JP6285996B2 - ビールテイスト飲料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、発酵飲料を製造するにあたり、水溶性食物繊維を含有する副原料を、発酵工程の後で添加することを特徴とする発酵飲料の製造方法が開示されている。
特許文献3には、ビール風味アルコール飲料の製造に際して、水溶性食物繊維及び非発酵性糖質を含有する副原料を添加することを特徴とする香味・ボディ感バランスに優れた低カロリービール風味アルコール飲料の製造方法が開示されている。
(1)麦由来のエキス分と水溶性食物繊維を含有し、プリン体の含有量が1.1mg/100mL以下であり、前記水溶性食物繊維の含有量が0.5〜3.0w/v%であり、クエン酸換算で325.7〜805.7ppmの酸味物質を含有し、前記酸味物質は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、リン酸のうちの一種以上であるビールテイスト飲料。
(2)ビールテイスト飲料の製造方法であって、その製造工程中のいずれかの段階で、麦由来のエキス分と水溶性食物繊維を含有させ、最終製品中のプリン体の含有量を1.1mg/100mL以下とさせ、最終製品中の前記水溶性食物繊維の含有量を0.5〜3.0w/v%とさせ、最終製品中の含有量がクエン酸換算で325.7〜805.7ppmとなるように酸味物質を含有させ、前記酸味物質は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、リン酸のうちの一種以上であるビールテイスト飲料の製造方法。
本発明の一実施形態に係るビールテイスト飲料は、麦由来のエキス分が0.72g/100cm3以下であり、水溶性食物繊維(単に食物繊維と呼ばれることもある。)を含有し、クエン酸換算で325〜972ppmの酸味物質を含有している。
なお、ビールテイスト飲料とは、ビール様(風)飲料とも称され、ビールのような味わいを奏する、つまり、ビールを飲用したような感覚を飲用者に与える飲料をいう。ビールテイスト飲料には、アルコール度数が1容量/容量%(「v/v%」や、一般的には単に「%」とも表される。)未満であるもの(ビールテイストノンアルコール飲料やノンアルコールビールテイスト飲料などとも呼ばれている。)と、アルコール度数が1%以上のもの(ビールテイストアルコール飲料などと呼ばれている。)と、がある。
本実施形態に係るビールテイスト飲料がアルコールを含む場合は、アルコール度数を1〜8%とするのが好ましく、例えば、3〜7%などとするとより好ましい。なお、アルコール度数はこの範囲に限定されるものではなく、8%超とすることもできる。なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
本実施形態においては、麦由来のエキス分を0.72g/100cm3以下としている。なお、エキス分とは、糖分(炭水化物)、タンパク質、アミノ酸、苦味質、不揮発性有機酸、ミネラル、ポリフェノール、色素成分などからなる不揮発性固形分をいう。麦由来のエキス分が0.72g/100cm3を超える場合、麦使用率が高いことを意味する。つまり、味わいが深く、濃く、広がりが出て香味の濃いビールテイスト飲料であるので、水溶性食物繊維が含有されていてもコクやキレに大きな影響は生じない。従って、麦由来のエキス分が0.72g/100cm3を超える場合、後記するように酸味物質の含有量を規定することによってキレを改善する意義が薄れる。そのため、前記したように麦由来のエキス分を0.72g/100cm3以下に規制した。なお、麦由来のエキス分は0g/100cm3を超え0.4g/100cm3以下とするのが好ましい。
麦、麦芽及びこれらのエキスはそれぞれ、大麦、小麦、ライ麦、燕麦などを適宜に加工することにより得ることができる。これらの麦は、ビールテイスト飲料の味と香りに大きな影響を与えるとともに、アルコール発酵させる場合は、酵母が資化可能な窒素源及び炭素源ともなる。
麦由来原料として用いられる麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、燕麦などを所定の条件で発芽させたものをいい、発芽させた状態又はこれを適宜の大きさに粉砕等した状態で用いることができる。
麦由来原料として用いられる麦又は麦芽由来のエキスとは、麦又は麦芽を水及び/又は有機溶剤等を用いて所定の成分を抽出等し、これを濃縮させたものをいう。
前記したそれぞれの麦は、消費者のニーズに応じ、焙燥して使用することができる。麦の焙燥は麦の焙燥条件を適宜に調節することによって任意に行うことができる。
水溶性食物繊維とは、人間の消化酵素では消化されない食品中の多糖類を主体とした高分子成分の総体のうち水溶性のものをいう(綾野、ジャパンフードサイエンス、12、27〜37頁(1988))。水溶性食物繊維には整腸作用や血糖値上昇抑制作用といった有用な作用が認められている。本実施形態においては、水溶性食物繊維を含有させることにより、ビールテイスト飲料にコクを付与している。
ポリデキストロースは、トウモロコシから作られた水溶性食物繊維であり、ブドウ糖、ソルビトールを混ぜ合わせ、クエン酸を加えることにより生成することができる。
グアーガム分解物は、グアー豆を酵素で分解することにより生成することができる。
なお、商業上入手可能な難消化性デキストリンとしては、例えば、松谷化学工業株式会社製のファイバーソル、パインファイバーなどがあり、ポリデキストロースとしては、例えば、ダニスコジャパン株式会社製のライテスIIなどがある。
本実施形態においては、酸味物質の含有量をクエン酸換算で325〜972ppmとしている。酸味物質をこの数値範囲で含有させることにより、ビールテイスト飲料のキレを改善すること、つまりキレを良くすることができる。酸味物質の含有量がクエン酸換算で325ppm未満の場合、酸味物質の含有量が少なすぎるため、ビールテイスト飲料のキレを改善する効果が期待できない。他方、酸味物質の含有量がクエン酸換算で972ppmを超える場合、酸味物質の含有量が多すぎるため酸味が強くなり、ビールテイスト飲料のキレが悪くなってしまう。酸味物質の含有量は、麦由来のエキス分が0.4g/100cm3を超え0.72g/cm3以下の場合には、492ppm以上とするのが好ましい。このようにすると、麦由来のエキス分が比較的高いこの範囲にある場合であっても、より確実にキレを改善することができる。なお、ビールテイスト飲料に含有される酸味物質の含有量は次のようにして測定することができる。すなわち、有機酸の測定は、例えば、分析カラムとしてShodex RSpak KC-811を用いたHPLCで測定することができる。また、無機酸の測定はイオンクロマトグラフィーによる陰イオン分析で測定することができる。
前記した麦、水溶性食物繊維及び必要に応じて添加されるアルコールや任意添加材料などは、一般に市販されているものを使用することができる。
次に、本発明に係るビールテイスト飲料の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、前記したビールテイスト飲料を製造する製造方法であって、その製造工程中のいずれかの段階で、最終製品中の麦由来のエキス分が0.72g/100cm3以下となるように麦由来原料を含有させ、水溶性食物繊維を含有させ、最終製品中の含有量がクエン酸換算で325〜972ppmとなるように酸味物質を含有させる。
図1に示す本製造方法は、発酵前工程S1と、発酵工程S2と、発酵後工程S3と、を含んでいる。
なお、水溶性食物繊維、酸味物質、及び任意添加材料などの添加は、アルコール発酵前、アルコール発酵中及びアルコール発酵後のいずれの段階でも、すなわち前記した各工程のどの工程でも行うことができる。
発酵前工程S1は、麦由来原料を含む発酵前液を調製する工程である。発酵前工程S1において調製される発酵前液は、酵母が資化可能な窒素源及び炭素源となる麦由来原料を含む溶液であれば特に限られない。窒素源及び炭素源は、酵母が資化可能なものであれば特に限られない。酵母が資化可能な窒素源とは、例えば、麦由来原料に含まれるアミノ酸及びペプチドのうちの少なくとも一つである。酵母が資化可能な炭素源とは、例えば、麦由来原料に含まれる糖類である。このような麦由来原料については既に詳述しているのでその説明を省略する。
発酵工程S2は、発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う工程である。本実施形態においては、例えば、まず、予め温度が所定の範囲内(例えば、0〜40℃の範囲)に調整された無菌状態の発酵前液に酵母を添加して発酵液を調製する。
発酵後工程S3は、発酵後液に所定の処理を施して最終的にビールテイスト飲料を得る工程である。発酵後工程S3としては、例えば、発酵工程S2により得られた発酵後液のろ過(いわゆる一次ろ過に相当)が挙げられる。この一次ろ過により、発酵後液から不溶性の固形分や酵母を除去することができる。また、発酵後工程S3においては、さらに発酵後液の精密ろ過(いわゆる二次ろ過)を行ってもよい。二次ろ過により、発酵後液から雑菌や、残存する酵母を除去することができる。なお、精密ろ過に代えて、発酵後液を加熱することにより殺菌することとしてもよい。発酵後工程S3における一次ろ過、二次ろ過、加熱は、ビールテイスト飲料を製造する際に使用される一般的な設備で行うことができる。
また、発酵後工程S3には、ビンや缶、ペットボトルなどの容器に充填する工程も含まれる。
製造したビールテイスト飲料が非発泡性であったり、発泡性が十分でなかったりした場合であって、これに十分な発泡性を付与したい場合は、炭酸ガス含有水を添加したり、カーボネーションを行うことにより所望のガス圧とすることができる。
参考例として、水溶性食物繊維は含有させるが、酸味物質を添加する操作を行わないサンプルを製造し、そのコクとキレについて検討した。
本参考例では、市販のビール(麦芽100%、アルコール度数5%)を希釈して麦使用率が10%(No.1〜7に係るサンプル)又は18%(No.8に係るサンプル)となるように調整した。
した。また、無機酸の測定はイオンクロマトグラフィーによる陰イオン分析で測定した。
5点:極めてコクが強かった。
4点:コクが強かった。
3点:コクがあった。
2点:コクが弱かった。
1点:コクを感じなかった。
5点:極めてキレに優れていた。
4点:キレが優れていた。
3点:キレがあった。
2点:キレがやや劣っていた。
1点:キレがなかった。
次に、実施例1では、酸味物質として乳酸を用い、これを種々の濃度で添加させ、酸味物質の含有量の合計を所定の値に調整したサンプルを製造し、コク、キレ及び総合評価について検討した。
実施例1では、最終製品中における麦由来のエキス分が0.4g/100cm3又は0.72g/100cm3となるようにサンプルの濃度を調整した。つまり、前記した市販のビールを希釈して麦使用率が10%又は18%となるようにサンプルの濃度を調整した。また、その際に、水溶性食物繊維として難消化性デキストリン(松谷化学工業株式会社製パインファイバー)2w/v%と、乳酸を表3に示す含有量となるように添加してこれらを混合し、No.9〜22に係るサンプルを製造した。なお、これらのサンプルはいずれも炭酸ガス含有水で調製し、ガス圧0.235MPaの発泡性とした。なお、市販の麦芽100%ビールのプリン体の含有量が約11mg/100mLであったので、麦由来のエキス分を0.4g/100cm3としたサンプルのプリン体の含有量は1.1mg/100mLとなり、麦由来のエキス分を0.72g/100cm3としたサンプルのプリン体の含有量は2mg/100mLとなった。
◎:ビールテイスト飲料としてのバランスが極めて優れていた。
○:ビールテイスト飲料としてのバランスが優れていた。
×:ビールテイスト飲料としてのバランスが悪かった。
また、No.15、22に係るサンプルは、サンプル中の酸味物質の合計がクエン酸換算で972ppmを超えていたので、酸味が強くなり、ビールテイスト飲料としてのキレが悪くなり、ビールテイスト飲料としてのバランスが悪い結果となった(いずれも比較例)。
実施例2では酸味物質としてリン酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸を添加した。なお、実施例1で優れた効果が確認されたNo.12に係るサンプルの酸味物質(乳酸)の合計は、クエン酸換算で565.7ppmであった。そのため、実施例2のサンプル中の酸味物質の合計をNo.12に係るサンプル中の酸味物質の合計と等しくするため、クエン酸換算で565.7ppmとなるように含有させることとした。実施例2における各酸味物質の種類とその含有量の詳細を表4に示した。以下に実施例2の内容を具体的に説明する。
実施例2では、コク、キレ及び酸味の質の評価において平均値が2.5点以上であり、且つ総合評価が◎及び○であったものを効果がある(合格)と判断した。表4に、No.23〜27に係るサンプルの酸味物質の種類とその含有量(ppm)、コク、キレ、酸味の質及び総合評価を併せて記載した。なお、表4には、参考のためにNo.12に係るサンプルの組成及び各評価結果を併せて記載した。
5点:極めて酸味のバランスが良かった。
4点:酸味のバランスが優れていた。
3点:酸味のバランスが良かった。
2点:酸味のバランスがやや劣っていた。
1点:酸味のバランスが劣っていた。
実施例3では、アルコール度数を5%としたものについて検討した。なお、実施例1で優れた効果が確認されたNo.12に係るサンプルと同様、実施例3においても、サンプル中の酸味物質の含有量の合計が565.7ppmとなるようにした。具体的には以下のようにして本実施例3におけるサンプル(No.28)を製造した。No.28に係るサンプルは、最終製品中における麦由来のエキス分が0.4g/100cm3となるようにサンプルの濃度を調整した。つまり、前記した市販のビールを希釈して麦使用率が10%となるようにサンプルの濃度を調整した。また、その際に、水溶性食物繊維として難消化性デキストリン(松谷化学工業株式会社製パインファイバー)2w/v%と、乳酸300ppm(クエン酸換算で360ppm)と、さらにアルコール度数が5.0%となるように原料用アルコールと、をそれぞれ添加してこれらを混合し、No.28に係るサンプルを製造した。なお、このサンプルは炭酸ガス含有水で調整し、ガス圧0.235MPaの発泡性とした。そして、このNo.28に係るサンプルについて、実施例1に記載したのと同様、コク、キレ及び総合評価の評価を行った。その結果、No.28に係るサンプルは、コク、キレ及び総合評価についてNo.12に係るサンプルと同程度の高い評価を得ることができた(実施例)。すなわち、アルコール度数が5%であっても、コクがあり、キレが改善されたビールテイスト飲料を提供できることが確認された。
実施例4では、水溶性食物繊維としてポリデキストロース(ダニスコジャパン株式会社製ライテスII)2w/v%を用いた以外は、実施例3と同様にして本実施例4におけるサンプル(No.29)を製造した。そして、このNo.29に係るサンプルについて、実施例1に記載したのと同様、コク、キレ及び総合評価の評価を行った。その結果、No.29に係るサンプルは、コク、キレ及び総合評価についてNo.12に係るサンプルと同程度の高い評価を得ることができた(実施例)。すなわち、難消化性デキストリン以外の水溶性食物繊維、具体的にはポリデキストロースを用いた場合でも、コクがあり、キレが改善されたビールテイスト飲料を提供できることが確認された。
S2 発酵工程
S3 発酵後工程
Claims (2)
- 麦由来のエキス分と水溶性食物繊維を含有し、
プリン体の含有量が1.1mg/100mL以下であり、
前記水溶性食物繊維の含有量が0.5〜3.0w/v%であり、
クエン酸換算で325.7〜805.7ppmの酸味物質を含有し、
前記酸味物質は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、リン酸のうちの一種以上であるビールテイスト飲料。 - ビールテイスト飲料の製造方法であって、
その製造工程中のいずれかの段階で、
麦由来のエキス分と水溶性食物繊維を含有させ、
最終製品中のプリン体の含有量を1.1mg/100mL以下とさせ、
最終製品中の前記水溶性食物繊維の含有量を0.5〜3.0w/v%とさせ、
最終製品中の含有量がクエン酸換算で325.7〜805.7ppmとなるように酸味物質を含有させ、
前記酸味物質は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、リン酸のうちの一種以上であるビールテイスト飲料の製造方法。
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