JP6235978B2 - 水性インク組成物、インクセット及び画像形成方法 - Google Patents

水性インク組成物、インクセット及び画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、水性インク組成物、インクセット及び画像形成方法に関する。
画像データ信号に基づき、紙等の記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などの記録方法がある。
インクジェット記録方法は、印刷版を必要とせず、画像形成部のみにインクを吐出して記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率的に使用でき、ランニングコストが安い。更に、インクジェット記録方法は印刷装置も従来の印刷機に比べ比較的低コストで、小型化も可能であり、騒音も少ない。このように、インクジェット記録方法は他の画像記録方式に比べて種々の利点を兼ね備えている。
インクを用いて形成した画像には、外部から力を加えた際に画像が傷付いたり剥がれたりしない機械強度(耐擦性、耐傷性)が求められる。また、画像を形成した記録媒体を積み重ねた際等には、重ねた記録媒体の表裏の間の色移り防止性や、記録媒体同士が画像を介して接着する現象を防ぐ耐ブロッキング性も求められる。
耐擦性向上や色移りを抑制したインクとして、例えば特許文献1には、顔料と、フッ素原子を含有する共重合体と、水溶性有機溶剤と、水とを含有するインク組成物が記載され、このインク組成物を用いてインクジェット記録方法により形成した画像が耐擦性に優れ、定着ローラへの色移りも抑制されたことが記載されている。
特開2010−221415号公報
インクジェット記録方法はこれまで主にオフィスプリンタやホームプリンタの分野で用いられてきたが、近年は、商業印刷分野にまでその利用が拡大し、インクジェット記録の高速化も進んでいる。これに伴いインクの耐擦性、耐傷性、耐ブロッキング性に対する要求は年々高度化している状況にある。
本発明は、耐擦性、耐傷性、及び耐ブロッキング性のいずれにも優れた画像を形成可能な水性インク組成物であって、インクジェット記録のインクとして用いた際には良好な吐出安定性をも示す水性インク組成物、この水性インク組成物を含むインクセット、並びに、このインク組成物を用いた画像形成方法を提供することを課題とする。
本発明の上記課題は下記の手段により解決された。
〔1〕
少なくとも水性媒体、分散剤で表面が被覆された顔料及び樹脂微粒子をそれぞれ含有する水性インク組成物であって、
上記樹脂微粒子が、上記水性インク組成物中に、微粒子の状態で存在し、
上記微粒子の体積平均粒径が、1〜400nmであり、
上記樹脂微粒子の樹脂が、下記構成単位(a)、(b)(c)及び(e)を有し、
上記顔料を被覆する分散剤が、上記樹脂微粒子と異なる成分構成の分散剤である、水性インク組成物
〔構成単位〕
(a)下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表される構成単
(b)酸性基を有する構成単
(c)炭素数12〜22のアルキル基を有する構成単位、又は下記一般式(3)で表される構成単位、又は下記一般式(4)で表される構成単
(e)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、又はジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート由来の構成単位
Figure 0006235978
一般式(1)中、A は−O−又は−NR −を示す。R は水素原子又はアルキル基を示す。R は水素原子又はメチル基を示す。R は2価の連結基を示す。R 及びR は炭素数1〜6のアルキル基を示す。
一般式(2)中、R は水素原子又はメチル基を示す。R は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
一般式(3)中、R は水素原子又はメチル基を示す。A は単結合又は2価の連結基を示す。R 及びR は水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。mは0以上の整数を示し、nは1以上の整数を示す。
一般式(4)中、R 10 は水素原子又はメチル基を示す。Y は2価の連結基を示し、X は単結合又は2価の連結基を示し、A は−O−、−CH O−又は−COO−で表される2価の連結基を示す。x 、x 及びx は0以上の整数であり、且つx 、x 及びx の合計は1〜100である。y は1〜30の整数である。Zは下記一般式(5)で表される基を示す。
Figure 0006235978
一般式(5)中、R 11 は炭素数1〜4の無置換のアルキル基を示し、y は1〜100の整数である。
〔2〕
上記水性インク組成物が、上記水性媒体、上記分散剤で被覆された顔料および上記樹脂微粒子をそれずれ含み、かつ、これらの成分以外に含有してもよい成分が、有機溶剤、塩基性物質、塩基性物質の塩、乾燥防止剤、着色防止剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘土調整剤、pH調製剤およびキレート剤から選択される成分である、〔1〕に記載の水性インク組成物。
〔3〕
上記樹脂微粒子の樹脂の重量平均分子量が、53000〜20万である、〔1〕又は〔2〕に記載の水性インク組成物。
〔4〕
上記水性インク組成物中の上記樹脂微粒子の含有量が、8〜30質量%である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の水性インク組成物。
〔5〕
上記水性インク組成物中の顔料の含有量が、1〜20質量%であって、上記分散剤が、該顔料100質量部に対し、10〜90質量部である〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の水性インク組成物。
〔6〕
上記樹脂微粒子の樹脂中、上記構成単位(a)の含有率が1〜15質量%であり、上記構成単位(b)の含有率が2〜20質量%であり、上記構成単位(c)の含有率が2〜60質量%であり、かつ上記構成単位(e)の含有率が20〜90質量%である、〔1〕〜〔5〕5のいずれか1つに記載の水性インク組成物。
〔7
上記樹脂微粒子の樹脂中、上記構成単位(a)の含有率と上記構成単位(b)の含有率が、質量比で、構成単位(a):構成単位(b)=2:3〜2:15である、〔1〕のいずれか1つに記載の水性インク組成物。

上記構成単位(c)が炭素数12〜22のアルキル基を有する構成単位であり、上記樹脂微粒子の樹脂中、上記構成単位(c)の含有率が20〜50質量%である、〔1〕〜〔〕のいずれか1つに記載の水性インク組成物。

上記樹脂微粒子が転相乳化法により調製されたものである、〔1〕〜〔〕のいずれか1つに記載の水性インク組成物。
〔10
〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の水性インク組成物と、この水性インク組成物中の顔料を凝集させるための処理剤とを含むインクセット。
11
上記処理剤が、酸性化合物、多価金属塩又はカチオン性ポリマーを含む、〔10〕に記載のインクセット。
12
〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の水性インク組成物を用いた画像形成方法。
13
〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の水性インク組成物中の顔料を凝集させるための処理剤を記録媒体上に付与する処理剤付与工程と、
処理剤付与工程後の記録媒体上に〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の水性インク組成物を付与して画像を形成するインク付与工程とを含む、画像形成方法。
14
上記記録媒体が塗工紙である、〔13〕に記載の画像形成方法。
15
上記インク付与工程が、処理剤付与工程後の記録媒体上に、〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の水性インク組成物をインクジェット方式により付与して画像を形成する工程である、〔13〕又は〔14〕に記載の画像形成方法。
本明細書において、特に断りがない限り、特定の符号で表示された置換基、連結基、配位子、繰り返し単位等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。
本明細書において、各置換基の例として説明される各基の「基」は無置換の形態及び置換基を有する形態のいずれも包含する意味に用いる。例えば、「アルキル基」は置換基を有してもよいアルキル基を意味する。
本明細書において、「化合物」という語を末尾に付して呼ぶとき、あるいは化合物を特定の名称ないし化学式で示すときには、特に断わりのない限り、化合物そのものに加え、その塩、錯体、そのイオンを含む意味に用いる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両者を含む意味に用いる。このことは、「(メタ)アクリル酸」についても同様である。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の水性インク組成物及びインクセットは、これを用いて形成した画像が、耐擦性、耐傷性、及び耐ブロッキング性のいずれにも優れ、インクジェット記録のインクとして用いた際には良好な吐出安定性をも示す。
本発明の画像形成方法によれば、耐擦性、耐傷性、及び耐ブロッキング性のいずれにも優れた画像を形成することができる。
本発明の水性インク組成物、インクセット、及び画像形成方法の好ましい実施形態について以下に説明する。
[水性インク組成物]
本発明の水性インク組成物は、少なくとも水性媒体と特定構造の樹脂微粒子とを含有する。また、本発明の水性インク組成物は、通常は顔料を含有する。インク組成物が顔料を含有しない場合は、クリアインクとして使用することができ、顔料を含有する場合はカラー画像形成用途に用いることができる。
<水性媒体>
本発明に用いる水性媒体は少なくとも水を含み、必要に応じて水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含んで構成される。
本発明に用いる水としては、イオン交換水、蒸留水などのイオン性不純物を含まない水を用いることが好ましい。また、インク組成物における水の含有率は、目的に応じて適宜選択されるが、通常、10〜95質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、20〜70質量%であることがさらに好ましい。
− 水溶性有機溶剤 −
本発明における水性媒体は水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤を含有することで、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また水溶性有機溶剤は、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
水溶性有機溶剤の例としては、例えば、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルカンジオール(多価アルコール類);糖アルコール類;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
乾燥防止や湿潤の目的としては、多価アルコール類が有用であり、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
浸透促進の目的としては、ポリオール化合物が好ましく、脂肪族ジオールが好適である。脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい例として挙げることができる。
また本発明における水溶性有機溶剤としては、記録媒体におけるカール発生抑制の点から、下記構造式(S)で表される化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。
Figure 0006235978
構造式(S)において、t、u、及びvは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、t+u+v=3〜15を満たし、t+u+vは3〜12の範囲が好ましく、3〜10の範囲がより好ましい。t+u+vの値は、3以上であると良好なカール抑制力を示し、15以下であると良好な吐出性が得られる。構造式(S)中、AOは、エチレンオキシ(EO)及びプロピレンオキシ(PO)の少なくとも一方を表し、中でもプロピレンオキシ基が好ましい。前記(AO)、(AO)、及び(AO)における各AOはそれぞれ同一でも異なってもよい。
以下、前記構造式(S)で表される化合物の例を示す。但し、本発明はこれに限定されるものではない。尚、例示化合物中、「POP(3)グリセリルエーテル」との記載は、グリセリンにプロピレンオキシ基が合計で3つ結合したグリセリルエーテルであることを意味し、他の記載についても同様である。
Figure 0006235978
さらに本発明における水溶性有機溶剤は、記録媒体におけるカール発生抑制の点から、以下に例示する水溶性有機溶剤(i)〜(vii)であることも好ましい。
(i)n−CO(AO)−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)
(ii)n−CO(AO)10−H AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1
(iii)HO(AO)40−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:3)
(iv)HO(AO)55−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=5:6)
(v)HO(PO)−H
(vi)HO(PO)−H
(vii)1,2−ヘキサンジオール
本発明のインク組成物中に含まれる全水溶性有機溶剤中、前記構造式(S)で表される化合物及び上記例示化合物(i)〜(vii)の含有量は、合計で3質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、更に5質量%以上が好ましい。前記範囲とすることにより、インクの安定性や吐出性を悪化させずにカールを抑制することができ好ましい。
本発明において水溶性有機溶剤は、1種単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
また水溶性有機溶剤のインク組成物中における含有量としては、1質量%以上60質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは7質量%以上30質量%以下である。
<樹脂微粒子>
本発明に用いる樹脂微粒子は、樹脂微粒子を構成する樹脂(ポリマー)が下記構成単位(a)、(b)及び(c)を有する。
(a)下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表される構成単位
(b)酸性基を有する構成単位
(c)炭素数12〜22のアルキル基を有する構成単位、下記一般式(3)で表される構成単位、又は下記一般式(4)で表される構成単位
上記樹脂微粒子を構成する樹脂は、上記構成単位(a)として下記一般式(1)で表される構成単位及び下記一般式(2)で表される構成単位を有してもよい。
また、上記樹脂微粒子を構成する樹脂は、上記構成単位(c)として炭素数12〜22のアルキル基を有する構成単位、下記一般式(3)で表される構成単位、及び下記一般式(4)で表される構成単位から選ばれる2種以上の構成単位を有してもよい。
上記樹脂微粒子を構成する樹脂は、上記構成単位(a)〜(c)以外の構成単位を有していてもよい。
上記樹脂微粒子を構成する樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体(好ましくはランダム共重合体)であることが好ましい。
以下、各構成単位の好ましい形態について説明する。
− 構成単位(a) −
上記構成単位(a)は、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表される構成単位である。
Figure 0006235978
一般式(1)中、Aは−O−又はNR−を示し、−O−が好ましい。Rは水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)を示す。Rは、より好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
は水素原子又はメチルを示し、メチルが好ましい。
は2価の連結基を示す。Rは炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜8のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜5のアルキレン基がさらに好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がさらに好ましい。このアルキレン基を構成する炭素原子は、その一部が−O−、−S−又は−NR−に置き換わっていてもよい。Rは上記Aの説明におけるRと同義であり、好ましい形態も同じである。
及びR4は炭素数1〜6のアルキル基を示し、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、メチル又はエチルであることがさらに好ましい。R及びR4として採り得るアルキル基を構成する炭素原子は、その一部が−O−、−S−又はNR−に置き換わっていてもよい。Rは上記Aの説明におけるRと同義であり、好ましい形態も同じである。
また、RとRは互いに連結して環を形成してもよい。RとRが連結して形成される環に特に制限はないが、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、又はイミダゾール環、インドール環、又はカルバゾール環であることが好ましく、モルホリン環、ピペリジン環、又はピペラジン環が特に好ましい。
及びR4は、互いに連結して環を形成しない場合、同一であることが好ましい。
一般式(2)中、R5は水素原子又はメチルを示し、メチルであることが好ましい。
6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。R6がアルキル基の場合、メチル又はエチルであることが好ましく、メチルであることがより好ましい。
樹脂微粒子が上記構成単位(a)を有し、さらに構成単位(b)を有することにより、形成した画像の機械強度がより向上する。
樹脂微粒子が上記構成単位(a)を有し、さらに構成単位(b)を有することにより、形成した画像の機械強度がより向上する。
以下に、上記構成単位(a)を導くモノマー(上記構成単位(a)が由来するモノマー)の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。本明細書において、Meはメチル、Etはエチル、Buはn−ブチル、tBuはt−ブチル、Phはフェニル、Bnはベンジルを示す。
Figure 0006235978
− 構成単位(b) −
上記構成単位(b)は、酸性基を有する構成単位である。酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、例えば、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基といった酸性を示す基を意味する。なかでも酸性基はカルボキシ基、ホスホリル基又はスルホ基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。
上記構成単位(b)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、β−カルボキシエチルアクリル酸、2-メタクリロイロキシエチルフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルマレイン酸等のカルボン酸を有する不飽和モノマーに由来する構成単位、メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、メタクリロイロキシヘキシルアシッドホスフェート、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等のリン酸基を有する不飽和モノマーに由来する構成単位、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等のスルホン酸を有する不飽和モノマーに由来する構成単位が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリル酸由来の構成単位であり、より好ましくはメタクリル酸由来の構成単位である。
− 構成単位(c) −
上記構成単位(c)は、炭素数12〜22のアルキル基を有する構成単位、下記一般式(3)で表される構成単位、又は下記一般式(4)で表される構成単位である。
Figure 0006235978
一般式(3)中、Rは水素原子又はメチルを示し、メチルであることが好ましい。
は単結合又は2価の連結基を示す。Aが2価の連結基の場合、Aは−O−、CHO−又は−COO−であることが好ましく、−COO−であることがより好ましい。
及びRは水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、水素原子であることが好ましい。R及びRがアルキル基の場合、メチル又はエチルであることが好ましく、メチルであることがより好ましい。
mは0以上の整数であり、0〜10の整数であることが好ましく、1〜5の整数であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましく、2であることがさらに好ましい。また、mが2以上の場合、互いに隣接するR同士が結合して、あるいは互いに隣接するR同士が結合して、脂肪族環を形成してもよい。
nは1以上の整数であり、1〜10の整数であることが好ましく、2〜8の整数であることがより好ましく、3〜6の整数であることがさらに好ましい。
Figure 0006235978
一般式(4)中、R10は水素原子又はメチルを示し、メチルであることが好ましい。
は2価の連結基を示す。Yは、炭素数2〜6のアルキレン基(直鎖アルキレン基ででも分岐を有するアルキレン基でもよい。このアルキレン基は置換基を有してもよく、この置換基は好ましくはヒドロキシ基、アミノ基又はハロゲン原子である。)、又は下記一般式(B)で表される2価の連結基を示す。

−[CHCH(R)O]n2−CHCH(R)− 一般式(B)

一般式(B)中、Rは、水素原子又はメチルを示す。
n2は1〜50の整数であり、1〜20の整数であることが好ましい。
は単結合又は2価の連結基を示し、単結合であることが好ましい。Xが2価の連結基の場合、下記式(C)で表されることが好ましい。

−R−Q−C(=O)−Q− 一般式(C)

一般式(C)中、Rは上記Yと同義であり、好ましい形態も同じである。
及びQは−O−、−S−、又は−NR−を示す。Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。Rがアルキル基の場合、メチル又はエチルが好ましい。
は−O−、−CHO−又は−COO−で表される2価の連結基を示し、−COO−であることが好ましい。
、x及びxは0以上の整数であり、且つx、x及びxの合計は1〜100である。
は0〜50であることが好ましく、0〜30であることがより好ましく、0〜20であることがさらに好ましい。
は0〜50であることが好ましく、0〜30であることがより好ましく、0〜20であることがさらに好ましい。
は1〜100であることが好ましく、1〜50であることがより好ましく、1〜30であることがさらに好ましい。
は1〜30の整数であり、1〜20の整数であることがより好ましく、1〜10の整数であることがさらに好ましい。
Zは下記一般式(5)で表される基を示す。
Figure 0006235978
一般式(5)中、R11は炭素数1〜4の無置換のアルキル基を示し、好ましくはメチル又はエチルである。yは1〜100の整数であり、1〜50の整数であることが好ましく、1〜20の整数であることがより好ましい。
上記構成単位(c)は、炭素数12〜22のアルキル基を有する構成単位であることが好ましく、炭素数15〜20のアルキル基を有する構成単位であることがより好ましく、炭素数16〜18のアルキル基を有する構成単位であることがさらい好ましい。このアルキル基は直鎖アルキル基でも分岐を有するアルキル基でもよく、直鎖アルキル基であることが好ましい。
上記構成単位(c)として採り得る炭素数12〜22のアルキル基を有する構成単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が12〜22、好ましくは15〜20、より好ましくは16〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル)に由来することが好ましい。
樹脂微粒子が上記構成単位(c)を有することにより、耐擦性、耐傷性、及び耐ブロッキング性が良好な画像を得ることができる。その詳細な理由は定かではないが、構成単位(c)の有する基が画像の表面エネルギーを小さくし、画像表面の動摩擦力が低減することにより、画像を擦った際に画像にかかる応力が小さくなるためと推定される。
以下に、上記構成単位(c)を導くモノマー(上記構成単位(c)が由来するモノマー)の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記構造式中、dは12〜22の整数である。
Figure 0006235978
Figure 0006235978
Figure 0006235978
Figure 0006235978
Figure 0006235978
Figure 0006235978
本発明に用いる樹脂微粒子を構成する樹脂中、上記構成単位(a)の含有率は1〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、2〜7質量%がさらに好ましい。
本発明に用いる樹脂微粒子を構成する樹脂中、上記構成単位(b)の含有率は2〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
本発明に用いる樹脂微粒子を構成する樹脂中、上記構成単位(c)の含有率は2〜60質量%が好ましい。
より詳細には、上記構成単位(c)が炭素数12〜22のアルキル基を有する構成単位である場合には、樹脂微粒子を構成する樹脂中、上記構成単位(c)の含有率は2〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜50質量%がさらに好ましく、20〜40質量%が最も好ましい。
また、上記構成単位(c)が一般式(3)で表される構成単位である場合には、樹脂微粒子を構成する樹脂中、上記構成単位(c)の含有率は2〜40質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。
また、上記構成単位(c)が一般式(4)で表される構成単位である場合には、樹脂微粒子を構成する樹脂中、上記構成単位(c)の含有率は2〜50質量%が好ましく、2〜40質量%がより好ましく、2〜30質量%がさらに好ましい。
なかでも本発明に用いる樹脂微粒子を構成する樹脂が有する上記構成単位(c)が炭素数12〜22のアルキル基を有する構成単位であり、且つ、上記構成単位(c)の含有率が20〜50質量%(好ましくは20〜40質量%)であることが好ましい。
上記樹脂微粒子を構成する樹脂は、通常は上記構成単位(a)〜(c)以外の構成単位(以下、単に「他の構成単位」という。)を含む。この場合、他の構成単位としては、上記構成単位(a)〜(c)以外の(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位が好ましい。
他の構成単位は、−L−OHで表される1価の基、−CONR−で表される2価の基、及び−SONR−で表される2価の基から選択される基を含む構成単位(以下、構成単位(d)という。)を含むことも好ましい。
Lはアルキレン基(直鎖アルキレン基でも分岐を有するアルキレン基でもよい。好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基)を示す。
は、水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル又はエチル)を示す。Rは水素原子であることが好ましい。
他の構成単位として構成単位(d)を有することにより、インクの耐擦性、耐傷性及び耐ブロッキング性をより高めることができる。その理由は定かではないが、−L−OHや−CONR−が水素結合の水素供与基あるいは水素受容基として機能し、樹脂に動的架橋状態を作り出し、樹脂を硬くし過ぎずに、樹脂の強度を適度に高めるためと推定される。
上記−CONR−で表される2価の基が結合する原子は炭素原子であることが好ましい。また、上記−CONR−で表される2価の基は、−OCONR−又は−NRCONR−の形態で構成単位中に組み込まれていることも好ましい。
なお、上記の−CONR−、−SONR−、及び−OCONR−が構成単位(c)中に組み込まれる向きに特に制限はない。
構成単位(d)は、下記一般式(6)で表される構成単位、下記一般式(7)で表される構成単位、又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位であることが好ましい。このヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、より好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。
Figure 0006235978
一般式(6)中、Aは上記一般式(1)におけるAと同義であり、好ましい形態も同じである。
12は水素原子、又はメチルを示し、メチルであることが好ましい。
13は2価の連結基を示す。R13は、−(CHO−(mは1〜10の整数であり、好ましくは1〜5の整数、さらに好ましく1〜3の整数、さらに好ましくは2である)、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基)、又はアリーレン基(好ましくはフェニレン基)であることが好ましい。
は−CONR−及び−SONR−から選択される2価の基を有する2価の連結基を示す。Bはより具体的には、−CONR−、−SONR−、−SONRCO−及び−NRCONR−から選択される2価の連結基であることが好ましい。Rは、水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル又はエチル)を示す。Rは水素原子であることが好ましい。
なお、上記の−CONR−、−SONR−がB中に組み込まれる向きに特に制限はない。例えば、B中の−CONR−は、その炭素原子がR側に向いていてもよいし、窒素原子がR側に向いていてもよい。また、−SONR−は、その硫黄原子がR側に向いていてもよいし、窒素原子がR側に向いていてもよい。また、−SONRCO−は、その硫黄原子がR側に向いていてもよいし、炭素原子がR側に向いていてもよい。
14は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基(好ましくは炭素数2〜8、さらに好ましくは炭素数4〜7のアルキル基)、アラルキル基(好ましくはベンジル)、芳香族基(アリール基でもヘテロアリール基でもよい。好ましくはフェニル、トリル、キシリル、メシチル、ピリジル)、アリールオキシ基(好ましくはフェノキシ)又はアラルキルオキシ基(好ましくはベンジルオキシ)である。
Figure 0006235978
上記一般式(7)中、R15は水素原子又はメチルを示し、水素原子であることが好ましい。
16及びR17は水素原子又はアルキル基を示す。このアルキル基は直鎖でも分岐を有してもよい。また、このアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜4がさらに好ましく、イソプロピル、エチル又はメチルがさらに好ましい。
樹脂微粒子を構成する樹脂中、上記構成単位(d)の含有率は1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがさらに好ましい。
構成単位(a)〜(d)以外の、他の構成単位の具体例として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートから選ばれるモノマーに由来する構成単位が好ましい。
上記樹脂微粒子を構成する樹脂中、構成単位(a)〜(d)以外の、他の構成単位の含有率は、90質量%以下が好ましく、20〜90質量%がより好ましく、40〜85質量%がさらに好ましい。また、上記樹脂微粒子を構成する樹脂中、構成単位(a)〜(d)以外の、他の構成単位の含有率は20〜80質量%であることも好ましく、20〜70質量%であることも好ましく、30〜60質量%であることも好ましい。
上記樹脂微粒子を構成する樹脂中、上記構成単位(a)の含有率と上記構成単位(b)の含有率が、質量比で、構成単位(a):構成単位(b)=2:3〜2:15であることが好ましく、構成単位(a):構成単位(b)=2:3〜2:10であることがより好ましく、構成単位(a):構成単位(b)=2:4〜2:6であることがさらに好ましい。
上記樹脂微粒子を構成する樹脂(ポリマー)の重量平均分子量(Mw)は、3000〜20万であることが好ましく、10000〜20万であることがより好ましく、30000〜15万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。尚、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定することができる。
本発明の水性インク組成物に含まれる樹脂微粒子の樹脂が、上記構成単位(a)〜(c)のすべてを有することにより、樹脂微粒子が水性媒体中に安定に分散した形態をとることができ、且つ、水性インク組成物を用いて形成した画像に、高度な耐擦性、耐傷性、及び耐ブロッキング性を付与することができ、且つ、水性インク組成物をインクジェット方式で吐出した際の吐出安定性も良好となる。
本発明の水性インク組成物中において、上記樹脂微粒子の粒径は、インク吐出性の観点から1〜400nmであることが好ましく、1〜300nmであることがより好ましく、1〜200nmであることがさらに好ましく、2〜100nmであることがさらに好ましい。
樹脂微粒子の上記粒径は体積平均粒径を意味する。この体積平均粒径は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
上記樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)が40℃以上であることが好ましい。また、インクジェットの吐出性の観点から、樹脂微粒子のガラス転移温度の上限は、250℃であることが好ましい。
上記樹脂微粒子のガラス転移温度は、好ましくは50〜230℃の範囲であり、好ましくは60〜200℃の範囲である。ガラス転移温度をこの範囲内とすることにより、画像の耐擦性及び面あれ抑制をより高いレベルで両立しうる。
上記樹脂微粒子のガラス転移温度は、従来公知の方法によって適宜に制御することができる。例えば、樹脂微粒子を構成する樹脂の合成に用いるモノマーの種類やその構成比率、樹脂微粒子を構成するポリマーの分子量等を適宜に調整することで、樹脂微粒子のガラス転移温度を所望の範囲に制御することができる。
本発明において、樹脂微粒子のガラス転移温度は、実測によって得られる測定Tgを適用する。
測定Tgは、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220を用いて、昇温速度10℃/分で測定ときに、樹脂微粒子のガラス転移に伴いベースラインが変化しはじめる温度と、再びベースラインに戻る温度との平均として測定される。
但し、樹脂の分解、感度等により測定が困難な場合には、下記の計算式で算出される計算Tgを適用する。計算Tgは下記の式により計算されるものである。

1/Tg=Σ(X/Tg

ここで、計算対象となる樹脂はi=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xはi番目のモノマーの重量分率(ΣX=1)、Tgはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。但し、Σはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tg)は、Polymer Handbook (3rd Edition) (J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用する。
本発明の水性インク組成物中、上記樹脂微粒子の含有量は、インク粘度、耐擦性、耐傷性、画像の光沢性の観点から1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。
上記樹脂微粒子は、転相乳化法により調製することができる。
転送乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解し、この溶解液(有機連続相)に、樹脂が有する塩生成基(例えば酸性基)を中和するための化合物(例えば塩基)を加えて中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)を行い、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
上記樹脂微粒子は、自己分散性樹脂微粒子であることがより好ましい。
ここで、自己分散性樹脂微粒子とは、界面活性剤の不存在下、転相乳化法により分散状態としたとき、樹脂自身が有する官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性樹脂をいう。
ここで、分散状態とは、水性媒体中に水不溶性樹脂が液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性樹脂が固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
また、「水不溶性」とは、水100質量部(25℃)に対する溶解量が5.0質量部以下であることを指す。
<顔料>
本発明の水性インク組成物は、1種又は2種以上の顔料が分散してなる形態が好ましい。
本発明の水性インク組成物に用いられる顔料の種類に特に制限はなく、通常の有機又は無機顔料を用いることができる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、又は多環式顔料が好ましい。
アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料が挙げられる。
多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料が挙げられる。
染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラックが挙げられる。
本発明に用いることができる顔料の具体例は、特開2007−100071号公報の段落番号0142〜0145に記載の顔料などが挙げられる。
本発明の水性インク組成物中の顔料の体積平均粒径は、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。体積平均粒径が200nm以下であることで色再現性が良好になり、インクジェット方式の場合には打滴特性が良好になる。また、体積平均粒径が10nm以上であることで、耐光性が良好になる。水性インク組成物中の顔料の体積平均粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。
また、本発明の水性インク組成物中の顔料の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ着色剤を、2種以上混合して使用してもよい。
なお、顔料の体積平均粒径は、上述の樹脂微粒子の体積平均粒径の測定と同様の方法で測定することができる。
本発明の水性インク組成物が顔料を含む場合、着色性、保存安定性の観点から、水性インク組成物中の顔料の含有量は、1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
− 分散剤 −
本発明の水性インク組成物が顔料を含む場合、顔料としては、顔料が分散剤によって水性媒体中に分散された着色粒子(以下、単に「着色粒子」という)を調製し、これを水性インク組成物の原料として用いることが好ましい。
上記分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性ポリマー分散剤でも水不溶性ポリマー分散剤の何れでもよい。
上記低分子の界面活性剤型分散剤については、例えば、特開2011−178029号公報の段落0047〜0052に記載された公知の低分子の界面活性剤型分散剤を用いることができる。
上記ポリマー分散剤のうち、水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物が挙げられる。例えば、天然の親水性高分子化合物では、アラビアガム、トラガンガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子等が挙げられる。
また、天然物を原料に修飾した親水性高分子化合物では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子等が挙げられる。
更に、合成系の親水性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸のホモポリマーや、アクリル酸、メタクリル酸と他のモノマーとの共重合体などのように、カルボキシル基が導入された親水性高分子化合物が好ましい。
水不溶性ポリマー分散剤は、水不溶性のポリマーであって、顔料を分散可能であれば特に制限はなく、従来公知の水不溶性ポリマー分散剤を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤は、例えば、疎水性の構造単位と親水性の構造単位の両方を含んで構成することができる。
ここで、疎水性の構造単位を構成するモノマー成分としては、スチレン系モノマー成分、アルキル(メタ)アクリレート成分、芳香族基含有(メタ)アクリレート成分等を挙げることができる。
また、親水性の構造単位を構成するモノマー成分としては、親水性基を含むモノマー成分であれば特に制限はない。この親水性基としては、ノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。なお、ノニオン性基は、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基、アルキレンオキシド重合体(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)に由来する基、糖アルコールに由来する基等が挙げられる。
上記親水性構造単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基を共に含む形態であることもまた好ましい。
水不溶性ポリマー分散剤として、具体的には、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
水不溶性ポリマー分散剤は、顔料の分散安定性の観点から、カルボキシ基を含むビニルポリマーであることが好ましい。さらに、疎水性の構造単位として少なくとも芳香族基含有モノマーに由来する構造単位を有し、親水性の構造単位としてカルボキシル基を含む構造単位を有するビニルポリマーであることがより好ましい。
また、水不溶性ポリマー分散剤の重量平均分子量は、顔料の分散安定性の観点から、3,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜100,000、さらに好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000である。
着色粒子における分散剤の含有量は、顔料の分散性、インク着色性、分散安定性の観点から、顔料100質量部に対し、分散剤が10〜90質量部であることが好ましく、20〜70質量部がより好ましく、30〜50質量部が特に好ましい。
着色粒子中の分散剤の含有量が、上記範囲内にあることにより、顔料が適量の分散剤で被覆され、粒径が小さく経時安定に優れた着色粒子を得やすい傾向となり好ましい。
着色粒子は、例えば、顔料、分散剤、必要に応じて溶媒(好ましくは有機溶剤)等を含む混合物を、分散機により分散することで得ることができる。
より詳細には、例えば、顔料と、分散剤と、この分散剤を溶解又は分散する有機溶剤との混合物に、塩基性物質を含む水溶液を加える工程(混合・水和工程)の後、有機溶剤を除く工程(溶剤除去工程)を設けて分散物として製造することができる。これにより、顔料が微細に分散され、保存安定性に優れた着色粒子の分散物を作製することができる。
上記有機溶剤は、分散剤を溶解又は分散できることが必要であるが、これに加えて水に対してある程度の親和性を有することが好ましい。具体的には、20℃において水に対する溶解度が10〜50質量%以下であるものが好ましい。
有機溶剤の好ましい例としては、水溶性有機溶剤が挙げられる。なかでもイソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。有機溶剤は、1種単独で用いても複数併用してもよい。
上記塩基性物質は、ポリマーが有することがあるアニオン性基(好ましくは、カルボキシル基)の中和に用いられる。アニオン性基の中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる着色剤粒子の分散物の液性が、例えばpHが4.5〜10であるものが好ましい。上記ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
着色粒子分散物の製造工程での有機溶剤の除去は、特に方法が限定されるものではなく、減圧蒸留等の公知に方法により除去できる。
本発明のインク組成物において、上記着色粒子は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<界面活性剤>
本発明のインク組成物は、表面張力調整剤として界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用することができる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテ硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、t−オクチルフェノキシエトキシポリエトキシエチル硫酸ナトリウム塩等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物等のアセチレンジオール誘導体、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、具体的には、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
これらの界面活性剤のなかでも、安定性の点から、ノニオン性界面活性剤が好ましく、アセチレンジオール誘導体がより好ましい。
本発明の水性インク組成物をインクジェット記録方式に用いる場合、インク吐出性の観点から、水性インク組成物の表面張力が20〜60mN/mとなるよう界面活性剤の量を調整することが好ましく、より好ましくは20〜45mN/mとなる量であり、さらに好ましくは25〜40mN/mとなる量である。
水性インク組成物の表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、25℃の温度下で測定される。
インク組成物中の界面活性剤の含有量は、インク組成物を上記表面張力の範囲内とすることができる量であることが好ましい。より具体的には、インク組成物中の界面活性剤の含有量が0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%であり、更に好ましくは0.2〜3質量%である。
<他の成分>
本発明の水性インク組成物は、さらに必要に応じて、乾燥防止剤(膨潤剤)、着色防止剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘土調整剤、pH調製剤、キレート剤等の添加剤を混合してもよい。混合方法に特に制限はなく、通常用いられる混合方法を適宜に選択し、本発明の水性インク組成物を得ることができる。
<水性インク組成物の物性>
本発明の水性インク組成物の30℃での粘度は、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上13mPa・s未満であり、更に好ましくは2.5mPa・s以上10mPa・s未満である。
水性インク組成物の粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、30℃の温度下で測定される。
本発明の水性インク組成物のpHは、分散安定性の観点から、25℃におけるpHが6〜11が好ましい。後述のインクセットとする場合は、処理剤との接触によってインク組成物が高速で凝集することが好ましいため、25℃におけるpHが7〜10がより好ましく、7〜9がさらに好ましい。
[インクセット]
本発明のインクセットは、少なくとも、本発明の水性インク組成物(顔料を含有する)からなるパーツと、このインク組成物と接触して顔料の凝集体を形成可能な処理剤とを含む。また、本発明のインクセットは、インクジェット記録用ヘッドに付着した水性インク組成物(例えば、乾燥して固形化したインク固形物)を除去するために用いるメンテナンス液を含んでいてもよい。
本発明の水性インク組成物と、上記処理剤とを用いて画像を形成することにより、良好な画像品質で、硬化感度が高く、耐ブロッキング性に優れた画像が形成できる。
以下、インクセットを構成する処理剤について説明する。
<処理剤>
本発明のインクセットを構成する処理剤は、本発明のインク組成物と接触することでインク組成物中の顔料を含む凝集体を形成可能な成分(凝集成分)を含有する。この凝集成分としては、酸性化合物、多価金属塩及びカチオン性ポリマーから選ばれる成分が挙げられ、凝集成分が酸性化合物であることが好ましい。処理剤は、凝集成分の他に、必要に応じて他の成分を含んでもよい。
本発明のインクセットを構成する処理剤は、通常は水溶液の形態である。
− 酸性化合物 −
酸性化合物は、記録媒体上においてインク組成物と接触することにより、インク組成物を凝集(固定化)することができるものであり、固定化剤として機能する。例えば、酸性化合物を含む処理剤を記録媒体(好ましくは、塗工紙)に付与した状態で、この記録媒体にインク組成物を着滴すれば、インク組成物中の成分を凝集させることができ、インク組成物を記録媒体上に固定化することができる。
酸性化合物としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、シュウ酸、酢酸、安息香酸が挙げられる。揮発抑制と溶媒への溶解性の両立という観点から、酸性化合物は分子量35以上1000以下の酸が好ましく、分子量50以上500以下の酸がさらに好ましく、分子量50以上200以下の酸が特に好ましい。また、pKa(in HO、25℃)としては、インクにじみ防止と光硬化性の両立という観点から、−10以上7以下の酸が好ましく、1以上7以下の酸がより好ましく、1以上5以下の酸が特に好ましい。
pKaはAdvanced Chemistry Development(ACD/Labs)Software V11.02(1994−2014 ACD/Labs)による計算値、あるいは文献値(例えばJ.Phys.Chem.A 2011,115,6641−6645等)に記載の値を用いることができる。
これらの中でも、水溶性の高い酸性化合物が好ましい。また、インク組成物と反応してインク全体を固定化させる観点から、3価以下の酸性化合物が好ましく、2価又は3価の酸性化合物が特に好ましい。
処理剤には、酸性化合物を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
処理剤が酸性化合物を含む水溶液である場合、処理剤のpH(25℃)は、0.1〜6.8であることが好ましく、0.1〜6.0であることがより好ましく、0.1〜5.0であることがさらに好ましい。
処理剤が凝集成分として酸性化合物を含む場合、処理剤中の酸性化合物の含有量は、40質量%以下が好ましく、15〜40質量%がより好ましく、15質量%〜35質量%がさらに好ましく、20質量%〜30質量%が特に好ましい。処理剤中の酸性化合物の含有量を15〜40質量%とすることでインク組成物中の成分をより効率的に固定化することができる。
処理剤が凝集成分として酸性化合物を含む場合、処理剤の記録媒体への付与量としては、インク組成物を凝集させるに足る量であれば特に制限はないが、インク組成物を固定化し易いとの観点から、酸性化合物の付与量が0.5g/m〜4.0g/mとなるように処理剤を付与することが好ましく、0.9g/m〜3.75g/mとなるように処理剤を付与することが好ましい。
− 多価金属塩 −
処理剤としては、凝集成分として多価金属塩の1種又は2種以上を含む形態も好ましい。凝集成分として多価金属塩を含有させることで、高速凝集性を向上させることができる。多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)の塩、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)の塩、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)の塩、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩を挙げることができる。金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
処理剤が凝集成分として多価金属塩を含む場合、処理剤中の多価金属塩の含有量としては、凝集効果の観点から、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜7質量%であり、更に好ましくは2〜6質量%の範囲である。
また、処理剤としては、凝集成分として1種又は2種以上のカチオン性ポリマーを含有することも好ましい。カチオン性ポリマーとしては、カチオン性基として、第一級〜第三級アミノ基、又は第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性モノマーの単独重合体や、このカチオン性モノマーと非カチオン性モノマーとの共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。カチオン性ポリマーとしては、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態で用いてもよい。
カチオン性ポリマーの好ましい具体例として、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、ポリグアニド、又はポリアリルアミン及びその誘導体などのカチオン性ポリマーを挙げることができる。
上記カチオン性ポリマーの重量平均分子量としては、処理剤の粘度の観点では分子量が小さい方が好ましい。処理剤をインクジェット方式で記録媒体に付与する場合には、1,000〜500,000の範囲が好ましく、1,500〜200,000の範囲がより好ましく、更に好ましくは2,000〜100,000の範囲である。重量平均分子量は、1000以上であると凝集速度の観点で有利であり、500,000以下であると吐出信頼性の点で有利である。但し、処理剤をインクジェット以外の方法で記録媒体に付与する場合には、この限りではない。
処理剤が凝集成分としてカチオン性ポリマーを含む場合、処理剤中のカチオン性ポリマーの含有量としては、凝集効果の観点から、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは2〜30質量%であり、更に好ましくは2〜20質量%の範囲である。
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、顔料を含有する本発明の水性インク組成物を用いて画像を形成する方法である。
本発明の画像形成方法は好ましくは、
上記処理剤を記録媒体上に付与する処理剤付与工程と、
処理剤付与工程後の記録媒体上に、顔料を含む本発明のインク組成物を付与して画像を形成するインク付与工程とを含む。
<記録媒体>
本発明のインクジェット記録方法に用いる記録媒体に特に制限はないが、紙媒体であることが好ましい。すなわち、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。
記録媒体としては、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、王子製紙社製の「OKプリンス上質」、日本製紙社製の「しらおい」、及び日本製紙社製の「ニューNPI上質」等の上質紙(A)、日本製紙社製の「シルバーダイヤ」等の上質コート紙、王子製紙社製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙社製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙社製の「OKコートL」及び日本製紙社製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙社製の「OKトップコート+」及び日本製紙社製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙社製の「OK金藤+」及び三菱製紙社製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。また、インクジェット記録用の各種写真専用紙を用いることも可能である。
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙(コート紙)が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。塗工紙は、通常の水性インクジェットによる画像形成においては、画像の光沢や擦過耐性など、品質上の問題を生じやすいが、上記インク組成物ないしインクセットを用いる場合には、光沢ムラが抑制されて光沢性、耐擦性の良好な画像を得ることができる。特に、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましい。より具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙又は微塗工紙がより好ましい。
上記の中でも、色材移動の抑制効果が大きく、従来以上に色濃度及び色相の良好な高品位な画像を得る観点から、記録媒体の水の吸収係数Kaは、0.05〜0.5mL/m・ms1/2が好ましく、0.1〜0.4mL/m・ms1/2がより好ましく、0.2〜0.3mL/m・ms1/2がさらに好ましい。
水の吸収係数Kaは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No51:2000(発行:紙パルプ技術協会)に記載されているものと同義であり、具体的には、吸収係数Kaは、自動走査吸液計KM500Win(熊谷理機社製)を用いて接触時間100msと接触時間900msにおける水の転移量の差から算出されるものである。
<処理剤付与工程>
処理剤付与工程では、上記インクセットに含まれる上記処理剤が記録媒体上に付与される。処理剤は通常は水溶液の状態で記録媒体上に付与される。処理剤の記録媒体上への付与は、公知の液体付与方法を特に制限なく用いることができ、スプレー塗布、塗布ローラー等の塗布、インクジェット方式による付与、浸漬などの任意の方法を選択することができる。
具体的には、例えば、ホリゾンタルサイズプレス法、ロールコーター法、カレンダーサイズプレス法などに代表されるサイズプレス法;エアーナイフコーター法などに代表されるサイズプレス法;エアーナイフコーター法などに代表されるナイフコーター法;ゲートロールコーター法などのトランスファーロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、リバースロールコーター法、スクイズロールコーター法などに代表されるロールコーター法;ビルブレードコーター法、ショートデュエルコーター法;ツーストリームコーター法などに代表されるブレードコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;キャストコーター法;グラビアコーター法;カーテンコーター法;ダイコーター法;ブラシコーター法;転写法などが挙げられる。
また、特開平10−230201号公報に記載の塗布装置のように、液量制限部材を備えた塗布装置を用いることで、塗布量を制御して塗布する方法であってもよい。
処理剤を付与する領域は、記録媒体全体に付与する全面付与であっても、インク付与工程でインクが付与される領域に部分的に付与する部分付与であってもよい。本発明においては、処理液の付与量を均一に調整し、細線や微細な画像部分等を均質に記録し、画像ムラ等の濃度ムラを抑える観点から、塗布ローラー等を用いた塗布によって記録媒体の画像形成面の全体に付与する全面付与が好ましい。
処理剤の付与量を上記範囲に制御して塗布する方法としては、例えば、アニロックスローラーを用いた方法が挙げられる。アニロックスローラーとは、セラミックが溶射されたローラー表面をレーザーで加工しピラミッド型や斜線、亀甲型などの形状を付したローラーである。このローラー表面に付けられた凹みの部分に処理液が入り込み、紙面と接触すると転写されて、アニロックスローラーの凹みで制御された塗布量にて塗布される。
<インク付与工程>
インク付与工程では、上記インクセットに含まれるインク組成物が記録媒体上に付与される。インク組成物の付与方法としては、所望の画像様にインク組成物を付与可能な方法であれば、特に制限はなく公知のインク付与方法を用いることができる。例えば、インクジェット方式、謄写方式、捺転方式等の手段により、記録媒体上にインク組成物を付与する方法を挙げることができる。中でも、記録装置のコンパクト化と高速記録性の観点から、インク組成物をインクジェット方式によって付与する工程であることが好ましい。
インクジェット方式による画像形成では、エネルギーを供与することにより、記録媒体上にインク組成物を吐出し、着色画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
インクジェット方式には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等のいずれであってもよい。
また、インクジェット方式で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。さらに上記インクジェット方式により記録を行う際に使用するインクノズル等についても特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
なお、インクジェット方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
またインクジェット方式として、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行うシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行うことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
本発明において、上記処理剤付与工程とインク付与工程の実施順は特に制限はないが、画像品質の観点から、酸処理剤付与工程後にインク付与工程が行われる態様であることが好ましい。すなわちインク付与工程は、処理剤が付与された記録媒体上に本発明の水性インク組成物を付与する工程であることが好ましい。
インク付与工程をインクジェット方式で実施する場合、高精細印画を形成する観点から、インクジェット方式により吐出される水性インク組成物の液滴量が1.5〜3.0pLであることが好ましく、1.5〜2.5pLであることより好ましい。吐出されるインク組成物の液滴量は、吐出条件を適宜に調整して調節することができる。
<インク乾燥工程>
本発明の画像形成方法は、必要に応じて、記録媒体上に付与された水性インク組成物中の溶媒(例えば、水、前述の水系媒体など)を乾燥除去するインク乾燥工程を備えていてもよい。インク乾燥工程は、インク溶媒の少なくとも一部を除去できれば特に制限はなく、通常用いられる方法を適用することができる。
<熱定着工程>
本発明の画像形成方法は、必要により、上記インク乾燥工程の後に、熱定着工程を備えることが好ましい。熱定着処理を施すことにより、記録媒体上の画像の定着が施され、画像の擦過に対する耐性をより向上させることができる。熱定着工程として、例えば、特開2010−221415号公報の段落[0112]〜[0120]に記載の熱定着工程を採用することができる。
<インク除去工程>
本発明のインクジェット記録方法は、必要に応じて、インクジェット記録用ヘッドに付着した水性インク組成物(例えば、乾燥により固形化したインク固形物)をメンテナンス液により除去するインク除去工程を含んでいてもよい。メンテナンス液及びインク除去工程の詳細は、国際公開第2013/180074号に記載されたメンテナンス液及びインク除去工程を好ましく適用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[樹脂微粒子の調製]
<樹脂微粒子B−01の調製>
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン293.0gを仕込んで、80℃まで昇温した。反応容器内温度を80℃に保ちながら、メチルメタクリレート135g、ジメチルアミノエチルメタクリレート15.0g、ステアリルメタクリレート120g、メタクリル酸30.0g、メチルエチルケトン48g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)1.25gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、1時間攪拌した。
次いで、「V−601」0.60g、メチルエチルケトン5.0gからなる溶液を加え、2時間攪拌した。この工程を4回繰り返し、さらに「V−601」0.60g、メチルエチルケトン5.0gからなる溶液を加え、3時間攪拌した。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したところ68000であった。
GPCによるMwの測定には、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用いた。カラムとしてTSKgeL Super AWM−H(東ソー(株)製、6.0mmID×15cm)を3本直列に接続し、溶離液としてはNMP(N−メチルピロリドン)を用いた。試料濃度を0.2質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を60μl、測定温度を40℃とし、検出器としてはIR検出器を用いた。検量線は、東ソー(株)製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−80」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−2500」、「A−500」の6サンプルを用いて作成した。
− 転相乳化法 −
次に、上記共重合溶液588.2gを秤量し、イソプロパノール165g、20%マレイン酸水溶液2.0g、1モル/LのNaOH水溶液138.8mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に蒸留水718gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化せしめた。その後、大気圧下にて、反応容器内温度を80℃として2時間、次いで反応容器内温度を85℃として2時間、さらに反応容器内温度を90℃として2時間保って溶媒を留去した。その後、反応容器内を減圧して、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を留去し、固形分濃度25.0%の自己分散性の樹脂微粒子B−01の水性分散物を得た。尚、得られた樹脂微粒子の体積平均粒子径は63nm(粒子径はマイクロトラックUPA EX−150(日機装(株)製)で測定した)であった。
なお、下記の樹脂微粒子B−01の各構成単位の数字は質量比を表す。また、各構成単位に示される「*」は樹脂中に組み込まれるための連結部位を示す。このことは以下に記載する各構造式についても同様である。
Figure 0006235978
<樹脂微粒子B−02〜B−30の調製>
上記樹脂微粒子B−01の合成において、使用するモノマーの種類と量を、下記B−02〜B−30に示される質量比となるように変更したこと以外は、樹脂微粒子B−01の調製と同様にして、樹脂微粒子B−02〜B−30を得た。得られた樹脂微粒子B−02〜B−30の物性を表1に示した。なお、樹脂微粒子B−02〜B−30の調製における転相乳化法では、樹脂中の解離性基1モルに対してNaOHの量が0.55モルとなるように、NaOH水溶液(1モル/L)の量を調整した。
Figure 0006235978
Figure 0006235978
Figure 0006235978
Figure 0006235978
Figure 0006235978
<比較樹脂微粒子BH−1、BH−2、BH−3の調製>
上記樹脂微粒子B−01の調製において、使用するモノマーの種類と量を、下記BH−1〜BH−3に示される質量比となるように変更したこと以外は、上記樹脂微粒子B−01の調製と同様にして、比較樹脂微粒子BH−1〜BH−3を得た。樹脂微粒子BH−1〜BH−2の調製における転相乳化法では、樹脂中の解離性基1モルに対してNaOHの量が0.55モルとなるように、NaOH水溶液(1モル/L)の量を調整した。
Figure 0006235978
[実施例、比較例]
<水性インク組成物の調製>
(ブラックインクK−01の調製)
−水不溶性ポリマー分散剤の合成−
反応容器に、スチレン6部、ステアリルメタクリレート11部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成製)4部、プレンマーPP−500(日本油脂製)5部、メタクリル酸5部、2−メルカプトエタノール0.05部、メチルエチルケトン24部の混合溶液を調液した。
一方、スチレン14部、ステアリルメタクリレート24部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成製)9部、プレンマーPP−500(日本油脂製)9部、メタクリル酸10部、2−メルカプトエタノール0.13部、メチルエチルケトン56部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部からなる混合溶液を調液し、滴下ロートに入れた。
次いで、窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を1時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から2時間経過後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部をメチルエチルケトン12質量部に溶解した溶液を3時間かけて滴下し、更に75℃で2時間、更に80℃で2時間熟成させ、水不溶性ポリマー分散剤のメチルエチルケトン溶液を得た。
得られた水不溶性ポリマー分散剤溶液の一部について、溶媒を除去することによって単離し、得られた固形分をテトラヒドロフランにて0.1質量%に希釈し、GPCにて重量平均分子量を測定した。その結果、単離された固形分は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が25,000であった。
−ブラック顔料分散液の調液−
得られた水不溶性ポリマー分散剤溶液を固形分換算で5.0g、顔料分散体CAB−O−JETTM 200(カーボンブラック、CABOT社製)10.0g、メチルエチルケトン40.0g、1mol/L水酸化ナトリウム8.0g、イオン交換水82.0g、0.1mmジルコニアビーズ300gをベッセルに供給し、レディーミル分散機(アイメックス社製)で1000rpm6時間分散した。得られた分散液をエバポレーターでメチルエチルケトンが十分留去できるまで減圧濃縮した。顔料濃度を10%になるように調整して、水不溶性ポリマー分散剤で表面が被覆された顔料よりなる着色粒子の分散液として、ブラック顔料分散液BK−1を得た。
上記ブラック顔料分散液BK−1と、樹脂微粒子B−01の水性分散物と、水系媒体として、水、サンニックスGP250(三洋化成工業(株)製)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(和光純薬(株)製)の混合液とを用い、下記のインク組成になるようにインクを調液した。調液後1μmフィルターで粗大粒子を除去し、水性インク組成物としてブラックインクK−01を調製した。
〈ブラックインクK−01のインク組成〉
・ブラック顔料(ピグメントブルー15:3、大日精化製) 3質量%
・水不溶性ポリマー分散剤 1.5質量%
・B−01(固形分換算) 8質量%
・サンニックスGP250 10質量%
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5質量%
・オルフィンE1010(日信化学製) 1質量%
・イオン交換水 合計が100質量%となるように添加
(ブラックインクK−02〜30、KA−1〜KA−3の調製)
ブラックインクK−01の調製において、樹脂微粒子B−01に代えて、下表に示した樹脂微粒子を用いた以外は、ブラックインクK−01と同様にして、水性インク組成物であるブラックインクK−02〜30、KA−1〜KA−3をそれぞれ調製した。
上記で調製したブラックインクの粘度は、30℃においていずれも2〜15mPa・sの範囲内にあった。粘度は、BROOKFIELD社製DV−II+VISCOMETERにて測定した。
また、表面張力は、協和界面科学社製CBVP−Zを用いて、白金プレート法で測定した。上記で調製したブラックインクの表面張力は、いずれも20〜60mN/mの範囲内にあった。
<処理液の調製>
下記配合組成で各成分を混合し、酸処理液(酸処理剤)を得た。
得られた酸処理液の物性は、粘度4.2mPa・s(25℃)、表面張力40.8mN/m(25℃)、pH0.1(25℃)であった。
ここで、粘度、表面張力、及びpHは、それぞれ、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学社製)、及びpHメーターWM−50EG(東亜DDK社製)を用いて測定した。
<処理液の組成>
・TPGmME(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル)・・・4.8質量%
・DEGmBE(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) ・・・4.8質量%
・マロン酸 ・・・16.0質量%
・リンゴ酸 ・・・7.8質量%
・プロパントリカルボン酸 ・・・3.5質量%
・リン酸85質量%水溶液 ・・・15.0質量%
・消泡剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製TSA−739(15%);エマルジョン型シリコーン消泡剤)
・・・0.07質量%
・イオン交換水 ・・・合計で100質量%となる量
[試験例]
上記の如く調製した各ブラックインク(以下、単に「インク」ということがある)について、インクの耐擦性試験、耐傷性試験、及び耐ブロッキング性試験を行った。結果を下表に示す。
<耐擦性>
特菱アート両面N(記録媒体、三菱製紙製)を500mm/秒で稼動するステージ上に固定し、処理液をワイヤーバーコーターで約1.7g/mとなるように塗布し、直後に50℃で2秒間乾燥させた。その後、走査方向に対して斜めに配置して固定してあるリコー社製GELJET GX5000プリンターヘッドで解像度1200×1200dpi、打滴量3.5pL、ライン方式で、各ブラックインクによりブラック色のべた画像を印字した。印字直後、60℃のホットプレート上に画像形成面を上にして載せて、すぐにドライヤーを用いて120℃の温風で10秒乾燥させた。
未印字の特菱アート両面N(三菱製紙製)を文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未印字の特菱アートと評価サンプルが接触する面積は150mm)、上記印字サンプルを10往復擦った。擦った後の未印字の特菱アート両面N(三菱製紙製)を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〜評価基準〜
A+:擦った後の擦り紙に画像(色材)の色移りが視認できなかった。
A :擦った後の擦り紙において、擦り面の面積の10%未満にうっすらとした色移りが認められたが、実用上問題のないレベルであった。
B :擦った後の擦り紙において、擦り面の面積の10%以上にうっすらとした色移りが認められたが、実用上問題のないレベルであった。
C :擦った後の擦り紙に画像(色材の)色移りが明らかに視認でき、実用上問題になるレベルであった。
<耐傷性>
特菱アート両面N(記録媒体、三菱製紙製)を500mm/秒で稼動するステージ上に固定し、処理液をワイヤーバーコーターで約1.7g/mとなるように塗布し、直後に50℃で2秒間乾燥させた。その後、走査方向に対して斜めに配置して固定してあるリコー社製GELJET GX5000プリンターヘッドで解像度1200×1200dpi、打滴量3.5pL、ライン方式で、各ブラックインクによりブラック色のべた画像を印字した。印字直後、60℃のホットプレート上に画像形成面を上にして載せて、すぐにドライヤーを用いて120℃の温風で10秒乾燥させた。
未印字の特菱アート両面N(三菱製紙製)を文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未印字の特菱アートと評価サンプルが接触する面積は150mm)、上記印字サンプルを20往復擦った。擦った後の印字サンプルを目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〜評価基準〜
A+:印字面に画像(色材)のはがれが視認できなかった。
A :印字面の面積の5%未満の画像(色材)にうっすらとしたはがれが認められたが、実用上問題のないレベルであった。
B :印字面の面積の5%以上の画像(色材)にうっすらとしたはがれが認められたが、実用上問題のないレベルであった。
C :印字面に画像(色材)のはがれが明らかに視認でき、実用上問題になるレベルであった。
<耐ブロッキング性>
特菱アート両面N(記録媒体、三菱製紙製)を500mm/秒で稼動するステージ上に固定し、処理液をワイヤーバーコーターで約1.7g/mとなるように塗布し、直後に50℃で2秒間乾燥させた。その後、走査方向に対して斜めに配置して固定してあるリコー社製GELJET GX5000プリンターヘッドで解像度1200×1200dpi、打滴量3.5pL、ライン方式で、各ブラックインクによりブラック色のべた画像を印字した。印字直後、60℃のホットプレート上に画像形成面を上にして載せて、すぐにドライヤーを用いて120℃の温風で10秒乾燥させた。
印字サンプルを3cm四方のサイズで2枚に裁断した。次に2枚の印画面同士が向かい合うように、4角を合わせて重ねた。これを、60℃、50%RHの環境条件下において、50℃のホットプレート上に載置した。その上に2.5cm×2.5cmの面を紙側に向けて2.5cm×2.5cm×0.3cmの平板のゴム版を置き、さらにその上に2.5cm×2.5cmの面をゴム版に向けて2.5cm×2.5cm×0.3cmの平板のプラスチック版を置いた。プラスチック版の上に300gのビーズ入りの容器を載せて20分静置した後、重ねあわせた2枚の紙を剥がして、下記評価基準に従って耐ブロッキング性を評価した。
〜評価基準〜
A+:自然に剥がれた。
A :剥がすときに抵抗があったが、サンプルの色移りはなかった。
B :印字面の面積の10%未満の範囲に色移りが多少あったが、実用上問題のないレベルであった。
C :印字面の面積の10%以上の範囲に色移りがあり、実用上問題になるレベルであった。
Figure 0006235978
上記表1に示されるように、樹脂微粒子を構成する樹脂が、構成単位(a)及び(c)のいずれも含まない場合には、耐擦性に劣り色移りが生じやすく、さらに耐ブロッキング性にも劣る結果となった(比較例1)。
樹脂微粒子を構成する樹脂に構成単位(c)を組み込むことで、耐ブロッキング性を向上させることができたが、耐擦性は改善しなかった(比較例2)。
逆に、樹脂微粒子を構成する樹脂に構成単位(a)を組み込むことで、耐擦性を向上させることができたが、耐ブロッキング性は改善しなかった。
これに対し、樹脂微粒子を構成する樹脂が、構成単位(a)〜(c)のすべてを含む場合には、耐擦性と耐ブロッキング性の両特性が改善され、さらに耐傷性も向上する傾向となった。
<吐出安定性>
上記実施例及び比較例で調製したインクを、リコー社製GELJETG717のカートリッジに詰め替え、特菱両面アートN(三菱製紙(株)製)上に、リコー社製GELJETG717プリンターヘッドを用いて、解像度1200×600dpi、インク打滴量12pLになるように打滴した。連続して打滴して2時間後の状態を観察することで、打滴安定性を下記評価基準に従って評価した。
〜評価基準〜
A+:吐出不良がなかった。
A :吐出不良がほとんどなく、実用上問題ないレベルであった。
B :吐出不良がみられ、実用上の限界レベルであった。
C :吐出不良が多く、実用上問題になるレベルであった。
Figure 0006235978
上記表2に示されるように、実施例の水性インク組成物は、吐出安定性に優れることがわかった。特に、樹脂微粒子を構成する樹脂が、構成単位(c)として長鎖アルキル基を有する構成単位を特定量含む場合に、吐出安定性が大きく向上した。

Claims (15)

  1. 少なくとも水性媒体、分散剤で表面が被覆された顔料及び樹脂微粒子をそれぞれ含有する水性インク組成物であって、
    前記樹脂微粒子が、前記水性インク組成物中に、微粒子の状態で存在し、
    前記微粒子の体積平均粒径が、1〜400nmであり、
    前記樹脂微粒子の樹脂が、下記構成単位(a)、(b)(c)及び(e)を有し、
    前記顔料を被覆する分散剤が、前記樹脂微粒子と異なる成分構成の分散剤である、水性インク組成物
    〔構成単位〕
    (a)下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表される構成単
    (b)酸性基を有する構成単
    (c)炭素数12〜22のアルキル基を有する構成単位、又は下記一般式(3)で表される構成単位、又は下記一般式(4)で表される構成単
    (e)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、又はジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート由来の構成単位
    Figure 0006235978
    一般式(1)中、Aは−O−又は−NR−を示す。Rは水素原子又はアルキル基を示す。Rは水素原子又はメチルを示す。Rは2価の連結基を示す。R及びRは炭素数1〜6のアルキル基を示す。
    一般式(2)中、Rは水素原子又はメチルを示す。Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
    一般式(3)中、Rは水素原子又はメチルを示す。Aは単結合又は2価の連結基を示す。R及びRは水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。mは0以上の整数を示し、nは1以上の整数を示す。
    一般式(4)中、R10は水素原子又はメチルを基示す。Yは2価の連結基を示し、Xは単結合又は2価の連結基を示し、Aは−O−、−CHO−又は−COO−で表される2価の連結基を示す。x、x及びxは0以上の整数であり、且つx、x及びxの合計は1〜100である。yは1〜30の整数である。Zは下記一般式(5)で表される基を示す。
    Figure 0006235978
    一般式(5)中、R11は炭素数1〜4の無置換のアルキル基を示し、yは1〜100の整数である。
  2. 前記水性インク組成物が、前記水性媒体、前記分散剤で被覆された顔料および前記樹脂微粒子をそれずれ含み、かつ、これらの成分以外に含有してもよい成分が、有機溶剤、塩基性物質、塩基性物質の塩、乾燥防止剤、着色防止剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘土調整剤、pH調製剤およびキレート剤から選択される成分である、請求項1に記載の水性インク組成物。
  3. 前記樹脂微粒子の樹脂の重量平均分子量が、53000〜20万である、請求項1又は2に記載の水性インク組成物。
  4. 前記水性インク組成物中の前記樹脂微粒子の含有量が、8〜30質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
  5. 前記水性インク組成物中の顔料の含有量が、1〜20質量%であって、前記分散剤が、該顔料100質量部に対し、10〜90質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
  6. 前記樹脂微粒子の樹脂中、前記構成単位(a)の含有率が1〜15質量%であり、前記構成単位(b)の含有率が2〜20質量%であり、前記構成単位(c)の含有率が2〜60質量%であり、かつ前記構成単位(e)の含有率が20〜90質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
  7. 前記樹脂微粒子の樹脂中、前記構成単位(a)の含有率と前記構成単位(b)の含有率が、質量比で、構成単位(a):構成単位(b)=2:3〜2:15である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
  8. 前記構成単位(c)が炭素数12〜22のアルキル基を有する構成単位であり、前記樹脂微粒子の樹脂中、前記構成単位(c)の含有率が20〜50質量%である、請求項1〜のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
  9. 前記樹脂微粒子が転相乳化法により調製されたものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性インク組成物と、該水性インク組成物中の顔料を凝集させるための処理剤とを含むインクセット。
  11. 前記処理剤が、酸性化合物、多価金属塩又はカチオン性ポリマーを含む、請求項10に記載のインクセット。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性インク組成物を用いた画像形成方法。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性インク組成物中の顔料を凝集させるための処理剤を記録媒体上に付与する処理剤付与工程と、
    処理剤付与工程後の記録媒体上に請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性インク組成物を付与して画像を形成するインク付与工程とを含む、画像形成方法。
  14. 前記記録媒体が塗工紙である、請求項13に記載の画像形成方法。
  15. 前記インク付与工程が、処理剤付与工程後の記録媒体上に、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性インク組成物をインクジェット方式により付与して画像を形成する工程である、請求項13又は14に記載の画像形成方法。
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