JP6287007B2 - 反射スクリーンおよび反射スクリーンを備えた映像表示システム - Google Patents

反射スクリーンおよび反射スクリーンを備えた映像表示システム Download PDF

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Description

本発明は、反射スクリーンに関し、より詳細には、投射された映像光を反射して表示する反射スクリーンおよびその反射スクリーンを備えた映像表示システムに関する。
近年、短焦点型の映像投射装置によって投射された映像光を良好に表示するために、単位レンズが複数配列されたリニアフレネルレンズ形状やサーキュラーフレネルレンズ形状を有するレンズ層に反射層を形成した反射スクリーン等が様々に開発されている(例えば、特許文献1)。
このような反射スクリーンの中には、映像源側から表面層、基材層、レンズ層、反射層、バックコート層の順で形成されたものが存在するが、一般の使用環境下や、製品輸送時、保管時等において、空気中に含まれる水分や酸素が反射スクリーンの背面側のバックコート層を透過し、反射層を構成する金属(例えばアルミニウム)を酸化させてしまい、反射層の反射率が低下したり、脆くなるという問題がある。
また、バックコート層は、反射層を保護するとともに、外光等を吸収して反射スクリーンのコントラストを向上させるものであるが、通常、バックコート層は、着色材(例えばカーボンブラック等)を含む水性インキを反射層表面に塗布した場合に、水性インキに含まれる水分や他の成分により、上記と同様に反射層の金属を劣化させてしまう場合がある。さらに、反射層の表面に着色水性インキを塗布してバックコート層を形成する際、着色材の粗大粒子や異物等が着色水性インキに含まれていると、インキ塗布時に反射層の表面を傷つけてしまうことがあり、上記した反射層の劣化と相まって、レンズ層から反射層が剥離してしまう場合があった。
特開平08−29875号公報
本発明の目的は、反射層を構成する金属の酸化を抑制し、反射率の低下や、レンズ層から反射層が剥離してしまうのを低減することができる反射スクリーンを提供することである。また、本発明の別の目的は、上記反射スクリーンを備えた映像表示システムを提供することである。
本発明による反射スクリーンは、レンズ面と非レンズ面とを備え、背面側に凸となる単位レンズが複数配列されたフレネルレンズ層と、前記フレネルレンズ層のレンズ面の少なくとも一部に設けられた、光を反射する反射層と、前記反射部の背面側に設けられたバックコート層と、を少なくとも備えた、映像源から投影される映像光を反射させて観察可能に表示する反射スクリーンであって、
前記反射層と前記バックコート層との間に、バリア層が設けられていることを特徴とするものである。
また、本発明の実施態様においては、前記バリア層が、酸化珪素、窒化珪素、および酸化窒化珪素からなる群より選択される珪素化合物からなるものであってもよい。
また、本発明の実施態様においては、前記バリア層の厚みが5〜500nmであってもよい。
また、本発明の実施態様においては、前記反射層が、アルミニウム、銀、およびクロムからなる群より選択される少なくとも1種の金属からなるものであってもよい。
また、本発明の実施態様においては、前記バックコート層が、着色剤とバインダー樹脂とを含む水溶性溶剤を塗布乾燥して形成されるものであってもよい。
また、本発明の実施態様においては、前記バックコート層が、さらに酸化防止剤を含んでいてもよい。
本発明の別の態様においては、前記反射スクリーンと、前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源と、を備えた映像表示システムも提供される。
本発明によれば、反射層とバックコート層との間にバリア層を備えた構成の反射スクリーンとすることにより、反射スクリーンの背面側から浸入する水分や酸素をバリア層が遮蔽して反射層の金属の酸化を防いで反射率の低下を抑制することができる。また、バリア層が形成されているため、バックコート層を形成する際に着色インキに粗大粒子や異物が混入していたとしても、粗大粒子や異物が直接反射層に接触しなくなるため、反射層が擦過されるのを防止できる。その結果、反射層が劣化してフレネルレンズ層から剥離してしまうのを抑制することができる。
本発明による反射スクリーンの一実施形態の層構成を説明する図である。 反射スクリーンを構成するフレネルレンズ層を説明する図である。 本発明による反射スクリーンの別の実施形態の層構成を説明する図である。 本発明による反射スクリーンへ入射する映像光や外光の様子を説明する図である。 本発明による映像表示システムの一実施形態を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面等を参照しながら説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。また、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、適宜置き換えることができるものとする。また、本発明は、以下に説明する実施形態等に限定されものではない。
<反射スクリーン>
図1は、本発明による反射スクリーンの断面概略図である。本発明による反射スクリーン1は、図1に示すように、レンズ面131aと非レンズ面131bとを備え、背面側に凸となる単位レンズ131が複数配列されたフレネルレンズ層13と、前記フレネルレンズ層13のレンズ面131aの少なくとも一部に設けられた、光を反射する反射層12と、反射層12の背面側に設けられたバックコート層10と、を備えており、さらに、反射層12とバックコート層10との間に、バリア層11が設けられている。また、反射スクリーン1の映像光源側には、フレネルレンズ層13の単位レンズ131が設けられた面とは反対側の面上に基材層14が設けられ、その基材層14の表面には、表面層15が設けられている。以下、反射スクリーン1を構成する各層について説明する。
基材層14は、映像源側(観察者側)に、表面層15が一体に形成され、背面側(裏面側)に、フレネルレンズ層13が一体に形成される。基材層14は、光拡散層141と、着色層142とを有している。本実施形態の基材層14は、光拡散層141と着色層142とは一体に積層されている。本実施形態では、図1に示すように、光拡散層141が背面側であり、着色層142が映像源側に位置する例を示したが、これに限らず、光拡散層141が映像源側に位置し、着色層142が背面側に位置する形態としてもよい。
光拡散層141は、光透過性を有する樹脂を母材とし、光を拡散する拡散材を含有する層である。この光拡散層141は、視野角を広げたり、明るさの面内均一性の向上を図ったりする機能を有する。
光拡散層141の母材となる樹脂は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂や、PC(ポリカーボネート)樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂、アクリル系樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂等を用いることができる。この光拡散層141の厚さは、100〜200μm程度とすることができる。また、光拡散粒子としては、透明樹脂と光拡散粒子との間の屈折率差に起因して、または、光拡散粒子自体が有する反射性に起因して、光拡散層に入射した光が拡散し得るものであれば特に制限なく使用することができ、硫酸バリウム微粒子、ガラス微粒子、水酸化アルミニウム微粒子、炭酸カルシウム微粒子、シリカ(二酸化珪素)微粒子、酸化チタン微粒子等の無機系微粒子や、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリスチレンビーズ、塩ビビーズ、シリコンーン系ビーズ等の有機系微粒子を使用することができるが、透明性の観点からは有機系微粒子を使用することが好ましい。光拡散粒子の粒径は、特に限定されるものではないが、通常、1〜15μm程度のものが用いられる。
着色層142は、所定の透過率とするための灰色や黒色等の染料や顔料等により着色が施された層である。本実施形態では、着色層142は、光拡散層141の映像源側(観察者側)に位置している。
この着色層142は、反射スクリーン10に入射する照明光等の不要な外光を吸収させて、映像のコントラストを向上させる機能を有する。
着色層142は、例えば、厚さが30〜3000μmであり、染料や顔料を含有するPET樹脂や、PC樹脂、MS樹脂、MBS樹脂、アクリル系樹脂、TAC樹脂、PEN樹脂等により形成される。
基材層14は、光拡散層141と着色層142とを共押し出しすることにより一体に形成されてもよい。また、基材層14を単層とし、拡散材と顔料や染料等の着色材とを共に含有する形態としてもよい。
次に、図2を参照しながらフレネルレンズ層について説明する。図2は、本実施形態のフレネルレンズ層13を説明する図である。図2(a)は、フレネルレンズ層13を背面側正面方向から観察した様子を示しており、理解を容易にするために、反射層12やバックコート層10は省略して示している。図2(b)は、図1に示す断面の一部を示している。
フレネルレンズ層13は、基材層14の背面側に設けられた光透過性を有する層であり、映像光をスクリーン面の略法線方向に向く略平行な光に変換して出射できるものであれば特に制限なく使用できるが、図2(a)に示すような、フレネルレンズ層13の面中央に対して偏心した位置に光学中心を有するサーキュラーフレネルレンズ形状であることが好ましい。映像光源を、反射スクリーンの下方側に配置する場合、フレネルレンズ層のフレネルレンズ形状の光学中心C1は、フレネルレンズ層13の面中央C2に対して下方側(即ち、映像光源側)に偏心していることが好ましい。なお、図2(a)において、光学中心C1は面131a外の位置に存在しているが、面131a内に存在していてもよい。このように光学中心C1が偏心した単位レンズ131を有するフレネルレンズ層13とすることにより、フレネルレンズ層13と映像光源との距離が短く、映像光の入射角が大きくなるような場合(短焦点の場合)であっても、映像光をスクリーン面の略法線方向に向く略平行な光に変換することができる。
本実施形態においては、フレネルレンズ層13の単位レンズの形状は、図2(a)に示したようなサーキュラーフレネルレンズ形状の他にも、使用用途に応じて、プリズムレンズ単位がスクリーン面の上下方向に複数配置されたリニアフレネルレンズ形状であってもよい。
単位レンズ131は、図1、図2(b)に示すように、スクリーン面に直交する方向(反射スクリーン10の厚み方向)に平行であって、単位レンズ131の配列方向に平行な断面における断面形状が、略三角形形状である。この単位レンズ131は、背面側に凸であり、レンズ面131aと、このレンズ面131aと対向する非レンズ面131bとを備えている。
反射スクリーン1の使用状態において、単位レンズ131は、レンズ面131aが頂点tを挟んで非レンズ面131bよりも鉛直方向上側に位置している。単位レンズ131において、図2(b)に示すように、レンズ面131aがスクリーン面に平行な面となす角度は、αであり、非レンズ面131bがスクリーン面に平行な面となす角度は、β(β>α)である。
また、単位レンズ131の配列ピッチは、Pであり、単位レンズ131のレンズ高さ(スクリーンの厚み方向における頂点tから単位レンズ131間の谷底となる点vまでの寸法)は、hである。
理解を容易にするために、図1および図2(b)等では、単位レンズ131の配列ピッチP、角度α,βは、単位レンズ131の配列方向において一定であるように示している。しかし、本実施形態の単位レンズ131は、実際には、配列ピッチP等が一定であるが、角度αが単位レンズ131の配列方向においてフレネルレンズ13の光学中心C1から離れるにつれて次第に大きくなっている。
なお、これに限らず、角度α等は、一定としてもよいし、配列ピッチPが、単位レンズ131の配列方向に沿って次第に変化する形態としてもよく、映像光を投影する映像源LSの画素(ピクセル)の大きさや、映像源LSの投射角度(反射スクリーン1のスクリーン面への映像光の入射角度)、反射スクリーン1の画面サイズ、各層の屈折率等に応じて、適宜変更可能である。
また、単位レンズ131は、図2等に示す断面形状が略三角形形状である例を示したが、これに限らず、例えば、略台形形状であり、レンズ面と非レンズ面とが、スクリーン面に平行な頂面を挟んで対向する形態としてもよい。このとき、頂面は、映像光の反射に寄与しない領域に形成されることが好ましい。
単位レンズ131は、図2等に示す断面において、レンズ面131aおよび非レンズ面131bが直線状となる例を示したが、これに限らず、この断面において、例えば、レンズ面131aや非レンズ面131bの一部が曲線状となっていてもよい。また、各実施形態において、単位レンズ131のレンズ面131aおよび非レンズ面131bは、いずれも1つの面である例を示したが、これに限らず、例えば、少なくとも一方の面が、複数の面から構成される形態としてもよい。
フレネルレンズ層13は、従来公知の方法により形成することができ、例えばウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を、フレネルレンズ形状を賦形する成形型に充填し、その上に基材層14を設けた後、基材層14側から紫外線を照射し、樹脂を硬化させて成形型から離型する紫外線成型法等により形成することができる。また、紫外線硬化型樹脂以外にも電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂を使用することもできる。
次に、反射層について説明する。反射層12は、光を反射する作用を有する層であり、レンズ面131aのすくなくとも一部に形成され、映像光源側から入射した光をレンズ面131aで内部反射させる。なお、本実施形態においては、反射層12は、図1や図2(b)に示すように、レンズ面131aに形成されている一方、非レンズ面131bには形成されていない。
反射層12は、従来公知の方法によって形成でき、例えば、アルミニウム、銀、ニッケル、クロムなどの反射率の高い金属を蒸着させることにより形成できる。また、蒸着に限らず、スパッタリング、CVD、メッキ、グラビアコーティング、グラビアリバースコーティング、スクリーン印刷、インクジェット方式による塗布等により形成してもよい。また、レンズ面131a上に、アルミニウム、銀、ニッケル、クロムなどの反射率の高い金属からなる箔を転写することにより形成してもよい。このようにして形成される反射層の厚さは、5〜30μm程度である。
次に、バリア層11について説明する。バリア層11は、反射層12と後記するバックコート層10との間に設けられる層であり、バックコート層10側から反射層12側へ浸入してくる水分や酸素を遮蔽するとともに、形成された反射層12(蒸着膜)の表面が、バックコート層を形成する際のインキ中に含まれる粗大粒子や異物によって擦過されて傷が付くのを防止するための層である。
従来の反射スクリーンは、後記するように、バックコート層10が水分を含む着色インキを塗布することにより形成されるため、この水分が反射層を構成するアルミニウム等の金属を変性させてしまう場合があった。また、バックコート層10を形成した後であっても、反射スクリーンの背面側(バックコート層10側)の面から、空気中の水分を吸収し、反射層の金属を変性させてしまう場合があった。例えば、アルミニウムが水酸化した水酸化酸化アルミニウムは透明であることから、アルミニウムからなる反射層は、アルミニウムの水酸化が進むにつれて反射率が低下し、反射スクリーンの光学特性に影響を与える恐れがある。本発明においては、上記のような問題を解決するため、反射層12とバックコート層10との間に、水分や酸素の透過を抑制できるバリア層11を設けたものである。
本実施形態においては、図1および図2(b)に示したように、レンズ面131aにのみ形成され、非レンズ面131bには形成されていない反射層12の表面にのみバリア層11が設けられているが、別の実施形態として、図3に示すように、反射層12の表面および非レンズ面131bの表面にバリア層11を形成してもよい。このように、非レンズ面131bの表面にもバリア層11を形成することにより、反射層12の側面から水分や酸素が浸入して反射層12の金属が酸化されるのを抑制することができる。
バリア層11は、水蒸気ないし酸素透過性の低い材料からなる層であり、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム、酸化錫、酸化亜鉛等の酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム等の窒化物、炭化珪素等の炭化物、硫化物等を挙げることができる。また、それらから選ばれた二種以上の複合体を用いてもよい。
複合体としては、例えば、2種以上の酸化物を用いる複合酸化物、2種以上の酸化物および窒化物を用いる複合金属酸窒化物、酸素と窒素を含有する無機酸化窒化物、さらに炭素を含有してなる無機酸化炭化物、無機窒化炭化物、無機酸化窒化炭化物等を挙げることができる。より具体的には、無機酸化物(MO)、無機窒化物(MN)、無機炭化物(MC)、無機酸化炭化物(MO)、無機窒化炭化物(MN)、無機酸化窒化物(MO)、無機酸化窒化炭化物(MO)等が挙げられ、好ましいMは、Si、Al、Ti等の金属元素である。これらのなかでも、MをSiとし、酸化珪素からなる膜は、透明性が高くかつバリア性も良好となり、窒化珪素はさらに高いバリア性を発揮するので好ましく用いられる。特に好ましくは、酸化珪素と窒化珪素の複合体(無機酸化窒化物(SiO))である。酸化珪素の含有量が多いと透明性が向上し、窒化珪素の含有量が多いとバリア性が向上する。また、炭素を含有させることで層の柔軟性や接着性を確保しやすくなるので、無機酸化炭化物(SiO)を用いることも好ましい。その他、2種以上の酸化物を用いる複合酸化物として、例えば、MaMbO、MaMbMcO等を挙げることができる。さらに、2種以上の酸化物および窒化物を用いる複合金属酸窒化物として、例えば、MaMbOや、MaMbMcO等を挙げることができる。ここで、Ma、Mb、およびMcは異なる金属元素を表し、それぞれ、例えば、Sn、Zn、Si、Al、Ti等を挙げることができる。また、バリア層には、上記の材料の他所定の添加剤や不純物が所定量含有されていてもよい。
バリア層11の厚さは、通常、5〜500nm、好ましくは50〜200nmである。バリア層4の厚さを上記範囲とすれば、バックコート層11側からの水分や酸素の浸入をより一層遮蔽することができ、反射層12への水分等の影響を抑制することができる。
バリア層11の形成は、特に制限はないが、通常、真空成膜法が用いられる。こうした真空成膜法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、Cat−CVD法、プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法等を用いればよい。こうした形成方法は、成膜材料の種類、成膜のしやすさ、工程効率等を考慮して選択すればよい。
例えば、真空蒸着法は、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子線やイオンビーム等のビーム加熱等により、るつぼに入った材料を加熱、蒸発させて基材等に付着させ、バリア層を形成する方法である。その際、バリア層の組成等により加熱温度、加熱方法を変化させることができ、成膜時に酸化反応等を起こさせる反応性蒸着法も使用できる。
また、スパッタリング法は、真空チャンバー内にターゲットを設置し、高電圧をかけてイオン化した希ガス元素(通常はアルゴン)をターゲットに衝突させて、ターゲット表面の原子をはじき出し、基材等に付着させ、バリア層を得る方法である。このとき、チャンバー内に窒素ガスや酸素ガスを流すことにより、ターゲットからはじき出された元素と、窒素や酸素とを反応させてバリア層を形成する、反応性スパッタリング法を用いてもよい。
また、イオンプレーティング法は、真空蒸着とプラズマの複合技術であり、原則としてガスプラズマを利用して、蒸発粒子の一部をイオンもしくは励起粒子とし、活性化して薄膜を形成する方法である。イオンプレーティング法においては、反応ガスのプラズマを利用して蒸発粒子と結合させ、化合物膜を合成させる反応性イオンプレーティングが有効である。プラズマ中の操作であるため、安定なプラズマを得るのが第1条件であり、低ガス圧の領域での弱電離プラズマによる低温プラズマを用いる場合が多い。このため、混合物や複合酸化物を形成する場合に好ましく用いられる。
また、プラズマCVD法は、化学気相成長法の一種であり、プラズマ放電中に原料を気化して供給し、系内のガスを衝突により相互に活性化してラジカル化するため、熱的励起のみによっては不可能な低温下での反応が可能となる。基材等は、背後からヒータによって加熱され、電極間の放電中での反応により膜が形成される。
次に、バックコート層10について説明する。バックコート層10は、フレネルレンズ層13、反射層12およびバリア層11の背面側に設けられ、バリア層11および反射層12を保護する作用と、光を吸収する作用とを有している。本実施形態のバックコート層10は、図1および図2(b)に示すように、バリア層11および非レンズ面131bを被覆しており、非レンズ面131bにも形成された形態となっている。なお、バリア層11を非レンズ面131bの表面にも設けた場合は、バリア層11全体が被覆されるようにバックコート層10が設けられる。
バックコート層10は、黒色等の暗色系の塗料や、黒色等の暗色系の顔料や染料および光吸収作用を有するビーズ等と、アクリル系樹脂等のバインダー樹脂とを、適当な溶剤に溶解ないし分散させた塗工液(インキ)を、フレネルレンズ層13のレンズ面に形成したバリア層の背面側に塗布し、乾燥させることにより形成される。バックコート層10を設けることにより、フレネルレンズ層13の非レンズ面131bに入射した光(例えば外光)を吸収することができる。
バックコート層10を形成する塗工液には、各種添加剤(例えば、増粘剤、レベリング剤等)の他、酸化防止剤や防湿剤を含有させてもよい。これにより、バックコート層10は、反射層12の酸化を防止するとともに、反射スクリーン10の背面側から浸入した水分が反射層12に到達するのをより一層抑制することができる。酸化防止剤は、塗工液中のバインダー樹脂成分に対する質量比が1〜3%の範囲となるように添加される。
酸化防止剤として、例えば、2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール(DBPC)、4,4‘メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’メチレンビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、フェニル−α−ナフチルアミン、フェノチアジン、P,P‘−ジオクチルジフェニルアミン、N,N’ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパン、ベンゾトリアゾール、2(n−ドデシルジチオ)ベンズイミダゾール等のうちいずれか一つ、もしくは、これらのうち複数種類の組み合わせを用いることができる。また、バックコート層11に含有される防湿剤としては、シリカゲルや、炭酸カルシウム等を用いることができる。
次に、表面層15について説明する。表面層15は、基材層14の映像源側(観察者側)に設けられる層である。本実施形態においては、表面層15は、この反射スクリーン1の映像源側の最表面に形成されている。表面層15は、反射スクリーン1の映像源側表面の傷つきを低減するハードコート機能と、スクリーンへの映り込みを低減する機能(防眩機能)とを有していることが好ましい。この表面層15は、その厚さが、1〜25μm程度である。
表面層15は、接着層(図示しない)を介して基材層14と貼合されていてもよく、また、上述のように、基材層14のフレネルレンズ層13とは反対側の面に直接、溶融押出成形等により表面層15を設ける形態としてもよい。
表面層15は、ハードコート機能、防眩機能を備える例を示したが、これに限らず、反射防止機能や紫外線吸収機能、防汚機能や帯電防止機能等を適宜選択してさらに付与してもよい。これらの層は、上述の表面層15と基材層14との間に別層として設けてもよいし、表面層15を形成する樹脂に、上述の機能を有するものを選択して形成してもよい。
また、本実施形態においては、反射スクリーン1が、背面側から、バックコート層10、バリア層11、反射層12、フレネルレンズ層13、基材層14、表面層15の順で構成される例を説明したが、これに限定されない。例えば、フレネルレンズ層13と基材層14との間に、上下方向よりも左右方向に光を拡散する異方性拡散層(図示せず)を形成してもよい。
本実施形態の反射スクリーン1へ入射する映像光および外光の様子を説明する。図4は、反射スクリーン1へ入射する映像光や外光の様子を説明する図である。図4では、理解を容易にするために、反射スクリーン1の各層の屈折率差や光拡散層141の拡散作用等は省略して示している。
図4に示すように、映像源LSから投影された大部分の映像光L1は、反射スクリーン10の下方から入射し、表面層15、基材層14を透過してフレネルレンズ層13の単位レンズ131へ入射する。
そして、映像光L1は、レンズ面131aへ入射して反射層12によって反射され、観察者O側へ向かって反射スクリーン10から出射する。なお、角度β(図4(b)参照)は、映像光L1が反射スクリーン1の下方から投射され、反射スクリーン1の画面上下方向の各点における映像光L1の入射角度よりも大きいので、映像光L1が非レンズ面131bに直接入射することはなく、非レンズ面131bは、映像光L1の反射には影響しない。
一方、照明光等の不要な外光G1,G2は、図4に示すように、主として反射スクリーン1の上方から入射し、表面層15、基材層14を透過してフレネルレンズ層13の単位レンズ131へ入射する。そして、一部の外光G1は、非レンズ面131bへ入射して、バックコート層10によって吸収される。また、一部の外光G2は、レンズ面131aで反射して、主として反射スクリーン1の下方側へ向かうので、観察者O側には直接届かず、また、届いた場合にもその光量は、映像光L1に比べて大幅に少ない。従って、反射スクリーン1では、外光G1,G2による映像のコントラスト低下を抑制できる。
<映像表示システム>
図5は、本実施形態の映像表示システム100を説明する図である。図5(a)は、映像表示システム100の斜視図であり、図5(b)は、映像表示システム100の側面図である。
映像表示システム100は、反射スクリーン1、映像源LS等を有している。本実施形態の映像表示システム100は、映像源LSから投影された映像光Lを反射スクリーン1が反射して、その画面上に映像を表示する一般的な映像表示システムである。
映像表示システム100は、例えば、フロントプロジェクションテレビシステム等として用いることができる。なお、映像表示システム100は、反射スクリーン1と映像源LSと反射スクリーンの観察画面上の入力部の位置を検出する位置検出部やパーソナルコンピュータ等を備えたインタラクティブボードシステムとしてもよい。
映像源LSは、映像光Lを反射スクリーン1へ投射する装置であり、汎用の短焦点型プロジェクタ等を用いることができる。この映像源LSは、使用状態において、反射スクリーン10の画面を法線方向(スクリーン面の法線方向)から見た場合に、反射スクリーン1の画面左右方向において中央であって、反射スクリーン1の画面(表示領域)よりも下方側となる位置に配置されている。なお、スクリーン面とは、この反射スクリーン全体として見たときにおける、反射スクリーンの平面方向となる面を示すものである。
この映像源LSは、反射スクリーン10の画面に直交する方向(反射スクリーン1の厚み方向)における反射スクリーン1との距離が、従来の汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から映像光Lを投射できる。即ち、この映像源LSは、従来の汎用プロジェクタに比べて、反射スクリーン1までの投射距離が短く、その映像光Lの反射スクリーン1に対する入射角度も大きい。
反射スクリーン1は、映像源LSが投射した映像光Lを観察者O側へ向けて反射し、映像を表示するスクリーンである。使用状態において、この反射スクリーン1の観察画面は平面状であり、観察者O側から見て、その観察画面は、長辺方向が画面左右方向となる略矩形状である。
なお、以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、この反射スクリーン1の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であるとする。
反射スクリーン1は、その背面側に、平板状の支持板16が、粘着材等からなる不図示の接合層を介して設けられており、この支持板16により、その平面性を維持している。この反射スクリーン1は、対角80インチや100インチ等の大きな画面(表示領域)を有している。
粘着剤等からなる接合層(図示せず)には、上記した酸化防止剤や防湿剤を含有させてもよい。この場合においても、フレネルレンズ層13の背面側に設けられた接合層に酸化防止剤および防湿剤が含まれているので、反射スクリーンの外周側面や、背面側等から空気中の水分等が吸収されたとしても、反射層12に含まれる金属の酸化を抑制することができ、レンズ面131aから反射層12が剥離してしまうのを抑制することができる。
反射スクリーン1は、さらに、反射スクリーン1の画面の平面性を維持するために、ガラス製や樹脂製である剛性の高い基板層(図示せず)を備えてもよい。また、図5に図示したように、反射スクリーン1は、その背面側に設けられた支持板16に接合層を介して接合されており、略平板状である例を示したが、これに限らず、例えば、支持板16を備えず、反射スクリーンが接合層を介して壁面等に接合される形態としてもよいし、支持板16を裏面に接合した状態で壁面に固定されたり、フック等の支持部材で壁面に吊り下げられる形態等としてもよい。反射スクリーン1は、使用時および不使用時には略平板状である例を示したが、これに限らず、不使用時には巻き取って保管できる巻き取り可能な形態としてもよい。
本発明を、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例の内容に限定されるものではない。
<反射スクリーンの作製>
実施例1
光拡散層形成用樹脂組成物として、アクリル−スチレン系樹脂ビーズを含有するアクリル系樹脂を用い、着色層形成用樹脂組成物として、黒色染料を含むアクリル系樹脂を用いた。両樹脂組成物を共押出成形機に投入し、幅1500mm、総厚が1.5mmとなるように一括押出し成形を行い積層体を形成するとともに、積層体の着色層の表面にエポキシ系樹脂組成物をロールコート法により塗布した後、1000mJの紫外線を照射することにより、厚み25μmのハードコート層を形成した。得られた積層体を枚葉に断裁した後、サーキュラー形状に切削したフレネルレンズ用金型に紫外線硬化性樹脂を充填し、裁断された積層体の光拡散層側を金型に適用し、紫外線を照射することによりフレネルレンズ層を成形した。未硬化の余剰樹脂を除去した後、フレネルレンズ層の面上に、真空製膜法により厚み70nmのアルミニウムからなる反射膜を形成した。次いで、反射膜の表面に、スパッタリング法により、酸素、アルゴン、窒素を流入しながら、酸化窒素珪素からなるバリア層を100nmの厚みとなるように形成した。続いて、形成したバリア層の表面を覆うように黒色塗料をロールコートにより塗布してバックコート層を形成することにより反射スクリーンを作製した。
実施例2
実施例1において、バリア層の形成時に、窒素を流入させずに酸化珪素膜を形成し、その後、大気圧下、50℃で24時間の熱処理を行ってバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして反射スクリーンを形成した。
比較例1
実施例1において、バリア層を形成せずに、反射層の表面に直接バックコート層を形成した以外は実施例1と同様にして反射スクリーンを作製した。
<反射スクリーンの評価>
上記のようにして得られた実施例および比較例の反射スクリーンの中央部を60mm×60mmのサイズに切り出したものを試験片として、反射スクリーン作製直後の反射率を測定した。反射率は、反射率計(HR−100、村上色彩株式会社製)を用いて、入射角/反射角=45°/45°の条件にて測定した。
次いで、試験片を、40℃、湿度90RH%の環境下で1000時間養生した後、室温(約25℃)、湿度約40RH%の常温環境下で更に24時間養生し、試験片の反射率を上記と同様にして測定した。反射スクリーン作製直後の反射率からの差分を反射率変位とした。評価結果は下記の表1に示される通りであった。
Figure 0006287007
反射スクリーンの正面輝度を表す指標であるPG(暗室白輝度×π/投影機の照度)値の低下を5%以下に抑えるためには、反射スクリーンの反射率変位を1.0%以下とする必要があるとされているが、本発明による反射スクリーンにおいては、上記の評価結果の通り、反射層とバックコート層との間にバリア層を設けたことにより、反射率変位を1.0%以下とすることができた。
1 反射スクリーン
10 バックコート層
11 バリア層
12 反射層
13 レンズ層
131a レンズ面
131b 非レンズ面
14 基材層
141 光拡散層
142 着色層
15 表面層
16 支持板
100 映像表示システム
LS 映像源

Claims (7)

  1. レンズ面と非レンズ面とを備え、背面側に凸となる単位レンズが複数配列されたフレネルレンズ層と、前記フレネルレンズ層のレンズ面の少なくとも一部に設けられた、光を反射する反射層と、前記反射の背面側に設けられたバックコート層と、を少なくとも備えた、映像源から投影される映像光を反射させて観察可能に表示する反射スクリーンであって、
    前記反射層と前記バックコート層との間に、バリア層が設けられていることを特徴とする、反射スクリーン。
  2. 前記バリア層が、酸化珪素、窒化珪素、および酸化窒化珪素からなる群より選択される珪素化合物からなる、請求項1に記載の反射スクリーン。
  3. 前記バリア層の厚みが5〜500nmである、請求項1または2に記載の反射スクリーン。
  4. 前記反射層が、アルミニウム、銀、ニッケル、およびクロムからなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の反射スクリーン。
  5. 前記バックコート層が、着色剤とバインダー樹脂とを含む水溶性溶剤を塗布乾燥して形成されるものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の反射スクリーン。
  6. 前記バックコート層が、さらに酸化防止剤を含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の反射スクリーン。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の反射スクリーンと、
    前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源と、
    を備える映像表示システム。
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