JP6281585B2 - 内燃機関の吸排気構造 - Google Patents
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Description
ここに開示された技術は、吸気行程中に排気ガスの一部を排気ポートを通じて気筒に引き戻す排気再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)、いわゆる内部EGRが行われる内燃機関の吸排気構造に関する。
特許文献1には、排気行程と吸気行程とで排気バルブを2度開くことにより内部EGRを行うエンジンが開示されている。このような内部EGRが行われるエンジンを含め一般的なエンジンでは、吸気ポートの気筒内に臨む吸気口と、排気ポートの気筒内に臨む排気口とが、気筒を区画する天井面においてシリンダライナ壁面寄りの位置に開口されており、クランクシャフトの軸方向に見て気筒の中心線を挟んだ配置とされている。
また、特許文献2には、気筒からの既燃ガスのスムーズな排出を可能とするために、排気ポートの上流部を平行な2面を有する略四角断面形状とする一方、気筒から続くスロート部を円形断面形状とし、排気ポートの上流部とスロート部とを滑らかな面により連続させた排気ポートの構造が開示されている。
特許文献1に開示されたような内部EGRを行って既燃ガスを気筒に引き戻すと、引き戻された既燃ガスの多くは、気筒に導入されて直ぐに排気口に近接するシリンダライナ壁面に沿って流れる。このため、既燃ガスの熱がそのシリンダライナ壁面を介してエンジンの冷却水に多く奪われることになり、それによる冷却損失の影響で既燃ガスの温度が低下し、所望の燃焼室温度よりも低温となってエンジンの熱効率の低下を招いてしまう。このような熱効率の低下は、特許文献2に開示されたような滑らかな内壁面を有する排気ポートの構造を採用した場合に、内部EGRにより排気ポートからシリンダライナ壁面に沿って流れる既燃ガスの量が増加する傾向にあるため、より顕著となる。
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内部EGRが行われているときの冷却損失を抑えて、内燃機関の熱効率を向上させることにある。
上記の目的を達成するために、ここに開示された技術では、内部EGRによって既燃ガスが気筒に引き戻されたときに、排気ポートからシリンダライナ壁面に沿って流れる既燃ガスの量を減らすように吸排気構造を工夫した。
具体的には、ここに開示された技術は、往復動可能なピストンが嵌入された気筒と、前記気筒内に空気を吸入する吸気ポートと、前記気筒内から既燃ガスを排出する排気ポートと、を備える内燃機関の吸排気構造を対象とする。前記排気ポートの前記気筒内に臨む排気口は、前記気筒を区画する天井面において当該気筒のシリンダライナ壁面側に偏った位置に開口されている。この内燃機関の吸排気構造では、吸気行程中に、前記排気ポートを通じて既燃ガスの一部を前記気筒に引き戻す内部EGRが行われる。
内部EGRが行われているときに排気ポートからシリンダライナ壁面に沿って流れる既燃ガスの量が多いと、上述の通りシリンダライナ壁面を介してエンジンの冷却水に奪われる既燃ガスの熱が多くなるのに加え、タンブル流が気筒に生じやすくなる。タンブル流が気筒に生じた場合には、シリンダライナ壁面に沿って流れる既燃ガスの流量が増加し、それに伴いシリンダライナ壁面を介してエンジンの冷却水に奪われる既燃ガスの熱が多くなるため、内部EGRを行っているときの冷却損失が大きくなる。
そこで、この吸排気構造の第1の態様では、前記排気ポートの内壁面のうち前記排気口に近接する前記シリンダライナ壁面側の部分に、前記内部EGRによって前記気筒内に引き戻される既燃ガスの循環流を当該排気ポートの内壁面から剥離させ、前記排気口の通過位置で当該シリンダライナ壁面から遠ざかる方向に流れる剥離流を生成する剥離流生成部が設けられている。
この第1の態様によると、内部EGRによる既燃ガスの循環流を剥離流生成部によって排気ポートの内壁面から剥離させ、排気口の通過位置でシリンダライナ壁面から遠ざかる方向に流れる剥離流を生成するようにしたので、気筒に引き戻される既燃ガスが剥離流の流れる方向に多く流れて、排気ポートからシリンダライナ壁面に沿って流れる既燃ガスの量を減らすことができる。さらに、排気ポートからシリンダライナ壁面に沿って流れる既燃ガスの量が減ることにより、タンブル流の生成を抑制することができる。それらによって、シリンダライナ壁面を介してエンジンの冷却水に奪われる既燃ガスの熱を少なくし、内部EGRが行われているときの冷却損失を抑制することができる。
第1の態様において、前記剥離流生成部は、前記排気ポートの内壁面により形成された、当該排気ポート内に向けて角張ったエッジ部であることが好ましい。
剥離流生成部をエンジンブロックとは別部材で構成する場合には、その別部材が高温の排気流に晒されることによって破損するおそれがある。また、そのような別部材を排気ポート内に剥離生成部として満足に機能するように設置することは困難である。これに対し、上記の構成によると、剥離流生成部を排気ポートの内壁面の形状によって構成するようにしたので、剥離流生成部が高温の排気流に晒されても破損するおそれがないし、排気ポート形成用の鋳型(中子)で排気ポートと併せて剥離流生成部の形状を作ることができ、剥離流生成部を排気ポート内に容易に造り込むことができる。
第1の態様において、前記排気ポートの内壁面のうち前記排気口に近接する前記シリンダライナ壁面側とは反対側の部分は、当該排気ポートのスロート部よりも上流側の部分から前記排気口に亘って滑らかに連続する面に形成されていることが好ましい。
この構成によると、排気ポートの内壁面を剥離流生成部に対応する部分を含め滑らかに連続する面に形成するようにしたので、排気ポートでの通気抵抗を低減し、排気ポートを通して気筒から既燃ガスをスムーズに排出することができる。これにより、ポンプ損失を低減することができ、燃費の向上に有利となる。
また、上記吸排気構造の第2の態様では、前記天井面における前記排気口の周縁部のうち当該排気口に近接する前記シリンダライナ壁面側の部分に、前記排気再循環によって前記気筒内に引き戻される既燃ガスの循環流を前記天井面から剥離させ、当該シリンダライナ壁面から内方に離れた位置へ流れる剥離流を生成する剥離流生成部が設けられている。
この第2の態様によると、内部EGRによる既燃ガスの循環流を剥離生成部によって気筒の天井面から剥離し、シリンダライナ壁面から気筒の内方に離れた位置へ流れる剥離流を生成するようにしたので、気筒に引き戻される既燃ガスが剥離流の流れる方向に多く流れて、排気ポートからシリンダライナ壁面に沿って流れる既燃ガスの量を減らすことができる。それによって、シリンダライナ壁面を介してエンジンの冷却水に奪われる既燃ガスの熱を少なくし、内部EGRが行われているときの冷却損失を抑制することができる。
第2の態様において、前記剥離流生成部は、前記天井面により形成された、前記気筒内に向けて角張った段差部であることが好ましい。
この構成によると、剥離流生成部を天井面の形状によって構成するようにしたので、剥離流生成部が高温の排気流に晒されても破損するおそれがないし、天井面形成用の鋳型で天井面と併せて剥離流生成部の形状を作ることができ、剥離流生成部を天井面に容易に造り込むことができる。
第1及び第2の態様では、前記吸気ポートの前記気筒内に臨む吸気口は、前記気筒を区画する天井面において、前記気筒の中心線を挟んだ前記排気口の反対側で当該気筒のシリンダライナ壁面側に偏った位置に開口されていてもよい。この場合、前記吸気ポートの内壁面は、当該吸気ポートのスロート部よりも上流側の部分から前記吸気口に亘って滑らかに連続する面に形成されていることが好ましい。
この構成によると、吸気ポートの内壁面をスロート部よりも上流側からスロート部にかけての曲げ部分を含め滑らかに連続する面に形成するようにしたので、吸気ポートを通して気筒に空気をスムーズに吸入することができる。これにより、吸気ポートを通じた気筒内への空気(新気)の吸入量を増やして、内部EGRを行っていない通常運転時の新気の充填効率を高めることができる。
また、第1及び第2の態様において、前記気筒の中心線に対する、前記排気ポートのスロート部における前記排気口の中心を通る中心線の傾斜角度は、0度よりも大きく且つ25度以下であることが好ましい。
この構成によると、排気ポートのうちスロート部から排気口にかけての部分を気筒の周方向に対して略直立した形状に設けるようにしたので、内部EGRによって気筒に引き戻された既燃ガスの循環流のうちシリンダライナ壁面に沿う周方向の流れを弱くし、スワール流の発生を抑制することができる。それよって、シリンダライナ壁面を介してエンジンの冷却水に奪われる既燃ガスの熱をさらに少なくし、内部EGRが行われているときの冷却損失をよりいっそう抑制することができる。
上記内燃機関の吸排気構造によれば、内部EGRが行われているときの冷却損失を抑えて、内燃機関の熱効率を向上させることができる。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《実施形態1》
図1に、この実施形態1の吸排気構造が適用されたエンジン1(内燃機関の一例)の概略構成を示す。図2に、図1のII−II線におけるエンジン1の断面図を示す。図3に、このエンジン1が有する気筒7の上部を下方から見た概略図を示す。図4に、図1のIVで囲んだ部分の拡大図を示す。図5に、図1のVで囲んだ部分の拡大図を示す。
図1に、この実施形態1の吸排気構造が適用されたエンジン1(内燃機関の一例)の概略構成を示す。図2に、図1のII−II線におけるエンジン1の断面図を示す。図3に、このエンジン1が有する気筒7の上部を下方から見た概略図を示す。図4に、図1のIVで囲んだ部分の拡大図を示す。図5に、図1のVで囲んだ部分の拡大図を示す。
エンジン1は、自動車に搭載される直列4気筒エンジンであって、内部EGRを利用した圧縮自着火燃焼(CI燃焼)と火花点火燃焼(SI燃焼)とが行われるように設計されている。
このエンジン1は、図1に示すように、シリンダブロック3と、このシリンダブロック3の上に組み付けられたシリンダヘッド5と、を備える。シリンダブロック3には、4つの気筒7(図1では1つのみ示す)が設けられている。これら4つの気筒7は、図1の紙面に垂直な方向であるクランクシャフト(不図示)が延びる方向に、互いに隣接して一列に配置されている。
シリンダブロック3及びシリンダヘッド5の内部には、冷却水が流れるウォータジャケット8が形成されている。シリンダブロック3のウォータジャケット8は、各気筒7の外周を取り巻いている。他方、シリンダヘッド5のウォータジャケット8は、図2に示すように、各気筒7の上部に配置される。これらウォータジャケット8は、内部を流れる冷却水によって燃焼によるエンジン1の過熱を抑制する。
各気筒7内には、図1に示すように、コネクティングロッド9を介してクランクシャフトに連結されたピストン11が嵌入されている。このピストン11は、気筒7内で往復動可能(昇降運動可能)とされている。ピストン11の頂面13と、シリンダヘッド5の下面に設けられた天井面15と、シリンダライナ壁面17とは、混合気を燃焼させる燃焼室19を区画形成する。
ピストン11の頂面13には、下方に凹陥したキャビティ21が設けられている。ピストンは、このキャビティ21の周囲に平らな頂面23を有する。キャビティ21は、気筒7の中心線X周りの全周に亘って形成されている。このキャビティ21は、その底部から開口に向かって内径が次第に広くなる形状とされている。
キャビティ21は、ピストン11の頂面13の中央に、略円錐状の凸部24を構成している。凸部24は、キャビティ21の底部から気筒7の中心線Xに沿って上向きに、つまりシリンダヘッド5の天井面15に向けて延びている。凸部24の上端は、ピストン11の平らな頂面23とほぼ同じ高さとされている。
シリンダヘッド5には、図1及び図2に示すように、気筒7毎に、2つの吸気ポート25が形成されている。各吸気ポート25は、気筒7内に空気を吸入する円形状のポートであって、燃焼室19に連通している。2つの吸気ポート25の燃焼室19に臨む吸気口27は、エンジン1のクランクシャフトの軸方向に並んで、シリンダヘッド5の天井面15においてシリンダライナ壁面17側に偏った位置に開口されている。
これら2つの吸気ポート25は、シリンダヘッド5の外部に臨む吸気口27を別々に有する独立ポートとされている。これら各吸気ポート25には、図1及び図3に示すように、吸気口27を開閉する吸気バルブ29がそれぞれ設けられている。吸気バルブ29は、図示を省略する吸気動弁機構によって駆動され、所定のタイミングで吸気口27を開閉する。
シリンダヘッド5にはまた、気筒7毎に、2つの排気ポート31が形成されている。これら各排気ポート31は、気筒7内から既燃ガスを排出する円形状のポートであって、燃焼室19に連通している。2つの排気ポート31の燃焼室19に臨む排気口33は、シリンダヘッド5の天井面15において、気筒7の中心線Xを挟んだ吸気口27の反対側でシリンダライナ壁面17側に偏った位置に開口されている。
これら2つの排気ポート31は、エンジン1を上下方向に見たときに、シリンダヘッド5の外部に臨む排気口35を共通とするV形状又はY形状の集合ポートとされている。これら各排気ポート31には、排気口33を開閉する排気バルブ37がそれぞれ設けられている。排気バルブ37は、図示を省略する排気動弁機構によって駆動され、所定のタイミングで排気口33を開閉する。
排気動弁機構には、排気バルブ37のリフトタイミングを調節する装置(VVT:Variable Valve Timing)やリフト量を調節する装置(VVL:Variable Valve Lift)が備えられている。それによって、エンジン1は、排気行程に限らず吸気行程においても、排気バルブ37を開閉動作させることが可能となっている。
シリンダヘッド5の天井面15は、吸 気側から気筒7の中心線Xに向かって上り勾配とされた傾斜面39と、排気側から気筒7の中心線Xに向かって上り勾配とされた傾斜面41とを含む、いわゆるペントルーフ形状とされている。シリンダヘッド5の天井面15はまた、吸気側の傾斜面39の外側、及び排気側の傾斜面41の外側のそれぞれに、ピストン11の平らな頂面23と向かい合う平坦面43を含む。
シリンダヘッド5にはさらに、気筒7毎に、図2に示すインジェクタ45が取り付けられている。インジェクタ45は、シリンダヘッド5の天井面15における、吸気側の傾斜面39と排気側の傾斜面41とが交わる箇所、具体的には気筒7の中心線X上に配置されている。このインジェクタ45は、エンジン制御部からの作動信号に従って、所定のタイミングで燃焼室19に向けて燃料(例えばガソリン)を直接噴射する。
シリンダヘッド5にはまた、気筒7毎に、第1及び第2の点火プラグ47,49が取り付けられている。第1の点火プラグ47は、気筒7の中心線Xを挟んだ吸気側で2つの吸気口27の間に配置されている。第2の点火プラグ49は、気筒7の中心線Xを挟んだ排気側で2つの排気口33の間に配置されている。これら2つの点火プラグ47,49は、SI燃焼を行うときに、エンジン制御部からの作動信号に従って、所定のタイミングで、例えば同時に、混合気に着火する。
図6に、エンジン1の作動領域と最適なガス割合との関係を表したマップの一例を示す。このエンジン1では、図6に示すように、その作動状態が、エンジン負荷に応じてCI燃焼とSI燃焼とで切り替えられる。具体的には、CI燃焼は相対的に低負荷領域で行われ、SI燃焼は相対的に高負荷領域で行われるように設定されている。内部EGRは、CI燃焼時に行われる。
そして、内部ERGが行われているときに、吸気ポート25,27を通して気筒7に導入される空気(新気)と排気ポート29,31を通して気筒7に引き戻される既燃ガスとを合わせた、気筒7に充填されるガスの全量のうち既燃ガスの量の割合は、概ね、エンジン負荷が小さいほど高くなっている。
そのため、CI燃焼が行われる低負荷領域のなかでも比較的エンジン負荷が低い領域では、既燃ガスの量が新気の量よりも多く、既燃ガスの流れが燃焼室19で支配的となる。その一方で、CI燃焼が行われる低負荷領域のなかでも比較的エンジン負荷が高い領域では、新気の量が既燃ガスの量よりも多く、新気の流れが燃焼室19で支配的となる。
図7に、吸気バルブ29及び排気バルブ37の開閉パターンの一例を示す。図7において、実線は排気バルブ37の開閉パターンを示しており、破線は吸気バルブ29の開閉パターンを示している。排気行程では、図7に示すように、2つの排気バルブ37が共に、開閉タイミング及び開閉量を同期させて開閉される。また、吸気行程でも、2つの排気バルブ37が共に、開閉タイミング及び開閉量を同期させて開閉される。すなわち、2つの排気バルブ37は、排気行程及び吸気行程の各々で1度ずつ、1回の燃焼サイクルで2度開閉される。
吸気行程では、内部EGRにより必要な既燃ガスの量を安定して気筒7に導入することが求められるため、排気バルブ37は、吸気行程の初期段階で開閉される。特に、排気行程での開閉動作に連続して、つまり間隔を設けることなく吸気行程での開閉動作を行うことが好ましい。そうすることで、時間的余裕をもって内部EGRによる既燃ガスの導入を行えるので、必要な既燃ガスを安定して導入することができる。
吸気バルブ29の開き動作は、排気バルブ37の開き動作に遅れて開始される。そのことにより、新気よりも先に既燃ガスが気筒7に導入されるので、既燃ガスの割合が高い状態で、ガス割合のばらつきを効果的に抑制することができる。特に、排気バルブ37の開き動作中に吸気バルブ29の開き動作を設定することが好ましい。このようにすれば、円滑に新気を気筒7に導入でき、ガス割合のばらつきをよりいっそう効果的に抑制できる。
また、内部EGRによって導入される既燃ガスの量は、ピストン11の降下速度が速いほど増加するが、そのようなピストン11の降下速度が速い期間は、通常、吸気行程の初期段階、つまり吸気行程開始時の上死点とそこからクランクアングルが90度となる点(TDC後90CA)までの間にあるため、内部EGRによって気筒7内に既燃ガスを効率良く導入することができる。
内部EGRを行っているときにスワール流が燃焼室19で発生すると、シリンダライナ壁面17に沿って流れる既燃ガスの流量が増加するため、排気ポート35を通じて気筒7に引き戻された既燃ガスの熱がシリンダライナ壁面17を介してウォータジャケット8内の冷却水に奪われ易くなる。このことから、内部EGRを行っているときのスワール流の発生は抑制することが好ましい。
スワ−ル流は、既燃ガスの量が新気の量よりも多いと、排気ポート31のスロート部31aから排気口33にかけての部分が気筒7の中心線Xに対して傾斜しているほど発生し易い傾向にあり、新気の量が既燃ガスの量よりも多いと、吸気ポート25のスロート部25aから吸気口27にかけての部分が気筒7の中心線Xに対して傾斜しているほど発生し易い傾向にある。
そこで、このエンジン1では、図1に示すように、排気ポート31のスロート部31aから排気口33にかけての部分と、吸気ポート25のスロート部25aから吸気口27にかけての部分とが、気筒7の中心線Xに対して僅かに傾斜した形状、つまりは気筒7の周方向に対して略直立した形状に形成されている。
具体的には、気筒7の中心線Xに対する、吸気ポート25のスロート部25aにおける吸気口27の中心を通る中心線Ciの傾斜角度αiと、排気ポート31のスロート部31aにおける排気口33の中心を通る中心線Ceの傾斜角度αeとは、それぞれ0度よりも大きく25度以下に設定されている。本実施形態では、吸気ポート2525の傾斜角度αiと排気ポート31の傾斜角度αeとは、同じ角度とされている。
このような吸気ポート25と排気ポート31の形状によれば、内部EGRによって気筒7に引き戻された既燃ガスの循環流のうちシリンダライナ壁面17に沿う周方向の流れが弱くなる。それによって、内部EGRが行われているときに、スワ−ル流が発生するのを効果的に抑制できる。
また、内部EGRによって既燃ガスが気筒7に引き戻される際に排気ポート31からシリンダライナ壁面17に沿って流れる既燃ガスの量が多いと、気筒7内に導入されて直ぐに既燃ガスの熱がシリンダライナ壁面17を介してウォータジャケット8内の冷却水に多く奪われることになる。しかも、既燃ガスの流れに気筒7の中心線Xに直交する方向に延びる軸回り方向の指向性が高くなるため、燃焼室19の内部でタンブル流が発生しやすい傾向がある。
内部EGRを行っているときにタンブル流が燃焼室19で発生すると、シリンダライナ壁面17に沿って流れる既燃ガスの流量が増加し、それに伴いシリンダライナ壁面17を介してウォータジャケット8内の冷却水に奪われる既燃ガスの熱が多くなるため、冷却損失が大きくなり、その影響でエンジン1の熱効率の低下を招いてしまう。このことから、内部EGRを行っているときのタンブル流の発生は抑制することが好ましい。
そこで、このエンジン1では、図4に示すように、排気ポート31の内壁面のうち排気口35に近接するシリンダライナ壁面17側の部分に、剥離流生成部として、当該排気ポート31の内方に向けて角張ったエッジ部51が設けられている。エッジ部51は、排気ポート31のスロート部31aの排気下流側の端部で、排気ポート31の周方向において排気口33とシリンダライナ壁面17との距離が比較的近い範囲、例えば排気ポート31の中心角120度程度の範囲に、排気ポート31の内壁面によって形成されている。
このエッジ部51での排気ポート31の内壁面の角度βは、140度以下とされており、例えば80度〜140度程度に設定されている。このようなエッジ部51を備えるエンジン1の吸排気構造によれば、内部EGRが行われているときに、排気ポート31からシリンダライナ壁面17に沿って流れる既燃ガスを減らし、且つ燃焼室19でのタンブル流の発生を抑制できる。
すなわち、内部EGRが行われると、既燃ガスの循環流は、排気ポート31を通じて気筒7内に引き戻される過程で、エッジ部51によって排気ポート31の内壁面から剥離される。それにより、既燃ガスの循環流のなかに、排気口33の通過位置でシリンダライナ壁面17から遠ざかる方向に流れる剥離流が生成される。そうすると、気筒7に引き戻される既燃ガスが剥離流の流れる方向に多く流れて、排気ポート31からシリンダライナ壁面17に沿って流れる既燃ガスの量が減り、それに伴いタンブル流の生成が抑制される。
排気ポート31の内壁面のうち排気口33に近接するシリンダライナ壁面17側とは反対側の部分は、当該排気ポート31のスロート部31aよりも上流側の部分からスロート部31aにかけての曲げ部分、つまりエッジ部51に対応する部分を含め排気口33に至るまで滑らかに連続する面に形成されている。
そのことで、排気ポート31を通じて気筒7から既燃ガスがスムーズに排出されるようになっている。こうした構成によれば、エンジン1でのポンプ損失が低減されるので、燃費の向上に有利となる。
また、吸気ポート25の内壁面は、当該吸気ポート25のスロート部25aよりも上流側の部分からスロート部25aにかけての曲げ部分を含め吸気口27に至るまでの全体に亘って滑らかに連続する面に形成されている。すなわち、吸気ポート25の内壁面のうち排気ポート31のエッジ部51に相当する箇所は、図5に示すように、角が立っていない湾曲面によって構成されている。
そのことで、吸気ポート25を通して気筒7に新気がスムーズに吸入されるようになっている。こうした構成によれば、吸気ポート25を通じた気筒7内への空気(新気)の吸入量を増えるので、内部EGRを行っていない通常運転時の新気の充填効率を高めることができる。
図8に、このエンジン1で内部EGRが行われているときの新気及び既燃ガスの流れの概念図を示す。図9に、参考例に係るエンジン1で内部EGRが行われているときの新気及び既燃ガスの流れの概念図を示す。
排気ポート31にエッジ部51が設けられていない、すなわち排気ポート31の内壁面が吸気ポート25と同様に全体に亘って滑らかに連続した面に形成されている場合には、図9に示すように、内部EGRによって気筒7に引き戻された既燃ガスの多くは、気筒7に導入されて直ぐに排気口33に近接するシリンダライナ壁面17に沿って流れる。このため、既燃ガスの熱がそのシリンダライナ壁面17を介してウォータジャケット8内の冷却水に多く奪われることになり、それによる冷却損失の影響でエンジン1の熱効率の低下を招いてしまう。
これに対し、この実施形態1に係るエンジン1の吸排気構造によると、図8に示すように、内部EGRによる既燃ガスの循環流をエッジ部51によって排気ポート31の内壁面から剥離させ、排気口33の通過位置でシリンダライナ壁面17から遠ざかる方向に流れる剥離流を生成するようにしたので、上述の通り、内部EGRが行われているときに排気ポート31からシリンダライナ壁面17に沿って流れる既燃ガスを減らし、且つタンブル流の生成を抑制できる。それにより、シリンダライナ壁面17を介してウォータジャケット8内の冷却水に奪われる既燃ガスの熱を少なくすることができる。その結果、内部EGRが行われているときの冷却損失を抑制して、エンジン1の熱効率を向上させることができる。
《実施形態2》
この実施形態2に係るエンジン1は、剥離流生成部の構成が上記実施形態1と異なる。なお、この実施形態2では、剥離流生成部の構成が上記実施形態1と異なる他はエンジン1について上記実施形態1と同様に構成されているので、構成の異なる剥離流生成部についてのみ説明し、同一の構成箇所は図1〜図9に基づく上記実施形態1の説明に譲ることにして、その詳細な説明を省略する。
この実施形態2に係るエンジン1は、剥離流生成部の構成が上記実施形態1と異なる。なお、この実施形態2では、剥離流生成部の構成が上記実施形態1と異なる他はエンジン1について上記実施形態1と同様に構成されているので、構成の異なる剥離流生成部についてのみ説明し、同一の構成箇所は図1〜図9に基づく上記実施形態1の説明に譲ることにして、その詳細な説明を省略する。
図10に、この実施形態2に係るエンジン1の要部構成を示す。図11に、このエンジン1が有する気筒7の上部を下方から見た概略図を示す。また、図12に、図11のXII−XII線におけるシリンダヘッド5の断面図を示す。なお、図11では、吸気バルブ29及び排気バルブ37の図示は省略している。
本実施形態のエンジン1では、図10〜図12に示すように、シリンダヘッド5の天井面15における各排気ポート31の排気口33の周縁部のうち当該排気口33に近接するシリンダライナ壁面17側の部分に、剥離流生成部として、気筒7の内方に向けて角張った段差部53が設けられている。この段差部53は、排気バルブ37が排気口33を閉じた状態で当該排気バルブ37と干渉しない位置に、天井面15によって形成されている。
2つの排気ポート37の各内壁面は、吸気ポート25と同じく、当該排気ポート37のスロート部25aよりも上流側の部分からスロート部31aにかけての部分を含め排気口33に至るまで全体に亘って滑らかに連続する面に形成されている。すなわち、排気ポート31の内壁面のうち上記実施形態1のエッジ部51が設けられた部分に相当する箇所は、図10に示すように、角が立っていない湾曲面によって構成されている。
このような段差部53を備えるエンジン1の吸排気構造では、内部EGRが行われているときに、気筒7内に引き戻される既燃ガスの循環流が、図10に矢印で示すように段差部53によってシリンダヘッド5の天井面15から剥離される。それにより、既燃ガスの循環流のなかに、シリンダライナ壁面17から気筒7の内方に離れた位置へ流れる剥離流が生成される。そうすると、気筒7に引き戻される既燃ガスが剥離流の流れる方向に多く流れて、排気ポート31からシリンダライナ壁面17に沿って流れる既燃ガスの量が減る。
したがって、この実施形態2に係るエンジン1の吸排気構造によっても、内部EGRが行われているときに、シリンダライナ壁面17を介してウォータジャケット8内の冷却水に奪われる既燃ガスの熱を少なくすることができ、その結果、内部EGRが行われているときの冷却損失を抑制して、エンジン1の熱効率を向上させることができる。
以上のように、ここに開示する技術の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、ここに開示する技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須でない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることを以て、直ちにそれらの必須でない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
例えば、上記実施形態1,2について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態1では、剥離流生成部が排気ポート31の内壁面により形成されたエッジ部51である形態を、上記実施形態2では、剥離流生成部が天井面15により形成された段差部53である形態を例に挙げて説明したとしたが、本発明はこれに限らない。上記実施形態1,2の剥離流生成部は、シリンダヘッド5とは別部材により構成されていてもよい。
また、上記実施形態1では、2つの排気バルブ37が排気行程及び吸気行程の各々で1度ずつ開閉される2度開き動作を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らない。内部EGRを行うにあたっては、吸気行程中に排気バルブ37が開いていればよいので、排気行程から吸気行程にかけて排気バルブ37を開き続けた状態としてもよい。
以上説明したように、ここに開示した技術は、内部EGRが行われる内燃機関の吸排気構造について有用である。
1…エンジン(内燃機関)、3…シリンダブロック、5…シリンダヘッド、7…気筒、
9…コネクティングロッド、11…ピストン、13…頂面、15…天井面、
17…シリンダライナ壁面、19…燃焼室、21…キャビティ、23…平らな頂面、
24…凸部、25…吸気ポート、25a…スロート部、27…吸気口、
29…吸気バルブ、31…排気ポート、31a…スロート部、33,35…排気口、
37…排気バルブ、39,41…傾斜面、43…平坦面、45…インジェクタ、
47…第1の点火プラグ、49…第2の点火プラグ、51…エッジ部(剥離流生成部)、
53…段差部(剥離流生成部)
9…コネクティングロッド、11…ピストン、13…頂面、15…天井面、
17…シリンダライナ壁面、19…燃焼室、21…キャビティ、23…平らな頂面、
24…凸部、25…吸気ポート、25a…スロート部、27…吸気口、
29…吸気バルブ、31…排気ポート、31a…スロート部、33,35…排気口、
37…排気バルブ、39,41…傾斜面、43…平坦面、45…インジェクタ、
47…第1の点火プラグ、49…第2の点火プラグ、51…エッジ部(剥離流生成部)、
53…段差部(剥離流生成部)
Claims (7)
- 往復動可能なピストンが嵌入された気筒と、
前記気筒内に空気を吸入する吸気ポートと、
前記気筒内から既燃ガスを排出する排気ポートと、を備え、
前記排気ポートの前記気筒内に臨む排気口が、前記気筒を区画する天井面において当該気筒のシリンダライナ壁面側に偏った位置に開口され、
吸気行程中に、前記排気ポートを通じて既燃ガスの一部を前記気筒に引き戻す排気再循環が行われる内燃機関の吸排気構造であって、
前記排気ポートの内壁面のうち前記排気口に近接する前記シリンダライナ壁面側の部分には、前記排気再循環によって前記気筒内に引き戻される既燃ガスの循環流を当該排気ポートの内壁面から剥離させ、前記排気口の通過位置で当該シリンダライナ壁面から遠ざかる方向に流れる剥離流を生成する剥離流生成部が設けられている
ことを特徴とする吸排気構造。 - 請求項1に記載された吸排気構造において、
前記剥離流生成部は、前記排気ポートの内壁面により形成された、当該排気ポート内に向けて角張ったエッジ部である
ことを特徴とする吸排気構造。 - 請求項1に記載された吸排気構造において、
前記排気ポートの内壁面のうち前記排気口に近接する前記シリンダライナ壁面側とは反対側の部分は、当該排気ポートのスロート部よりも上流側の部分から前記排気口に亘って滑らかに連続する面に形成されている
ことを特徴とする吸排気構造。 - 往復動可能なピストンが嵌入された気筒と、
前記気筒内に空気を吸入する吸気ポートと、
前記気筒内から既燃ガスを排出する排気ポートと、を備え、
前記排気ポートの前記気筒内に臨む排気口が、前記気筒を区画する天井面において当該気筒のシリンダライナ壁面側に偏った位置に開口され、
吸気行程中に、前記排気ポートを通じて既燃ガスの一部を前記気筒に引き戻す排気再循環が行われる内燃機関の吸排気構造であって、
前記天井面における前記排気口の周縁部のうち当該排気口に近接する前記シリンダライナ壁面側の部分には、前記排気再循環によって前記気筒内に引き戻される既燃ガスの循環流を前記天井面から剥離させ、当該シリンダライナ壁面から前記気筒の内方に離れた位置へ流れる剥離流を生成する剥離流生成部が設けられている
ことを特徴とする吸排気構造。 - 請求項4に記載された吸排気構造において、
前記剥離流生成部は、前記天井面により形成された、前記気筒内に向けて角張った段差部である
ことを特徴とする吸排気構造。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載された吸排気構造において、
前記吸気ポートの前記気筒内に臨む吸気口は、前記気筒の中心線を挟んだ前記排気口の反対側で、前記気筒を区画する天井面において当該気筒のシリンダライナ壁面側に偏った位置に開口され、
前記吸気ポートの内壁面は、当該吸気ポートのスロート部よりも上流側の部分から前記吸気口に亘って滑らかに連続する面に形成されている
ことを特徴とする吸排気構造。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載された吸排気構造において、
前記気筒の中心線に対する、前記排気ポートのスロート部における前記排気口の中心を通る中心線の傾斜角度は、0度よりも大きく且つ25度以下である
ことを特徴とする吸排気構造。
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| JP2016039324A JP6281585B2 (ja) | 2016-03-01 | 2016-03-01 | 内燃機関の吸排気構造 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2016039324A JP6281585B2 (ja) | 2016-03-01 | 2016-03-01 | 内燃機関の吸排気構造 |
Publications (2)
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|---|---|
| JP2017155646A JP2017155646A (ja) | 2017-09-07 |
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ID=59808339
Family Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP2016039324A Active JP6281585B2 (ja) | 2016-03-01 | 2016-03-01 | 内燃機関の吸排気構造 |
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| JP (1) | JP6281585B2 (ja) |
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-
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- 2016-03-01 JP JP2016039324A patent/JP6281585B2/ja active Active
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