JP6282207B2 - 表皮付き線状発光体 - Google Patents

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Description

本発明は、線状発光体の改良、詳しくは、発光性能の面において、押出成形時に金型との接触により発光面上にスジ状の凹凸が生じる問題を解消することができ、また平滑な発光面を使用直前まで損傷から保護することもでき、しかも、使い勝手にも優れた表皮付き線状発光体に関するものである。
周知のとおり、街中で見かけるイルミネーションや電飾看板の多くには、ネオンライトのような線状発光体が利用されているが、本体が硬質なガラス管から構成されるネオンライトは、発光体そのものに可撓性がないため、発光体を曲げて取付け面の湾曲部に沿わせたり、任意の絵や文字を模したりすることができない。
そこで、従来においては、形態自由度の高い線状発光体として利用できるプラスチック製の導光棒も開発されている。しかし、この種の線状発光体は、端面から入射した光を周面でムラなく発光させる必要があるものの、発光体の周面に細かな凹凸があると、その部分から光が漏れ出て発光が不均一になる問題があった。
特に、上記線状発光体を押出成形する場合には、発光面を形成する樹脂が金型やガイドに接触しつつ押出・案内されるため、発光面となる線状発光体の周面に、細かなスジ状の凹凸が生じ易かった。しかも、上記従来の線状発光体は、発光面が露出した状態で成形されていたため、運搬時などに他の物と接触して発光面に傷が付き易かった。
一方、従来においては、押出成形品の化粧面をより平滑にするために、化粧面を仮被覆層で覆う技術も公知となっているが(特許文献1参照)、この従来技術に関しては、成形品の周面の一部を覆う仮被覆層については容易に剥離できるものの、成形品の周面全体を覆う仮被覆層については、破断や剥離が難しくなる問題があった。
他方、本件出願人が、以前に開発したプラスチック製の線状発光体(特許文献2参照)の中には、クラッド層の周面に長手方向の溝部を備えたものも存在するが、この発光面全体にわたって設けられた溝部は、発光性能の向上を目的として形成されたものであるため、クラッド層の剥離に利用することを想定していない。
特開平11−138614号公報 特開2013−57924号公報
そこで本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、発光性能の面において、押出成形時に金型との接触により発光面上にスジ状の凹凸が生じる問題を解消することができ、また平滑な発光面を使用直前まで損傷から保護することもでき、しかも、使い勝手の面において仮被覆層の破断、剥離も容易に行える表皮付き線状発光体を提供することにある。
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段は次のとおりである。
即ち、本発明は、透明な熱可塑性樹脂から成るコア層1と、このコア層1の周面全体を被覆する熱可塑性樹脂から成る表皮層2とを共押出成形により一体化して、表皮付き線状発光体を構成すると共に、
前記表皮層2に、コア層1の樹脂材料と非相溶で、かつ、非接着性の樹脂材料を使用し、更に表皮層2の周面の一部に、一本または複数本の破断溝21が長手方向に沿って形成して構成した点に特徴がある。
また本発明では、上記表皮付き線状発光体の成形性を向上させるために、コア層1にMFR(Melt flow rate)が0.5〜8の樹脂材料を使用すると共に、表皮層2に、MFRが1〜30で、かつ、コア層1のMFRよりも大きい樹脂材料を使用するのが好ましい。また更に、共押出成形されるコア層1の寸法・形状を安定させるために、外側の表皮層2の厚みを0.05〜0.3mmとするのが好ましい。
一方、本発明では、上記表皮層2を剥がし易くするために、表皮層2における破断溝21の底部部位の厚みを0.05mm以下とするのが好ましい。また同様の理由で、上記表皮層2の引張弾性率を、伸び過ぎず切れ易い1000〜2000MPaとするのが好ましい。
また本発明では、上記コア層1及び表皮層2の条件に合う最適な樹脂材料として、コア層1にアクリル系樹脂を使用すると共に、表皮層2にポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂を使用するのが好ましい。
他方、上記構成に代えて、透明な熱可塑性樹脂から成るコア層1と;このコア層1の周面を被覆する半透明樹脂から成るクラッド層3と;このクラッド層3の周面全体を被覆する熱可塑性樹脂から成る表皮層2とを共押出成形により一体化して表皮付き線状発光体を構成することもでき、その場合には、前記表皮層2に、クラッド層3の樹脂材料と非相溶で、かつ、非接着性の樹脂材料を用いると共に、表皮層2の周面の一部に、一本または複数本の破断溝21を長手方向に沿って形成する。
本発明では、プラスチック製の線状発光体において、発光面となるコア層(またはクラッド層)の周面全体を被覆する表皮層を形成すると共に、この表皮層に、コア層(またはクラッド層)と非相溶で、非接着性の熱可塑性樹脂を使用して剥離可能に構成したことにより、発光面を形成する溶融樹脂をダイ孔内面に接触させずに押出成形することが可能となるため、発光面にスジ状の凹凸が生じる問題を解消できる。
また、上記押出成形時には、溶融状態で合流させたコア層(またはクラッド層)の樹脂材料と表皮層の樹脂材料を、ダイ孔中において層流の状態で移動させているため、内側を流れる樹脂材料(コア層またはクラッド層)の周面に外側を流れる樹脂材料(表皮層)の形状を転写して、平滑な発光面を形成することができる。
また本発明では、上記のように平滑な発光面を形成できるだけでなく、表皮層により使用直前まで発光面を損傷から保護することができるため、運搬中などに発光面に細かな傷が付く心配もない。そのため、本発明に係る線状発光体では、発光面上に生じた細かな凹凸により発光ムラが起こる問題を解消することができる。
しかも、本発明では、表皮層の一部に長手方向の破断溝を形成しているため、この破断溝にツメを差し込んで溝を押し広げれば、簡単に表皮層(仮被覆層)を破くことができる。また、差し込んだツメを破いた部分から破断溝に沿ってスライドさせるだけで、破断溝全体を破くことができるため、表皮層を簡単に剥離して取り除くことができる。
したがって、本発明により、装飾等に使用した際に発光ムラを抑えて比較的均一な発光性が得られるだけでなく、使用時にカッター等の道具を使わなくても簡単に表皮層を剥離できる使い勝手の面でも優れた線状発光体を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
本発明の実施例1における表皮付き線状発光体を表わす全体斜視図である。 本発明の実施例1における線状発光体を表わすX-X’断面図である。 本発明の実施例1における表皮付き線状発光体の使用状態を表わす状態説明図である。 本発明の実施例2における線状発光体の構造を表わす横断面図である。
『実施例1』
本発明の実施例1について、図1に基いて説明する。なお同図において、符号1で指示するものは、コア層であり、符号2で指示するものは、表皮層である。また符号Rで指示するものは、線状発光体である。
[表皮付き線状発光体の構成]
この実施例1では、表皮付き線状発光体Rを、断面円形の棒状に成形されて成る透明な熱可塑性樹脂製のコア層1(直径:2.85mm)と、このコア層1の周面全体を被覆する筒状に成形されて成る熱可塑性樹脂製の表皮層2(厚さ:0.1mm)とから構成している(図1、図2参照)。またコア層1と表皮層2は、共押出成形によって一体化している。
また本実施例では、上記コア層1に、透明性に優れたアクリル系樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)を使用して全光線透過率を93%としている。一方、コア層1の屈折率は、空気よりも大きい1.45〜1.60としている。また、上記表皮層2の材料には、ポリメタクリル酸メチルとの共押出成形可能なポリプロピレン樹脂を使用している。
また、上記表皮層2の樹脂材料に関しては、共押出成形時にコア層1との融着や接着が起こらないように、コア層1の樹脂材料と非相溶で、かつ、非接着性の樹脂材料を使用している。これによって、コア層1に密着した表皮層2を、容易に剥離できるだけでなく、剥離時にコア層1の表面が傷付いたり、コア層1の表面に表皮層2の一部が残留したりする問題も生じない。
加えて、上記コア層1と表皮層2の共押出成形時には、溶融状態で合流させたコア層1の樹脂材料と表皮層2の樹脂材料を、ダイ孔中において層流の状態で移動させることができるため、内側を流れる樹脂材料(コア層1)の周面に外側を流れる樹脂材料(表皮層2)の形状を転写して、平滑な発光面を形成できる。
しかも、本実施例では、上記コア層1にMFRが0.5〜8の樹脂材料を使用すると共に、表皮層2に、MFRが1〜30で、かつ、コア層1のMFRよりも大きい樹脂材料を使用している。これにより、押出成形時において、表皮層2を形成する溶融樹脂の流動性が高まるため、コア層1を形成する溶融樹脂の動きに、表皮層2の溶融樹脂を円滑に追随させることができる。
一方、上記線状発光体Rの表皮層2の周面の一部には、間隔を空けて二本の破断溝21を長手方向に沿って形成している。これにより、図3に示すように、一方の破断溝21にツメを差し込んで溝を押し広げるだけで、簡単に表皮層2を破ることができる。またそのままツメを破断溝21に沿ってスライドさせれば、破断溝21全体を破ることができる。
なお本実施例では、上記表皮層2をより剥がし易くするために、破断溝21の深さを0.08mmとして、表皮層2における破断溝21の底部部位の厚みを0.02mmとしている。但し、破断溝21の深さについては、表皮層2における破断溝21の底部部位の厚みが、0.05mm以下となるように設定されていればよい。
また、上記表皮層2の厚みに関しては、薄過ぎると破断溝21の形成が難しくなり、また厚過ぎると、共押出成形されるコア層1の寸法・形状が安定しなくなるため、これらの問題が生じない0.05〜0.3mmの範囲に設定するのが好ましい。また、上記表皮層2の引張弾性率を1000〜2000MPaとすれば、剥がす際に表皮層2が伸び過ぎず千切れ易い強度とすることができる。
また、上記表皮層2に破断溝21を形成する方法に関しては、押出成形時に金型等を工夫して形成する方法でも、押出成形後に切削加工を行う方法でもよい。また表皮層1の破断溝21内を、表皮層1の周面と異なる色に着色することにより、破断層21の位置を容易に特定できるようにしてもよい。
『実施例2』
次に本発明の実施例2について、図4に基いて以下に説明する。この実施例2では、透明な熱可塑性樹脂から成るコア層1の外側に、コア層1の周面を被覆する半透明樹脂から成るクラッド層3を形成すると共に、このクラッド層3の外側に、クラッド層3の周面全体を被覆する熱可塑性樹脂から成る表皮層2を形成している。
また、上記コア層1、クラッド層3及び表皮層2は、共押出成形によって三層一体化している。一方、上記表皮層2の材料には、クラッド層3の樹脂材料と非相溶で、かつ、非接着性の樹脂材料を使用すると共に、この表皮層2の周面の一部に、一本の破断溝21を長手方向に沿って形成している。
これにより、実施例1と同様、線状発光体Rの発光面となるクラッド層3の周面を、スジ状の凹凸のない平滑面とすることができると共に、クラッド層3の周面を、使用前まで表皮層2によって損傷から保護することができる。なおクラッド層3については、屈折率がコア層1よりも小さく空気より大きくなるように形成すればよく、クラッド層3の材料には、フッ素系樹脂等を使用できる。
なお、クラッド層3にフッ素系樹脂を用いる場合には、ヘキサフルオロプロピレンとテトラフロオロエチレンとエチレンの共重合体、またはエチレンとテトラフロオロエチレンの共重合体を使用するのが好ましい。
本発明は、概ね上記のように構成されるが、記載した実施例にのみ限定されるものではなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、コア層1に用いる樹脂材料に関しては、ポリメタクリル酸メチルだけでなく、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸n−ブチル、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリメタクリル酸t−ブチル、ポリメタクリル酸2−エチルヘキシル等の他のアクリル系樹脂やポリカーボネート樹脂を使用することもできる。
また、表皮層2の材料についても、コア層1(及びクラッド層3)の樹脂材料と共押出成形が可能な熱可塑性樹脂で、かつ、コア層1(またはクラッド層3)の樹脂材料と非相溶、非接着の樹脂であれば、ポリプロピレン樹脂以外のポリエチレン樹脂等を好適に使用することができる。
また更に、コア層1の形状に関しても、円形型の断面形状とする必要はなく、例えば半円型や扇型、角形型、楕円型、異形型等の断面形状で成形することもできる。また、上記表皮層2の破断溝21の断面形状についても、ツメ等が引っ掛かる程度の大きさの開口部を有する形状であればよい。
また更に、表皮面層2に形成する破断溝21の本数に付いても、実施例では二本までしか形成していないが、三本以上形成することもできる。また表皮層2については、特に発光性能は求められないため、不透明な着色樹脂を使用することもでき、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
近年、イルミネーションや電飾看板等においてLEDを光源に利用した線状発光体の導入が進んでいる。そのような中で、本発明の表皮付き線状発光体は、発光面を凹凸のない滑らかな表面に仕上げることができ、更に使い勝手にも優れた有用な技術であるため、その産業上の利用価値は非常に高い。
1 コア層
2 表皮層
21 破断溝
3 クラッド層
R 線状発光体

Claims (7)

  1. 透明な熱可塑性樹脂から成るコア層(1)と、このコア層(1)の周面全体を被覆する熱可塑性樹脂から成る表皮層(2)とを備え、かつ、これらが共押出成形により一体化された表皮付き線状発光体であって、
    前記表皮層(2)に、コア層(1)の樹脂材料と非相溶で、かつ、非接着性の樹脂材料が用いられると共に、表皮層(2)の周面の一部に、一本または複数本の破断溝(21)が長手方向に沿って形成されていることを特徴とする表皮付き線状発光体。
  2. 透明な熱可塑性樹脂から成るコア層(1)と;このコア層(1)の周面を被覆する半透明樹脂から成るクラッド層(3)と;このクラッド層(3)の周面全体を被覆する熱可塑性樹脂から成る表皮層(2)とを備え、かつ、これらが共押出成形により一体化された表皮付き線状発光体であって、
    前記表皮層(2)に、クラッド層(3)の樹脂材料と非相溶で、かつ、非接着性の樹脂材料が用いられると共に、表皮層(2)の周面の一部に、一本または複数本の破断溝(21)が長手方向に沿って形成されていることを特徴とする表皮付き線状発光体。
  3. コア層(1)に、MFRが0.5〜8の樹脂材料が使用されると共に、表皮層(2)に、MFRが1〜30で、かつ、コア層(1)のMFRよりも大きい樹脂材料が使用されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表皮付き線状発光体。
  4. 表皮層(2)の厚みが0.05〜0.3mmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の表皮付き線状発光体。
  5. 表皮層(2)における破断溝(21)の底部部位の厚みが0.05mm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の表皮付き線状発光体。
  6. 表皮層(2)の引張弾性率が1000〜2000MPaであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の表皮付き線状発光体。
  7. コア層(1)にアクリル系樹脂が使用されると共に、表皮層(2)にポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂が使用されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の表皮付き線状発光体。
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