JP6288433B2 - 銅コイル材、銅コイル材の製造方法、銅平角線の製造方法、及び被覆平角線の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)太い銅荒引線は巻癖がつき易く、伸線加工前に巻癖を除去する工程や真直性を高める工程などが別途必要である。
(2)太い銅荒引線では剛性が高く連続して伸線加工を施し難いため、伸線工程での巻替回数が多い。例えば、1パスごとに繰り出しと巻き取りとを行う必要がある。
(3)より太い伸線材を得易いものの、太過ぎると連続処理炉を利用できず、バッチ炉でしか軟化できないことがある。
(4)バッチ炉を用いる場合には比較的短い銅素材しか製造できず、長尺な銅素材ができない。
本発明者らは、比較的大きな断面積を有する銅平角線の素材に適した大断面積の銅素材を量産可能な製造方法を種々検討した。その結果、連続鋳造圧延によって得られた銅荒引線にコンフォーム押出を施すことで、伸線加工及び熱処理を施すことなく、伸びが高く、表面性状にも優れる長尺な銅線材が得られる、との知見を得た。また、この銅線材に圧延加工(平角加工)を施すことで、形状精度や寸法精度に優れる銅平角線が得られる、との知見を得た。
(A)高い伸びを有することから、平角状に変形するための圧延加工(平角加工)の加工性に優れる。
(B)断面積が特定の範囲であって質量が十分に大きいため銅線材が十分に長いといえ、長尺であることから銅平角線を量産できる。
(C)断面積が特定の範囲であることから、大きな断面積を有する銅平角線を形成可能である。
(D)潤滑層を備えることから、潤滑層を、銅線材の巻取時の潤滑材や銅コイル材を巻き戻して繰り出すときの潤滑材に利用できる。また、潤滑層を、巻き戻した銅線材に平角加工を施すときの潤滑材に利用でき、精度よく平角加工を行える。
(a)例えば、連続鋳造圧延材(銅荒引線)にコンフォーム押出を施して得られた長尺な銅線材を巻き取ることで製造できることから、伸線工程及び熱処理工程の双方が不要であり、製造工程数が少ない。
(b)コンフォーム押出を利用することで伸線加工度を考慮する必要がないため、太い銅荒引線を用いなくてもよく、汎用の大きさの銅荒引線を用いることができる。
(c)連続鋳造圧延及びコンフォーム押出を利用することで、長尺材を容易に製造できる。
(d)潤滑層を備えるため、滑り性に優れることから、巻取時に銅線材を巻き取り易く、銅線材にキズなどがつき難い。
・押出加工に基づく塑性変形によって表面欠陥がない新生面を形成可能である。
・押出時の動的再結晶化によって微細な結晶粒から構成される加工組織(微細な結晶組織)となる。
・押出時の塑性変形や動的再結晶化によって、割れや破断などの起点となり得る表面欠陥や粗大粒が低減される上に、均一的な大きさの結晶になり易い。
(準備工程)連続鋳造圧延材を用意する工程。
(押出工程)上記連続鋳造圧延材にコンフォーム押出を施して銅線材を製造する工程。
(巻取工程)上記銅線材の表面に潤滑層を形成した後、コイル状に巻き取って銅コイル材を製造する工程。
上記銅コイル材は、巻き戻した上記銅線材に圧延加工を施して銅平角線を製造するための素材に用いられる。
(Β) 押出加工に基づく塑性変形によって表面欠陥がない新生面を形成できる。
(β)押出条件を調整することで種々の断面積を有する銅線材を容易に製造可能であるため、連続鋳造圧延材として、太いものは勿論、汎用の大きさのものを用いることができる。
(γ)連続鋳造圧延及びコンフォーム押出のいずれも、長尺材を容易に製造できる。
(δ)連続鋳造圧延材は、動的再結晶化による微細な結晶組織を有しており、コンフォーム押出といった塑性加工の加工性に優れるため、押出時に過負荷になり難く、コンフォーム押出を良好に行える。
(ε)潤滑層を形成することで滑り性に優れるため、巻取時に銅線材を巻き取り易く、銅線材にキズなどをつけ難い。
(準備工程)連続鋳造圧延材を用意する工程。
(押出工程)上記連続鋳造圧延材にコンフォーム押出を施して銅線材を製造する工程。
(巻取工程)上記銅線材の表面に潤滑層を形成した後、コイル状に巻き取って銅コイル材を製造する工程。
(圧延工程)上記銅コイル材を巻き戻し、上記銅線材に圧延加工を施して銅平角線を製造する工程。
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施の形態をより詳細に説明する。銅コイル材、銅平角線、被覆平角線の順に説明し、次に製造方法を説明する。
実施形態の銅コイル材1は、図1に示すように長尺な銅線材10がコイル状に巻き取られたものであり、銅平角線の素材に利用される。銅線材10は、その表面に潤滑層12を備える。巻き取られた銅線材10がつくるターン間には、この潤滑層12が介在する。そのため、銅線材10を巻き戻して繰り出すとき、この潤滑層12によって銅線材10が滑り易い、即ち銅コイル材1は滑り性に優れ、繰り出しなどを行い易い。以下、銅コイル材1の主体である銅線材10をまず説明する。
銅線材10の構成材料は、いわゆる純銅、又は銅合金(添加元素を含み、残部がCu及び不可避不純物)とする。純銅は、例えば、無酸素銅(Cu含有量が99.95質量%以上、酸素含有量が0.005質量%以下)、タフピッチ銅(Cu含有量が99.90質量%以上)、リン脱酸銅(例えば、Cu含有量が99.90質量%以上、P含有量0.015質量%未満)などが挙げられる。銅合金の添加元素は、例えば、錫(Sn),ニッケル(Ni),ケイ素(Si),鉄(Fe),リン(P),銀(Ag)及びクロム(Cr)の少なくとも1種の元素が挙げられる。各元素の含有量は、例えば、0.05質量%以上1質量%以下が挙げられ、複数種の添加元素を含む場合には合計含有量は、0.1質量%以上6質量%以下が挙げられる。純銅は、伸びや導電率が高い銅線材10や銅平角線を得易い。銅合金は、強度に優れる銅線材10や銅平角線を得易い。
銅線材10は、代表的には、その表面から内部に至る実質的に全域に亘って、微細な結晶によって構成された形態が挙げられる。特に、銅線材10の平均結晶粒径が40μm以下であると、伸びや強度が高くなり易く加工性に優れて好ましい。例えば、この銅線材10に圧延加工(平角加工)を施した場合に銅線材10の全体を均一的に変形させられて割れなども生じ難く、この形態は、長尺な銅平角線を生産性よく製造できる。銅線材10の平均結晶粒径は、小さいほど、伸びに優れ、平角加工の加工性に優れる傾向にあることから、30μm以下、更に20μm以下が好ましい。銅線材10の結晶粒径は、代表的には押出条件によって調整できる。例えば、押出加工度を大きくすると、結晶粒径を小さくし易い。押出加工度を大きくし過ぎると、つまり、押出時の負荷を高め過ぎると、押出し難くなり、銅コイル材1の生産性の低下を招く。従って、銅線材10の平均結晶粒径は、5μm以上が好ましく、平角加工の加工性と押出時の加工性とを考慮すると、7μm以上、更に10μm以上が好ましい。
銅線材10は、製造条件によって種々の外形(断面形状)を有することができる。特に、銅線材10が断面円形状の丸線であると、(1)コンフォーム押出などによって押し出し易く、形状精度や寸法精度に優れるもの、更に表面性状にも優れるものを製造し易い、(2)潤滑層12を均一的な厚さに形成し易い、(3)巻き取り易い、(4)圧延加工(平角加工)を均一的に施し易く、形状精度や寸法精度に優れる平角線を得易い、といった利点を有する。銅線材10がコンフォーム押出を経て製造される場合には、断面矩形状、多角形状、楕円状などに容易に成形可能であるが、上述の利点から丸線が好ましい。
銅線材10は、製造条件によって種々の大きさを有することができる。実施形態の銅コイル材1は、比較的大断面積を有する銅平角線を製造できるように、銅線材10の断面積がある程度大きいことを特徴の一つとする。具体的には、銅線材10の横断面における断面積が12mm2以上40mm2以下とする。銅線材10が丸線の場合には、線径(直径)がφ3.9mm以上7.1mm以下程度である。断面積が12mm2以上であることで、断面積が10mm2程度以上といった大断面積の銅平角線の素材に好適に利用できる。断面積が40mm2以下であることで、銅線材10の巻き取り及び繰り出しが容易であり、次の工程に用いる平角加工装置への供給などを行い易い。銅線材10の断面積は、12.5mm2以上33.5mm2以下(線径ではφ4mm以上6.5mm以下)、更に12.5mm2以上28.5mm2以下(線径ではφ4mm以上6mm以下)とすることができる。
実施形態の銅コイル材1は、銅平角線の素材とすることから、平角加工装置に連続供給して銅平角線を量産できるように長いことが好ましい。銅線材10が長いほど、銅コイル材1の質量が大きくなることから、銅コイル材1の質量は50kg以上が好ましく、実施形態の銅コイル材1では100kg以上とする。銅線材10の組成や断面積の大きさにもよるが、銅コイル材1の質量が100kg以上である場合、銅線材10の長さは例えば350m以上になる。銅コイル材1の質量は、150kg以上(例えば500m以上)、更に200kg以上(例えば700m以上)、更には300kg以上(例えば1000m以上)とすることができる。銅コイル材1の質量の上限は特に設けないが、5000kg以下、更に2000kg以下とすると、汎用の平角加工装置に供給し易かったり、搬送し易かったりすると期待される。
銅線材10は、代表的には鋳造以降に少なくとも一つの塑性加工を経て製造されることで、割れなどの表面欠陥が少なく又は実質的になく表面性状に優れる。例えば、連続鋳造圧延材を用いて製造された場合には、圧延によって、鋳造工程で生じた表面欠陥(ヒケ、表面割れ、ブローホールなど)が除去されたり、動的再結晶化によって微細な結晶組織となったりすることで、表面性状に優れる銅線材10になり易い。特に、銅線材10がコンフォーム押出を経て製造された場合には、押出時に新生面が形成されて、割れなどの表面欠陥が無くなって、表面性状に非常に優れた銅線材10となる。塑性加工などによって、上述のような微細な結晶組織となることでも(例えば、平均結晶粒径が40μm以下)、銅線材10は、表面性状に優れる。
銅線材10は、伸びが高いことを特徴の一つとする。具体的には、銅線材10は、室温における破断伸びが30%以上を満たす。特に、銅線材10がコンフォーム押出を経て製造された場合には、銅線材10の全長に亘って高い伸びを有することができる。即ち、実施形態の銅コイル材10の代表的な形態では、その長手方向の任意の位置について破断伸びを測定した場合に30%以上という高い伸びを有する。銅線材10の組成や製造条件などによっては、室温における破断伸びが35%以上、更に40%以上を満たす形態とすることができる。
銅線材10は、上述のように純銅又は銅合金によって構成されることから、高い導電率を有することができる。銅線材10の組成や製造条件などにもよるが、銅線材10の室温における導電率が、98%IACS以上、更に99%IACS以上、更には100%IACS以上を満たす形態が挙げられる。
銅線材10は、その表面に潤滑層12を備えることを特徴の一つとする。潤滑層12は、銅線材10を巻き取る前に形成されて、銅線材10の巻取時の滑り性を高める機能、及び銅コイル材1を巻き戻して繰り出すときの滑り性を高める機能を有する。更に潤滑層12は、銅線材10に圧延加工(平角加工)を施すときの滑り性を高めることにも利用できる。潤滑層12は、これらの機能を奏する種々の材料、厚さを選択できる。
実施形態の銅コイル材1は、銅平角線の素材、詳しくは銅コイル材1を巻き戻して圧延加工(平角加工)を施すことで形成される銅平角線の素材に好適に利用することができる。その他、銅コイル材1は、電線の導体といった種々の導電部材の素材に利用することができる。
実施形態の銅平角線は、上述の実施形態の銅コイル材1(銅線材10)を素材とし、この素材に圧延加工(平角加工)を施して、断面形状を矩形状に成形することで製造されたものである。
実施形態の銅平角線は、上述の製造方法から、銅線材10と同様な組織を有する。即ち、この銅平角線は、代表的には銅線材10と同等程度の微細な結晶組織、又は銅線材10よりも微細な結晶組織によって構成される。
実施形態の銅平角線は、横断面が矩形状であり、代表的には厚さtに対する幅wの比(w/t)が1超である偏平な形状、つまり厚さよりも幅が広い形状である。上記比(w/t)は適宜選択することができ、1.5以上、更に2以上、更には2.5以上とすることができる。なお、圧延条件によっては、銅平角線を、上記比(w/t)が1である正方形状の角線とすることができる。
実施形態の銅平角線の断面積、幅w、厚さtは、圧延条件によって容易に変更することができる。特に、実施形態の銅平角線としては、断面積が5mm2以上100mm2以下程度、厚さtが0.5mm以上5mm以下程度、幅wが1mm以上20mm以下程度、が挙げられる。このような比較的大断面積を有する銅平角線をコイル用巻線の導体に用いることで、高出力のコイルを提供できる。断面積は、10mm2程度とすることができる。なお、圧延条件によっては、断面積を実質的に変更することなく、横断面形状(外形)のみを変形可能である。
実施形態の銅平角線は、上述の銅線材10に圧延加工(平角加工)といった塑性加工が施されることで、加工硬化によって強度が高められる傾向にある。従って、実施形態の銅平角線として、室温における引張強さが上述の銅線材10よりも高い形態が挙げられる。一方、上述の平角加工に基づく加工歪みによって伸びや導電率が低くなる傾向にある。従って、実施形態の銅平角線として、室温における破断伸び及び導電率の少なくとも一方が上述の銅線材10よりも低い形態が挙げられる。
実施形態の銅平角線は、伸びや強度に優れて巻回などの作業が行い易いことから、コイル用巻線の導体に好適に利用することができる。実施形態の銅平角線を導体とする場合には、そのまま利用してもよいし(裸線として利用する)、その表面に絶縁被覆を形成した被覆平角線として利用することもできる。その他、銅平角線は、適宜な長さに切断したり、プレス加工などによって所望の形状に変形したりして、種々の導電部材に利用することができる。
実施形態の被覆平角線は、上述の実施形態の銅平角線20(図3)を導体として備え、この導体の表面に絶縁被覆(図示せず)を更に備える。
実施形態の被覆平角線に備える導体は、上述の実施形態の銅平角線の組成、形状及び大きさを実質的に維持する。従って、この導体は、代表的には、断面積が5mm2以上100mm2以下程度、上述の比(w/t)が1超である偏平な矩形状である。導体の断面積は、10mm2程度、厚さは0.5mm以上5mm以下程度、幅は、1mm以上20mm以下程度とすることができる。この導体は、実施形態の銅平角線に加工歪みの除去などを目的とした熱処理を施したものが挙げられる。熱処理を施すことで伸びや導電率を向上することができることから、実施形態の被覆平角線として、室温における破断伸び及び導電率の少なくとも一方が上述の実施形態の銅平角線よりも高い形態が挙げられる。実施形態の被覆平角線は、伸びに優れて巻回などの作業が行い易く、導電性にも優れることから、コイル用巻線に好適に利用することができる。特に、実施形態の被覆平角線が上述の大断面積を有する実施形態の銅平角線を備える場合には、高出力のコイル用巻線に好適に利用することができる。なお、上記熱処理によって結晶粒が若干成長するものの、熱処理前の銅平角線の結晶粒が上述のように微細であれば、熱処理後も微細な結晶組織とすることができる。
絶縁被覆の材質は、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステルイミド、ポリウレタン、ポリエステルなどの電気絶縁性に優れる樹脂が挙げられる。絶縁被覆の厚さは、所望の耐電圧特性に応じて選択するとよい。例えば、絶縁被覆の厚さは、0.01mm(10μm)以上0.5mm(500μm)以下程度、更には0.02mm(20μm)以上0.1mm(100μm)以下が挙げられる。
実施形態の銅コイル材1は、代表的には、銅素材にコンフォーム押出を施すことで製造することができる。コンフォーム押出を利用することで、(1)長尺な銅線材10を連続して製造できる(量産できる)、(2)高い伸びを有する銅線材10を製造できる、(3)押出時の塑性変形によって新生面を形成して表面性状に優れる銅線材10を製造できる、(4)種々の大きさの銅素材を利用でき、かつ種々の形状、大きさの銅線材10を製造できる(銅素材における大きさの選択の自由度が大きい、銅線材10の形状及び大きさの選択の自由度が大きい)、(5)押出時の動的再結晶化によって結晶粒を微細にして、微細な結晶組織から構成される銅線材10が得られる、といった多数の利点を有する。特に、銅素材として、再結晶組織を有するものを利用することで、銅素材自体が押出加工性に優れることから、形状精度や寸法精度、表面性状に優れる銅線材10を得易い。この形態は、動的再結晶化が可能な加工であるコンフォーム押出を、再結晶組織を有する銅素材に施す点を特徴とする。再結晶組織を有する銅素材として、鋳造材に圧延や伸線、押出、鍛造などの加工を施したものが挙げられる。特に、再結晶組織を有する銅素材として、連続鋳造圧延材を利用すると、銅素材を量産できることから、ひいては銅線材10の生産性の向上に寄与することができる。そこで、実施形態の銅コイル材の製造方法では、銅素材として連続鋳造圧延材を用いることを提案する。以下、実施形態の銅コイル材の製造方法に備える各工程(準備工程、押出工程、巻取工程)を順に説明する。
この工程では、銅素材となる連続鋳造圧延材100(図3)を用意する。連続鋳造圧延材100は、連続鋳造に引き続いて圧延加工を施すことが可能な設備を利用することで製造可能である。連続鋳造は、例えば、双ベルト方式、ベルトアンドホイール方式、横引鋳造方式などが挙げられる。連続鋳造圧延は、例えば、コンチロッド方式、プロペルチ方式、SCR(Southwire Continuous Rod)方式などが挙げられる。市販の連続鋳造圧延材(銅荒引線)を利用することができる。
この工程は、用意した銅素材(連続鋳造圧延材100)にコンフォーム押出を施して銅線材10を製造する工程である。コンフォーム押出には、市販のコンフォーム押出装置を利用できる。以下、図2を参照してコンフォーム押出装置及び押出原理を説明する。
この工程は、コンフォーム押出が施された銅線材10の外周に潤滑層12を形成してから巻き取って、銅コイル材1を製造する工程である。潤滑層12の形成方法は、例えば、(1)所定の形状に押し出された銅線材10を巻取前に冷却する場合に、冷却槽内の冷却媒体に潤滑材を添加しておき、銅線材10を冷却槽に浸漬通過させて冷却すると共に潤滑材を付着する方法、(2)巻取機の前に潤滑材の噴霧ノズルや塗布用ブラシ、潤滑材を含むスポンジなどを設けておき、ノズルから潤滑材を噴霧したりブラシやスポンジで撫でたりすることで、巻取機前を通過する銅線材10に潤滑材を付着する方法などが挙げられる。潤滑層12の形成方法には、線材に潤滑材を付着させる公知の方法を利用できる。冷却媒体に対する潤滑材の濃度(添加量)、冷却槽への浸漬時間、噴霧圧力、噴霧時間、銅線材10の走行速度、ブラシなどの押付力などを調整することで、潤滑層12の厚さ(付着量)を調整することができる。銅線材10の巻き取りは、公知の巻取機を利用することができる。銅線材10の表面に潤滑層12を備えることで、巻取時の滑り性に優れて巻き取り易い。銅線材10の断面積が40mm2以下であれば、剛性が高過ぎず更に巻き取り易い。
実施形態の銅平角線20は、上述の実施形態の銅コイル材1を巻き戻して、銅線材10を断面矩形状に変形するための圧延加工(平角加工)を銅線材10に施すことで製造することができる。そこで、実施形態の銅平角線の製造方法として、図3に示すように、上述の準備工程(連続鋳造圧延材100の用意)、押出工程(銅線材10の作製)、巻取工程(潤滑層12を備える銅線材10を巻き取った銅コイル材の作製)に加えて、圧延工程(銅平角線20の作製)を備えることを提案する。以下、圧延工程を説明し、準備工程、押出工程、巻取工程については既に説明しているため、詳細な説明を省略する。
この工程は、コンフォーム押出を経て製造された銅コイル材1に圧延加工(平角加工)を施して、断面形状を変化させて、銅平角線20を製造する工程である。圧延条件は、所望の厚さ、幅、断面積などを有する銅平角線20が得られるように適宜選択するとよい。コンフォーム押出を経ることで伸びが高い上に、微細な結晶組織を有して加工性に優れる銅線材10を素材とすることで、この圧延工程では、断面積が比較的大きい銅平角線20、具体的には断面積が10mm2程度以上の銅平角線20を容易に加工できる。従って、実施形態の銅平角線の製造方法は、上述の大断面積を有する銅平角線20を生産性よく製造できる。
実施形態の被覆平角線は、例えば、上述の銅平角線20に熱処理を施して熱処理線材を形成する熱処理工程と、上記熱処理線材を導体とし、この導体の表面に絶縁被覆を形成する被覆工程とを備える製造方法によって製造することができる。
純銅からなる線材を種々の条件で作製し、得られた線材の表面性状、組織、機械的特性を調べた。また、この線材から銅平角線を作製し、更にこの銅平角線を導体として備える被覆平角線を作製して、被覆状態を調べた。
100 連続鋳造圧延材
200 コンフォーム押出装置 210 ホイール 212 溝
220 シュー 230 ダイチャンバ 232 アバットメント
234 ダイス 300 屑(バリ)
Claims (7)
- 純銅又は銅合金から構成される銅線材がコイル状に巻き取られてなり、
前記銅線材の断面積が12mm2以上40mm2以下であり、
前記銅線材の破断伸びが30%以上であり、
質量が100kg以上であり、
前記銅線材の表面に潤滑層を備え、
圧延加工を施して銅平角線を製造するための素材に用いられる銅コイル材。 - 前記銅線材の平均結晶粒径が5μm以上40μm以下である請求項1に記載の銅コイル材。
- 前記銅線材の引張強さが230MPa以上である請求項1又は請求項2に記載の銅コイル材。
- 連続鋳造圧延材を用意する工程と、
前記連続鋳造圧延材にコンフォーム押出を施して銅線材を製造する工程と、
前記銅線材の表面に潤滑層を形成した後、コイル状に巻き取って銅コイル材を製造する工程とを備え、
前記銅コイル材は、巻き戻した前記銅線材に圧延加工を施して銅平角線を製造するための素材に用いられる銅コイル材の製造方法。 - 前記連続鋳造圧延材の断面積が50mm2以上750mm2以下であり、
前記銅線材の断面積が12mm2以上40mm2以下である請求項4に記載の銅コイル材の製造方法。 - 連続鋳造圧延材を用意する工程と、
前記連続鋳造圧延材にコンフォーム押出を施して銅線材を製造する工程と、
前記銅線材の表面に潤滑層を形成した後、コイル状に巻き取って銅コイル材を製造する工程と、
前記銅コイル材を巻き戻し、前記銅線材に圧延加工を施して銅平角線を製造する工程とを備える銅平角線の製造方法。 - 請求項6に記載の銅平角線の製造方法によって製造された銅平角線に熱処理を施す工程と、
前記熱処理が施された線材の外周に絶縁被覆を形成する工程とを備える被覆平角線の製造方法。
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