下した。その後、室温で3時間攪拌し、続いて6N塩酸を用いてpHを約3に調整し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を吸引ろ過で回収し、回収物をアセトンに溶解し、更にヘキサンで再沈殿させ沈殿物を得た。得られた沈殿物を再度、吸引ろ過で回収し、減圧乾燥して11−アクリルアミドウンデカン酸(AaU)を得た。得られた11−アクリルアミドウンデカン酸の1H−NMRスペクトルを図1に示す。
(合成例2)
<連鎖移動剤(S,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネート)の合成>
27.4gのカーボンジスルフィド、107.5gのクロロホルム、52.3gのアセトン、2.29gの臭化テトラブチルアンモニウム及び120mLのミネラルスピリットの混合物をアルゴンで10分間脱気した。続いて、アルゴン雰囲気下、氷浴中で脱気後の混合物に50質量%水酸化ナトリウム水溶液を約90分間かけて滴下した後、約9時間攪拌した。続いて、900mLの脱イオン水を加えて、更に12M塩酸120mLを加えた。続いて、アルゴン雰囲気下、氷浴中で約30分間攪拌し、黄土色の沈殿物を得た。得られた沈殿物を吸引ろ過で回収した。回収した回収物を50℃で減圧乾燥して得られた粗精製物を、アセトンに溶解し、更にヘキサンで再沈殿させて精製を行い、連鎖移動剤であるS,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネートを得た。
得られたS,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネートの1H−NMRスペクトルを図2に示す。
(実施例1)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(900)−AaU(5)」の合成>
RAFT重合により、ABA型トリブロックコポリマーを合成した。以下にその方法を示す。
−AaUの10量体の合成−
合成例1で得られたAaU1.92g、合成例2で得られた連鎖移動剤0.21g、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.084gを、7.5mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後、ヘキサンを添加して分離したメタノール溶液を回収し、これを減圧乾燥させ重合物を得た。
得られた重合物について、重ジメチルスルホキシド(d6−DMSO)を溶媒として1H−NMR測定を行い、連鎖移動剤のメチルピークとAaU由来のメチレンピークとの比較によって平均重合度を計算した。これにより、重合物が、平均重合度が10のAaUの10量体「AaU(10)」であることを確認した。
図3に、得られた11−アクリルアミドウンデカン酸の10量体の1H−NMRスペクトル(d6−DMSO中)を示す。
図4に、得られた11−アクリルアミドウンデカン酸の10量体のGPCチャートを示す。分子量分布(Mw/Mn)は、1.15であった。
−ABA型トリブロックコポリマーの合成−
得られたAaU(10)0.567g、ジメチルアクリルアミド(DMA)19.83g、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.0131gを、100mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を60℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後、透析膜(透析膜36/32、製品番号UC 36−32−100、エーディア株式会社製)に前記メタノール溶液を入れて16時間水で透析を行い、pH9に調整して更に6時間水で透析を行った。得られた溶液を濃縮し、更に凍結乾燥によりABA型トリブロックコポリマーを得た。
得られたABA型トリブロックコポリマーについて、重水を溶媒とした1H−NMR測定を行い、DMA由来のメチルピークとAaU由来のメチレンピークとの比較によって平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が900のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(900)−AaU(5)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.17であった。
図5に、実施例1で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトル(D2O中)を示す。
図6に、実施例1で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
(実施例2)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(400)−AaU(5)」の合成>
実施例1で得られたAaU(10)0.121g、ジメチルアクリルアミド(DMA)2.01g、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.0059gを、10.9mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を60℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後の精製を実施例1と同様に行い、ABA型トリブロックコポリマーを得た。
実施例1と同様にして、1H−NMR測定により平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が400のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(400)−AaU(5)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.11であった。
図7に、実施例2で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトル(D2O中)を示す。
図8に、実施例2で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
(実施例3)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(200)−AaU(5)」の合成>
実施例1で得られたAaU(10)0.240g、ジメチルアクリルアミド(DMA)2.00g、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.012gを、10.9mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を60℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後の精製を実施例1と同様に行い、ABA型トリブロックコポリマーを得た。
実施例1と同様にして、1H−NMR測定により平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が200のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(200)−AaU(5)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.14であった。
図9に、実施例3で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトル(D2O中)を示す。
図10に、実施例3で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
(実施例4)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(2300)−AaU(5)」の合成>
実施例1で得られたAaU(10)0.0391g、ジメチルアクリルアミド(DMA)2.61g、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.0021gを、13.5mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を60℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後の精製を実施例1と同様に行い、ABA型トリブロックコポリマーを得た。
実施例1と同様にして、1H−NMR測定により平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が2,300のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(2300)−AaU(5)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.22であった。
図11に、実施例4で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトル(D2O中)を示す。
図12に、実施例4で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
(実施例5)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(3)−DMA(900)−AaU(3)」の合成>
−AaUの6量体の合成−
合成例1で得られたAaU1.15g、合成例2で得られた連鎖移動剤0.21g、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.084gを、4.5mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後、ヘキサンを添加して分離したメタノール溶液を回収し、これを減圧乾燥させ重合物を得た。
得られた重合物について、重ジメチルスルホキシドを溶媒として1H−NMR測定を行い、連鎖移動剤のメチルピークとAaU由来のメチレンピークの比較によって重合度を計算した。これにより、重合物が、平均重合度が6のAaUの6量体「AaU(6)」であることを確認した。
−ABA型トリブロックコポリマーの合成−
得られたAaU(6)0.0409g、ジメチルアクリルアミド(DMA)2.13g、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.0196gを、10mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を60℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後の精製を実施例1と同様に行い、ABA型トリブロックコポリマーを得た。
1H−NMR測定により実施例1と同様にして平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が3、Bブロックの平均重合度が900のABA型トリブロックコポリマー「AaU(3)−DMA(900)−AaU(3)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.10であった。
図13に、実施例5で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトル(D2O中)を示す。
図14に、実施例5で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
(実施例6)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−PSSNa(200)−AaU(5)」の合成>
実施例1で得られたAaU(10)0.0717g、p−スチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)1.04g、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.0015gを、7.5mLの水に溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して3時間重合させた。重合後の精製を実施例1と同様に行い、ABA型トリブロックコポリマーを得た。
1H−NMR測定により実施例1と同様にして平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が200のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−PSSNa(200)−AaU(5)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、4.51であった。
図15に、実施例6で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
(実施例7)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−AMPS(200)−AaU(5)」の合成>
実施例1で得られたAaU(10)0.0717g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)1.04g、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.0015gを、7.5mLの水に溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して3時間重合させた。重合後の精製を実施例1と同様に行い、ABA型トリブロックコポリマーを得た。
1H−NMR測定により実施例1と同様にして平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が200のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−AMPS(200)−AaU(5)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、2.03であった。
図16に、実施例7で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
(実施例8)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−DMA(200)−AaH(25)」の合成>
−AaHの50量体の合成−
6−アクリルアミドヘキサン酸(東京化成工業株式会社製、AaH)2.011g(10.86mmol)、及びNaHCO30.826g(9.673mmol)を4.3mLの水に溶解し、水溶液を得た。
合成例2で合成した連鎖移動剤S,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネート61.4mg(0.217mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)30.9mg(0.110mmol)を1.1mLのメタノールに溶解し、メタノール溶液を得た。
前記水溶液と、前記メタノール溶液を混合し、メタノール水溶液を得た。アルゴンで30分間脱気後の前記メタノール水溶液を70℃に加熱して30分間重合させた。重合後、水で6時間透析を行い、凍結乾燥によって重合物を得た。得られた重合物について、重水を溶媒として1H−NMR測定を行い、連鎖移動剤のメチルピークとAaH由来のメチレンピークとの比較によって平均重合度を計算した。これにより、重合物が、平均重合度が50のAaHの50量体「AaH(50)」であることを確認した。
図17に、得られた6−アクリルアミドヘキサン酸の50量体の1H−NMRスペクトルを示す。
図18に、得られた6−アクリルアミドヘキサン酸の50量体のGPCチャートを示す。分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。
−AaH(25)−DMA(200)−AaH(25)の合成−
前述で得られたAaH(50)0.503g(0.0508mmol)、ジメチルアクリルアミド(DMA)1.001g(10.097mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)2.93mg(0.0105mmol)を10mLの水に溶解して、アルゴンで30分間脱気後、70℃に加熱して60分間重合させた。重合後、水で48時間透析を行い、凍結乾燥によって重合物を得た。得られた重合物について、重水を溶媒として1H−NMR測定を行ったところ、DMAの平均重合度が200のABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−DMA(200)−AaH(25)」であることを確認した。
図19に、得られたABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−DMA(200)−AaH(25)」の1H−NMRスペクトルを示す。
図20に、得られたABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−DMA(200)−AaH(25)」のGPCチャートを示す。分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。
(実施例9)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−PSSNa(200)−AaH(25)」の合成>
AaH(50)0.250g(0.0253mmol)、p−スチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)1.040g(5.045mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)1.45mg(0.00517mmol)を7.5mLの水に溶解して、アルゴンで30分間脱気後、70℃に加熱して180分間重合させた。重合後、水で48時間透析を行い、凍結乾燥によって重合物を得た。得られた重合物について、重水を溶媒として1H−NMR測定を行ったところ、PSSNaの平均重合度が200のABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−PSSNa(200)−AaH(25)」であった。
図21に、得られたABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−PSSNa(200)−AaH(25)」の1H−NMRスペクトルを示す。
図22に、得られたABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−PSSNa(200)−AaH(25)」のGPCチャートを示す。分子量分布(Mw/Mn)は6.47であった。
<評価>
<<溶液のpHとせん断粘度との関係>>
実施例1〜9で得られたABA型トリブロックコポリマーが5質量%になるように純水に溶解させて水溶液を調製し、その水溶液のpHと、せん断速度が1s−1のときのせん断粘度を測定した。
また、実施例1〜9で得られたABA型トリブロックコポリマーの6質量%水溶液を規定度の異なる塩酸水溶液で1.2倍(質量比)に希釈させることでH+添加濃度を調整した水溶液を調製し、その水溶液に対しても、pHと、せん断速度が1s−1のときのせん断粘度を測定した。
ここでH+添加濃度とは、(添加H+モル数)/(6質量%ポリマー水溶液体積)と定義する。
せん断粘度は、H+添加濃度が0mmol/Lの場合には、ABA型トリブロックコポリマーを純水に溶解させた後、30分間後に測定した。H+添加濃度を調整した水溶液については、塩酸添加後、30分間後に測定した。
測定条件は以下の通りである。結果を表1に示す。
測定装置:Anton Paar社製、Physica MCR−301
ジオメトリー:CP50−1−SN21301(直径50mm,1°コーンプレート、d=0.096mm)
測定モード:Control Rate
せん断速度:1s−1〜1,000s−1
データポイント:13点(対数分割)
測定間隔:10s
測定温度:25℃
実施例1〜7において、H+を添加すると即座に表1中に記載の粘度に達した。そのため、粘度変化の応答速度が速いことが確認できた。
また、H+添加濃度を調整した水溶液について、中和によりpHを7.5程度に戻したところ、せん断粘度は、表1中の0mmol/Lの場合とほぼ同じ粘度になり、粘度変化に可逆性があることが確認できた。
20<P(B)/P(A)<300、及び3<P(A)<10を満たす実施例1、2及び3は、大きな粘度変化がみられ、特に実施例1は、約10,000倍の粘度変化を示した。
P(B)/P(A)が300以上の実施例4では、実施例1〜3よりは粘度変化が小さいものの、3倍〜4倍程度の粘度変化が確認できた。また、P(A)=3の実施例5では、1.5倍〜2倍程度の粘度変化が確認できた。
Mw/Mnが2.00を超えるが2.00に近い実施例7では、80倍の粘度変化が確認できた。一方、Mw/Mnが2.00を大きく超え、4.51である実施例6では、2倍程度の粘度変化が確認できた。
P(B)/P(A)が20以下の実施例8のABA型トリブロックコポリマーAaH(25)−DMA(200)−AaH(25)は、H+添加濃度が0mmol/Lの場合、せん断粘度3.1mPa・s(pH8.9)であり、H+添加濃度が20mmol/Lでは、せん断粘度3.2mPa・s(pH6.8)であり、ほとんど変化がなかった。しかし、H+添加濃度が100mmol/Lでは、せん断粘度180mPa・s(pH2.0)であり、粘度変化を確認できた。
実施例8においてH+添加濃度が20mmol/Lで粘度変化が小さいのは、pH応答を示すAブロックが大きすぎるため、単位ポリマー濃度(この場合、5質量%)で一定の酸添加濃度(この場合、20mmol/L)ではpHが下がりきらず、疎水会合がほとんど起きていないためと考えられる。また、一般式(1)のR2の炭素数が5であり疎水会合力が小さいためと考えられる。
実施例9のABA型トリブロックコポリマーAaH(25)−PSSNa(200)−AaH(25)〔P(B)/P(A)=8〕は、H+添加濃度が0mmol/Lの場合、せん断粘度27mPa・s(pH8.9)であり、H+添加濃度が20mmol/Lでは、せん断粘度25mPa・s(pH6.8)であり、ほとんど変化がなかった。しかし、H+添加濃度が100mmol/Lでは、せん断粘度66mPa・s(pH1.9)であり、粘度変化を確認できた。
<<ポリマー濃度と粘度との関係>>
実施例1で合成したABA型トリブロックコポリマーについて、水溶液における濃度を変えて、粘度とpHを測定した結果を表2に示す。
表1及び表2の結果から、実施例1のABA型トリブロックコポリマーでは、ポリマー濃度が5質量%の場合は、H+添加濃度が10mmol/L程度で非常に高粘度になり、粘度上昇が飽和状態になった。同様に、ポリマー濃度が3質量%及び2質量%は、それぞれ6mmol/L及び4mmol/L(データ省略)で粘度上昇が飽和状態になった。これは、水溶液中のポリマーのカルボン酸のモル濃度に対応している。前記一般式(1)で表されるモノマーを構成単位に有するAブロックを有する本発明のABA型トリブロックコポリマーでは、カルボキシルイオンからカルボン酸へのプロトン化によって増粘作用を示す。そのため、水溶液中でポリマーの全てのカルボキシルイオンがカルボン酸へプロトン化されると、粘度上昇が飽和状態になるものと考えられる。
粘度はpH4〜6で顕著な変化が見られた。これは、実施例1で合成したABA型トリブロックコポリマーのカルボン酸のpKaが約5であり、カルボキシルイオンからカルボン酸へのプロトン化、即ち親水性から疎水性への変化によるポリマー分子間の疎水会合によって、水溶液が増粘又はゲル化していることを示している。
<<各種添加剤の影響>>
実施例1のABA型トリブロックコポリマーを用い、ポリマーの濃度を2質量%に固定して、各種添加剤を加えた時の粘度変化を調べた。
−電解質の影響−
ABA型トリブロックコポリマー含有水溶液について、電解質としての塩化カリウムを、水溶液中の塩化カリウム濃度がそれぞれ0.62質量%、1.26質量%及び2質量%となるように添加したところ、それぞれの水溶液の導電率は1S/m、2S/m及び3S/mになった。その水溶液が6mmol/LのH+添加濃度になるように塩酸水溶液を加えた。その水溶液のせん断粘度は、全てが500mPa・s〜600mPa・sであり、電解質を加えない場合と比較してほとんど粘度は変わらず、増粘に対しては、電解質による影響がほとんどないことが確認できた。
−保湿剤の影響−
ABA型トリブロックコポリマー含有水溶液について、保湿剤としてのグリセリンを水溶液中のグリセリンの濃度が15質量%となるように添加し、更にその水溶液が6mmol/LのH+添加濃度になるように塩酸水溶液を加えた。その水溶液のせん断粘度は、450mP・sであり、保湿剤を加えない場合と比較して粘度が若干低下したものの、増粘に対しては、保湿剤による影響が小さいことが確認できた。
(実施例10;3ステップによる合成)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(10)−DMA(500)−AaU(8)」の合成>
連鎖移動剤2−メチル−2−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸は、市販品(アルドリッチ社製)をそのまま用いた。
−AaU(10)の合成−
合成例1で得られたAaU1.025g(4mmol)、連鎖移動剤2−メチル−2−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸0.146g(0.4mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.045g(0.16mmol)を、4mLのメタノールに溶解してメタノール溶液を得、それをアルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して5時間重合させた。重合後、ヘキサンを添加して分離したメタノール溶液を回収し、これを減圧乾燥させ重合物を得た。
得られた重合物について、重メタノールを溶媒として1H−NMR測定を行い、残存モノマーとAaU由来のメチレンピークの比較から反応率を計算したところ、反応率97%であった。また、連鎖移動剤のメチルピークとAaU由来のメチレンピークとの比較によって平均重合度を計算したところ、平均重合度が約10のAaUの10量体「AaU(10)」であった。
図23に得られた重合物を重メタノールに溶解した溶液の1H−NMRスペクトルを示す。
−AaU(10)−DMA(500)の合成−
ジメチルアクリルアミド(DMA)15.7g(158mmol)、前記で得られた重合物AaU(10)0.9245g(0.3168mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.0358g(0.1277mmol)を、79mLのメタノールに溶解して、アルゴンで30分間脱気し、メタノール溶液を得た。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して4時間重合させた。
重合後、メタノール溶液を重水が充填されたキャピラリーとともに1H−NMR測定を行い、DMAの反応率を求めたところ96%であった。また、DMAの平均重合度は約500であり、AaU(10)−DMA(500)(AB型ジブロックコポリマー)メタノール溶液が得られた。
図24に得られた重合物(メタノール溶液中)の1H−NMRスペクトルを示す。
メタノール溶液について、透析膜(透析膜36/32、製品番号UC 36−32−100、エーディア株式会社製)によって16時間水で透析を行い、粘度の高い白濁液を得た。これを凍結乾燥により水分除去して粉末状のAaU(10)−DMA(500)が得られた。
図25に得られた重合物(粉末サンプルを重クロロホルムに溶解させた溶液)の1H−NMRスペクトルを示す。
−AaU(10)−DMA(500)−AaU(8)の合成−
合成例1で得られたAaU0.129g(0.51mmol)、前記で得られた重合物AaU(10)−DMA(500)2.64g(0.0503mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.0050g(0.0214mmol)を、2mLのメタノールに溶解し、メタノール溶液を得、それをアルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して5時間重合させた。
重合後、12.7mLのメタノールで希釈して、重水が充填されたキャピラリーとともに1H−NMR測定を行い、AaUの反応率を求めたところ80%であった。また、AaUの平均重合度は約8であり、AaU(10)−DMA(500)−AaU(8)のメタノール溶液が得られた。
図26に得られた重合物(メタノール溶液)の1H−NMRスペクトルを示す。
メタノール溶液について、透析膜(透析膜36/32、製品番号UC 36−32−100、エーディア株式会社製)によって16時間水で透析を行い、ゼリー状の重合物を得た。これを水酸化ナトリウム水溶液でpH10にして、更に透析を行い、凍結乾燥により水分除去して粉末状のAaU(10)−DMA(500)−AaU(8)が得られた。
図27に得られた重合物(粉末サンプルを重クロロホルムに溶解させた溶液)の1H−NMRスペクトルを示す。
また、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.5であった。結果を図28に示す。
(実施例11;3ステップによる合成)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(10)−DMA(400)−AaU(8)」の合成>
−AaU(10)−DMA(400)の合成−
実施例10で得られたAaU(10)1.0086g(0.3456mmol)、DMA13.7g(138.2mmol)、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.039g(0.1391mmol)を、69.1mLのメタノールに溶解して、メタノール溶液を得、それをアルゴンで30分間脱気した。脱気後、メタノール溶液を70℃に加熱して4時間重合させた。
重合後、メタノール溶液を重水が充填されたキャピラリーとともに1H−NMR測定を行い、DMAの反応率を求めたところ97%であった。また、DMAの平均重合度は約400であり、AaU(10)−DMA(400)メタノール溶液が得られた。
メタノール溶液について、透析膜(透析膜36/32、製品番号UC 36−32−100、エーディア株式会社製)によって16時間水で透析を行い、粘度の高い白濁液を得た。これを凍結乾燥により水分除去して粉末状のAaU(10)−DMA(400)が得られた。
−AaU(10)−DMA(400)−AaU(8)の合成−
合成例1で得られたAaU0.17g(0.67mmol)、前記で得られた重合物AaU(10)−DMA(400)2.64g(0.0658mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.0077g(0.0275mmol)を、2.6mLのメタノールに溶解して、メタノール溶液を得、それをアルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して5時間重合させた。
重合後、12.7mLのメタノールで希釈して、重水が充填されたキャピラリーとともに1H−NMR測定を行い、AaUの反応率を求めたところ80%であった。また、AaUの平均重合度は約8であり、AaU(10)−DMA(400)−AaU(8)のメタノール溶液が得られた。
メタノール溶液について、透析膜(透析膜36/32、製品番号UC 36−32−100、エーディア株式会社製)によって16時間水で透析を行い、ゼリー状の重合物を得た。これを水酸化ナトリウム水溶液でpH10にして、更に透析を行い、凍結乾燥により水分除去して粉末状のAaU(10)−DMA(400)−AaU(8)が得られた。
また、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.5であった。
(実施例12;3ステップによる合成)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(10)−DMA(150)−AaU(8)」の合成>
実施例10において、DMAの添加量を調整した以外は、実施例10と同様にして、DMAの平均重合度が約100である、AaU(10)−DMA(100)−AaU(8)を作製した。
(実施例13;3ステップによる合成)
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(10)−DMA(3000)−AaU(8)」の合成>
実施例10において、DMAの添加量を調整した以外は、実施例10と同様にして、DMAの平均重合度が約3,000である、AaU(10)−DMA(3000)−AaU(8)を作製した。
<評価(実施例10〜13)>
実施例1と同様にして、溶液のpHとせん断粘度との関係を評価した。
実施例10のABA型トリブロックコポリマーAaU(10)−DMA(500)−AaU(8)〔P(B)/P(A)=56〕は、H+添加濃度が0mmol/Lの場合、せん断粘度4.3mPa・s(pH8.5)であり、H+添加濃度が20mmol/Lでは、せん断粘度80,800mPa・s(pH3.9)であった。
実施例11のABA型トリブロックコポリマーAaU(10)−DMA(400)−AaU(8)〔P(B)/P(A)=44〕は、H+添加濃度が0mmol/Lの場合、せん断粘度4.0mPa・s(pH8.4)であり、H+添加濃度が20mmol/Lでは、せん断粘度264,000mPa・s(pH6.1)であった。
実施例12のABA型トリブロックコポリマーAaU(10)−DMA(150)−AaU(8)〔P(B)/P(A)=17〕は、H+添加濃度が0mmol/Lの場合、せん断粘度2.6mPa・s(pH8.4)であり、H+添加濃度が20mmol/Lでは、せん断粘度4.0mPa・s(pH6.6)であり、粘度変化がかなり小さかった。しかし、H+添加濃度が100mmol/Lでは、せん断粘度48,000mPa・s(pH2.8)であり、粘度変化を確認できた。
実施例12においてH+添加濃度が20mmol/Lで粘度変化が小さいのは、P(B)/P(A)が20以下、即ちpH応答を示すAブロックが大きすぎるため、単位ポリマー濃度(この場合、5質量%)で一定の酸添加濃度(この場合、20mmol/L)ではpHが下がりきらず、疎水会合がほとんど起きていないためと考えられる。
実施例13のABA型トリブロックコポリマーAaU(10)−DMA(3000)−AaU(8)〔P(B)/P(A)=333〕は、H+添加濃度が0mmol/Lの場合、せん断粘度11.4mPa・s(pH8.5)であり、H+添加濃度が20mmol/Lでは、せん断粘度150mPa・s(pH2.1)であった。
実施例13のABA型トリブロックコポリマーAaU(10)−DMA(3000)−AaU(8)は、H+添加濃度が20mmol/Lでは、13倍ほどの粘度変化を示したが、実施例10、11よりは粘度変化が小さかった。これは、P(B)/P(A)が300以上、即ちpH応答を示すAブロックが小さすぎるため、一定の酸添加濃度(この場合、20mmol/L)で十分pHは下がっているが、単位ポリマー濃度(この場合、5質量%)で疎水会合を起こす架橋点が少ないためと考えられる。
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有するAブロックと、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有するBブロックとを含有することを特徴とするABA型トリブロックコポリマーである。
ただし、前記一般式(1)中、R1は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R2は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、Mは、水素原子及び一価の金属原子のいずれかを表し、X1は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。前記一般式(2)中、R11は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R12は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表し、X11は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。
<2> 分子量分布が、2.00以下である前記<1>に記載のABA型トリブロックコポリマーである。
<3> 親水性モノマーが、下記一般式(3)で表されるモノマーである前記<1>から<2>のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマーである。
ただし、前記一般式(3)中、R21は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表す。
<4> Aブロックの平均重合度〔P(A)〕とBブロックの平均重合度〔P(B)〕とが、下記式(I)及び下記式(II)を満たす前記<1>から<3>のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマーである。
3<P(A)<10 ・・・式(I)
20<P(B)/P(A)<300 ・・・式(II)
<5> 脱離基を1つ有する連鎖移動剤を用いた可逆的付加開裂連鎖移動法によって得られる前記<1>から<4>のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマーである。
<6> 脱離基を2つ有する連鎖移動剤を用いた可逆的付加開裂連鎖移動法によって得られる前記<1>から<4>のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマーである。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマーからなることを特徴とする増粘剤である。
<8> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマー又は前記<7>に記載の増粘剤と、水とを含有することを特徴とする水性組成物である。
<9> 更に、電解質を含有する前記<8>に記載の水性組成物である。
特開2007−210903号公報
Biomacromolecules, Vol.4, No.4, 2003 864−868

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有するAブロックと、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有するBブロックとを含有し、
    前記Aブロックの平均重合度〔P(A)〕と前記Bブロックの平均重合度〔P(B)〕とが、下記式(I)及び下記式(II)を満たすことを特徴とするABA型トリブロックコポリマー。
    ただし、前記一般式(1)中、R1は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R2は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、Mは、水素原子及び一価の金属原子のいずれかを表し、X1は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。前記一般式(2)中、R11は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R12は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表し、X11は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。
    3<P(A)<10 ・・・式(I)
    20<P(B)/P(A)<300 ・・・式(II)
  2. 分子量分布が、2.00以下である請求項1に記載のABA型トリブロックコポリマー。
  3. 前記親水性モノマーが、下記一般式(3)で表されるモノマーである請求項1から2のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマー。
    ただし、前記一般式(3)中、R21は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表す。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマーからなることを特徴とする増粘剤。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマー又は請求項4に記載の増粘剤と、水とを含有することを特徴とする水性組成物。
  6. 更に、電解質を含有する請求項5に記載の水性組成物。
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