JP6345521B2 - 端末加工された伸縮性伝送体 - Google Patents

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Description

本発明は伸縮性を失うことが無いように端末加工された伸縮性伝送体に関するものである。さらに詳しくは、伸縮性を有する芯材の周りに伝送線が螺旋状に捲回され、その外側に必要に応じて外部被覆層が設けられた伸縮性の経時劣化が少ない伸縮伝送体に関する。
伸縮性伝送体は数多く研究されており、特許文献として伸縮電線及びその製造方法(下記特許文献1参照)、伸縮性信号伝送ケーブル(下記特許文献2参照)および伸縮性光信号伝送ケーブル(下記特許文献3参照)などが知られている。また伸縮電線を用いた伸縮性ワイヤーハーネス(下記特許文献4参照)も知られている。
近年伸縮性伝送体が広く使用されるようになるに従い、伸縮性伝送体をそのまま取扱いたいというニーズが強くなっている。ところが通常のケーブルと同様に伸縮性伝送体を端末加工すると伸縮性が失われるという問題があった。すなわち伸縮性が失われないように端末加工された伸縮性伝送体が求められている。
伸縮性伝送体は伸縮性の芯材と伝送線を含んでおり、そのほとんどが芯材の周囲に伝送線がらせん状に捲回されている。この伸縮性伝送体の伸縮性が失われる原因は、端子処理をした際に芯材が縮み伸縮性伝送体の内部へ引っ込んでしまうか、使用時に伸縮を繰り返すことで芯材が伸縮性伝送体の内部へ引っ込んでしまうためである。
これを避けるため、特許文献4には、芯材を伸縮性伝送体の端部に設けられたハウジングに接合することが開示されている。しかし、伸縮性伝送体を単独で使用する方法については開示も示唆もない。
国際公開第2008/078780号パンフレット 国際公開第2009/157070号パンフレット 国際公開第2010/074259号パンフレット 特開2010−073557号公報
本発明の目的は、伸縮性を有する芯材の周りに伝送線が螺旋状に捲回され、その外側に必要に応じて外部被覆層が設けられた伸縮伝送体において、伸縮性に優れ、その経時劣化の少ない伸縮性伝送体を提供することである。
本発明者等は、伸縮性伝送体の伸縮性が失われないように鋭意検討した結果、芯材が伸縮性伝送体の内部に引っ込むことが伸縮性減少の原因あることを見出し、芯材の端部の外径を螺旋状に捲回された伝送線の捲回内径以上の大きさにするか、芯材の端部を伝送線の端部または外部被覆層の端部に接合するか、これらを併用するかのいずれかの方法を用いることで伸縮させても芯材が内部に引き込まれることが無く伸縮性が失われないことを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は下記の発明を提供する。
(1)伸縮性の芯材の周りに伝送線が螺旋状に捲回されている構造を有する伸縮性伝送体であって、芯材の端部が伝送線の端部に接合していることを特徴とする伸縮性伝送体。
(2)伸縮性の芯材の周りに伝送線が螺旋状に捲回され、その外側に外部被覆層が設けられている構造を有する伸縮性伝送体であって、下記構造のいずれか1つ以上を有することを特徴とする伸縮性伝送体。
)芯部の端部が伝送線の端部に接合している、
)芯部の端部が外部被覆層の端部に接合している。
(3)前記芯材の端部の外径が螺旋状に捲回された伝送線の捲回内径よりも大きい、前記(1)又は(2)に記載の伸縮性伝送体。
本発明の伸縮性伝送体は、伸縮性が失われないように端末加工されたもので、伸縮動作を伴う機器の配線として有用である。
芯材端部の外径を大きくした伸縮性伝送体の模式図である。 芯材端部と伝送線端部を接合している伸縮性伝送体の模式図である。 芯材端部と外部被覆層端部を接合している伸縮性伝送体の模式図である。 芯材端部を折り返し外部被覆層端部と接合している伸縮性伝送体の模式図である。 芯材端部と伝送線端部と外部被覆層端部を接合している伸縮性伝送体の模式図である。 芯材端部と伝送線端部を接合し、さらに、芯材端部、伝送線端部および外部被覆層端部を接合している伸縮性伝送体の模式図である。 芯部端部の外径を大きくし、芯部端部と伝送線端部を接合し、さらに芯材端部、伝送線端部および外部被覆端部を接合している伸縮性伝送体の模式図である。 試験装置のチャック部への伸長試験用試料の把持状態を示している模式図である。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の伸縮性伝送体は、芯材端部の外径を、螺旋状に捲回された伝送線の捲回内径以上の大きさにするか、芯材の端部を伝送線の端部、または外部被覆層の端部に接合するか、または、これらを併用するかのいずれかの方法を用いて端末加工されている。
芯材は、弾性長繊維、弾性チューブまたはコイルバネ等から形成することができる。
また、芯材は内部に空隙を有していても良い。空隙は、伸縮性を阻害せず、伝送線の捲回径を大きくできるため、伸縮応力を小さくする効果がある。空隙を形成する方法は、例えば、弾性長繊維の周囲に絶縁繊維を配置する方法、弾性長繊維または、弾性長繊維の周囲に絶縁繊維を配置した糸状体を編み組みする方法、弾性長繊維を発泡させる方法、弾性長繊維を中空にする方法、またはこれらを組み合わせた方法などがある。弾性チューブまたはコイルバネから形成した場合は当然中空になる。
本発明で用いる弾性長繊維は、伸縮性に富むものであればよく、ポリマーの種類は特に限定されない。例えば、ポリウレタン系弾性長繊維、ポリオレフィンン系弾性長繊維、ポリエステル系弾性長繊維、ポリアミド系弾性長繊維、天然ゴム系弾性長繊維、合成ゴム系弾性長繊維および天然ゴムと合成ゴムの複合ゴム系弾性長繊維等をあげることができる。
ポリウレタン系弾性長繊維は、耐久性にもすぐれるため好適である。天然ゴム系長繊維は、断面積あたりの応力が他の弾性長繊維に対比して小さく、所定の芯材直径を得やすく、曲げ荷重が小さくなるという利点がある。しかし、劣化しやすいため短期の使用を目的とする用途に好適である。合成ゴム系弾性長繊維は、耐久性にすぐれ好適である。弾性長繊維は、モノフィラメントでもマルチフィラメントでも良い。
弾性チューブは、内部に空隙を有しており、そのままで芯材として用いることも、弾性チューブの外層に繊維層を形成し、芯材とすることもでききる。伝送線と弾性チューブが直接接触すると、弾性チューブに傷が付きやすいため、弾性チューブの外層に繊維層を形成することが好ましい。
また、弾性チューブの中に伝送線を埋め込むこともできる。例えば、ステンレス棒に伝送線を捲回し、これをゴムラテックス中に浸漬または塗布した後、公知の方法(例えば、加硫処理、熱処理および乾燥処理等)を行った後、内部のステンレス棒を抜き去る等することにより、弾性チューブの中に導体線を埋め込むことができる。
芯材端部の外径を大きくする方法には、芯材の端部に接着剤を付与する、接着剤付の熱収縮チューブを付与する、芯材の端部にリング状の金属(所謂スリーブ等)をかしめて取り付ける、芯材の端部に紐、糸、針金、ビニタイ等を結びつける、芯材の端部に結び目をつくる等の方法がある。ただし、芯材の端部が太くなっても、伝送線の端部の螺旋形状がくずれると効果が発揮できないので、伝送線の端部を接着剤で固めるなどして、螺旋形状を一定に保持することが好ましい。図1は後述の実施例1における伸縮性伝送体で、芯材端部の外径を大きくする方法の一例である。図1には芯材の端部を太くする方法として、芯材の端部(1)に樹脂付の熱収縮チューブ(5)を付与し、螺旋形状の伝送線端部(2)に接着剤(4)を付与した例を示している。なお、図1において(3)は外部被覆層である。
芯材端部と伝送線端部を接合する方法には、芯材の端部と伝送線の端部を接着剤で固定する方法、芯材の端部と伝送線の双方にまたがる接着剤付熱収縮チューブを介して接着する方法、芯材の端部を螺旋状伝送線の端部で折り返し、折り返した芯材端部と螺旋状に配置されている伝送線を接着剤で接着したり、ビニルテープを巻き付け固定したり、紐、糸、針金、ビニルタイ等で縛ったりする方法等がある。
なお、本発明で言う接合とは、対象となる2つの物体を直接または第三の物質を介して接着、または、しばりつけることを言う。
図2は後述の実施例2における伸縮性伝送体で、芯材端部と伝送線端部を接合する方法の一例である。図2には、芯材端部(1)と伝送線端部(2)を相互にまたがる樹脂付熱収縮チューブ(6)で接合している例を示している。
芯材端部と外部被覆端部を接合する方法には、芯材の端部と外部被覆の端部を接着剤で接合する方法、芯材の端部と外部被覆の端部にまたがる接着剤付熱収縮チューブを介して接合する方法、芯材の端部を折り返し、折り返した芯材の端部と外部被覆の端部を接着剤で接着したり、ビニルテープを巻き付け固定したり、紐、糸、針金、ビニタイ等で縛ったりする方法等がある。
図3および図4は後述の実施例3および4における伸縮性伝送体で、芯材端部と外部被覆端部を接合する方法の一例である。図3(実施例3)には芯材端部(1)と外部被覆層端部(3)相互にまたがる接着剤付熱収縮チューブ(7)を介して接合している例を示している。 図4(実施例4)には、芯材端部(1)を折り返し、折り返した芯材端部と外部被覆層端部(3)をインシュロック(8)で縛っている例を示している。
また、図5は後述の実施例5における伸縮性伝送体で、図5には、芯材端部(1)と伝送線端部(2)と外部被覆層端部(3)を相互にまたがる接着剤付熱収縮チューブ(7)を介して接合している例を示した。
伸縮性伝送体の端末処理は、端末を切断し、捲回されている伝送線を数mm解き、芯材を露出させ、芯材端部の外径を大きくする、または、芯材端部を伝送線端部または外部被覆層端部に接合する、または、芯材端部を伝送線の端部で折り返し、芯材の端部を外部被覆層端部または伝送線端部体に接合する、等の手順で行われる。
伸縮性伝送体を切断する場合、芯材部が中に引き戻されることがあるので、切断する場所近く(切断予定場所から概ね10mm〜50mm手前(端末加工しようとしている伸縮性伝送体側))を紐、インシュロック、クリップなどで押さえて、芯部が引き戻りにくいようにして加工することもできる。
上記に従い、芯材の端部を伝送線または外部被覆層の端部に接合した上で、さらにその外周を接合部全体にまたがるように、ビニルテープ、チューブ、熱収縮チューブ、接着剤付熱収縮チューブなどで覆うこともできる。図6は後述の実施例6における伸縮性伝送体で、芯材端部(1)と伝送線端部(2)を接着剤付熱収縮チューブ(6)で接合し、この接着剤付熱収縮チューブ(6)と外部被覆層端部(3)とを相互にまたがる接着剤付熱収縮チューブ(7)で接合するとともに被覆している例を示している。
図7は後述の実施例7における伸縮性伝送体で、芯材端部(1)の外径を接着剤付熱収縮チューブ(5)で大きくした上で、芯材端部(1)及びそれを覆う接着剤付熱収縮チューブ(5)と伝送線端部(2)とを相互にまたがる接着剤付熱収縮チューブ(6)で接合し、この接着剤付熱収縮チューブ(6)と外部被覆層端部(3)を相互にまたがる接着剤付熱収縮チューブ(7)で接合するとともに被覆している例を示している。
これらの方法は、単独でも複数を組み合わせても良い。外観の良さと信頼性の高さは、複数を組み合わせたものが推奨される(例えば図6および図7)。一方、伸縮性伝送体端末部全体の外径が細くできるという観点からは、芯材端部の外径を大きくするか芯材端部と伝送線端部を接合する方法が推奨される。芯材端部と伝送線端部を接着剤付熱収縮チューブで接合する方法は、一段で、伝送線の螺旋形状の維持と芯材の抜けを防止でき、かつ全体の外径があまり大きくならないので好ましい。しかし、外部被覆層を有する場合は、外部被覆層端部が解けないように熱を加えるか、接着剤を付与する等の処置が必要となる。外観や外径を気にしない場合は、芯材を折り返しインシュロックで止める図4の方法が簡単である。
本発明で用いられる伝送線は、電気を送る電力伝送線、電気信号を送る電子信号伝送線、光を送る光伝送線、熱を送る熱伝送線、液体を送る液体伝送線、気体を送る気体伝送線等が挙げられる。
電力または電気信号を送る伝送線は、一般に電線と呼ばれるもので、導電性のよい物質からなる細線の集合線であることが好ましい。金属細線の集合線は、やわらかく、伸縮性に富んだ伸縮性伝送体を得やすい。
導電性の良い物質とは比抵抗が1×10-4Ω・cm以下の電気伝導体を言う。特に好ましくは比抵抗が1×10-5Ω・cm以下の金属である。具体的な例としては、所謂銅(比抵抗が0.2×10-5Ω・cm)およびアルミ(比抵抗が0.3×10-5Ω・cm)などを挙げることができる。
銅線は、比較的安価で電気抵抗が低く細線化も容易で、最も好ましい。アルミニウム線は軽量であるから、銅線に続いて好ましい。銅線は軟銅線または錫銅合金線が一般的であるが、強力を高めた強力銅合金(例えば、無酸素銅に鉄、燐およびインジウム等を添加したもの)、錫、金、銀または白金などでメッキして酸化を防止したもの、金その他の元素で表面処理したものなどを用いることもできるが、これらに限定されるものではない。
光を送る伝送線は一般に光ファイバと呼ばれ、本発明で用いられる光ファイバは、伝送性がよく、柔軟な光ファイバが好ましい。小さな曲げ半径でも伝送ロスが小さいものとして、コア周辺に多数の空孔を有するホーリ型や、多数の細線に分割したマルチコア型が知られている。本発明では、ガラス光ファイバとしてはホーリ型が好ましく用いられ、プラスチック光ファイバとしてはマルチ型が好ましく用いられる。また近年開発されたGI型マルチモード光ファイバも好ましく用いられる。プラスチックの材料はポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、フッ素系ポリマー等が挙げられる。
熱を送る伝送線は、ニクロム線などが挙げられる。空気や液体を送る伝送線はチューブが挙げられる。
本発明の伸縮性伝送体は伝送線が芯材の周囲に螺旋状に捲回されており、複数の伝送線が捲回される場合は、S/Zに捲回されても同一方向に捲回されてもよい。伸縮しやすく、断線しにくいという点で、同一方向に捲回されているものが好ましい。
本発明の伸縮性伝送体は、芯材と伝送線が相互にずれ得ることが好ましく、芯材と伝送線がずれないように接着されているものは、芯材が伸縮性伝送体内部に引っ込むことが無いが、伸縮性が乏しくなるという欠点がある。
伝送線は捲回1周毎に1箇所以上、絶縁性の糸状体で芯材に拘束されていることがさらに好ましい。非拘束の場合は、伸縮や屈曲により伝送線間の間隔が変動し、応力集中しやすくなり伝送性や寿命が低下しやすくなる。
絶縁性糸状体には、公知の絶縁性糸状体を任意に用いることができる。例えば、マルチフィラメント、モノフィラメント、または、紡績糸を用いることができる。好ましくはマルチフィラメントである。細く、柔らかく、拘束力が強く(高強度)、安価という観点からは、ポリエステル繊維、ナイロン繊維が挙げられる。誘電率が低いという観点からはフッ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維が挙げられる。難燃性の観点からは、塩化ビニル繊維、サラン繊維、ガラス繊維を挙げることができる。伸縮性の観点からは、ポリウレタン繊維または、ポリウレタン繊維の外部を他の絶縁繊維で被覆したもの等を挙げることができる。その他、絹、レーヨン繊維、キュプラ繊維、コットン紡績糸を用いることもできる。しかし、これらに限定されるものではなく、公知の絶縁繊維を任意に用いることができる。
伝送線を1方向(例えばZ方向)に捲回し、その上から絶縁性糸条体を逆方向(S方向)に捲回することで、伝送線を拘束し、伸縮や屈曲によるズレを防止することができる。
さらに好ましくは、伝送線と逆方向に伝送線の内側(芯材側)と外側を交互に通って絶縁性糸状態を捲回し伝送線を拘束することである。伝送線の内側と外側を交互に通って、伝送線と逆方向に絶縁性糸状体を捲回することで、伸縮や屈曲によっても、伝送線間隔の変化が少なく、かつ繰り返しの伸縮や屈曲によって伝送線間隔の変化が少ない伸縮性伝送体を得ることができる。伝送線の内側と外側を交互に通す場合、伝送線1本ずつ交互に通してもよいし、複数の伝送線を纏めて交互に通してもよい。
当該絶縁性糸条体は、伝送線より細いものが好ましい。太い絶縁性糸状態を用いると、伝送線そのものが、変形せざるをえなくなり、伸縮性や伸縮寿命や屈曲寿命が低下する。
拘束力を高めるためには、1周につき1箇所以上好ましくは4箇所以上さらに好ましくは8箇所以上拘束点を持つように、絶縁性糸状態を伝送線の内側と外側を交互に通って捲回することが好ましい。
捲回する糸に荷重をかけることで、捲回張力を高めることができ、拘束力を増すことができる。
また、互いの伝送線の位置がずれないように、伝送線間に絶縁性の糸状体を介在させて、伝送線と介在させた糸状体を一緒にして、または別々に、それらの内側と外側を交互に通って前記絶縁性糸状体を捲回することもできる。この介在物により、伝送線間にクッション性を持たせることができ寿命を伸ばすことができる。
伝送線は同一方向に一定のピッチで、捲回されていることが好ましい。長さ方向でピッチがばらつくと、局部変形しやすくなり、応力集中し、断線しやすくなる。
伝送線の捲回ピッチは0.05〜50mmが好ましい。0.05mm以下の場合は、捲回される伝送線の長さが長くなりすぎ、伝送性が低下する。50mm以上の場合は、伸縮性が乏しくなる。好ましくは、捲回ピッチが0.1〜20mmであり、特に好ましくは捲回ピッチが1〜10mmである。
伝送線の捲回径は0.05〜30mmが好ましい。さらに好ましくは0.1〜20mmであり、特に好ましくは0.5〜10mmである。30mm以上の場合は、できあがり外径が大きくなりすぎるため好ましくない。0.05mm以下の場合は、伝送線を捲回することが困難となる。
伝送線が、導体または発熱体である場合、近接する2本の伝送線の間隔は、0.01〜20mmであることが好ましい。0.01mm未満の場合は、ショートや過熱する危険性がある。より好ましくは0.02〜10mmであり、特に好ましくは0.05〜5mmである。
並列に捲回される独立した近接する伝送線の間隔は、まっすぐにおいた状態で、30箇所の捲回状態を観察し求めた平均間隔dと、ばらつきr(r=最大間隔−最小間隔)との関係が0≦r<4dであることが好ましい。4d以上のばらつきがある場合は、屈曲寿命が低下する。好ましくは3d以下、さらに好ましくは2d以下である。なお、本発明において、近接する伝送線の間隔は隣接する伝送線間の距離のうち短い方で、中心間の距離で表すものとする。
伝送線のピッチ、捲回径、間隔を上記のような範囲にすると、伸縮性や屈曲性に優れた伸縮性伝送体を得やすくなる。
本発明の伸縮性伝送体は外部被覆層を有していても良い。
外部被覆層を有することにより、物理的な刺激や、化学的な刺激から保護され、耐久性が向上する。外部被覆層は絶縁繊維またはゴム弾性を持つ弾性樹脂により形成することが好ましい。
絶縁繊維による被覆は屈曲による表面劣化が少なく、クッション効果により伝送線を保護する役割を長期にわたり保持するという効果を有している。
絶縁繊維は空気層を含む観点からバルキー性のあるものが好ましい。ウーリー加工されたナイロン、エステルなどを用いることができる。
絶縁繊維層は、伝送性などの観点から誘電率の低い、フッ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロポレン繊維を用いることもできる。
また、撥水性の絶縁繊維は、水の浸入を防ぐ効果があり、好ましい。具体的には、フッ素繊維や、ポリプロピレン繊維などの撥水性の絶縁繊維を用いることも、ポリエステル繊維や、ナイロン繊維に撥水加工を施して用いることもできる。撥水加工剤は、公知の加工剤から任意に選定することができる。具体的にはフッ素系、シリコン系の撥水加工剤等を挙げることができる。
絶縁繊維は、マルチフィラメント、モノフィラメント、または紡績糸を用いることができる。マルチフィラメントは、被覆性が良く、毛羽も発生しにくく好ましい。
絶縁繊維は、絶縁繊維は生糸のままでも良いが、意匠性や劣化防止の観点から原着糸や先染め糸を用いることもできる。仕上げ加工により、柔軟性や摩擦性の向上を図ることもできる。さらに、難燃加工、撥油加工、防汚加工、抗菌加工、制菌加工および消臭加工など、公知の繊維の加工を施すことにより、実用時の取り扱い性を向上させることもできる。
耐熱性と耐磨耗性を両立させる絶縁繊維としては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維およびフッ素繊維が挙げられる。耐火性の観点からは、ガラス繊維、耐炎化アクリル繊維、フッ素繊維およびサラン繊維が挙げられる。耐磨耗性や強度の観点からは、高強力ポリエチレン繊維およびポリケトン繊維が付加される。コストと耐熱性の観点からは、ポリエステル繊維、ナイロン繊維およびアクリル繊維がある。これらに、難燃性を付与した難燃ポリエステル繊維、難燃ナイロン繊維および難燃アクリル繊維(モダクリル繊維)なども好適である。摩擦熱による局部的な劣化に対しては、非溶融繊維を用いることが好ましい。その例としては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、コットン、レーヨン、キュプラ、ウール、絹およびアクリル繊維を挙げることができる。強度を重視する場合は高強力ポリエチレン繊維、アラミド繊維およびポリフェニレンサルファイド繊維が挙げられる。摩擦性を重視する場合は、フッ素繊維、ナイロン繊維およびポリエステル繊維が挙げられる。
弾性樹脂による被覆、または、ゴムチューブによる被覆は、液体が内部に侵入する危険性のある用途に好ましく用いられる。
弾性樹脂は、様々な弾性の絶縁樹脂から耐屈曲性、耐磨耗性、耐熱性および耐薬品性、伝送性などを考慮して選択することができる。
耐磨耗性、耐熱性、耐薬品性に優れるものとしては合成ゴム系弾性体が挙げられ、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、クロロプレン系ゴムおよびブチル系ゴムが好ましい。
曲げやすいものとしては、所謂天然ゴム系の弾性樹脂、スチレンブタジエン系の弾性樹脂が挙げられる。
絶縁体からなる外部被覆層は、絶縁繊維により編組されたものと弾性樹脂とを組み合わせることもできる。耐屈曲ケーブルは曲げやすく、かつ長寿命を望むケースが多いが、弾性樹脂のみでの被覆の場合は、弾性樹脂の摩擦力が強いため屈曲時に劣化しやすくなるため、弾性樹脂層の外周に絶縁繊維による外部被覆層を組み合わせることもできる。
本発明の伸縮性伝送体は、シールドされていても良い。シールドの方法は、電気伝導性のある有機繊維または、電気伝導性の良い金属細線により編み組すること、電気伝導性の良いテープ状物(例えばアルミ箔)を捲回することなどにより得ることができる。
芯材に伝送線を捲回した後、絶縁繊維により絶縁層を構成し、その外周にシールド層を形成する。シールド層は電気伝導性のある有機繊維又は電気伝導性の良い金属細線又はその組み合わせで編み組することにより得ることができる。シールド層を保護する目的から、シールド層の外層に絶縁体による外部被覆層を形成ことが好ましい。
電気伝導性のある有機繊維とは、比抵抗1Ω・cm以下のものを言う。例えばメッキ繊維や、導電性フィラーを充填した繊維が上げられる。より具体的には銀メッキ繊維などが挙げられる。
本発明の伸縮性伝送体は、容易に伸縮できるものが好ましい。30%伸長荷重は5000cN未満が好ましい。さらに好ましくは3000cN以下、より好ましくは1000cN以下である。5000cN以上のものは、伸張させるために大きな負荷が必要となり好ましくない。
本発明の端末加工された伸縮性伝送体は、所定の伸縮試験で、1万回伸縮させても端末部の芯材の抜けが無い。好ましくは10万回以上、さらに好ましくは100万回以上繰り返しても端末部の芯材の抜けが無く、かつ伝送線が断線せず、実用性に優れている。
本発明の伸縮性伝送体は、伸縮性の芯材を伸長させた状態で、芯材の周囲に複数の伝送線を並列に捲回する機能と、伝送線の捲回方向と逆方向に絶縁性糸状体を捲回する機能を有する装置により、芯材の周囲に1本以上の伝送線を並列に捲回し、伝送線と反対方向に絶縁性糸状体を伝送線の外側に捲回することによって得ることができる。
好ましくは、伝送線の捲回方向と逆方向に絶縁性糸状体を捲回する機能を、絶縁性糸状体を伝送線の内側(弾性円筒体側)と外側を交互に通って捲回できる機能とし、1本以上の伝送線を並列に捲回し、かつ、伝送線と反対方向に1本または複数本の伝送線の内側と外側を交互に通って絶縁性糸状体を捲回し、伝送線を拘束する構造とすることである。
上記機能を有する装置であれば、用いる装置は特に限定されない。
上記機能を有する装置が備える主たる機構は次の通りである。
(1)芯材を供給する機構。
(2)芯材を把持し、一定速度でフィードする機構(好ましくはニップせずに把持して一定速度でフィードする機構、例えば複数のV溝を有する2連のロールのV溝に8の字掛けに沿わせて把持し、フィードする機構)。
(3)芯材を把持し、一定速度で巻き取る機構(好ましくはニップせずに把持して一定速度で巻き取る機構、例えば複数のV溝を有する2連のロールのV溝に8の字掛けに沿わせて把持し、巻き取る機構か、または、V溝を持った直径の大きなドラムのV溝に複数回巻き付けて巻き取る機構)。
(4)芯材に張力をかけた状態で、伝送線または伝送線と絶縁性糸状体を芯材に並列に捲回する機構(例えば伝送線または絶縁性糸状体を巻いたボビンを把持された芯材の周囲を旋回させる機構、把持された芯材を回転させて伝送線または絶縁性糸状体を芯材の周囲に捲回する機構、または、伝送線または絶縁性糸状体を巻いた複数の中空ボビンを直列に配置し、芯材を中空ボビンの中空部を通過させつつ、中空ボビンを回転させて伝送線を芯材に捲回させる機構)。
(5)芯材に張力をかけた状態で、絶縁性糸状体を伝送線の捲回方向と逆方向に芯材に並列に捲回する機構、特に好ましくは、芯材を伸張した状態で、伝送線の捲回方向と逆方向に伝送線の内側と外側を交互に通って絶縁性糸状体を捲回する機構(例えば、伝送線を巻いた1本以上のボビンと絶縁性糸状体を巻いた1本以上のボビンが、前後または上下に移動し、相互に逆方向に芯材の回りを旋回する機構)。
以下に、本発明を実施例および比較例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)伸縮試験
伸縮性伝送体の外部被覆層端部間距離が300mm、伝送線端部間距離が380mmとなるように試料を準備し、この試料の伝送線両端各々20mmをデマッチャ試験機のチャック部に図8に示したように把持し、チャック間距離が340mm〜510mmとなるようにストローク長を調整し200rpmで伸縮を1万回繰り返した。
(2)タルミ判定
伸縮試験前と、伸縮試験終了後水平化で18時間以上放置した上で外部被覆層端部間の距離を求め、下記式に従ってタルミ率を求めた。
タルミ率:X(%)=(L2−L1)/L1×100
上式において、L1は伸縮試験前の外部被覆層端部間距離であり、L2は伸縮試験後の外部被覆層端部距離である。
得られたタルミ率を下記基準に従って判定した。
○:X<10(タルミが小さい)
×:X≧10(タルミが大きい)
(3)伸縮率
試料の中央部に長さ20cmのマークを付けて垂直にたらし、300cNの荷重をかけてマークの長さを測定し、300cN伸張率を求め、下記式に従って伸縮性維持率を求めた。
伸縮性維持率:X(%)=(B/A)×100
上式において、Aは伸縮試験前の伸長率であり、Bは伸縮試験後の伸長率である。
得られた伸縮性維持率を下記基準に従って判定した。
○:X≧90(伸縮性が維持されている)
×:X<90(伸縮性が失われた)
(実施例1〜8および比較例1)
940dtexのポリウレタン弾性長繊維(旭化成せんい(株)製、商品名:ロイカ)を芯にして、伸張倍率を4.2倍下で、230dtexのウーリーナイロン(黒染め糸)を700T/Mの下撚りおよび500T/Mの上撚りで捲回し、ダブルカバー糸を得た。得られたダブルカバー糸を製紐用ボビンに巻き取り、当該ボビン4本を、8本打ち製紐機((有)桜井鉄工製)のS方向に2本、Z方向に2本、均等に配置して組み紐を作製し、直径1.8mmの芯材を得た。当該芯材を、特殊製紐機((1)芯材を芯部として供給する機構、(2)芯材を、複数のV溝を有する2連のロールのV溝に8の字掛けに沿わせて把持し、フィードする機構、(3)芯材を、複数のV溝を有する2連のロールのV溝に8の字掛けに沿わせて把持し、巻き取る機構、(4)芯材を伸張した状態で、伝送線を芯材に並列に捲回する機構、および(5)芯材を伸張した状態で、伝送線の捲回方向と逆方向に伝送線の内側と外側を交互に通って絶縁性糸状体を捲回する機構を備えた製紐機)により、2.2倍に伸張しながら、芯材に所定の伝送線((住友電工製) AWM1571 AWG28:44/0.05)4本をZ方向に並列に等間隔で捲回し、ポリエステル繊維(56dtex(12f))4本をS方向に伝送線の内側と外側を交互に通して並列に等間隔で捲回して伸縮性伝送体を得た。
この伸縮性伝送体を用いて、上述の各種方法で端末加工を行い、伸縮試験を行った。
得られた伸縮性伝送体の評価結果を端末加工状態と共に表1に示す。
Figure 0006345521
表1から、本発明の伸縮性伝送体は伸縮しても端末部の芯材のスヌケが無く、伸縮性が失われないものであることがわかる。
本発明の伸縮性伝送体は、ロボット分野をはじめとして、身体装着機器および衣服装着機器等の曲げ伸ばしなどの伸縮性が求められる機器、装置の配線として好適であり、特にヒューマノイド型ロボット(内部配線及び外皮配線)、パワーアシスト装置およびウエアラブル電子機器等に好適である。その他、各種ロボット(産業用ロボット、家庭用ロボット、ホビーロボット等)、リハビリ用補助具、バイタルデータ測定機器、モーションキャプチャー、電子機器付き防護服、ゲーム用コントローラー(人体装着型を含む)およびマイクロヘッドフォン等の分野に好適に利用できる。
1 芯材端部
2 伝送線端部
3 外部被覆層端部
4 接着剤
5 接着剤付熱収縮チューブ
6 接着剤付熱収縮チューブ
7 接着剤付熱収縮チューブ
8 インシュロック

Claims (3)

  1. 伸縮性の芯材の周りに伝送線が螺旋状に捲回されている構造を有する伸縮性伝送体であって、芯材の端部が伝送線の端部に接合していることを特徴とする伸縮性伝送体。
  2. 伸縮性の芯材の周りに伝送線が螺旋状に捲回され、その外側に外部被覆層が設けられている構造を有する伸縮性伝送体であって、下記構造のいずれか1つ以上を有することを特徴とする伸縮性伝送体。
    )芯部の端部が伝送線の端部に接合している、
    )芯部の端部が外部被覆層の端部に接合している。
  3. 前記芯材の端部の外径が螺旋状に捲回された伝送線の捲回内径よりも大きい、請求項1又は2に記載の伸縮性伝送体。
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