以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、本発明における上下左右の方向は、相対的な位置を示す概念にすぎず、これらを入れ替えて適用可能であることは言うまでもない。
(実施例1)
本発明の一実施形態の配線・配管材支持具100は、吊りボルトである棒材Iに対して配線・配管材Pを支持すべく構成されている。そして、本実施形態では、配線・配管材の一例として複数のケーブルを支持する配線・配管材支持具100を説明する。しかしながら、該説明は例示にすぎず、本発明の配線・配管材支持具は、ケーブルの代わりに可撓管等の配管材を支持するように構成されてもよい。すなわち、本発明の配線・配管材は、種々の長尺材を含む幅広い概念であり、支持対象の長尺体の種類・サイズに応じて、配線・配管材支持具の形状・寸法を任意に変更可能であることは言うまでもない。
図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態の配線・配管材支持具100の構成を以下に詳細に説明する。図1(a)、(b)は、該配線・配管材支持具100の上方斜視図及び下方斜視図である。図2(a)〜(d)は、該配線・配管材支持具100の正面図、平面図、底面図及び側面図である。図3は、図2(b)の配線・配管材支持具100のA−A断面図である。
図1及び図2に示すとおり、一実施形態の配線・配管材支持具100は、ハンガーのように左右方向に延びる長手形状を有している。この配線・配管材支持具100は、棒材Iに固定するための固定部材110と、該固定部材110に保持される配線・配管材Pの支持部材120と、該固定部材110及び支持部材120を収容するカバー部材130とを組み合わせてなる。また、該配線・配管材支持具100では、固定部材110が配線・配管材支持具100の略中央に配置され、一対の挟持体111からなる固定部材110を側方に貫通している(図3参照)。さらに、合成樹脂製のカバー部材130が金属製の支持部材120に装着され、固定部材110及び支持部材120の上面を覆っている。つまり、本実施形態では、芯材としての金属製の支持部材120が配線・配管材支持具100の支持構造を補強し、且つ、合成樹脂製のカバー部材130が金属製の支持部材120と配線・配管材P(特に電気ケーブル)とを絶縁する。後述するとおり、本実施形態の配線・配管材支持具100は、固定部材110を介して棒材Iに固定された状態で、該固定部材110の両側に水平に延在する支持部材120の支持部121(又はカバー部材130の載置部131)上に配線・配管材Pを載置して支持する。以下、図4〜図9を参照して、本配線・配管材支持具100を構成する各部材を詳細に説明する。
一実施形態の配線・配管材支持具100の固定部材110を図4及び図5を参照して説明する。図4(a)、(b)は、該固定部材110の前方斜視図及び後方斜視図である。また、図5(a)〜(d)は、それぞれ該固定部材110の正面図、平面図、側面図及びB−B断面図である。
図4(a)、(b)に示すとおり、固定部材110は弾性変形可能な金属板材を折り曲げた筺状に形成されてなる。この固定部材110は、互いに近接される一対の挟持体111、及び、該挟持体111を一端で連結する連結部112から構成されてなる。そして、固定部材110は、該一対の挟持体111を貫通すると共に支持部材120を挿通して保持するための一対の挿通孔114(挿通部)と、該一対の挟持体111の近接動作に伴って、棒材Iを近接方向から挟圧すると共に挿通孔114内の支持部材120を棒材Iに圧接させるための一対の挟持部115と、該一対の挟持部115を近接させるためのビス孔116(近接手段の一部)と、を備える。なお、本固定部材110では、一端側から順に、挿通孔114、挟持部115、ビス孔116が配置されている。
より詳細には、図5(a)に示すとおり、各挟持体111は、矩形状の側壁111a、該側壁111aの上端から略直角に延在する上壁111b、及び、該側壁111aの下端から略直角に延在する下壁111cからなり、正面視略コ字形状を有している。また、図5(b)に示すとおり、一対の挟持体111は、その一端で矩形平板状の連結部112によって連結され、その他端で開口部113を形成している。すなわち、該固定部材110では、その一端が連結部112で閉塞されていると共にその他端が棒材Iを挿入可能に開口部113で開放されている。そして、連結部112と側壁111aとの角度が90°を超えて僅かに鈍角となるように、一対の挟持体111の自由端が互いに離隔するように傾斜している。この固定部材110は、金属板材から構成されているため、図示の初期形態から弾性変形可能である。すなわち、該固定部材110の連結部112を中心として、一対の挟持体111を互いに近接又は離隔させる方向に回動させることができる。換言すると、固定部材110は、棒材Iを挿入すべく開口部113を拡開可能であり、尚且つ、棒材Iを挟持部115で挟持すべく開口部113を縮閉可能に構成されている。
そして、図5(a)に示した固定部材110の正面視において、一方の挟持体111と他方の挟持体111とが上下にずれるように連結部112で連結されている。つまり、一対の挟持体111を互いに近接させたときに各挟持体111の上壁111b又は下壁111c同士が当接しない程度に、図5(a)の左側の挟持体111が右側の挟持体111よりも下方に位置している。これにより、固定部材110を弾性変形させて開口部113を縮閉させたときに、左右両方の挟持体111の上壁111b(下壁111c)同士が部分的に重合するまで、一対の挟持体111を互いに近接させることが可能である。なお、一対の挟持体111は、互いに上下方向にずれて連結されているが、それぞれ同じ形状寸法を有している。
また、図5(b)に示すとおり、一対の挟持体111の上壁111b及び下壁111cの互いに対向する端縁が略半円形に切り欠かれており、挟持部115が形成されている。該挟持部115は、挟持する棒材Iの径よりも僅かに大きい径で形成されている。この一対の挟持部115は、棒材Iをその近接方向から挟圧すると共に、棒材Iを支持部材130に対して押圧するように機能する。ここで、各挟持部115の近接方向に対向する左右側方の端面を挟圧面115aと定め、他方、挟持部115の他端側の端面を当接面115bと定める。該当接面115bは、一対の挟圧体111を互いに重合するまで回動させたとき、他端側から一端側に棒材Iを押圧するように作用する。
そして、図5(c)、(d)は、固定部材110の側面視及び断面視を示している。図5(c)、(d)に示すとおり、各挟持体111の側壁111aには、その連結部112側(一端側)において略長円形状の挿通孔114が穿設されている。左右一対の挿通孔114は、互いに連通し、一対の挟持体111を側方に貫通する挿通部を定める。該一対の挿通孔114で定められた挿通部には、支持部材120が挿通されて保持される(図3参照)。また、この挿通孔114は、一端側から他端側に向けてその縦幅が広がるように構成されている。この形状により、挿通孔114の縦幅の範囲内で異なる径の支持部材120を挿通孔114に配置可能となる。さらに、各挟持体111の側壁111aには、挿通孔114の開口部113側(他端側)で略円形状のビス孔116が穿設されている。これら一対のビス孔116は、互いに対向し、1本のビス117を双方に螺着可能に配置されている。後述するとおり、ビス117を両ビス孔116に螺着して、ビス117を螺進させることにより、一対の挟持体111を互いに近接させることができる。つまり、ビス孔116及びビス117は、一対の挟持体111の近接手段として機能する。
なお、本実施形態の固定部材110は、金属板材を折り曲げ加工して形成されたが、本発明の固定部材はこれに限定されない。例えば、本発明の固定部材は、合成樹脂等の硬質な材料から成形されてもよい。さらに、本発明の固定部材は、上述した固定部材110の形状に限定されず、当業者であれば、その形状寸法を任意に設計可能であることは言うまでもない。
次に、図6を参照して、一実施形態の配線・配管材支持具100の支持部材120を説明する。図6(a)〜(d)は、一実施形態の配線・配管材支持具100の支持部材120の斜視図、正面図、平面図及び側面図である。
図6(a)〜(d)に示すとおり、支持部材120は金属製の断面円形の棒体から形成されてなり、配線・配管材Pを支持可能な十分な強度を有する。該支持部材120は、水平方向に直線状に延びる配線・配管材Pの支持部121と、該支持部121の両端で円弧状に屈曲して垂直上方に延在した支持側部122と、を有する。この支持部材120は、固定部材110の挿通孔114に挿通可能な径を有している。そして、該支持部材120の支持部121が固定部材110の両側に略等距離で延在するように、支持部材120が一対の挿通孔114(挿通部)を貫通して、その略中央位置で固定部材110に保持される(図1〜図3参照)。なお、本実施形態の支持部材120は金属棒体からなるが、配線・配管材Pを支持可能であれば、合成樹脂等の任意の材質から選択可能である。
さらに、図7及び図8を参照して、一実施形態の配線・配管材支持具100のカバー部材130を説明する。図7(a)、(b)は、該カバー部材130の上方斜視図及び下方斜視図である。また、図8(a)〜(d)は、それぞれ該固定部材110の正面図、平面図、底面図及び側面図である。
図7及び図8に示すとおり、カバー部材130は、金属製の支持部材120を被覆可能に長手状の合成樹脂で形成されている。すなわち、カバー部材130は金属製の支持部材120と支持する配線・配管材P(特に電気ケーブル)とを絶縁可能である。そして、該カバー部材130は、長手平板状に左右両側に延在する載置部131と、該載置部131の両端で垂直上方に屈曲して延在する一対の側端部132と、左右両側の載置部131間に形成された筺状の収容部133と、載置部131の裏面に形成された支持部材120を収容するための取付部134と、を備える。
このカバー部材130の載置部131は、その上面で配線・配管材Pを載置するための平坦な載置面131aを有している。また、該載置部131は、支持部材120の支持部121に対応した寸法を有しており、支持部121を上方から被覆可能である。すなわち、支持部材120の支持部121は、載置部131の載置面131aを介して配線・配管材Pを間接的に支持する。そして、載置面131aの幅方向の両端からリブ131bが下方に延在している。リブ131bは、載置部131の長手方向に沿って延在し、該カバー部材130を構造的に強化している。なお、正面側のリブ131bは、収容部133前方に形成されていないが、背面側のリブ131bは収容部133後方を含む長手方向全体に亘って延在している。
さらに、載置面131aには、幅方向に延びる細長い貫通孔131cが所定間隔で複数穿設されている。この貫通孔131cは、該カバー部材130の成形工程上で型抜きのために形成されたものである。この貫通孔131cには、必要に応じて、載置される配線・配管材を仕切るべく、載置面131aの上方に立設するセパレータ(図示せず)を取り付けることができる。また、該貫通孔131cは、例えばマイナスドライバーなどの工具を挿し込み可能に構成されており、支持部材120をカバー部材130から離脱させるときに使用される。そして、図8(b)、(c)に示すとおり、載置部131の幅方向の両端には、複数のスリット135が長手方向に所定間隔で切り欠き形成されている。このスリット135は、載置面131a及びリブ131bに亘って幅方向に延びる細溝状に切り欠かれ、その端部が開放されている。後述するように、これら複数のスリット135の中から2つを選択して、1本のバンド体140を載置部131に括り付けることができる(図10参照)。すなわち、スリット135は、該バンド体140を挿通可能な幅で形成され、配線・配管材Pを載置部131の肉部に対して結束することに用いられる。
該載置部131の両端に形成された一対の側端部132は、それぞれ側面視略三角形状を有し(図8(d)参照)、支持部材120の支持側部122よりも長い寸法で形成されている。この側端部132は、所定高さで立設し、互いに対向する対向面を有している。載置部131上に載置された配線・配管材Pは、一対の側端部132の対向面の間でその側方から脱落しないように支持される。
また、本カバー部材130には、筺状の収容部133が、載置部131の略中央で載置面131aの上方に所定の高さで凸設されている。この収容部133は、頂壁、左右側壁及び後壁から構成され、前面及び下面が開口している。そして、収容部133の内部に固定部材110及び棒材Iの一部を収容可能な正面視矩形状の収容空間を形成している(図8(a)参照)。後述するとおり、収容部133の収容空間内の下寄りの位置に固定部材110が配置され、且つ、棒材Iが収容空間を垂直方向に貫通するように配置される(図12参照)。そして、収容部133の両側壁の下側には、リブ端面又は側壁面として規制部133aが設けられている。この規制部133aは、収容部133内に配置された固定部材110の側方移動や揺動を規制する。また、収容部133の頂壁前端縁には、第1係止部133bが形成されている。当該第1係止部133bは、棒材Iの径に対応する径で略半円形状に切り欠き形成されている。この第1係止部133bを構成する切り欠き端面が、収容する棒材Iに当接してこれを係止する。さらに、左右に延びるリブ131bの間に位置する収容部133後壁の下側には、第2係止部133cが形成されている。この第2係止部133cは、収容する固定部材110の連結部112を係止する当接面として機能する。
さらに、本カバー部材130には、図8(c)に示すとおり、取付部134が載置部131下面に長手方向に亘って形成されている。この取付部134は、カバー部材130の中央近傍から側端部132まで延びる一対の突条134aと、該側端部132の外面側に形成された筒壁134bとで定められている。該一対の突条134aは、支持部材120の径に対応した間隔で平行に配置され、尚且つ、支持部121の寸法に対応して水平方向に延在している。そして、この一対の突条134aは、固定部材110を収容すべく収容部133の前後には形成されていない。また、該一対の突条134aの先端には、筒壁134bが支持側部122を内包可能に設けられている。この筒壁134bは、円弧状の外面を有し、断面視円形の支持側部122を内部に収容可能である。すなわち、取付部134は、支持部材120の寸法形状に対応しており、支持部材120をほぼ嵌合状態で収容可能である。さらに、一対の突条134aには、対向して突出する複数対の係止爪134cが設けられている。この係止爪134cは、支持部材120がカバー部材130から離脱しないように取付部134内に収容された支持部材120を係止可能である。これら複数対の係止爪134cは、貫通孔131cの直下にそれぞれ配置されている。なぜなら、支持部材120をカバー部材130から取り外すときに、貫通孔131cを介して工具で係止爪134cを押圧変形させ易いからである。
なお、本実施形態のカバー部材130は、合成樹脂を成形して形成されたが、本発明のカバー部材はこれに限定されない。例えば、本発明のカバー部材は、金属等な他の材料から形成されてもよい。さらに、本発明のカバー部材は、上述したカバー部材130に限定されず、支持部材を被覆可能であれば、その形状寸法を任意に設計可能であることは言うまでもない。
図9を参照して、上述した固定部材110、支持部材120及びカバー部材130で配線・配管材支持具100を組み立てる方法を説明する。図9は、本発明の一実施形態の配線・配管材支持具100の分解斜視図である。まず、固定部材110の一対の挿通孔114に支持部材120の支持側部122を挿入する。次いで、支持部材120を連通する挿通孔114内でスライド移動させ、固定部材110を支持部材120の支持部121の略中央に配置する。そして、カバー部材130の収容部133に固定部材110を収容すると共に取付部134に支持部材120を収容するように、互いに連結状態にある固定部材110及び支持部材120にその上方からカバー部材130を被せる。より詳細には、係合爪134cを弾性変形させるように取付部134の一対の突条134aの間に支持部材120の支持部121を押し込み、且つ、筒壁134b内に支持側部122を挿入する。収容後、係止爪134cが弾性復帰することにより、支持部材120及びカバー部材130が外れることなく一体に保持される。このように、固定部材110、支持部材120及びカバー部材130を一体式に組み立てることで配線・配管材支持具100を構築する。
次に、図10〜図13を参照して、本実施形態の配線・配管材支持具100を棒材Iに固定して構築した配線・配管材支持構造10を説明する。なお、棒材Iは、建造物に固定された吊りボルトである。
図10及び図11(a)、(b)は、本実施形態の配線・配管材支持構造10の斜視図、正面図及び平面図である。図10に示すとおり、垂直方向に延びる棒材Iに配線・配管材支持具100の固定部材110が固定されていると共に、該固定部材110に支持部材120がその略中央で棒材Iに交差した状態で保持されている。
図11(a)、(b)に示すように、配線・配管材支持構造10では、固定部材110の挿通部(一対の挿通孔114)を支持部材120が側方に貫通して、棒材Iの両側に支持部材120の支持部121(又はカバー部材130の載置部131)が水平方向に延在している。さらに、垂直上方に水平面を形成する載置部131の載置面131a上に複数(本実施形態では左右各3本)の配線・配管材Pがそれぞれ支持されている。この長尺の配線・配管材Pは、支持部121(又は載置部131)及び棒材Iに対して直交方向に延設されている。換言すると、支持部材120、棒材I及び配線・配管材Pが互いに直交するように配置されている。
また、本配線・配管材支持構造10では、合計8つのスリット135を介して、4本のバンド体140が載置部131に対して複数の配線・配管材Pを結束している。このバンド体140は、一般的に結束バンド又はケーブルタイとして呼称されるものであり、長尺のバンド部141と、該バンド部141を挿通及び係止して固定する矩形状のロック部142とを備える。すなわち、バンド体140の先端が、その基端に位置するロック部142の挿通係止孔(図示せず)に挿入されると、バンド部141表面の係止爪(図示せず)と挿通係止孔とが係合し、バンド部141が所定位置でロック部142に脱抜不能に拘束及び結合される。そして、図11(a)に示すとおり、本実施形態では、複数の中から選択された2つのスリット135に1本のバンド部141が挿通され、複数の配線・配管材Pをバンド部141で緊密に包囲した状態でバンド部141がロック部142によってロックされている。このとき、バンド部141が載置面131a裏面に係合している。このバンド体140で配線・配管材Pを拘束した状態では、垂直下方に延びるリブ131bが載置面131a裏面に係合したバンド体140の幅方向外側への移動を規制する。すなわち、バンド部141をリブ131bで係止可能であるため、バンド体140で結束した配線・配管材Pの長手方向への移動に従ってバンド体140がカバー部材130から外れる虞が大幅に軽減されている。なお、このバンド体140は任意の構成要素であり、必要に応じて採用又は省略可能である。
次に、図12及び図13(a)、(b)を参照して、本実施形態の配線・配管材支持構造10の固定形態をより詳細に説明する。図12は、本実施形態の配線・配管材支持構造10の部分拡大正面図であり、図13(a)、(b)は、そのC−C断面図及びD−D断面図である。本配線・配管材支持構造10において、固定部材110の他端(自由端)近傍で、ビス117が一対のビス孔116にしっかりと螺着され、一対の挟持体111が互いに近接して開口部113が閉塞されている。そして、固定部材110の一端側で一対の挟持体111の挿通孔114を支持部材120が貫通し、且つ、他端側で一対の挟持体111の挟持部115が棒材Iを挟持している。また、図12及び図13(b)のように、一対の挟持部115における上壁111b及び下壁111cの先端がボルト状の棒材Iのネジ山のピッチ間にそれぞれ食い込んでいる。これにより、固定部材110が棒材Iの軸方向に沿ってずれたり、あるいは、固定部材110が捻れて正面視の姿勢が傾いたりすることが抑止されている。
また、本配線・配管材支持構造10では、カバー部材130の収容部133内に固定部材110が配置されている。固定部材110の両側方には規制部133aが配置されている(図12及び図13(a)参照)。該規制部133aは、一対の突条134aの端面である。該規制部133aは、収容された固定部材110が支持部材120の長手方向に相対スライドすること、及び、固定部材110の正面視の姿勢が傾くように揺動することを規制している。さらに、収容部133の頂壁前端縁に切り欠き形成された第1係止部133bに棒材Iを収容し、その端面が棒材Iに当接するように配置されている(図12及び図13(b)参照)。この第1係止部133bは、収容部133内の棒材Iを係止可能な切り欠き端面であり、支持部材120を軸としてカバー部材130が正面側に回動することを規制している。他方、収容部133後壁の下側に形成された第2係止部133cに近接して、固定部材110の連結部112が配置されている(図13(a)、(b)参照)。この第2係止部133cは、収容部133内の固定部材110を係止可能な当接面であり、支持部材120を軸としてカバー部材130が背面側に回動することを規制している。すなわち、第1係止部133b及び第2係止部133cが協働して、カバー部材130が支持部材120を軸として前後双方向に回動することを規制している。換言すると、第1係止部133b及び第2係止部133cが棒材I及び固定部材110に当接することにより、支持部材120及びカバー部材130が棒材Iに対して回転することが防止される。その結果、載置部131の載置面131aが水平方向から前後に傾斜することが抑えられ、配線・配管材支持具100がより安定的に配線・配管材Pを支持可能である。
さらに、本配線・配管材支持構造10では、図12及び図13(a)に示すとおり、左右一対の挟持体111の自由端側において上壁111b及び下壁111cが相互に重なり合うまで、近接手段(ビス孔116及びビス117)によって一対の挟持体111が互いに近接されている。換言すると、平面視において、各挟持体111と連結部112との間の角度が90度未満になるように近接手段によって固定部材110が弾性変形している。この弾性変形により、一対の挟持部115の対向する狭圧面115aが棒材Iをその近接方向から狭圧していると共に、挟持部115の当接面115bが棒材Iを支持部材120側に押圧して挿通孔114内の支持部材120が棒材Iに圧接している。このとき、支持部材120は棒材I外面及び挿通孔114内周端面の両方に当接して保持されている。その結果、本実施形態の配線・配管材支持具100が、支持部材120の長手方向に沿って左右一対の狭圧面115aで棒材Iを挟持し、さらに、これに直交する配線・配管材Pの延設方向に沿って当接面115b及び支持部材120で棒材Iを挟持している。すなわち、本実施形態の配線・配管材支持構造10は、強固な支持構造を有している。
続いて、図14及び図15を参照して、本実施形態の配線・配管材支持具100で配線・配管材支持構造10を構築する方法を説明する。
まず、図14(a)に示すとおり、配線・配管材支持具100を把持して、配線・配管材支持具100の開口部113を棒材Iに近接させ、一対の挟持体111の上壁111b及び下壁111cの対向する端面を棒材Iに当接させる。この固定部材110を棒材Iに当接させた状態で、該固定部材110を棒材Iに対して押し付けると、一対の挟持体111が互いに離隔するように弾性変形し、開口部113が棒材Iによって押し広げられる(仮想線参照)。そして、固定部材110をさらに押し込み、一対の挟持体111の挟持部115の間に棒材Iを配置すると、開口部113が当初形態に弾性復帰する。そして、支持部材120の支持部121を棒材Iに直交させると共に載置部131の載置面131aを水平姿勢に維持する。続いて、図14(b)に示すとおり、一対のビス孔116の両方をビス117で貫通すべく、ビス117をビス孔116に側方から螺着する。このとき、配線・配管材支持具100は、一対の挟持体111で弾性的に棒材Iを挟持しているため、棒材Iの所定高さに仮支持されている。そして、支持部材120を一対の挟持体111に挿通した状態の配線・配管材支持具100を棒材Iの周りに回転しないように片手で軽く把持しながら、他方の手でドライバー等を操作して一対の挟持体111を近接させることができる。
次いで、ビス117をビス孔116内で完全に螺進させることにより、配線・配管材支持具100をビス117で棒材Iに確実に固定して、配線・配管材支持構造10を構築することができる。この工程を図15(a)〜(c)に示す各段階に分けて詳細に説明する。図15(a)の段階ではビス117が一対のビス孔116に螺着しているが、固定部材110が弾性変形していない。この段階では、棒材Iが一対の挟持部115間に遊挿されていると共に、支持部材120が挿通孔114に遊挿されている。また、ビス117によって開口部113が閉塞されているため、配線・配管材支持具100を固定する高さを棒材Iに沿って容易に調整することが可能である。
そして、図15(a)の段階から一対の挟持体111を近接させるべくビス117をビス孔116内で螺進させ、連結部113を中心に各挟持体111を近接方向に回動させる。この近接動作において一対の挟持体111の自由端が連結部111を軸として円弧を描いて回動する。図15(b)の段階では、各挟持体111と連結部112とが略直角になるように固定部材110が弾性変形し、開口部113が閉塞すると共に挟持部115内の空間が狭まって配線・配管材支持具100が棒材Iに仮固定されている。
さらに、図15(b)の段階からビス117を螺進させる。すなわち、図15(c)に示すとおり、ビス117を強く締め付けて、各挟持体111及び連結部112間の角度が90度未満になるまで連結部112を軸として一対の挟持体111を回動させ、一対の挟持部115の挟圧面115aをさらに近接させる。図15(c)の段階では、一対の挟持体111の近接動作に伴って、狭圧面115aが互いに近接して棒材Iを強く狭圧すると共に、挟持体111の他端側の端面である当接面115cが一端側(支持部材120側)に引き寄せられて棒材Iを押圧する。これにより、固定部材110の一端側で保持された支持部材120が棒材I側に付勢される。そして、支持部材120が、挿通孔114内の内周端面に圧接すると共に棒材Iに圧接する。その結果、本実施形態の配線・配管材支持具100が、支持部材120の長手方向に沿って左右一対の狭圧面115aで棒材Iを挟持し、さらに、これに直交する方向に沿って当接面115b及び支持部材120で棒材Iを挟持している。こうして、配線・配管材支持構造10が構築される。
なお、ここで説明した方法は、一例にすぎず、当業者であれば、各工程の順序を入れ替え、又は、状況に応じて不要な工程を省略することも可能である。
以下、本発明に係る一実施形態の配線・配管材支持具100における作用効果について説明する。
本発明の一実施形態の配線・配管材支持具100では、支持部材120を固定部材110に保持した配線・配管材支持具100を把持及び操作して、一対の挟持体111の間に棒材Iを挟み込み、そして、一対の挟持体111を近接手段(ビス孔116及びビス117)で近接させることにより、配線・配管材支持具100を棒材Iに簡単且つ迅速に固定することができる。より具体的には、作業者は、一体に組み付けられた配線・配管材支持具100が棒材Iに弾性的に支持された状態で該配線・配管材支持具100を片手で軽く把持しながら、他方の手で一対の挟持体111の近接操作を行うことができる。これにより、高い作業性を維持することができる。また、本配線・配管材支持具100は、ビス107により棒材Iにより確実に固定可能である。さらに、本配線・配管材支持具100を棒材Iに固定した際、一対の挟持体111で棒材Iを挟持するだけでなく、棒材I及び支持部材120が互いに圧接していることにより、より強固な配線・配管材支持構造10を構築することができる。すなわち、一対の挟持体111の近接方向(支持部材120の軸方向)の挟持力と、該近接方向に直交する方向(支持部材120の径方向)の圧接力とが協働して、配線・配管材支持具100が棒材Iに強固に固定される。このように、配線・配管材支持具100と棒材Iとの間で異なる2方向の力が作用しているため、任意の方向の外力に対して、より効果的に対抗可能である。特には、支持部材120及び棒材Iの圧接力が作用する方向は、配線・配管材Pの延設方向と合致するため、配線・配管材Pからの(延設方向の)外力に効果的に対向することができる。さらに、固定部材110及び支持部材120の各々が棒材Iに圧接しているため、各部材に個別に加わる外力からの影響をも軽減可能である。すなわち、外力によって配線・配管材支持具100が棒材Iから脱落する虞を大幅に軽減することができる。したがって、本実施形態によれば、配線・配管材支持具100の設置を容易とすると共に、強固な配線・配管材支持構造10を実現可能である。
(実施例2)
図16(a)、(b)は、別実施形態の配線・配管材支持具200の上方斜視図及び下方斜視図である。この配線・配管材支持具200は、固定部材210と、支持部材220と、カバー部材230とを備える。固定部材210及び支持部材220は、一実施形態の固定部材110及び支持部材120と同一であり、その説明を省略する。また、カバー部材230は、一実施形態のカバー部材130と一部共通の構成要素(載置部、側端部、取付部)を有するが、収容部233の構造が相違している。よって、カバー部材230の載置部231、側端部232、取付部234の説明を省略する。以下、図17〜図20を参照して、収容部233を詳細に説明する。
図17及び図18に示すとおり、カバー部材230の収容部233は、収容部133と同様に規制部233a、第1係止部233b、及び第2係止部233cを備える。そして、実施例2の収容部233には、前方に突出した一対の保護壁233dが設けられている。図19及び図20に示すとおり、該一対の保護壁233dは、固定部材210の挟持体211の側壁211aを被覆可能に延在しており、固定部材210の側方への露出を抑える。この一対の保護壁233dは、固定部材210の物理的な保護と美観の改善の両方に貢献する。
また、一方の保護壁233dには、切り欠き233eが形成されている。この切り欠き233eを介してビス217をビス孔216に螺着することができる。そして、切り欠き233e内にビス217の頭部が配置され、ビス217の頭部が切り欠き233e端面(保護壁233d端縁)によって部分的に囲まれる。さらに、他方の保護壁233dには、ビス217の先端が貫通可能な貫通部233fと、該貫通部233fの下方で保護壁233dの外方に突出した矩形状の突出部233gとが設けられている。この突出部233gは、上方に半円状の凹曲面を有している。そして、貫通部233fは、保護壁233d下端で開放した長円形の孔と、突出部233gの凹曲面とが重なり合って円形状の貫通孔を定める。結果として、図19及び図20に示すとおり、ビス217が貫通部233fを貫通し、且つ、ビス217先端が突出部233gの凹曲面によって下支えされる。すなわち、配線・配管材支持具200では、固定部材210の近接手段として挟持体211を貫通するビス217が、その先端でカバー部材230の貫通部233f内で支持及び拘束される。
上述したとおり、実施例2の配線・配管材支持具200は、収容部233に形成された規制部233a、第1係止部233b、第2係止部233c、保護壁233d、切り欠き233e、貫通部233f、及び突出部233gが協働して、棒材Iを挟持する固定部材210を移動又は変形不能に収容部233内により確実に収容する。したがって、実施例2の配線・配管材支持具200は、配線・配管材支持具100と比べて、より強固な配線・配管材支持構造を構築可能である。
本発明の配線・配管材支持具の形態は、上記実施形態(実施例1、実施例2)に限定されない。例えば、配線・配管材支持具100からカバー部材130を必要に応じて省略可能である。あるいは、支持部材は、上記左右対称な形状に限定されず、棒材Iの一方側のみに延設してもよく、又は、単純な直線状の棒材であってもよい。また、上記実施形態では、別体の固定部材110、支持部材120及びカバー部材130が組み立てられて配線・配管材支持具100を構成したが、本発明はこれに限定されず、固定部材、支持部材及びカバー部材の一部又は全てを一体化して形成してもよい。さらに、本発明の固定部材は、配線・配管材支持具を吊りボルトに固定する用途だけに限定されることがない。つまり、本発明の固定部材は、本実施形態の用途以外の2本の棒材を交差させて固定する任意の用途に応用することが可能である。
(実施例3)
本実施形態の配線・配管材支持具100は、金属板材で筺状に形成された固定部材110を弾性変形させることにより、挟持部115で棒材Iを挟持すると共に支持部材120を棒材Iに圧接させる機構を有する。しかしながら、本発明はこの実施形態の機構に限定されず、当業者であれば本発明の技術範囲内で他の機構を採用することができる。
例えば、図21の配線・配管材支持具300は、別体として分離された一対の挟持体311からなる固定部材310と、上記支持部材110と同様の支持部材320とを備える。一対の挟持体311は、平面視多角形の合成樹脂製の肉厚体として形成されている。そして、該固定部材310は、該一対の挟持体311を貫通し、支持部材320を挿通する挿通孔314と、該固定部材310間に形成された挟持部315と、その基端側及び先端側に穿設された雌ネジ状のビス孔316、318とを備える。各挟持体311は、挟持部315に傾斜面315aを有し、該傾斜面315aが一実施形態の挟圧面115a及び当接面115bのように機能する。図21に示すとおり、2本のビス317及び319がビス孔316及び318にそれぞれ螺着することにより、一対の挟持体311が近接する。そして、一対の挟持体311の近接に伴って、傾斜面315a間の距離が狭まり、左右一対の傾斜面315a及び支持部材320の間の空間内で、該傾斜面315aに沿って棒材Iが支持部材320側に相対的に追いやられる。その結果、挟持部315が支持部材320を一対の傾斜面315aで近接方向から挟持し、且つ、傾斜面315aで棒材Iを一端側に押圧して支持部材320を棒材Iに圧接させる。したがって、本配線・配管材支持具300は、支持部材320の長手方向に沿って傾斜面315aで棒材Iを挟持し、さらに、これに直交する方向に沿って傾斜面315a及び支持部材320で棒材Iを挟持することにより、強固な配線・配管材支持構造を構築可能である。すなわち、配線・配管材支持具300は、上述した配線・配管材支持具100と同様の作用効果を発揮する。
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。