JP6260321B2 - Ag合金膜形成用スパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
一方、上述のAg膜及びAg合金膜は、比抵抗値が低く導電性に優れていることから、例えば特許文献4に開示されているように、タッチパネルの引き出し配線としても使用されている。
さらに、Caの含有量が0.01原子%以上とされているので、加工性が向上しターゲットの表面加工後の表面粗さが小さくなり、成膜時の異常放電の発生を抑制することができる。また、Caの含有量が0.15原子%以下とされているので、スパッタリングターゲット製造時の割れの発生を抑制することができる。
この構成のAg合金膜形成用スパッタリングターゲットによれば、スパッタ面の表面粗さをより小さくすることができる。
この構成のAg合金膜形成用スパッタリングターゲットによれば、スパッタ面の算術平均粗さが1.0μm以下、十点平均粗さが6.0μm以下とされているので、成膜時の異常放電の発生を確実に抑制することができる。
本実施形態であるAg合金膜形成用スパッタリングターゲットは、Ag合金膜を形成する際に用いられるものである。ここで、本実施形態であるAg合金膜は、例えばディスプレイ、発光素子等の光反射層を構成するAg合金反射膜、タッチパネルのパネル面周縁部に形成される配線を構成するAg合金導電膜として使用される。
本実施形態であるAg合金膜形成用スパッタリングターゲットは、Sbを0.01原子%以上3.00原子%以下、Caを0.01原子%以上0.15原子%以下含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有するAg合金で構成されている。
以下に、本実施形態であるAg合金膜形成用スパッタリングターゲットの組成を上述のように規定した理由について説明する。
Sbは、Agに固溶することでAgの粒成長を抑制し、後述するCaとの相乗効果によって、スパッタリングターゲットを構成するAg合金の加工性を向上させる作用効果を有する元素である。これにより表面加工時の加工跡が細かくなってターゲット表面の表面粗さが小さくなり、スパッタリングターゲットを大型化した場合であっても、成膜時の異常放電の発生を抑制することが可能となる。また、成膜したAg合金膜の耐熱性を向上させる作用効果も有する。
ここで、スパッタリングターゲットにおけるSbの含有量が0.01原子%未満の場合には、上述の作用効果を十分に奏功せしめることができないおそれがある。一方、スパッタリングターゲットにおけるSbの含有量が3.00原子%未満を超える場合には、成膜したAg合金膜の反射率が低く、かつ、比抵抗値が高くなるおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、スパッタリングターゲットにおけるSbの含有量を0.01原子%以上3.00原子%以下の範囲内に設定している。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、スパッタリングターゲットにおけるSbの含有量を、0.01原子%以上2.00原子%以下の範囲内とすることが好ましい。
Caは、添加することでスパッタリングターゲットを構成するAg合金の加工性を向上させる作用効果を有する元素である。
ここで、スパッタリングターゲットにおけるCaの含有量が0.01原子%未満の場合には、上述の作用効果を十分に奏功せしめることができないおそれがある。一方、スパッタリングターゲットにおけるCaの含有量が0.15原子%を超える場合には、スパッタリングターゲットを構成するAg合金が著しく硬化し、スパッタリングターゲットの製造時に割れ等が発生してしまうおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、スパッタリングターゲットにおけるCaの含有量を、0.01原子%以上0.15原子%以下の範囲内に設定している。
また、Caの含有量は、Sbに対して原子比でSb/Ca≧1.0とすることで、スパッタ面の表面粗さをより小さくすることができる。
本実施形態であるAg合金膜は、上述のように、ディスプレイ、発光素子等の光反射層として使用される。これらの用途においては、特定の波長の光に対する反射率が高いこと、あるいは、広い波長域の光に対する反射率が高いことが要求される。また、ディスプレイや発光素子の製造過程においては、光反射層を形成した後に、例えば250℃以上の熱処理が施されることがあるため、熱処理後においても高い反射率を確保する必要がある。
さらに、本実施形態であるAg合金膜は、上述のように、タッチパネルのパネル面周縁部に形成される配線を構成するAg合金導電膜として使用される。これらの用途においては、比抵抗値が低いことが求められている。
ここで、本実施形態であるAg合金膜は、上述のAg合金膜形成用スパッタリングターゲットを用いて成膜されたものである。
また、Caの含有量が0.15原子%以下とされているので、スパッタリングターゲットを構成するAg合金が著しく硬化してスパッタリングターゲットの製造時に割れ等が発生してしまうことを抑制できる。よって。Ag合金膜形成用スパッタリングターゲットを安定して製造することができる。
例えば、本実施形態では、ディスプレイ、発光素子等の光反射層を構成するAg合金反射膜、タッチパネルのパネル面周縁部に形成される配線を構成するAg合金導電膜として使用されるものとして説明したが、これに限定されることはなく、例えば透明導電膜や赤外線反射膜に用いられる半透明膜等、その他の用途に適用してもよい。
溶解原料として、純度99.9質量%以上のAgと、純度99.9質量%以上のSb,Caと、を準備し、表1に示す所定の組成となるように秤量した。
次に、溶解炉を用いて、Agを高真空または不活性ガス雰囲気中で溶解し、得られたAg溶湯に、Sb,Caを添加し、真空または不活性ガス雰囲気中で溶解した。その後、鋳型へと注湯して、表1に示す組成の鋳塊を製造した。より具体的には、Agの溶解時には、雰囲気を一度真空(5×10−2Pa以下)にしたあとArガスで置換した雰囲気で行った。また、Sb,Caの添加は、Arガス雰囲気中で実施した。なお、Caは、予め作製したAgCa合金の形で添加すると、合金の均一性とCaの微量添加制御の観点から好ましい。
また、従来例として、純Ag(純度99.9質量%以上)からなる上記と同一寸法のスパッタリングターゲットを準備した。
測定結果を表1に示す。
上述した本発明例1〜9、比較例1〜4のスパッタリングターゲットを用いて、以下の条件でAg合金膜を成膜した。
上述した本発明例1〜9、比較例1〜4のスパッタリングターゲットを無酸素銅製のバッキングプレートにインジウム半田を用いて半田付けしてターゲット複合体を構成し、これをスパッタ装置に装着し、ガラス基板(コーニング社製イーグルXG)との距離:70mm、電力:直流250W、到達真空度:5×10−5Pa、Arガス圧:0.67Paの条件でスパッタリングを実施し、ガラス基板の表面に、厚さ:100nmを有するAg合金膜を形成した。
なお、上述した従来例のスパッタリングターゲットを無酸素銅製のバッキングプレートにインジウム半田を用いて半田付けしてターゲット複合体を構成し、これをスパッタ装置に装着し、上記と同様の条件でガラス基板上に厚さ:100nmのAg膜を形成した。
通常のマグネトロンスパッタ装置に、上述の無酸素銅製のバッキングプレートにインジウム半田を用いて半田付けしたターゲット複合体を取り付け、1×10−4Paまで排気した後、Arガス圧:0.5Pa、投入電力:直流1000W、ターゲット基板間距離:60mmの条件でスパッタを実施した。スパッタ時の異常放電回数は、MKSインスツルメント社製DC電源(RPDG−50A)のアークカウント機能により、放電開始から30分間の異常放電回数として計測した。測定結果を表1に示す。
上述のようにして得られた成膜後のAg合金膜およびAg膜の反射率を、分光光度計を用いて、波長800nmから400nmの範囲の光を用いて測定した。波長405nm、450nm、550nmの光の反射率を表2に示す。
上述のようにして得られた成膜後のAg合金膜およびAg膜のシート抵抗値を四探針法によって測定し、比抵抗値を算出した。得られた成膜後の比抵抗値を表2に示す。
上述の試料を、大気中で温度250℃、保持時間1時間の熱処理を行った。
この熱処理後のAg合金膜およびAg膜の反射率および比抵抗値を上述と同様の方法で測定した。評価結果を表2に示す。
Sbの含有量が本発明の範囲よりも多い比較例2は、成膜されたAg合金膜において、成膜後の比抵抗値が高かった。また、波長405nm,450nm,550nmのいずれも成膜後の反射率が低かった。
Caの含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例3は、ターゲット表面の算術平均粗さが2.56μm、十点平均粗さが16.64μmと比較的大きかった。このため、異常放電回数が23回と多くなり、Ag合金膜の成膜を安定して実施できなかった。
Caの含有量が本発明の範囲よりも多い比較例4は、スパッタリングターゲット製造時に圧延割れが生じた。
純Agからなる従来例は、ターゲット表面の算術平均粗さが5.71μm、十点平均粗さが36.72μmと大きかった。このため、異常放電回数が36回と多く、Ag膜の成膜を安定して実施できなかった。また、成膜されたAg膜において、波長405nm,450nm,550nmのいずれも、熱処理後の反射率が低くかった。
Claims (3)
- Sbを0.01原子%以上3.00原子%以下、Caを0.01原子%以上0.15原子%以下含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有することを特徴とするAg合金膜形成用スパッタリングターゲット。
- 含有されるSbとCaの原子比がSb/Ca≧1.0であることを特徴とする請求項1記載のAg合金膜形成用スパッタリングターゲット。
- スパッタ面の算術平均粗さが1.0μm以下、十点平均粗さが6.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のAg合金膜形成用スパッタリングターゲット。
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