JP6242583B2 - カルサイト型炭酸カルシウムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
まず、実施の形態1におけるカルサイト型炭酸カルシウムの概要について説明する。ここで、球晶とは、「ある一点(厳密に一点であることに限定されるものではない)から多数の結晶が複数方位(特に放射状)に成長した多結晶体」として定義される。
実際の製作例である実施例1とその結果について説明する。実施例1は、本発明の範囲に含まれる実施例である。
図6および図7は、図4、図5と同様に、実施例1のカルサイト型炭酸カルシウムを、別の角度から撮影した電子顕微鏡写真と偏光顕微鏡写真である。別の角度からの画像からも明らかな通り、実施例1によって得られる(すなわち本発明での)カルサイト型炭酸カルシウムは、球晶を有している。この球晶を生じさせることで、外形を略球状としつつも、強度、耐久性、結晶成長の容易性などの様々な利点を生じさせる。これらの利点は、当然に様々な分野への充填材としての活用に適している。
また、複数の結晶2のそれぞれは、放射状以外の複数方位に成長しても良い。後述するように、炭酸化工程における温度管理などによって、結晶成長を変化させることができる。このとき、結晶成長の方向となる複数方位を、放射状以外の方向にすることができる。放射状以外の複数の方位に、複数の結晶2が成長することで、最終的な外形は、略球状となることもそれ以外の形状となることもある。
また、本発明のカルサイト型炭酸カルシウム1は、平均粒径が5μm〜40μmであることが好ましい。水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程によって、球晶を有するカルサイト型炭酸カルシウム1は、5μm〜40μmの平均粒径を有するようになる。
炭酸化工程においては、炭酸化工程での温度が管理される。このとき、炭酸化工程での工程管理温度が、炭酸化工程全体に渡って18℃〜65℃であることが、好ましい。
使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。工程管理温度を、15℃±1℃としたことのみが、実施例1と異なる。
実施例2は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。工程管理温度のみが、18℃±1℃とされたことのみが、実施例1と異なる。
実施例1は、実施例1において説明した通りであり、複数の結晶が複数方位(特に放射状)に成長した球晶を示している。加えて、外形も略球状を有しており、ある一つの位置から、複数の結晶が放射状に略同一長に成長した球晶でかつ略球状となることが分かる。
実施例3は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。工程管理温度のみが、40℃±1℃とされたことのみが、実施例1と異なる。
実施例4は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。工程管理温度のみが、50℃±1℃とされたことのみが、実施例1と異なる。
実施例5は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。工程管理温度のみが、60℃±1℃とされたことのみが、実施例1と異なる。
比較例2は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。工程管理温度のみが、70℃±1℃とされたことのみが、実施例1と異なる。
炭酸化工程においては、炭酸化工程全体に渡っての温度範囲の規定だけでなく、炭酸化工程における水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率と、工程管理温度との関係を制御することが、球晶構造を有しつつ既述した平均粒径を有するカルサイト型炭酸カルシウムの製造に好適である。
実施例6は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例6では、炭酸化工程の開始温度を20℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を30℃±1℃にすることで、製造されるカルサイト型炭酸カルシウムである。
実施例7は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例7では、炭酸化工程の開始温度を25℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を30℃±1℃にすることで、製造されるカルサイト型炭酸カルシウムである。
実施例8は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例8では、炭酸化工程の開始温度を40℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を30℃±1℃にすることで、製造されるカルサイト型炭酸カルシウムである。
実施例6は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例6では、炭酸化工程の開始温度を55℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を30℃±1℃にすることで、製造されるカルサイト型炭酸カルシウムである。
比較例3は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。比較例3では、炭酸化工程の開始温度を60℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を30℃±1℃にすることで、製造されるカルサイト型炭酸カルシウムである。
一方、炭酸化工程において、水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%以上においての工程管理温度が制御されることも好ましい。水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%以上においては、工程管理温度が20℃〜60℃であり、更には、20℃〜40℃であることが好ましい。表3は、この炭酸化率が10%以上の場合における製造されるカルサイト型炭酸カルシウムの結果を示す表である。
比較例4は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。比較例4は、炭酸化工程の開始温度を30℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を18℃±1℃にすることで、製造される炭酸カルシウムである。
実施例10は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例10は、炭酸化工程の開始温度を30℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を20℃±1℃にすることで、製造される炭酸カルシウムである。
実施例11は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例11は、炭酸化工程の開始温度を30℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を40℃±1℃にすることで、製造される炭酸カルシウムである。
実施例12は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例12は、炭酸化工程の開始温度を30℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を60℃±1℃にすることで、製造される炭酸カルシウムである。
比較例5は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。比較例5は、炭酸化工程の開始温度を30℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を65℃±1℃にすることで、製造される炭酸カルシウムである。
この範囲においては、反応速度が、2mol%/min以下に制御されることが好ましい。この反応速度によって、安定核の元となるエンブリオの数が制御されるからである。
この範囲においては、反応速度が、0.16mol%/min〜0.24mol%/minに制御されることが好ましい。この反応速度によって、エンブリオを安定核に成長させつつ、安定核のみを成長させることができるからである。
この範囲においては、反応速度が、1.1mol%/min以下に制御されることが好ましい。この反応速度によって、安定核のみを十分に成長させて球晶を得ることができるからである。
比較例6は、反応開始から炭酸化率5%までの混合ガス吹き込み速さを3800ml/分、炭酸化率5%から炭酸化率10%までの混合ガス吹き込み速さを220ml/分、炭酸化率10%以降の混合ガス吹き込み速さを1950ml/分とした以外は実施例1と同じ製作工程で得られる炭酸カルシウムである。このような混合ガス吹き込み速さによって、比較例6は、炭酸化率が1%〜5%(範囲1)における反応速度は、2.5mol%/minであり、炭酸化率が5%〜10%(範囲2)における反応速度は、0.15mol%/minであり、炭酸化率が10%以上(範囲3)における反応速度は、1.15mol%/minで得られる炭酸カルシウムである。
実施例13は、反応開始から炭酸化率5%までの混合ガス吹き込み速さを3000ml/分、炭酸化率5%から炭酸化率10%までの混合ガス吹き込み速さを350ml/分、炭酸化率10%以降の混合ガス吹き込み速さを1800ml/分とした以外は実施例1と同じ工程で得られるカルサイト型炭酸カルシウムである。
実施例14は、反応開始から炭酸化率5%までの混合ガス吹き込み速さを15ml/分、炭酸化率5%から炭酸化率10%までの混合ガス吹き込み速さを240ml/分、炭酸化率10%以降の混合ガス吹き込み速さを1500ml/分とした以外は実施例1とした以外は、実施例1と同じ工程で得られるカルサイト型炭酸カルシウムである。
実施例15は、炭酸化率が1%〜5%(範囲1)における反応速度0.005mol%/minであり、炭酸化率が5%〜10%(範囲2)における反応速度は、0.16mol%/minであり、炭酸化率が10%以上(範囲3)における反応速度は、0.9mol%/minである場合に、製造されたカルサイト型炭酸カルシウムの結果を示す。この4段目の条件は、範囲1〜範囲3のそれぞれにおいて、上述した最適値の範囲に収まっている。
次に、球晶をより効率よく成長させるために、炭酸化工程の前、または最中の少なくともいずれかの時点で、縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩を添加する工程を含む場合について説明する。炭酸化工程の前または最中のいずれかの時点で、縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩を、仕込みの水酸化カルシウムに対して、0.1重量%から5.0重量%の範囲で1回以上添加する工程が、更に含まれて、カルサイト型炭酸カルシウムが製造される。
比較例7は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。使用するヘキサメタリン酸ナトリウム(以下および表などでは「HMS」と表記)が、水酸化ナトリウムに対して0.05重量%、添加される場合に得られるのが比較例7のカルサイト型炭酸カルシウムである。
実施例16は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。使用するHMSが、水酸化カルシウムに対して0.1重量%、添加される場合に得られるのが実施例16のカルサイト型炭酸カルシウムである。
実施例17は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。使用するHMSが、水酸化ナトリウムに対して1重量%、添加される場合に得られるのが実施例17のカルサイト型炭酸カルシウムである。
実施例18は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。使用するHMSが、水酸化カルシウムに対して5重量%、添加される場合に得られるのが実施例18のカルサイト型炭酸カルシウムである。
実施例19は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。使用するHMSが、水酸化カルシウムに対して10重量%、添加される場合に得られるのが実施例19のカルサイト型炭酸カルシウムである。
実施例20は、HMSを、2回に分けて、それぞれ0.5重量%ずつを炭酸化反応前と炭酸化率10%時で添加した場合である。
また、実施の形態1、2で説明したカルサイト型炭酸カルシウムの製造工程は、そのままカルサイト型炭酸カルシウムの製造方法を説明したものである。
Claims (10)
- カルサイト型炭酸カルシウムであって、
複数の結晶を有し、
前記複数の結晶のそれぞれが、一つの位置から放射状に略同一長に成長して球晶となり、外形上は略球状を有し、
前記略球状の平均粒径が5μm〜40μmである、カルサイト型炭酸カルシウム。 - 前記複数の結晶のそれぞれは、針状を有する、請求項1記載のカルサイト型炭酸カルシウム。
- 水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程と、
前記炭酸化工程での工程管理温度が、18℃〜65℃であることを備え、
複数の結晶を有し、前記複数の結晶のそれぞれが、一つの位置から放射状に略同一長に成長して球晶となり、外形上は略球状を有する球晶のカルサイト型炭酸カルシウムの製造方法であって、
前記炭酸化工程において、炭酸化率が1〜5%までの反応速度を2mol%/min以下とし、炭酸化率が5〜10%における反応速度を0.16mol%/min〜0.24mol%/minとし、炭酸化率10%以降の反応速度を1.1mol/min以下とする、球晶のカルサイト型炭酸カルシウムの製造方法。 - 前記炭酸化工程において、前記水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%未満においては、前記工程管理温度が、20℃〜55℃である、請求項3記載の球晶のカルサイト型炭酸カルシウムの製造方法。
- 前記炭酸化工程において、前記水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%以上においては、前記工程管理温度が、20℃〜60℃である、請求項3または4記載の球晶のカルサイト型炭酸カルシウムの製造方法。
- 前記炭酸化工程の前、または最中の少なくともいずれかの時点で、縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩を、前記水酸化カルシウム水懸濁液中の水酸化カルシウムに対して、前記縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩に含まれる燐の含有量が0.03重量%から1.5重量%の範囲の範囲になるように、1回以上添加する工程を更に含んで製造される、請求項3から5のいずれか記載の球晶のカルサイト型炭酸カルシウムの製造方法。
- 前記縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩は、前記水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が、25%未満の段階で、1回のみ添加される、請求項6記載の球晶のカルサイト型炭酸カルシウムの製造方法。
- 水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程と、
前記炭酸化工程での工程管理温度が、18℃〜65℃であって、
前記炭酸化工程において、前記水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%未満においては、前記工程管理温度が、20℃〜55℃であって、
前記炭酸化工程において、前記水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%以上においては、前記工程管理温度が、20℃〜60℃であって、
前記炭酸化工程において、炭酸化率が1〜5%までの反応速度が2mol%/min以下であり、炭酸化率が5〜10%における反応速度が0.16mol%/min〜0.24mol%/minであり、炭酸化率10%以降の反応速度が1.1mol/min以下であって、
前記炭酸化工程の前、または最中の少なくともいずれかの時点で、縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩を、前記水酸化カルシウム水懸濁液中の水酸化カルシウムに対して、前記縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩に含まれる燐の含有量が0.03重量%から1.5重量%の範囲になるように、1回以上添加する工程を更に含み、
前記縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩は、前記水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が、25%未満の段階で、1回のみ添加される工程を備え、
複数の結晶を有し、
前記複数の結晶のそれぞれが、一つの位置から放射状に略同一長に成長して球晶となり、外形上は略球状を有する、球晶のカルサイト型炭酸カルシウムの製造方法。 - 請求項1または2記載のカルサイト型炭酸カルシウムを含む充填剤が充填されて得られる素材。
- 前記素材は、顔料、化粧料、増量剤、研磨剤、研磨助剤のいずれかである請求項9記載の素材。
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