JP6199040B2 - Aba型トリブロックコポリマー、増粘剤及び水性組成物 - Google Patents
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Description
pHの違いにより系に可逆的な粘度変化を起こさせるpH応答性ポリマーであるポリアクリル酸は、pKaが5〜6のカルボン酸を有するポリマーであり、低pHではプロトンを受け取るが、高pHでは解離するため静電反発により溶解しやすくなる。例えば、化学的に架橋した架橋型ポリアクリル酸は、前記架橋型ポリアクリル酸を含有する系が酸性の場合、ポリアクリル酸のカルボキシル基が非解離状態のため収縮している。そのため、前記系は低粘度である。一方、前記架橋型ポリアクリル酸を含有する系がアルカリ性の場合、前記架橋型ポリアクリル酸は、解離したカルボキシルイオンの静電反発により膨潤しミクロゲルを形成する。そのため、前記系は高粘度である。一方、キトサン、架橋型ポリ−N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(PDMAEMA)、架橋型ポリ−N−ジエチルアミノエチルメタクリレート(PDEAEMA)などは、分子内にアミノ基を有するため、これらを含有する系が酸性の場合、アンモニウムイオンの静電反発により、前記系は高粘度である。
また、一般的に、疎水会合を利用して系に粘度変化を生じさせるポリマーは、充分な増粘作用を発現するには高いポリマー濃度が必要で、材料コストが高くなるという問題、及び可逆的な増粘作用を発現する前から系の粘度が高くなってしまう問題がある。
本発明のABA型トリブロックコポリマーは、下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有するAブロックと、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有するBブロックとを含有することを特徴とする。
本発明のABA型トリブロックコポリマーは、下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有するAブロックと、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有するBブロックとを含有する。
前記Aブロックは、下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有する。
前記R2における炭素数5〜18のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数6〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数9〜11のアルキレン基がより好ましく、炭素数10のアルキレン基が特に好ましい。また、前記炭素数5〜18のアルキレン基としては、直鎖状であることが好ましい。
前記R12における炭素数5〜18のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数6〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数9〜13のアルキレン基がより好ましく、炭素数11のアルキレン基が特に好ましい。また、前記炭素数5〜18のアルキレン基としては、直鎖状であることが好ましい。
前記一般式(1)で表されるモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記一般式(2)で表されるモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記Aブロックの構成単位における前記その他のモノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5モル%以下が好ましく、1モル%以下が好ましい。
前記ABA型トリブロックコポリマーが、アルカリ条件により増粘作用を発現するABA型トリブロックコポリマーである場合には、前記Aブロックとしては、前記一般式(2)で表されるモノマーを構成単位として95モル%以上含有することが好ましく、99モル%以上含有することがより好ましく、100モル%含有することが特に好ましい。
前記Bブロックは、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有する。
前記親水性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ここで、前記親水性モノマーの親水性とは、例えば、25℃の水1Lにモノマーが100g以上溶解することをいう。溶解したかどうかは、水が透明かどうかで判断でき、目視により確認することができる。
前記Bブロックの構成単位における前記その他のモノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5モル%以下が好ましく、1モル%以下が好ましい。
前記Aブロックの平均重合度〔P(A)〕と前記Bブロックの平均重合度〔P(B)〕としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記式(I)及び下記式(II)を満たすことが、増粘作用がより優れる点で好ましい。
3<P(A)<10 ・・・式(I)
20<P(B)/P(A)<300 ・・・式(II)
なお、前記平均重合度〔P(A)〕は、前記ABA型トリブロックコポリマーの両末端の各前記Aブロックの重合度の平均値である。
前記P(A)が、3以下であると、前記Aブロックの疎水会合力が弱くなり、増粘作用が低下することがある。前記P(A)が、10以上であると、増粘作用の発現に必要なH+やOH−が多量に必要になり、粘度変化の応答性が低下することがある。
前記P(B)/P(A)が、20以下であると、増粘作用の発現に必要なH+やOH−が多量に必要になり、粘度変化の応答性が低下することがあり、また、ポリマー1分子あたりの疎水会合力が強くてポリマー凝集が起こり、増粘作用が低下することがある。前記P(B)/P(A)が、300以上であると、ポリマーの水溶性が高いため、前記Aブロックを疎水化しても疎水会合による増粘作用が起こりにくくなることがある。
前記平均重合度は、例えば、1H−NMRにより測定できる。
3<P(A’)<10 ・・・式(XI)
20<P(B)/P(A’)<300 ・・・式(XII)
個々の前記Aブロックの重合度〔P(A’)〕は、例えば、1H−NMRにより測定できる。
4<P(A)<6 ・・・式(I’)
100<P(B)/P(A)<200 ・・・式(II’)
前記式(I’)及び前記式(II’)を満たすことにより、増粘作用が顕著に優れる。その結果、前記ABA型トリブロックコポリマーを含有する系がゲル化する程度の増粘作用が得られる。
ここで、「ゲル化」とは、系が流動性を失った状態をいい、例えば、せん断速度が1/sのときのせん断粘度が10,000mPa・s以上である状態をいう。
前記ABA型トリブロックコポリマーの分子量分布(Mw/Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、増粘作用がより優れる点で、2.00以下が好ましく、1.50以下がより好ましい。なお、下限値は、1.00である。
前記分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
P(A)×Mn(A)×2+P(B)×Mn(B) ・・・式(III)
ただし、前記式(III)中、P(A)及びP(B)は、前記式(I)及び式(II)を満たす。
ここで、Mn(A)は、前記一般式(1)又は前記一般式(2)で表されるモノマーの分子量であり、Mn(B)は前記親水性モノマーの分子量である。
前記平均分子量が、前記式(III)の範囲より小さいと、系内において前記ABA型トリブロックコポリマーが低濃度の場合に、増粘作用が小さくなることがある。前記平均分子量が、前記式(III)の範囲より大きいと、増粘作用を発現する前の系内の粘度が高くなることがある。
P(A1’)×Mn(A)+P(A2’)×Mn(A)+P(B)×Mn(B)
・・・式(III’)
ここで、前記P(A1’)は、前記ABA型トリブロックコポリマーにおける一方のAブロックの重合度を表し、前記P(A2’)は、他方のAブロックの重合度を表す。
ただし、前記式(III’)中、前記P(A1’)及び前記P(A2’)は、それぞれ、以下の式を満たす。
3<P(A1’)<10 ・・・式(I’’)
3<P(A2’)<10 ・・・式(I’’’)
また、前記式(III’)中、P(B)は、式(II)を満たす。
ここで、Mn(A)は、前記一般式(1)又は前記一般式(2)で表されるモノマーの分子量であり、Mn(B)は前記親水性モノマーの分子量である。
前記平均分子量が、前記式(III’)の範囲より小さいと、系内において前記ABA型トリブロックコポリマーが低濃度の場合に、増粘作用が小さくなることがある。前記平均分子量が、前記式(III’)の範囲より大きいと、増粘作用を発現する前の系内の粘度が高くなることがある。
ここで、前記数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
前記ABA型トリブロックコポリマーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リビングラジカル重合などが挙げられる。
前記リビングラジカル重合としては、例えば、ATRP(Atom Transfer Radical Polymerization、原子移動ラジカル重合)法、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)法、前記RAFT法などが挙げられる。これらの中も、前記一般式(1)で表されるモノマー、及び前記一般式(2)で表されるモノマーの重合に適している点、並びに狭い分子量分布が得られ易く、重合の制御が容易である点で、RAFT法が好ましい。
前記RAFT法による前記ABA型トリブロックコポリマーの製造方法(その1)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Aブロック2倍体合成工程と、Bブロック合成工程とを含む製造方法が挙げられる。
前記Aブロック2倍体合成工程としては、連鎖移動剤の存在下で、前記一般式(1)で表されるモノマー又は前記一般式(2)で表されるモノマーを、重合開始剤を用いて重合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Aブロック2倍体合成工程により、2つの前記Aブロックが連鎖移動剤を介して結合したAブロック2倍体が得られる。
前記溶媒としては、前記重合開始剤のラジカル発生温度よりも沸点が高い溶媒が好ましい。
前記Aブロック2倍体合成工程における重合時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間〜24時間などが挙げられる。
前記Bブロック合成工程としては、前記Aブロック2倍体合成工程により得られた前記Aブロック2倍体及び重合開始剤存在下で親水性モノマーを重合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Bブロック合成工程においては、前記Aブロック2倍体における前記Aブロックと前記連鎖移動剤との結合が切れ、開裂的連鎖移動により前記Aブロックの末端に前記親水性モノマーがラジカル的に付加して成長反応することで前記ABA型トリブロックコポリマーが得られる。
なお、前記Aブロック2倍体合成工程に用いる前記重合開始剤と、前記Bブロック合成工程に用いる前記重合開始剤とは、同じ重合開始剤であってもよく、異なる重合開始剤であってもよい。
なお、前記Aブロック2倍体合成工程に用いる前記溶媒と、前記Bブロック合成工程に用いる前記溶媒とは、同じ溶媒であってもよく、異なる溶媒であってもよい。
前記Bブロック合成工程における重合時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間〜24時間などが挙げられる。
前記RAFT法による前記ABA型トリブロックコポリマーの製造方法(その2)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第1のAブロック合成工程と、Bブロック合成工程と、第2のAブロック合成工程とを含む製造方法が挙げられる。
前記第1のAブロック合成工程としては、連鎖移動剤の存在下で、前記一般式(1)で表されるモノマー又は前記一般式(2)で表されるモノマーを、重合開始剤を用いて重合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1のAブロック合成工程により、前記ABA型トリブロックコポリマーの一方のAブロックである第1のAブロックが得られる。前記第1のAブロックの末端には、前記連鎖移動剤の残基が結合している。
前記溶媒としては、前記重合開始剤のラジカル発生温度よりも沸点が高い溶媒が好ましい。
前記第1のAブロック合成工程における重合時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間〜24時間などが挙げられる。
前記Bブロック合成工程としては、前記第1のAブロック合成工程により得られた前記第1のAブロック及び重合開始剤存在下で親水性モノマーを重合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Bブロック合成工程においては、前記第1のAブロックと前記連鎖移動剤との結合が切れ、開裂的連鎖移動により前記第1のAブロックの末端に前記親水性モノマーがラジカル的に付加して成長反応することで、Bブロックが形成され、AB型ジブロックコポリマーが得られる。
前記AB型ジブロックコポリマーにおいては、前記Bブロックの前記Aブロック側とは反対側の末端に前記連鎖移動剤の残基が結合している。
なお、前記第1のAブロック合成工程に用いる前記重合開始剤と、前記Bブロック合成工程に用いる前記重合開始剤とは、同じ重合開始剤であってもよく、異なる重合開始剤であってもよい。
なお、前記第1のAブロック合成工程に用いる前記溶媒と、前記Bブロック合成工程に用いる前記溶媒とは、同じ溶媒であってもよく、異なる溶媒であってもよい。
前記Bブロック合成工程における重合時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間〜24時間などが挙げられる。
前記第2のAブロック合成工程としては、前記Bブロック合成工程により得られた前記AB型ジブロックコポリマー及び重合開始剤存在下で、前記一般式(1)で表されるモノマー又は前記一般式(2)で表されるモノマーを重合する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第2のAブロック合成工程においては、前記AB型ジブロックコポリマーにおける前記Bブロックと前記連鎖移動剤との結合が切れ、開裂的連鎖移動により前記Bブロックの末端に前記一般式(1)で表されるモノマー又は前記一般式(2)で表されるモノマーがラジカル的に付加して成長反応することで、第2のAブロックが形成され、ABA型トリブロックコポリマーが得られる。
前記ABA型トリブロックコポリマーにおいては、前記第2のAブロックの前記Bブロック側とは反対側の末端に前記連鎖移動剤の残基が結合している。
なお、前記第2のAブロック合成工程に用いる前記重合開始剤と、前記第1のAブロック合成工程、及び前記Bブロック合成工程に用いる前記重合開始剤とは、同じ重合開始剤であってもよく、異なる重合開始剤であってもよい。
なお、前記第2のAブロック合成工程に用いる前記溶媒と、前記第1のAブロック合成工程、及び前記Bブロック合成工程に用いる前記溶媒とは、同じ溶媒であってもよく、異なる溶媒であってもよい。
前記第2のAブロック合成工程における重合時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30分間〜24時間などが挙げられる。
本発明の増粘剤は、本発明の前記ABA型トリブロックコポリマーからなる。
前記増粘剤は、前記増粘剤を含有する系内のpHの変化により、前記増粘剤の増粘作用により前記系を増粘させる。前記増粘による粘度変化には可逆性がある。
前記電解質含有水性組成物は、水と、電解質とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記電解質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機アルカリ金属塩、有機アルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
前記無機アルカリ金属塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化ルビジウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
前記有機アルカリ金属塩としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸水素カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、塩化コリンなどが挙げられる。
また、前記電解質としては、一価のアルカリ金属塩、二価以上の金属塩が挙げられる。これらの中でも、一価のアルカリ金属塩が、前記ABA型トリブロックコポリマーの溶解性、及び分散性を損ねない点で好ましい。
前記電解質含有水性組成物における前記電解質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の水性組成物は、本発明の前記ABA型トリブロックコポリマー又は本発明の前記増粘剤と、水とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、電解質などのその他の成分を含有する。
通常のpH応答性ポリマーは、電解質の存在により増粘作用がほとんどなくなるが、前記ABA型トリブロックコポリマー又は前記増粘剤は、電解質の存在下でも増粘作用が得られる。
前記電解質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記増粘剤の説明において例示した前記電解質と同様のものなどが挙げられる。好ましい態様も同様である。
前記水性組成物における前記電解質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薬剤、DNA、タンパク質、細胞、保湿剤、界面活性剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、殺虫剤、農薬、香料、紫外線吸収剤、染料、前記ABA型トリブロックコポリマー以外のその他の水溶性ポリマー、O/Wエマルション、W/O/Wエマルション、樹脂エマルション、有機顔料、無機顔料、セルロース、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、セルロースファイバーなどが挙げられる。
本実施例において、1H−NMR測定には、JEOL JNM−ECX500 FT NMR SYSTEM(日本電子株式会社製)を用いた。導電率の測定には、電気伝導率計ES−51(株式会社堀場製作所製)を用いた。
〔AaU(X)(Aブロックのみの状態)の分子量測定条件〕
ポンプ:PU−2085plus(JASCO社製)
カラムオーブン:U−620 TYPE30(スガイケミ社製)
屈折率検出器:RISE−61(ショーデックス社製)
カラム:
Shodex Asahipak GF−1G 7B(ガードカラム1本、ショーデックス社製)
Shodex Asahipak GF−7M HQ(分析カラム1本、ショーデックス社製)
展開溶媒:
0.1M LiClO4メタノール溶液
デガッサ:ERC 3215アルファ(ショーデックス社製)
ポンプ:DP−8020(東ソー株式会社製)
カラムオーブン:CTO−10ASVP(株式会社島津製作所製)
屈折率検出器:RI−8020(東ソー株式会社製)
カラム:
Shodex OHpak SB−G(ガードカラム1本、ショーデックス社製)
Shodex OHpak SB−804HQ(分析カラム2本、ショーデックス社製)
展開溶媒:
アセトニトリル:水(pH8、50mMリン酸)=10:90(体積比)
装置:HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム:Shodex HFIP−LG+HFIP−806M×2本
検出器:示差屈折計(RI)
展開溶媒:HFLP+10mM CF3COONa
<11−アクリルアミドウンデカン酸(AaU)の合成>
40.3gの11−アミノウンデカン酸と36gの水酸化ナトリウムとを1.5Lの脱イオン水に溶解し、そこへ56.6gのアクリロイルクロリドと0.1gの重合禁止剤(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)との混合物を約15分間かけて滴下した。その後、室温で3時間攪拌し、続いて6N塩酸を用いてpHを約3に調整し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を吸引ろ過で回収し、回収物をアセトンに溶解し、更にヘキサンで再沈殿させ沈殿物を得た。得られた沈殿物を再度、吸引ろ過で回収し、減圧乾燥して11−アクリルアミドウンデカン酸(AaU)を得た。得られた11−アクリルアミドウンデカン酸の1H−NMRスペクトルを図1に示す。
<連鎖移動剤(S,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネート)の合成>
27.4gのカーボンジスルフィド、107.5gのクロロホルム、52.3gのアセトン、2.29gの臭化テトラブチルアンモニウム及び120mLのミネラルスピリットの混合物をアルゴンで10分間脱気した。続いて、アルゴン雰囲気下、氷浴中で脱気後の混合物に50質量%水酸化ナトリウム水溶液を約90分間かけて滴下した後、約9時間攪拌した。続いて、900mLの脱イオン水を加えて、更に12M塩酸120mLを加えた。続いて、アルゴン雰囲気下、氷浴中で約30分間攪拌し、黄土色の沈殿物を得た。得られた沈殿物を吸引ろ過で回収した。回収した回収物を50℃で減圧乾燥して得られた粗精製物を、アセトンに溶解し、更にヘキサンで再沈殿させて精製を行い、連鎖移動剤であるS,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネートを得た。
得られたS,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネートの1H−NMRスペクトルを図2に示す。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(900)−AaU(5)」の合成>
RAFT重合により、ABA型トリブロックコポリマーを合成した。以下にその方法を示す。
合成例1で得られたAaU1.92g、合成例2で得られた連鎖移動剤0.21g、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.084gを、7.5mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後、ヘキサンを添加して分離したメタノール溶液を回収し、これを減圧乾燥させ重合物を得た。
得られた重合物について、重ジメチルスルホキシド(d6−DMSO)を溶媒として1H−NMR測定を行い、連鎖移動剤のメチルピークとAaU由来のメチレンピークとの比較によって平均重合度を計算した。これにより、重合物が、平均重合度が10のAaUの10量体「AaU(10)」であることを確認した。
図3に、得られた11−アクリルアミドウンデカン酸の10量体の1H−NMRスペクトル(d6−DMSO中)を示す。
図4に、得られた11−アクリルアミドウンデカン酸の10量体のGPCチャートを示す。分子量分布(Mw/Mn)は、1.15であった。
得られたAaU(10)0.567g、ジメチルアクリルアミド(DMA)19.83g、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.0131gを、100mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を60℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後、透析膜(透析膜36/32、製品番号UC 36−32−100、エーディア株式会社製)に前記メタノール溶液を入れて16時間水で透析を行い、pH9に調整して更に6時間水で透析を行った。得られた溶液を濃縮し、更に凍結乾燥によりABA型トリブロックコポリマーを得た。
得られたABA型トリブロックコポリマーについて、重水を溶媒とした1H−NMR測定を行い、DMA由来のメチルピークとAaU由来のメチレンピークとの比較によって平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が900のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(900)−AaU(5)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.17であった。
図5に、実施例1で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトル(D2O中)を示す。
図6に、実施例1で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(400)−AaU(5)」の合成>
実施例1で得られたAaU(10)0.121g、ジメチルアクリルアミド(DMA)2.01g、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.0059gを、10.9mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を60℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後の精製を実施例1と同様に行い、ABA型トリブロックコポリマーを得た。
実施例1と同様にして、1H−NMR測定により平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が400のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(400)−AaU(5)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.11であった。
図7に、実施例2で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトル(D2O中)を示す。
図8に、実施例2で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(200)−AaU(5)」の合成>
実施例1で得られたAaU(10)0.240g、ジメチルアクリルアミド(DMA)2.00g、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.012gを、10.9mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を60℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後の精製を実施例1と同様に行い、ABA型トリブロックコポリマーを得た。
実施例1と同様にして、1H−NMR測定により平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が200のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(200)−AaU(5)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.14であった。
図9に、実施例3で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトル(D2O中)を示す。
図10に、実施例3で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(2300)−AaU(5)」の合成>
実施例1で得られたAaU(10)0.0391g、ジメチルアクリルアミド(DMA)2.61g、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.0021gを、13.5mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を60℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後の精製を実施例1と同様に行い、ABA型トリブロックコポリマーを得た。
実施例1と同様にして、1H−NMR測定により平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が2,300のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−DMA(2300)−AaU(5)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.22であった。
図11に、実施例4で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトル(D2O中)を示す。
図12に、実施例4で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(3)−DMA(900)−AaU(3)」の合成>
−AaUの6量体の合成−
合成例1で得られたAaU1.15g、合成例2で得られた連鎖移動剤0.21g、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.084gを、4.5mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後、ヘキサンを添加して分離したメタノール溶液を回収し、これを減圧乾燥させ重合物を得た。
得られた重合物について、重ジメチルスルホキシドを溶媒として1H−NMR測定を行い、連鎖移動剤のメチルピークとAaU由来のメチレンピークの比較によって重合度を計算した。これにより、重合物が、平均重合度が6のAaUの6量体「AaU(6)」であることを確認した。
得られたAaU(6)0.0409g、ジメチルアクリルアミド(DMA)2.13g、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.0196gを、10mLのメタノールに溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を60℃に加熱して4.5時間重合させた。重合後の精製を実施例1と同様に行い、ABA型トリブロックコポリマーを得た。
1H−NMR測定により実施例1と同様にして平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が3、Bブロックの平均重合度が900のABA型トリブロックコポリマー「AaU(3)−DMA(900)−AaU(3)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.10であった。
図13に、実施例5で得られたABA型トリブロックコポリマーの1H−NMRスペクトル(D2O中)を示す。
図14に、実施例5で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−PSSNa(200)−AaU(5)」の合成>
実施例1で得られたAaU(10)0.0717g、p−スチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)1.04g、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.0015gを、7.5mLの水に溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して3時間重合させた。重合後の精製を実施例1と同様に行い、ABA型トリブロックコポリマーを得た。
1H−NMR測定により実施例1と同様にして平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が200のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−PSSNa(200)−AaU(5)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、4.51であった。
図15に、実施例6で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−AMPS(200)−AaU(5)」の合成>
実施例1で得られたAaU(10)0.0717g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)1.04g、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.0015gを、7.5mLの水に溶解し、アルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して3時間重合させた。重合後の精製を実施例1と同様に行い、ABA型トリブロックコポリマーを得た。
1H−NMR測定により実施例1と同様にして平均重合度を計算した。その結果、得られたABA型トリブロックコポリマーは、Aブロックの平均重合度が5、Bブロックの平均重合度が200のABA型トリブロックコポリマー「AaU(5)−AMPS(200)−AaU(5)」であった。
また、リン酸バッファー中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、2.03であった。
図16に、実施例7で得られたABA型トリブロックコポリマーのGPCチャートを示す。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−DMA(200)−AaH(25)」の合成>
−AaHの50量体の合成−
6−アクリルアミドヘキサン酸(東京化成工業株式会社製、AaH)2.011g(10.86mmol)、及びNaHCO30.826g(9.673mmol)を4.3mLの水に溶解し、水溶液を得た。
合成例2で合成した連鎖移動剤S,S−ビス(α,α’ジメチル−α’’−酢酸)トリチオカーボネート61.4mg(0.217mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)30.9mg(0.110mmol)を1.1mLのメタノールに溶解し、メタノール溶液を得た。
前記水溶液と、前記メタノール溶液を混合し、メタノール水溶液を得た。アルゴンで30分間脱気後の前記メタノール水溶液を70℃に加熱して30分間重合させた。重合後、水で6時間透析を行い、凍結乾燥によって重合物を得た。得られた重合物について、重水を溶媒として1H−NMR測定を行い、連鎖移動剤のメチルピークとAaH由来のメチレンピークとの比較によって平均重合度を計算した。これにより、重合物が、平均重合度が50のAaHの50量体「AaH(50)」であることを確認した。
図17に、得られた6−アクリルアミドヘキサン酸の50量体の1H−NMRスペクトルを示す。
図18に、得られた6−アクリルアミドヘキサン酸の50量体のGPCチャートを示す。分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。
前述で得られたAaH(50)0.503g(0.0508mmol)、ジメチルアクリルアミド(DMA)1.001g(10.097mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)2.93mg(0.0105mmol)を10mLの水に溶解して、アルゴンで30分間脱気後、70℃に加熱して60分間重合させた。重合後、水で48時間透析を行い、凍結乾燥によって重合物を得た。得られた重合物について、重水を溶媒として1H−NMR測定を行ったところ、DMAの平均重合度が200のABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−DMA(200)−AaH(25)」であることを確認した。
図19に、得られたABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−DMA(200)−AaH(25)」の1H−NMRスペクトルを示す。
図20に、得られたABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−DMA(200)−AaH(25)」のGPCチャートを示す。分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−PSSNa(200)−AaH(25)」の合成>
AaH(50)0.250g(0.0253mmol)、p−スチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)1.040g(5.045mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)1.45mg(0.00517mmol)を7.5mLの水に溶解して、アルゴンで30分間脱気後、70℃に加熱して180分間重合させた。重合後、水で48時間透析を行い、凍結乾燥によって重合物を得た。得られた重合物について、重水を溶媒として1H−NMR測定を行ったところ、PSSNaの平均重合度が200のABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−PSSNa(200)−AaH(25)」であった。
図21に、得られたABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−PSSNa(200)−AaH(25)」の1H−NMRスペクトルを示す。
図22に、得られたABA型トリブロックコポリマー「AaH(25)−PSSNa(200)−AaH(25)」のGPCチャートを示す。分子量分布(Mw/Mn)は6.47であった。
<<溶液のpHとせん断粘度との関係>>
実施例1〜9で得られたABA型トリブロックコポリマーが5質量%になるように純水に溶解させて水溶液を調製し、その水溶液のpHと、せん断速度が1s−1のときのせん断粘度を測定した。
また、実施例1〜9で得られたABA型トリブロックコポリマーの6質量%水溶液を規定度の異なる塩酸水溶液で1.2倍(質量比)に希釈させることでH+添加濃度を調整した水溶液を調製し、その水溶液に対しても、pHと、せん断速度が1s−1のときのせん断粘度を測定した。
ここでH+添加濃度とは、(添加H+モル数)/(6質量%ポリマー水溶液体積)と定義する。
せん断粘度は、H+添加濃度が0mmol/Lの場合には、ABA型トリブロックコポリマーを純水に溶解させた後、30分間後に測定した。H+添加濃度を調整した水溶液については、塩酸添加後、30分間後に測定した。
測定条件は以下の通りである。結果を表1に示す。
測定装置:Anton Paar社製、Physica MCR−301
ジオメトリー:CP50−1−SN21301(直径50mm,1°コーンプレート、d=0.096mm)
測定モード:Control Rate
せん断速度:1s−1〜1,000s−1
データポイント:13点(対数分割)
測定間隔:10s
測定温度:25℃
また、H+添加濃度を調整した水溶液について、中和によりpHを7.5程度に戻したところ、せん断粘度は、表1中の0mmol/Lの場合とほぼ同じ粘度になり、粘度変化に可逆性があることが確認できた。
P(B)/P(A)が300以上の実施例4では、実施例1〜3よりは粘度変化が小さいものの、3倍〜4倍程度の粘度変化が確認できた。また、P(A)=3の実施例5では、1.5倍〜2倍程度の粘度変化が確認できた。
Mw/Mnが2.00を超えるが2.00に近い実施例7では、80倍の粘度変化が確認できた。一方、Mw/Mnが2.00を大きく超え、4.51である実施例6では、2倍程度の粘度変化が確認できた。
実施例8においてH+添加濃度が20mmol/Lで粘度変化が小さいのは、pH応答を示すAブロックが大きすぎるため、単位ポリマー濃度(この場合、5質量%)で一定の酸添加濃度(この場合、20mmol/L)ではpHが下がりきらず、疎水会合がほとんど起きていないためと考えられる。また、一般式(1)のR2の炭素数が5であり疎水会合力が小さいためと考えられる。
実施例1で合成したABA型トリブロックコポリマーについて、水溶液における濃度を変えて、粘度とpHを測定した結果を表2に示す。
粘度はpH4〜6で顕著な変化が見られた。これは、実施例1で合成したABA型トリブロックコポリマーのカルボン酸のpKaが約5であり、カルボキシルイオンからカルボン酸へのプロトン化、即ち親水性から疎水性への変化によるポリマー分子間の疎水会合によって、水溶液が増粘又はゲル化していることを示している。
実施例1のABA型トリブロックコポリマーを用い、ポリマーの濃度を2質量%に固定して、各種添加剤を加えた時の粘度変化を調べた。
ABA型トリブロックコポリマー含有水溶液について、電解質としての塩化カリウムを、水溶液中の塩化カリウム濃度がそれぞれ0.62質量%、1.26質量%及び2質量%となるように添加したところ、それぞれの水溶液の導電率は1S/m、2S/m及び3S/mになった。その水溶液が6mmol/LのH+添加濃度になるように塩酸水溶液を加えた。その水溶液のせん断粘度は、全てが500mPa・s〜600mPa・sであり、電解質を加えない場合と比較してほとんど粘度は変わらず、増粘に対しては、電解質による影響がほとんどないことが確認できた。
ABA型トリブロックコポリマー含有水溶液について、保湿剤としてのグリセリンを水溶液中のグリセリンの濃度が15質量%となるように添加し、更にその水溶液が6mmol/LのH+添加濃度になるように塩酸水溶液を加えた。その水溶液のせん断粘度は、450mP・sであり、保湿剤を加えない場合と比較して粘度が若干低下したものの、増粘に対しては、保湿剤による影響が小さいことが確認できた。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(10)−DMA(500)−AaU(8)」の合成>
連鎖移動剤2−メチル−2−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸は、市販品(アルドリッチ社製)をそのまま用いた。
合成例1で得られたAaU1.025g(4mmol)、連鎖移動剤2−メチル−2−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸0.146g(0.4mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.045g(0.16mmol)を、4mLのメタノールに溶解してメタノール溶液を得、それをアルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して5時間重合させた。重合後、ヘキサンを添加して分離したメタノール溶液を回収し、これを減圧乾燥させ重合物を得た。
得られた重合物について、重メタノールを溶媒として1H−NMR測定を行い、残存モノマーとAaU由来のメチレンピークの比較から反応率を計算したところ、反応率97%であった。また、連鎖移動剤のメチルピークとAaU由来のメチレンピークとの比較によって平均重合度を計算したところ、平均重合度が約10のAaUの10量体「AaU(10)」であった。
図23に得られた重合物を重メタノールに溶解した溶液の1H−NMRスペクトルを示す。
ジメチルアクリルアミド(DMA)15.7g(158mmol)、前記で得られた重合物AaU(10)0.9245g(0.3168mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.0358g(0.1277mmol)を、79mLのメタノールに溶解して、アルゴンで30分間脱気し、メタノール溶液を得た。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して4時間重合させた。
重合後、メタノール溶液を重水が充填されたキャピラリーとともに1H−NMR測定を行い、DMAの反応率を求めたところ96%であった。また、DMAの平均重合度は約500であり、AaU(10)−DMA(500)(AB型ジブロックコポリマー)メタノール溶液が得られた。
図24に得られた重合物(メタノール溶液中)の1H−NMRスペクトルを示す。
図25に得られた重合物(粉末サンプルを重クロロホルムに溶解させた溶液)の1H−NMRスペクトルを示す。
合成例1で得られたAaU0.129g(0.51mmol)、前記で得られた重合物AaU(10)−DMA(500)2.64g(0.0503mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.0050g(0.0214mmol)を、2mLのメタノールに溶解し、メタノール溶液を得、それをアルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して5時間重合させた。
重合後、12.7mLのメタノールで希釈して、重水が充填されたキャピラリーとともに1H−NMR測定を行い、AaUの反応率を求めたところ80%であった。また、AaUの平均重合度は約8であり、AaU(10)−DMA(500)−AaU(8)のメタノール溶液が得られた。
図26に得られた重合物(メタノール溶液)の1H−NMRスペクトルを示す。
図27に得られた重合物(粉末サンプルを重クロロホルムに溶解させた溶液)の1H−NMRスペクトルを示す。
また、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.5であった。結果を図28に示す。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(10)−DMA(400)−AaU(8)」の合成>
−AaU(10)−DMA(400)の合成−
実施例10で得られたAaU(10)1.0086g(0.3456mmol)、DMA13.7g(138.2mmol)、及び重合開始剤である2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.039g(0.1391mmol)を、69.1mLのメタノールに溶解して、メタノール溶液を得、それをアルゴンで30分間脱気した。脱気後、メタノール溶液を70℃に加熱して4時間重合させた。
重合後、メタノール溶液を重水が充填されたキャピラリーとともに1H−NMR測定を行い、DMAの反応率を求めたところ97%であった。また、DMAの平均重合度は約400であり、AaU(10)−DMA(400)メタノール溶液が得られた。
メタノール溶液について、透析膜(透析膜36/32、製品番号UC 36−32−100、エーディア株式会社製)によって16時間水で透析を行い、粘度の高い白濁液を得た。これを凍結乾燥により水分除去して粉末状のAaU(10)−DMA(400)が得られた。
合成例1で得られたAaU0.17g(0.67mmol)、前記で得られた重合物AaU(10)−DMA(400)2.64g(0.0658mmol)、及び重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.0077g(0.0275mmol)を、2.6mLのメタノールに溶解して、メタノール溶液を得、それをアルゴンで30分間脱気した。脱気後のメタノール溶液を70℃に加熱して5時間重合させた。
重合後、12.7mLのメタノールで希釈して、重水が充填されたキャピラリーとともに1H−NMR測定を行い、AaUの反応率を求めたところ80%であった。また、AaUの平均重合度は約8であり、AaU(10)−DMA(400)−AaU(8)のメタノール溶液が得られた。
メタノール溶液について、透析膜(透析膜36/32、製品番号UC 36−32−100、エーディア株式会社製)によって16時間水で透析を行い、ゼリー状の重合物を得た。これを水酸化ナトリウム水溶液でpH10にして、更に透析を行い、凍結乾燥により水分除去して粉末状のAaU(10)−DMA(400)−AaU(8)が得られた。
また、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行ったところ、分子量分布(Mw/Mn)は、1.5であった。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(10)−DMA(150)−AaU(8)」の合成>
実施例10において、DMAの添加量を調整した以外は、実施例10と同様にして、DMAの平均重合度が約100である、AaU(10)−DMA(100)−AaU(8)を作製した。
<ABA型トリブロックコポリマー「AaU(10)−DMA(3000)−AaU(8)」の合成>
実施例10において、DMAの添加量を調整した以外は、実施例10と同様にして、DMAの平均重合度が約3,000である、AaU(10)−DMA(3000)−AaU(8)を作製した。
実施例1と同様にして、溶液のpHとせん断粘度との関係を評価した。
実施例12においてH+添加濃度が20mmol/Lで粘度変化が小さいのは、P(B)/P(A)が20以下、即ちpH応答を示すAブロックが大きすぎるため、単位ポリマー濃度(この場合、5質量%)で一定の酸添加濃度(この場合、20mmol/L)ではpHが下がりきらず、疎水会合がほとんど起きていないためと考えられる。
実施例13のABA型トリブロックコポリマーAaU(10)−DMA(3000)−AaU(8)は、H+添加濃度が20mmol/Lでは、13倍ほどの粘度変化を示したが、実施例10、11よりは粘度変化が小さかった。これは、P(B)/P(A)が300以上、即ちpH応答を示すAブロックが小さすぎるため、一定の酸添加濃度(この場合、20mmol/L)で十分pHは下がっているが、単位ポリマー濃度(この場合、5質量%)で疎水会合を起こす架橋点が少ないためと考えられる。
<1> 下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有するAブロックと、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有するBブロックとを含有することを特徴とするABA型トリブロックコポリマーである。
<2> 分子量分布が、2.00以下である前記<1>に記載のABA型トリブロックコポリマーである。
<3> 親水性モノマーが、下記一般式(3)で表されるモノマーである前記<1>から<2>のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマーである。
<4> Aブロックの平均重合度〔P(A)〕とBブロックの平均重合度〔P(B)〕とが、下記式(I)及び下記式(II)を満たす前記<1>から<3>のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマーである。
3<P(A)<10 ・・・式(I)
20<P(B)/P(A)<300 ・・・式(II)
<5> 脱離基を1つ有する連鎖移動剤を用いた可逆的付加開裂連鎖移動法によって得られる前記<1>から<4>のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマーである。
<6> 脱離基を2つ有する連鎖移動剤を用いた可逆的付加開裂連鎖移動法によって得られる前記<1>から<4>のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマーである。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマーからなることを特徴とする増粘剤である。
<8> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマー又は前記<7>に記載の増粘剤と、水とを含有することを特徴とする水性組成物である。
<9> 更に、電解質を含有する前記<8>に記載の水性組成物である。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で表されるモノマー及び下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれかを構成単位に有するAブロックと、ラジカル重合性不飽和結合を有する親水性モノマーを構成単位に有するBブロックとを含有し、
前記Aブロックの平均重合度〔P(A)〕と前記Bブロックの平均重合度〔P(B)〕とが、下記式(I)及び下記式(II)を満たすことを特徴とするABA型トリブロックコポリマー。
ただし、前記一般式(1)中、R1は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R2は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、Mは、水素原子及び一価の金属原子のいずれかを表し、X1は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。前記一般式(2)中、R11は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R12は、炭素数5〜18のアルキレン基を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表し、X11は、−NH−及び酸素原子のいずれかを表す。
3<P(A)<10 ・・・式(I)
20<P(B)/P(A)<300 ・・・式(II) - 分子量分布が、2.00以下である請求項1に記載のABA型トリブロックコポリマー。
- 前記親水性モノマーが、下記一般式(3)で表されるモノマーである請求項1から2のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマー。
ただし、前記一般式(3)中、R21は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及びエチル基のいずれかを表す。 - 請求項1から3のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマーからなることを特徴とする増粘剤。
- 請求項1から3のいずれかに記載のABA型トリブロックコポリマー又は請求項4に記載の増粘剤と、水とを含有することを特徴とする水性組成物。
- 更に、電解質を含有する請求項5に記載の水性組成物。
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