以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。しかしながら、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
図1は、本発明の実施例の1つである固定装置の正面図である。以下の実施例において、実際の取り付け状況に応じて、例えば90度横倒した形で表示されるが、ここではわかり易い基本姿態として、トップにツマミ126がくるように表示されている。固定装置10は、例えば、コンクリートのような建物躯体に相当する壁である下地103の表面103bに当接又は表面の凹部103aにねじ込まれる外周に雄ネジが螺刻された突出部材114と、該突出部材114に螺合する雌ネジが内面に螺刻された孔をほぼ中央に備える基底部112と、該基底部112に支持されその上に配置される下部受け部材116と、タイル106の側端部を挟み込む上部押さえ部材118と、係合移動体の例として、その上に配置される押さえナット122と、下部受け部材116に螺合し、上部押さえ部材118のほぼ中央を通過して押さえナット122のほぼ中心に開いた貫通孔の螺刻に螺合し、この押さえナット122の回転により、下部受け部材116及び上部押さえ部材118の間の距離を変化させ、タイル106を挟み込み締め上げることができる距離調節部材の例としての主ネジ124と、この主ネジ124を回転及びつまみ上げ可能に付けられるツマミ126とからなる。上部押さえ部材118には、押さえナット122の脱落を防止可能な係合部材である落下防止爪120が立てられ、その先端部が、ローレットが形成された押さえナット122の下方の外周に設けられた溝122aに回転可能であるが、軸方向に外れ難く係合する。
基底部112は、ナットのような形状をし、機能を果たし、上面視でほぼ円形若しくは多角形(特に正多角形)形状をしていてもよい。突出部材114は外周面の雄ネジ部分でボルトのように基底部112に係合し、壁である下地103の表面103bからのタイルの基準高さを設定すべく回転させられる。また、別の実施例では、突出部材114が基底部112に回転不能に固定され、基底部112を回転させることにより、突出部材114が壁である下地103の表面103bに開けられて内面に螺刻された穴に螺合されてもよい。このとき、基底部112の回転により突出部材114が回転し、壁である下地103の表面103bからの距離が調整できる。そして、所望の位置で、回転不能に固定(即ち、壁である下地103の表面103bから基底部112への距離が固定)されてもよい。
基底部112は更に、主ネジ124と螺合する雌ネジ114bを上面に開口して備える突出部材114と係合する。押さえナット122による回転・締め付けにより、第1当接部材に相当する下部受け部材116及び第2当接部材に上部押さえ部材118の間にタイル106を締め付け、両タイルの壁である下地103の表面103bからの位置を設定することができる。即ち、プレート部材の第1面に相当するタイル106の下面及びプレート部材の第2面に相当するタイル106の上面が当接する。基底部112の上面に受けられる下部受け部材116は、上面をタイル当接面として備え、典型的にはワッシャーのように中央に主ネジ124が回転可能なクリアランスを持つ貫通孔が開いた円板形状をしている。タイル当接面は、2つのタイルの側端部を2枚のタイル間の目地の分だけ中央から除外した2つの半円で若しくは4分の1円で隣接する2枚のタイルの側端部の近傍の下面をそれぞれ受けて、基準高さを設定するものであるので、タイル当接面が互いに平行になるように下部受け部材116、基底部112、及び突出部材114が組立てられることが好ましい。ここでは、下部受け部材116及び基底部112が別部材として取り扱ったが、これらが一体として形成されてもよい。また、基底部112が主ネジ124と螺合する雌ネジを備えてもよい。突出部材114と基底部112が一定の関係にあり、更に基底部112と下部受け部材116の位置関係が決まっているので、主ネジ124による締め付けが有効に行ない得るからである。
図1Cから1Eは、突出部材114の上面図、概略断面図、下面図を示す。突出部材11は外周面に雄ネジ114aを備え、上面のほぼ中央に円形に開口するが、貫通しない穴に設けられる雌ネジ114b、及び、底面にキー溝様な凹部114cを備える。雌ネジ114bは、主ネジ124のネジ部に係合し固定できるものが好ましい。例えば、主ネジ124の外周径よりやや小さいもの、テーパネジ等が利用できる。また、この突出部材114は軟質の材料(例えば、軟質の金属や合成樹脂等の有機材料)で作られていてよい。そのため、主ネジ124をねじ込むと、雌ネジが内面に再螺刻され得るが、突き当たったところで固定される。それ以降、主ネジを押し込み方向に回すと、突出部材114が回転して、突出部材114を基底部112から下方に突出させ得る。そのため、突出部材114の下面が壁である下地103の表面103bに開けられた凹部に入り込み、固定されてもよい。
図2は、図1に描かれる固定装置10に類似する固定装置10aの使用状況を示す一部断面の模式的側面図である。図1の固定装置10と共通する部材については、同じ符号を付し、重複する説明は省略する。下部受け部材116から図中左側(壁に相当する下地103の表面103bに向かう側)に伸びるネジ部材115aは、雌ネジ部115dに螺合し固定され、該雌ネジ部115dを形成するブロック115bは、孔115eに挿入されたネジ部材115cがコンパネ等の下地103の表面103bにねじ込まれ固定されるので、該下地103の表面103bに固定される。これにより、下地103の表面103bから下部受け部材116までの距離が決定される。尚、ネジ部材115aは、主ネジ124までそのまま延びてつながっており、円板形状の下部受け部材116の中心に螺刻された雌ネジに係合し、更に、厚い円板形の若しくは円筒形の押さえナット122の中心軸孔に螺刻された雌ネジにも係合する。このネジ部材115a及び主ネジ124は、例えばステンレス鋼のような金属で形成されるが、ブロック115b、下部受け部材116、及び、上部押さえ部材118は例えば合成樹脂により形成されている。より具体的には、以下の工程からなる使用方法により使用される。
即ち、下地103の表面103bの所定の位置にアンカー用の穴をあける穴開け工程と、ネジ部材115cをこの穴にねじ込むことによりブロック115bを固定するアンカー固定工程と、図示のようにツマミ126、主ネジ124、押さえナット122、上部押さえ部材118、及び下部受け部材116を、上部押さえ部材118と下部受け部材116との間の距離を十分取った状態でアセンブルする予備工程によりアセンブルした固定装置10aについてネジ部材115aをブロック115bの雌ネジ部115dにねじ込み固定するねじ込み工程と、下部受け部材116をその中心孔の雌ネジに係合したネジ部材115a(主ネジ124)の周りに回して下部受け部材116の当接面である図中右側面の位置を表面103bから所定の距離とするようにする距離決め工程と、下地103の表面103bに塗布した接着剤190を押しつつ下部受け部材116の当接面にタイル106の下地側面(下面)に当接させるタイル押し付け工程と、押さえナット122をその中心孔の雌ネジに係合したネジ部材115a(主ネジ124)の周りに回して、上部押さえ部材118の当接面である図中左側面をタイル106の表面側面(上面)に近接させる近接工程と、上部押さえ部材118と下部受け部材116との間にその下側端部を差し込み下側のタイル106の上にタイル106を配置する上側タイル配置工程と、この上側タイル106を下側のタイル106を接着する接着剤190と同様に表面103bに塗布された接着剤(図2の上限を超えた位置にあるため図示されない)に押し付ける上側タイル押し付け工程と、押さえナット122をその中心孔の雌ネジに係合したネジ部材115a(主ネジ124)の周りに回して、上部押さえ部材118の当接面である図中左側面を下側のタイル106及び上側のタイル106のそれぞれの表面側面(上面)に当接させ、下側のタイル106及び上側のタイル106の表面側面(上面)を揃える調節工程と、を備えるタイル張り方法を用いることができる。ここで、上記近接工程は省略することができ、また、上記上側タイル押し付け工程では、更に上段に表面103bに固定された別の固定装置10aについて、上記距離決め工程と同様にして所定の距離とされた下部受け部材116の当接面に上側のタイル106の下地側面に当接させてもよい。
即ち、上下のタイル106をそれぞれの表面側面を上部押さえ部材118の当接面(実質的に平坦)で押すことで、より表面103bに近づけて且つ揃えて、その位置で固定する。これにより、上下のタイル106はその相対的な位置が合い、接着剤190が下地103の表面103b及びタイル106の下地側面である貼付面(第1面に等価な面に相当)の間に挟まれ、タイル106の貼付面に接触面積を広げて、接着をより確実なものとすることができる。ここで、接着剤190は、例えば、弾性接着剤を用いることができるが、接着剤190が十分キュア等して接着強度が十分となったところで、固定装置10aの取り外し工程(又は取り外し方法)を行うことができる。この取り外し方法は、押さえナット122を上記調節工程における近接又は当接方向とは逆向きに回転させ、挟持力を緩めて、上部押さえ部材118がいずれのタイル106の表面側面に当接しない、或いは、当接力を実質的に及ぼさないようにする解放工程(フリー工程ともいえる)と、ツマミ126を回転させて、ブロック115bの雌ネジ部115dとの係合、更には、下部受け部材116との係合を解放して、上部押さえ部材118から右側の部材をすべて回収する解放・回収工程とを備える。これによって、タイル106表面には、固定装置10a又はその部品が現れることはなく、図中上下のタイル間の目地を、目地部材で埋めれば、固定装置10aの一切の部材は表から見えないので、美感に優れる仕上がりとなる。尚、ツマミ126をねじ込みの向きに回転させて、主ネジ124をねじ切ることも可能である。この場合は、ねじ切った主ネジの破損部がタイル106表面に出ないようにすることが好ましい。例えば、下部受け部材116内にある主ネジ124の一部に切欠きを入れ、或いはその部分を細くすることが考えられる。
図3は、図2に描かれる固定装置10aに類似する固定装置10bの別の使用状況を示す一部断面の模式的側面図である。図2の固定装置10aと共通する部材については、同じ符号を付し、重複する説明は省略する(特に記載しない限りは、以下同様である)。下部受け部材116から図中左側(壁に相当する下地103の表面103bに向かう側)に伸びるネジ部材115fは、下地103の表面103bにねじ込まれそのタッピング構造により、下地103の表面103bで固定される。これにより、図2のブロック115bによる固定とほぼ同じ効果が得られる。図2の固定装置10aと同様に操作され、接着剤190がキュアした後、同様にして、上部押さえ部材118から右側の部材をすべて回収する。他の作用・効果も図2の場合と同様である。
図4は、図2に描かれる固定装置10aを用い、下地にコンクリート下地を特に用い、そのコンクリート下地103の表面103bにアンカー115gを打った場合を図解する。図2では、ブロック115にネジ部材115aがねじ込まれる雌ネジが開けられていたが、このアンカー115gでは、その上面にフランジ115h(樹脂製であってよい)を備え、アンカー用のボルト115jの周りに複数の雌ネジ若しくは穴が備えられている。こうすることにより、複数の雌ネジのうち、丁度タイル106間の目地の位置に来た雌ネジ若しくは穴を利用し、このような構造を作ることができるので、自由度が高くなる。即ち、固定部材であるアンカー115gが、下地の表面に出るフランジ部115hを備え、下地103の表面103bに平行若しくは実質的に平行なフランジ表面において、中心から所定距離だけ離れた位置に複数の雌ネジ、穴、開口等を備えるようにする。その他の作用・効果は、図2の場合と同様である。
図5は、図2に描かれる固定装置10aを用い、下地103の表面103bにコンクリート下地を特に用い、そのコンクリート下地にプラアンカー115kを打った場合を図解する。図4の場合と異なり、プラアンカー115kは、ブロック115mにネジ部材115aがねじ込まれる雌ネジ115lが設けられており、アンカーボルト115nで固定されて、図2又は図4とほぼ同じ作用効果を示す。
図6Aから図6E及び図7Aから図7Eは、下部受け部材116の種々のバリエーションを図解する。図6Cから図6Eにおいては、上側に上面視図が描かれ、下側に斜視図が描かれた組み合わせ図を構成する。円板状の部材116aは、中央の上面に開口する凹部116a1を備え、その中央には、更に下まで貫通する小孔116a2(図2等にあるように下地等に到達する部材をねじ込むこともできる孔である)を備える。また、円板状の部材116aの上面(第1面に相当)には、円筒状の3つの突起116a3が、前記凹部116a1を挟んで対抗するように2つ並び、それらの突起116a3を結ぶ線に直行する向きであって、部材116aの中心からほぼ同一の距離のところに更にもう1つの突起116a3を備える。これらの突起116a3は、部材116aの当接面に当接等するタイルにより形成される目地に応じた位置に配置されることができる。これにより、部材116aのまわり止めとすることができ、凹部116a1にねじ込まれた主ネジ124等を回転させたときに、空回りを防止することができる。
中央に開口116b1を備え、外周面にローレット(ギザギザ)116b2を備える円板状の部材116bは、周りの部材や回転させようとする指等との摩擦力を増大させ、同様に空回りを防ぐことができる。
上面視でプラス形となるプラス形部材116cは、中央に主ネジ124等が螺合可能に開口(或いは雌ネジ)を備える。プラス形部材116cは、それぞれほぼ90度で回転対称にそれぞれの腕が伸びている。このような腕は、プラス形部材116cの当接面(第1面に相当)に当接する複数のタイルの側端部により構成される目地の形状に応じたものである。例えば、図1Aに示す固定装置10において、下部受け部材116を、プラス形部材116cに交換し、主ネジ124がこのプラス形部材116cの中央の穴116c1中で突き当り係止するために、下地面側には何も出ない場合は、タイル106を敷設(又は貼付)した後に、4枚のタイル106が敷設されてプラス形の目地ができたところに、このプラス形部材116cの腕116c2を合わせ、そのままタイル106の下地側面(第1面に相当)を超えたところまで押し込み、そこで固定装置10全体をタイル106の面に平行に約45度回転させる。これにより、プラス形部材116cの腕116c2がそれぞれ目地の位置から、各タイル106の下地側面(第1面に相当)に移動し、その位置で、押さえナット122を回転させて、上部押さえ部材118を下地面側に移動させると、各タイル106がその下地側面(第1面に相当)及び上面(第2面に相当)が、プラス形部材116cの腕116c2の当接面及び上部押さえ部材118の下地側を向いた面にそれぞれ当接し、各タイル106の面をきれいに合わせることができる。
上面視でT字形のT字部材116dは、上記プラス形部材のうちの腕を1本なくしたものに相当する。使用方法は、T字形の交差点にある穴116d1及び3本の腕について、プラス形部材116cと同じであり、3つのタイルが出会うような、T字形の目地のできる部位で用いることができる。また、上面視でI字形のI字形部材116eは、2つのタイルが出会うような、一直線に目地が伸びる部位で、隣合うタイル106の面位置を合わせるために、中央の穴116e1及びその両側に伸びる腕116e2について、プラス形部材116c及びT字形部材116dと同様に使用することができる。
図7Aから図7Eは、他の例を示すが、図7Aは全体の側面図であり、図7Bは図6Cのものと類似するプラス形部材116c’であり、図7Cは図6Dのものと類似するT字部材116d’であり、図7Dは図6Eのものと類似するI字形部材116e’であり、図7Eはプラス形部材116f(樹脂製であってよい)であるが、図6Cのものとは異なり、中央に穴116c1はなく、中央に角柱の角をとって螺刻した突起116f1を備え、係合する主ネジ124’の底端部には、上記突起116f1と係合するように螺合する雌ネジ124fを備える。これは、特に目地の幅が狭く、腕116f2の幅を細くする必要があるところ、中央の穴を用いて主ネジ124と係合する場合は、主ネジ124を細くしなければなない場合等に、好適に使用できる。軸が細すぎて十分な強度が得られない場合に有利である。軸の捩り強度は、軸の外側の材料強度により大きく影響され、内側がたとえ空洞であっても、それほど強度低下し難いからである。これにより、部品の軽量化も図ることができる。即ち、タイル106を挟持し位置を合わせるために主ネジ124を回転させて、下部受け部材116及び上部押さえ部材118を締め付ける場合に、位置を合わせるほど十分な締め付け力を発生させるようなねじり力に対して、主ネジ124の強度が不十分な場合に用いられる。用いられる材質は、限定されないが、ステンレス鋼が入手のし易さ、耐食性を考えると好ましい。
図8A及び図8Bは、本発明の1実施例による固定装置10cについて、建物躯体の天井面に固定したタイルと連結して位置決めを行う、別の状況を表す一部断面の模式断面側面図である。図1Aの固定装置と異なる点は、上部押さえ部材118と、タイル106の上面(第2面に相当)との間に補助プレート130が介在されており、また、タイル106の下地側面(第1面に相当)には、下部受け部材として、I字形部材116eが用いられていることである。
図8Aにおいて、左右のタイル106の高さ調節が行われる。これらのタイル106のいずれか一方(ここでは、左側のタイル106)は、図8Bに示すように天井部材である下地103の表面103bに接着剤190により固着されている。そして、その固着されたタイル106の端部を、上部押さえ部材118(第2当接部材相当)及びI字形部材116e(第1当接部材相当)の間に挟み込む。ここで、I字形部材116eは、距離調整部材である主ネジ124の先端に、回転不能に固定されている(例えば、テーパー螺子穴に主ネジ124の先端がねじ込まれ固定されていてもよい)。また、上部押さえ部材11及びI字形部材116eの間の間隔を挟み込みやすいように大きく空けていてもよい。この場合、距離調整部材である主ネジ124がほぼ直角に入ることができる幅(主ネジ124の径より若干大きい)を持つ溝130aが形成されている補助プレート130を用いることが好ましい。これにより、補助プレート130を主ネジ124が溝130aに入るように左側のタイル106の図中における下面(天井面から遠い方の面)とI字形部材116eとの間に挿入すれば、上部押さえ部材118及びI字形部材116eの間に挟み込まれたタイル106の端部のいわゆる遊びを直ちに小さくすることができる。それでも、挿入された補助プレート130及びI字形部材116eの間の間隔(隙間ともいう)は、タイル106の厚みよりも少し大きくなっている程度とすることが好ましい。この間隔に、新たに取り付けられるタイル106(ここでは、右側のタイル106)を差し込みつつ、天井部材である下地103の表面103bに図示しない接着剤により接着する。或いは、補助プレート130の挿入前に、上部押さえ部材118及びI字形部材116eの間に、右側のタイル106を差し込みつつ、天井部材である下地103の表面103bに図示しない接着剤により接着してもよい。いずれの場合でも、次に、押さえナット122を例えば反時計回りに回転させ、主ネジ124に螺合して、押さえナット122をI字形部材116eに近接させる。このとき、I字形部材116eをタイル106の第1面相当の面である天井面側の面に当接させ、上部押さえ部材118を補助プレート130を介して間接的にタイル106の第2面相当の面である天井面から遠い方の面に当接させて、固定装置10cの位置を固定し、かつ、右側のタイル106の位置を左側のタイル106と合わせるように調節する。その後、接着剤がキュアし、接着力が十分となり、右側のタイル106が固着したところで、補助プレート130、上部押さえ部材118、押さえナット122、及び、主ネジ124の少なくとも一部を、タイル106から脱離させる。具体的には、ツマミ126を例えば手で時計回りに回し、I字形部材116eにねじ込まれて固定された主ネジ124の先端部をI字形部材116eから外す。このとき、I字形部材116eは、タイル106の第1面である天井面側の面に少なくとも仮止め状態にある。これは、タイル等の位置合わせのために、強く当接され、合成樹脂で成形されるかもしれないI字形部材116eの当接面が塑性変形を一部伴う変形をすることにより、アンカー効果のような物理的な密着が生じ、更に、その周囲に付いたかもしれない接着剤の接着力が生じるからである。加えて、押さえナット122を回転させないようにして、ツマミ126を時計回りに回せば、主ネジ124は、押さえナット122に螺合して天井面から遠ざかる方向に移動するので、I字形部材116eはタイル106の第1面である天井面側の面に押し付けられるので、摩擦トルクが増大し、益々I字形部材116eの空回りが防止される。このようにして、主ネジ124をI字形部材116eから離脱させる。その後、空いた目地に、目地部材を埋め込み、表面を仕上げる。以上のようにして、隣合う2つのタイル106の位置(高さ)を調節することができ、かつ、調節後は、タイルの外観を損なわないようにすることができる。
一方、図8Bでは、垂直或いは実質的に垂直な垂直面にタイル106を取る付ける際のタイル支持部材及びタイル支持部材の形成方法について図解する。天井部材である下地103の表面103bに右側のタイル106は、接着剤190により固着される。そして、右側のタイル106の左端から延びる溝106aに、固定装置10cの距離調整部材である主ネジ124を、その先端にI字形部材116eを、かかる溝106aに対してほぼ直角の向きにした状態で、挿入し、右側のタイル106の図中における下面(天井面の表面から遠い方の面)と、上部押さえ部材118との間に、補助プレート130をその溝130aに距離調整部材である主ネジ124が入るように差し込む。その状態で、押さえナット122を例えば反時計回りに回転させ、主ネジ124に螺合して、押さえナット122をI字形部材116eに近接させる。このとき、I字形部材116eをタイル106の第1面相当の面である天井面側の面に当接させ、上部押さえ部材118を補助プレート130を介して間接的にタイル106の第2面相当の面である天井面から遠い方の面に当接させて、固定装置10cの位置を固定する。そして、実質的に垂直なタイル106の自重を支持することができる支持部材を補助プレート130により形成することができる。このように補助プレート130は、上部押さえ部材118の当接面より大きな面積で、タイル106の表面や端面(側面)に当接できる。例えば、上部押さえ部材118の当接面は平面視で円形であるところ、補助プレート130は平面視で長方形であるので、当接面が広く、当接しやすく、また、安定的な当接が実現しやすいと考えられる。
次に、接着剤190を垂直壁である下地103の表面103bに塗布し、タイル106を実質的垂直に立てて、上述のように補助プレート130により形成された支持部材の上に載置し、図2から5の固定装置のような装置により、垂直壁である下地103の表面103bからの位置決めを行う。そして接着剤190がキュアした場合に、上述のようにして、I字形部材116、補助プレート130、上部押さえ部材118、押さえナット122をタイル106から取り外すことができる。その後、空いた目地あれば目地部材を埋め込み、表面を仕上げる。以上のようにして、実質的に垂直なタイル106を、表面から所定の距離に位置付けることができる。このようにすれば、特に新たな治具、特に、タイル敷設後にも外観に影響するような治具を使用することなく、適正な位置にタイルを張ることができる。
図9Aは、本発明の1実施形態の取り付け部材を示す斜視図である。また図9Bは、建物躯体の壁面に固定された状態の取り付け部材及び固定装置10dの模式断面構造図である。また、図10は、その部分拡大図である。これらの図において、取り付け部材であるパンチングパネル202は、垂直方向に比べれば、水平方向により長く延びている。パンチングパネル202には、タイルを接着させる取り付け面204と、建物躯体の表面に固定されるべき取り付け脚部206を備え、取り付け面204には、水平方向に伸びる長孔208が複数開けられている。この長孔208には、エポキシ樹脂系接着剤190が絡み易く、タイル106との接着を強固にすることができる。また、固定装置10dの下部受け部材116から建物躯体の表面に向かって延びる軸部に係合するパネルコネクターともいう固定ナット部材170が配置される。この固定ナット部材170は、前記軸部に沿う中心軸部と、中心から周辺に向けて伸び、側面視でU字状(直角の角部を備える)の形態を備えるU字状部材とからなる。この固定ナット部材170は、主ネジ124の先端が係合可能な穴174を備え、例えば合成樹脂により形成されてよい。軽量であるだけでなく、適度に塑性変形可能であり、後述するように、主ネジ124を回転させて、穴174との係合を解除して固定装置10dを取り外すのに有利である。この部材は、長孔208方向に揃えて、長孔208を基部174が通過した後に90度回転させられ、その後接着剤190で固定されることにより、パンチングパネル202の取り付け面204に固定される。ここで、固定装置10dにおいて、下部受け部材116のないものであってもよい。例えば、接着剤190gが、この下部受け部材に相当する機能を果たすとも考えられる。また、コネクタとタイルの間に簡易受けナットを入れることもできる。また、梁底等にも応用可能である。
図10の固定ナット部材170の正面図及び右側面図からなる組み合わせ図の下に、斜線で区切ったところに、別の態様の固定ナット部材171の正面図及び右側面図からなる組み合わせ図を示す。これは、固定ナット部材170に代わって使用できるものであり、固定ナット部材170は正面図において、U字形状(又はY字形状)であるところ、別態様の固定ナット部材171は正面図において、基部171aを左側に、固定ブロック部171cを右側にして、軸部171bにより接続するようなH字形状であり、I字形状の右側面図においてほぼ中央に主ネジ124の先端が係合可能な穴171dを備える。固定ナット部材170と同様に使用され、パンチングパネル202の水平方向に伸びる長孔208に揃えるようにして90度回転させて上下方向に移動しないように拘束させる。即ち、軸部171bが長孔208の上下端を規定する縁に接触し、基部171a及び固定ブロック部171cの軸部171b側の面が、長孔208の上下に広がる下地側面及び表面側面のそれぞれに当接し、別態様の固定ナット部材171の傾きを有効に防止することができる。このような固定ナット部材170、171の固定方法を除けば、図2等と同じ方法により、タイル張りを行うことができる。
一方、取り付け脚部206には、やはり水平方向に長く伸びる長孔が開口し、ここに、図9Bに描かれるセットアンカー150の頭部分が固定される。これによって、少なくとも、建物躯体の壁面に対して取り付け部材202の相対位置が決定され、それにより、取り付け面204位置が決定され、そして、タイル106の位置が決定される。
図11及び12は、建物躯体の壁の表面に固定された状態の取り付け部材及び固定装置の部分模式上面図をそれぞれ表す。前者は、建物躯体の壁の表面に基準となる点(例えば、点158a、158b)を規定し、このような複数の点を結んで、基準面を構成することができる。この構成された基準面に従い、安定的な取り付け面を確保することができる。即ち、基準面からの距離を測定し、基準面を基準にして所定距離だけ離れたところに、弦180(例えば、基準糸)を張って、タイル106の上面(第2面に相当)又は、下地側面(第1面に相当)をそろえるようにすることができる。尚、図11から図15までの躯体表面の湾曲やうねりは、特に強調して表現されている。
ここで基準点の選定方法であるが、建物躯体の表面を計測したところ、その平面度は必ずしも高くないことが判明した。そのため、建物躯体の表面に完全に沿うようにタイル106を貼ると、タイル表面が歪み、美感を損なう恐れがあることが分かった。そのため、建物躯体の表面において、一番基準面から突出している点を取り、その点を建物躯体の表面の基準点として、この点から取り付け部材であるパンチングパネル202の厚みを考慮した位置を、タイル106の想定される貼付面の位置とする。このようにするには、図11及び12にあるように、図示されるアンカー部材として埋め込まれたボルト152a、152b、152c、152d、152eのうち、基準点158a及び158bの近傍では、アンカー部材の螺子の根元に密着するようにそれぞれのナット153a、153b、153c、153d、153eを締め付ける。一方、基準面から引っ込んだところでは、逆に、アンカー部材の螺子の根元から離れた位置で、それぞれのナット153a、153b、153c、153d、153eを締め付ける。このようにすれば、タイル表面の歪みが解消でき、美感を保つことが有効にできる。
図12の場合は、固定装置10fが、直接、取り付け部材であるパンチングパネル202の取り付け面204に結合されるので、その位置を基準に上述のような位置決めを行うことができる。一方、図12では、図11の場合と異なり、固定装置10eは、直接、取り付け部材であるパンチングパネル202の取り付け面204に結合されない。従って、別のタイルが、上述のような位置決めを行った後、そのタイルに対する相対的な位置決めを行うことにより、対象となるタイルの位置決めをすることができる。
図13A及び図13Bは、前記取り付け部材であるパンチングパネル202の、長手方向にほぼ垂直な方向に、平面度が十分でない場合の調整方法を記載する。取り付け部材であるパンチングパネル202の幅方向には、中央にアンカーに直接固定される取り付け脚部206を備え、その両側に、取り付け面204をそれぞれ備え、更にその外側に、調節部材155a及び155bを備える。中央の取り付け脚部206には、埋め込みボルト156aが突出し、その先端からナット157aにより締め付けて止めることにより取り付け部材であるパンチングパネル202が、建物躯体の表面に押し付けられ固定される。一方、取り付け部材であるパンチングパネル202の幅方向の両端には、取り付け脚部206に備え付けられる調節部材155a、155bが備えられ、それぞれの調節部材155a、155bを建物躯体の表面に向かって伸ばすことにより、それぞれの先端部が建物躯体の表面に当接して、取り付け部材であるパンチングパネル202をその弾性力で建物躯体の表面に押し付けて固定する。図13Aの場合は、取り付け部材であるパンチングパネル202の取り付け面204がまっすぐな平面を形成するので、かかる取り付け面204からタイル106への距離が一定になるので、取り付け面204に取り付けられるタイル106の自重支持部材270の支持片272aはそれほど長くなくてもよい。しかしながら、図13Bの場合は、取り付け部材であるパンチングパネル202の取り付け面204が建物躯体の表面に向いてへこんでいるので、まっすぐな平面を形成し難い。そのため、取り付け面204からタイル106への距離がやや長くなりがちで、取り付け面204に取り付けられるタイル106の自重支持部材270の支持片272aが十分長くないと、タイル106の自重を支えることができない。そのため、自重支持部材270の支持片272aの長さが異なるものをいくつか用意しておけば、種々の条件に対応して、タイル106を貼ることが可能となる。
次に、図14では、建物躯体の表面が、膨らんだ条件での本願の実施例を考察する。この場合、取り付け部材であるパンチングパネル202の取り付け面204においては、できるだけアンカーの埋め込み軸156aの根元で取り付け面204を固定し、かつ、幅方向両端の調節部材155a、155bを建物躯体の表面に向かって伸ばすことにより、それぞれの先端部が建物躯体の表面に当接して、取り付け部材であるパンチングパネル202をその弾性力で建物躯体の表面に押し付けて固定する。図14の場合は、図中上側の固定装置10eは、取り付け面204に接続していないので、その両側のタイル106は、この固定装置10eで直接的に位置決めはできない。しかしながら、その下側の固定装置10fは、取り付け面204に直接結合しているので、まずこれにより、その両側のタイル106の位置決めができ、それを通じて、上側の固定装置10eで最上段のタイルの位置決めもできる。
図15は、既に接着固定したタイル106を用いて、その側面に貼付されるタイル106の貼付例を示す。このようにすることで容易に、安価に位置決めをすることができる。
図16から23は、本発明の1実施形態の部材を用いた施工法を図解する。まず、建物躯体にタイルの割り付けに合わせたパンチングパネルの位置決めに適切な位置にセットアンカーを打ち込み、表面103bから、埋め込みボルト151の先端部を突出させる(図16)。この埋め込みボルト151の先端をパンチングパネル202の長孔208に合わせて取り付け、先端からナット157aを係合・締め付け、調節部材155a、155bであるネジ207aを調整用孔201から突出させて、上述のような調節を行う。即ち、パンチングパネル202をナットで締め付け、浮きがある場合は、ネジ締めする(図17)。次に、タイル割に合わせた接着剤をパンチングパネル202の取り付け面204に貼付する。即ち、タイル割りに合わせて接着剤をつけるが、施工現場では必ずしもこの通りになるとは限らない(図18)。そして、図9A、図9B、又は図10に描くように固定部材10gを取り付け面204に取り付け、タイルの一端側部を下部受け部材116及び上部押さえ部材の間に挿入する。尚、最下端のタイル106の自重については、床面に直接又は間接的に当接し支持されてもよく、或いは、後述する図33から図36に示すような吊ボルトアタッチメント229を用いることができる。例えば、タイルを1枚張る毎に先入れ型のパンチングパネル用フィクサス(商標)をいれる。また、状況に応じて簡易受けナットを入れることができる(図19)。更に、その隣に同様にタイルを張る。このとき、押さえナットを締め、隣合うタイルの表面位置を合わせる(図20)。更に、上段タイルのための接着剤を、パンチングパネル202の取り付け面204に貼付する。そして、敷設済みの下段のタイルの上端部に、目地スペーサ192を概ね1タイルあたり2個配置する。これにより、目地を確保しつつ、上段のタイル106の自重を支持可能となる。そして、上の段のタイル張りを、これまでの工程と同様に行う。固定部材10gのうち外しても問題のないものについては、外すことができる(図21)。そして、上段のタイルを張り、必要な個所に、後入れ可能な固定装置(10h、10i等)を入れて、タイル表面をそろえる。下部受け部材116がプラス形部材116cや、I字形部材116eの場合は、図示するように、目地に合わせて回転させて、挿入及び係合を行う。接着剤が硬化後は、固定装置の主要部(特に、上部押さえ部材118より表面側にあるもの)を回収する(図22)。これらの各部材の機能を簡単にまとめると、図23のようになる。固定装置10gの場合は、先入れ型であり、フックをパンチングパネル202に固定させてタイル・石の通りを揃えることができる。固定装置10hの場合は、後入れ型であり、挿入後45度回転させて、左右上下段のタイル・石の面を揃えることができる。固定装置10iの場合は、後入れ型であり、上下段のタイルの間の目地部に挿入後90度回転させて、上下段のタイル・石の面を揃えることができる。
図24から図32は、本発明の別の実施形態の部材を用いた施工法を図解する。まず、下地103にタイルの割り付けを行う(図24)。次に、タイル割に合わせてパンチングパネルの位置を決め、それに合うようにアンカー穴151にそれぞれアンカーを打ちこむ(図25)。取り付け部材であるパンチングパネル202をアンカーで固定する(図26)。そして、1段目の接着剤190を付け、タイル106を張り、その側面端に固定装置10gを配置する(図27)。このようにして、1段目のタイル張りを追いかけるように、2段目の接着剤を付けていく(図28)。そして、2段目のタイルを張っていくが、固定装置10gは、上段のみである(図29)。2段目を張り終えたら、プラス字形、I字形(場合によって、T字形)型の固定装置10h、10i等を用いて、調製する(図30)。以後順にタイル106を張り進めるが、タイルのそりなどの症状に合わせて適宜固定装置10g、10h、10i等を配置し、これらにより修正する(図31)。最後に、接着剤が硬化したら、固定装置10g、10h、10i等の少なくとも一部(例えば、上部押さえ部材118、押さえナット122、主ネジ124等)を回収する(図32)。
図33は、本発明の1実施形態において、躯体の壁面に固定された状態の取り付け部材及び固定装置の別の体様の一部省略された模式断面構造図を示す。ここでは、最下位置に吊りボルト222を備える例を示す。躯体の壁である下地103の表面103bにタイル106が、取り付け具であるパンチングパネル202を介して取り付けられている。
まず、下地103の表面103bに、このパンチングパネル202を固定すべき位置にアンカー150のためのアンカー穴を複数あける。次に、これらのアンカー穴それぞれにアンカー150を打ち込む。そして、パンチングパネル202をそのアンカー150を利用して、下地103の表面103bに固定する。この時のパンチングパネル202の取り付けは、図9Aから図10及びそれらの明細書の説明を参照されたい。次に、下段のパンチングパネル202の下方にある取り付け面204(図9A等参照)のパンチ穴に吊ボルトコネクター224を固定する。吊ボルトコネクター224は、パンチ穴に挿入される基部224aと、パンチ穴を形成する取り付け面204の板部材を差し込み可能にくびれた細部224bと、取り付け面204より下地103の表面103bより遠い方に配置される本体部224cからなり、本体部224cには、吊ボルト222が螺合するように螺刻した雌ネジ224dが垂直方向に形成される。このように吊ボルトコネクター224は、縦長小片と、雌ネジ形成ようの突起を備える縦長小片とを、円筒形状の細部により接続した形状をしている。
このようにして固定された吊ボルトコネクター224の雌ネジ224dに六角頭を備える吊ボルト222をねじ込み固定する。六角頭の大径部を利用して、吊ボルトアタッチメント229を上からの荷重を支持可能に維持することができる。また、その高さ方向の位置は吊ボルト222を回すことにより微調節可能である。このようにして、備えた吊ボルトアタッチメント229に支持されるので、最下位置にタイル106を配置することができる。
また、パンチングパネル202の下方にある取り付け面204に、更に、固定装置10dをパネルコネクターともいう固定ナット部材170により、主ネジ124の先端をねじ込み係合することにより固定する。固定装置10dについては、図9Aから図10を参照されたい。このとき、周りに接着剤190が配置されるので、近接する吊ボルトコネクター224と共にキュア後は、固定ナット部材170は、取り付け面204にしっかりと固定される。
このようにして、最下段のタイル106が吊ボルト222及び吊ボルトアタッチメント224、固定装置10dにより所定の位置に固定され、接着剤190により、取り付け面204に最終的に固着される。その上段にも、接着剤190が取り付け面204に塗布され、タイル106が固定装置10dによって固定され、最終的に接着剤190で固着される。更に、上段についても同様である。このようにして、順に適宜タイル106を表面を揃えて下地103の表面103bに張ることができる。
また、図34は、本発明の1実施形態において、躯体の壁面に固定された状態の取り付け部材及び固定装置の別の体様の一部省略された模式断面構造図であり、吊ボルト222で最下位のパネルを固定することを特徴とする。図33の場合とは異なり、パンチングパネルは用いられないが、下地103の表面103bに、固定すべき位置にアンカー115gのためのアンカー穴を複数あける。次に、これらのアンカー穴それぞれにアンカー115gを打ち込む。そのアンカー115gを利用して、下地103の表面103bに、吊ボルトコネクター228、及び固定装置10a(図2、図4、図5、及び、明細書の関連記載参照)が固定される。
吊ボルトコネクター224は、アンカー115gにねじ込まれ固定されるネジ部228aと、その反対側に設けられた吊ボルト222が螺合するように螺刻した雌ネジ228bが形成される(図中、吊ボルトコネクター228の拡大正面図及び拡大下面図を右側に上下に並べて示す)。雌ネジ228bは、吊ボルト222を固定するときは、鉛直方向に向いている。吊ボルト222は最下端に、六角頭の大径部を備え、これを利用して、吊ボルトアタッチメント229を固定する。吊ボルトアタッチメント229は、平面視で長方形の小板部材の中央近くの本体部229bに孔229dを空けて、小板部材の長手方向の1端を鋭角的に曲げた先端曲部229aと、他端を直角に曲げた後端曲部229cとを備える側面視でそり形状をしている。この孔229dに六角頭を下にして下から吊ボルト222が挿入され、外周の螺刻部が上述の雌ネジ228bに係合し、六角頭で吊ボルトアタッチメント229をほぼ水平に配置し、孔229dと後端曲部229cの間の平坦部で、タイル106の下側端を支持することができる。尚、上記平坦部の水平性を確保するために、上記先端曲部229の先端に、湾曲する凹部を備え、吊ボルト222の軸部が孔229dを規定する縁及び上記凹部の縁の少なくとも2か所で接触可能とすることが好ましい。孔229dを規定する縁だけで平坦部の傾きを防ぐことは小板部材の肉厚が十分でなく、特に、平坦部に荷重がかかるところ、図において時計回りの曲げモーメントに対して、上記凹部の縁と吊ボルト222の軸部との当接により対抗できるからである。
更に、吊ボルトコネクター224用のアンカー115gの上側に、アンカー115gがあり、その円板形状の頭部(合成樹脂製であってよい)にある穴(又は雌ネジ)に、固定装置10a(図2、図4、図5、及び明細書の該当部参照)の主ネジ124がねじ込まれる。このねじ込み状態は、図33の固定ナット部材170のねじ込み状態と同様である。この固定装置10aは、下段のタイル106の上側端を、上部押さえ部材118及び下部受け部材116で挟み込み、アンカー115gから延びる主ネジ124の所定の長さに対応する距離だけ、表面103bから離れた位置にタイル106を保持することができる。このタイルは、図33に図示するような接着剤190を下地103の表面103bに塗布することにより、互いに接着されて固着する。
この固定装置10aの上段側に、更に、タイル106が配置され、この下側端を下段のタイル106と同様上部押さえ部材118及び下部受け部材116で挟み込み、表面103bからの位置を固定し、かつ、下段のタイル106の表面を揃えることができる。このようにして、固定した状態で、接着剤190をキュアさせて、下段のタイル106を固着し、更にその上段のタイル106を固着する。そして、順次より上段へとタイル106を張っていくことができる。
このようにして、タイル106が順次張られ、接着剤のキュアが十分行われると、固定装置10a、10dによる固定がなくても、下地103の表面103bからの位置が固定されるので、固定装置10a、10dの少なくとも一部、特に、タイル106表面より外側に突出する部分を、取り外し、回収する。詳細は、図2から図5、及び、図8Aから図10、並びに明細書の関連記載と同様に行われるので、それらを参照されたい。尚、吊ボルト222の取り外しは、第1には、吊ボルト222を解放方向に回転させて、それぞれの雌ネジから解放させることができる。それが難しい場合は、吊ボルト222を途中から切断することもできる。
図35Aは、本発明の1実施形態において、取り付け部材に用いられる部品である、長さの異なる吊ボルト222a、222b、222c、222dを示す。それぞれ、六角頭222a1及びネジ部222a2を備える。また、図35B及び図34Cは、吊ボルトアタッチメント229の側面図及び上面図を示す。このような単純なアタッチメントにより、簡単にタイル106の自重を支持可能であり、接着剤がキュア後は、少なくとも表面に露出する部分については、取り外して、回収が可能であり、コスト的にも環境的にも好ましいといえる。
図36は、本発明の1実施形態において、躯体の壁103の表面103bに固定された状態の取り付け部材及び固定装置の別の体様の一部省略された模式断面構造図を示す。ほぼ、図34の吊ボルトシステムと同じであるので、重複数説明は省略する。主な相違点は、下地103に打ち込まれるアンカー115kの相違と、吊ボルトアタッチメント227の相違である。アンカーは、アンカー用の穴に埋め込まれたスリーブ内に、ネジをねじ込むことにより、下地103に固定するものである。また、アンカー115kに固定される吊ボルトコネクター227は、アンカー115kのねじ込まれるネジを通す孔227aと、本体延長部227bと、雌ネジ形成突起227cと、雌ネジ227dとからなる。吊ボルト222は、回転させて、雌ネジ227dから取り外すことができる。仮に、途中で回転不能になるなど問題があった場合は、吊ボルトコネクター227は、樹脂製とすることで、更に、本体延長部227bに切欠き部227eを備えるので、その部分でねじ切ることができる。このようにして、固定装置と同様、吊ボルトやアタッチメントの取り付けや取り外しが容易にでき、経済的で、美感を損なわないという利点がある。
以上述べてきたことに加え、以下のようなものも提供できる。
(1)プレート部材を取り付ける際に用いる固定装置であって、前記プレート部材の第1面に直接又は間接的に当接する第1当接部材と、前記プレート部材の第2面に直接又は間接的に当接する第2当接部材と、前記第1当接部材と前記第2当接部材との間の距離を調節可能な距離調節部材と、前記距離調節部材に係合し、前記第1当接部材及び前記第2当接部材の間の距離を長く或いは短くすることができる係合移動体と、を含み、前記第1当接部材及び前記第2当接部材の間の距離を短くすることにより、前記プレート部材を挟み込み(或いは、前記プレート部材の少なくとも前記第1面又は前記第2面のいずれかがそれぞれ第1当接部材又は第2当接部材に直接又は間接的に当接して)、前記プレート部材の位置を固定することができ、前記プレート部材の位置が一旦固定された後に、前記第2当接部材、前記距離調節部材の少なくとも一部、及び前記係合移動体が前記プレート部材から離脱可能な固定装置。
ここで、固定装置は、固定治具、高さ調節装置、クランプ等を含んでよく、プレート部材の高さを調節可能な装置を含んでよい。例えば、2又はそれ以上のプレート部材の相対的な高さを調節可能な装置を含んでよい。相対的な高さは、例えば、プレート部材の厚み方向の位置を含んでよい。固定装置は、例えば、プレート部材の位置(高さを含む)を相対的に固定することができる装置を含んでよい。例えば、2つのプレート部材のそれぞれの基準面(例えば、表面又は裏面)を揃えることができる装置を含んでよい。固定は、一時的なものであってもよく、又は、所定の期間であってもよい。更に、固定がプレート部材の寿命が続く限り継続されてもよい。
上記第1面は、上記第2面と相対的な関係にあり、両面で上記プレート部材の位置を少なくとも一時的に固定できてよい。また、第1面及び第2面は交換可能であってよい。例えば、第1面は表面を第2面は裏面を含んでよく、逆に、第1面は裏面を第2面は表面を含んでよい。第1面(交換可能であるように第2面の場合を含む)は、例えば、上記表面又は裏面の何れでもない面(例えば、プレート部材の厚み内に設けられた面)を含んでよい。第1面及び第2面の大きさ(広がり又は面積)は、特に限定はなく、プレート部材の持つ最大の面の大きさであってもよく、最小の面の大きさであってもよい。例えば、プレート部材が平らな四角い板形状であれば、その四角い表面及び裏面がそれぞれ第1面及び第2面又は第2面及び第1面であってもよい。或いは、第1面又は第2面は、プレート部材が四角い板形状であり、その表面又は裏面の一部に凸形状があった場合に、その凸形状の先端であってもよい。また、第1面又は第2面は、形状が限られることはなく、平坦な面であってもよく、湾曲した曲面の一部であってもよい。表面に凹凸があってもよく、なくてもよい。
このような第1面又は第2面に直接又は間接的に当接する第1当接部材又は第2当接部材は、当接により第1面又は第2面に力を及ぼすことができればよく、形状は限られない。例えば、当接する相手の第1面又は第2面に対応した形状(例えば、第1面又は第2面に安定的に当接可能な形状であってもよい。また、例えば、平坦な面、曲面の一部、凹凸を含む又は含まない面、であってもよい。第1面及び第2面と同様大きさにも限定がなくてよい。)であってよい。直接的に当接するとは、第1面又は第2面に第1当接部材又は第2当接部材が間に介在物を挟むことなく接触することを含んでよい。また、間接的に当接するとは、第1面又は第2面に第1当接部材又は第2当接部材が間に介在物を挟んで接触することを含んでよく、また、接触しなくても力を及ぼすことができることを含んでよい。例えば、磁力等の反発力又は引力により力を及ぼすことを含んでよい。
第1当接部材及び第2当接部材は、その形状は限られない。例えば、共に同様な形状であってもよく、異なる形状であってもよい。例えば、第1当接部材(又は第2当接部材)は、第1面(又は第2面)に当接する表面を備える円板形状の部材を含んでよく、円に限らず、4角、5角のような多角板形状の部材を含んでよい。この板形状は、表面の任意の個所に穴又は凹みを備えるものであってもよい。また、板形状に限らず、ブロック形状、球形状を含む曲面からなる形状を含んでよい。例えば、I字形状(棒形状)、プラス形状、T字形状、Y字形状、C字形状等あらゆる種類の形状を含むことができる。第1当接部材及び第2当接部材により、それぞれ第1面及び第2面に力を及ぼすことにより、プレート部材を固定することができる。力を及ぼすことには、直接又は間接的に当接することを含んでよい。例えば、プレート部材のいわゆる表面及び裏面を狭持するように第1及び第2当接部材がプレート部材を固定することを含んでよい。例えば、第1当接部材は、距離調節部材に係合したものであってもよい。距離調節部材との相対的な位置を第1当接部材が少なくとも一時的に維持可能な状態となり得る。一時的とは、一瞬のような所定の時間内という意味であってもよく、プレート部材を固定する間という意味であってもよい。
上記距離調節部材の形状は特に限られず、如何なるものであってもよい。上記第1当接部材及び第2当接部材に力を及ぼすことが可能な形状であることが好ましい。例えば、第1当接部材及び第2当接部材の両方に届き得る長さの棒形状のもの、帯形状のもの等のように1方向に長いものであることが好ましい。第1当接部材及び第2当接部材の機能を制限することが少なく、これらに力を及ぼすことが容易にできるからである。例えば、帯状部材、棒状部材、ロッド、ネジ(外周に螺刻されたもの等)、円筒(内側に螺刻されたものを含む)等を含んでよい。
このような距離調節部材に係合する係合移動体の形状は特に限られず、如何なるものであってもよい。距離調節部材に係合するとは、例えば、距離調節部材との相対的な位置を維持可能な状態となり得ることを含んでよい。例えば、距離調節部材との相対的な位置を変化させようとする力に対抗できる機能や構造を含んでよい。係合移動体は、係合した状態で距離調節部材に対して相対的に移動可能であってよい。即ち、係合移動体の移動により距離調節部材との相対的な位置が変化するが、その変化を妨げるように働く力があった場合、その力に対抗することができる。例えば、第1当接部材及び第2当接部材を近接させようと係合移動体を移動させたときに、近接に対する抗力となる反発力に対抗するように係合移動体は距離調節部材に係合してよい。このような機能や構造には、例えば、ラック・アンド・ピニオン機構のような機構が含まれてよく、また、ボルト及びナットのような関係が含まれてよい。係合移動体の移動は、第1当接部材及び第2当接部材の間の距離を長く又は短くすることができるが、係合移動体の移動が第1当接部材又は第2当接部材の何れかに伴うもので、この距離の長短に直接的に関係してもよく、関係しなくてもよい。例えば、係合移動体の移動が、距離調節部材の周りを回る移動に過ぎない場合であっても、第1当接部材及び第2当接部材の間の距離を長く又は短くすることができる。ボールペン等のペンの先端を突出させたり、引っ込めるような移動を、ボールペン等の胴体部分を回転させることで行うような機構を備えることにより可能である。
第1当接部材及び/又は第2当接部材の距離調節部材に対する相対位置がほぼ固定され、更に係合移動体の移動により第1当接部材及び/又は第2当接部材が相対的に更に近接して、第1当接部材及び第2当接部材がそれぞれ第1面及び第2面に当接し、プレート部材の位置が一旦固定されると、プレート部材の少なくとも相対的な位置決めができることになる。これにより、プレート部材の表面を所定の基準面に揃えることができる。この基準面を、プレート部材の第2面若しくはそれと一定の関係を備える面(例えば相対的位置が固定されている面を含む)としてもよい。この状態で、接着剤のような結合部材により、プレート部材の位置を固定することができる。しかる後に、接着剤のような結合部材による固定が確保されると、固定装置がなくても位置を維持できる。固定装置は、例えば、第2当接部材、距離調節部材の少なくとも一部、及び係合移動体について、プレート部材から離脱が可能となっていてよい。このようにすると、プレート部材の第2面から第1面の反対側に突出する方向に存在する部材を取り除くことができ、第2面側から見た美観を好ましいものにすることができる。
(2)前記第1当接部材は、前記プレート部材に隣合う隣プレート部材の前記第1面に対応する、隣第1面とも直接又は間接的に当接し、前記第2当接部材は、前記プレート部材に隣合う隣プレート部材の前記第2面に対応する、隣第2面とも直接又は間接的に当接し、前記第1当接部材及び前記第2当接部材の間の距離を短くすることにより、前記プレート部材及び前記隣プレート部材を挟み込み、前記プレート部材及び前記隣プレート部材の相対的な位置を固定することができ、前記プレート部材及び前記隣プレート部材の相対的な位置が一旦固定された後に、前記第2当接部材、前記距離調節部材の少なくとも一部、及び前記係合移動体が前記プレート部材及び前記隣プレート部材から離脱可能なことを特徴とする上記(1)に記載の固定装置。
プレート部材に隣プレート部材が隣合うことは、プレート部材を特徴付ける面(例えばプレート面)の端部に、隣プレート部材を特徴付ける面(例えば隣プレート面)の端部が、突き合わせる関係となることを含んでよい。例えば、プレート面及び隣プレート面がほぼ平行になっており、それぞれの部材の端部が突き合わせる関係となることを含んでよい。このようにすることで、プレート面及び隣プレート面の面位置を合わせることができ、或いは、プレート面及び隣プレート面で1つの面を形成することができるように、隣り合うことを意味してもよい。このとき、プレート面又は隣プレート面の何れかを基準面として、他方をそれに合わせることもできる。ここで、プレート面及び隣プレート面は、それぞれプレート部材の表面、裏面、その他の面、及び、隣プレート部材の表面、裏面、その他の面を含んでよい。特に、それぞれの部材の表面又は裏面であってよい。
隣第1面及び隣第2面は、それぞれ上述する第1面及び第2面と同様に第1当接部材及び第2当接部材に直接又は間接的に当接することができる。また、同様に第1当接部材及び記第2当接部材の間の距離を短くすることにより、隣プレート部材を挟み込み、隣プレート部材の相対的な位置を少なくとも一時的に固定することができる。このとき、プレート部材の第1面及び第2面が、同様に第1当接部材及び第2当接部材に当接し、第1面及び/又は第2面と対応する隣第1面及び/又は隣第2面が少なくとも第1面と隣第1面、又は、第2面と隣第2面のいずれかを揃えることができる。このように、第1当接部材及び/又は第2当接部材を介して、プレート部材及び隣プレート部材の何れかの面が揃えられ得る。このように揃った状態でプレート部材及び隣プレート部材が少なくとも一時的にその位置(相対位置を含む)が固定され得る。
(3)前記プレート部材が取り付けられる取り付け基準位置から敷設される表面までの距離を規定可能な距離規定部材を含み、該距離規定部材は、前記第1当接部材の位置を規定することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の固定装置。
ここで、プレート部材及び/又は隣プレート部材は、建物の躯体の表面に直接取り付けられてもよい。このときの取り付け基準位置は、建物の躯体の表面又はそこから外側に存する位置であって、この躯体の表面のうち躯体から一番外側に存する位置にある該表面の一部若しくはその近傍又はそこから少し(例えばプレート部材の厚みと同程度)外側に離れた位置を通り、プレート部材及び/又は隣プレート部材が敷設されるべき設計上の面の位置を意味することができる。躯体の表面は、平坦な平面又は設計された曲面であることが望ましいが、必ずしもそのようになっているとは限らない。このような場合であっても、外装として敷設されるプレート部材(隣プレート部材を含む。以下同じ。)が、設計通りに平面又は設計された曲面に沿って貼付されれば、少なくとも外観上は設計通りの外壁(例えば、化粧壁)を備えることができる。そのためには、建物の躯体の表面から離れ得る取り付け基準位置に、設計通りに平坦に或いは所定の曲面に形成されたプレート部材を取り付けることが好ましい。従って、この取り付け基準位置は、躯体の表面から変動し得る所定の距離を隔てたところにある。上述の距離規定部材は、一端が躯体の表面又は実質的な表面に固定されてよい(アンカー等を打ち込んで固定する場合を含む)。そして、この距離規定部材は、プレート部材の第1面が当接する位置に第1当接部材を配置可能に距離を規定する。即ち、距離規定部材の他端は、第1当接部材に少なくとも一時的に固定されてよい。この距離規定部材は、その長さが伸縮可能なものが好ましい。躯体の表面の位置の変動に応じて適宜変化させることができるからである。或いは、複数種類の長さを規定可能な距離規定部材を用意し、躯体の表面に固定された固定部材と(更に望ましくは第1当接部材とそれぞれ)着脱容易なものとすることができる。これにより、簡単な部品交換により実質的に伸縮自在の距離規定部材を得ることができる。例えば、距離規定部材が、躯体の表面に固定された固定部材との連結部と、距離を規定する棒状部材と、第1当接部材との連結部とからなる場合、この棒状部材の長さが数種類のものを用意して、その両端に固定部材及び第1当接部材との着脱容易な連結部をそれぞれ配置することでなすことができる。
(4)前記距離調節部材に固定されるツマミ部を備え、該ツマミ部を把持して回転させることにより、前記距離調節部材が破壊されて少なくとも一部が、前記ツマミ部、前記第2当接部材、及び前記係合移動体と共に、前記プレート部材から離脱可能なであることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の固定装置。
ツマミ部は、例えば、距離調節部材がネジのような軸状の部材である場合、その軸径よりも大きな径を備えるものが好ましい。ツマミ部は、回転し易いように、表面に凹凸を付けることが好ましい。距離調節部材がネジのような軸状の部材である場合、ネジ切ることができる程度の大きさの径であることが好ましい。また、所定の位置でネジ切れるように、一部に距離調節ではネジ切れないが、更に強いトルクを与えるとネジ切れるような、細軸部、又は、切り込みをこの所定の位置に備えることが好ましい。この所定の位置は、例えば、第2面よりも第1面側にあることが好ましい。プレート部材の第2面より突出しない方が好ましいからである。この距離調節部材は、調節のために所定のトルクがかかるので、それに耐えられる強度を備える材料からなることが好ましい。例えば、ステンレス鋼、真鍮等の金属材料を用いることができる。
(5)前記第1当接部材は、前記プレート部材の目地に応じた形状を備えることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載の固定装置。
第1当接部材は、如何なる形状であってもよいが、プレート部材とプレート部材が敷設される表面との間に挟まれてそのままプレート部材と共に敷設面に留まってよい。このため、化学的な安定性に優れる合成樹脂等の有機材料が好ましい。金属材料であってもよいが、金属は錆びるおそれもあり、プレート部材と敷設面の間で着色原因ともなり得る。従って、通常の温度、湿度、大気中で安定な、合成樹脂が好ましい。このように第1当接部材は、プレート部材及び敷設表面の間に残るものであるが、プレート部材及び隣プレート部材を一旦敷設して、仮止めを行った状態で、本発明の実施例にかかる固定装置を導入可能な形状であることが好ましい。例えば、4枚の矩形のプレート部材(相互にプレート部材及び隣プレート部材であり、交換可能である)が、所定幅(例えば、約1〜10mm)の目地を隔てて付き合わされた場合、各プレート部材のコーナーが出会う場所は、プラス形の目地を備える。このような場合、第1当接部材の平面視が対応するプラス形であれば、目地の部分をすり抜け((注)プレート部材のコーナー部には通常接着剤を付着させない)、第1当接部材及び第2当接部材の間の距離を、これらのプレート部材の厚みよりも十分長くすれば、第1当接部材は、各プレート部材の第1面よりも敷設表面側に存することができる。一方、第2当接部材が例えば円板状に形成されれば、目地から奥に入り込むこともできない。この状態で、第1当接部材を45度ひねれば、第1当接部材の平面視でプラス形の形状は、その表面が、各プレート部材の第1面に対向するようになる。この状態で、係合移動体を移動させ、第1当接部材及び第2当接部材間の距離を縮めれば、各プレート部材の第1面及び第2面がこれらに当接し、更に移動体を移動させ、第1当接部材及び第2当接部材間の距離を縮めれば、各プレート部材の第1面及び第2面が、第1当接部材及び第2当接部材を介して、揃うことになる。このとき、距離調節部材(例えば、ネジ部材)は、第1当接部材に対して、少なくとも一時的に固定されてよい。このような一時的な固定は、例えば、第1当接部材の平面視の形状の中央(プラス形の交差点)に、有底穴を備え、距離調節部材(例えば、ネジ部材)の先端にタップを切ることができるように螺刻することが考えられる。このようにすれば、距離調節部材を有底穴にねじ込むことにより、少なくとも底に当たった時点で更なるねじ込みは極めて困難となり、且つ、ねじ込みのため、自由回転もできなくなる。例えば、第1当接部材を、合成樹脂で形成すれば、この様なねじ込みは比較的容易に行うことができる。
更に、1枚のプレート部材の端部に、2枚のプレート部材が突き合わされる場合、その目地は、T字形を呈する。この場合は、上述のように、目地形状に合わせて、T字形の第1当接部材を用意し(T字の交差点に同様に有底穴を備える)、同様にして、これら3枚のプレート部材の位置合わせ(高さ合わせともいう)を行うことができる。この場合も、第1当接部材を45度ひねることができる。また、2枚のプレート部材が突き合わされる場合、その目地は、I字形(直線形状)を呈する。この場合も、上述のように、目地形状に合わせて、I字形の第1当接部材を用意し(中点位置に同様に有底穴を備える)、同様にして、これら2枚のプレート部材の位置合わせ(高さ合わせともいう)を行うことができる。この場合あh、第1当接部材を90度ひねることができる。
(6)前記第1当接部材は、前記距離調節部材の長手方向に伸びる穴であって、その内面に雌ネジが螺刻される穴に螺合する突起状の螺子部を備えることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれかに記載の固定装置。
(7)建物躯体の表面にプレート部材を取り付ける取り付けシステムであって、前記建物躯体の表面に機械的に固定される取り付け部材と、該取り付け部材に取り付けられ、前記プレート部材の自重を受けることができる受け部材と、前記プレート部材の第1面に直接又は間接的に当接する第1当接部材、前記プレート部材の第2面に直接又は間接的に当接する第2当接部材、前記第1当接部材及び前記第2当接部材の間の距離を調節可能な距離調節部材に係合して前記第1当接部材及び前記第2当接部材の間の距離を長く或いは短くすることができる係合移動体を備える固定装置と、を備え、前記固定装置は、前記建物躯体の表面及び/又は前記取り付け部材に固定されることができ、前記受け部材は、前記プレート部材の厚み方向の移動を許す構造を備え、前記プレート部材は、前記建物躯体の表面及び/又は前記取り付け部材と接着する接着剤を介して、前記受け部材に自重を支えられるように、前記建物躯体の表面及び/又は前記取り付け部材に押し付けられ、前記固定装置によって、前記建物躯体の表面又は前記プレート部材からの距離を一定に維持されることを特徴とする取り付けシステム。
建物躯体は、木造、ブロック造、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造(S造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)を含み、建築物の構造体を意味することができる。機械的に固定される取り付け部材は、ネジ、ボルト等の物理的に係合する締結部材により固定されてよい。取り付け部材は、躯体の表面に固定され、プレート部材は、この取り付け部材を介して、躯体の表面に固定されてよい。
(8)前記取り付け部材は、前記建物躯体の表面に固定される取り付け脚部と、前記プレート部材に接して締結部材を介して前記プレート部材を取り付ける取り付け面と、前記取り付け脚部から前記取り付け面側に離れた位置に配置される傾き調節部材と、前記建物躯体の表面に直接又は間接的に固定される固定部と、を備え、前記取り付け脚部は、前記固定部に固定され、前記傾き調節部材は、前記建物躯体の表面の対応する位置に当接できる先端を有する伸縮部材を備え、前記伸縮部材は、前記取り付け脚部の前記固定部への固定により前記先端から前記建物躯体の表面への隙間を埋めるように伸び、所定の反発力が前記建物躯体の表面から返ってくるところで固定されることを特徴とする上記(7)に記載の取り付けシステム。
上述する取り付け部材は、帯状に延びる板材を屈曲させて形成可能な部材であってよい。また、中央に取り付け脚部として凹部として帯形状に沿って備えられ、その両側に、プレート部材を取り付ける取り付け面を凸部として帯形状に沿って備えるものであってよい。更に、両側の取り付け面の更に外側には、傾き調節部材を備えてもよい。この傾き調整部材は、上記取り付け脚部のように、躯体の表面側に湾曲しへこんでもよい。その一部に、建物躯体の表面の対応する位置に当接できる先端を有する伸縮部材を保持可能な孔を備えてもよい。この孔には、螺刻されており、伸縮部材の螺刻部と係合し、ねじ込むことにより、その先端が表面の対応する位置に当接できるようにしてもよい。このようにすると、取り付け部材の帯形状の帯の幅方向において、表面の凹凸がある場合であっても、中央の脚部を、比較的平坦な、設計通りの表面に取り付ければ、その凹凸を伸縮部材が吸収することができる。これに対し、傾き調整部材を、中央に取り付け脚部と同様に構成すると、表面の帯形状の幅方向の凹凸をそのまま、取り付け部材が受けるため、取り付け脚部の機械的な締結又は固定が困難となる場合もある。また、そのような凹凸が帯形状に影響を及ぼし、取り付け部材の取り付け面が湾曲して、プレート部材が真直ぐに(平らに)固定され難くなるおそれがある。
(9)更に、前記プレート部材の第1面が接するべき基準面を規定する基準面規定部材を備えることを特徴とする上記(7)又は(8)に記載の取り付けシステム。
プレート部材の第1面が接するべき基準面は、基本的に第2面を規定する。プレート部材の厚みが一定である場合が多いからである。そして、第2面は、基本的にプレート部材の外観を規定する。従って、第1面が接するべき基準面が好ましく規定されると、プレート部材の外観が好ましく規定され得る。
(10)前記基準面規定部材は、前記プレート部材の第1面に沿った弦を含むことを特徴とする上記(7)から(9)のいずれかに記載の取り付けシステム。
ここで、プレート部材は工場等で生産され、しかるべく搬送されるので、平面精度を十分高くすることができる。特にセラミックタイルのような剛性の高いものでは、壁面等に取り付けた際に変形が少なく、正確な位置決めには好ましいと考えられる。一方、建物躯体の壁面(表面)の精度は、それに比べ落ちる場合がある。そのため、建物躯体の壁面の本来の平面を精度良く出し、その平面に合わせるように、タイル等の取り付け面を規定して、その規定面にプレート部材を取り付けるようにすることが好ましい。
例えば、建物躯体の壁面の基準となる点を複数選択し、それに対して位置を合わせるように、プレート部材を取り付けるための取り付け部材を建物躯体の壁面に固定する。即ち、この取り付け部材のタイル等の取り付け面を上述の基準となる点による本来の平面に合わせる調整を行う。或いは、取り付け部材の固定において必ずしも本来の平面に合わせるだけ十分調整できなかった場合であっても、プレート部材の取り付け面がこの本来の平面に合うことができるような調整機構を、この取り付け部材が備えることを特徴とすることができる。このような調整機構は、上述の取り付け部材とは別個の部品又は部材であってよい。
更に、この調整機構は、上述の取り付け部材と、取り付けられるプレート部材との間の距離を調整可能なものであってもよい。同じ或いは別部材の調整機構は、取り付けられる隣合うプレート部材の位置を調整可能なものであってもよい。このような調整機構は、特に、タイル等を取り付け固定する締結部材(例えば、弾性接着剤のような接着剤、両面テープ、係合部材等の化学的、物理的、機械的な要素で結合できるものを含んでよい)を補助するためのものであってもよい。補助するとは、締結に直接又は間接的に寄与することを意味してよい。例えば、位置決め、結合助力、間隔維持等の効果をもたらすものであってもよい。このような調整機構には、フィクサス(商標)と呼ばれる固定装置(クランプを含む)も含まれる。
また、前記建物躯体の表面に固定され、該表面及び前記プレート部材の背面の間に配置されるコネクタと、該コネクタに垂直方向に螺合するボルトと、該ボルトの頭部の大径部を利用して、自身及び前記プレート部材の自重を支持可能なアタッチメントと、前記建物躯体の表面及び前記プレート部材背面の間を結合する、時間と共に締結力が増大する締結部材と、を備え、前記締結部材の締結力が十分強くなるまで、前記プレート部材の自重を前記アタッチメントは支持可能であり、前記締結力が十分になった時点で、少なくとも前記ボルト及び前記アタッチメントを取り外し可能な上記(7)から(10)に記載の取り付けシステムを提供することができる。
以上のように、所定の要件を満足する固定装置を用いてプレート部材の位置決めを行うことができる。また、その際にプレート部材の美観を損なわないようにすることができる。