JP6266885B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、従来よりも転がり抵抗を低減させた空気入りタイヤに関する。
従来の空気入りタイヤにおいては、荷重転動時におけるサイドウォール部の変形は、ビードコアと一体となって生じる曲げ変形である。サイドウォール部からビードコアにかけての変形を大きくすることでトレッド部の変形が小さくなり、これにより、トレッド部でのヒステリシスロスが低減され、転がり抵抗が低減する。そのため、転がり抵抗を低減させる手法として、サイドウォール部からビードコアにかけての変形を大きくすることが、一般的に行われている。
一方、ビードコアからサイドウォール部の変形を大きくすることでビードコアの周辺のビード部の変形が増加することになる。そのため、ビード部の剛性を必要以上に下げてしまうとビード部の変形に起因するヒステリシスロスが増大してしまい、トレッド部におけるヒステリシスロスは低減されているのにもかかわらず、タイヤ全体での転がり抵抗が悪化してしまうおそれがある。
このような状況の中、タイヤのサイドウォール部やビード部に補強層を配置する技術について種々検討がなされている。例えば、特許文献1では、軽量化および耐久性の向上を目的として、トレッド部のショルダーからビードコアにかけてカーカス沿いに高弾性有機繊維の補強層を配置した空気入りタイヤが提案されている。。
特願2007−188477号公報
しかしながら、特許文献1に記載のタイヤは、上記のような広範囲にわたって補強層を配置したものであり、この場合、ビード部だけでなくサイドウォール部からビードコア全体の剛性が補強されるのでサイドウォール部やビード部の変形が減少し、トレッド部の変形が増加するために転がり抵抗に対して悪影響を及ぼす場合がある。
そこで、本発明の目的は、ビード部における各部材の配置を見直すことで、従来よりも転がり抵抗を低減させた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、以下の着想を得るに至った。すなわち、サイドウォール部は、通常、カーカスとサイドゴムのみで構成され、大きく変形しても大きなヒステリシスロスは発生しない。一方、ビード部はサイドウォール部に比べ体積が大きく、一般的に高ヒステリシスロス部材であるビードフィラーが存在し、かつ、リムフランジに直接接触してリムから圧縮応力を受ける等、変形によるヒステリシスロスが大きい部分である。そこで、転がり抵抗を低減させるためには、ビード部の剛性をサイドウォール部対比で増加させることでビード部の変形を抑制しつつ、サイドウォール部に変形を集中させることが有効である。
かかる着想に基づき、本発明者はさらに鋭意検討した結果、ビード部におけるビードコア、ビードフィラーおよびインサートの配置を所定のものとすることで、上記課題を解消することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の空気入りタイヤは、左右一対のビード部と、該一対のビード部からタイヤ径方向外側に連なる一対のサイドウォール部と、該一対のサイドウォール部に連なるトレッド部と、前記一対のビード部にそれぞれ埋設された一対のビードコア間にトロイド状に延在する1層以上のカーカスプライからなるカーカスと、前記ビードコアのタイヤ径方向外側に配置されたビードフィラーと、前記ビード部に配置された、コードがゴムで被覆されてなるインサートと、を有する偏平率が40%以上であるリムガードを有さない空気入りタイヤにおいて、
前記コードが有機繊維コードであって、
標準リムに装着し、規格内圧を充填した無負荷状態において、前記ビードフィラーのタイヤ径方向最外端の位置が、リムフランジのタイヤ径方向最外端から−15mm〜−5mmタイヤ径方向外側にあり、
前記インサートのタイヤ径方向最外端の位置が、リムフランジのタイヤ径方向最外端から5mm〜20mmタイヤ径方向外側にあり、かつ、前記インサートの角度が、タイヤ径方向に対して5〜25°であることを特徴とするものである。ここで標準リムとは、JATMA(2012年度)にて、タイヤに応じて定められた標準リムをいう。
本発明のタイヤにおいては、前記インサートのタイヤ径方向最内端の位置は、前記ビードコアのタイヤ径方向最外端から−5mm〜10mmタイヤ径方向外側であることが好ましい。また、本発明のタイヤにおいては、前記カーカスは、前記一対のビードコア間でトロイド状に延びるカーカス本体部と、前記ビードコアの周りにタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返されてなるカーカス折り返し部を有し、前記インサートは、前記カーカス本体と前記ビードフィラーとの間に配置されてなることが好ましい。
本発明によれば、従来よりも転がり抵抗を低減させた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の一好適実施の形態に係る空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面図である。 (a)は、本発明の一好適実施の形態に係る空気入りタイヤをリムに組み付けた場合におけるビード部近傍のタイヤ幅方向断面図であり、(b)〜(d)は、本発明の他の好適実施の形態に係る空気入りタイヤをリムに組み付けた場合におけるビード部近傍のタイヤ幅方向断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一好適実施の形態に係る空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面図である。本発明の空気入りタイヤ10は、偏平率が40%以上のタイヤであり、図示するように、左右一対のビード部1およびサイドウォール部2と、両サイドウォール部2間に連なるトレッド部3とを有し、ビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部を補強する少なくとも1層(図示例では1層)のカーカスプライ4からなるカーカスを備えている。図示するタイヤにおいては、カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に2層のベルト層5a、5bが埋設されており、各ビード部1には、それぞれビードコア6が埋設され、ビードコア6のタイヤ径方向外側であってカーカスプライ4の本体部4aと折返し部4bとの間には、ビードフィラー7が配置されている。
また、本発明のタイヤ10においては、ビード部1にはコードがゴムで被覆されてなるインサート8が配置されている。後述するが、ビード部1において、ヒステリシスロスに大きく影響する断面内変形は、リムフランジよりタイヤ径方向外側で発生する。そこで、ビード部1にインサート8を配置して、リムフランジよりタイヤ径方向外側におけるビード部1の倒れこみ変形を抑制することで、リムフランジからビードコア6にかけての部分の倒れこみ変形を抑制している。なお、本発明のタイヤ10は、軽量化の観点からリムガードを有していない。ここで、リムガードとは、タイヤのサイドウォール部2およびリムフランジの損傷を防止するために、ビード部またはサイドウォール部に設けられるタイヤ幅方向外側に向けて突出する突出部をいう。
図2(a)は、本発明の一好適実施の形態に係る空気入りタイヤをリムに組み付けた場合におけるビード部近傍のタイヤ幅方向断面図であり、図2(b)〜(d)は、本発明の他の好適実施の形態に係る空気入りタイヤをリムに組み付けた場合におけるビード部近傍のタイヤ幅方向断面図である。図2(a)においては、インサート8はカーカスプライの本体部4aよりもタイヤ幅方向外側であって、ビードフィラー7よりもタイヤ幅方向内側に配置されており、図2(b)においては、インサート8はカーカスプライの本体部4aのタイヤ幅方向内側に配置されており、図2(c)においては、インサート8はカーカスプライの本体部4aと折り返し部4bとで挟まれて配置されており、図2(d)においては、インサート8は、2層のカーカスプライの本体部4aで挟まれて配置されている。これらの中でも、インサート8が、カーカス本体4aとビードフィラー7との間に配置されてなる、図2(a)に示す構造が好ましい。
本発明のタイヤ10においては、標準リムに装着し、規格内圧を充填した無負荷状態において、ビードフィラー7のタイヤ径方向最外端の位置が、リムフランジ9のタイヤ径方向最外端の位置が、リムフランジのタイヤ径方向最外端から−15mm〜5mmタイヤ径方向外側、すなわち、ビードフィラー7のタイヤ径方向最外端の位置が、リムフランジ9のタイヤ径方向最外端からタイヤ径方向距離にして内側15mmから外側5mmの範囲である。ビードフィラー7のタイヤ径方向最外端を上記範囲とすることで、すなわち、ビードフィラー7として、通常よりも小さいものを用いることで、タイヤの軽量化を図ることができる。好適には−10mm〜5mmタイヤ径方向外側である。
また、図2(a)に示すように、本発明の空気入りタイヤ10においては、インサート8のタイヤ径方向最外端の位置が、リムフランジ9のタイヤ径方向最外端から5mm〜20mmタイヤ径方向外側、好適には10mm〜20mmタイヤ径方向外側にある。本発明のタイヤ10は、上述のとおり、通常よりも小さいビードフィラーを用いているため、ビード部1の剛性が低下してしまい、かえってビード部1の変形が大きくなり、その結果、転がり抵抗が悪化してしまうおそれがある。しかしながら、タイヤは膜構造物であり、内圧を張って使用する製品であるため、補強層に発生する張力を用いた剛性補完の効果は大きい。そこで、本発明のタイヤ10においては、上記範囲にインサート8を配置し、ビード部1の剛性を補完し、サイドウォール部2およびビード部1の変形形態を制御することで、ビード部1におけるヒステリシスロスの低減を図っている。
インサート8のタイヤ径方向最外端が、リムフランジ9のタイヤ径方向最外端からの距離が5mm未満であると、インサート8の全長がリムフランジ9に埋もれてしまう場合があり、変形抑制の効果が小さくなる。一方、インサート8のタイヤ径方向最外端が、リムフランジ9のタイヤ径方向最外端からの距離が20mmを超えると、サイドウォール部2からビードコア6の全体にわたって剛性が大きくなり変形が減少する半面、荷重転動時にトレッド部3が大きく変形することになり、ヒステリシスロスが増加し、その結果、転がり抵抗が悪化するおそれがある。インサート8とリムフランジ9との関係を、上記のとおりとすることにより、ビード部1のヒステリシスロスを低減するとともに、タイヤ全体の転がり抵抗が低減することができる。
さらに、本発明のタイヤ10においては、インサート8の角度が、タイヤ径方向に対して5〜40°、好適には5〜25°、より好適には5〜20°傾斜している。ビードコア6およびビード部1のリムフランジ9との接触位置近傍の変形はタイヤ断面内の変形が支配的である。タイヤ断面内の変形のみを抑制するのであれば、インサート8の角度は、タイヤ径方向に対して0°に設定することが最適である。しかしながら、実際には、ビード部1は周方向変形によるヒステリシスロスも発生しているため、ヒステリシスロスの低減には、ある程度周方向に対しても剛性を持たせることが有効である。したがって、インサート8の角度はタイヤ径方向に対して低角度を持つことが適切である。そこで、本発明のタイヤにおいては、インサート8の角度を5〜40°の範囲としている。
なお、タイヤ周方向に近い角度でインサート8を配置すると、ビード部1のヒステリシスロス低減効果が下がるだけでなく、サイドウォール部2からビードコア6にかけて周方向せん断変形が減少し、タイヤ全体の偏心変形が減少する方向であるので、トレッド部3の変形によるヒステリシスロスの大幅な増加を伴い転がり抵抗には不利である。
本発明のタイヤ10においては、ビード部1にインサート8を配置するのはビード部1の剛性を高めることが目的であるので、インサート8はタイヤ断面内変形の起点であるビードコア6に近く配置することが好ましい。本発明のタイヤにおいては、インサート8のタイヤ径方向最内端の位置は、ビードコアの径方向最外端から−5mm〜10mmタイヤ径方向外側、すなわち、インサート8のタイヤ径方向最内端の位置は、ビードコアのタイヤ径方向最外端からタイヤ径方向距離にして内側5mmから外側10mmであることが好ましい。好適には、ビードコアのタイヤ径方向最外端から−5mm〜5mmタイヤ径方向外側であることが好ましい。
また、本発明のタイヤ10においては、インサート8を構成するコードについては特に制限はなく、スチールコードや有機繊維コードを用いることができるが、過度の重量増を防止するために有機繊維コードが好ましい。本発明のタイヤに係るインサート8のコードとして好適に用いることができる有機繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロン、ビニロン、アラミド等を挙げることができる。
本発明のタイヤ10においては、インサート8の補強材であるコードとして有機繊維コードを用いる場合、有機繊維コードの打ち込み数は5〜60(本/50mm)とすればよく、また、有機繊維コードとしては、繊度が500〜2000dtexの有機繊維からなるフィラメント束を2本又は3本撚り合わせたものを用いることができる。
本発明のタイヤ10は、ビード部が上記所定の構造を有することのみが重要であり、それ以外については特に制限はない。例えば、ベルト層5a,5bは、タイヤ周方向に対し所定の角度をもって平行に配列されたスチールコードをゴム引きしてなる2層にて交錯配置すればよい。また、本発明のタイヤにおいて、トレッド部3の表面には適宜トレッドパターンが形成を形成してもよく、最内層にはインナーライナー(図示せず)を形成してもよい。さらに、本発明のタイヤにおいては、タイヤ内に充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を変えた空気、もしくは窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例1〜17、参考例1,2および比較例1〜6>
図1、2に示すような、インサート8がカーカス本体4aとビードフィラー7との間に配置されたタイプのタイヤを、タイヤサイズ155/65R14で作製した。カーカスプライは1層とし、インサートの有機繊維コードとしては繊度1500dtxのPETフィラメントを2本撚り合わせて束ねたコードを用いた。インサートの有機繊維コードの打込み数は50本/50mmとした。ビードフィラーのタイヤ径方向最外端の位置、インサートのタイヤ径方向最内端の位置、インサートのタイヤ径方向最外端の位置およびインサートの角度は、表1〜5に示すとおりである。得られた各供試タイヤにつき、下記の手順に従い、転がり抵抗試験を行った。
<転がり抵抗試験>
タイヤをJATMAで規定された定格リム(4.5J)に装着し、直径1.7mの鉄板表面を有するドラム試験機を用いて転がり抵抗力を求めた。測定条件は、速度80km/h、荷重2.66kN、内圧230kPaとした。得られた結果を、従来のタイヤである比較例1を100とした指数化し、表1〜5に示す。誤差を除き、なおかつ、市場優位性の観点から2%以上の改良を有意差として評価した。
Figure 0006266885
※1:リムフランジのタイヤ径方向最外端からのタイヤ径方向外側への距離である。
※2:ビードコアのタイヤ径方向最外端からのタイヤ径方向外側への距離である。
※3:リムフランジのタイヤ径方向最外端からのタイヤ径方向外側への距離である。
Figure 0006266885
Figure 0006266885
Figure 0006266885
Figure 0006266885


表1〜5より、本発明の空気入りタイヤは、転がり抵抗が低減されていることがわかる。
1 ビード部、 2 サイドウォール部、 3 トレッド部、 4 カーカスプライ
5 ベルト層、 6 ビードコア、 7 ビードフィラー、 8 インサート
9 リムフランジ、 10 空気入りタイヤ

Claims (3)

  1. 左右一対のビード部と、該一対のビード部からタイヤ径方向外側に連なる一対のサイドウォール部と、該一対のサイドウォール部に連なるトレッド部と、前記一対のビード部にそれぞれ埋設された一対のビードコア間にトロイド状に延在する1層以上のカーカスプライからなるカーカスと、前記ビードコアのタイヤ径方向外側に配置されたビードフィラーと、前記ビード部に配置された、コードがゴムで被覆されてなるインサートと、を有する偏平率が40%以上であるリムガードを有さない空気入りタイヤにおいて、
    前記コードが有機繊維コードであって、
    標準リムに装着し、規格内圧を充填した無負荷状態において、前記ビードフィラーのタイヤ径方向最外端の位置が、リムフランジのタイヤ径方向最外端から−15mm〜−5mmタイヤ径方向外側にあり、
    前記インサートのタイヤ径方向最外端の位置が、リムフランジのタイヤ径方向最外端から5mm〜20mmタイヤ径方向外側にあり、かつ、前記インサートの角度が、タイヤ径方向に対して5〜25°であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記インサートのタイヤ径方向最内端の位置が、前記ビードコアのタイヤ径方向最外端から−5mm〜10mmタイヤ径方向外側である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記カーカスが、前記一対のビードコア間でトロイド状に延びるカーカス本体部と、前記ビードコアの周りにタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返されてなるカーカス折り返し部を有し、前記インサートが、前記カーカス本体と前記ビードフィラーとの間に配置されてなる請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
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