JP6320102B2 - 凝集沈殿槽及び凝集沈殿システム - Google Patents

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Description

本発明は、凝集沈殿槽及び凝集沈殿システムに関する。
従来より、廃水処理の有力な手段の一つとして、特許文献1のように、廃水に対して凝集剤を添加することで有機物等を凝集沈殿させて分離する凝集沈殿方法が知られている。この凝集沈殿方法においては、有機物等の沈殿効果を高めるために、凝集沈殿槽で濃縮された汚泥を引き抜き、その一部の汚泥を前段の反応槽に循環させている。
上記の凝集沈殿槽として、例えば、特許文献2のようなスラッジブランケット型凝集沈殿槽を適用することができる。これらのスラッジブランケット型凝集沈殿槽は、凝集剤が添加された流入水が上昇するに伴ってフロックが成長するフロック成長ゾーンを有するスラッジブランケット部と、スラッジブランケット部に対し区画されかつそのスラッジブランケット部から流入した汚泥を沈降する汚泥沈降部と、汚泥沈降部の下部に設けられて汚泥を濃縮する汚泥濃縮部と、を有している。
上記の凝集沈殿方法においては、凝集沈殿槽の汚泥濃縮部から引き抜かれた一部の濃縮汚泥を前段の反応槽に返送して循環させることで、原水と汚泥とが流入水として凝集沈殿槽のスラッジブランケット部に導入される。この凝集沈殿槽に流入する流入水は、スラッジブランケット部を上昇することで処理水と汚泥とに分離される。
特開平10−479号公報 特許第5085609号公報
しかしながら、特許文献2に記載の凝集沈殿槽を、汚泥濃縮部において濃縮された汚泥を前段に返送する構成に適用すると、凝集沈殿槽のスラッジブランケット部へ汚泥を導入することに応じてスラッジブランケット部における上昇流速が速くなる。この場合、導入された流入水のスラッジブランケット部での滞在時間が短くなるため、フロック成長・分離が十分に行われず、分離後の処理水の水質が低下する可能性がある。ここで、流入水のスラッジブランケット部での滞在時間の短縮や上昇速度の上昇による、フロックの成長、分離不良を防ぐための対策として、例えばスラッジブランケット部を大きくする、又は別途凝集槽を設ける等の方法が考えられるが、設備の大型化やコストの上昇が懸念される。
そこで、本発明は、大型化することなく良好な処理水質を得ることができる凝集沈殿槽及び凝集沈殿システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る凝集沈殿槽は、少なくとも流入水の上昇流によって流動層が形成されるフロック成長ゾーンと、成長ゾーンより上方に形成される固形物と処理水とを分離する分離ゾーンとを有するスラッジブランケット部を備えた凝集沈殿槽であって、分離ゾーンより下方から汚泥を引き抜く引き抜きラインと、分離ゾーンより上方から越流した汚泥を排出する排出ラインとを備えることを特徴とする。
上記凝集沈殿槽によれば、分離ゾーンより下方から汚泥を引き抜く引き抜きラインが設けられていることにより、スラッジブランケット部から汚泥を引き抜くことができる。従来の凝集沈殿槽の汚泥濃縮部から汚泥を引き抜いた場合、スラッジブランケット部を上昇する流量は、原水量のみとなる(スラッジブランケット部を上昇する流量=原水量)。これに対し、スラッジブランケット部から汚泥を引き抜いた場合、スラッジブランケット部を上昇する流量は、原水量から引き抜き汚泥を引いたものとなる(スラッジブランケット部を上昇する流量=原水量−引抜汚泥量である)。よって、従来の凝集沈殿槽の汚泥濃縮部から汚泥を引き抜く場合と比較して、スラッジブランケット部から汚泥を引き抜く場合、スラッジブランケット部における上昇速度の増加を抑え、固形物と水との分離効果を高めることが可能である。したがって、凝集沈殿槽を大型化することなく、固形物と水との分離効果が向上し、良好な処理水質を得ることができる。
また、上記の凝集沈殿槽において、引き抜きラインはスラッジブランケット部の下部に接続されてもよい。この構成によれば、スラッジブランケット部の下部で汚泥を引き抜く構成とすることで、引き抜きラインより上方において、上昇速度の増加を抑え、HRT、SRTの減少を抑えることが可能である。尚、引き抜きラインをより下方に設けることで、上昇速度の増加を抑え、水理学的滞留時間(以下HRTとする)、汚泥滞留時間(以下SRTとする)の減少を抑えることが可能な領域を広くすることができる。したがって、凝集沈殿槽を大型化することなく、フロックの成長効果及び固形物と水との分離効果がより向上し、より良好な処理水質を得ることができる。
また、上記の凝集沈殿槽において、スラッジブランケット部の底部に汚泥貯留部が設けられ、引き抜きラインは汚泥貯留部に接続されてもよい。この構成によれば、スラッジブランケット部の底部に設けられた汚泥貯留部から循環用汚泥を引き抜くことで、汚泥貯留部で汚泥が濃縮され、SS濃度の高い汚泥を引き抜くことが可能となる。
また、上記の凝集沈殿槽において、引き抜きラインは分離ゾーンを貫通して設けられてもよい。この構成によれば、引き抜きラインはスラッジブランケット部の上方で凝集沈殿槽の外へ接続されていることで、凝集沈殿槽がより簡易な構造にすることができる。
また、上記の凝集沈殿槽において、引き抜きラインは汚泥引き抜き位置を変更可能に設けられてもよい。この構成によれば、引き抜きラインを上下、水平等、可変構造とすることでスラッジブランケット部から均一に汚泥を引き抜くことができるので、スラッジブランケット部の整流性に影響しないように、運転することが可能となる。したがって、スラッジブランケット部の整流性が向上でき、凝集沈殿槽を大型化することなく、より良好な処理水質を得ることができる。
また、本発明の一形態に係る凝集沈殿システムは、凝集剤と原水とを反応させる凝集反応槽と、凝集反応槽からの流入水を固液分離する上記の凝集沈殿槽とを備える凝集沈殿システムであって、引き抜きラインは凝集反応槽へ接続されている。
この凝集沈殿システムによれば、スラッジブランケット部の分離ゾーンより下方に設けられた引き抜きラインから、汚泥を引抜いて前段の凝集反応槽に返送して循環させることができる。このとき、原水に対するスラッジブランケット部への流入水の増分は、引き抜きラインから引き抜かれた汚泥の量と略等しくなる。よって、従来の凝集沈殿槽の汚泥濃縮部から引き抜かれた汚泥を前段に返送する場合と比較して、スラッジブランケット部における流入水の上昇速度を低下させることが可能である。更に、HRT、スラッジブランケット部におけるSRTの減少を抑えることで、微細粒子を捕捉するための滞留時間を保持し、フロックの成長に必要な反応時間を維持するとともに、流れの拡散や粒子同士の衝突によりスラッジブランケット内の流れを均一化する効果を高め、スラッジブランケット内での片流れなど、流れが乱れることによる固液分離性能の悪化を抑えることが可能である。したがって、凝集沈殿槽を大型化することなく、良好な処理水質を得ることができる。
本発明によれば、凝集沈殿槽を大型化することなく、良好な処理水質を得ることができる凝集沈殿槽及び凝集沈殿システムが提供される。
本発明の一実施形態に係る凝集沈殿システムを示す構成図である。 本発明の一実施形態に係る凝集沈殿システムの凝集沈殿槽を示す断面図である。 凝集沈殿槽の変更例を示す断面図である。 凝集沈殿槽の変更例を示す断面図である。 (a)及び(b)は、凝集沈殿システムの変更例を示す構成図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態の凝集沈殿槽を採用した凝集沈殿システムを示す構成図である。図2は、本発明の一実施形態に係る凝集沈殿システムの凝集沈殿槽を示す断面図である。本実施形態に係る凝集沈殿システムは、所謂「スラッジブランケット型」と称される凝集沈殿槽を有している。スラッジブランケット型凝集沈殿槽は、槽内に上昇水流による凝集フロックの流動層を形成し、その流動層内に、新たに生成したフロックを通過させるものである。このとき、小さなフロックは、流動層における大きなフロックに捕捉されて大きくなり、沈降速度が速まる。これにより、スラッジブランケット型凝集沈殿槽への流入水は、処理水と汚泥に分離され、それぞれ槽外に排出される。以下、フロックは、凝集フロック、汚泥、固形物と称されることがある。
図1に示されるように、凝集沈殿システム100Aは、第1反応槽10、第2反応槽20、及び凝集沈殿槽30Aをこの順に接続して備えると共に、凝集沈殿槽30Aのスラッジブランケット部Sから引き抜かれた汚泥を第1反応槽10に返送する返送ラインL1と、凝集沈殿槽30Aから汚泥を排出する排出ラインL2と、排出ラインL2に接続された貯留槽50と、貯留槽の後段に設けられた脱水機60と、を備える。
第1反応槽10は、原水を導入する共に、無機凝集剤添加手段11により無機凝集剤が添加される。また、第1反応槽10には、返送ラインL1により返送される汚泥が流れ込み、これらは例えば攪拌機による撹拌等により混合される。
ここで、無機凝集剤としては、硫酸バンドやPAC等のAl系無機凝集剤や、ポリ硫酸鉄等のFe系無機凝集剤が用いられてもよい。或いは、NaOH,Ca(OH)等のアルカリ又はHSO,HCL等の酸によるpH調整や、Ca,Al,Fe系化合物の添加や、酸化剤・還元剤の添加等により結晶を析出させてもよい。ここで、結晶は、凝集沈殿槽30Aから返送された汚泥を結晶の核として成長する。
第2反応槽20は、第1反応槽10からの処理水を導入すると共に、高分子凝集剤添加手段21から高分子凝集剤が添加されることで、凝集反応させ、凝集フロックを形成させる。
ここで、高分子凝集剤としては、例えば、アニオン性〜カチオン性のポリアクリルアミド等を用いることができる。
凝集沈殿槽30Aは、第2反応槽20からの凝集フロックを含む処理水を導入し、スラッジブランケット部Sにおいて、凝集フロックを成長させた後、固形物としての凝集フロックと処理水とを分離する。分離された処理水は、凝集沈殿槽30Aの上部で槽外へ排出される。凝集フロックは、一部は返送ラインL1を経由して前段に返送され、残りはスラッジブランケット部Sから越流し、汚泥濃縮部Z4から濃縮汚泥として排出ラインL2により貯留槽50に排出される。
貯留槽50は、排出ラインL2を経由して凝集沈殿槽30Aから排出された汚泥を貯留する。貯留槽50に溜められた汚泥は、脱水機60に運ばれ、脱水処理された後、系外に運ばれる。
次に、本実施形態の凝集沈殿槽30Aについて説明する。図2に示されるように、凝集沈殿槽30Aは、有底円筒状の外壁部31を備え、さらに、外壁部31の内側には、外壁部31と同心になるように立設された有底円筒状の内壁部32が設けられている。内壁部32は、外壁部31に比べて直径が小さく、高さも小さい。内壁部32は、図示しない架台により外壁部31に支持されている。
外壁部31の軸線L上には、センターシャフト40が配置されている。センターシャフト40の外側には、センターシャフト40を囲むようにフィードパイプ41が設けられている。フィードパイプ41は、流入水配給管39に連結されている。流入水配給管39は、外壁部31を貫通して外壁部31の外側に突き出し、第2反応槽20に接続されている。流入水配給管39の内部とフィードパイプ41の内部とは連通している。本実施形態では、外壁部31、内壁部32、センターシャフト40、及びフィードパイプ41の軸線は全て共通の軸線Lになっている。
フィードパイプ41は、上下方向で上部41aと下部41bとに分けられており、上部41aと下部41bとの間は、ラビリンス構造等のロータリジョイント42により接続されている。フィードパイプ41は、その上部41aの側面で流入水配給管39と接続されており、フィードパイプ41の下部41bには、分散管33が設けられている。分散管33は、内壁部32の下部に配置されており、分散管33には、複数の流入水吐出口33aが形成されている。分散管33は、流入水吐出口33aを内壁部32の底部32c側に向けた状態でセンターシャフト40とともに回転する。このとき、フィードパイプ41の下部41bは、分散管33と一緒に回転する。なお、フィードパイプ41の上端部は閉じられているが、上方に向かって開放されてもよい。
センターシャフト40は、ロータリジョイント43により底部32cに接続されている。センターシャフト40の下端には、濃縮汚泥掻寄機34が設けられている。センターシャフト40の回転に伴って濃縮汚泥掻寄機34も回転する。濃縮汚泥掻寄機34は、外壁部31の底部31c上に設けられ、外壁部31の底部31cに堆積した濃縮汚泥を排出ラインL2が設けられた中央部に掻き寄せる。
本実施形態では、内壁部32の内側領域はスラッジブランケット部Sとして機能し、外壁部31に囲まれた内壁部32の外側領域の断面ドーナツ状の領域は汚泥を沈降する沈降ゾーンZ3として機能する。スラッジブランケット部Sは、フロック成長ゾーンZ1と、フロック成長ゾーンZ1より上方に形成される分離ゾーンZ2とを有している。フロック成長ゾーンZ1は、凝集沈殿槽30Aに流入する流入水の上昇流によって凝集フロックの流動層を形成している。分離ゾーンZ2は、凝集フロック(固形物)と処理水とを固液分離する。濃縮汚泥掻寄機34が設けられている領域は、汚泥濃縮部Z4として機能する。
内壁部32には、スラッジブランケット部Sから汚泥を引き抜くことができる引き抜きライン35が接続されている。引き抜きライン35は、スラッジブランケット部Sにおいて分離ゾーンZ2より下方から凝集フロックと水とを含む汚泥を引き抜けるように、引き抜きライン35の端部に設けられた引き抜き口35aが内壁部32の底部32cに接続されている。また、引き抜きライン35は、外壁部31及び内壁部32を貫通して外へ突き出すと共に、ポンプPを介して返送ラインL1に接続されている。返送ラインL1は、第1反応槽10に接続されている。これにより、スラッジブランケット部Sにおいて分離ゾーンZ2より下方から引き抜かれた汚泥は、前段に返送され、引き抜きライン35及び返送ラインL1を経て第1反応槽10、第2反応槽20を経由し、再び凝集沈殿槽30Aに流入される。
次に、凝集沈殿槽30Aを利用した凝集沈殿方法について説明する。第2反応槽20からのフロックを含む処理水は、流入水配給管39を経て、フィードパイプ41に導入される。フィードパイプ41に導入された流入水は、フィードパイプ41の内を下方に向けて流動し、分散管33で分かれて流入水吐出口33aから噴出する。フロック成長ゾーンZ1内に供給された流入水は、フロック成長ゾーンZ1の全面にわたってほぼ均等に供給され、流入水の上昇流により流動層を形成する。流入水に含まれた小さいフロックは、流動層で上昇する過程で、凝集フロックと接触して捕集され、粒子径が大きく成長する。このように、流入水は、フロック成長ゾーンZ1を上昇しながらフロックを成長させる。
ここで、フロックは、その比重が水より大きいため、フロック成長ゾーンZ1の底部に堆積しようとするが、流入水の連続供給により上昇する。この上昇する過程で、流入水のフロックは成長してより大きくかつ重くなり、ある程度まで重くなると、上昇しない。よって、図2に示されるように、内壁部32の上部には、より大きくかつ重くなったフロックが集まり、流入水の上昇流による上昇力とバランスすることで、フロック濃度が不連続に変化する薄い仮想境界層K(スラッジブランケット部Sの界面付近)が形成される。つまり、外壁部31の上方の清澄部Qとスラッジブランケット部Sとの境界には仮想境界層Kが形成されている。ここで、本実施形態において、仮想境界層K及びその下方付近を分離ゾーンZ2という。分離ゾーンZ2には、フロックが高濃度に保持されている。また、分離ゾーンZ2に集まったフロックの一部は、流入水による流動層により内壁部32の周縁部に移動し、内壁部32からF1方向に沿って越流することで沈降ゾーンZ3に流れ込む。ここで、越流とは、大きくかつ重くなったフロックが、内壁部32を超えて分離ゾーンZ2から沈降ゾーンZ3へ溢れ出されることをいう。
スラッジブランケット部Sを通過した処理水は、流入水の上昇流によって上昇し、外壁部31の上部から外部へ排出される。内壁部32の周縁部からF1方向に沿って越流した凝集フロックは、沈降ゾーンZ3に流れ込み、沈降される。
沈降ゾーンZ3は、内壁部32の周縁部の内側から越流して流れ込んだ凝集フロック(汚泥)を沈降する。ここで、スラッジブランケット部Sから越流して流れ込んだ凝集フロックは、比重が水より大きいので、自然に外壁部31の底部31cに向けて沈降する。外壁部31の底部31cに沈降して堆積した凝集フロックは、濃縮されて濃縮汚泥になり、汚泥濃縮部Z4に設けられた濃縮汚泥掻寄機34の回転により、中央部に掻き寄せられ、排出ラインL2により貯留槽50に運ばれる。
ここで、従来技術の凝集沈殿システムにおいては、汚泥濃縮部Z4に接続された排出ラインL2から排出した汚泥の一部を、前段の凝集反応槽に返送して循環させる。その目的は、凝集反応槽に、結晶が成長する核としての種晶を供給することにある。凝集反応槽に種晶を供給した場合、種晶を核として結晶が成長し、大きな粒子が生成する。そのため凝集沈殿槽による固形物と処理水との固液分離性が良好になる。
しかし、従来技術の凝集沈殿システムのように、汚泥濃縮部Z4に接続された排出ラインL2から排出した汚泥を前段に返送する構成を採用すると、その汚泥が凝集沈殿槽のスラッジブランケット部Sへ導入されることに応じてスラッジブランケット部Sにおける上昇流速が速くなる。この場合、導入された流入水のスラッジブランケット部Sでの滞在時間が短くなり、上昇速度が速くなるため、フロック成長・分離が十分に行われず、分離後の処理水の水質が低下するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、スラッジブランケット部Sにおいて分離ゾーンZ2より下方側からフロックと水を含む混合物(汚泥)を引き抜き、前段の第1反応槽10に返送する。
このとき、スラッジブランケット部Sへの流入水量と、引き抜きライン35によりスラッジブランケット部Sから引き抜かれた汚泥引き抜き量は、下記の式を満たす。
スラッジブランケット部Sへの総流入水量=(スラッジブランケット部Sへの流入水量)−(スラッジブランケット部Sからの汚泥引き抜き量)=原水量
原水量が一定である場合、スラッジブランケット部Sの上昇流速は、汚泥循環の有無や、汚泥循環量の大小に関わらず、スラッジブランケット部Sの上昇速度は一定である。つまり、スラッジブランケット部Sの容量を大きくせずに、良好な凝集フロックを成長させ、沈降分離させるための適切な滞留時間と上昇流速を保つことができ、清澄な処理水を得ることが可能となる。また、スラッジブランケット部Sにおいて、フロック化に必要な滞留時間を確保できると共に、上昇流速の増加がなく、流れの均一化ができるため、スラッジブランケット部Sから排出される処理水質を良好に維持することが可能である。その結果、汚泥濃縮部Z4から引き抜かれた汚泥を前段に返送する場合に比較して、スラッジブランケット部Sを大型化する必要がないため、凝集沈殿槽30Aを大型化することなくより良好な処理水質を得ることができる。
さらに、本実施形態の場合、スラッジブランケット部Sから汚泥を引き抜き、前段に返送して循環させることで、
(スラッジブランケット部Sへの流入SS量)−(スラッジブランケット部Sからの引き抜きSS量)=一定、とすることができる。
即ち、スラッジブランケット部Sから沈降ゾーンZ3への凝集フロックの越流量が一定となり、汚泥循環の有無や、汚泥循環量の大小に関わらない。よって、汚泥を循環運転するために、例えば、沈降ゾーンZ3、汚泥濃縮部Z4の容量を大きくする必要はない。
以上のように、本実施形態によれば、引き抜きライン35がスラッジブランケット部Sから汚泥を引き抜き、前段に返送して循環させることで、凝集沈殿槽30Aを大型化することなく、より良好な処理水質を得ることができる。
また、本実施形態では、スラッジブランケット部Sの底部32c側から汚泥を引き抜いているため、スラッジブランケット部Sにおいて、汚泥返送によりスラッジブランケット部Sの上昇流の流速が増加する領域を最小限に抑えることが可能である。
以上、本発明をその実施形態に基づき説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、上記実施形態では、有底円筒状の外壁部31及び内壁部32による二重構造式の凝集沈殿槽を用いているが、本発明の凝集沈殿槽は、このような二重構造式に特に限定されず、スラッジブランケット部の凝集フロックが越流して沈降ゾーンに流入できる構成を備える範囲で変更してもよい。このような変更例としては、例えば、スラッジブランケット部を形成するスラッジブランケット槽の外周部のうち一部に沿って、沈降ゾーンとして機能する1以上の沈降槽を設ける構成が挙げられる。このように、スラッジブランケット部としてのスラッジブランケット槽及び沈降ゾーンとしての沈降槽の形状は適宜変更することができる。
また、上記実施形態において、引き抜きライン35は、凝集沈殿槽30Aのスラッジブランケット部Sを形成する内壁部32の底部32cに接続されているが、内壁部32の側面に取り付けられていてもよく、少なくともスラッジブランケット部Sの分離ゾーンZ2の下方に取り付けられていればよい。この場合、引き抜きライン35の取付け位置よりも上方では、上記実施形態で説明したようにスラッジブランケット部Sにおける流入水の上昇速度を低下させることが可能である。したがって、特に分離ゾーンZ2を通過する流入水の速度が上昇することを抑制できるため、分離ゾーンZ2における固形物と水との分離を好適に行うことができ、凝集沈殿槽30Aを大型化することなくより良好な処理水質を得ることができる。
なお、スラッジブランケット部Sの側面に引き抜きライン35が取り付けられる場合、スラッジブランケット部Sの側板にノズルを設けるだけでよいので、装置構造を簡単にすることができる。一方、スラッジブランケット部Sの底部32cに引き抜きライン35が接続される場合、スラッジブランケット部Sの底面にノズルを設けるため、汚泥濃縮部Z4内に引き抜きライン35が設けられ、装置構造が複雑になる場合がある。しかし、スラッジブランケット部Sの底部32cに引き抜きライン35が接続される構成は、スラッジブランケット部S全体においてスラッジブランケット部S全体の上昇速度を低下させることができ、汚泥返送によりスラッジブランケット部Sの上昇流の流速が増加する領域を最小限に抑えることが可能である点から好ましい。
また、スラッジブランケット部Sの内部での上昇流速を抑制することで、フロックの成長を促進させるという観点において、引き抜きライン35をスラッジブランケット部Sの下部に接続して、スラッジブランケット部Sの下部から汚泥を引き抜ける構成とすることができる。ここで、スラッジブランケット部Sの下部とは、スラッジブランケット部Sの上下方向での下側半分を指す。この場合、引き抜きライン35は、スラッジブランケット部Sの下側半分の底面又は側面に設けられてもよい。スラッジブランケット部Sの下部で汚泥を引き抜く構成とすることで、引き抜きライン35より上方における流動層の整流性に与える影響を低減させることができるため、良好な処理水質を得ることができる。スラッジブランケット部Sにおいて、汚泥返送によりスラッジブランケット部Sの上昇流の流速が増加する領域を最小限に抑えることが可能である。
さらに、引き抜きライン35が、上記実施形態のように流入水の分散管33よりも下方に取り付けられている場合、分散管33よりも上方に形成される流動層の整流性を好適に保ちやすくなるため、良好な処理水質を得やすくなる。
また、上記実施形態では、1つの引き抜き口35aが内壁部32の底部32cに接続された引き抜きライン35について示したが、複数の引き抜き口35aを備えた引き抜きライン35を用いてもよい。この場合、例えば、複数の引き抜き口35aが軸線Lを囲んで均一になるように配置することもできる。また、例えば、引き抜き口35aが内壁部32の底部32cに均一に分散されるように配置することもできる。この場合、汚泥が引き抜かれる箇所が均一に分布しているので、流入水によって形成された流動層に与える影響を抑制できる。
上記のように、凝集沈殿槽のスラッジブランケット部に設けられる引き抜きラインの構成は適宜変更することができる。ここで、凝集沈殿槽の第1の変形例として図3に示す凝集沈殿槽30Bについて説明する。凝集沈殿槽30Bは、内壁部32の底部32cに下方に凹んでいるように設けられた汚泥貯留部46を有し、引き抜きライン35が汚泥貯留部46に連結されている。この場合、内壁部32の底部32cに設けられた汚泥貯留部46から汚泥を引き抜くことで、引き抜きラインを設けることによる流動層の整流性に影響が及ぶ範囲を汚泥貯留部46付近とすることができ、汚泥貯留部46で汚泥が濃縮され、SS濃度の高い汚泥を前段に返送することも可能となる。なお、汚泥貯留部46は、例えば、軸線Lを囲んでドーナツ状に形成されてもよく、複数の汚泥貯留部46が均一に分散しているように形成されてもよい。このような構成であると、汚泥が引き抜かれる箇所が均一に分布しているので、流入水によって形成された流動層に与える影響を抑制できる。したがって、フロックの成長効果及び固形物と水との分離効果がさらに向上する。
また、図3において、汚泥貯留部46は、底部32cの一部が下方に凹んでいるように設けられているが、例えば、凝集沈殿槽30B外部に配管を介して設けられ、引き抜きライン35が、この凝集沈殿槽30B外部の汚泥貯留部に接続されてもよい。この構成によれば、汚泥貯留部で汚泥が濃縮され、SS濃度の高い汚泥を前段に返送することが可能となる。
また、第2の変形例として図4に示されるような凝集沈殿槽30Cを用いることもできる。凝集沈殿槽30Cにおいて、引き抜きライン45は、内壁部32の壁を突き通すことなく、スラッジブランケット部Sの上面より挿入され、スラッジブランケット部Sの分離ゾーンZ2より下方に位置された引き抜き口45aを有する。このとき、引き抜きライン45は、分離ゾーンZ2を略垂直方向で貫通して内壁部32の上方で外壁部31の外側へ突出し、返送ラインL1に接続されている。ここで、引き抜きライン45は、外壁部31を上部で貫通して外へ突き出されるので、貫通部付近の水圧は、引き抜きラインが外壁部31を下部で貫通する場合に比べてより低く、外壁部31の貫通部を密封するための構成が簡単となる。
さらに、第2変形例の凝集沈殿槽30Cにおいて、引き抜きライン45は外壁部31のみを突き通すことで外壁部31の外側へ突出することができる。よって、引き抜きラインが分離ゾーンZ2を上下方向で貫通せずに、内壁部32と外壁部31を突き通して外壁部31の外側へ突き出す場合に比べて、突き通すべき壁が少なくなり、設備の構成がより簡単となることができる。
なお、引き抜きライン45は、内壁部32の上方で外壁部31を貫通して外側へ突出するが、例えば引き抜きライン47のように、上部開放型の凝集沈殿槽の水面を貫通して外側へ突出されてもよい。このとき、引き抜きライン47が外壁部31を貫通しないため構成が簡単となる。また、引き抜き口45aの上下位置を変更し、汚泥の引き抜き位置を変更する構造とすることができる。
ここで、汚泥を引き抜くことがフロック成長ゾーンZ1の流動層の整流性に与える影響を制御できるように、引き抜き口45aは、例えば、軸線Lを囲んで均一に分布されてもよい。引き抜き口45aに連結された引き抜きライン45は、例えば、一本のラインに接続されて外壁部31の外側へ突き出してもよい。
また、引き抜きライン45は、引き抜き口45aの位置を変更可能に設けられてもよい。この構成によれば、引き抜き口45aの位置による汚泥引き抜き位置を変更するように引き抜きライン45を設けることにより、スラッジブランケット部Sの整流性に影響しないように、汚泥引き抜き位置を調整することが可能である。したがって、スラッジブランケット部Sの整流性が向上でき、より良好な処理水質を得ることができる。なお、この構成において、例えば、複数箇所に引き抜き口45aが設けられ、バルブ自動切り替え等により一定時間ごとに汚泥引き抜き位置を変更するようにコントロールしてもよい。
また、上記実施形態では、流入水の分散管33を二本にしたが、駆動軸管に対して放射状に延在する三本以上の分散管を設けるようにしてもよい。また、分散管33は、駆動軸管の軸線に直交する態様に限定されず、凝集沈殿槽の底部の形状に対応して傾斜してもよい。
また、凝集沈殿システムの構成についても適宜変更することができる。ここで、図5の(a)及び(b)を参照して凝集沈殿システムの2つの変形例について説明する。
図5(a)に示されるように、凝集沈殿システム100Bは、第1実施形態の第2反応槽20に代えて、ラインミキサー22を有している。ラインミキサー22は、第1反応槽10からの処理水に、高分子凝集剤添加手段21からの高分子凝集剤を添加して、処理水と高分子凝集剤とを混合する。その後、高分子凝集剤が混合された処理水は凝集沈殿槽30Aの流入水として流れ込み、凝集沈殿槽30Aで凝集沈殿処理を行う。
ここで、ラインミキサー22は、高分子凝集剤と処理水とを混合するものなので、凝集フロックを形成する反応は基本的に凝集沈殿槽30Aのスラッジブランケット部S内で行われて、凝集フロックを形成する。
また、図5(b)に示されるように、第1実施形態の第2反応槽を使わず、凝集沈殿槽30Aの直前の流入水配給管中に、高分子凝集剤添加手段21から高分子凝集剤をライン注入してもよい。この場合、凝集フロックは、主に凝集沈殿槽30Aのスラッジブランケット部S内で形成される。
また、図5(b)に示されるように、凝集沈殿システム100Cは、第1反応槽10の前に、活性汚泥処理槽70を有してもよい。この場合、凝集沈殿槽30Aから引き抜いた汚泥は、全て活性汚泥処理槽70に返送して循環させてもよく、一部の汚泥は活性汚泥処理槽70に、他の部分の汚泥は第1反応槽10に返送することで循環させてもよい。
ここで、活性汚泥処理槽70に汚泥を供給することで、活性汚泥処理槽の汚泥濃度を適切な濃度に維持し、活性汚泥処理槽の菌数を維持することができる。よって、活性汚泥処理槽70は、高い処理負荷で効率よく処理できる。
10…第1反応槽、20…第2反応槽、30A,30B,30C…凝集沈殿槽、35,45…引き抜きライン、46…汚泥貯留部、100A,100B,100C…凝集沈殿システム、S…スラッジブランケット部、L1…返送ライン、L2…排出ライン、Z1…フロック成長ゾーン、Z2…分離ゾーン、Z3…沈降ゾーン、Z4…汚泥濃縮部。

Claims (6)

  1. 少なくとも流入水の上昇流によって流動層が形成されるフロック成長ゾーンと、該成長
    ゾーンより上方に形成される固形物と処理水とを分離する分離ゾーンと、を有するスラッ
    ジブランケット部を備えた凝集沈殿槽であって、
    運転時に前記分離ゾーンより下方から槽外へ汚泥を引き抜いて前記スラッジブランケッ
    ト部における流入水の上昇速度を制御する引き抜きラインと、
    前記分離ゾーンより上方から越流した汚泥を排出する排出ラインと、
    を備え
    前記引き抜きラインにより汚泥を引き抜くことで前記スラッジブランケット部の上昇流
    の流速が増加することを抑えることを特徴とする凝集沈殿槽。
  2. 前記引き抜きラインは前記スラッジブランケット部の下部に接続されていることを特徴
    とする請求項1記載の凝集沈殿槽。
  3. 前記スラッジブランケット部の底部に汚泥貯留部が設けられ、前記引き抜きラインは該
    汚泥貯留部に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の凝集沈殿槽。
  4. 前記引き抜きラインは、前記分離ゾーンを貫通して設けられていることを特徴とする請
    求項1に記載の凝集沈殿槽。
  5. 前記引き抜きラインは汚泥引き抜き位置を変更可能に設けられていることを特徴とする
    請求項4に記載の凝集沈殿槽。
  6. 凝集剤と原水とを反応させる凝集反応槽と、
    前記凝集反応槽からの流入水を固液分離する請求項1〜5のいずれか一項に記載の凝集
    沈殿槽と、
    を備える凝集沈殿システムであって、
    前記引き抜きラインは前記凝集反応槽へ接続されていることを特徴とする凝集沈殿シス
    テム。
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