JP6237622B2 - リチウムイオン二次電池負極用スラリー、リチウムイオン二次電池用電極及びその製造方法、並びにリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下の通りである。
前記結着剤が、芳香族ビニル単量体単位50重量%〜80重量%及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位0.5重量%〜10重量%を含む粒子状重合体であり、
該粒子状重合体の表面酸量が、0.20meq/g以上であり、
該粒子状重合体の、エチレンカーボネート及びジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比:エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)との接触角が、50°以下である、リチウムイオン二次電池負極用スラリー。
〔2〕 前記負極活物質が、スズ、ケイ素、ゲルマニウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、〔1〕に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
〔3〕 前記水溶性重合体が、酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体単位を20重量%以上含む重合体を含む、〔1〕又は〔2〕に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
〔4〕 前記エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位が、エチレン性不飽和ジカルボン酸単量体を重合して形成された構造単位である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
〔5〕 前記エチレン性不飽和ジカルボン酸単量体が、イタコン酸である、〔4〕に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
〔6〕 前記粒子状重合体が、さらに水酸基含有単量体単位を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
〔7〕 前記水酸基含有単量体が、2−ヒドロキシエチルアクリレートである、〔6〕に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
〔8〕 前記粒子状重合体のTHF不溶分が、70重量%以上であり、
前記粒子状重合体のTHF膨潤度が、25倍以下である、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
〔9〕 〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリーを、集電体上に塗布し、乾燥することを含む、リチウムイオン二次電池用負極の製造方法。
〔10〕 正極、負極、電解液及びセパレーターを備え、
前記負極が、〔9〕に記載の製造方法により製造されたリチウムイオン二次電池用負極である、リチウムイオン二次電池。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法によれば、集電体に対する負極活物質層の密着性に優れ、また、高温環境におけるサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を実現しうるリチウムイオン二次電池用負極を製造できる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、集電体に対する負極活物質層の密着性に優れ、また、高温環境におけるサイクル特性に優れる。
本発明のリチウムイオン二次電池負極用スラリー(以下、適宜「負極用スラリー」ということがある。)は、結着剤、負極活物質及び水溶性重合体を含む流体状の組成物である。また、本発明の負極用スラリーは、通常、溶媒を含む。
結着剤としては、粒子状重合体を用いる。この粒子状重合体は、負極活物質層において負極活物質同士を結着させたり、負極活物質と集電体とを結着させたりしうる。本発明のリチウムイオン二次電池用負極(以下、適宜「負極」ということがある。)では、この粒子状重合体が負極活物質を強固に保持しうるので、集電体に対する負極活物質層の密着性を高めることができる。また、粒子状重合体は、通常は負極活物質層に含まれる負極活物質以外の粒子をも結着し、負極活物質層の強度を維持する役割も果たしうる。特に、粒子状重合体は、その形状が粒子形状であることにより、結着性が特に高く、リチウムイオン二次電池の容量低下及び充放電の繰り返しによる劣化を顕著に抑えることができる。
本発明に係る粒子状重合体は、芳香族ビニル単量体単位を含む。芳香族ビニル単量体単位とは、芳香族ビニル単量体が重合して形成される構造単位である。芳香族ビニル単量体単位は剛性が高い構造単位であるので、芳香族ビニル単量体単位を含むことにより、粒子状重合体の剛性を高くすることができる。このため、粒子状重合体の破断強度を向上させることができる。また、粒子状重合体の剛性が高いことにより、例えばケイ素化合物等の負極活物質が充放電に伴い膨張及び収縮を繰り返した場合でも、粒子状重合体は負極活物質との接触を損なわないように負極活物質に当接しうる。したがって、集電体への負極活物質層の密着性を高めることができる。特に、充放電を繰り返した場合に前記の密着性の向上効果が顕著である。また、芳香族ビニル単量体単位が多いと粒子状重合体の剛性が高くなるので、膨張及び収縮で生じた応力によって移動した負極活物質を強い力で元の位置に戻すことができる。したがって、負極活物質が膨張及び収縮を繰り返しても負極活物質層が膨張し難くすることができる。
ここで、粒子状重合体における芳香族ビニル単量体単位の割合は、通常、粒子状重合体の全単量体における芳香族ビニル単量体の比率(仕込み比)に一致する。
本発明に係る粒子状重合体は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を含む。エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位とは、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を重合して形成される構造単位である。エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位が有するカルボキシル基(−COOH基)は、高い極性を有し、負極活物質及び集電体への粒子状重合体の結着性を高める作用を有する。また、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位は強度が高い構造単位である。このため、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を含むことにより、粒子状重合体の強度を強くし且つ表面酸量を増やして、集電体に対する負極活物質層の密着性を高めることができる。また、カルボキシル基が有する極性により、粒子状重合体の水に対する親和性を高めることができる。したがって、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を用いれば、水中において粒子状重合体を安定に分散させて、負極用スラリーの安定性を向上させることができる。さらに、カルボキシル基が有する極性により、粒子状重合体の極性溶媒に対する親和性が向上するので、粒子状重合体の電解液に対する濡れ性を改善することができる。
ここで、粒子状重合体におけるエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の割合は、通常、粒子状重合体の全単量体におけるエチレン性不飽和カルボン酸単量体の比率(仕込み比)に一致する。
本発明に係る粒子状重合体は、水酸基含有単量体単位を含むことが好ましい。水酸基含有単量体単位とは、水酸基含有単量体を重合して形成される構造単位である。水酸基含有単量体単位が有する水酸基(−OH基)は高い極性を有し、負極活物質及び集電体への粒子状重合体の結着性を高める作用を有する。このため、水酸基含有単量体単位を含むことにより、集電体に対する負極活物質層の密着性を更に高めることができる。また、水酸基が有する極性により、粒子状重合体の水に対する親和性を高めることができる。したがって、水酸基含有単量体単位を用いれば、水中において粒子状重合体を更に安定に分散させて、負極用スラリーの安定性を向上させることができる。さらに、水酸基が有する極性により、粒子状重合体の極性溶媒に対する親和性が向上するので、粒子状重合体の電解液に対する濡れ性を更に改善することができる。
ここで、粒子状重合体における水酸基含有単量体単位の割合は、通常、粒子状重合体の全単量体における水酸基含有単量体の比率(仕込み比)に一致する。
本発明に係る粒子状単量体は、必要に応じて、芳香族ビニル単量体単位、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位、及び水酸基含有単量体単位以外に任意の構造単位を含んでいてもよい。それら任意の構造単位に対応する単量体の例を挙げると、脂肪族共役ジエン単量体、シアン化ビニル単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体などが挙げられる。
脂肪族共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、及びα−エチルアクリロニトリルが挙げられる。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。
不飽和カルボン酸アミド単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、及びN,N−ジメチルアクリルアミドが挙げられる。
また、これらの単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせても用いてもよい。
(表面酸量)
本発明に係る粒子状重合体の表面酸量は、通常0.20meq/g以上、好ましくは0.23meq/g以上であり、通常0.8meq/g以下、好ましくは0.60meq/g以下である。表面酸量を多くすることにより、粒子状重合体の水に対する濡れ性を改善できる。これにより、水中における粒子状重合体の分散安定性を向上させることができるので、負極用スラリーの粘度上昇を抑制できる。したがって、負極用スラリーの塗布性を改善できるので、欠陥の少ない負極活物質を製造できるようになり、リチウムイオン二次電池の低温出力特性を改善することができる。また、粒子状重合体の表面酸量が多いと、粒子状重合体を含む水分散液の表面張力を低くして、粒子状重合体を含む水分散液の負極活物質及び集電体に対する濡れ性を改善できる。このため、負極用スラリーを集電体に塗布する際にマイグレーションを防止することができるので、集電体に対する負極活物質層の密着性を高めることができる。したがって、充放電を繰り返しても負極活物質層が集電体から剥がれ難くなり、リチウムイオン二次電池のサイクル特性(特に、高温環境でのサイクル特性)を改善することができる。
粒子状重合体を含む水分散液(固形分濃度2%)を調製する。蒸留水で洗浄した容量150mlのガラス容器に、前記粒子状重合体を含む水分散液を、粒子状重合体の重量で50g入れ、溶液電導率計にセットして攪拌する。以後、攪拌は、塩酸の添加が終了するまで継続する。
粒子状重合体を含む水分散液の電気伝導度が2.5mS〜3.0mSになるように、0.1規定の水酸化ナトリウムを粒子状重合体を含む水分散液に添加する。その後、6分経過してから、電気伝導度を測定する。この値を測定開始時の電気伝導度とする。
(a) 粒子状重合体1g当りの表面酸量=A2−A1
(b) 粒子状重合体1g当りの水相中の酸量=A3−A2
(c) 水中に分散した粒子状重合体1g当りの総酸基量=A3−A1
エチレンカーボネート及びジエチルカーボネートの混合溶媒に対する本発明に係る粒子状重合体の接触角は、通常50°以下、好ましくは45°以下である。また、下限は理想的には0°であるが、通常30°以上である。ここで、前記の混合溶媒におけるエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積比は、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2である。このように混合溶媒に対する接触角が小さいことは、粒子状重合体の電解液に対する濡れ性に優れることを意味する。粒子状重合体が混合溶媒に対する濡れ性に優れることにより、低温においても負極活物質層の内部にまで電解液が容易に進入できる。したがって、負極活物質と電解液との間のイオン交換の場を広くできるので、抵抗を下げることが可能となり、リチウムイオン二次電池の低温出力特性を改善することができる。
粒子状重合体を含む水分散液を用意し、この水分散液を室温下で乾燥させて、厚み0.2mm〜0.5mmのフィルムを形成する。25℃のドライルーム(露点温度−40℃以下の環境下)において、このフィルム上に、前記の混合溶媒を滴下し、水平方向から測定装置(例えば、協和界面科学株式会社製「DMs−400」)を用いて観察する。観察された像から、接線法により接触角を求める。
本発明の粒子状重合体のTHF不溶分は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは75重量%以上、特に好ましくは80重量%以上であり、理想的には100重量%である。ここでTHF不溶分とは、THF(即ち、テトラヒドロフラン)に溶解しない成分をいう。粒子状重合体のTHF不溶分が多いことにより、粒子状重合体が電解液に溶解し難くなり、電解液による負極活物質層と集電体との密着性の低下を抑制できる。このため、リチウムイオン二次電池のサイクル特性(特に、高温環境でのサイクル特性)を改善することができる。また、THF不溶分の割合を多くすることにより、粒子状重合体の剛性を高くすることができるので、粒子状重合体の破断強度を向上させて、集電体と負極活物質層との密着性を高めることもできる。また、負極活物質が膨張及び収縮を繰り返しても負極活物質層が膨張し難くすることができる。粒子状重合体のTHF不溶分の割合は、例えば、粒子状重合体の分子量により制御しうる。
粒子状重合体を含む水分散液を用意し、この水分散液を室温下で乾燥させて、厚み0.2mm〜0.5mmのフィルムを形成する。このフィルムを1mm角に裁断し、約1gを精秤する。裁断により得られたフィルム片の重量をW0とする。
このフィルム片を、100gのテトラヒドロフラン(THF)に24時間浸漬する。その後、THFから引き揚げたフィルム片の重量W1を測定する。下記式にしたがって重量変化を計算し、これをTHF膨潤度とする。
THF膨純度(%)=W1/W0×100
THF不溶分の割合(%)=W2/W0×100
粒子状重合体の重量平均分子量は、好ましくは2,000,000以下である。粒子状重合体の重量平均分子量が上記範囲にあると、本発明の負極の強度及び負極活物質の分散性を良好にし易い。粒子状重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、テトラヒドロフランを展開溶媒としたポリスチレン換算の値として求めうる。
粒子状重合体の数平均粒子径は、好ましくは50nm以上、より好ましくは70nm以上であり、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下である。粒子状重合体の数平均粒子径が上記範囲にあることで、得られる負極の強度および柔軟性を良好にできる。
ここで、数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡写真で無作為に選んだ粒子状重合体100個の径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均粒子径である。粒子の形状は、球形及び異形のどちらでもかまわない。
粒子状重合体の量は、負極活物質100重量部に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上であり、通常50重量部以下、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。粒子状重合体の量をこの範囲にすることにより、負極活物質層と集電体との密着性を充分に確保でき、リチウムイオン二次電池の容量を高くでき、且つ、リチウムイオン二次電池用電極の内部抵抗を低くすることができる。
粒子状重合体は、例えば、上述した芳香族ビニル単量体及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体、並びに、必要に応じて用いられる水酸基含有単量体及び任意の単量体を含む単量体組成物を水系溶媒中で重合し、重合体の粒子とすることにより製造しうる。
単量体組成物中の各単量体の比率は、通常、粒子状重合体における構造単位(例えば、芳香族ビニル単量体単位、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位及び水酸基含有単量体単位)の比率と同様にする。
また、アミン類などの添加剤を重合助剤として用いてもよい。
負極活物質は、負極用の電極活物質であり、リチウムイオン二次電池の負極において電子の受け渡しをする物質である。負極活物質として、通常は、リチウムを吸蔵及び放出しうる物質を用いる。
好適な負極活物質を挙げると、例えば、炭素が挙げられる。炭素としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック等が挙げられ、中でも天然黒鉛を用いることが好ましい。
この中でも、ケイ素を含む負極活物質が好ましい。ケイ素を含む負極活物質を用いることにより、リチウムイオン二次電池の電気容量を大きくすることが可能となる。また、一般にケイ素を含有する負極活物質は充放電に伴って大きく(例えば5倍程度に)膨張及び収縮するが、本発明の負極用スラリーを用いた負極においては、ケイ素を含有する負極活物質の膨張及び収縮による電池性能の低下を抑制することができる。
複合化の方法としては、例えば、金属ケイ素及びケイ素系活物質の一方又は両方をカーボンによりコーティングすることにより複合化する方法;導電性カーボンと金属ケイ素及びケイ素系活物質の一方又は両方とを含む混合物を造粒することにより複合化する方法;等が挙げられる。
負極活物質が粒子である場合、その体積平均粒子径は、二次電池の他の構成要件との兼ね合いで適宜選択される。具体的な負極活物質の粒子の体積平均粒子径は、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下である。ここで、体積平均粒子径は、レーザー回折法で測定された粒度分布において小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を採用する。
水溶性重合体は、負極用スラリーにおいて、通常、負極活物質及び粒子状重合体を均一に分散させる作用、及び、負極用スラリーの粘度を調整する作用を奏しうる。また、水溶性重合体は、負極用スラリーの表面張力を低下させて、負極用スラリーの集電体に対する濡れ性を改善し、負極活物質層の集電体に対する密着性を向上させる作用を奏しうる。さらに、水溶性重合体は、負極において、通常、負極活物質同士の間並びに負極活物質と集電体との間に介在し、負極活物質及び集電体を結着する作用を奏しうる。
酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記の式(I)において、R2は、フッ素原子を含有する炭化水素基を表す。炭化水素基の炭素数は、通常1以上であり、通常18以下である。また、R2が含有するフッ素原子の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。
ここで、酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体単位を含む重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ジメチルホルムアミドの10体積%水溶液に0.85g/mlの硝酸ナトリウムを溶解させた溶液を展開溶媒としたポリスチレン換算の値として求めうる。
また、重合反応の手順は、粒子状重合体の製造における手順と同様にしうる。これにより、通常は水系溶媒に酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体単位を含む重合体が溶解した水溶液が得られる。こうして得られた水溶液から重合体を取り出してもよいが、通常は、水系溶媒に溶解した状態の重合体を用いて負極用スラリーを製造し、その負極用スラリーを用いて負極を製造しうる。
酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体単位を含む重合体を、任意の水溶性重合体と組み合わせて用いる場合は、水溶性重合体の全量における、酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体単位を含む重合体の量は、所定の範囲に収めることが好ましい。酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体単位を含む重合体の具体的な量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下である。酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体単位を含む重合体の量を前記範囲の下限値以上とすることにより負極活物質層と集電体との密着性を充分に確保できる。また、上限値以下とすることにより負極用スラリーの粘度安定性の確保ができる。
本発明の負極用スラリーでは、溶媒として、通常は水を用いる。溶媒は、負極用スラリーにおいて、負極活物質を分散させたり、粒子状重合体を分散させたり、水溶性重合体を溶解させたりしうる。この際、負極用スラリーでは、一部の水溶性重合体は水に溶解しているが、別の一部の水溶性重合体は負極活物質の表面に吸着している。負極活物質に吸着した水溶性重合体は負極活物質の表面を安定な層で覆うので、負極活物質の溶媒中での分散性が向上している。さらに、本発明に係る粒子状重合体も、上述したように、溶媒中での分散性が高い。このため、本発明の負極用スラリーは、集電体に塗布する際の塗工性が良好である。
負極用スラリーは、上述した粒子状重合体、負極活物質、水溶性重合体及び溶媒以外に任意の成分を含みうる。その例を挙げると、導電材、補強材、レベリング剤、ナノ粒子及び電解液添加剤等が挙げられる。また、これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
導電材としては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、気相成長カーボン繊維、およびカーボンナノチューブ等の導電性カーボンなどが挙げられる。導電材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
導電材の量は、負極活物質の量100重量部に対して、好ましくは1重量部〜20重量部、より好ましくは1重量部〜10重量部である。
補強材の量は、負極活物質の量100重量部に対して、通常0.01重量部以上、好ましくは1重量部以上であり、通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下である。補強材の量を上記範囲とすることにより、リチウムイオン二次電池は高い容量と高い負荷特性を示すことができる。
レベリング剤の量は、負極活物質の量100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜10重量部である。レベリング剤が上記範囲であることにより負極作製時の生産性、平滑性及び電池特性に優れる。また、界面活性剤を含有させることにより負極用スラリーにおいて負極活物質等の分散性を向上することができ、さらにそれにより得られる負極の平滑性を向上させることができる。
ナノ粒子の量は、負極活物質の量100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜10重量部である。ナノ粒子が上記範囲であることにより、負極用スラリーの安定性及び生産性を改善し、高い電池特性を実現できる。
電解液添加剤の量は、負極活物質の量100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜10重量部である。電解液添加剤の量を上記範囲にすることにより、サイクル特性及び高温特性に優れた二次電池を実現できる。
負極用スラリーは、例えば、負極活物質、粒子状重合体、水溶性重合体及び溶媒、並びに必要に応じて用いられる任意の成分を混合して製造しうる。この際の具体的な手順は任意である。例えば、負極活物質、粒子状重合体、水溶性重合体及び導電材を含む負極用スラリーを製造する場合には、溶媒に負極活物質、粒子状重合体、水溶性重合体及び導電材を同時に混合する方法;溶媒に水溶性重合体を溶解した後、溶媒に分散させた粒子状重合体を混合し、その後で負極活物質及び導電材を混合する方法;溶媒に分散させた粒子状重合体に負極活物質及び導電材を混合し、この混合物に溶媒に溶解させた水溶性重合体を混合する方法;などが挙げられる。
上述した本発明の負極用スラリーを用いることにより、負極を製造できる。この負極は、集電体と、集電体上に形成された負極活物質層とを備える。前記の負極活物質層が本発明の負極用スラリーが含んでいた粒子状重合体、負極活物質及び水溶性重合体を含むので、集電体と負極活物質層との密着性は高くなっている。
集電体は、負極活物質層との密着強度を高めるため、表面に予め粗面化処理して使用することが好ましい。粗面化方法としては、例えば、機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。機械的研磨法においては、例えば、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシ等が使用される。また、負極活物質層の密着強度や導電性を高めるために、集電体の表面に中間層を形成してもよい。
乾燥温度及び乾燥時間は、集電体に塗布した負極用スラリーに含まれる溶媒を除去できる温度と時間が好ましい。具体的な範囲を挙げると、乾燥時間は通常1分〜30分であり、乾燥温度は通常40℃〜180℃である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上述した負極を備える。具体的には、本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液及びセパレーターを備え、前記負極が、上述した製造方法により本発明の負極用スラリーを用いて製造された負極となっている。
上述した負極を備えるので、本発明のリチウムイオン二次電池はサイクル特性に優れ、中でも高温環境でのサイクル特性に特に優れる。また、通常は、充放電に伴う負極の膨らみを抑制できたり、低温出力特性を改善したりできる。
正極は、通常、集電体と、集電体の表面に形成された、正極活物質及び正極用の結着剤を含む正極活物質層とを備える。
また、上記の無機化合物と有機化合物の混合物を正極活物質として用いてもよい。
正極活物質は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
電解液としては、例えば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものを使用してもよい。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)NLiなどのリチウム塩が挙げられる。特に溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF6、LiClO4、CF3SO3Liは好適に用いられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
セパレーターとしては、通常、気孔部を有する多孔性基材を用いる。セパレーターの例を挙げると、(a)気孔部を有する多孔性セパレーター、(b)片面または両面に高分子コート層が形成された多孔性セパレーター、(c)無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート層が形成された多孔性セパレーター、などが挙げられる。これらの例としては、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリオレフィン系、またはアラミド系多孔性セパレーター、ポリビニリデンフルオリド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルまたはポリビニリデンフルオリドヘキサフルオロプロピレン共重合体などの固体高分子電解質用またはゲル状高分子電解質用の高分子フィルム;ゲル化高分子コート層がコートされたセパレーター;無機フィラーと無機フィラー用分散剤とからなる多孔膜層がコートされたセパレーター;などが挙げられる。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、特に限定されない。例えば、上述した負極と正極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口してもよい。さらに、必要に応じてエキスパンドメタル;ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子;リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をしてもよい。電池の形状は、例えば、ラミネートセル型、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型などいずれであってもよい。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
〔1.粒子状重合体の表面酸量の測定方法〕
粒子状重合体を含む水分散液の固形分濃度を2%に調整する。蒸留水で洗浄した容量150mlのガラス容器に、前記粒子状重合体を含む水分散液を、粒子状重合体の重量で50g入れ、溶液電導率計(京都電子工業社製「CM−117」、使用セルタイプ:K−121)にセットして攪拌する。以後、攪拌は、塩酸の添加が終了するまで継続する。
(a) 粒子状重合体1g当りの表面酸量=A2−A1
(b) 粒子状重合体1g当りの水相中の酸量=A3−A2
(c) 水中に分散した粒子状重合体1g当りの総酸基量=A3−A1
粒子状重合体を含む水分散液を用意し、この水分散液を室温下で乾燥させて、厚み0.2mm〜0.5mmに成膜した。成膜したフィルムを1mm角に裁断し、約1gを精秤した。この裁断により得られたフィルム片の重量をW0とする。
このフィルム片を、100gのテトラヒドロフラン(THF)に24時間浸漬した。その後、THFから引き揚げたフィルム片の重量W1を測定した。そして、下記式にしたがって重量変化を計算し、これをTHF膨潤度とした。
THF膨純度(%)=W1/W0×100
THF不溶分の割合(%)=W2/W0×100
前記の〔2.THF膨潤度及び不溶分の測定〕で粒子状重合体を含む水分散液を成膜して得られたフィルムを用いて、下記の要領で接触角を測定した。
測定装置として、接触角計(協和界面科学株式会社製「DMs−400」)を用意した。また、接触角を測定するための試料として、エチレンカーボネート及びジエチルカーボネートを、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2(体積比)で含む混合溶媒を用意した。この混合溶媒を、25℃のドライルーム(露点温度−40℃以下の環境下)において前記のフィルム上に滴下し、水平方向からの前記の測定装置を用いて観察像を画像解析することで、接線法により接触角を求めた。
実施例及び比較例で製造した負極を、長さ100mm、幅10mmの長方形に切り出して試験片とした。この試験片を、負極活物質層の表面を下にして、負極活物質層の表面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしてはJIS Z1522に規定されるものを用いた。また、セロハンテープは水平な試験台に固定しておいた。その後、集電体の一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。この測定を3回行い、その平均値を求めて、当該平均値をピール強度(N/m)とした。ピール強度が大きいほど、負極活物質層の銅箔への結着力が大きいこと、すなわち、密着強度が大きいことを示す。
実施例及び比較例で製造したラミネート型セルのリチウムイオン二次電池を24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1C、5時間の充電操作を行い、このときの電圧V0を測定した。その後、−25℃の環境下で、0.1Cの放電の操作を行い、放電開始10秒後の電圧V10を測定した。低温出力特性は、ΔV=V0−V10で示す電圧変化ΔV(mV)にて評価した。この電圧変化ΔVの値が小さいほど、低温出力特性に優れることを示す。
実施例及び比較例で製造したラミネート型セルのリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置させた。その後、0.1Cの定電流法によって、4.2Vに充電し3.0Vまで放電する充放電の操作を行い、その時の電気容量(初期容量C0)を測定した。さらに、60℃の環境下で、0.1Cの定電流法によって、4.2Vに充電し3.0Vまで放電する充放電の操作を100回(100サイクル)繰り返し、100サイクル後の電気容量C2を測定した。高温サイクル特性は、ΔCC=C2/C0×100(%)で示す容量変化率ΔCC(%)にて評価した。この容量変化率ΔCCの値が高いほど、高温サイクル特性に優れることを示す。
(1−1.粒子状重合体の製造)
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、1,3−ブタジエン30部、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてイタコン酸4部、芳香族ビニル単量体としてスチレン65部、水酸基含有単量体として2−ヒドロキシエチルアクリレート1部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4部、イオン交換水150部、及び、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、50℃に加温して重合を開始した。
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、ブチルアクリレート50部、エチルアクリレート20部、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてメタクリル酸30部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4部、溶媒としてイオン交換水150部、及び重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、60℃に加温して重合を開始した。
ディスパー付きのプラネタリーミキサーに、負極活物質として比表面積4m2/gの人造黒鉛(体積平均粒子径:24.5μm)75部及びSiOx(信越化学社製;平均粒子径5μm)25部と、分散剤として機能しうる水溶性重合体としてカルボキシメチルセルロースの1%水溶液(第一工業製薬株式会社製「BSH−6」、1%水溶液粘度3400mPa・s)を固形分相当で0.90部とを加え、イオン交換水で固形分濃度55%に調整した。その後、25℃で60分混合した。次に、イオン交換水で固形分濃度52%に調整した。その後、さらに25℃で15分混合し、混合液を得た。
上記(1−3.負極用スラリーの製造)で得られた負極用スラリーを、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmの銅箔の上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して負極原反を得た。この負極原反をロールプレスで圧延して、負極活物質層の厚みが80μmの負極を得た。
得られた負極について、上述した要領で、負極活物質層の銅箔への密着強度を測定した。
正極用の結着剤として、ガラス転移温度Tgが−40℃で、数平均粒子径が0.20μmのアクリレート重合体の40%水分散体を用意した。このアクリレート重合体は、アクリル酸2−エチルヘキシル78重量%、アクリロニトリル20重量%、及びメタクリル酸2重量%を含む単量体混合物を乳化重合して得られた共重合体である。
単層のポリプロピレン製セパレーター(幅65mm、長さ500mm、厚さ25μm;乾式法により製造;気孔率55%)を用意した。このセパレーターを、5×5cm2の正方形に切り抜いた。
電池の外装として、アルミニウム包材外装を用意した。上記(1−5.正極の製造)で得られた正極を、4×4cm2の正方形に切り出し、集電体側の表面がアルミニウム包材外装に接するように配置した。正極の正極活物質層の面上に、上記(1−6.セパレーターの用意)で得られた正方形のセパレーターを配置した。さらに、上記(1−4.負極の製造)で得られた負極を、4.2×4.2cm2の正方形に切り出し、これをセパレーター上に、負極活物質層側の表面がセパレーターに向かい合うよう配置した。これに、電解液として濃度1.0MのLiPF6溶液(溶媒はEC/DEC=1/2(体積比)の混合溶媒)を充填した。さらに、アルミニウム包材外装の開口を密封するために、150℃のヒートシールをしてアルミニウム包材外装を閉口し、リチウムイオン二次電池を製造した。
得られたリチウムイオン二次電池について、高温サイクル特性、及び低温出力特性を評価した。
前記(1−1.粒子状重合体の製造)において、1,3−ブタジエンの量を20部に変更し、スチレンの量を75部に変更した。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の量を固形分相当で0.97部に変更し、水溶性重合体1を含む水溶液の量を水溶性重合体1の量で0.03部に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記(1−1.粒子状重合体の製造)において、1,3−ブタジエンの量を33部に変更し、イタコン酸の量を1部に変更した。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の量を固形分相当で0.97部に変更し、水溶性重合体1を含む水溶液の量を水溶性重合体1の量で0.03部に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記(1−1.粒子状重合体の製造)において、1,3−ブタジエンの量を26部に変更し、イタコン酸の量を8部に変更した。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の量を固形分相当で0.97部に変更し、水溶性重合体1を含む水溶液の量を水溶性重合体1の量で0.03部に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記(1−1.粒子状重合体の製造)において、イタコン酸の代わりにマレイン酸を用いた。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の量を固形分相当で0.97部に変更し、水溶性重合体1を含む水溶液の量を水溶性重合体1の量で0.03部に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記(1−1.粒子状重合体の製造)において、1,3−ブタジエンの量を15部に変更し、スチレンの量を80部に変更した。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の量を固形分相当で0.97部に変更し、水溶性重合体1を含む水溶液の量を水溶性重合体1の量で0.03部に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記(1−1.粒子状重合体の製造)において、1,3−ブタジエンの量を31部に変更し、2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いなかった。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の量を固形分相当で0.97部に変更し、水溶性重合体1を含む水溶液の量を水溶性重合体1の量で0.03部に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、人造黒鉛の量を65部に変更し、SiOxの量を45部に変更し、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の量を固形分相当で0.97部に変更し、水溶性重合体1を含む水溶液の量を水溶性重合体1の量で0.03部に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、人造黒鉛の量を90部に変更し、SiOxの量を10部に変更し、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の量を固形分相当で0.97部に変更し、水溶性重合体1を含む水溶液の量を水溶性重合体1の量で0.03部に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の量を固形分相当で1.00部に変更し、水溶性重合体1を含む水溶液を用いなかった。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、ブチルアクリレート40部、エチルアクリレート20部、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート10部、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてメタクリル酸30部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4部、溶媒としてイオン交換水150部、及び重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、60℃に加温して重合を開始した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、ブチルアクリレート40部、エチルアクリレート20部、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート10部、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてメタクリル酸20部、エチレン性不飽和スルホン酸単量体として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸10部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4部、溶媒としてイオン交換水150部、及び重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、60℃に加温して重合を開始した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、人造黒鉛の量を100部に変更し、SiOxを用いなかった。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記(1−1.粒子状重合体の製造)において、1,3−ブタジエンの量を47部に変更し、スチレンの量を48部に変更した。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の量を固形分相当で0.97部に変更し、水溶性重合体1を含む水溶液の量を水溶性重合体1の量で0.03部に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記(1−1.粒子状重合体の製造)において、1,3−ブタジエンの量を33.8部に変更し、イタコン酸の量を0.2部に変更した。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の量を固形分相当で0.97部に変更し、水溶性重合体1を含む水溶液の量を水溶性重合体1の量で0.03部に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記(1−1.粒子状重合体の製造)において、1,3−ブタジエンの量を5部に変更し、スチレンの量を90部に変更した。
前記(1−3.負極用スラリーの製造)において、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液の量を固形分相当で0.97部に変更し、水溶性重合体1を含む水溶液の量を水溶性重合体1の量で0.03部に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
ブチルアクリレートの量を60部に変更し、エチルアクリレートの量を30部に変更し、メタクリル酸の量を10部に変更したこと以外は、実施例1の前記(1−2.水溶性重合体1の製造)と同様にして、非水溶性重合体4を含む水分散体を製造した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー、負極及びリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
結果を、表1〜表4に示す。ここで、表における略称の意味は、以下の通りである。
表面酸量:粒子状重合体の表面酸量。
THF不溶分:粒子状重合体のTHF不溶分の割合。
THF膨潤度:粒子状重合体のTHF膨潤度。
接触角:粒子状重合体のエチレンカーボネート及びジエチルカーボネートの混合溶媒との接触角。
単量体の組み合わせ:実施例及び比較例で製造した水溶性重合体1〜3又は非水溶性重合体4の単量体の組み合わせ。
単量体の比:「単量体の組み合わせ」の欄に記載した単量体の量比。
1%水溶液粘度:各実施例又は比較例で用いたカルボキシメチルセルロースの1%水溶液粘度。
水溶性重合体の量(部):負極活物質100重量部に対する、水溶性重合体の総量。ここで、水溶性重合体の総量には、カルボキシメチルセルロースの量を含む。
重合体比:カルボキシメチルセルロースと、各実施例又は比較例で用いた水溶性重合体1〜3又は非水溶性重合体4との量比。
密着性:銅箔と負極活物質層との密着性。ピール強度を表す。
低温出力特性:リチウムイオン二次電池の低温出力特性。電圧変化ΔVを表す。
高温サイクル特性:リチウムイオン二次電池の高温サイクル特性。容量変化率ΔCCを表す。
単量体I:エチレン性不飽和カルボン酸単量体。
IA:イタコン酸。
単量体II:水酸基含有単量体。
2−HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート。
BA:ブチルアクリレート。
EA:エチルアクリレート。
MAA:メタクリル酸。
V3FM:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート。
AMPS:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸。
表1〜表4から分かるように、実施例によれば、密着性及び高温サイクル特性において、比較例よりも優れた結果が得られている。したがって、本発明により、集電体に対する負極活物質層の密着性を改善できること、及び、高温環境におけるサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を実現できることが確認された。
Claims (9)
- 結着剤、負極活物質及び水溶性重合体を含み、
前記結着剤が、芳香族ビニル単量体単位50重量%〜80重量%及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位0.5重量%〜10重量%を含む粒子状重合体であり、
該粒子状重合体が、さらに水酸基含有単量体単位0.1重量%以上1.5重量%以下を含み、
該粒子状重合体の表面酸量が、0.20meq/g以上であり、
該粒子状重合体の、エチレンカーボネート及びジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比:エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)との接触角が、50°以下であり、
該粒子状重合体のTHF不溶分が、70重量%以上である、リチウムイオン二次電池負極用スラリー。 - 前記負極活物質が、スズ、ケイ素、ゲルマニウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
- 前記水溶性重合体が、酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体単位を20重量%以上含む重合体を含む、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
- 前記エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位が、エチレン性不飽和ジカルボン酸単量体を重合して形成された構造単位である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
- 前記エチレン性不飽和ジカルボン酸単量体が、イタコン酸である、請求項4に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
- 前記水酸基含有単量体が、2−ヒドロキシエチルアクリレートである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
- 前記粒子状重合体のTHF膨潤度が、25倍以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリーを、集電体上に塗布し、乾燥することを含む、リチウムイオン二次電池用負極の製造方法。
- 正極、負極、電解液及びセパレーターを備え、
前記負極が、請求項8に記載の製造方法により製造されたリチウムイオン二次電池用負極である、リチウムイオン二次電池。
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