JP6287063B2 - 電縫鋼管の捩れ防止システム - Google Patents

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本発明は、電縫鋼管製造ラインにおいて生ずる電縫鋼管の捩れを防止するシステムに関するものである。
電縫鋼管は鋼帯を多数のロールによって徐々に湾曲させて断面が円形となるように変形させたうえ、その端部間をスクイズスタンドにおいて突合せ、溶接接合する方法により製造されている。スクイズスタンドには端部を通電加熱する加熱手段と、端部間を突き合わせて接合するスクイズロールが設けられている。このようにして溶接が行われた部分にはシームラインが形成される。
このシームラインは電縫鋼管の頂部に位置し、本来ならばそのまま直線的に延びるはずである。しかし実際には溶接点に作用する様々な外乱の影響によりわずかな捩じれを生じることがあり、そのまま放置するとシームラインがスパイラル状に捩じれた不良品が連続的に製造されることとなる。そこで従来からスクイズスタンドの後方位置に捩れ矯正用のスキューロールを配置し、作業員が目視により捩じれ量に応じてスキューロールを操作し、捩れ矯正を行なってきた。
スキューロールは一対の鼓型ロールを互いの回転軸をクロスさせて配置し、それらの間に電縫鋼管を挟みながら回転することで電縫鋼管に軸線周りの回転トルクを付与するものであり、スキューロールの角度(スキュー角度)を大きくすれば電縫鋼管をその軸線の周りに強く回転させることができる。上記したように、従来は作業員が手動によりスキュー角度を操作し、シームラインが直線を維持するように制御してきた。しかしこのような人手による制御は、作業員が現場を離れることができないこと、スキューラインとスクイズスタンド間に距離があり操作が反映されるまで時間がかかるため作業員の技量に多分に左右されること等の問題があった。
なお特許文献1には、ガイドロールと油圧シリンダを用いた電縫鋼管の捩れ矯正装置が開示されている。しかしこの装置も人手による制御を行なうものである。また特許文献2には切断後の電縫鋼管の捩れ矯正装置が開示されているが、製造ラインにおいて発生する捩じれ自体を無くするものではない。
実開昭63−66514号公報 特開2008−194744号公報
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、電縫鋼管製造ラインにおいて生ずる電縫鋼管の捩れを自動的に矯正することができる電縫鋼管の捩れ防止システムを提供することである。
上記の課題を解決するためになされた本発明は、電縫鋼管製造ラインのスクイズスタンドの後方に、捩れ矯正用のスキューロールとシーム位置センサとを配置し、シーム位置センサにより検出された電縫鋼管の捩れ角度がゼロとなるように、管径を溶接前の断面係数を用いて考慮し、スクイズスタンドとスキューロール間の遅れ時間、および溶接点における高周波外乱特性を、離散時間コントローラの動作周期以上の周波数特性で近似させるファストサンプル・ファストホールド手法を用いた離散時間コントローラを用いて、スキューロールのスキュー角度を自動制御することを特徴とするものである。
本発明によれば、スクイズスタンドの後方に配置されたシーム位置センサにより電縫鋼管の捩れ角度を検出し、検出された電縫鋼管の捩れ角度がゼロとなるように、管径を溶接前の断面係数を用いて考慮し、スクイズスタンドとスキューロール間の遅れ時間、および溶接点における高周波外乱特性を、離散時間コントローラの動作周期以上の周波数特性で近似させるファストサンプル・ファストホールド手法を用いた離散時間コントローラを用いてスキューロールのスキュー角度を自動制御するので、人手に頼ることなく電縫鋼管の捩れを防止することができる。従って無人運転を行なっても、捻じれのない電縫鋼管を安定的に製造することができる。
本発明のシステム構成を示す全体図である。 矯正トルクとスキュー角度φとの関係を示すグラフである。 捩じれ矯正モデルを示すブロック線図である。 スクイズロールの通過前後の断面形状を示す説明図である。 離散時間モデルを示すブロック線図である。 ファストサンプル・ファストホールド法導入前後のシステム概略図である。
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明のシステム構成を示す全体図であり、1は電縫鋼管製造ラインのスクイズスタンドに設けられた一対のスクイズロールである。鋼帯は図示を略した多数の予備成形ロールによって徐々に湾曲されて断面が円形となるように変形されたうえ、スクイズスタンドに入る。スクイズスタンドには端部を通電加熱する加熱手段(図示せず)が設けられており、鋼帯の端部を加熱したうえでスクイズロール1によって端部を突き合わせ、電縫鋼管Pが連続的に製造される。なお溶接点における外乱によって、溶接された電縫鋼管Pに捩じれが生ずることは前述のとおりである。
そこで本発明ではスクイズスタンドの後方位置に、捩れ矯正用のスキューロール2とシーム位置センサ3とを配置する。スキューロール2は電縫鋼管Pの進行方向に対して回転軸を傾斜させて配置した一対の鼓型のロールであり、回転軸の方向を操作してスキュー角度φを変化させることにより、捩れ矯正を行う。スキューロール2の駆動は低速の油圧モータやサイクロ減速機で行われる。なお電縫鋼管Pに加えられる矯正トルクとスキュー角度φとの間には、図2に示されるような比例関係があることが確認されている。ただし矯正トルクの絶対値は管径によって異なり、同一のスキュー角度φに対する矯正トルクは、小径の方が大きくなる。
シーム位置センサ3としては任意のセンサを使用することができ、例えばカメラを使用すれば電縫鋼管Pの捩れ角度θを容易に検出することができる。なお図1に示される4は矯正装置であって、電縫鋼管Pの断面形状が真円になるように形状矯正を行う。その後に電縫鋼管Pは熱処理炉に送られる。
本発明ではシーム位置センサ3により検出される電縫鋼管Pの捩れ角度θがゼロとなるようにスキューロール2のスキュー角度φを制御するのであるが、設備配置の関係上、スクイズスタンドとスキューロール2との距離Aは約20mであり、スクイズスタンドとシーム位置センサ3との距離Bは25m以上である。このため造管速度を例えば30m/sとすると、約50秒の無駄時間を含む系となる。またスキューロール2により電縫鋼管Pに与えられる矯正トルクは上記の距離Aだけ離れたスクイズスタンドに伝達されて溶接点における外乱をキャンセルするように作用する。このため、スキューロール2による矯正トルクが溶接点における捩じり角度に与える影響は、捩じり剛性G、断面係数I、長さLなどを考慮して決定する必要がある。
そこでスキュー角度φの補正値、シーム位置センサ3により検出された捩じれ角度θ、溶接点における高周波外乱特性wの関係を、図2に示された矯正トルクとスキュー角度φとの関係を用いてしてブロック線図で表すと、図3の通りとなる。図3中の左側の破線で囲んだブロックはスキュー角度φの補正値とスクイズスタンドの捩じれ角との関係を示し、右側の破線で囲んだブロックはスクイズスタンドの捩じれ角とシーム位置センサ3により検出された捩じれ角度θとの関係を示している。なおKは図2に示された比例定数、Lは溶接点からスクイズロール1までの距離(例えば100mm)であり、管径及び設備が決まればK・Lは定数となる。また右側ブロック中のνは、造管速度である。
図4に示すように、スクイズロールを通過する前と通過した後では断面形状が異なる。通過前の断面係数は2πrt/3であり、通過後の電縫鋼管Pの断面係数はπ(D‐d)/32である。但しrは半径、tは板厚、Dは外径、dは内径である。実際の数値を代入すると、スクイズロールを通過した溶接済みの電縫鋼管Pの断面係数は、溶接前の断面係数に比較して100倍以上大きくなるので、捩じれ変形を無視できる剛体に近くなり、溶接前の断面係数のみを考慮すればよいことが分かる。
図3に示した制御モデルを用い、捩れ角度θを検出してスキューロール2のスキュー角度φを自動制御するに際し、通常行われているPID制御では無駄時間の影響が大きく、制御が困難である。また無駄時間を持つコントローラは無限個のメモリが必要となり実装は不可能である。さらにスキューロール2の駆動は低速の油圧モータやサイクロ減速機で行うために応答時間が遅く、この応答遅れも考慮しなければならない。
しかし実際に発生している捩じれ現象の実績では、溶接点における高周波外乱特性はローパス特性をもつことから結果、外乱による蛇行量もローパス特性を持つ。このような場合ローパス特性を考慮したファストサンプル・ファストホールドと呼ばれる手法を用いて、図5に示す単純な離散時間モデルとすることができる。ファストサンプル・ファストホールド法とは図3のような連続時間システムと離散時間システムの混在するサンプル値制御系を近似的に評価する方法であり、コントローラの動作周期をhとするとき、このN倍の周期h/Nで動作するサンプラとホールドによって離散化することで連続時間信号を近似する方法である。図6にその概略を示す。ここでNの値は10以上であることが望ましい。この図5のモデルで得られた近似システムは単純な離散時間システムであるため一般的な離散時間コントローラとしてモデル予測制御理論を用いたコントローラやH∞制御理論によるコントローラを容易に設計することができる。
このように図5に示す制御モデルを用いれば、シーム位置センサ3により電縫鋼管Pの捩れ角度θを検出し、スキューロール2のスキュー角度φを自動制御することにより、人手に頼ることなく電縫鋼管Pの捩れを防止することができる。また図5に示す離散時間モデルを用いれば、標準的な制御装置によって安定した制御を行なわせることができる。
1 スクイズロール
2 スキューロール
3 シーム位置センサ
4 矯正装置
P 電縫鋼管
φ スキュー角度
θ 捩れ角度

Claims (1)

  1. 電縫鋼管製造ラインのスクイズスタンドの後方に、捩れ矯正用のスキューロールとシーム位置センサとを配置し、シーム位置センサにより検出された電縫鋼管の捩れ角度がゼロとなるように、管径を溶接前の断面係数を用いて考慮し、スクイズスタンドとスキューロール間の遅れ時間、および溶接点における高周波外乱特性を、離散時間コントローラの動作周期以上の周波数特性で近似させるファストサンプル・ファストホールド手法を用いた離散時間コントローラを用いて、スキューロールのスキュー角度を自動制御することを特徴とする電縫鋼管の捩れ防止システム。
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