JP6287564B2 - トナー用ワックス組成物 - Google Patents
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Description
トナーは、定着工程において定着ロールによる加熱を受けて軟化し、且つ定着ロールによる圧力を受けることにより記録媒体表面に定着して画像が形成される。トナーに含まれるトナー用ワックスは、定着時に融解して液体となり、トナー表面に染み出して離型剤として働き、トナーが定着ロールに残存すること(フィルミング)を防止するとともに、熱可塑性樹脂の軟化を促進して定着性を向上させる機能を有する。
例えば、特許文献1には、離型剤としてエチレンビスステアリン酸アミドワックスを使用し、低温定着性や離型性に優れるポリエステル樹脂を用いたトナーが開示され、特許文献2には、高精製のステアリン酸ステアリルアミドワックスを用い、臭気や着色を防止することを目的としたトナーが開示されている。
これらの脂肪酸アミドワックスは、トナー樹脂に馴染み易く、低温定着性に優れる一方、トナー樹脂との組み合わせや添加量によっては、トナー樹脂を軟化しすぎるので、トナー保存時のブロッキングやホットオフセット等の問題を生じることがある。
しかし、これらの脂肪酸エステルワックスの中には、冷却条件によってはワックスが複数の結晶状態をとるものがある。具体的には、ワックスを徐冷して固めた場合には、エネルギー的に最も安定な結晶状態をとり白色となるが、急冷した場合には、上記の結晶状態に加え、準安定な結晶状態をとることによって透明となる部分があり、白色部分と透明部分が不均一に分布する状態となるものがある。
本発明のトナー用ワックス組成物は、下記に示す脂肪酸エステルと脂肪酸アミドを含有する。
本発明における脂肪酸エステルは、ペンタエリスリトールと炭素数16〜24の一価の直鎖飽和脂肪酸とから得られるエステルワックスである。
本発明におけるペンタエリスリトールは、通常、単品で使用することができ、例えば工業品として一般に市販されるものも使用することができる。なお、以下ではペンタエリスリトールをアルコールとも言う。
一価の直鎖飽和脂肪酸の例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸などが挙げられる。これらの直鎖飽和脂肪酸を単独で使用しても良く、または複数を併せて使用しても良い。
なお、酸価はJOCS(日本油化学会)2.3.1-1996に準拠して測定することができ、水酸基価はJOCS(日本油化学会)2.3.6.2-1996に準拠して測定することができる。
本発明における脂肪酸アミドは、一価の直鎖飽和脂肪酸と一価の直鎖飽和アミンとから得られる脂肪酸アミドである。
本発明における一価の直鎖飽和脂肪酸は、炭素数が16〜24であり、好ましくは炭素数が16〜18である。一価の直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。一価の直鎖飽和脂肪酸の炭素数が16〜24を満たさない場合には、トナー用ワックス組成物として用いた際に、均一な結晶状態が得られないことがある。
なお、酸価はJOCS(日本油化学会)2.3.1-1996に準拠して測定することができ、アミン価はJSQI(医薬部外品原料規格)一般試験法3.2-2006に準拠して測定することができる。
本発明のトナー用ワックス組成物は、上記脂肪酸エステルと上記脂肪酸アミドとを含有し、その質量比は97:3〜80:20であり、好ましくは97:3〜90:10である。脂肪酸アミドの質量比が3未満の場合には、トナー用ワックス組成物として用いた際に、均一な結晶状態が得られないことがある。また脂肪酸アミドの質量比が20を超える場合には、均一な結晶状態を得られないことがあり、また、トナー樹脂を軟化しすぎて、トナーのブロッキングやホットオフセット等の問題が生じることがある。
トナーの光沢ムラは、トナー用ワックスの最安定な結晶状態と準安定な結晶状態という複数の結晶状態をとることによって起こる。複数の結晶状態をとった脂肪酸エステルの昇温条件下で測定したDSCチャートでは、融解に伴う吸熱ピークに加えて、その融点よりも低温側に準安定な結晶状態の結晶転移に伴う吸熱と発熱ピークが現れるので、結晶状態はDSCによる測定で判断することができる。
また、本発明のトナー用ワックス組成物によれば、脂肪酸エステル単独の場合よりも凝固点を上昇させることができる。本発明のトナー用ワックス組成物の凝固点は、好ましくは50〜75℃であり、さらに好ましくは55〜70℃である。
さらに、本発明のトナー用ワックス組成物は、脂肪酸エステル単独の場合と融点が概ね同じであるので、トナーに低温定着性を付与することができる。本発明のトナー用ワックス組成物の融点は、好ましくは60〜90℃であり、さらに好ましくは65〜85℃である。
窒素導入管、撹拌羽、冷却管を取り付けた5L容の4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール180g(1.32mol)、ステアリン酸1540g(5.54mol)を加え、窒素気流下、生成水を留去しながら、220℃で10時間反応した。酸価は6.7mgKOH/gであった。
トルエン、2−プロパノールおよび10%水酸化カリウム水溶液を用いて、粗生成物中の余剰の酸成分を取り除き、水洗を行ってpHを7に調整した。得られた精製物から加熱、および減圧条件下で溶媒を留去し、ろ過を経て、ペンタエリスリトールテトラステアレート(脂肪酸エステルA1)1400gを得た。
得られた脂肪酸エステルA1の酸価、水酸基価、外観、融点、結晶転移の有無、凝固点を下記により測定した。結果を表1に示す。
酸価:JOCS(日本油化学会)2.3.1-1996に準拠し、測定した。
水酸基価:JOCS(日本油化学会)2.3.6.2-1996に準拠し、測定した。
外観:脂肪酸エステルA1の約5gを110℃まで加熱して完全に融解し、直径5cmのアルミカップの型に流し込み、30℃、20分間の条件にて高温槽で保持して完全に固化させた。アルミカップの型からワックスを取り外して黒画用紙上に静置した。脂肪酸エステルA1の結晶状態を目視にて確認し、白色均一である場合に外観「○」、不均一な場合に外観「×」と表1に記載した。
融点、結晶転移の有無、凝固点:示差走査熱量分析計(DSC)として、セイコーインスツル株式会社製の「DSC−6200」を使用した。測定は、約10mgの脂肪酸エステルA1を試料ホルダーに入れ、レファレンス材料として空の試料ホルダーを用いて行い、150℃に昇温した後、10℃/minで150℃から30℃まで降温し、30℃から150℃まで昇温した。図1に脂肪酸エステルA1の昇温時のDSCチャートを示す。
また、得られたDSCチャート上の昇温時において、(融点−15℃)〜(融点−7℃)の温度範囲内に吸熱ピークのピークトップが観察された場合に結晶転移が「有」と判定し、吸熱ピークが観察されない場合に結晶転移が「無」と判定した。
図1では、脂肪酸エステルA1の融点温度(77.1℃)を基準とした温度差が−15〜−7℃の範囲において吸熱ピークのピークトップが観察されたことから、脂肪酸エステルA1は結晶転移が「有」と判定した。なお、図1では、このピークトップの温度を結晶転移温度と表記している。
さらに、得られたDSCチャート上の降温時において、放熱量の最も大きなピークについて放熱極大時の温度を凝固点とした。
ペンタエリスリトールと表1に示す一価の直鎖飽和脂肪酸を用い、脂肪酸エステルA1の製造方法に準じて脂肪酸エステルA2、A3の製造を行った。
得られた脂肪酸エステルの酸価、水酸基価、外観、融点、結晶転移の有無、凝固点を脂肪酸エステルA1と同様に測定した。結果を表1に示す。
窒素導入管、撹拌羽、冷却管を取り付けた500mL容の4つ口フラスコに、ステアリルアミン135g(0.5mol)、ステアリン酸133g(0.515mol)を加え、窒素気流下、生成水を留去しながら180℃で3時間反応した。酸価は3.0mgKOH/gであった。
トルエン、エタノールおよび10%水酸化カリウム水溶液を用いて、粗生成物中の余剰の酸成分を取り除き、水洗を行ってpHを7に調整した。得られた精製物から加熱、および減圧条件下で溶媒を留去し、ろ過を経て、ステアリン酸ステアリルアミド(脂肪酸アミドB1)230gを得た。
得られた脂肪酸アミドB1の酸価、アミン価を下記の方法により測定した。結果を表2に示す。
酸価:JOCS(日本油化学会)2.3.1-1996に準拠し、測定した。
アミン価:JSQI(医薬部外品原料規格)一般試験法3.2-2006に準拠し、測定した。
窒素導入管、撹拌羽、冷却管を取り付けた500mL容の4つ口フラスコに、パルミチルアミン120g(0.5mol)、パルミチン酸130g(0.505mol)を加え、窒素気流下、生成水を留去しながら180℃で6時間反応した。酸価は4.0mgKOH/gであった。反応後、生成物をろ過し、パルミチン酸パルミチルアミド(脂肪酸アミドB2)230gを得た。
得られた脂肪酸アミドB2の酸価、アミン価を脂肪酸アミドB1と同様に測定した。結果を表2に示す。
表2に示す一価の直鎖飽和脂肪酸と一価の直鎖飽和アミンを表2に記載の脂肪酸過剰率で用い、脂肪酸アミドB2と同様の反応条件で脂肪酸アミドB3〜B6の製造を行った。得られた脂肪酸アミドB3〜B6の酸価、アミン価を脂肪酸アミドB1と同様に測定した。結果を表2に示す。
脂肪酸アミドB7として、エチレンビスステアリン酸アミド(日油株式会社製、アルフローH−50S)を使用した。また、脂肪酸アミドB7の酸価、アミン価を脂肪酸アミドB1と同様に測定した。結果を表2に示す。
(実施例1)
撹拌羽、窒素導入管を取り付けた500mL容のセパラブルフラスコに、脂肪酸エステルA1を291. 0g、脂肪酸アミドB1を9. 0g加え、窒素気流下、150℃で1時間撹拌した。その後、冷却、固化、粉砕を経て、トナー用ワックス組成物を得た。
得られたトナー用ワックス組成物の外観、融点、結晶転移の有無、凝固点を脂肪酸エステルA1と同様の方法で測定した。
式(1) (実施例1の凝固点)−(脂肪酸エステルA1の凝固点)=(凝固点上昇度)
表1に示す脂肪酸エステルおよび表2に示す脂肪酸アミドを用いて、実施例1と同様にしてトナー用ワックス組成物を得た。得られたトナー用ワックス組成物の外観、融点、結晶転移の有無、凝固点を実施例1と同様に測定し、凝固点上昇度を算出した。結果を表3および表4に示す。
表1と表3の対比から明らかなように、実施例1〜9のトナー用ワックス組成物は、特定の脂肪酸アミドを所定量添加したことにより、ワックス融解時に結晶転移が生じず均一な結晶となり、ワックスの外観も均一となった。また、凝固点が少なくとも4℃以上の上昇を示し、素早く固化するトナー用ワックス組成物であった。
Claims (1)
- ペンタエリスリトールと炭素数16〜24の一価の直鎖飽和脂肪酸とから得られる脂肪酸エステルと、炭素数16〜24の一価の直鎖飽和脂肪酸と炭素数16〜24の一価の直鎖飽和アミンとから得られ、総炭素数が32〜42である脂肪酸アミドとを含有し、前記脂肪酸エステルと前記脂肪酸アミドとの質量比が97:3〜80:20であるトナー用ワックス組成物。
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