JP6320436B2 - 撮像装置および撮像方法 - Google Patents

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Description

この発明は、試料容器に担持された生試料を照明下で撮像する技術に関するものであり、特にその照明に関する。
医療や生化学等の分野では、細胞や細菌等を含む生試料を観察したり分析したりするために、当該生試料を撮像するための装置が実用化されている。培養液中の細胞は透明に近いため、例えば被撮像物が容器の底面に沿って二次元的な広がりを有する細胞である場合、一般的な明視野撮像では十分なコントラストが得られないことがある。このような被撮像物の撮像には暗視野撮像技術や位相差顕微鏡が用いられるが、照明および撮像光学系の構造が特殊であるため、特に広い視野を撮像する場合には装置構成が大型で高価なものとなる。
この問題に対し、例えば特許文献1に記載の観察装置では、明部と暗部とが周期的に配置された周期光源に、これと逆の位相で遮光部と開口部とが設けられた遮光手段を組み合わせた照明が用いられている。このような構成では、光源から直接撮像手段に向かう光が遮光手段によって遮光され、被撮像物で屈折されたり散乱されたりした光のみが撮像手段に入射するため、暗視野撮像と同様の撮像結果が得られる。
特開2008−256610号公報
上記従来技術では、撮像光学系の集光特性に応じて照明の構成を変える必要がある。例えば撮像光学系がテレセントリック特性を有する場合、光源および遮光手段の周期ピッチを一定とすることができるが、視野の広いテレセントリック光学系は小型化に適しておらず高コストになりがちである。また例えば、撮像光学系が非テレセントリック特性を有する場合、その集光特性に適合するためには光源および遮光手段における周期ピッチが不均等となり、照明と撮像光学系との相対位置が変わらないようにする必要もある。
特に、被撮像物である細胞を多数含むような広い視野で撮像が行われる場合、試料内に分布する細胞の数やサイズを計測する目的で行われることも多い。このような場合、個々の細胞の内部テクスチャよりも各細胞の輪郭が明瞭に現れた画像が必要となる。上記従来技術は、このようなニーズに必ずしも適したものとは言えない。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、簡単な装置構成で、被撮像物の輪郭が明瞭な画像を得ることのできる技術を提供することを目的とする。
この発明の一の態様は、上記目的を達成するため、被撮像物である生試料を担持する試料容器を保持する保持手段と、前記試料容器を照明する照明手段と、前記照明手段から出射され前記試料容器を透過する透過光を受光して前記被撮像物の透過像を撮像する撮像素子、および、前記試料容器と前記撮像素子との間に配置されて前記透過光を前記撮像素子に結像させる撮像光学系を有する撮像手段とを備える撮像装置である。
また、この発明の他の態様は、上記目的を達成するため、被撮像物である生試料を担持する試料容器を照明手段が照明する工程と、前記照明手段から出射され前記試料容器を透過する透過光を受光して前記被撮像物の透過像を撮像する撮像素子、および、前記試料容器と前記撮像素子との間に配置されて前記透過光を前記撮像素子に結像させる撮像光学系を有する撮像手段が前記被撮像物の画像を取得する工程とを備える撮像方法である。
これらの発明において、前記照明手段は、前記撮像光学系の焦点面に平行で前記撮像光学系の被写界深度よりも遠い平面に沿って、かつ該平面のうち前記撮像手段の視野を含み該視野よりも広い領域内に、互いに離隔して一定の配置ピッチで二次元配置され、各々が前記試料容器に向けて拡散光を出射する点光源である複数の光出射部を有し、前記試料容器に対し、前記配置ピッチに対応する周期的な明暗を有する照明光を入射させる複数の光出射部を有する。そして、前記光出射部の各々が前記試料容器に向けて拡散光を出射することで、前記試料容器に対し、前記配置ピッチに対応する周期的な明暗を有する照明光を入射させる。このような構成によれば、簡単な装置構成で、コントラストの良好な、特に被撮像物の輪郭が明瞭な画像を得ることが可能である。その理由は以下の通りである。
本発明では、撮像手段の視野内に、一定ピッチで配置された複数の光出射部が含まれる。したがって、撮像素子には複数の光出射部から出射された光が直接入射し、画像には光出射部の像が含まれる。光出射部が配置される平面は撮像光学系の被写界深度よりも遠くにあるため、撮像される画像において光出射部の像はデフォーカスされている。したがって光出射部が十分遠くに配置されていれば、画像には光出射部の配置ピッチに対応する周期的かつ緩やかな明暗変動が現れるのみである。
生試料における細胞等の被撮像物は透明に近いが、細胞がレンズのように作用することで、特に細胞の周縁部に入射した光が屈折により進行方向が変化することが知られている。このため、被撮像物がない場合には撮像手段に入射しない光であっても、被撮像物により屈折することで撮像手段に入射する方向に進路が曲げられることがある。特に被撮像物の周縁部でこの傾向が強く、このことは被撮像物の周縁部を選択的に明るくする。
一般的な拡散光源でもこのような屈折現象は起きるが、被撮像物内部やその外側の背景部でも種々の方向から光が入射しているため画像全体が明るく、コントラストの向上効果は限定的である。一方、本発明では、視野内で略一様な光量分布を得ようとする拡散照明と異なり、離散的に配置された光出射部の各々から拡散光を出射する。したがって、被撮像物の背景部には周期的な明暗変動が生じ、背景部の平均的な明るさは一様な照明、つまり光出射部が隙間なく配置された照明を用いた場合よりも低下する。ただし、直接光が完全に遮光された暗視野撮像技術や特許文献1に記載の技術よりも背景部は明るい。
このため、屈折に起因する被撮像物の周縁部での明るさが背景部に対し相対的に強められることとなり、撮像された画像では被撮像物の輪郭部分が強調されることとなる。結果として、撮像された画像は輪郭部分が強調された被撮像物と、光出射部の配置ピッチに対応して現れる背景部の周期的な明暗とが重畳されたものとなる。背景部の明暗変動の周期は既知であるから、このような空間周波数成分を画像から除去することは比較的容易である。画像から背景部の周期的な明暗変動を差し引くことで、輝度変化の少ない背景と輪郭部分が強調された被撮像物の像とで構成された画像を得ることができる。
被撮像物から出射される光の光量分布そのものが、被撮像物の輪郭部分において光量が強められたものとなっているため、撮像光学系の集光特性によらず同様の効果を得ることが可能である。
このように、本発明では、拡散光を出射する複数の光出射部が撮像光学系の被写界深度よりも遠い平面に沿って一定ピッチで配置された照明手段により被撮像物を照明し透過撮像を行う。このような構成によれば、簡単な装置構成でありながら、被撮像物の輪郭が明瞭な画像を得ることが可能である。
この発明にかかる撮像装置および撮像方法の一実施形態を示す図である。 照明部の構成をより詳細に示す図である。 この実施形態における照明部の作用を示す図である。 焦点面付近に細胞が存在するときの光の分布を示す図である。 点光源と細胞の周縁部との位置関係を示す図である。 細胞がどの位置にあっても輪郭の強調効果が得られるための条件を示す図である。 細胞をレンズと見なす場合の焦点距離の求め方を示す図である。 撮像結果の例を示す図である。 点光源の配列ピッチを変更可能な照明部の他の構成例を示す図である。 この撮像装置の動作例を示すフローチャートである。 点光源の配置の他の例を示す図である。
図1はこの発明にかかる撮像装置および撮像方法の一実施形態を示す図である。この実施形態では、ウェルプレートWPの上面に形成されたウェルWと称される窪部に注入された液体中で培養される細胞等の生試料が、撮像装置1により撮像される。図1において、XY平面は水平面を表す。また、Z軸は鉛直軸を表し、より詳しくは(−Z)方向が鉛直下向き方向を表している。
ウェルプレートWPは、創薬や生物科学の分野において一般的に使用されているものであり、平板状のプレートの上面に、断面が略円形の筒状に形成され底面が透明で略平坦なウェルWが複数設けられている。1つのウェルプレートWPにおけるウェルWの数は任意であるが、例えば96個(12×8のマトリクス配列)のものを用いることができる。各ウェルWの直径および深さは代表的には数mm程度である。なお、この撮像装置1が対象とするウェルプレートのサイズやウェルの数はこれらに限定されるものではなく任意であり、例えば一般的に使用されている12ないし384穴のものが利用可能である。また、複数ウェルを有するウェルプレートに限らず、例えばディッシュと呼ばれる平型の容器で培養された生試料の撮像にも、この撮像装置1を使用することが可能である。
ウェルプレートWPの各ウェルWには、培地Mとしての液体が所定量注入され、この液体中において所定の培養条件で培養された細胞が、この撮像装置1における被撮像物となる。培地Mは適宜の試薬が添加されたものでもよく、また液状でウェルWに投入された後ゲル化するものであってもよい。常用される一般的な液量は、50ないし200マイクロリットル程度である。
なお、ウェルW内で培養され撮像対象となる生試料としては、孤立した細胞のほか、多数の細胞が培地M内で二次元的に広がるように分布した細胞コロニーなどを適用可能である。また、撮像装置1を用いて、細菌や生体組織などの生試料を撮像することも可能である。以下、被撮像物となるこれらを総称して「細胞等」ということがある。
撮像装置1は、細胞等を培地Mとともに各ウェルWに担持するウェルプレートWPの下面周縁部に当接してウェルプレートWPを略水平姿勢に保持するホルダ11と、ホルダ11の上方に配置される照明部12と、ホルダ11の下方に配置される撮像部13と、これら各部の動作を制御するCPU141を有する制御部14とを備えている。
照明部12は、ホルダ11により保持されたウェルプレートWPに向けて照明光(例えば白色光)を出射する。より具体的には、照明部12は、下向きの方向成分を有する拡散光を出射する面光源121と、面光源121とウェルプレートWPとの間に配置された遮光プレート122とを備えている。遮光プレート122は、一定ピッチで開口が二次元配列された平板状部材である。面光源121から出射される拡散光のうち、遮光プレート122の開口を通過した光成分がウェルプレートWPに照射される。言い換えれば、照明部12は、遮光プレート122の開口の各々がウェルプレートWPに向けて拡散光を出射する。
ホルダ11により保持されたウェルプレートWPの下方に、撮像部13が設けられる。撮像部13では、ウェルプレートWPの直下位置に対物レンズを含む撮像光学系131が配置されており、撮像光学系131の光軸AXは鉛直方向(Z方向)に向けられている。図において撮像光学系131は代表的に1つの対物レンズにより示されるが、レンズ等の光学素子が複数組み合わされたものでもよい。
撮像部13により、ウェルW内の生試料が撮像される。具体的には、照明部12から出射されウェルWの上方から培地Mに入射した光が被撮像物である細胞等を照明し、ウェルW底面から下方へ透過した光が、撮像光学系131を介して撮像素子132の受光面に入射する。撮像光学系131により撮像素子132の受光面に結像する被撮像物の像が、撮像素子132により撮像される。撮像素子132としては例えばCCDセンサまたはCMOSセンサを用いることができ、二次元イメージセンサおよび一次元イメージセンサのいずれであってもよい。
撮像部13は、制御部14に設けられたメカ制御部146によりXYZ方向に移動可能となっている。具体的には、メカ制御部146が、CPU141からの制御指令に基づき、撮像部13をX方向およびY方向に移動させることにより、撮像部13がウェルWに対し水平方向に移動する。またZ方向への移動によりフォーカス調整がなされる。メカ制御部146は、撮像対象となるウェルWの直下位置に撮像部13を水平方向に位置決めする。撮像部13の撮像素子が一次元イメージセンサである場合には、イメージセンサの長手方向と直交する方向に撮像部13を走査させることにより二次元画像を撮像することができる。このような撮像方法では、被撮像物である細胞等に対し非接触、非破壊かつ非侵襲で撮像を行うことができ、撮像による細胞等へのダメージを抑えることができる。
撮像部13の撮像素子132から出力される画像信号は、制御部14に送られる。すなわち、画像信号は制御部14に設けられたADコンバータ(A/D)143に入力されてデジタル画像データに変換される。CPU141は、受信した画像データに基づき適宜画像処理を実行する。制御部14はさらに、画像データを記憶保存するための画像メモリ144と、CPU141が実行すべきプログラムやCPU141により生成されるデータを記憶保存するためのメモリ145とを有しているが、これらは一体のものであってもよい。CPU141は、メモリ145に記憶された制御プログラムを実行することにより、後述する各種の演算処理を行う。
その他に、制御部14には、インターフェース(IF)部142が設けられている。インターフェース部142は、ユーザからの操作入力の受け付けや、ユーザへの処理結果等の情報提示を行うほか、通信回線を介して接続された外部装置との間でのデータ交換を行う。なお、制御部14は、上記したハードウェアを備えた専用装置であってもよく、またパーソナルコンピュータやワークステーション等の汎用処理装置に、後述する処理機能を実現するための制御プログラムを組み込んだものであってもよい。すなわち、この撮像装置1の制御部14として、汎用のコンピュータ装置を利用することが可能である。汎用処理装置を用いる場合、撮像装置1には、撮像部13等の各部を動作させるために必要最小限の制御機能が備わっていれば足りる。
図2は照明部の構成をより詳細に示す図である。照明部12は、面光源121の下方に遮光プレート122が近接配置された構造を有している。遮光プレート122は、遮光性材料により形成された平板状部材に、X方向およびY方向にそれぞれ一定ピッチで開口122aが設けられた構造を有する。遮光プレート122の外形サイズは、面光源121の平面サイズと同じまたはこれよりも大きい。なお、図1および図2に示す例では面光源121と遮光プレート122との間に隙間があるが、これらが密着していてもよい。照明部12では、光源121に対し遮光プレート122が着脱自在であることが好ましい。
開口122aは、X方向およびY方向のそれぞれにおいて、遮光プレート122下面のうち撮像部13の撮像視野FV内に複数が含まれるように配置される。また、X方向およびY方向のそれぞれにおいて、撮像視野FVの両端部よりも外側にもそれぞれ少なくとも1つの開口122aが設けられる。具体的な寸法例については後述する。
面光源121から出射される光は遮光プレート122により遮光されるが、開口122aに入射した光は遮光プレート122を通過してウェルプレートWP側に出射される。なお、開口122aは面光源121からの出射光を部分的に通過させる機能を有するものであり、同様の機能を有するものであれば遮光プレートは他の構造であってもよい。例えば、開口部に透明窓が設けられた構造でもよい。また、透明な平板状部材に遮光性材料によるマスクパターンが設けられ、該マスクパターンに光を通過させる透過部が規則的に配置された構造であってもよい。
また、遮光プレートは、ウェルプレートWPに対向し開口が配列された面が概略平面状となっていれば全体の形状は板状のものに限定されない。例えば面光源を収容するケースの底面に開口が設けられ、該底面が遮光プレートとしての機能を有するものであってもよい。
上記のように構成された照明部12では、遮光プレート122の下面が、照明光を出射する「光出射面」として機能している。すなわち、遮光プレート122に一定ピッチで設けられた開口122aがそれぞれ照明光としての拡散光を出射する実効的な「光出射部」となっており、各開口122aは擬似的な点光源と見なすことができる。そして、このような光出射部が遮光プレート122の下面に規則的に配列されて、該下面が光出射面となっている。このことから、以下の説明においては、照明部12を「光出射面に複数の点光源が一定ピッチでマトリクス配置されたもの」として模式的に表すことがある。
図3はこの実施形態における照明部の作用を示す図である。より具体的には、図3(a)は照明部12と撮像部13との位置関係を示す図である。また図3(b)は撮像部13により受光される透過光の光量分布を示す図である。図3(a)では、照明部12が水平な光出射面123に複数の点光源124が配列されたものとして表されている。撮像部13の焦点は、被撮像物である細胞等が分布する位置に合わせられる。すなわち、撮像光学系131の被写界深度DOF内に被撮像物が収まるように焦点調整がなされ、このとき撮像光学系131の焦点面FPは概ねウェルWの底面近傍にある。
一方、照明部12は撮像部13から見て被撮像物よりも遠くに配置され、光出射面123は撮像光学系131の被写界深度DOFから十分遠くにある。光出射面123では、撮像部13の撮像視野FV内に複数の点光源124が配置されている。このため、各点光源124からの出射光の一部が撮像部13の撮像光学系131に直接入射し、撮像される画像には撮像視野FV内にある点光源124の像が含まれる。ただし、光出射面123が撮像光学系131の被写界深度DOFよりも十分に遠いため、点光源124の像はデフォーカスされたものとなっている。したがって、図3(b)に示すように、撮像部13に入射する光は、点光源124の配列ピッチに応じた周期で明暗が緩やかに変化するような光量分布を有している。
図3(b)において点線は、実質的に一様な拡散光を出射する面光源、つまり点光源が十分近接して配列されたのと等価な構成を有する照明部により照明された場合の光量分布を示している。この場合、撮像部13に入射する光の光量分布は概ね一様である。これに対して、本実施形態の照明部12による照明下では、光源が分散しているため全体的に光量が小さく、また空間的には周期的な変動を有している。
図4は焦点面付近に細胞が存在するときの光の分布を示す図である。より具体的には、図4(a)はこのときの光線図の例を示す図であり、図4(b)は撮像部13により受光される透過光の光量分布を示す図である。細胞Cは概ね透明で培地と同程度の屈折率を有している。そのため、特にウェルW底面に沿って薄く広がる細胞Cの場合、拡散照明下では背景の培地との差異が少ない。ただし、細胞Cを上からまたは下から見たときの周縁部に当たる部分では細胞C表面の曲率が大きいため、この部分では光の屈折が比較的大きくなる。
このため、図4(a)に符号L2、L3で示すように、いずれかの点光源124から出射され、細胞Cがなければ撮像部13には入射しないが細胞Cの周縁部で屈折し進行方向が変わることで撮像部13に入射するような光が生じてくる。図では屈折光を点線矢印で示している。細胞Cの中央部に入射する光L4は細胞Cを透過して撮像部13に入射するため、光量は細胞がない場合と大きく変わらない。細胞の外部の背景部分も同様である。
このことは、細胞Cの周縁部から撮像部13に入射する光が選択的に強められ、結果として、撮像される画像において細胞Cの輪郭が明るく強調される効果があることを意味する。すなわち、図4(b)に示すように、撮像部13に受光される光は、細胞が存在しない場合と同様の周期的な光量変動を有する背景に、細胞Cの周縁部に対応する位置に局所的な高光量のピークが重畳した形の光量分布となる。
照明部が一様な面光源である場合、焦点面FP上の各点に対し種々の方向から照明光が入射し一様な明るさの画像が得られる。このため、細胞周縁部での屈折光が背景に紛れてしまい輪郭を強調する効果は小さい。本実施形態では、光出射面123に離隔して点在する点光源124から照明光を入射させているため、焦点面FP上の各点への直接光の入射方向が離散的である。そのため、画像全体の平均的な明るさは一様光源の場合より低下するが、点光源124から細胞周縁部に入射する直接光が屈折して撮像部13に入射する場合の光量の増加がより顕著となる。これにより、輪郭の強調効果も顕著である。
図4(b)に示すように、撮像された画像には、点光源124の離散的な分布に起因する周期的な背景輝度の変動が現れる。しかしながら、点光源124の配列ピッチが既知であるため、この変動周期も事前に把握することが可能である。被撮像物である細胞Cのサイズに対し変動周期が十分に大きければ、得られた画像から当該変動周期に対応する空間周波数成分を除去する画像処理を行って変動成分を事後的に消去し、輪郭部分の明るさが強調された細胞Cの画像を得ることが可能である。
次に、照明部12における点光源124の配列ピッチについて説明する。上記したように、画像処理によって照明光の変動成分を除去するためには、撮像される画像において、被撮像物である細胞や細胞コロニーのサイズよりも光源の配列ピッチが大きいことが望ましい。この場合、被撮像物の実サイズと光源の配列ピッチとが直接比較されるのではなく、画像内での被撮像物のサイズと画像内における背景光の変動周期とが対比される。撮像倍率や視野角、被撮像物および光出射面123の対物レンズからの距離によって画像内での見かけの大きさが変化するからである。多くの場合、被撮像物である細胞等のサイズは数十μm程度である。したがって、例えば点光源の配列ピッチを数mmとすることで上記条件を満足させることは比較的容易であると考えられる。
また、背景輝度の周期的な変動が事後的に除去されるとの前提の下、一定周期での背景輝度の変動を許容する一方で被撮像物がどの位置にあっても照明条件が極端に変わらないようにするために、撮像部13の撮像視野FV内に複数の点光源124が含まれることが望ましい。より詳しくは、図2に示したように、光出射面123のうち撮像部13の撮像視野FVに含まれる領域において二次元的に、つまり異なる2方向のそれぞれで複数の点光源124(図2では開口122a)が配置されていることが望ましい。
さらに、被撮像物が撮像部13の撮像視野FV内のどの位置にあっても輪郭の強調効果が得られるための条件について考える。このために必要とされる条件は、「少なくとも1つの点光源から細胞の周縁部に向けて入射する光が、細胞のない状態では撮像部13に入射せず、細胞による屈折があるときのみ撮像部13に入射する」という状態が、被撮像物がどの位置にあっても成立することである。この条件が成立するとき、細胞の輪郭を強調するような屈折光を生じさせる点光源が少なくとも1つ存在することになる。
図5は点光源と細胞の周縁部との位置関係を示す図である。具体的には、図5(a)は点光源124と細胞Cの周縁部との水平距離Dhが比較的小さい状態を示し、図5(b)は点光源124と細胞Cの周縁部との水平距離Dhが比較的大きい状態を示している。また、図5(c)は点光源124と細胞Cの周縁部との水平距離Dhが、図5(a)に示す状態と図5(b)に示す状態との中間の値である状態を示している。
図5(a)に示すように、点光源124と細胞Cの周縁部との水平距離Dhが比較的小さい場合、細胞Cの周縁部での屈折がない場合(図に実線矢印で示す)、屈折がある場合(図に点線矢印で示す)のいずれにおいても、細胞Cの周縁部を透過した光は撮像光学系131の集光範囲(図に破線で示す)に入る。また、点光源124と細胞Cとの水平距離Dhが十分大きいとき、図5(b)に示すように、点光源124から出射され細胞Cの周縁部に入射する光がたとえ屈折したとしても撮像光学系131の集光範囲には入らない。したがってこれらの場合、細胞Cの輪郭を強調する効果はなく、当該点光源124は単に背景の明るさを増加させるだけである。
これに対し、点光源124と細胞Cとの水平距離Dhが中程度の適度な距離である場合、図5(c)に実線矢印で示すように焦点面FP付近に細胞がなければ撮像光学系131に入射しない光が、細胞Cの周縁部で屈折することで、点線矢印で示すように撮像光学系131の集光範囲(図に破線で示す)に入るようになる。このような光は、撮像される画像において細胞Cの輪郭を明るく光らせ強調する作用を有する。
このように、1つの点光源124が細胞Cの輪郭を強調する効果を挙げるためには、当該輪郭部分と点光源124との水平距離が適切な範囲に入っている必要がある。言い換えれば、この範囲内に少なくとも1つの点光源124が常に存在するように点光源124を配置すれば、撮像視野FV内でどの位置に細胞Cが存在したとしても、細胞周縁部での光の屈折による輪郭の強調効果が得られることになる。
図6は細胞がどの位置にあっても輪郭の強調効果が得られるための条件を示す図である。点光源124aから細胞Cの周縁部の位置に向かう光L5は、細胞Cの周縁部での屈折があれば撮像光学系131に入射し、屈折がなければ撮像光学系131に入射しない。すなわち図5(c)に示す状態である。このとき点光源124aは細胞Cのうち図において左側の周縁部の輪郭を強調する作用を有する。
特に図6に示される点光源124aは、上記条件が満たされる範囲内で図中最も左寄りの位置にある。つまり、点光源124aが図に示される位置よりも僅かでも左にあれば(細胞Cが僅かに右にあると考えても等価である)、図5(a)に示すように、点光源124aから細胞Cの周縁部の位置に向かう光は屈折の有無によらず撮像光学系131に入射し、細胞Cの輪郭を強調する効果は失われる。この意味で、図6における細胞Cに対する点光源124aの位置は、点光源124aが細胞Cの輪郭を強調する作用を有するための臨界的な位置である。
細胞Cがどの位置にあっても輪郭の強調効果を得られるようにするためには、細胞Cが図6に示す位置より僅かに右側にずれて点光源124aによる輪郭強調作用が得られなくなったとしても、他の点光源から同様の作用が得られるようにすればよい。図6に示す点光源124bは、点光源124aに隣接する位置であってこのような条件を満たす最も右寄りの位置にある。すなわち、図6の点光源124bの位置は、当該点光源124bから細胞Cの周縁部の位置に向かう光L6が細胞Cの周縁部で屈折することで撮像光学系131に入射するようになる位置のうち、最も右寄りの位置である。これよりも僅かに右側に点光源124bがあれば、細胞Cの周縁部で屈折する光L5は撮像光学系131に入射しなくなり、輪郭の強調効果は得られない。
これらのことから、図6に示す点光源124a,124bの位置関係が、許容される両者間の最大間隔を表していると言える。最近接位置にある2つの点光源の間隔がこれより大きいとき、細胞Cの位置によっては輪郭の強調効果が得られない場合が生じ得る。一方、2つの点光源の間隔が上記最大間隔より小さくなっても、細胞Cの周縁部から撮像光学系131に入射する光量を増加させるという作用は損なわれない。しかし、光源の密度が高くなることによって背景輝度が上昇したり、細胞Cの周縁部に種々の方向から光が入射することで輪郭部分の幅が強調されたりすることで、細胞Cの輪郭を選択的に強調するという効果が却って低下することもあり得る。よって、点光源124の配列ピッチとしては、上記した最大間隔の値、またはこれよりも若干小さい値が選ばれることが好ましい。特に、細胞の光学的特性のばらつきを考慮すると、最大間隔の値よりも小さめの配列ピッチとすることでより確実に輪郭の強調効果を得ることが可能である。
上記した最大間隔、つまり点光源の配列ピッチの最大値の導出を試みる。計算のために、点光源124bから細胞Cの周縁部に対する光L6の入射角をθ1、該光L6の下方(撮像光学系131側)への出射角を符号θ2により表す。また、点光源124aから細胞Cの周縁部に対する光L5の入射角を符号θ3により表す。
上記条件および図6から明らかなように、点光源124aの位置は、当該点光源124aから細胞Cの周縁部に対する光L5の入射角θ3が撮像光学系131の集光範囲の半角θoと一致するような位置である。また、点光源124bの位置は、当該点光源124bから細胞Cの周縁部で屈折して下方(撮像光学系131側)へ出射する光L6の出射角θ2が撮像光学系131の集光範囲の半角θoと一致するような位置である。ここで、撮像光学系131の集光範囲の半角θoは撮像光学系131のNA(開口数)に依存する値である。ここで述べた関係から、半角θoを介して、θ2=θ3であることがわかる。
図6に示すように、以下では2つの点光源の配列ピッチの最大値を符号Pより表す。また、光出射面123と焦点面FPとの間隔を符号Hにより表す。また、細胞Cの直径を符号φ、細胞Cと点光源124aとの水平方向の中心間距離を符号Lにより表す。これらより、以下の式:
H・tanθ1=L+φ/2 … (式1)
H・tanθ3=L−P+φ/2 … (式2)
が得られる。
ここで、細胞Cをレンズと見なし、その焦点距離を符号fにより表すこととする。細胞Cが他の各部の寸法より十分薄くて小さければ近軸光学が適用可能であり、この場合、レンズの公式を用いて次式:
1/{(φ/2)/tanθ1}−1/{(φ/2)/tanθ2}=1/f
… (式3)
が得られる。また(式3)を変形して次式:
tanθ1−tanθ2=φ/2f … (式4)
が得られる。
(式4)に(式1)を代入してtanθ1の項を消去すると、次式:
(L+φ/2)/H=tanθ2+φ/2f … (式5)
が得られる。一方、(式2)にθ2=θ3を適用して変形すると、次式:
(L−P+φ/2)/H=tanθ2 … (式6)
が得られる。(式5)から(式6)を差し引き変形すると、次式;
P=H・φ/2f … (式7)
が得られる。
以上より、照明部12における点光源124の好ましい配列ピッチの最大値Pは、被撮像物である細胞Cのサイズおよび当該細胞Cをレンズと見なしたときの焦点距離に依存することがわかる。本願発明者の知見では、典型的な細胞における直径φは20μm程度、これをレンズと見なしたときの焦点距離fは0.1mm程度である。このような細胞の場合、光出射面123と焦点面FPとの距離Hを例えば15mmとすれば、(式7)より配列ピッチPの値は1.5mm程度となる。
図7は細胞をレンズと見なす場合の焦点距離の求め方を示す図である。細胞Cをレンズと見なしたときの焦点距離fについては、例えば以下のようにして実験的に求めることが可能である。まず評価用試料が準備される。評価用試料は、例えばディッシュ等の適宜の試料容器Dsに、撮像対象であるウェルWに注入される培地Mと同じ培地Msと、被撮像物と同種の細胞Csとが担持されたものである。培地が異なると屈折率が異なるため、細胞のレンズ作用を適切に評価することができなくなる場合がある。
試料容器Dsの上方に、下向きに平行光Lpを出射する光源LSが配置され、下方にカメラ(例えば顕微鏡カメラ)CMが配置される。平行照明下で、カメラCMにより評価用試料を観察しながらカメラCMを上下方向(Z方向)に移動させると、細胞Csのレンズ作用により照明光が収束されてなるスポットの大きさが変化する。このスポットが最も小さくなるとき、細胞Csのレンズとしての焦点位置と、カメラCMの焦点位置とが上下方向において一致していると言える。したがって、このときのカメラCMの焦点位置から細胞Csまでの距離を、細胞Csのレンズとしての焦点距離fとすることができる。
上記計算式を検証するための実験例について説明する。上記計算に基づき、本願発明者は、図2に示す遮光プレート122において各開口122aを1辺0.5mmの正方形とし、またその配列ピッチを1.5mmとしたものを準備した。そして、被撮像物として3T3細胞を用いて撮像を行い、遮光プレート122の効果を確認した。
図8は撮像結果の例を示す図である。図8(a)は遮光プレート122を用いない拡散照明下での撮像結果の例を示している。画像中には、概ね一様な背景中に細胞に起因する高濃度の像が多数分布しているが、それぞれの形状はわかりづらい。図8(b)は上記寸法の遮光プレート122を設置して撮像された画像の例であり、各々の細胞の輪郭部分が明るく光って形状がよりわかりやすくなっていることがわかる。ただし、各開口122aを通過して入射する直接光の影響により、背景に周期的な明暗が現れている。照明部12は撮像光学系131の被写界深度より十分遠くにあるため、開口122aの像が明瞭に現れるわけではなく、大きくデフォーカスされた状態で画像に現れている。
図8(c)は、図8(b)に示す画像に二次元フィルタリング処理を行い、背景の周期成分に対応する比較的低い空間周波数成分を除去した画像である。背景の周期的な明暗の変化が大きく低減されており、各細胞の輪郭部分が明るく強調された画像が得られていることがわかる。このような画像は、細胞の輪郭が明瞭になっているため、細胞の形状、サイズ、個数等を目視によりまたは自動的に計測するのに好適なものとなっている。また、細胞内部のテクスチャ情報も比較的良好に保存されている。
図8(d)は、図8(c)に示す画像に対し公知のエッジ強調処理を実施することで細胞の輪郭部分をさらに強調した画像の例である。図8(c)に示す画像においては細胞の輪郭部分が選択的に明るく撮像されているため、必要に応じて適宜のエッジ強調処理を施すことで、図8(d)に示すように、細胞の輪郭がより強調された画像を作成することも可能となる。また、エッジ強調処理を行うことで細胞の輪郭が選択的かつ適切に強調されるという事実からも、本実施形態の撮像方法が細胞の輪郭を明瞭に表した画像を得るのに適した方法であることが示される。
遮光プレート122においては、各開口122aの開口面積が大きいほど照明光の光量が大きくなり画像は明るくなるが、一様な拡散光源に近づくため細胞の輪郭の強調効果は薄れる。開口122aの開口面積が小さくなれば輪郭部分とその他の部分との明るさの比は大きくなるが、画像自体は暗くなる。この場合、面光源121からの出射光量を増加させることができれば、画像の明るさを改善することが可能である。すなわち、開口122aの配列ピッチが同一で開口面積が異なる複数の遮光プレートが用意されてもよい。
上記したように、点光源124の好ましい配列ピッチは、被撮像物の種類や状態によって異なる。このため、各種の被撮像物に対して良好に撮像を行うためには、照明部12における点光源124の配列ピッチを被撮像物に応じて変化させることが望ましい。これを可能とする第1の方法は、遮光プレート122を照明部12から着脱可能に構成するとともに、開口122aの配列ピッチが互いに異なる複数種類の遮光プレート122を用意しておき、目的に応じて遮光プレート122を取り換える構成とする方法である。被撮像物の特性から(式7)により求められた値Pは、好ましい配列ピッチの上限を与えるものであり、光源の配列ピッチを厳密にこの値Pに設定することを求めるものではない。したがって、用意された複数の遮光プレート122のうち、開口122aの配列ピッチが求められた値P以下で最も大きいものを選択すればよい。
図9は点光源の配列ピッチを変更可能な照明部の他の構成例を示す図である。図9(a)に示す例において、照明部12aは、下向きに一様な拡散光を出射する面光源125と、面光源125の下面に沿って設けられた例えば液晶シャッターからなるシャッター部材126とを備えている。照明部12aが使用されるとき、制御部14には照明部12aを制御する照明制御部147が設けられる。照明制御部147は、シャッター部材126を制御して、シャッター部材126の上面側から下面側へ透過する光の透過パターンを設定する。例えば、液晶シャッターとバックライトとが一体化された液晶表示パネルを、照明部12aとして好適に使用可能である。
シャッター部材126による透過パターンを図2の遮光プレート122における透過パターンを模したものとし、光を透過しない非透過部126bの内部に光を透過する透過部126aが一定ピッチで配列されたものすることにより、各透過部126aが点光源124としての機能を果たすことになる。照明制御部147がシャッター部材126の透過パターンを種々に変更設定することで、点光源124の配列ピッチを種々に変化させることが可能である。
図9(b)に示す例においては、照明部12bは、水平面に沿ってマトリクス配置された微小な多数の発光素子127を備えている。例えば、発光素子127としての発光ダイオード(LED)を有するマトリクスアレイを照明部12bとして用いることが可能である。また、制御部14には各発光素子127の点灯を個別に制御する照明制御部148が設けられる。照明部12bに設けられた多数の発光素子127の全てまたは所定のピッチで選択された一部を点灯させることにより、点灯する発光素子127を点光源124として機能させることが可能である。点灯する発光素子127の組み合わせを照明制御部148が変更設定することにより、点光源124の配列ピッチを種々に変化させることが可能である。
図10はこの撮像装置の動作例を示すフローチャートである。上記のように構成された撮像装置1の動作例について、図10を参照しながら説明する。ここで説明する動作は、装置に搬入されたウェルプレートWPの各ウェルWを撮像し、各ウェルW内の被撮像物の輪郭を強調した画像を作成する処理である。ウェルプレートWPに代えてディッシュ内に被撮像物が担持されている場合でも、基本的に同様の方法で撮像を行うことが可能である。この処理は、制御部14に設けられたCPU141が、メモリ145に予め記録されている制御プログラムを実行して装置各部に所定の動作を行わせることにより実現される。
生試料を培地Mとともに担持するウェルプレートWPが撮像装置1のホルダ11にセットされると(ステップS101)、生試料に応じて点光源124の配列ピッチ(光源ピッチ)が設定される(ステップS102)。具体的には、複数種の遮光プレート122の中から、試料内の被撮像物である細胞に応じて(式7)に基づき算出された配列ピッチPに対応するものが選択され、撮像装置1にセットされる。照明部の構成が図9(a)または図9(b)に示すものである場合にも、照明制御部147または148により、被撮像物に応じて光源ピッチが適宜に設定される。
このようにして設定された照明条件下で、撮像部13によりウェルWが撮像される(ステップS103)。ウェルプレートWPに設けられた全てのウェルWについて撮像が行われてもよく、また特定のウェルWについてのみ撮像が行われてもよい。得られた画像に対し、トリミング加工によりウェルWに対応する部分がウェル画像として切り出され(ステップS104)、ウェル以外の余白部分が除去される。
こうして得られたウェル画像では、図8(b)に示すように、ウェルW内の細胞の輪郭が明るく強調されているが、離散的に分布する光源に起因する背景輝度の周期的な変動が含まれている。フィルタリング処理により、このような背景の明暗が除去される(ステップS105)。フィルタリング処理では、ウェル画像における明暗の変動周期に対応する空間周波数成分を阻止域に含むように遮断周波数が設定され低域除去処理が実行される。
画像における明暗の変動周期は、照明部12における点光源124の配列ピッチ(光源ピッチ)と必ずしも同じではない。撮像倍率や撮像光学系131の視野角、焦点面FPから光出射面123までの距離等が画像内での変動周期に反映される。これらの条件は既知であるから、点光源124の配列ピッチから画像における明暗の変動周期を求めることができ、除去すべき空間周波数成分についても決定することができる。
点光源124の配列ピッチが可変である場合、背景の変動周期も変化するので、厳密にはフィルタリング処理における遮断周波数も変更する必要がある。しかしながら、画像中の細胞に対応する信号と背景に対応する信号とが明確に分離可能であれば、配列ピッチに応じて遮断周波数を細かく変更する必要は必ずしもない。例えば光源の配列ピッチに対応して変化する背景輝度の変動周期の最小値が画像における細胞のサイズよりも十分に大きいときには、当該周期成分を除去することができるような遮断周波数を設定すれば、より大きい(空間周波数の低い)変動成分についても除去することができるので、遮断周波数の変更は不要である。
フィルタリング処理により、図8(c)に示す画像が得られる。必要であれば、この画像に対しエッジ強調処理を実行することで(ステップS106)、図8(d)に示すように、細胞の輪郭部分がより強調された画像が得られる。すなわち、ステップS106の実行は必須でなく任意である。なお、画像の撮像と画像処理とは、異なる装置によって実行されてもよい。
以上のように、この実施形態においては、暗視野撮像装置のような複雑な装置構成を用いることなく、より簡単な装置構成でありながら、被撮像物の輪郭が明るく強調された画像を得ることが可能である。
以上説明したように、この実施形態においては、ウェルプレートWPが本発明の「試料容器」に相当し、これを保持するホルダ11が本発明の「保持手段」として機能している。また、照明部12が本発明の「照明手段」として機能し、面光源121および遮光プレート122がそれぞれ本発明の「面光源」および「遮光部」として機能している。遮光プレート122の各開口122aが本発明の「窓部」に相当し、さらに本発明の「光出射部」に相当することは前述したとおりである。また、撮像部13が本発明の「撮像手段」として機能し、CPU141が本発明の「画像処理手段」として機能している。
また、図9(a)に示す態様では、照明部12aが本発明の「照明手段」として機能し、このうち面光源125およびシャッター部材126が、それぞれ本発明の「面光源」および「液晶シャッター」に相当している。また、図9(b)に示す態様では、多数の発光素子127を有する照明部12bが本発明の「照明手段」として機能し、照明制御部148が本発明の「点灯制御手段」に相当する。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記した照明部12、12a、12bでは、複数の点光源124をX方向およびY方向のそれぞれにおいて一定ピッチで二次元マトリクス配置した構成としているが、点光源の配置はこれに限定されない。例えば次のような配置としてもよい。
図11は点光源の配置の他の例を示す図である。図11(a)に示す例では、Y方向に一定ピッチP1で配列された点光源124の列が、X方向にも同じピッチP1で、ただし、Y方向にピッチP1の半分だけ位置を異ならせて配置される。また、図11(b)に示す例では、1つの点光源124を中心とした正六角形の各頂点に他の点光源124が配置されている。したがって、1つの点光源124の周囲には6つの点光源124が等距離かつ等角度間隔で配置されている。これらの配置を有する照明部を用いることによっても、上記と同様に被撮像物の輪郭部分を強調した画像を撮像することが可能である。なお、これらの場合、離散的な点光源に起因する画像中の背景輝度の変動の現れ方が異なる。これに対応するため、フィルタリング処理の方向や遮断周波数に関してさらなる変更が加えられてもよい。
また、上記実施形態では撮像された画像に対しフィルタリング処理が実行され、背景輝度の周期的変動に対応する空間周波数成分が除去されている。しかしながら、単に輪郭が強調された画像を得るという目的においてはフィルタリング処理が省かれてもよい。例えばエッジ抽出処理等によって細胞の輪郭を検出し画像中の細胞の個数を自動的に計数する目的であれば、細胞の輪郭が明確になっていれば背景の輝度変動は問題にならない。このような場合、フィルタリング処理を省くことが可能である。
また、上記実施形態における遮光プレート122は断面形状が正方形の開口122aを有するものであるが、開口形状はこれに限定されるものではなく任意である。また、開口122aの内部空間が光透過性のある材料により充填されていてもよい。
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、この発明にかかる撮像装置および撮像方法は、例えば、照明手段が試料容器に対し、配置ピッチに対応する周期的な明暗を有する照明光を入射させる構成であってもよい。このような構成によれば、画像に周期的な明暗が現れることになるが、その周期は既知であるため、必要であれば例えば画像処理により事後的に除去することが可能である。このような背景の変動を許容することで、被撮像物の周縁部をより効果的に強調した画像を得ることが可能となる。
また例えば、光出射部の配置ピッチが変更可能であってもよい。このような構成によれば、被撮像物に応じて照明パターンを最適化することで、被撮像物の周縁部の強調効果をより向上させることが可能となる。
また例えば、被撮像物が細胞であり、細胞の直径をφ、細胞をレンズと見なしたときの焦点距離をf、平面と焦点面との距離をH、配置ピッチをPとしたとき、
P≦H・φ/(2f)
の関係が成立する構成であってもよい。これは、細胞がどの位置にあっても、複数配置された点光源の少なくとも1つが被撮像物の周縁部を明るく光らせる作用を発揮するための条件である。この条件が満たされるとき、被撮像物の周縁部が明るく強調された画像を得ることができる。
また例えば、照明手段は、試料容器に向けて拡散光を出射する面光源と、面光源と試料容器との間に配置され、焦点面に平行で遮光性の平板に、光透過性の窓部が配置ピッチで複数設けられた遮光部とを有する構成であってもよい。このような構成によれば、複数の窓部のそれぞれから拡散光が出射されることで、窓部が光出射部として機能し、本発明の効果を得ることができる。
この場合さらに、遮光部が着脱可能に構成され、配置ピッチが互いに異なる複数の遮光部を選択的に装着可能であるように構成されてもよい。このような構成によれば、目的に応じて光出射部の配置ピッチを変化させることができる。
また例えば、照明手段は、平面内に二次元配置された複数の発光素子を有する構成であってもよい。このような構成によれば、発光素子の各々が光出射部として機能することで、上記のような発明の効果を得ることが可能である。
この場合さらに、発光素子の点灯を制御し、発光素子のうち点灯するものと消灯するものとの組み合わせを変更可能な点灯制御手段が設けられてもよい。このような構成によれば、点灯させる発光素子の組み合わせを変えることにより、光出射部の配置ピッチを変化させることが可能である。
また例えば、照明手段は、試料容器に向けて拡散光を出射する面光源と、面光源と試料容器との間に配置された液晶シャッターとを有する構成であってもよい。このような構成によれば、液晶シャッターが所定の透過パターンを実現することで、上記のように光出射部が離散的に分布する照明手段を構成することができる。
また例えば、撮像された画像に対し、配置ピッチに対応する空間周波数成分を除去するフィルタ処理が実行されてもよい。このような構成によれば、離散的に配置される光出射部に起因する画像の背景輝度の変動が除去された画像を得ることができる。
また、本発明にかかる撮像方法は、被撮像物に応じて配置ピッチを設定する工程をさらに備えるものであってもよい。このような構成によれば、光出射部の配置ピッチを変更することで、種々の被撮像物に対して適切な照明条件で撮像を行い、その周縁部が強調された画像を得ることが可能である。
また例えば、配置ピッチは、画像において背景輝度の変動周期が被撮像物のサイズよりも大きくなるように設定されてもよい。このような構成によれば、背景に対応する比較的低い空間周波数成分に、被撮像物に対応する高い空間周波数成分が重畳された画像が得られる。そのため、背景と被撮像物とを空間周波数によって明確に分離することができる。
本発明は、例えば培地中で二次元培養された細胞または細胞コロニーのように、拡散光照明下では十分なコントラストを得ることができない被撮像物を、特にその輪郭部分を明瞭に撮像することが求められる用途に好適である。
1 撮像装置
11 ホルダ(保持手段)
12,12a,12b 照明部(照明手段)
13 撮像部(撮像手段)
121,125 面光源
122 遮光プレート(遮光部)
122a 開口(窓部、光出射部)
123 光出射面
124 点光源(光出射部)
126 シャッター部材(液晶シャッター)
127 発光素子(光出射部)
131 撮像光学系
132 撮像素子
141 CPU(画像処理手段)
148 照明制御部(点灯制御手段)
C 細胞(被撮像物)
WP ウェルプレート(試料容器)

Claims (13)

  1. 被撮像物である生試料を担持する試料容器を保持する保持手段と、
    前記試料容器を照明する照明手段と、
    前記照明手段から出射され前記試料容器を透過する透過光を受光して前記被撮像物の透過像を撮像する撮像素子、および、前記試料容器と前記撮像素子との間に配置されて前記透過光を前記撮像素子に結像させる撮像光学系を有する撮像手段と
    を備え、
    前記照明手段は
    記撮像光学系の焦点面に平行で前記撮像光学系の被写界深度よりも遠い平面に沿って、かつ該平面のうち前記撮像手段の視野を含み該視野よりも広い領域内に、互いに離隔して一定の配置ピッチで二次元配置され、各々が前記試料容器に向けて拡散光を出射する点光源である複数の光出射部を有し、
    前記試料容器に対し、前記配置ピッチに対応する周期的な明暗を有する照明光を入射させる、
    撮像装置。
  2. 前記光出射部の配置ピッチが変更可能である請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記被撮像物が細胞であり、前記細胞の直径をφ、前記細胞をレンズと見なしたときの焦点距離をf、前記平面と前記焦点面との距離をH、前記配置ピッチをPとしたとき、
    P≦H・φ/(2f)
    の関係が成立する請求項1または2に記載の撮像装置。
  4. 前記照明手段は、
    前記試料容器に向けて拡散光を出射する面光源と、
    前記面光源と前記試料容器との間に配置され、前記焦点面に平行で遮光性の平板に、光透過性の窓部が前記配置ピッチで複数設けられた遮光部と
    を有する請求項1ないしのいずれかに記載の撮像装置。
  5. 前記遮光部が着脱可能に構成され、前記配置ピッチが互いに異なる複数の前記遮光部を選択的に装着可能である請求項に記載の撮像装置。
  6. 前記照明手段は、前記平面内に二次元配置された複数の発光素子を有する請求項1ないしのいずれかに記載の撮像装置。
  7. 前記発光素子の点灯を制御し、前記発光素子のうち点灯するものと消灯するものとの組み合わせを変更可能な点灯制御手段を備える請求項に記載の撮像装置。
  8. 前記照明手段は、
    前記試料容器に向けて拡散光を出射する面光源と、
    前記面光源と前記試料容器との間に配置された液晶シャッターと
    を有する請求項1ないしのいずれかに記載の撮像装置。
  9. 前記撮像手段により撮像された画像に対し、前記配置ピッチに対応する空間周波数成分を除去するフィルタ処理を実行する画像処理手段を備える請求項1ないしのいずれかに記載の撮像装置。
  10. 被撮像物である生試料を担持する試料容器を照明手段が照明する工程と、
    前記照明手段から出射され前記試料容器を透過する透過光を受光して前記被撮像物の透過像を撮像する撮像素子、および、前記試料容器と前記撮像素子との間に配置されて前記透過光を前記撮像素子に結像させる撮像光学系を有する撮像手段が前記被撮像物の画像を取得する工程と
    を備え、
    前記照明手段は
    記撮像光学系の焦点面に平行で前記撮像光学系の被写界深度よりも遠い平面に沿って、かつ該平面のうち前記撮像手段の視野を含み該視野よりも広い領域内に、互いに離隔して一定の配置ピッチで二次元配置され、各々が前記試料容器に向けて拡散光を出射する点光源である複数の光出射部を有し、
    前記試料容器に対し、前記配置ピッチに対応する周期的な明暗を有する照明光を入射させる、
    撮像方法。
  11. 被撮像物に応じて前記配置ピッチを設定する工程を備える請求項10に記載の撮像方法。
  12. 前記配置ピッチは、前記画像において背景輝度の変動周期が前記被撮像物のサイズよりも大きくなるように設定される請求項10または11に記載の撮像方法。
  13. 撮像された前記画像に対し、前記配置ピッチに対応する空間周波数成分を除去するフィルタ処理を実行する工程を備える請求項1ないし1のいずれかに記載の撮像方法。
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