JP6217088B2 - 滑り支承装置 - Google Patents

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本発明は、滑り支承装置に関し、さらに詳しくは、滑り面での円滑なすべり移動を長期にわたって維持することができる滑り支承装置に関するものである。
橋桁等の上部構造物と橋脚等の下部構造物との間に配置されて、上部構造物の伸縮や揺れを吸収する滑り支承装置が知られている。滑り支承装置は滑り面を有していて、上部構造物が外気温の影響により伸縮した場合や地震により揺れた場合などに、滑り面ですべる構造になっている。滑り面に埃や石、コンクリート片などの異物が介在すると、円滑なすべり移動が確保できなくなり、上述した伸縮や揺れを十分に吸収することができなくなる。
従来、滑り面に水分や埃が付着するのを防止するためにカバーを設けることが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1、2で提案されているカバーは、滑り面の上に載置されて上部構造物とともに移動する。この移動の際に、カバーが滑り面の上の水分や汚れを拭き取る構造になっている。このカバーは滑り面に当接するため経時的に摩耗し、摩耗カスが滑り面の上に残留して異物になる可能性があるので、滑り面での円滑なすべり移動を長期にわたって確保するには不利である。また、滑り面での円滑なすべり移動を確保するために、このカバーには、支承体のすべり移動の障害にならないように優れたすべり性が要求される。
特開2002−285733号公報 特開2011−231459号公報
本発明の目的は、滑り面での円滑なすべり移動を長期にわたって維持することができる滑り支承装置を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の滑り支承装置は、上部構造物の下面に固設されるソールプレートの下面に固定されるスライディングプレートと、下部構造物の上面に固設されるベースプレートの上面に固定されて、このベースプレートと前記スライディングプレートとの間に設置される支承体とを有し、前記スライディングプレートが前記支承体の上端部材である上沓の上面に対してすべり移動可能に載置された滑り支承装置において、前記スライディングプレートが周縁部に下方に突出した環状の周壁を有し、前記支承体の外周面と前記周壁の内周面との間を塞ぐ可撓性カバー部材を設け、前記周壁の内側にある前記スライディングプレートの底面と前記可撓性カバー部材の上面との間に空洞となるすき間を設けた状態にして、前記可撓性カバー部材を設けない場合に対して、前記可撓性カバー部材を設けることにより前記スライディングプレートをすべり移動させるために必要な力の増加割合を10%以下にして、前記上部構造物が水平力を受けて前記スライディングプレートがすべり移動する際の滑動摩擦により前記水平力が減衰される構成にしたことを特徴とする。
本発明によれば、上沓の上面に対してすべり移動可能に載置されたスライディングプレートが、周縁部に下方に突出した環状の周壁を有して、前記支承体の外周面と前記周壁の内周面との間を塞ぐ可撓性カバー部材を設けたので、滑り面となるスライディングプレートの底面および上沓の上面は、可撓性カバー部材によって外部とは遮断される。そのため、滑り面に埃や石、コンクリート片などの異物が外部から侵入することが防止される。また、実質的に可撓性カバー部材が滑り面に接触して摩耗することがなく、摩耗したとしても摩耗カスは下方に落下するので滑り面に残留することはない。したがって、滑り面での円滑なすべりを長期にわたって維持することが可能になる。
ここで、前記スライディングプレートの底面と前記可撓性カバー部材の上面との間に空洞となるすき間を設けた仕様にする。この仕様によれば、可撓性カバー部材と滑り面とが完全に非接触になるので、円滑なすべりを長期にわたって維持するには益々有利になる。
前記可撓性カバー部材としては、例えば、可撓性材料を発泡させた部材や、膜材を蛇腹状に形成した部材を用いることができる。
前記周壁が、前記支承体の厚さ方向中心と前記支承体の下端部材である下沓の上面との間まで延びている仕様にすることもできる。この仕様によれば、上部構造物に上揚力が作用した際に、周壁を、スライディングプレートが支承体から外れるのを防止する外れ防止部材として機能させることができる。
本発明の滑り支承装置の設置状態を例示する断面図である。 図1の滑り支承装置を例示する平面図である。 図2のA−A断面図である。 図3の上部構造物がすべり移動した際の滑り支承装置の状態を断面視で例示する説明図である。 滑り支承装置の別の実施形態を例示する断面図である。
以下、本発明の滑り支承装置を、図に示した実施形態に基づいて説明する。尚、図面では、橋軸方向をX方向で示し、橋軸直角方向をY方向で示している。
図1〜図3に例示する本発明の実施形態の滑り支承装置1は、橋桁等の上部構造物11を支持する橋脚等の下部構造物12に設置される。下部構造物12の上面には、アンカー13および固定ナット14によりベースプレート10が固設されている。上部構造物11の下面には、ボルト等によりソールプレート9が固設されている。
滑り支承装置1は、スライディングプレート7と支承体2と可撓性カバー部材8とを備えている。スライディングプレート7は、ソールプレート9の下面にボルト等により固設されている。支承体2は、ベースプレート10の上面に設置されている。
この実施形態の支承体2は、ゴム層3と鋼板4とが交互に積層されたゴム積層体2aと、このゴム積層体2aの上面に固定された金属板の上沓5と、ゴム積層体2aの下面に固定された金属板の下沓6とで構成されている。鋼板4、上沓5および下沓6は隣接するゴム層3と加硫接着されて一体化している。下沓6はボルト等によりベースプレート10に固設されている。
上沓5は、その上面が滑り材5aで形成されている。滑り材5aとしては、例えば、ステンレス鋼(SUS316等)や一般炭素鋼などの金属が用いられる。この滑り材5aには、スライディングプレート7がすべり移動可能に載置されている。
スライディングプレート7は、金属製の円盤の周縁部に下方に突出した環状の周壁7aを有している。この周壁7aに囲まれた内側の底面は滑り材7bで形成されている。滑り材7bとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの低摩擦樹脂や二硫化モリブデン焼付け材等を例示できる。即ち、上沓5の上面となる滑り材5aとスライディングプレート7の底面となる滑り材7bとが当接して、スライディングプレート7が滑り材5aに対して円滑にすべり移動できる構造になっている。尚、一方の滑り材5aにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの低摩擦樹脂や二硫化モリブデン焼付け材を採用し、他方の滑り材7bにステンレス鋼(SUS316等)や一般炭素鋼などの金属を採用することもできる。
この実施形態ではゴム積層体2a、上沓5および下沓6は円柱状であるが、例えば、四角柱状等の多角柱状を採用することもできる。また、スライディングプレート7は円形に限らず、四角形等の多角形を採用することもできる。周壁7aは円環状に限らず、四角環状等の多角環状を採用することもできる。周壁7aは、ゴム積層体2aや上沓5の形状に合わせた形状が好ましく、ゴム積層体2aや上沓5が円柱状であれば周壁7aは円環状にするとよく、ゴム積層体2aや上沓5が四角柱状であれば周壁7aは四角環状にするとよい。
支承体2の外周面と、スライディングプレート7の周壁7aの内周面との間には、スライディングプレート7のすべり移動を確保するためのスペースが設けられるが、本発明では、支承体2の外周面(上沓5とゴム積層体2aの少なくとも一方の外周面)と、スライディングプレート7の周壁7aの内周面との間を塞ぐ可撓性カバー部材8が設けられている。即ち、可撓性カバー部材8によって、上沓5の外周面と周壁7aの内周面との間、ゴム積層体2aの外周面と周壁7aの内周面との間、或いは、上沓5およびゴム積層体2aの外周面と周壁7aの内周面との間が塞がれる。
この実施形態では、可撓性カバー部材8として、ポリウレタンフォームやポチエチレンフォームの軟質樹脂発泡材やゴム発泡材など、可撓性材料を発泡させた部材が用いられている。さらに、この実施形態では、スライディングプレート7の底面(滑り材7b)と可撓性カバー部材8の上面との間にすき間Sが設けられている。
図4に例示するように、上部構造物11が外気温の上昇により膨張した場合や外気温の低下により収縮した場合は、ソールプレート9およびスライディングプレート7は、上部構造物11と同調して移動する。即ち、スライディングプレート7は、上沓5の滑り材5aの上をすべり移動する。このすべり移動に伴ってすべり移動方向側に存在する可撓性カバー部材8は引張られ、すべり移動方向反対側に存在する可撓性カバー部材8は圧縮される。
このように、この滑り支承装置1では、上部構造物11が橋軸方向Xの水平力を受けると、スライディングプレート7が上沓5の上面(滑り材5a)を橋軸方向Xにすべり移動し、その際の滑り材5a、7bどうしの滑動摩擦により橋軸方向Xの水平力が減衰される。上部構造物11が橋軸直角方向Yの水平力を受けると、スライディングプレート7が上沓5の上面(滑り材5a)を橋軸直角方向Yにすべり移動し、その際の滑り材5a、7bどうしの滑動摩擦により橋軸直角方向Yの水平力が減衰される。
スライディングプレート7のすべり移動量が過大になって周壁7aが上沓5の側面に当接すると、ゴム積層体2aがせん断変形する。そのため、過大な水平力が作用してもゴム積層体2aは損傷することなく上部構造物11の荷重を安定して支持する。
可撓性カバー部材8は容易に変形するので、変形させるために大きな力は必要ない。例えば、可撓性カバー部材8を設けない場合に対して、可撓性カバー部材8を設けることによりスライディングプレート7をすべり移動させるために必要な力の増加割合は10%以下、さらに好ましくは5%以下である。したがって、スライディングプレート7の円滑なすべり移動を妨げることがない。
そして、滑り面となるスライディングプレート7の底面(滑り材7b)および上沓5の上面(滑り材5a)は、可撓性カバー部材8によって外部とは遮断される。そのため、滑り面に埃や石、コンクリート片などの異物が外部から侵入することが防止される。また、可撓性カバー部材8が実質的に滑り面に接触して摩耗することがなく、摩耗したとしてもその摩耗カスは下方に落下するので滑り面に残留することはない。したがって、滑り面での円滑なすべりを長期にわたって維持することができる。
可撓性カバー部材8は、上沓5およびゴム積層体2aの外周面と周壁7aの内周面との間をすべて塞ぐように充填することもできるが、本発明では、この実施形態のように、スライディングプレート7の底面(滑り材7b)と可撓性カバー部材8の上面との間にすき間Sを設けた仕様にして、可撓性カバー部材8と滑り面と完全に非接触にする。それ故、スライディングプレート7の円滑なすべりを長期にわたって維持するには益々有利になる。
上部構造物11に上揚力が作用した際に、スライディングプレート7がゴム積層体2aから分離して外れる可能性を考慮すると、周壁7aは下方に長く延ばすことが好ましい。そこで、例えば、周壁7aを支承体2の厚さ方向中心と下沓6の上面との間まで延ばした仕様にする。この仕様にすると、周壁7aを、スライディングプレート7がゴム積層体2aから外れるのを防止する外れ防止部材として有効に機能させることができる。
図5に例示するように、可撓性カバー部材8としては膜材8bを蛇腹状に形成した部材を用いることができる。この実施形態では、可撓性カバー部材8は、複数の環状の芯材8が同心円状に配置されて、これら芯材8aがゴムや樹脂で形成された膜材8bと一体化されることにより、可撓性カバー部材8が構成されている。膜材8bは、隣り合う芯材8aの間でたるみを有していて、蛇腹状に形成されている。
尚、本発明は、上端部材である上沓5と下端部材である下沓6との間にゴム積層体2aを備えた支承体2に限らず、その他の支承体2を用いることもできる。例えば、支承板支承などの鋼製支承を用いることもできる。
1 滑り支承装置
2 支承体
2a ゴム積層体
3 ゴム層
4 鋼板
5 上沓
5a 滑り材
6 下沓
7 スライディングプレート
7a 周壁
7b 滑り材
8 可撓性カバー部材
8a 芯材
8b 膜材
9 ソールプレート
10 ベースプレート
11 上部構造物
12 下部構造物
13 アンカー
14 固定部材

Claims (5)

  1. 上部構造物の下面に固設されるソールプレートの下面に固定されるスライディングプレートと、下部構造物の上面に固設されるベースプレートの上面に固定されて、このベースプレートと前記スライディングプレートとの間に設置される支承体とを有し、前記スライディングプレートが前記支承体の上端部材である上沓の上面に対してすべり移動可能に載置された滑り支承装置において、
    前記スライディングプレートが周縁部に下方に突出した環状の周壁を有し、前記支承体の外周面と前記周壁の内周面との間を塞ぐ可撓性カバー部材を設け、前記周壁の内側にある前記スライディングプレートの底面と前記可撓性カバー部材の上面との間に空洞となるすき間を設けた状態にして、前記可撓性カバー部材を設けない場合に対して、前記可撓性カバー部材を設けることにより前記スライディングプレートをすべり移動させるために必要な力の増加割合を10%以下にして、前記上部構造物が水平力を受けて前記スライディングプレートがすべり移動する際の滑動摩擦により前記水平力が減衰される構成にしたことを特徴とする滑り支承装置。
  2. 前記可撓性カバー部材が、可撓性材料を発泡させた部材である請求項1に記載の滑り支承装置。
  3. 前記可撓性カバー部材が、膜材を蛇腹状に形成した部材である請求項1に記載の滑り支承装置。
  4. 前記可撓性カバー部材が、同心状に配置された複数の環状の芯材とゴムまたは樹脂で形成された前記膜材とを一体化させて、前記膜材を隣り合う前記芯材の間でたるみを有する状態にして形成されている請求項3に記載の滑り支承装置。
  5. 前記周壁が、前記支承体の厚さ方向中心と前記支承体の下端部材である下沓の上面との間まで延びている請求項1〜4のいずれかに記載の滑り支承装置。
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