JP6233401B2 - 有機発光素子の製造方法 - Google Patents
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Description
有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)を利用した有機発光素子(いわゆる有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有している。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として近年注目されている。
有機発光素子は、低電力で高い輝度を得ることができ、視認性、応答速度、寿命、消費電力の点で優れている。一方、有機発光素子の光の利用効率は20%程度であり、素子内での損失が大きいという問題も有している。
有機発光素子100は、図中の下層から順に、金属電極101、屈折率が約1.8の有機発光層102、屈折率が約1.8の透明電極103、屈折率が約1.5の透明基板104が積層されて構成されている。図中の符号110a〜110eの矢印は有機発光層102から発生した光のうち特徴的なものを示している。
光110aは、発光面である有機発光層102に対して垂直方向の光であり、透明基板104を透過して光取り出し側(空気側)に取り出される。
光110bは、透明基板104と空気との界面に臨界角以下の浅い角度で入射した光であり、透明基板104と空気との界面で屈折して光取り出し側に取り出される。
光110cは、透明基板104と空気との界面に臨界角より深い角度で入射した光であり、透明基板104と空気との界面で全反射して光取り出し側に取り出せない光である。これによる損失を「基板損失」と呼び、通常20%程度の損失がある。
光110dは、透明電極103と透明基板104との界面に臨界角より深い角度で入射した光のうち共振条件を満たした光であり、透明電極103と透明基板104との界面で全反射して導波モードが発生し、有機発光層102及び透明電極103内に閉じ込められる光である。これによる損失を「導波損失」と呼び、通常20〜25%程度の損失がある。
光110eは、金属電極101へ入射して金属電極101内の自由電子と作用し、導波モードの一種であるプラズモンモードが発生して金属電極101の表面近傍に閉じ込められる光である。これによる損失を「プラズモン損失」と呼び、通常30〜40%程度の損失がある。
例えば、特許文献1には、光取り出し面側にレンズシートからなる光散乱部を設けた有機EL(Electro Luminescence)装置が開示されている。
また、特許文献2には、少なくとも一方の基板表面に、屈折率が1.6以上で、表面の平均粗さが10nm以上である高屈折率凸凹層と、一層以上の、屈折率が1.55以上の基材層からなる、発光装置の発光面側に使用される発光装置用基板及び発光装置が開示されている。
しかし、かかる透明基板は耐熱性が低いため、その技術難易度が大きいのが現状である。最近有機発光素子の発光効率や耐久性向上の観点で注目を集めている内部光取り出し(導波モード光)構造に対しても、PETフィルムのような耐熱性の低い可撓性の透明基板で良好な性能を達成できる素材開発・プロセス開発が必要とされている。
特に本発明に係る有機発光素子の製造方法では、一定の組成を有する内部光取り出し層(光散乱層及び平滑層)を本発明のプロセスにより形成することにより本発明の目的が達成され、本発明のプロセスを、本発明者らは光散乱層・平滑層の低温高速生産プロセス手段と位置付け鋭意検討したところ、本発明の処方、特にヒドロキシ基(−OH基)含有溶媒を用いたインク処方に、赤外線照射による乾燥プロセス工程を組み合わせることにより、従来の熱乾燥プロセスに対し、有意に光取り出し効率・耐久性が向上することを見出した。
作用メカニズムは解明できていないが、ヒドロキシ基含有溶媒と光散乱粒子・バインダーとの相溶性・混和性が非常に良好と想定しており、加えて赤外線照射による乾燥での溶媒揮発は伝熱乾燥時の対流揮発現象とは異なる速度で、赤外線吸収−瞬間気化蒸発していると想定され、光散乱層・平滑層中のミクロな層質、例えば結晶性や層密度の向上に寄与し光取り出し効率が向上しているものと推定される。
この短波長光(紫外線又は電子線)硬化のメカニズムに関しても解明できていないが、バインダーネットワークに取り込まれた高屈折率粒子間の距離を硬化収縮等の作用によりÅオーダーで接近させる効果で層密度が向上している可能性があると考えている。
さらに好ましいエキシマー光源での光照射に関しては、高E(エネルギー)線特有のその反応効率の高さ、着色成分の脱色等の作用も見られ、複雑多岐にわたる反応により、光散乱層・平滑層の性能向上に寄与すると考えられる。
これらを組み合わせることで、フレキシブル基板上に内部散乱型光取り出し層を設けた高効率OLED(有機発光素子)を実証し本発明に至ったものである。
前記透明基板上に前記内部光取り出し層を形成する工程と、
前記内部光取り出し層上に前記透明金属電極を形成する工程とを備え、
前記内部光取り出し層を形成する工程では、
平均粒径が0.2μm以上1μm未満でかつ屈折率が1.7以上3.0未満の光散乱粒子と、ヒドロキシ基を有する溶媒とを含む塗布液を、前記透明基板上に塗布・パターニングする工程と、
波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を、塗布・パターニング後の前記塗布液に照射し乾燥させる工程とを、
有することを特徴とする有機発光素子の製造方法。
前記内部光取り出し層を形成する工程では、
紫外線又は電子線を照射して乾燥後の前記塗布液を硬化させる工程を有することを特徴とする有機発光素子の製造方法。
前記塗布液を硬化させる工程では、
前記紫外線として波長が150nm以上230nm以下のエキシマー光を照射することを特徴とする有機発光素子の製造方法。
前記塗布液を塗布・パターニングする工程では、
前記塗布液をインクジェット方式により塗布・パターニングすることを特徴とする有機発光素子の製造方法。
前記透明金属電極上に有機機能層を形成する工程を備え、
前記有機機能層を形成する工程では、
平面視したときに、前記有機機能層を、前記内部光取り出し層と重なる位置に形成することを特徴とする有機発光素子の製造方法。
前記内部光取り出し層を形成する工程では、
ロール・トゥ・ロール方式により、元巻きロールに巻かれた前記透明基板を巻取りロールで巻き取り、その巻取り搬送の途中で、前記透明基板上に前記内部光取り出し層を形成することを特徴とする有機発光素子の製造方法。
前記内部光取り出し層は、前記透明基板上に形成される、光散乱層と平滑層とを、この順に有しており、
前記内部光取り出し層は(i)屈折率が1.7以上2.5未満であり、(ii)波長450〜700nmの範囲内の光に対する吸収率が15%未満であり、(iii)ヘイズ値が30%以上であることを特徴とする有機発光素子の製造方法。
前記透明基板は、可撓性を有する透明基材と、屈折率が1.4以上1.7以下の1層以上のバリア層とを、有していることを特徴とする有機発光素子の製造方法。
前記光散乱層の層厚をTと、前記光散乱層に含有される光散乱粒子の平均粒径をDとしたとき、T/Dの値が0.75以上3.0以下であることを特徴とする有機発光素子の製造方法。
前記光散乱層に含有される光散乱粒子の前記光散乱層における面内占有率が30%以上であることを特徴とする有機発光素子の製造方法。
前記透明基板上に前記内部光取り出し層を形成する工程と、
前記内部光取り出し層上に前記透明金属電極を形成する工程とを備え、
前記内部光取り出し層を形成する工程では、
平均粒径が0.2μm以上1μm未満でかつ屈折率が1.7以上3.0未満の光散乱粒子と、ヒドロキシ基を有する溶媒とを含む塗布液を、前記透明基板上に塗布・パターニングする工程と、
波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を、塗布・パターニング後の前記塗布液に照射し乾燥させる工程とを、
有することを特徴としている。
かかる製造方法によれば、有機発光素子の発光効率や耐久性を向上させながら有機発光素子の大量生産を実現することができる。
紫外線又は電子線を照射して乾燥後の前記塗布液を硬化させる工程を有することが好ましい。
これにより、内部光取り出し層の層密度が向上すると考えられ、光取り出し効率・耐久性を向上させることができる。
前記塗布液を硬化させる工程では、
前記紫外線として波長が150nm以上230nm以下のエキシマー光を照射することが好ましい。
版を使用する印刷方式よりも版を使用しなくても済むという観点で、
前記塗布液をインクジェット方式により塗布・パターニングすることが好ましい。
前記透明金属電極上に有機機能層を形成する工程を備え、
前記有機機能層を形成する工程では、
平面視したときに、前記有機機能層を、前記内部光取り出し層と重なる位置に形成することが好ましい。
これにより、有機機能層で生じた発光光を内部光取り出し層で有効に取り出すことができる。
ロール・トゥ・ロール方式により、元巻きロールに巻かれた前記透明基板を巻取りロールで巻き取り、その巻取り搬送の途中で、前記透明基板上に前記内部光取り出し層を形成することが好ましい。
これにより、有機発光素子を大量生産することができる。
なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
図1に示すとおり、本発明に係る有機発光素子10は、透明基板13上に設けられており、透明基板13側から順に、内部光取り出し層2、透明金属電極1、有機材料等を用いて構成された発光機能層3、及び対向電極5aをこの順に積層して構成されている。透明金属電極1(電極層1b)の端部には、取り出し電極16が設けられている。透明金属電極1と外部電源(図示略)とは、取り出し電極16を介して、電気的に接続される。有機発光素子10は、発生させた光(発光光h)を、少なくとも透明基板13側から取り出すように構成されている。
透明基板は基本的に、支持体としての透明基材と、屈折率が1.4以上1.7以下の1層以上のバリア層とで、構成されていることが好ましい。
(1)透明基材
本発明の透明基材は、従来公知のガラス基材/フィルム基材を特に制限なく使用でき、本発明の光散乱層/平滑層の構造は当然基材にかかわらず作用するものである。本発明で好ましく用いられる透明基材は、有機発光素子に必要な耐湿性/耐気体透過性等のガスバリア性能を有することが好ましく、フィルム基材においては、バリア性能向上の層を設けることが好ましい。
本発明の「透明基材」とは、透過率70%以上の基材をいい、その透過率が好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
本発明の「透明基材」は可撓性を有するのが好ましい。ここでいう「可撓性」とは、φ(直径)50mmロールに巻き付け、一定の張力で巻取る前後で割れ等が生じることの無い基材をいい、より好ましくはφ30mmロールに巻き付け可能な基材をいう。
中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムがより好ましい。
更に熱膨張時の収縮を最大限抑えるため、熱アニール等の処理を行った低熱収処理品が最も好ましい。
(2.1)特性及び形成方法
本発明の透明基材がフィルム基材である場合には、屈折率が1.4以上1.7以内の1層以上のバリア層(低屈折率層)を設けることが重要である。このようなバリア層としては、公知の素材を特に制限なく使用できるが、例えば以下のような素材を好ましく使用できる。
具体例としては、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗布厚さは、乾燥後の厚さが好ましくは1nm〜10μm程度、さらに好ましくは10nm〜10μm程度、最も好ましくは30nm〜1μm程度となるように設定され得る。
本発明に用いられる無機前駆体化合物とは、特定の雰囲気下で真空紫外線照射によって金属酸化物や金属窒化物や金属酸化窒化物を形成しうる化合物であれば特に限定されないが、本発明の製造方法に適する化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
本発明で用いられるポリシロキサンとしては、一般構造単位としての〔R3SiO1/2〕、〔R2SiO〕、〔RSiO3/2〕、及び〔SiO2〕を含むことができる。ここでRは、水素原子、1〜20の炭素原子を含むアルキル基の例えばメチル、エチル及びプロピルなど、アリール基の例えばフェニル、不飽和アルキル基の例えばビニルからなる群より独立して選択される。特定のポリシロキサン基の例には、〔PhSiO3/2〕、〔MeSiO3/2〕、〔HSiO3/2〕、〔MePhSiO〕、〔Ph2SiO〕、〔PhViSiO〕、〔ViSiO3/2〕、〔MeHSiO〕、〔MeViSiO〕、〔Me2SiO〕及び〔Me3SiO1/2〕などが挙げられる。また、ポリシロキサンの混合物やコポリマーも使用可能である。
本発明においては、上述のポリシロキサンの中でもポリシルセスキオキサンを用いることが好ましい。ポリシルセスキオキサンはシルセスキオキサンを構造単位に含む化合物である。「シルセスキオキサン」とは、[RSiO3/2]で表される化合物であり、通常、RSiX3(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラアルキル基等であり、Xは、ハロゲン及びアルコキシ基等である)型化合物が加水分解−重縮合して合成されるポリシロキサンである。シスセスオキサンの分子配列の形状としては、代表的には無定形構造、ラダー状構造、籠型構造又はその部分開裂構造体(籠型構造からケイ素原子が一原子欠けた構造や籠状構造の一部ケイ素−酸素結合が切断された構造)等が知られている。
本発明で用いられるポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO2、Si3N4及び両方の中間固溶体SiOxNy(x:0.1〜1.9、y:0.1〜1.3)等の無機前駆体ポリマーである。
−[Si(R1)(R2)−N(R3)]−
式中、R1、R2、R3は、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
本発明に係るポリシロキサザンは、主たる繰り返し単位が−[(SiH2)n(NH)r]−と−[(SiH2)mO]−(式中n、m、rは1、2又は3)で示される化合物である。
本発明に係る無機前駆体を含有する溶液(塗布液ともいう)中には、必要に応じて、触媒を添加することができる。
(1)構成及び特性
内部光取り出し層2は、透明基板13と透明金属電極1との間に配設されており、透明基板13側から順に、光散乱層2aと平滑層2bとが積層され、構成されている。
内部光取り出し層2の波長550nmにおける屈折率は、1.7以上2.5未満の範囲内である。
有機発光素子の発光層内に閉じ込められる導波モード光や陰極から反射されるプラズモンモード光は特異な光学モードの光であり、これらの光を取り出すためには少なくとも1.7以上の屈折率が必要である。一方、最も高次側のモードであっても屈折率2.5以上の領域の光はほぼ存在せず、これ以上の屈折率としても取り出せる光の量が増えることはない。
実際には、光散乱層2a及び平滑層2bの屈折率が、それぞれ1.7以上2.5未満の範囲内であることが好ましいが、各層の屈折率を個別に測定することは困難である場合が多いことから、内部光取り出し層2全体として、屈折率が上記範囲を満たしていればよい。
なお、屈折率の測定は、25℃の雰囲気下で発光ユニットからの発光光の発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGA社製、DR−M2)を用いて行う(光散乱層及び平滑層の屈折率の測定も同様である。)。
なお、ヘイズ値とは、(i)層中の組成物の屈折率差による影響と、(ii)表面形状による影響とを受けて算出される物性値である。本発明においては、光散乱層2a上に平滑層2bを積層した内部光取り出し層2としてのヘイズ値を測定する。すなわち、表面粗さを一定程度未満に抑えてヘイズ値を測定することにより、上記(ii)による影響を排除したヘイズ値が測定されることとなる。
内部光取り出し層2の透過率は高い方が好ましいが、実際上は80%未満の数値にとどまると想定される。内部光取り出し層2の透過率は、より好ましくは85%未満であり、特に好ましくは90%未満である。
(2.1)屈折率
光散乱層2aは、屈折率が1.7以上3.0未満の範囲内である高屈折率層であることが好ましい。この場合、光散乱層2aは、屈折率1.7以上3.0未満を有する単独の素材で層を形成してもよいし、2種類以上の化合物と混合して屈折率1.7以上3.0未満の層を形成してもよい。このような混合系の場合、光散乱層2aの屈折率は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率でも代用可能である。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.7未満若しくは3.0以上であってもよく、混合した層の屈折率として1.7以上3.0未満を満たしていればよい。
光散乱層2aは、層媒体と該層媒体に含有される光散乱粒子とから構成されている。
層媒体である後述の樹脂材料(モノマー又はバインダー)と含有される光散乱粒子との屈折率差は、0.03以上であり、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。層媒体と光散乱粒子との屈折率差が0.03以上であれば、層媒体と光散乱粒子との界面で散乱効果が発生する。屈折率差が大きいほど、界面での屈折が大きくなり、散乱効果が向上するため好ましい。
光散乱層2aは、上記のように、層媒体と光散乱粒子との屈折率の違いにより光を散乱させる層である。そのため、含有される光散乱粒子としては、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の粒径を有する透明な粒子であることが好ましく、その平均粒径は0.2μm以上である。
一方、平均粒径の上限としては、粒径がより大きい場合、光散乱粒子を含有した光散乱層2aの粗さを平坦化する平滑層2bの層厚も厚くする必要があり、工程の負荷、層の吸収の観点で不利な点があることから、1μm未満である。
ここで、高屈折率粒子(光散乱粒子)の平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真(TEM断面)の画像処理により測定することができる。
光散乱粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよいが、中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。
一方で、高屈折率粒子の屈折率の上限は3.0未満である。バインダーとの屈折率差が大きければ十分な散乱量を得ることができ、光取り出し効率の向上効果が得られる。
光散乱層の層厚をTと、光散乱層に含有される光散乱粒子の平均粒径をDとしたとき、T/Dの値が0.75以上3.0以下であることが好ましく、より好ましくは1.0以上2.5以下であり、さらに好ましくは1.25以上2.0以下である。
図2〜図6は光散乱層(大粒子部)と平滑層との積層体の断面の顕微鏡写真であって、光散乱層(大粒子部)の層厚と光散乱粒子の平均粒径との関係の一例を示すものである。
T/Dの値が0.75未満であると、光散乱粒子に光が衝突する確率が低くなり好ましくなく(図2参照)、T/Dの値が3.0を超えると、光散乱粒子による吸収が大きくなり、光の吸収損が大きく好ましくない(図3参照)。これに対し、T/Dの値が0.75以上3.0以下であって、その値が良好であるときは、図4〜図6のような形態を有している。
光散乱層に含有される光散乱粒子の当該光散乱層における面内占有率は30%以上であり、より好ましくは50%以上であり、特に好ましくは70%以上である。
「光散乱粒子の光散乱層における面内占有率」とは、光散乱層を平面視してこれを透視したときに、その面内における光散乱粒子の面積占有率をいう。
図7〜図10は光散乱層を平面視・透視した状態を示す顕微鏡写真であって、面内占有率を変動させたときの状態を示すものである。
面内占有率が30%未満であると、光散乱粒子間の空隙が多く図7のような形態を有する。これに対し、面内占有率が30%であると図8のような形態を、面内占有率が50%であると図9のような形態を、面内占有率が70%以上であると図10のような形態をそれぞれ有しており、光散乱層における光の散乱が最適なものとなる。
本発明に係る平滑層2bは、屈折率が1.7以上2.5未満の高屈折率層であることが好ましい。屈折率が1.7以上2.5未満であれば、単独の素材で形成されていてもよいし、混合物で形成されていてもよい。混合物で形成する際の屈折率の考え方は、上記光散乱層2aの場合と同様である。
なお、ここでいう「平均面粗さRa」とは、JIS B0601−2001に準拠した算術平均粗さを表している。
かかる平均面粗さRaは、原子間力顕微鏡法(Atomic Force Microscopy;AFM)を用い、極小の先端半径の触針をもつ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が10μmの区間内を3回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求める。
平滑層2bに含有される高屈折材料としては、微粒子ゾルが好ましく、特に金属酸化物微粒子ゾルが好ましい。
上記の光散乱層と平滑層とを積層した内部光取り出し層は、屈折率が1.7以上2.5未満である。
内部光取り出し層は波長450〜700nmの範囲内の光に対する吸収率が15%未満であることが好ましく、より好ましくは12%未満、更に好ましくは10%未満、特に好ましくは8%未満である。吸収率が15%未満であると、発光効率の観点で好ましい。吸収率は少ない側に制約は無く、工業上使用可能な範囲で透明性の高い素材を適時使用することが好ましい。
また波長450〜700nmの範囲内の光に対する吸収率は、各波長の吸収最大値(max値)と吸収最小値(min値)の変動が小さい方が好ましく、min値/max値の比が0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.7以上であることが更に好ましく、0.8以上で特に好ましい。min値/max値の比が0.5以上であると、内部光取り出し層が着色し、有機発光素子本来の発光スペクトルと異なる発色となり、極端には白色の光を取り出すことができなくなる、といった現象を回避することができる。min値/max値の比は1であることが理想であり、1に近い程好ましいが、工業上使用可能な範囲で可視光透明性の素材を適時使用することが好ましい。
上記のようにして形成される光散乱層/平滑層の積層体としての内部光取り出し層において、ヘイズ値が30%以上90%未満であることが好ましい。かかるヘイズ値はより好ましくは35%以上85%未満、更に好ましくは40%以上80%未満、特に好ましくは45%以上75%未満である。上記のヘイズ値は、表面形状に拠っても変動するものであり、ここでいう「ヘイズ値」は、AFM(原子間力顕微鏡)で測定される1μmのRaが5nm未満の層に対して測定した値である。
(1)製造装置
図12に示すとおり、製造装置200は、いわゆるロール・トゥ・ロール方式により、ロール状に巻かれた透明基板を、元巻きロール202から巻取りロール204で巻き取り、その巻取り搬送の途中で、透明基板上に内部光取り出し層を形成する装置である。
製造装置200は主に搬送部210、IJ塗布部220、IR乾燥部230、光硬化部240、IJ塗布部250、IR乾燥部260、光硬化部270、搬送部280から構成されている。
搬送部210にはアキュムレーターを設置することが可能である。搬送部210にアキュムレーターを設置した場合には、連続搬送、間欠搬送の選択が可能となり、搬送部210にアキュムレーターを設置することは好ましい態様である。
赤外線ヒーター20は、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する機能を有している。詳しくは、フィルター26,28自体は、波長3.5μm以上の赤外線を吸収するため、フィラメント22により加熱され高温となって自身が赤外線の放射体となり、フィラメント22が発する赤外線より、長波長の赤外線を放射する。しかし、赤外線ヒーター20では、フィルター26,28の間の中空部30で冷媒(例えば冷却空気)が流通するようになっており、その冷却機能によりフィルター26,28の表面温度を低下させ、フィルター26,28が発する2次放射を抑制することができるようになっている。その結果、波長3.5μm以上の赤外線放射が減少し、主に透明基板に吸収領域のある波長5.8μm以上の遠赤外線放射を大幅に低減することができる。そして、被乾燥物には、ヒドロキシ基を含有する溶媒の吸収領域である波長3.0μmの赤外線を選択的に照射することで、透明基板を変形させること無く塗布液を乾燥させることができる。
冷却機能としては、上記のとおり、フィルターを中空で二重又は多重積層し、フィルター間の中空部分に空気を流すことで冷却できる。
フィルター26,28の形状は、上記のとおり、円柱状のフィラメント22全体を同心円状に覆ってもよいし、図14に示すとおり、フィラメント22(及び保護管24)の3方向を反射板32で被覆し、赤外線の放射面側にフィルター26,28を平行板状に配置してもよい。
フィルター26,28に加えさらに別のフィルターを配置する多重構造とする場合、冷却用の空気を、フィルター間の中空部同士で互いに逆方向に流すことが冷却効率の点から好ましい。また、排出側の冷却用空気は、系外に排出してもよいし、乾燥工程で使用する熱風の一部として利用してもよい。
本実施形態によれば、フィラメント温度に応じて、ヒドロキシ基を含有する溶媒の吸収に相当する波長域の輻射エネルギーを増加させることができる。
フィラメント温度は所望の塗布、乾燥条件によって、適宜選択・変更することができる。フィラメント温度は、例えば、放射温度計を用いて測定することができる。
被乾燥物側に配置される最外側のフィルター(図13、図14の例ではフィルター28)の表面温度は、自身の赤外線吸収による2次放射を抑制する観点から、200℃以下とすることが好ましく、150℃以下とすることがさらに好ましい。かかる最外側のフィルターの表面温度は、二重又は多重に積層されたフィルター間に空気を流すことで調整できる。
また、IR乾燥部230では、その乾燥ゾーンを赤外線反射性の高い材料で構成(被覆)することにより、被乾燥物に吸収されなかった赤外線を高効率で利用できる。
光硬化部240では、紫外線照射装置244に代えて、電子線照射装置も好ましく使用できる。
Xe,Kr,Ar,Ne等の希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は、他の原子と結合して分子を作ることができる。
例えば、希ガスがXe(キセノン)の場合には、下記反応式で示されるように、励起されたエキシマー分子であるXe2 *が基底状態に遷移するときに、172nmのエキシマー光を発光する。
Xe*+2Xe→Xe2 *+Xe
Xe2 *→Xe+Xe+hν(172nm)
誘電体バリア放電ランプの構成としては、電極間に誘電体を介して放電を起こすものであり、一般的には、誘電体からなる放電容器とその外部とに少なくとも一方の電極が配置されていればよい。誘電体バリア放電ランプとして、例えば、石英ガラスで構成された太い管と細い管とからなる二重円筒状の放電容器中にキセノン等の希ガスが封入され、該放電容器の外部に網状の第1の電極を設け、内管の内側に他の電極を設けたものがある。誘電体バリア放電ランプは、電極間に高周波電圧等を加えることによって放電容器内部に誘電体バリア放電を発生させ、該放電により生成されたキセノン等のエキシマー分子が解離する際にエキシマー光を発生させる。
したがって、光硬化部240では、基材のダメージ、ランプやランプユニットの部材のダメージを抑制する観点から、少なくとも1回は100〜200mW/cm2の最大照射強度を与える改質処理を行うことが好ましい。
紫外線の照射時間は、任意に設定可能であるが、基材ダメージや層欠陥生成の観点から高照度工程での照射時間は0.1秒〜3分間が好ましく、更に好ましくは、0.5秒〜1分である。
紫外線として真空紫外線(VUV)を使用するとき、真空紫外線照射時の酸素濃度は500〜10000ppm(1%)とすることが好ましく、更に好ましくは、1000〜5000ppmである。
IR乾燥部260も、IR乾燥部230と同様の構成・作用を有しており、搬送ローラー262により透明基板が搬送され、その途中で塗布・パターニング後の塗布液に対し赤外線ヒーター264により赤外線が照射され、塗布液が乾燥させられる。赤外線ヒーター264は赤外線ヒーター20と同様のものである。
光硬化部270も、光硬化部240と同様の構成・作用を有しており、搬送ローラー272により透明基板が搬送され、その途中で赤外線照射後の塗布液に対し紫外線照射装置274により紫外線が照射され、塗布液が硬化させられる。紫外線照射装置274は紫外線照射装置244と同様のものである。
搬送部280も、搬送部210と同様の構成・作用を有しており、搬送ローラー282により透明基板が搬送されながら透明基板の張力調整などが行われ、透明基板が元巻きロール204に巻き取られる。
まず、透明基板13上に光散乱層2aを形成し、その後に光散乱層2a上に平滑層2bを形成する。
(2.1)光散乱層
光散乱層2aを形成する工程では、主に下記(i)〜(iii)の工程を経て、光散乱層2aを形成する。
(i)一定の塗布液を透明基板13上に塗布・パターニングする
(ii)塗布・パターニング後の塗布液を乾燥させる
(iii)乾燥後の塗布液を硬化させる
かかる場合に、IJ塗布部220において、一定のパターン形状を形成しながら塗布液をIJ塗布しパターニングする。
媒体となる樹脂材料(ポリマー)溶液(溶媒としては、光散乱粒子の溶解しないものを用いる。)に上記光散乱粒子を分散させ、これを塗布液とする。
光散乱粒子は、実際には、多分散粒子であることや規則的に配置することが難しいことから、局部的には回折効果を有するものの、多くは散乱により光の方向を変化させ光取り出し効率を向上させる。
バインダー樹脂として用いられるポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
このようなバインダー樹脂としては、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。
また、バインダーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーを得るためには、2つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン及びSi−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
これらポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、ポリシラザン及びポリシロキサザンは、前述の透明基板のバリア層において説明したものと同様である。
−OH基を含有する溶媒により光散乱粒子(高屈折率粒子)の分散性が非常に良好となり、上述の透明基板との密着性、塗れ性も良好となり、理由ははっきりしないが、光取り出し効率が向上する。また本発明では、可撓性の透明基材の吸収が低い赤外波長域を効率よく吸収する溶媒により、可撓性の透明基材上での高速乾燥をも実現できる。
本発明では、−OH基含有溶媒を含有してなることを1つの特徴とし、−OH基含有溶媒を少なくとも10%以上含有することが好ましいが、−OH基含有の溶媒を50%以上含有することがより好ましく、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上含有する。
また本発明では沸点120〜250℃の溶媒を少なくとも1種以上含有することが好ましく、より好ましくは、沸点150〜200℃の溶媒を少なくとも1種以上含有することが好ましい。中でも特に沸点150〜200℃の溶媒が−OH基を含有することが非常に好ましい。沸点150℃以上において−OH基を有しない溶媒は含有しない方が好ましく、このような溶媒は30%未満、より好ましくは20%未満、特に好ましくは10%未満に抑えることが重要である。
−OH基を含有する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、n−アミルアルコールsec−アミルアルコール):CH3CH2CH2CH(OH)CH3、3−ペンタノール:CH3CH2CH(OH)CH2CH3、2−メチル−1−ブタノール:CH3CH2CH(CH3)CH2OH、3−メチル−1−ブタノール(イソアミルアルコール):CH3CH(CH3)CH2CH2OH、2−メチル−2−ブタノール(tert−アミルアルコール):CH3CH2C(CH3)2OH、3−メチル−2−ブタノール:CH3CH(CH3)CH(OH)CH3及び2,2−ジメチル−1−プロパノールなどが挙げられ、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチセロ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチセロ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセロ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコール誘導体などを挙げることができる。
また溶媒として、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、モノアセチン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及び2−フェノキシエタノールを用いることができる。
さらに溶媒として、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−ペンタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、n−ノニルアルコール、トリデシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、ジアセトンアルコール、モノエタノールアミン、2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、2−ジブチルアミノエタノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、N−メチル−ジエタノールアミン、ジエタノールアミン、2,2′−(n−エチル)イミノジエタノール、2,2′−(n−ブチル)イミノジエタノール、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール及び3−アミノ−1−プロパノールを用いることもできる。
一般に、「赤外線」とは可視放射の波長より長い光放射のことをいう。
本実施形態にかかる赤外線では、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下であり、好ましくは3%以下であり、より好ましくは1%以下であり、最も好ましくは0.5%以下である。
塗布液の溶媒として好ましく用いられる−OH基含有溶媒は、約3.0μm付近にOH伸縮振動による強い吸収波長を有している。
他方、透明基板に好ましく用いられる透明基材は、3.0μm付近の赤外線波長域には殆ど吸収波長を有していないが、5.8μm以上の赤外線波長域に強い吸収波長を有している。
そこで本実施形態では、上記赤外線を照射することにより、透明基板にダメージを与えることなく塗布液を乾燥させ、当該塗布液において、層厚分布の均一性、表面平滑性、パターニング精度を向上させている。
乾燥処理の条件として特に制限はないが、フィラメント22及びフィルター26,28の表面温度により、照射時間を調節することができる。例えば、フィラメント22の温度が450〜2600℃(好ましくは600〜1200℃)で、フィルター26,28の表面温度が200℃未満(好ましくは150℃未満)で、照射時間が10秒〜30分の乾燥処理をすることができる。これにより、層厚分布の高い均一性、高いパターニング精度を有する光散乱層2aを得ることができる。
予備加熱処理方法としては、特に限定はなく、ホットプレート、ボックス炉、コンベア炉のような電気炉や、近赤外線ヒータ、中赤外線ヒータ、遠赤外線ヒータ、温風、熱風、マイクロ波等を用いた処理が挙げられ、これらを単独で使用してもよいし組み合わせて使用してもよい。
また(ii)の乾燥工程では、その乾燥ゾーン(IR乾燥部230)を赤外線反射性の高い材料で構成(被覆)することにより、被乾燥物に吸収されなかった赤外線を高効率で利用することもできる。
まず、非特許文献1(平成17年度遠赤外ヒータの放射エネルギーを簡易的に評価する方法の調査研究報告書(社団法人 日本機械工業連合会、社団法人 遠赤外線協会著))、非特許文献2(FTIR TALK LETTER vol.13(株式会社 島津製作所著))等に記載の方法を参考にして、赤外線ヒーターからの放射出力と、赤外線ヒーターのフィラメント温度と同温度にした標準黒体炉からの放射出力とを、FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)で測定することで赤外線ヒータの分光放射率を求める。
次いで、プランクの放射則に従って計算した黒体放射スペクトルに、赤外線ヒーターの分光放射率を乗ずることで、赤外線ヒーターの分光放射スペクトルが得られる。得られた分光放射スペクトルから、波長3.0μmにおける分光放射輝度の値と、波長5.8μmにおける分光放射輝度の値とを読み取り、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合を百分率で計算し、求めることができる。
塗布液中のバインダーとしての電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、すなわち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。
電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される10〜1000keV、好ましくは30〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用される。これらの中でも特に電子線強度の弱い物が好ましく、浜松ホトニクス社製の電子線光源『EBエンジン』等が特に好ましく適用できる。
紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用でき、好ましくは上記のとおりエキシマーランプによる紫外線が使用される。
平滑層2bを形成する工程でも、光散乱層2aを形成する場合と同様に、上記(iv)〜(vi)の工程を経て、平滑層2bを形成する。
(iv)IJ塗布部250において、一定の塗布液を透明基板13上に塗布・パターニングする
(v)IR乾燥部260において、塗布・パターニング後の塗布液を乾燥させる
(vi)光硬化部270において、乾燥後の塗布液を硬化させる
また、内部光取り出し層の製造方法においては、(iii)の硬化工程と(vi)の硬化工程とは必ずしも必須ではなく、(iii)と(vi)との工程のうち、いずれか一方の工程が省略されてもよいし、双方の工程が省略されてもよい。
図1に示すとおり、透明金属電極1は、透明基板13側から、下地層1aと、この上部に成膜された電極層1bとを順に積層した2層構造である。このうち、電極層1bは、銀又は銀を主成分とする合金を用いて構成された層であり、下地層1aは、例えば、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された層である。
なお、透明金属電極1の透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
下地層1aは、電極層1bの透明基板13側に設けられる層である。下地層1aを構成する材料としては、特に限定されるものではなく、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bの成膜に際し、銀の凝集を抑制できるものであればよく、例えば、窒素原子を含んだ化合物等が挙げられる。
下地層1aが、高屈折率材料(屈折率1.7以上)からなる場合、その膜厚の上限としては特に制限はなく、膜厚の下限としては上記低屈折率材料からなる場合と同様である。
ただし、単なる下地層1aの機能としては、均一な成膜が得られる必要膜厚で形成されれば十分である。
この場合の内部光取り出し層2及び透明金属電極1の構成としては、透明基板13側から順に、平滑層2bを有しない、光散乱層2a、下地層1a、電極層1bとする構成や、光散乱層2a、平滑層2b、電極層1b、下地層1aとする構成とすることもできる(図示略)。
下地層1aが単層で平滑層1bとして機能する場合は、平滑層1bに準じた膜厚であることが好ましい。
電極層1bは、銀又は銀を主成分とした合金を用いて構成された層であって、下地層1a上に成膜された層である。
このような電極層1bの成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
また、電極層1bは、下地層1a上に成膜されることにより、電極層1b成膜後の高温アニール処理等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであってもよい。
以上のような構成の透明金属電極1は、例えば、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された下地層1a上に、銀又は銀を主成分とする合金からなる電極層1bを設けた構成である。これにより、下地層1aの上部に電極層1bを成膜する際には、電極層1bを構成する銀原子が下地層1aを構成する窒素原子を含んだ化合物と相互作用し、銀原子の下地層1a表面においての拡散距離が減少し、銀の凝集が抑えられる。
発光機能層3には少なくとも発光層3cが含まれる。
本発明に用いられる発光層3cには、発光材料としてリン光発光化合物が含有されている。発光材料として、蛍光材料が使用されてもよいし、リン光発光化合物と蛍光材料とを併用してもよい。
なお、発光層3cの膜厚の総和とは、発光層3c間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む膜厚である。
対向電極5aは、発光機能層3に電子を供給するカソードとして機能する電極膜であり、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物、及びこれらの混合物が用いられる。具体的には、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO2、SnO2等の酸化物半導体等が挙げられる。
取り出し電極16は、透明金属電極1と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく公知の素材を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
補助電極15は、透明金属電極1の抵抗を下げる目的で設けるものであって、透明金属電極1の電極層1bに接して設けられる。補助電極15を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面13aからの発光光hの取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。
封止材17は、有機発光素子10を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材で接着剤19によって透明基板13側に固定されるものであってもよく、また、封止膜であってもよい。このような封止材17は、有機発光素子10における透明金属電極1及び対向電極5aの端子部分を露出させ、少なくとも発光機能層3を覆う状態で設けられている。また、封止材17に電極を設け、有機発光素子10の透明金属電極1及び対向電極5aの端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていてもよい。
なお、ここでの図示は省略したが、透明基板13との間に有機発光素子10及び封止材17を挟んで保護膜若しくは保護板を設けてもよい。この保護膜若しくは保護板は、有機発光素子10を機械的に保護するためのものであり、特に封止材17が封止膜である場合には、有機発光素子10に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護膜若しくは保護板を設けることが好ましい。
ここでは、一例として、図1に示す有機発光素子10の製造方法を説明する。
まず、内部光取り出し層2を形成した透明基板13を準備し、内部光取り出し層2(平滑層2b)上に、例えば、窒素原子を含んだ化合物からなる下地層1aを、1μm以下、好ましくは10〜100nmの範囲内の層厚になるように蒸着法等の適宜の方法により形成する。
次に、銀(又は銀を主成分とする合金)からなる電極層1bを、12nm以下、好ましくは4〜9nmの層厚になるように、蒸着法等の適宜の方法により下地層1a上に形成し、アノードとなる透明金属電極1を作製する。同時に、透明金属電極1端部に、外部電源と接続される取り出し電極16を蒸着法等の適宜の方法に形成する。
これらの各層の形成は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な層が得られやすく、かつ、ピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる形成法を適用してもよい。これらの各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10-6〜1×10-2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
好ましくは、発光機能層3の形成では、その形成領域を、断面視した場合に、内部光取り出し層2が形成された位置(領域)とほぼ完全に重ならせ、発光機能層3で生じた発光光hが内部光取り出し層2で有効に取り出されるようにするのがよい。
以上説明した本発明の有機発光素子10は、導電性と光透過性とを兼ね備えた透明金属電極1と透明基板13との間に、内部光取り出し層2を設けた構成である。これにより、透明金属電極1と透明基板13との間の全反射ロスを低減し、発光効率を向上させることができる。
また、有機発光素子10は、透明金属電極1をアノードとして用い、この上部に発光機能層3とカソードとなる対向電極5aとを設けた構成である。このため、透明金属電極1と対向電極5aとの間に十分な電圧を印加して有機発光素子10での高輝度発光を実現しつつ、透明金属電極1側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。
(1)透明基板の準備
透明基材としてのPET基板(厚さ125μm)上に、特開2012−116101号公報の実施例1を参照にして、ガスバリア層を形成した。
得られた平坦層の最大断面高さRt(p)は、JIS B 0601で規定される表面粗さで、16nmであった。
なお、表面粗さは、SII社製のAFM(原子間力顕微鏡)SPI3800 DFMを用いて測定した。1回の測定範囲は10μm×10μmとし、測定箇所を変えて3回の測定を行い、それぞれの測定で得られたRtの値を平均したものを測定値とした。
無機前駆体化合物を含有する塗布液は、無触媒のパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN120−20)とアミン触媒を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NAX120−20)とを混合して用い、アミン触媒を固形分の1質量%に調整した後、さらに、ジブチルエーテルで希釈することにより5質量%ジブチルエーテル溶液として作製した。
株式会社エム・ディ・コム製エキシマー照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
《改質処理条件》
エキシマー光強度 3J/cm2(172nm)
ステージ加熱温度 100℃
照射装置内の酸素濃度 1000ppm
次いで、1層目のガスバリア層と同様にして、1層目のガスバリア層上に2層目のガスバリア層を形成し、ガスバリア性を有するPETフィルムを作製した。
(2.1)サンプル1(比較例:熱)
光散乱層調液(表1中、組成物A参照)として、屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO2粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が70体積%/30体積%、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの溶媒比が10質量%/90質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
次いで、TiO2分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、光散乱層塗布液を得た。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて透明基板上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、ホットプレートによる乾燥(120℃、60分)を行い、層厚0.5μmの光散乱層を形成した。
その後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の分散液を得た。
上記分散液をスピン塗布(500rpm、30秒)にて光散乱層上に回転塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、さらに、ホットプレートによる乾燥(120℃、30分)を行い、層厚0.7μmの平滑層を形成し、内部光取り出し層を作製した。
上記のようにして作製した内部光取り出し層の透過率Tは67%、ヘイズ値Hzは50%であった。
また、D542に基づきソプラ社のエリプソメーターを用いて、内部光取り出し層全体の波長550nmにおける屈折率を測定したところ、1.85であった。
光散乱層調液(表1中、組成物B参照)として、屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO2粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が70vol%/30vol%、ヘキシレングリコールとプロピレングリコールモノメチルエーテルとイソプロピルアルコールの溶媒比が30質量%/50質量%/20質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
平滑層調液(表1中、組成物B参照)として、屈折率2.4、平均粒径0.02μmのナノTiO2分散液(テイカ(株)製 HDT−710T)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が45vol%/55vol%、ヘキシレングリコールとプロピレングリコールモノメチルエーテルとイソプロピルアルコールの溶媒比が30質量%/50質量%/20質量%、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
上記以外は、内部取り出し層1と同様にして作製した。
(2.3.1)分散性
調液分散直後の液と、3日間常温静置後の液とを、スターラー300rpmで1時間撹拌し、再分散した液の粒度変化を測定した。
測定結果を表1に示す。
粒度変化の変動が5%以内である場合を良好(○)と、5%を超える場合を不良(NG)と、それぞれ判断した。
組成物A、Bに関して、スピン塗布に代えてインクジェットでの吐出安定性の評価を行った。
評価結果を表1に示す。
吐出安定性が良好である場合を「○(図15参照)」と、良好でない場合を「NG(図16参照)」と、それぞれ判断した。
なお、組成比は変更すること無く、全溶媒を同一比率で希釈し、ウェット層厚10μmで所望のドライ層厚を得るように調整した。
インクジェット吐出の際は、インクジェットヘッドKM1024LHB(コニカミノルタIJ社製)を取り付けた卓上型ロボット Shotmaster−300(武蔵エンジニアリング社製)を用い、インクジェット評価装置EB150(コニカミノルタIJ社製)にて制御した。吐出条件は下記のとおりとした。
《吐出条件》
ヘッド 42pl
駆動周波数 7.6kHz
駆動電圧 10V
液粘度 2−5cp
上記インクジェット吐出安定性の評価と同様に、組成物A、Bに関して、スピン塗布に代えて上記吐出条件にてインクジェット吐出し、その1ライン(line)描画した画像を、光学顕微鏡で確認し濡れ性を評価した。
評価結果を表1に示す。
濡れ性が良好である場合を「○(図17参照)」と、良好でない場合を「NG(図18参照)」と、それぞれ判断した。
サンプル2の作製方法において、ホットプレートによる乾燥に代えて、波長制御赤外線ヒーター(赤外線照射)による乾燥処理を実行した。赤外線ヒーターとしては、ウシオ電機株式会社製の赤外線ヒーター(1000W/色温度2500K)に対し、特許第4790092号公報を参考に、石英ガラス製の2重管フィルターを設置し、その内部に空冷機構を配したものを使用した(図13参照)。
サンプルと赤外線ヒーターとの距離は100mmとした。
それ以外はサンプル2と同様にしてサンプル3を作製した。
なお、乾燥温度(フィラメント温度及びフィルター温度)や波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合(%)、乾燥時間を変動させ、その条件に応じてサンプル3−1〜3−5とした。
サンプル1の作製方法において、ホットプレートによる乾燥に代えて、サンプル3と同様に赤外線照射による乾燥処理を実行した。
それ以外はサンプル1と同様にしてサンプル4を作製した。
なお、サンプル3、4において、フィラメント温度を700〜1500℃に設定し、フィルターを設置しない場合は、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合(%)が5%を超え、いずれの場合でも、輻射熱により透明基材としてのPET基板に変形が生じ、有機発光素子の素子化は不能であると判断した。
サンプル3−3の作製方法において、赤外線照射による乾燥処理の後に光照射処理を実行した。
それ以外はサンプル3−3と同様にしてサンプル5〜7を作製した。
なお、光照射の対象層(光散乱層・平滑層のいずれの層)やその光照射方式を変動させ、その条件に応じてサンプル5−1〜5−7、6−1〜6−7、7−1〜7−7とした。
P1:通常の赤外線ヒーターによる輻射伝熱乾燥(IR照射装置,アルティメットヒーター/カーボン,明々工業株式会社製)
サンプルと赤外線ヒーターとの距離は100mmとした。
P2:メタルハライドランプ
サンプルとランプとの距離は100mmとした。
P3:172nm Xeエキシマー 酸素1000ppm
サンプルとランプとの距離は2mmとした。
P4:172nm Xeエキシマー 大気
サンプルとランプとの距離は2mmとした。
P5:222nm KrClエキシマー 酸素1000ppm
サンプルとランプとの距離は20mmとした。
P6:222nm KrClエキシマー 大気
サンプルとランプとの距離は20mmとした。
P7:浜松ホトニクス社製 低エネルギーEB
サンプルとランプとの距離は2mmとした。
なお、サンプル3〜7において、D542に基づきソプラ社のエリプソメーターを用いて、内部光取り出し層全体の波長550nmにおける屈折率を測定したところ、1.85であった。
ホットプレート(HP):ホットプレートによる伝導伝熱乾燥(MH−180CS,アズワン株式会社製)
赤外線照射:波長制御赤外線ヒーターによる輻射電熱乾燥(ウシオ電機株式会社製の赤外線ヒーター(1000W/色温度2500K)に対し、特許第4790092号公報を参考に、石英ガラス製の2重管フィルターを設置し、その内部に空冷機構を配したもの。図13参照)
表2、表3中のフィラメント温度(℃)は、非接触式温度計(IR−AHS 株式会社チノー製)にて、タングステンフィラメントの放射率を0.39として測定した。
表2、表3中のフィルター温度(℃)は、前述の石英ガラスフィルターの表面温度を接触式温度計(HFT−60 安立計器社製)にて測定し、表2、表3に記載の温度となるように冷却空気の流量を調整した。
表2、表3中の、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの「分光放射輝度の割合(%)」は、以下の方法により求めた。
標準黒体炉(M390,Mikron社製)の温度を、測定した赤外線ヒーターのフィラメント温度に合わせ、FT−IR(FT/IR−4100,日本分光株式会社製)を用いて、標準黒体炉および赤外線ヒーターの放射出力を、測定波数7800〜350cm-1、分解能4cm-1、積算回数32回で測定し、赤外線ヒーターの分光放射率を求めた。
次いで、プランクの放射測に従い、標準黒体炉と同温度における黒体放射スペクトルを求め、赤外線ヒーターの分光放射率を乗じて、赤外線ヒーターの分光放射スペクトルを得た。
得られた赤外線ヒーターの分光放射スペクトルから、波長3.0μmにおける分光放射輝度の値と、波長5.8μmにおける分光放射輝度の値とを読み取り、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合を、百分率で計算した。
(3.1)触診性
内部光取り出し層の層表面を触診し、下記基準で評価した。
評価結果を後述の表5に示す。
○:べたつきが無く、さらさらしている
NG:べたつきがあり、溶媒が残っている
JIS K 7361−1:1997に準拠して、東京電色社製HAZE METER NDH5000を用いて、ヘイズ値(%)を測定した。
測定結果を後述の表5に示す。
分光光度計日立計測社製U3300に150mmφ積分球ユニットU3310を搭載し、透過率、反射率を測定し、内部光取り出し層における波長450〜700nmの範囲内の光に対する吸収率(最大値(max)と最小値(min))(%)を求めた。
求めた吸収率を表5に示す。
(1)透明金属電極の作製
内部光取り出し層が形成されたPET基板を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、下記例示化合物10をタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
内部光取り出し層及び透明金属電極が形成された透明基板を、中央部に幅30mm×30mmの開口部があるマスクと重ねて市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。また真空蒸着装置内の加熱ボートの各々に、発光機能層を構成する各材料を、それぞれの層の形成に最適な量で充填した。
なお、加熱ボートはタングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空蒸着装置の蒸着室内を真空度4×10-4Paまで減圧し、各材料が入った加熱ボートを順次通電して加熱することにより、以下のように各層を形成した。
まず、正孔輸送注入材料として下記構造式に示すα−NPDが入った加熱ボートに通電して加熱し、α−NPDよりなる正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた正孔輸送注入層を、透明金属電極を構成する電極層上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚140nmとした。
次いで、正孔阻止材料として下記構造式に示すBAlqが入った加熱ボートに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層を、発光層上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚10nmとした。
次に、電子注入材料としてフッ化カリウムの入った加熱ボートに通電して加熱し、フッ化カリウムよりなる電子注入層を、電子輸送層上に形成した。この際、蒸着速度0.01〜0.02nm/秒、層厚1nmとした。
その後、電子注入層まで形成した透明基板を、アルミニウム(Al)を入れたタングステン製の抵抗加熱ボートが取り付けられた第2真空槽へ真空状態を保持したまま移送した。アノードと直行するように配置された幅20mm×50mmの開口部があるマスクと重ねて固定した。次いで、処理室内において、成膜速度0.3〜0.5nm/秒で、膜厚100nmのAlからなる反射性の対向電極をカソードとして成膜した。
その後、かかる有機発光体を、大きさ40mm×40mm、厚さ700μmのガラス基板であって、中央部34mm×34mmを深さ350μmでザクったガラス基板からなる封止材で覆い、有機発光体を囲む状態で、封止材と透明基板との間に接着剤(シール材)を充填した。接着剤としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。
その後、封止材と透明基板との間に充填した接着剤に対して、ガラス基板(封止材)側からUV光を照射し、接着剤を硬化させて有機発光体を封止した。
なお、有機発光体の形成においては、各層の形成に蒸着マスクを使用し、5cm×5cmの透明基板における中央の2.0cm×2.0cmの領域を発光領域Aとし、発光領域Aの全周に幅1.5cmの非発光領域Bを設けた。
また、アノードである透明金属電極とカソードである対向電極に関し、正孔輸送注入層〜電子輸送層までの発光機能層によって絶縁された状態で、透明基板の周縁に端子部分を引き出した。
以上のようにして、光取り出し層サンプルの種類に応じて有機発光素子のサンプル0、10、20、31〜35、40、51〜57、61〜67、71〜77を作製した。
(1)駆動電圧及び発光効率の測定
各サンプルに対し、室温(約23〜25℃の範囲内)で、2.5mA/cm2の定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタオプティクス社製)を用いて、各サンプルの発光輝度を測定し、当該電流値における発光効率(外部取り出し効率)を求めた。
測定結果を表5に示す。
なお、発光効率は、有機発光素子のサンプル0(基準:内部光取り出し層の無い有機発光素子)の発光効率を100とする相対値で表した。
各サンプルについて、85℃サーモに投入し、投入前後の輝度変動を測定した。測定では、投入前1000cd相当の電流値で追跡し、Δ5%変動までの時間を確認した。
確認結果を表5に示す。
サンシャインウェザーメーター(S80HB スガ社製)放射照度255W/m2(300−700nm)に48時間投入した前後のダークスポット(非発光部)面積率を測定した。測定時の電流密度は2.5mA/dm2として実施した。
ダークスポットの面積率(%)とは、全発光部に対する非発光部の面積比である。
測定結果を表5に示す。
表5に示すとおり、有機発光素子のサンプル31〜35、51〜57、61〜67、71〜77は、サンプル0、10、20、40よりも、結果が良好である。
以上から、一定の光散乱粒子をヒドロキシ基含有溶媒に分散させた塗布液を透明基板上に塗布し、これを赤外線照射により乾燥させることが、有機発光素子の発光効率や耐久性の向上に有用であることがわかる。
なお、本発明の目的は、ロール・トゥ・ロール(RtoR)で大量生産を可能とする実現プロセスを目指すことである。この点、従来のホットプレート乾燥では、乾燥の能力が低く、乾燥可能な組成物では経時安定性良くパターニングできず、逆に、経時安定性良くパターニングできる組成物では乾燥できない。これに対し、本願では、波長制御型IR乾燥と経時安定性良くパターニングできる組成物の組合せにより、フィルム基材のような低温プロセスにおいて、大量生産可能な光取出し構造の形成が可能であるばかりか、その光取出し構造の膜の吸収、擦過性、熱、UV耐久性の観点でも、改善することを見出し、本発明に至ったものである。
1a 下地層
1b 電極層
2 内部光取り出し層
2a 光散乱層
2b 平滑層
3 発光機能層
3a 正孔注入層
3b 正孔輸送層
3c 発光層
3d 電子輸送層
3e 電子注入層
5a 対向電極
10 有機発光素子
13 透明基板
13a 光取り出し面
15 補助電極
16 取り出し電極
17 封止材
19 接着剤
20 赤外線ヒーター
22 フィラメント
24 保護管
26,28 フィルター
30 中空部
32 反射板
40 冷却機構
50 制御装置
h 発光光
100 有機発光素子
101 金属電極
102 有機発光層
103 透明電極
104 透明基板
110a〜110e 光
200 製造装置
202 元巻きロール
204 巻取りロール
210 搬送部
212 搬送ローラー
220 IJ塗布部
222 搬送ローラー
224 プラテン
226 IJヘッド
230 IR乾燥部
232 搬送ローラー
240 光硬化部
242 搬送ローラー
244 紫外線照射装置
250 IJ塗布部
252 搬送ローラー
254 プラテン
256 IJヘッド
260 IR乾燥部
262 搬送ローラー
264 赤外線ヒーター
270 光硬化部
272 搬送ローラー
274 紫外線照射装置
280 搬送部
282 搬送ローラー
Claims (10)
- 透明基板、内部光取り出し層及び透明金属電極を備える有機発光素子の製造方法において、
前記透明基板上に前記内部光取り出し層を形成する工程と、
前記内部光取り出し層上に前記透明金属電極を形成する工程とを備え、
前記内部光取り出し層を形成する工程では、
平均粒径が0.2μm以上1μm未満でかつ屈折率が1.7以上3.0未満の光散乱粒子と、ヒドロキシ基を有する溶媒とを含む塗布液を、前記透明基板上に塗布・パターニングする工程と、
波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を、塗布・パターニング後の前記塗布液に照射し乾燥させる工程とを、
有することを特徴とする有機発光素子の製造方法。 - 請求項1に記載の有機発光素子の製造方法において、
前記内部光取り出し層を形成する工程では、
紫外線又は電子線を照射して乾燥後の前記塗布液を硬化させる工程を有することを特徴とする有機発光素子の製造方法。 - 請求項2に記載の有機発光素子の製造方法において、
前記塗布液を硬化させる工程では、
前記紫外線として波長が150nm以上230nm以下のエキシマー光を照射することを特徴とする有機発光素子の製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の有機発光素子の製造方法において、
前記塗布液を塗布・パターニングする工程では、
前記塗布液をインクジェット方式により塗布・パターニングすることを特徴とする有機発光素子の製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の有機発光素子の製造方法において、
前記透明金属電極上に有機機能層を形成する工程を備え、
前記有機機能層を形成する工程では、
平面視したときに、前記有機機能層を、前記内部光取り出し層と重なる位置に形成することを特徴とする有機発光素子の製造方法。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の有機発光素子の製造方法において、
前記内部光取り出し層を形成する工程では、
ロール・トゥ・ロール方式により、元巻きロールに巻かれた前記透明基板を巻取りロールで巻き取り、その巻取り搬送の途中で、前記透明基板上に前記内部光取り出し層を形成することを特徴とする有機発光素子の製造方法。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の有機発光素子の製造方法において、
前記内部光取り出し層は、前記透明基板上に形成される、光散乱層と平滑層とを、この順に有しており、
前記内部光取り出し層は(i)屈折率が1.7以上2.5未満であり、(ii)波長450〜700nmの範囲内の光に対する吸収率が15%未満であり、(iii)ヘイズ値が30%以上であることを特徴とする有機発光素子の製造方法。 - 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の有機発光素子の製造方法において、
前記透明基板は、可撓性を有する透明基材と、屈折率が1.4以上1.7以下の1層以上のバリア層とを、有していることを特徴とする有機発光素子の製造方法。 - 請求項7に記載の有機発光素子の製造方法において、
前記光散乱層の層厚をTと、前記光散乱層に含有される光散乱粒子の平均粒径をDとしたとき、T/Dの値が0.75以上3.0以下であることを特徴とする有機発光素子の製造方法。 - 請求項7又は請求項9に記載の有機発光素子の製造方法において、
前記光散乱層に含有される光散乱粒子の前記光散乱層における面内占有率が30%以上であることを特徴とする有機発光素子の製造方法。
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