プラズマ処理システムは、例えば、フッ素系のガスと半導体ウェハや液晶基板等の被加工物をプラズマ処理装置のチャンバー内に封入し、そのチャンバー内の一対の電極に高周波電源から高周波電力を供給して放電させ、その放電によりガスのプラズマを発生させて被加工物に薄膜形成処理やエッチング処理を行うシステムである。
従来、プラズマ処理システム用の高周波電源として、高周波の出力周波数よりも低周波のパルス変調制御信号PSにより高周波電源の出力をパルス変調して高周波をパルス出力する高周波電源が知られている。この高周波電源では、図13に示すように、例えば、パルス変調制御信号PSのハイレベルの期間だけ高周波vが出力されるように高周波電源の出力がパルス変調される。
例えば、特開2013−135159号公報には、図14に示す高周波電源が開示されている。
図14に示す高周波電源100は、直流電源(図示省略)の直流出力を正弦波の高周波に変換するフル・ブリッジ型の正弦波インバータ102を備える。正弦波インバータ102からトランス103を介して出力される高周波は、ローパスフィルタ104によって高調波が除去されて負荷に出力される。図14では、高周波電源100と負荷との間に整合器200が設けられているので、高周波電源100から出力される高周波は、整合器200を介して負荷に出力される。
正弦波インバータ102にはスイッチングパルス発振器101からパルス信号(13.56MHzの2相スイッチングパルス)が入力され、正弦波インバータ102は、そのパルス信号により正弦波インバータ102内の2組のスイッチング素子が交互にオン・オフ動作することによって直流を高周波に変換する。
高周波電源100から出力される高周波の特性(振幅や周波数等)とその高周波のパルス出力は、電源制御部105によって制御される。電源制御部105は、スイッチングパルス発振器101のパルス信号の生成動作を制御することによって正弦波インバータ102で生成される高周波の特性を制御する。また、電源制御部105は、主制御部108から入力されるパルス変調制御信号PSに基づいて、正弦波インバータ102内の各スイッチング素子へのパルス信号の入力を制御することにより正弦波インバータ102の高周波のパルス出力を制御する。
なお、RFパワーモニタ106は、トランス103の二次側に生じる進行波電力(トランス103から出力端側に進行する電力)と反射波電力(出力端からトランスT側に進行する電力)をモニタするためのものである。RFパワーモニタ106で検出された進行波電力と反射波電力は電源制御部105に入力され、パルス信号の生成制御に利用される。また、RFパワーモニタ106で検出された進行波電力と反射波電力は主制御部108に入力され、モニタ表示に利用される。
図15(a)は、主制御部108から入力されるパルス変調制御信号PSと正弦波インバータ102内の4個のスイッチング素子にそれぞれ入力されるパルス信号SQ1,SQ2,SQ3,SQ4との関係を示す図である。なお、パルス信号SQ1,SQ2,SQ3,SQ4は、図15(b)に示すように、フル・ブリッジ接続された4個のスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4の各ゲートに入力される2相のスイッチングパルスである。
フル・ブリッジ回路の一方の対角位置にある2つのスイッチング素子Q1,Q4には、両スイッチング素子Q1,Q4のオン・オフ動作を同期させるために、同一波形のスイッチングパルスSQ1,SQ4が入力される。フル・ブリッジ回路の他方の対角位置にある2つのスイッチング素子Q2,Q3にも、両スイッチング素子Q2,Q3のオン・オフ動作を同期させるために、同一波形のスイッチングパルスSQ2,SQ3が入力される。スイッチング素子Q1,Q4のスイッチングパルスとスイッチング素子Q2,Q3のスイッチングパルスの波形は、スイッチング素子Q1,Q3とスイッチング素子Q2,Q4を交互にオン・オフ動作させるために、互いにレベルが反転した波形となっている。なお、上下のスイッチング素子Q1とQ2,及びスイッチング素子Q3とQ4が同時にオンして過大な電流が流れないようにするために、パルス信号SQ1,SQ3のレベルとパルス信号SQ2,SQ4のレベルが反転する部分にデッドタイムが設けられている。
高周波電源100のパルス出力がパルス変調制御信号PSのハイレベル期間に高周波vを出力させ、ローレベル期間に高周波vを停止させるように制御される場合、電源制御部105は、図15(a)に示すように、パルス変調制御信号PSがハイレベルからローレベルに切り換ると、4つのスイッチングパルスSQ1〜SQ4のレベルを全てローレベルにする。
上記の制御によれば、高周波電源100からはパルス変調制御信号PSのハイレベル期間にだけ高周波vが出力される。しかしながら、負荷のインピーダンス変動により高周波電源100の出力端から負荷側を見たインピーダンス(以下、「負荷インピーダンス」という。)が高周波電源100の出力インピーダンス(一般に、公称値は特性インピーダンスに設計されている。)に整合しない場合は、パルス変調制御信号PSがハイレベルからローレベルに反転したタイミングtLで高周波vは直ちにゼロにならず、図16に示すように、振動しながら減衰していく。
高周波vの出力オフ時に高周波vが直ちにゼロにならず、振動状態が発生すると、プラズマ処理装置におけるプラズマ処理に悪影響を与えるので、図14に示す高周波電源100には、残留高周波除去回路107が設けられている。残留高周波除去回路107は、抵抗Rとスイッチング素子107aの直列回路で構成され、ローパスフィルタ104の出力端に並列に接続されている。
主制御部108は、パルス変調制御信号PSのローレベル期間にスイッチング素子107aをオン動作させる制御信号を出力し、パルス変調制御信号PSがローレベルになると、ローパスフィルタ104の出力端に流れている高周波v(進行波と反射波の合成波)を、抵抗Rを介してグランドにバイパスさせ、負荷(プラズマ処理装置)に出力させないようにする。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明に係る高周波電源の内部構成を示す機能ブロック図である。図2は、ドライブパルス生成部の内部構成を示す機能ブロック図である。
高周波電源1は、例えば、負荷10であるプラズマ処理装置に高周波電力を所定の高周波で供給する電源である。プラズマ処理装置は、フッ素系のガスと半導体ウェハや液晶ガラス基板等の被加工物をチャンバー(図示省略)内に封入し、そのチャンバー内の一対の電極(図示省略)に高周波電源1からの高周波電力を供給して放電させ、その放電によりガスのプラズマを発生させて被加工物に薄膜形成処理やエッチング処理を行う装置である。
高周波電源1は、出力電圧可変の可変直流電源2と、可変直流電源2から出力される直流(直流電圧と直流電流)を高周波(高周波電圧と高周波電流)に変換するインバータ回路3と、インダクタLとキャパシタCの直列回路からなる直列共振回路4と、高周波を発生する高周波発生段と高周波を負荷10に出力する高周波出力段を電気的に絶縁するトランスTと、トランスTから出力される高周波に含まれる高調波を除去するフィルタ回路5(ローパスフィルタ)と、フィルタ回路5と高周波電源1の出力端(負荷10の接続端)との間を流れる高周波電力を検出する電力検出器6と、インバータ回路3内の4個のスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のオン・オフ駆動を制御するための4個のドライブパルスdv1,dv2,dv3,dv4を発生するドライブパルス発生部7と、インバータ回路3とドライブパルス発生部7を絶縁し、ドライブパルス発生部7で発生した4個のドライブパルスdv1,dv2,dv3,dv4を増幅してインバータ回路3に出力するドライバ8と、高周波電源1から出力される高周波電力と出力モードを制御する制御部9とを備える。
高周波電源1は、可変直流電源2で生成した直流電圧Vdcをインバータ回路3によって高周波電圧vinvに変換し、その高周波電圧vinvをトランスTを介して負荷側に出力する。トランスTから出力される高周波電圧vinvは、フィルタ回路5で高調波が除去されて正弦波の高周波電圧voutとなり、負荷10に出力される。インバータ回路3から出力される高周波電圧vinvは、制御部9によりフィードバック制御によって所定の高周波電圧に制御される。制御部9は、可変直流電源2で生成される直流電圧Vdcのレベルを変化させることにより、インバータ回路3から出力される高周波電圧vinvのレベルを変化させる。
高周波電圧vinvのレベルが変化すると、高周波電源1から負荷10に供給される進行波電力Pfが変化するので、制御部9は、進行波電力Pfと目標出力電力Pfsの偏差ΔPを監視し、その誤差ΔPがゼロになるように可変直流電源2の出力電圧Vdcを制御する。
可変直流電源2は、入力される交流電圧VAC(例えば、商用電源200[v]など)を整流した後、DC−DCコンバータによって所定の電圧範囲内の任意の直流電圧を生成する。可変直流電源2は、制御部9から入力される駆動制御信号P−CNTによってDC−DCコンバータの変換動作を制御することにより、交流電圧VACを整流した直流電圧VDCを駆動制御信号P−CNTに基づく所定の直流電圧Vdcに変換する。
インバータ回路3は、図1に示されるように、4個のスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4を用いたH型ブリッジ回路で構成される。図1では、スイッチング素子としてN型MOSFETを用いているが、バイポーラトランジスタ等の他のスイッチング素子を用いることができる。インバータ回路3には、ドライバ8から4個のスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のオン・オフ駆動を制御する4個のドライブ信号SQ1,SQ2,SQ3,SQ4が入力される。4個のドライブ信号SQ1,SQ2,SQ3,SQ4は、ドライブパルス発生部7から出力される4個のドライブパルスdv1,dv2,dv3,dv4をそれぞれ増幅した信号である。ドライブ信号SQ1,SQ2,SQ3,SQ4は、それぞれスイッチング素子(MOSFET)Q1,Q2,Q3,Q4のゲートに入力される。
H型ブリッジ回路の入力端子対(c−d)にスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2の第1の直列回路と、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4の第2の直列回路とが並列に接続されている。第1の直列回路はH型ブリッジ回路の第1のアームを構成し、第2の直列回路はH型ブリッジ回路の第2のアームを構成する。H型ブリッジ回路のスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2の接続点aと、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4の接続点bはインバータ回路3の出力端子対である。
本実施形態では、負荷10がプラズマ処理装置であるので、高周波電源1はプラズマ処理システムに規定された2.0MHz、13.56MHz、40.68MHz等の周波数fを基本周波数とする正弦波の高周波電圧voutを出力する。インバータ回路3の入力端子対(c−d)には可変直流電源2から出力される直流電圧Vdcが供給される。インバータ回路3の出力端子対(a−b)からは、周波数fの波形が矩形波の高周波電圧vinvが出力される。インバータ回路3から出力される高周波電圧vinvは、後段の直列共振回路4とフィルタ回路5を通過することによって高調波成分が除去され、高周波電源1の出力端からは周波数fの正弦波の高周波電圧voutが出力される。
直列共振回路4は、スイッチングロスを低減するために、インバータ回路3のゼロ電圧スイッチングを行うための回路である。直列共振回路4は、トランスTの一次巻線に直列に接続されている。フィルタ回路5は、例えば、2個のキャパシタと1個のインダクタをπ型に接続したローパスフィルタである。フィルタ回路5は、高周波電圧vinvの周波数f(基本周波数)よりも高い周波数の信号の通過を阻止することにより、インバータ回路3で発生する高調波を除去する。
電力検出部6は、負荷10に供給される進行波電力Pfをモニタするためのものである。電力検出部6は、方向性結合器を含み、その方向性結合器から高周波電圧voutに含まれる進行波電圧vfと反射波電圧vrを検出する。電力検出部6は、進行波電圧vfと反射波電圧vrをそれぞれ進行波電力Pfと反射波電力Prに変換して制御部9に出力する。なお、高周波電源1は、例えば、特性インピーダンスRo=50Ωで設計されているので、進行波電力Pf及び反射波電力Prは、Pf=vf 2/Ro、Pr=vr 2/Roの演算式により変換される。
ドライブパルス発生部7は、図2に示すように、基準クロックを発生する基準発振器701と、基準発振器701で発生された基準クロックに基づいて、4個のドライブパルスdv1’,dv2’,dv3’,dv4’を発生するパルス発生器702と、制御部9から入力されるドライブ制御信号SDCによって各ドライブパルスdv1,dv2,dv3,dv4の出力波形を制御する論理回路703を含む。基準発振器701とパルス発生回路702は、FPGA(field-programmable gate array)やDSP(Digital Signal Processor)で構成される。
ドライブパルスdv1’〜dv4’は、図3に示すように、周期Tが1/f[μ秒]でデューティ比(TON/T)が50%よりも僅かに小さいパルス信号である。ドライブパルスdv2’,dv3’は、ドライブパルスdv1’,dv4’に対して、位相がπだけ遅れた関係若しくは進んだ関係となっている。ドライブパルスdv1’〜dv4’は、オフ期間TOFFがオン期間TONよりも長くなっているので、ドライブパルスdv1’,dv4’がローレベルに反転するタイミングとドライブパルスdv2’,dv3’がハイレベルに反転するタイミングは僅かにずれている。このずれ時間は、ドライブパルス発生部7から出力されるドライブパルスdv1,dv2に基づいて生成されるドライブ信号SQ1,SQ2によってスイッチング素子Q1,Q2が同時にオンしないようにするため(第1のアームの部分で入力端子対(c−d)が短絡しないようにするため)のデッドタイムであり、ドライブパルスdv3,dv4に基づいて生成されるドライブ信号SQ3,SQ4によってスイッチング素子Q3,Q4が同時にオンしないようにするため(第2のアームの部分で入力端子対(c−d)短絡しないようにするため)のデッドタイムである。
論理回路703は、インバータ回路3から高周波電圧vinvがドライブ制御信号SDCの
ON期間(ハイレベル期間)にだけ出力されるように、ドライブパルスdv1’〜dv4’のパルス波形を整形する回路である。具体的には、論理回路703は、ドライブ制御信号SDCのON期間ではドライブパルスdv1’〜dv4’と同一の波形を有し、ドライブ制御信号SDCのOFF期間(ローレベル期間)では、ドライブパルスdv2’,dv4’をハイレベルに固定し、ドライブパルスdv1’,dv3’をローレベルに固定したドライブパルスdv1〜dv4を出力する。
論理回路703は、2個のAND(論理積)回路703a,703cと、2個のNAND(否定論理積)回路703b,703dと、1個のバッファ回路703eと、2個のNOT(論理否定)回路703f,703gで構成される。AND回路703a,703c及びNAND回路703b,703dの一方の入力端子にはそれぞれドライブ制御信号SDCがバッファ回路703eを介して入力されている。AND回路703a,703cの他方の入力端子にはそれぞれドライブパルスdv1’,dv3’が入力され、NAND回路703b,703dの他方の入力端子にはそれぞれドライブパルスdv2’,dv4’がそれぞれNOT回路703f,703gでレベルが反転されて入力されている。
AND回路703a,703cの入出力の論理は、
である。なお、表1で「H」は、ハイレベルを示し、「L」はローレベルを示す。
表1より、ドライブ制御信号SDCが「H」のときは、AND回路703a,703cの出力は、ドライブパルスdv1’,dv3’と同一のレベルになるから、ドライブ制御信号SDCがハイレベル期間では、AND回路703a,703cからドライブパルスdv1’,dv3’と同一波形のドライブパルスdv1,dv3が出力される。一方、ドライブ制御信号SDCが「L」のときは、AND回路703a,703cの出力は、「L」に固定されるから、ドライブ制御信号SDCがローレベル期間では、AND回路703a,703cからローレベルのドライブパルスdv1,dv3が出力される。
NAND703b,703dの入出力の論理は、
である。なお、表2で「H」は、ハイレベルを示し、「L」はローレベルを示す。また、/dv2’,/dv4’は、dv2’,dv4’のレベルが反転した信号であることを示す。
表2より、ドライブ制御信号SDCが「H」のときは、NAND703b,703dの出力は、ドライブパルスdv2,dv4と同一のレベルになるから、ドライブ制御信号SDCがハイレベル期間では、NAND回路703b,703dからドライブパルスdv2’,dv4’と同一波形のドライブパルスdv2,dv4が出力される。一方、ドライブ制御信号SDCが「L」のときは、NAND回路703b,703dの出力は、「H」に固定されるから、ドライブ制御信号SDCがローレベル期間では、NAND回路703b,703dからハイレベルのドライブパルスdv2,dv4が出力される。
従って、ドライブパルス発生部7に入力されるドライブ制御信号SDCの波形とドライブパルス発生部7から出力される4つのドライブパルスdv1,dv2,dv3,dv4の波形との関係は、図4,図5に示すようになる。なお、図4は、ドライブパルスdv1,dv4がローレベルで、かつ、ドライブパルスdv2,dv3がハイレベルの期間に、ドライブ制御信号SDCがローレベルに反転するタイミングtLが生じた場合の波形図である。また、図5は、ドライブパルスdv1,dv4がハイレベルで、かつ、ドライブパルスdv2,dv3がローレベルの期間にタイミングtLが生じた場合の波形図である。
図4,図5に示されるように、ドライブ制御信号SDCのハイレベル期間では、ドライブパルス発生部7から出力されるドライブパルスdv1,dv2,dv3,dv4は、ドライブパルスdv1’,dv2’,dv3’,dv4’と同一波形となるから、インバータ回路3内のスイッチング素子Q1〜Q4のゲートにはそれぞれドライブパルスdv1’,dv2’,dv3’,dv4’のレベルを増幅したドライブ信号SQ1〜SQ4が入力される。ドライブ信号SQ1〜SQ4は、ローレベルでスイッチング素子Q1〜Q4が遮断状態となり、ハイレベルで導通状態となるパルス信号である。
従って、ドライブ制御信号SDCのハイレベル期間では、H型ブリッジ回路の第1のアームの上側のスイッチング素子Q1及び第2のアームの下側のスイッチング素子Q4と、H型ブリッジ回路の第1のアームの下側のスイッチング素子Q2及び第2のアームの上側のスイッチング素子Q3とが交互にオン動作(導通状態)とオフ動作(遮断状態)とを繰り返し、インバータ回路3の出力端子対a,bに直流電圧+Vdcがドライブ信号SQ1〜SQ4の周期T=1/f(秒)で交互に印加されることになるので、出力端子対a,bから周波数fを基本周波数とする矩形波の高周波電圧vinvが出力される。
一方、ドライブ制御信号SDCのローレベル期間では、ドライブパルスdv1,dv3がローレベルとなり、ドライブパルスdv2,dv4がハイレベルとなるから、インバータ回路3内のスイッチング素子Q1,Q3のゲートにはそれぞれローレベルのドライブ信号SQ1,SQ3が入力され、スイッチング素子Q2,Q4のゲートにはそれぞれハイレベルのドライブ信号SQ2,SQ4が入力される。従って、ドライブ制御信号SDCのローレベル期間では、H型ブリッジ回路の第1,第2のアームの上側のスイッチング素子Q1,Q3が遮断状態になることによってインバータ回路3が可変直流電源2から切り離されるとともに、H型ブリッジ回路の第1,第2のアームの下側のスイッチング素子Q2,Q4が通電状態になることによってインバータ回路3の出力端子対a,bが短絡されるので、高周波電圧vinvの出力が停止される。
図1に戻り、ドライバ8は、ドライブパルス発生部7から出力される4つのドライブパルスdv1,dv2,dv3,dv4に基づいて、インバータ回路3内の4個のスイッチング素子Q1〜Q4をそれぞれオン・オフ駆動させるための4個のドライブ信号SQ1,SQ2,SQ3,SQ4を生成する。ドライバ8は、4つのドライブパルスdv1,dv2,dv3,dv4に対応して、電気的に絶縁された電源で駆動される4個の増幅回路を有し、各増幅回路で4つのドライブパルスdv1,dv2,dv3,dv4のレベルをそれぞれ所定のレベルに増幅して4つのドライブ信号SQ1,SQ2,SQ3,SQ4を生成する。
図6は、ドライバ8内に設けられる増幅回路の一例を示す図である。
増幅回路801は、ドライブパルスの入力回路を構成するフォトカプラ801aと、フォトカプラ801aの出力を増幅するアンプ801bとで構成される。フォトカプラ801aの駆動電源V1aは、低電圧の電源である。アンプ801bの駆動電源V1b,V1cは、駆動電源V1aよりも電圧値(絶対値)が大きい電源である。フォトカプラ801aの駆動電源V1aとアンプ801bの駆動電源V1b,V1cは電気的に絶縁されている。フォトカプラ801aの入力端子にはドライブパルス(dv1,dv2,dv3,dv4)が入力され、フォトカプラ801aの出力信号がアンプ801bで増幅されてドライブ信号(SQ1,SQ2,SQ3,SQ4)として出力される。
アンプ801bの増幅率は、ドライブ信号SQ1〜SQ4のハイレベルがスイッチング素子Q1〜Q4を能動領域若しくは飽和領域で動作させることができる所定のレベルである。スイッチング素子Q1〜Q4を能動領域で動作させる場合は、スイッチング素子Q1〜Q4内の抵抗分がスイッチング素子Q1〜Q4を飽和領域で動作させるよりも大きくなり、その抵抗分によって出力停止時の振動を抑制する効果がスイッチング素子Q1〜Q4を飽和領域で動作させる場合よりも良好になる場合がある。スイッチング素子Q1〜Q4内の抵抗分は、能動領域の動作点によって変化するので、アンプ801bの増幅率を調整してドライブ信号SQ1〜SQ4のハイレベルの値を適切に設定することにより、高周波電源1の出力停止時に発生する振動の抑制を最適な状態にすることができる。
制御部9は、高周波電源1から負荷10に出力される高周波電力(進行波電力Pf)を制御する。従って、制御部9には、制御目標の目標出力電力Pfsが入力される。ユーザは、目標出力電力Pfsを、入力装置(図示省略)を操作して手動で入力したり、予め設定したプログラムにより自動で入力させたりすることができる。また、制御部9は、高周波電圧voutの出力形式を制御する。高周波電源1には、出力形式として高周波電圧voutを連続的に出力させる連続出力モードと高周波電圧voutを断続的に出力させるパルス出力モードが設けられており、ユーザは、連続出力モードとパルス出力モードのいずれかの出力形式で高周波電源1から高周波電圧voutを出力させることができる。従って、制御部9には、モード切替信号SMSと、パルス出力の条件(周波数とデューティ比)を含むパルス出力情報PSが入力される。ユーザは、出力形式の切り替えやパルス出力の条件を入力装置(図示省略)を操作して手動で行ったり、予め設定したプログラムにより自動で行わせたりすることができる。
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えるマイクロコンピュータやFPGAで構成される。制御部9は、駆動制御信号P−CNTを生成し、その駆動制御信号P−CNTを可変直流電源2に出力して可変直流電源2の出力電圧Vdcを制御する。駆動制御信号P−CNTは、高周波電源1の出力電力(進行波電力Pf)が目標出力電力Pfとなるように、可変直流電源2の出力電圧Vdcを制御する信号である。
制御部9は、電力検出器6から入力される進行波電力Pfの検出値と目標出力電力Pfsの偏差ΔP(=Pfs−Pf)を演算し、その偏差ΔPに基づいて当該偏差ΔPをゼロにする駆動制御信号P−CNTを生成する。具体的な駆動制御信号P−CNTの内容は、可変直流電源2の構成によって決定される。例えば、可変直流電源2が内部でDC−DCコンバータの駆動を制御する駆動パルスを生成する構成の場合、その駆動パルスの生成を制御する信号が駆動制御信号P−CNTとして制御部9から可変直流電源2に入力される。可変直流電源2が駆動パルスを外部から供給される構成の場合、制御部9が駆動パルスを生成し、その駆動パルスを駆動制御信号P−CNTとして可変直流電源2に入力することも可能である。
次に、本発明に係る高周波電源1の作用について説明する。
高周波電源1は、インバータ回路3で直流電力を周波数f(高周波電源1から出力させる高周波電圧voutの基本周波数。例えば、2.0[MHz]、13.56[MHz]等の高周波)の高周波電力に変換して負荷10に出力する。制御部9は、フィードバック制御によって可変直流電源2がインバータ回路3に供給する直流電圧Vdcを制御することにより、インバータ回路3から出力される進行波電力Pfを目標出力電力Pfsに制御する。
また、制御部9は、モード切替信号SMSに基づいて、インバータ回路3から出力される高周波電圧vinvを連続出力とパルス出力のいずれかで出力させる。制御部9は、連続出力の場合、例えば、出力開始から出力終了までの期間だけハイレベルとなるドライブ制御信号SDCをドライブパルス発生部7に出力する。出力開始から出力終了までの期間は、例えば、プラズマ処理中は連続して高周波電力を供給する場合、プラズマ処理の開始から終了までの期間である。
一方、制御部9は、パルス出力の場合、パルス出力情報PSに含まれる周波数fp[Hz]とデューティ比Dp[%]に基づいて周期Tp=1/fp[秒]、オン期間TON=Tp×D/100[秒]のパルス信号からなるドライブ制御信号SDCを生成してドライブパルス発生部7に出力する。周波数fPは、高周波電圧vinvの基本周波数fよりも低い周波数である。また、パルス信号は、ハイレベル期間にインバータ回路3から高周波電圧vinvを出力させる第1の状態が割り当てられ、ローレベル期間にインバータ回路3から高周波電圧vinvを出力させない第2の状態が割り当てられた2値信号である。
なお、ドライブ制御信号SDCのハイレベル期間に第1の状態を割り当て、ローレベル期間に第2の状態を割り当てる論理にしてもよい。
ドライブパルス発生部7は、周波数fのデューティ比Dが50%より僅かに小さいパルス信号(図3参照)からなるドライブパルスdv1’,dv4’を発生する。また、ドライブパルス発生部7は、ドライブパルスdv1’,dv4’に対して位相がπだけずれているドライブパルスdv2’,dv3’を発生する。
ドライブパルス発生部7は、ドライブ制御信号SDCがハイレベルの期間にはドライブパルスdv1’〜dv4’と同一波形のドライブパルスdv1〜dv4をドライバ8に出力し、ドライブ制御信号SDCがローレベルの期間にはローレベルのドライブパルスdv1’,dv3’とハイレベルのドライブパルスdv2’,dv4’を出力する。
従って、インバータ回路3には、ドライブ制御信号SDCのハイレベルの期間にドライブパルスdv1’〜dv4’を増幅したドライブ信号SQ1〜SQ4が入力され、ドライブ制御信号SDCのローレベルの期間にローレベルのドライブ信号SQ1,SQ3とドライブパルスdv2’,dv4’を増幅したハイレベルのドライブ信号SQ2,SQ4が入力される。
ドライブ制御信号SDCがハイレベルからローベルに反転するタイミングtLでは、ドライブパルスdv1〜dv4は、ドライブパルスdv1,dv3がローレベル、ドライブパルスdv2,dv4がハイレベルに切り替わり(図4,図5参照)、次にハイレベルに反転するタイミングtHまでその状態が継続される。ドライブ制御信号SDCがローレベルからハイレベルに反転するタイミングtHから次のタイミングtLまでの期間では、ドライブパルスdv1〜dv4は、ドライブパルスdv1’〜 dv4’と同一波形となるので(図4,図5参照)、インバータ回路3内のスイッチング素子Q1〜Q4は、H型ブリッジ回路の第1のアームの上側と第2のアームの下側の2個のスイッチング素子Q1,Q4と、残りの2個のスイッチング素子Q2,Q3(第1のアームの下側と第2のアームの上側のスイッチング素子)が周期T=1/fで交互にオン・オフ動作をする。従って、ドライブ制御信号SDCのハイレベル期間では、高周波voutが出力される。
ドライブ制御信号SDCのローレベル期間では、ドライブパルスdv1,dv3がローレベル、ドライブパルスdv2,dv4がハイレベルになるので、インバータ回路3の回路状態は、図7に示すように、H型ブリッジ回路の第1及び第2のアームの上側の2個のスイッチング素子Q1,Q3がオフ状態(遮断状態)となり、H型ブリッジ回路の第1及び第2のアームの下側の2個のスイッチング素子Q2,Q4がオン状態(導通状態)となる。
ドライブ制御信号SDCのローレベル期間では、H型ブリッジ回路の第1及び第2のアームの上側の2個のスイッチング素子Q1,Q3がオフ状態になるので、インバータ回路3は可変直流電源2から切り離され、電力変換動作をしない。また、H型ブリッジ回路の第1及び第2のアームの下側の2個のスイッチング素子Q2,Q4がオン状態となり、インバータ回路3の出力端子対(a−b)が短絡若しくはスイッチング素子Q2,Q4の内部抵抗によって接続されるので、出力端子対(a−b)に接続された直列共振回路4とトランスTの一次巻線は閉回路となる。
出力端子対(a−b)が短絡若しくはスイッチング素子Q2,Q4の内部抵抗によって接続された状態になると、インバータ回路3の後段側のLC成分(直列共振回路4、トランスT、伝送線路、負荷10などに含まれるLC成分)に蓄積された電気エネルギーが閉回路内の抵抗成分によって消費されるので、負荷10のインピーダンスの影響によってフィルタ回路5から出力される高周波(高周波電圧と高周波電流)voutが振動しながら減衰する現象を抑制することができる。特に、スイッチング素子Q2,Q4を能動領域でオン動作させるようにすれば、スイッチング素子Q2,Q4内の抵抗成分によってLC成分に蓄積された電気エネルギーの消費を効果的に行わせることができるので、負荷10のインピーダンスの状態によっては、スイッチング素子Q2,Q4を飽和領域でオン動作させるよりも振動の抑制効果を高めることができる。
図8は、図16に示した出力オフ時に高周波振動が生じる負荷インピーダンスを用いて図1に示す高周波電源1の出力オフ時の波形をシミュレーションした波形図である。図8は、周波数f=13.56[MHz]、振幅A=250[V]の高周波vを周波数fp=50[KHz]、Dp=50[%]のドライブ制御信号SDCでパルス出力させた場合の高周波voutのシミュレーション波形である。
同図に示すように、ドライブ制御信号SDCがオフになるタイミングtL(10μ秒、30μ秒、50μ秒、…)でインバータ回路3を停止させた直後の振動の振幅は、高周波voutの振幅Aのほぼ1/4以下に抑制されており、高周波voutの出力を停止させたときに生じる振動を十分に抑制することができることが分かる。
上記の実施形態では、ドライブ制御信号SDCのローレベル期間に、インバータ回路3の第1,第2のアームの上側のスイッチング素子Q1,Q3をオフ状態(遮断状態)にし、下側のスイッチング素子Q2,Q4をオン状態(導通状態)にするようにしているが、ドライブパルス発生部7の内部構成を図9に示すように変形し、インバータ回路3の第1,第2のアームの上側のスイッチング素子Q1,Q3をオン状態(導通状態)にし、下側のスイッチング素子Q2,Q4をオフ状態(遮断状態)にするようにしてもよい。
図9は、図2に対して、ドライブパルスdv1’,dv3’をそれぞれNOT回路703f,703gを介してNAND回路703b,703dに入力し、ドライブパルスdv2’,dv4’をそれぞれAND回路703a,703cに入力するようにしたものである。
図9に示す回路構成から出力されるドライブパルスdv1〜dv4は、表1の入力dv1’,dv3’と表2の入力dv2’,dv4’(/dv2’,/dv4’)とを入れ替えたものになるから、ドライブ制御信号SDCの波形とドライブパルス発生部7から出力される4つのドライブパルスdv1,dv2,dv3,dv4の波形との関係は、図10,図11に示すようになる。
図10,図11に示されるように、ドライブ制御信号SDCのハイレベル期間では、ドライブパルス発生部7から出力されるドライブパルスdv1〜dv4は、ドライブパルスdv1’〜dv4’と同一波形となるが、ドライブ制御信号SDCのローレベル期間では、ドライブパルスdv1,dv3がハイレベルとなり、ドライブパルスdv2,dv4がローレベルとなる。従って、ドライブ制御信号SDCのローレベル期間のインバータ回路3の回路状態は、図12に示すように、スイッチング素子Q1,Q3がオン状態(導通状態)となり、スイッチング素子Q2,Q4がオフ状態(遮断状態)となる。
ドライブパルス発生部7の内部構成を図9に示すようにした場合でも、図8に示したシミュレーション結果と同様の効果を得ることができる。
上記実施形態では、高周波voutをパルス出力する場合について説明したが、高周波voutを連続出力する場合でもドライブ制御信号SDCのローレベル期間におけるドライブ信号SQ1〜SQ4を、ドライブ信号SQ1,SQ3をハイレベル、ドライブ信号SQ2,SQ4をローレベルとする組み合わせ、若しくはドライブ信号SQ1,SQ3をローレベル、ドライブ信号SQ2,SQ4をハイレベルとする組み合わせの状態にすることによって、高周波voutの出力停止時における振動の発生を抑制することができる。
上記実施形態では、ドライブパルス発生部7の内部構成を、基準発振器701及びドライブパルス発生器702と論理回路703によって構成したが、図2又は図9に示す回路構成に限定されるものではなく、図4,図5若しくは図10,図11に示す波形のドライブパルスdv1〜dv4を生成する回路であれば、任意の回路構成を採用することができる。
また、上記実施形態では、ドライブ信号SQ1〜SQ4を生成するためのドライブパルスdv1〜dv4の波形をドライブ制御信号SDCによって制御するようにしていたが、スイッチング素子Q1〜Q4のゲートに入力されるドライブ信号SQ1〜SQ4の波形をドライブ制御信号SDCによって直接制御するようにしてもよい。
例えば、スイッチング素子Q1〜Q4の各ゲートの前段にスイッチ回路を設け、スイッチング素子Q1,Q3の各スイッチ回路では、各ゲートへの入力をドライブ信号SQ1,SQ3とハイレベル信号のいずれかに切り換えるようにし、H型ブリッジ回路の第1及び第2のアームの下側の2個のスイッチング素子Q2,Q4の各スイッチ回路では、各ゲートへの入力をドライブ信号SQ2,SQ4とローレベル信号のいずれかに切り換えるようにする。そして、ドライブ制御信号SDCのハイレベル期間ではドライブ信号SQ1〜SQ4の入力側に接続し、ドライブ制御信号SDCのローレベル期間では、ハイレベル若しくはローレベルの入力側に接続するように、ドライブ制御信号SDCによって各スイッチ回路の接続切替えを制御するようにしてもよい。
なお、H型ブリッジ回路の第1及び第2のアームの上側の2個のスイッチング素子Q1,Q3の各スイッチ回路を、各ゲートへの入力をドライブ信号SQ1,SQ3とローレベル信号のいずれかに切り換える内容にし、H型ブリッジ回路の第1及び第2のアームの下側の2個のスイッチング素子Q2,Q4の各スイッチ回路を、各ゲートへの入力をドライブ信号SQ2,SQ4とハイレベル信号のいずれかに切り換える内容にしてもよい。また、ドライブ制御信号SDCのハイレベル期間に高周波voutの出力を停止させ、ローレベル期間に高周波voutを出力させる論理にしてもよい。
上記のように、本実施形態に係る高周波電源1によれば、インバータ回路3の高周波vinvの出力を停止させるとき、H型のブリッジ回路を構成する4個のスイッチング素子Q1〜Q4のうち、第1及び第2のアームの上側又は下側に配置される2個のスイッチング素子をオン状態(導通状態)に固定し、残りの2個のスイッチング素子をオフ状態(遮断状態)に固定する(スイッチング素子Q1,Q3をオン状態にし、スイッチング素子Q2,Q4をオフ状態にする、又はスイッチング素子Q2,Q4をオン状態にし、スイッチング素子Q1,Q3をオフ状態にする)ようにしたので、高周波vinvの出力停止時に発生する振動を好適に抑制することができる。
また、上記実施形態では、プラズマ処理システムに適用される13.56[MHz]等の高周波信号について説明したが、本発明は、プラズマ処理システムに適用される周波数帯に限定されるものではなく任意の周波数帯の周波数に適用することができる。また、本発明は、プラズマ処理装置の負荷に限定させず、LCR負荷となる任意の負荷が接続される高周波電源に適用することができる。