JP6319940B2 - 触媒層付電解質膜の製造方法 - Google Patents
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Description
上述した各種の燃料電池の中で、長所の多い固体高分子形燃料電池が知られている。この固体高分子形燃料電池は、陽イオン交換膜を電解質として用いたものである。その長所として、1)燃料電池の中でも比較的低温での動作、すなわち室温付近で使用可能である点、2)電解質膜の薄膜化により内部抵抗を低減できるため高出力化及びコンパクト化が可能である点に着目されている。そのため、固体高分子形燃料電池は、車載用電源や家庭用据置電源等への用途が有望視されており、近年、様々な研究開発が行われている。
この課題を解決する方法として、基材上に第1の電極触媒層を製造し、次に高分子電解質層8を製造し、最後に第2の電極触媒層を製造する逐次積層による方法が提案されている。この逐次積層による方法は、タクト時間が短く、生産効率が高くなるため、製造コストが低くなる。(特許文献1、特許文献2)
また、特許文献3では、被覆部材上に形成された触媒層がロスとなる。触媒層中には、白金に代表される貴金属が触媒として存在していることから、触媒層のロスは、コスト増に繋がるという問題があった。
本発明は、上記問題を考慮して成し遂げられたものであり、1)低加湿条件下で発電性能が高く、2)イオン抵抗が小さく、3)触媒インクのロスが少なく、4)所望の形状に高精度で触媒層を形成できて、5)タクト時間が短く生産効率が高い触媒層付電解質膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1は、触媒担持粒子と高分子電解質と溶媒とを含む触媒インク(70)に親和性のある親和性エリア(5)と前記触媒インク(70)に親和性が無い非親和性エリア(6)とを、剥離基材(1)上にパターン形成するパターン形成工程(S100)と、前記親和性エリア(5)に前記触媒インク(70)を塗布して塗膜を形成し、形成された塗膜中の溶媒を除去し、カソード触媒層(71)を形成するカソード触媒層形成工程(S25)と、前記カソード触媒層(71)上に、高分子電解質と溶媒とを含む電解質インクを塗布して塗膜を形成し、形成された塗膜中の溶媒を除去し、高分子電解質膜(8)を形成する高分子電解質膜形成工程(S40)と、前記高分子電解質膜(8)上に、前記触媒インク(70)を塗布し、塗膜を形成し、形成した塗膜中の溶媒を除去し、アノード触媒層(72)を形成するアノード触媒層形成工程(S50)と、を有し、前記高分子電解質膜形成工程(S40)では、前記カソード触媒層(71)を形成した後に、前記非親和性エリア(6)を前記親和性エリア(5)に改質し、前記改質した前記親和性エリア(5)上に前記高分子電解質膜(8)を、前記カソード触媒層(71)の前記剥離基材(1)側の表面と前記高分子電解質膜(8)の前記剥離基材(1)側の表面とが同一平面上に位置するように形成し、前記アノード触媒層形成工程(S50)では、前記アノード触媒層(72)の単位面積当たりの白金担持量が前記カソード触媒層(71)の単位面積当たりの白金担持量よりも少なくなるように、前記アノード触媒層(72)を形成することを特徴とする触媒層付電解質膜の製造方法である。
また、前記パターン形成工程(S100)において、前記親和性エリア(5)では親水性を活用し、前記非親和性エリア(6)では撥水性を活用してパターン形成することを特徴とする。
また、前記親和性エリア(5)の水接触角が15度以下であり、前記非親和性エリア(6)の水接触角が100度以上であることを特徴とする。
1)特に、低加湿条件下で発電性能を高くできる理由は、カソード触媒層は、断面を含めた四方を高分子電解質層で覆われているため、低加湿条件下でも触媒層が保湿され、高いプロトン伝導性を有する膜電極接合体(MEA)を形成できるからである。
3)触媒インクのロスをより少くできる理由は、カソード触媒層を形成する際に、触媒インクと親和性がある親和性エリアにのみ、触媒層を形成するからである。その結果、製造コストの低減を図ることができる。
5)タクト時間を短縮して生産効率を高められる理由は、イオン交換膜と電極触媒層を接合する際に、ボトルネックとなるホットプレス等の熱圧着の工程が無いからである。また、カソード触媒層、高分子電解質層、アノード触媒層が順次積層されるため、製造効率を非常に高くすることができる。
さらに、ホットプレスにより製造した触媒層付電解質膜と比較して、高分子電解質層と電極触媒層の接触が向上し、イオン抵抗が減少するという効果を奏する膜電極接合体の製造方法を提供することができる。
加えて、カソード触媒層の形状が、シランカップリング剤を除去する際に介するフォトマスクの精度に依存するため、所定の形状のフォトマスクを用いることにより、所望の形状の触媒層を形成することができる。
図1は、本発明による触媒層付電解質膜の製造方法の一実施の形態を工程順に説明するための模式図である。
本実施形態に係る触媒層付電解質膜の製造方法の概略は以下のとおりである。まず、剥離基材1上に、触媒インク70と親和性のある親和性エリア5と触媒インク70と親和性が無い非親和性エリア6とをパターン形成する工程(図1(b))を実行する。次に、剥離基材1上の触媒インク70と親和性のある親和性エリア5に触媒インク70を塗布し、塗膜を形成し、形成した塗膜中の溶媒を除去し、前記カソード触媒層71を形成する工程(図1(c))を実行する。次に、カソード触媒層71上に、少なくとも高分子電解質と溶媒を含む電解質インクを塗布し、塗膜を形成し、形成した塗膜中の溶媒を除去し、高分子電解質層8を形成する工程(図1(e))を実行する。次に、高分子電解質膜上に、触媒インク70を塗布し、塗膜を形成し、形成した塗膜中の溶媒を除去し、アノード触媒層72を形成する工程(図1(f))を実行するという工程から成る。
なお、本実施形態に係る触媒層付電解質膜において、カソード触媒層71の白金担持量は、アノード触媒層72の白金担持量以上である。
次に、高分子電解質と溶媒とを含む電解質溶液が用意され、カソード触媒層71上に電解質溶液が塗布され、高分子電解質層8が形成される(図1(e))。
最後に、カソード触媒層71と、高分子電解質層8と、アノード触媒層72からなる触媒層付電解質膜が、剥離基材1から剥離されることによって、本実施形態の触媒層付電解質膜は製造される。
カソード触媒層71が凸になっている構成の場合、そのカソード触媒層71の断面が高分子電解質層8に覆われてい無いことからカソード触媒層71の保湿性が低下する(図3(a))。一方で高分子電解質層8がカソード触媒層71と剥離基材1間の界面に入る構成、すなわち、カソード触媒層71が高分子電解質層8に完全に囲まれて外部に露出しない構成の場合、導電性が低下するとともに、カソード触媒層71のガス拡散性が低下する(図3(b))。カソード触媒層71の断面が完全に高分子電解質層8に覆われて、かつ、カソード触媒層71の表面と高分子電解質層8の表面が完全に一致している構成がより望ましい。
触媒層付電解質膜の触媒層の白金担持量は、カソード触媒層71の白金担持量がアノード触媒層72の白金担持量以上である。すなわち、カソード触媒層71の白金担持量は、0.20〜0.40mg/cm2、アノード触媒層72の白金担持量は0.05〜0.10mg/cm2が望ましい。また、剥離基材1上に形成される触媒層は、触媒インク70のロスをなくすことができることから、白金担持量が多いカソード触媒層71であることが望ましい。
本実施形態の触媒層付電解質膜の構成は、カソード触媒層71と高分子電解質層8の表面が略同一面上にあり、触媒層の断面も高分子電解質で覆われている。そのため、特に低加湿条件下において、電極触媒層の保湿性が高まり、高いプロトン伝導性を有するため、発電性能を向上させることができる。
また、本実施形態に係る触媒層付電解質膜の製造方法によれば、白金使用量が多いカソード触媒層71の形成において、触媒インク70との親和性が有るエリアと無いエリアにパターン形成された剥離基材1上に触媒インク70を塗布することから、触媒インク70のロスが無く、安価に製造することができる。
さらに、ホットプレスにより製造した触媒層付電解質膜と比較して、高分子電解質層8と電極触媒層の接触が向上し、イオン抵抗が減少するという効果を奏する膜電極接合体の製造方法を提供することができる。
以上、説明したように、本実施形態に係る触媒層付電解質膜及びその製造方法によれば、生産効率が高く、安価で十分な発電性能を備える触媒層付電解質膜による膜電極接合体を提供することができる。
(S20)のシランカップリング剤限定除去工程では、フォトマスク4を介して親和性のある親和性エリア5上にのみ真空紫外光3を照射することにより、触媒インク70と親和性エリア5上に形成されたシランカップリング剤2のみを除去する。
(S30)の残存シランカップリング剤除去工程では、カソード触媒層71形成後に触媒インク70と親和性の無い非親和性エリア6の残存シランカップリング剤2を除去する。
(S50)のアノード触媒層形成工程では、高分子電解質膜8上に、触媒インク70を塗布し、塗膜を形成し、形成した塗膜中の溶媒を除去し、アノード触媒層72を形成する。
上述したパターン形成工程(S100)において、親和性エリア5では親水性を活用し、非親和性エリア6では撥水性を活用してパターン形成する。
図1(a)に示すように、剥離基材1としてガラス基板(以下、ガラス基板1という)を用いている。このガラス基板1の上に波長172nmの真空紫外光3を照射し、ガラス基板1の表面にヒドロキシル基を形成した。続いて、ガラス基板1上のヒドロキシル基と加水分解されたシランカップリング剤2とを反応させるようにする。ここで、フルオロアルキル系のシランカップリング剤2であるフルオロメトキシシラン(商品名:KBM―7103、信越化学工業製)と、上述したヒドロキシル基が形成されたガラス基板1とを160℃に加温する。それから、化学蒸着法(Chemical Vapor Deposition法;CVD法)によりガラス基板1上にシランカップリング剤2を形成した。
図1(b)に示すように、50mm四方の開口部を有するフォトマスク4を介して、波長172nmの真空紫外光3をシランカップリング剤2が形成されたガラス基板上に照射する。そして、シランカップリング剤2が分解された触媒インク70と親和性がある親和性エリア5とシランカップリング剤2が残存している触媒インク70と親和性が無い非親和性エリア6をパターン形成した。
図1(c)に示すように、5白金担持量が50%である白金担持カーボン触媒(商品名:TEC10E50E、田中貴金属工業製)と、20質量%高分子電解質溶液であるNafion(登録商標、デュポン社製)を、溶媒である水と混合した。続いて、遊星ボールミルで分散処理を行い、触媒インク70を調整した。そして、パターン形成したガラス基板1上に、触媒インク70と親和性がある親和性エリア5に、調整した触媒インク70を、白金担持量が0.30mg/cm2となるように滴下した。このように滴下された触媒インク70によって形成された塗膜を乾燥させて、カソード触媒層71を形成した。
図1(d)に示すように、カソード触媒層71が形成されたガラス基板上に波長が172nmの真空紫外光3を照射し、カソード触媒層71周縁部の触媒インク70と親和性が無い非親和性エリア6のシランカップリング剤2を分解・除去した。
図1(e)に示すように、20質量%高分子電解質溶液であるNafion(登録商標、デュポン社製)を、カソード触媒層71上に膜厚が20μmとなるように、ドクターブレード法により塗布し、塗膜を乾燥させて、高分子電解質層8を形成した。
図1(f)に示すように、50mm四方の開口部を有するマスクを貼合した高分子電解質層8上に、アノード触媒層72を形成する。すなわち、高分子電解質層8上に、白金担持量が0.10mg/cm2となるように、触媒インク70を、ドクターブレード法により塗布する。塗布した後、塗膜を乾燥させ、マスクを剥離し、アノード触媒層72が形成される。
最後に、カソード触媒層71、高分子電解質層8、アノード触媒層72の積層体をガラス基板1から剥離し、触媒層付電解質膜とした。
(カソード触媒層形成工程(S25参照))
白金担持量が50%である白金担持カーボン触媒(商品名:TEC10E50E、田中貴金属工業製)と、20質量%高分子電解質溶液であるNafion(登録商標、デュポン社製)を、溶媒である水と混合した。続いて、遊星ボールミルで分散処理を行い、触媒インク70を調整した。そして、PTFEフィルム上に50mmの開口部を有するマスク材が貼合された転写基材上に、調整した触媒インク70を塗布した。この触媒インク70は、白金担持量が0.30mg/cm2となるようにドクターブレード法により塗布される。塗布された後に、塗膜を乾燥させ、カソード触媒層71が形成される。
PTFEフィルム上に50mmの開口部を有するマスク材が貼合された転写基材上に、触媒インク70を、白金担持量が0.10mg/cm2となるように、ドクターブレード法により塗布し、塗膜を乾燥させ、アノード触媒層72を形成した。
(高分子電解質層形成工程(S40参照))
20質量%高分子電解質溶液であるNafion(登録商標、デュポン社製)を、ガラス基板1上に、膜厚が20μmとなるようドクターブレード法により塗布し、塗膜を乾燥させ、高分子電解質層8を形成した。
PTFEシート上に製造された両電極触媒層を、高分子電解質溶液から製造した高分子電解質層8の両面に正対するように配置し、130℃、6.0×106Paの条件でホットプレスを行い、触媒層付電解質膜を製造した。
実施例と比較例とそれぞれの製造方法により製造した触媒層付電解質膜について、それぞれ低加湿での発電特性を調べた結果、実施例の方が、発電性能が高いことを確認した。
また、実施例と比較例とそれぞれの製造方法において使用した触媒インク70の体積を調べた結果、実施例の製造方法によれば、触媒インク70の使用量を40%削減できていることを確認した。
2…シランカップリング剤
3…真空紫外光
4…フォトマスク
5…触媒インクと親和性の有るエリア(親和性エリア)
6…触媒インクと親和性が無いエリア(非親和性エリア)
8…高分子電解質層
70…触媒インク
71…カソード触媒層
72…アノード触媒層
Claims (5)
- 触媒担持粒子と高分子電解質と溶媒とを含む触媒インクに親和性のある親和性エリアと前記触媒インクに親和性が無い非親和性エリアとを、剥離基材上にパターン形成するパターン形成工程と、
前記親和性エリアに前記触媒インクを塗布して塗膜を形成し、形成された塗膜中の前記溶媒を除去し、カソード触媒層を形成するカソード触媒層形成工程と、
前記カソード触媒層上に、高分子電解質と溶媒とを含む電解質インクを塗布して塗膜を形成し、形成された塗膜中の溶媒を除去し、高分子電解質膜を形成する高分子電解質膜形成工程と、
前記高分子電解質膜上に、前記触媒インクを塗布し、塗膜を形成し、形成した塗膜中の前記溶媒を除去し、アノード触媒層を形成するアノード触媒層形成工程と、を有し、
前記高分子電解質膜形成工程では、前記カソード触媒層を形成した後に、前記非親和性エリアを前記親和性があるエリアに改質し、前記改質したエリア上に前記高分子電解質膜を、前記カソード触媒層の前記剥離基材側の表面と前記高分子電解質膜の前記剥離基材側の表面とが同一平面上に位置するように形成し、
前記アノード触媒層形成工程では、前記アノード触媒層の単位面積当たりの白金担持量が前記カソード触媒層の単位面積当たりの白金担持量よりも少なくなるように、前記アノード触媒層を形成することを特徴とする触媒層付電解質膜の製造方法。 - 前記パターン形成工程は、前記剥離基材上の全エリアにシランカップリング剤を形成するシランカップリング剤形成工程と、前記親和性エリア上に形成されたシランカップリング剤のみを除去するシランカップリング剤限定除去工程と、前記カソード触媒層形成工程により前記カソード触媒層を形成した後に、前記非親和性エリアの残存シランカップリング剤を除去する残存シランカップリング剤除去工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の触媒層付電解質膜の製造方法。
- 前記シランカップリング剤限定除去工程では、フォトマスクを介して前記親和性エリア上にのみ真空紫外光を照射することにより除去することを特徴とする請求項2に記載の触媒層付電解質膜の製造方法。
- 前記パターン形成工程において、前記親和性エリアでは親水性を活用し、前記非親和性エリアでは撥水性を活用してパターン形成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の触媒層付電解質膜の製造方法。
- 前記親和性エリアの水接触角が15度以下であり、前記非親和性エリアの水接触角が100度以上であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の触媒層付電解質膜の製造方法。
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