以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
〔実施形態1〕
本発明の実施の一形態について、図1および図2の(a)〜(c)に基づいて説明すれば、以下の通りである。
<有機EL素子の概略構成>
図1は、本実施形態にかかる有機EL素子10の概略構成を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる有機EL素子10は、ベースとなる基板1上に、第1電極2、有機EL層3(有機層)、および第2電極4が、この順番に積層されている。
以下、本実施形態では、有機EL層3の蛍光発光層34から発した光を、基板1とは反対側から取り出すトップエミッション型の有機EL素子10を例に挙げて説明する。
(基板1)
基板1は、絶縁性を有していれば、特に限定されるものではなく、例えば公知の絶縁基板を用いることができる。
基板1としては、例えば、ガラス、または石英等からなる無機基板、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、またはポリイミド樹脂等からなるプラスチック基板等を用いることができる。
本実施形態では、後述するように、基板1として、透光性を有するガラス基板(透明基板)を用いる場合を例に挙げて説明する。しかしながら、上述したようにトップエミッション型の有機EL素子10においては、基板1に透光性を必要としない。
このため、有機EL素子10がトップエミッション型の有機EL素子である場合、基板1として、シリコンウェハ等の半導体基板、アルミニウム(Al)または鉄(Fe)等からなる金属基板の表面に酸化シリコンまたは有機絶縁材料等からなる絶縁物をコーティングした基板、Al等からなる金属基板の表面を陽極酸化等の方法によって絶縁化処理した基板等も利用できる。
(第1電極2および第2電極4)
第1電極2および第2電極4は、対の電極であり、一方が陽極として機能し、他方が陰極として機能する。
陽極は、有機EL層3に正孔を注入(供給)する電極としての機能を有していればよい。また、陰極は、有機化合物層に電子を注入(供給)する電極としての機能を有していればよい。
陽極および陰極の形状、構造、大きさ等は、特に制限はなく、有機EL素子10の用途、目的に応じて、適宜選択することができる。
本実施形態では、図1に示すように、第1電極2が陽極である場合を例に挙げて図示している。但し、本発明は、これに限定されるものではなく、基板1上に陰極が設けられていてもよい。すなわち、有機EL素子10の一方の電極を陽極とした場合、もう一方の電極が陰極となるように、対として機能するように配置すればよい。
陽極および陰極として用いることができる電極材料としては、特に限定されるものではなく、例えば公知の電極材料を用いることができる。
陽極としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、およびニッケル(Ni)等の金属、ならびに酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)等の透明電極材料等が利用できる。
一方、陰極としては、蛍光発光層34に電子を注入する目的で、仕事関数の小さい材料が好ましい。陰極としては、例えば、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属、またはこれらの金属を含有するAg−Mg合金、Al−Li合金等の合金等が利用できる。
なお、陽極および陰極の厚みは、特に限定されるものではなく、従来と同様に設定することができる。
有機EL層3の蛍光発光層34から発した光は、陽極および陰極の何れか一方の電極側から取り出す必要がある。そこで、一方の電極には光を透過する透光性電極材料を用い、他方の電極には光を透過しない、非透光性電極材料を用いることが好ましい。
すなわち、第1電極2および第2電極4としては、様々な導電性材料を用いることができるが、有機EL素子10がトップエミッション型の有機EL素子である場合、第1電極2を非透光性電極材料で形成し、第2電極4を透明または半透明の透光性電極材料で形成することが好ましい。
第1電極2および第2電極4は、それぞれ、1つの電極材料からなる単層であってもよいし、複数の電極材料からなる積層構造を有していてもよい。
したがって、上述したように有機EL素子10がトップエミッション型の有機EL素子である場合、図1に示すように、第1電極2を、非透光性電極材料からなる非透光性電極21と、光性電極材料からなる透光性電極22との積層構造としてもよい。
非透光性電極材料としては、例えば、タンタル(Ta)または炭素(C)等の黒色電極、Al、銀(Ag)、金(Au)、Al−Li合金、Al−ネオジウム(Nd)合金、またはAl−シリコン(Si)合金等の反射性金属電極等が挙げられる。
また、透光性電極材料としては、例えば、上述した透明電極材料等を用いてもよいし、薄膜にしたAg等の半透明の電極材料を用いてもよい。
(有機EL層3)
有機EL層3は、2層以上の積層構造を有する発光ユニットであり、少なくとも1層の励起子生成層33と、少なくとも1層の蛍光発光層34と、を少なくとも備えている。
本実施形態にかかる有機EL素子10は、図1に示すように、第1電極2と第2電極4との間に、有機EL層3として、第1電極2側から、正孔注入層31、正孔輸送層32、励起子生成層33、蛍光発光層34、電子輸送層35、電子注入層36が、この順に形成された構成を有している。
なお、励起子生成層33および蛍光発光層34以外の有機層は、有機EL層3として必須の層ではなく、要求される有機EL素子10の特性に応じて適宜形成すればよい。
また、上記有機EL層3における各有機層の積層順は、第1電極2を陽極、第2電極4を陰極としたものであり、反対に第1電極2を陰極とし、第2電極4を陽極とする場合には、有機EL層3における各有機層の積層順は反転する。同様に、第1電極2および第2電極4を構成する材料も反転する。
(正孔注入層31および正孔輸送層32)
正孔注入層31は、正孔注入性材料を含み、励起子生成層33への正孔注入効率を高める機能を有する層である。
また、正孔輸送層32は、正孔輸送性材料を含み、励起子生成層33への正孔輸送効率を高める機能を有する層である。
なお、正孔注入層31と正孔輸送層32とは、互いに独立した層として形成されていてもよく、正孔注入層兼正孔輸送層として一体化されていてもよい。また、正孔注入層31と正孔輸送層32とが両方設けられている必要もなく、一方のみ、例えば正孔輸送層32のみが設けられていてもよい。勿論、両方とも設けられていなくても構わない。
正孔注入層31、正孔輸送層32、あるいは正孔注入層兼正孔輸送層の材料、すなわち、正孔注入性材料あるいは正孔輸送性材料として用いられる材料としては、既知の材料を用いることができる。
これらの材料としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、アザトリフェニレン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、トリフェニレン、ベンジン、スチリルアミン、トリフェニルアミン、ポルフィリン、トリアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、オキザゾール、ポリアリールアルカン、フェニレンジアミン、アリールアミン、およびこれらの誘導体、チオフェン系化合物、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、アニリン系化合物等の鎖状式あるいは複素環式共役系のモノマー、オリゴマー、またはポリマー等が挙げられる。
より具体的には、例えば、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(α−NPD)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(HAT−CN)、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(mCP)、ジ−[4−(N,N−ジトリル−アミノ)−フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、9,10−ジフェニルアントラセン−2−スルフォネート(DPAS)、N,N’−ジフェニル−N,N’−(4−(ジ(3−トリル)アミノ)フェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(DNTPD)、イリジウム(III)トリス[N,N’−ジフェニルベンズイミダゾル−2−イリデン−C2,C2’](Ir(dpbic)3)、4,4’,4”−トリス−(N−カルバゾリル)−トリフェニルアミン(TCTA)、2,2−ビス(p−トリメリットオキシフェニル)プロパン酸無水物(BTPD)、ビス[4−(p,p−ジトリルアミノ)フェニル]ジフェニルシラン(DTASi)等が用いられる。
なお、正孔注入層31、正孔輸送層32、正孔注入層兼正孔輸送層は、不純物がドープされていない真性正孔注入性材料あるいは真性正孔輸送性材料であってもよいし、導電性を高める等の理由で不純物がドープされていても構わない。
また、高効率の発光を得るためには、励起エネルギーを蛍光発光層34内に閉じ込めることが望ましい。このため、上記正孔注入性材料および正孔輸送性材料としては、蛍光発光層34における蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)のS1準位(一重項励起準位)およびT1準位(三重項励起準位)よりも励起準位の高いS1準位およびT1準位を有する材料を使用することが望ましく、励起子生成層中の材料のS1準位(一重項励起準位)およびT1準位(三重項励起準位)よりも励起準位の高いS1準位およびT1準位を有する材料を使用することがより望ましい。これは、厚みによっては(例えば正孔輸送層32が厚い場合)、正孔注入層31および正孔輸送層32のS1準位およびT1準位が励起子生成層33中の材料のS1準位およびT1準位よりも低いと、励起エネルギーが正孔注入層31および正孔輸送層32に流れて蛍光発光材料に遷移しなくなる可能性があるためである。このため、上記正孔注入性材料および正孔輸送性材料としては、励起準位が高く、かつ、高い正孔移動度を有する材料を選択することがより好ましい。なお、基本的には、蛍光発光材料のS1準位およびT1準位は、励起子生成層33中の材料のS1準位およびT1準位よりも低くなるように設計される。
(電子輸送層35および電子注入層36)
電子注入層36は、電子注入性材料を含み、励起子生成層33への電子注入効率を高める機能を有する層である。
また、電子輸送層35は、電子輸送性材料を含み、励起子生成層33への電子輸送効率を高める機能を有する層である。
なお、電子注入層36と電子輸送層35とは、互いに独立した層として形成されていてもよく、電子注入層兼電子輸送層として一体化されていてもよい。また、電子注入層36と電子輸送層35とが両方設けられている必要もなく、一方のみ、例えば電子輸送層35のみが設けられていてもよい。勿論、両方とも設けられていなくても構わない。
電子注入層36、電子輸送層35、あるいは電子注入層兼電子輸送層の材料、すなわち、電子注入性材料あるいは電子輸送性材料として用いられる材料としては、既知の材料を用いることができる。
これらの材料としては、例えば、キノリン、ペリレン、フェナントロリン、ビススチリル、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、フルオレノン、およびこれらの誘導体や金属錯体、フッ化リチウム(LiF)等が挙げられる。
より具体的には、例えば、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)、3,3’−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル(mCBP)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾル−2−イル)ベンゼン(TPBI)、3−フェニル−4(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、1,10−フェナントロリン、Alq(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)、LiF等が挙げられる。
なお、電子注入層36、電子輸送層35、電子注入層兼正孔輸送層は、不純物がドープされていない真性電子注入性材料あるいは真性電子輸送性材料であってもよいし、導電性を高める等の理由で不純物がドープされていても構わない。
また、高効率の発光を得るためには、励起エネルギーを蛍光発光層34内に閉じ込めることが望ましい。このため、上記電子注入性材料および電子輸送性材料としては、蛍光発光層34における蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)のS1準位(一重項励起準位)およびT1準位(三重項励起準位)よりも励起準位の高いS1準位およびT1準位を有する材料を使用することが望ましく、励起子生成層中の材料のS1準位(一重項励起準位)およびT1準位(三重項励起準位)よりも励起準位の高いS1準位およびT1準位を有する材料を使用することがより望ましい。このため、上記電子注入性材料および電子輸送性材料としては、励起準位が高く、かつ、高い電子移動度を有する材料を選択することがより好ましい。
必要に応じて形成されるこれらの層の厚みは、各層のキャリア(正孔、電子)の移動度やそのバランス、各層を構成する材料の種類等に応じて、励起子生成層33で励起子が生成されるように適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。なお、これらの層の厚みは、例えば、従来と同様に設定することが可能である。
(励起子生成層33)
励起子生成層33は、少なくとも1種類のTADF材料をホスト材料として含む層であり、励起子の生成を目的とする層である。
ホスト材料とは、正孔および電子の注入が可能であり、正孔と電子とが輸送され、その分子内で再結合することで発光ドーパントを発光させる機能を有する化合物を示す。
TADF材料としては、既知の材料を使用することができ、特に限定されるものではないが、S1準位とT1準位とのエネルギー差(ΔEST)が0.1eV未満、つまり、ΔEST<0.1eVであることが好ましく、ΔEST<0.05eVであることがより好ましい。
TADF材料としては、例えば、10−フェニル−10H,10’H−スピロ[アクリジン−9,9’−アントラセン]−10’−オン(ACRSA)、3−(9,9−ジメチルアクリジン−10(9H)−イル)−9H−キサンテン−9−オン(ACRXTN)、1,2,3,5−テトラキス(カルバゾール−9−イル)−4,6−ジシアノベンゼン(4CzIPN)、2−フェノキサジン−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(PXZ−TRX)、2,4,6−トリ(4−(10H−フェノキサジン−10H−イル)フェニル)−1,3,5−トリアジン(トリ−PXZ−TRZ)等が挙げられる。
発光ドーパントとして例えばTTPAを使用する場合、上記TADF材料のなかでも、発光ドーパントとの組み合わせから、ACRXTN、ACRSA等が好ましい。
また、励起子生成層33中のTADF材料のS1準位は、蛍光発光層34中の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)のS1準位とエネルギー準位が同じか、それよりも高いことが好ましい。これにより、励起子生成層33から蛍光発光層34へのフェルスター型のエネルギー移動(共鳴エネルギー移動、フェルスター遷移)が可能となる。また。蛍光発光層34から励起子生成層33へのエネルギー移動を防止することができる。したがって、蛍光発光層34での発光効率を向上させることができる。
また、励起子生成層33中のTADF材料のHOMO準位は、蛍光発光層34中の蛍光発光材料のHOMO準位よりも高く、励起子生成層33中のTADF材料のLUMO準位は、蛍光発光層34中の蛍光発光材料のLUMO準位よりも低いことが望ましい。これにより、正孔も電子も、蛍光発光層34よりも励起子生成層33に入り易くなる。このため、励起子生成層33での励起子生成確率を高めることができるので、一重項励起子の生成効率を向上させることができ、この結果、蛍光発光層34での発光効率を向上させることができる。
なお、HOMO準位は、理研計器株式会社製の大気中光電子分光装置「AC−3」等を用いて紫外線を照射して放出される光電子の閾値エネルギーを測定することで求めることができる。一方、LUMO準位は、島津製作所製の紫外可視分光光度計「UV−2450」等を使用し、紫外線を照射したときの吸収スペクトルの吸収端のエネルギーでバンドギャップを求め、該バンドギャップと上記手法で測定されたHOMO準位とから、計算によって求めることができる。
HOMO準位およびLUMO準位の比較は、値そのものではなく、エネルギー差が重要であり、HOMO準位およびLUMO準位は、何れも、常用の手法により求めることができる。このため、測定方法の詳細については省略するが、同じ手法で用いたHOMO準位同士およびLUMO準位同士を比較することが望ましい。
また、励起子生成層33は、2種類以上の材料を適宜混合して用いることができる。これにより、例えば、励起子生成層33のキャリア移動度を変更することができる。例えば、キャリア移動度が異なるTADF材料を混合し、キャリア移動度を調整することで、励起子生成層33での励起子生成確率を高めることができる。この結果、一重項励起子の生成効率を向上させることができるので、蛍光発光層34での発光効率を向上させることができる。
励起子生成層33は、理想的には、少なくとも1種類のTADF材料からなり、非TADF材料、特に発光ドーパントを含まないことが望ましい。励起子生成層33が非TADF材料を含む場合、非TADF材料で励起子を生成する可能性がある。励起子生成層33がTADF材料のみからなることで、発光効率を損なわずに、励起子生成層33で、100%の割合で一重項励起子を生成することができる。
しかしながら、たとえ励起子生成層33が非TADF材料を含んでいたとしても、励起子生成層33と蛍光発光層34とを異なる層として設けることで、従来のように発光層内にTADF材料と非TADF材料とが均一に混合されている場合と比較して、発光効率を改善することができる。
したがって、励起子生成層33は、非TADF材料、特に蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)を実質的に含まないことが望ましく、TADF材料のみからなり、非TADF材料を含まないことがより望ましいが、非TADF材料を含まないことが必須ではない。
励起子生成層33が非TADF材料(すなわち、TADF材料以外の化合物)を含む場合、励起子生成層33中に含まれる全ての非TADF材料のS1準位およびT1準位が、励起子生成層33中の全てのTADF材料のS1準位およびT1準位、並びに、蛍光発光層34における全ての蛍光ドーパント材料のS1準位およびT1準位の何れよりも高いことが望ましい。これにより、励起子生成層33中に非TADF材料が含まれる場合、該非TADF材料にエネルギーが移動することを防止することができる。
なお、励起子生成層33が非TADF材料を含む場合、励起子生成層33中のTADF材料の合計割合は、50w%以上であることが好ましく、90w%以上であることがより好ましく、100w%であることが最も好ましい。
本実施形態において、励起子生成層33の厚みは、励起子生成層33内で生成した励起子の利用効率の観点から10nm以下であることが好ましい。
TADF材料のS1準位から蛍光発光材料のS1準位へのフェルスター遷移は、材料同士が直接接触していなくても、一定距離内であれば起こる。このとき、TADF材料の分子から蛍光発光材料の分子までの距離が10nm以下であれば、確実にフェルスター遷移が起こるとともに、エネルギーの移動効率を損なうこともない。
励起子生成層33の中で最も蛍光発光材料から遠いTADF材料の分子(励起子生成層33における蛍光発光層34とは反対側の表面に位置するTADF材料の分子)から、蛍光発光層34の中で最もTADF材料に近い蛍光発光材料の分子(つまり、蛍光発光層34における励起子生成層33側の表面に位置する蛍光発光材料の分子)までの距離をdとし、励起子生成層33の厚みをd1とすると、本実施形態では、d=d1である。
そこで、厚みd1を10nm以下とすれば、距離dを10nm以下とすることができる。つまり、本実施形態において、厚みd1を10nm以下とすれば、励起子生成層33の任意の位置から蛍光発光層34までの最短距離が何れも10nm以下となる。このため、励起子生成層33における蛍光発光層34とは反対側の表面に位置するTADF材料の分子においてもフェルスター遷移が起こる。したがって、この場合、励起子生成層33中の全てのTADF材料の分子において、フェルスター遷移が可能となる。
(蛍光発光層34)
蛍光発光層34は、少なくとも1種類の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料、蛍光発光材料)を含む層であり、実質的に発光する層である。言い換えれば、蛍光発光層34は、主に発光を目的とする層である。
蛍光ドーパント材料とは、正孔と電子との再結合エネルギーを受け取って発光する機能を有し、発光が観察される化合物を示す。
蛍光ドーパント材料として用いることができる蛍光を発する材料としては、既知の材料を使用することができるが、低分子蛍光色素、金属錯体等、発光効率が高い材料が好適に使用される。
蛍光ドーパント材料としては、例えば、9,10−ビス[N,N−ジ−(p−トリル)−アミノ]アントラセン(TTPA)、1,2,3,5−テトラキス(カルバゾール−9−イル)−4,6−ジシアノベンゼン(4CzIPN)、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TBPe)、2,8−ditert−ブチル−5,11−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6,12−ジフェニルテトラセン(TBRb)、テトラフェニルジベンゾペリフランテン(DBP)、5,6−ビス[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−2,2’−ビピリジン(PAP2BPy)、5,6−ビス[4’−(10−フェニル−9−アントリル)ビフェニル−4−イル]−2,2’−ビピリジン(PAPP2BPy)、N,N’−ビス[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−ピレン−1,6−ジアミン(1,6FLPAPrn)、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(YGAPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(DPhAPhA)クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン(DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(BisDCJTM)等が挙げられる。
また、蛍光発光層34は、2種類以上の材料が混合されていてもよい。例えば、蛍光発光材料に電子輸送性の材料を混合することで、蛍光発光層34から励起子生成層33への電子輸送性を高め、励起子生生成効率を向上させることができる。
より具体的には、蛍光発光層34が、例えば、電子輸送性材料であるmCPをホスト材料として含むことで、励起子生成層33にキャリアが集まり易くなる。このように、蛍光発光層34が、電子輸送性のホスト材料を含むことで、励起子生成層33で励起子がより生成され易くなる。なお、mCPは一例であり、蛍光発光層34に使用されるホスト材料は、これに限定されるものではない。
なお、このように、蛍光発光層34に蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)以外の材料を混合する場合、蛍光発光層34中に含まれる蛍光発光材料以外の全ての材料のS1準位およびT1準位が、蛍光発光層34中に含まれる蛍光発光材料のS1準位およびT1準位より高いことが望ましく、励起子生成層33中のTADF材料のS1準位およびT1準位よりも高いことがより望ましい。これにより、蛍光発光層34に蛍光発光材料以外の材料が含まれる場合、該材料にエネルギーが移動することを防止することができる。
なお、蛍光発光層34が蛍光発光材料以外の材料を含む場合、蛍光発光層34中の蛍光発光材料の割合は、蛍光発光層34の層厚や、ホスト材料および蛍光発光材料の種類等に応じて任意に設定することができ、特に限定されるものではないが、濃度が低すぎると発光効率が悪く、濃度が高すぎると濃度消光により発光効率が下がることから、例えば、1〜30wt%の範囲内であることが好ましく、3〜20wt%の範囲内であることがより好ましい。
また、励起子生成層33中のTADF材料に対する、蛍光発光層34中の蛍光発光材料の割合も、TADF材料および蛍光発光材料の種類等に応じて任意に設定することができ、特に限定されるものではない。
また、蛍光発光層34は、例えば蛍光発光材料として、TADF材料を含んでいてもよい。例えば、4CzIPNは、緑色発光する熱活性化遅延蛍光体である。
なお、励起子が励起子生成層33の外部で生成されるような駆動条件でも、上記したように蛍光発光材料自体がTADF材料であるかもしくはTADF材料を含む場合、蛍光発光層34でTADF材料が直接励起されて発光することで、この直接励起される成分によって発光効率が向上する。
なお、励起子の生成位置(言い換えれば、励起子を生成するか否か)は、キャリアバランスと層構成とに依存する。このため、上記したように、たとえTADF材料を蛍光ドーパント材料(TADFドーパント材料)として用いても、本実施形態のように励起子生成層33と蛍光発光層34とが分離して(つまり、互いに独立して設けられて)さえいれば、例えばキャリア移動度を調整する等して、TADFドーパント材料で励起子を生成させないことが可能である。
但し、本実施形態は、蛍光発光層34がTADFホスト材料を含むことを否定するものではない。蛍光発光層34は、実質的にTADFホスト材料を含まないことが望ましい。しかしながら、本実施形態によれば、発光を呈する蛍光発光層34とは別に励起子生成層33が設けられていることで、従来と比較して発光効率を改善することができる。したがって、蛍光発光層34は、TADFホスト材料またはTADFドーパント材料を含むものであっても構わない。
蛍光発光層34の厚みは、励起子生成層33のキャリア移動度や蛍光発光層34の周辺の材料のキャリア移動度のバランス、蛍光発光層34を構成する材料の種類等に応じて適宜設定することができる。また、蛍光発光層34が厚み方向の全域で発光する必要は必ずしもない。したがって、蛍光発光層34の厚みは、所望の厚みとなるように任意に設定が可能であり、特に限定されるものではない。
<有機EL素子10の製造工程>
ここで、有機EL素子10の製造工程について、簡単に説明する。なお、通常、有機EL素子は、スイッチング素子としてトランジスタを有しているが、本実施形態ではその製造工程については言及しない。
以下では、複数のトランジスタが島状に形成された基板1上に、第1電極2、有機EL層3、および第2電極4を形成する工程を説明する。
まず、基板1における各トランジスタ上に第1電極2をパターン形成する(第1電極形成工程)。なお、本実施形態では、第1電極2として、非透光性電極21と透光性電極22とをこの順に積層してパターン形成する。
次いで、パターン形成した第1電極2上に、有機層からなる有機EL層3を構成する各層を形成していく(有機層形成工程)。なお、第1電極2の周辺の絶縁性を確保するために、第1電極2の周辺に有機絶縁膜(図示せず)を設けてもよい。有機絶縁膜としては、例えばポリイミド系等の樹脂材料等を用いるのが好ましいが、特にこれらに限定されるものではなく、例えば公知の有機絶縁材料を用いることができる。
有機EL層3を構成する各層の形成方法としては、特に限定されるものではなく、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法、イオンプレーティング法等の乾式成膜法や、スピンコーティング法、ディッピング法、フローコーティング法、インクジェット法等の湿式成膜法等、公知の方法を採用することができる。
このとき、本実施形態では、上述したように励起子生成層33とは別に蛍光発光層34を形成する。本実施形態では、有機EL層3として、正孔注入層31、正孔輸送層32、励起子生成層33、蛍光発光層34、電子輸送層35、電子注入層36を、この順に積層する。
なお、有機EL層3を構成する各層が2種類以上の材料を含む場合、例えば、各材料を共蒸着させればよい。例えば、上述したように蛍光発光層34がホスト材料を含む場合、ホスト材料と、蛍光発光材料とを共蒸着させる。このとき、ホスト材料中に蛍光発光材料をドープさせる。
最後に、有機EL層3上に第2電極4を形成する(第2電極形成工程)ことで、有機EL素子10が形成される。
<効果>
以下に、本実施形態による効果について、図2の(a)〜(c)を参照して説明する。
一般的に、発光層は、正孔および電子の輸送を担うホスト材料と、発光を担う発光ドーパント(ゲスト)材料との2成分系で形成されており、発光ドーパント材料は、主成分であるホスト材料に均一に分散されている。
特許文献1、2でも、TADF材料と、実質的に発光する蛍光ドーパント材料(発光ドーパント材料)である蛍光発光材料とが、同一層に共存する構造を有している。
ホスト材料にTADF材料を用いた場合には、ホスト材料で励起子が生成されれば100%の割合で一重項励起子を生成できる。しかしながら、一般的にドーパント材料の方が、ホスト材料であるTADF材料よりもS1準位が低い。このため、励起子自体がドーパント材料で生成され易く、非発光の三重項励起子を生成する。
一方、蛍光ドーパント材料にTADF材料を用いた場合には、蛍光ドーパント材料の濃度比はホスト材料に比べて低いため、必ずしも蛍光ドーパント材料のみで励起子が生成されず、発光効率が低下する。また、蛍光ドーパント材料の濃度比を高くすると、濃度消光が起こり、発光効率が低下する。
このような問題は、TADF材料と非TADF材料とを共蒸着等により混合することで必然的に生じる。
しかしながら、本願発明者らの検討によれば、実際には、上述したように、正孔および電子の輸送を担うホスト材料であるTADF材料と、発光を担う蛍光ドーパント材料とが直接接触していなくても、一定距離内(望ましくは10nm以下)であれば、TADF材料のS1準位から蛍光発光材料のS1準位へのフェルスター遷移は起こるし、効率を損なうこともない。
そこで、本実施形態では、従来の発光層で行われていた発光と励起子の生成とを機能分離させ、発光を呈する蛍光発光層34とは別に励起子生成層33を設けることで、実質的に発光する層と実質的に励起子を生成する層とを層分離させている。
図2の(a)〜(c)は、本実施形態にかかる有機EL素子10における励起子生成層33と蛍光発光層34との間のフェルスター遷移を模式的に示す説明図である。
図2の(a)に示すように、励起子生成層33と蛍光発光層34とが層分離しており、かつ励起子生成層33がキャリアの再結合位置にある場合、蛍光発光層34で直接励起子が生成されず、励起子生成層33で励起子が生成される。
そして、TADF材料と、発光を担う蛍光ドーパント材料とが直接接触していなくても、一定距離内(望ましくは10nm以下)であれば、図2の(a)に示すように、励起子生成層33の励起状態のTADFホスト材料の分子33aから、蛍光発光層34の蛍光ドーパント材料の分子34aにフェルスター遷移が起こる。
なお、第1電極2と励起子生成層33との間、並びに、第2電極4と蛍光発光層34との間には、任意の層が存在していてよい。また、励起子生成層33の厚みや配置によっては、励起子生成層33と蛍光発光層34との間に他の層が存在していてもよい。励起子生成層33と蛍光発光層34とが接触している(つまり、連続的に積層されている)必要は必ずしもない。
本実施形態では、図2の(b)・(c)に示すように、励起子生成層33のTADF材料の一重項励起状態S1から、蛍光発光層34の蛍光ドーパント材料の一重項励起状態S1にフェルスター遷移が起こる。また、励起子生成層33のTADF材料の三重項励起状態T1は、励起子生成層33のTADF材料の一重項励起状態S1に逆項間交差してから、蛍光発光層34の蛍光ドーパント材料の一重項励起状態S1にフェルスター遷移が起こる。
本実施形態では、TADFホスト材料と蛍光ドーパント材料とが異なる層に存在しており、同じ層内でTADFホスト材料と蛍光ドーパント材料とが混合しない。
より具体的には、本実施形態では、TADF材料(熱活性化遅延蛍光体、TADFホスト材料)と、蛍光発光材料(蛍光発光体、蛍光ドーパント材料)とが層分離しており、かつ励起子生成層33がキャリアの再結合位置にある。このため、蛍光発光層34で直接励起子が生成されず、励起子生成層33で励起子が生成される。
このため、本実施形態では、図2の(c)に示すように、蛍光発光層34で、ほぼ100%の割合で一重項励起子を生成可能であり、発光効率を損なわずに、蛍光発光層34の蛍光ドーパント材料の一重項励起状態S1から発光が起こる。このため、本実施形態によれば、従来よりも発光効率を向上させることができる有機EL素子10を提供することができる。
次に、本実施形態について、実施例を挙げてさらに詳しく説明する。なお、以下の実施例では、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明する。しかしながら、本実施形態は、これらの具体的な寸法および材料にのみ限定されるものではない。すなわち、本実施形態は、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、図1に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、励起子生成層33、蛍光発光層34、電子輸送層35、電子注入層36、第2電極4を、この順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。なお、基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(第1電極2、陽極、反射電極):Ag、100nm
透光性電極22(第1電極2、陽極):ITO、30nm
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
励起子生成層33:ACRXTN(5nm)
蛍光発光層34:TTPA(5nm)
電子輸送層35:Bphen(20nm)
電子注入層36:LiF(1nm)
第2電極4(陰極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
このように、正孔輸送層32が20nmの厚みのα−NPD層、電子輸送層35が20nmの厚みのBphen層という組み合わせの場合、正孔輸送性よりも電子輸送性の方が高い。したがって、電子と正孔とは、有機EL層3内における、陰極側よりも陽極側で再結合し易い。
したがって、このような場合、図1に示すように、励起子生成層33を、蛍光発光層34よりも陽極側に設けた方が、励起子生成層33で効率良く励起子を生成できる。このため、本実施例では、図1に示すように、励起子生成層33と蛍光発光層34とを、正孔輸送層32側に励起子生成層33が位置し、電子輸送層35側に蛍光発光層34が位置するように形成している。
また、ACRXTNのS1準位は2.53eV、ACRXTNのT1準位は2.47eVである。これに対し、TTPAのS1準位は2.34eVであり、TTPAのT1準位は、それよりも低い。このため、ACRXTNとTTPAとは、ACRXTNのS1準位>TTPAのS1準位、および、ACRXTNのT1準位>TTPAのT1準位の関係を有している。
また、ACRXTNとTTPAとは、ACRXTNのHOMO準位>TTPAのHOMO準位、および、ACRXTNのLUMO準位<TTPAのLUMO準位の関係を有している。
また、本実施例では、励起子生成層33の厚みd1(d1=d)および蛍光発光層34の厚みは、それぞれ5nmと薄いため、層間のエネルギー移動も起こり易い。
このため、本実施例では、TADFホスト材料から蛍光ドーパント材料へのフェルスター遷移が起こり、TADFホスト材料で100%の割合で生成された一重項励起子が、全て蛍光ドーパント材料に遷移する。このため、本実施例によれば、従来よりも発光効率を向上させることができる有機EL素子10を提供することができる。
なお、本実施例において、蛍光発光層34に電子輸送性のホスト材料である例えばmCBPを混合すれば、励起子生成層33にキャリアがより集まり易くなる。これにより、さらに励起子生成層33で励起子が生成され易くなる。
また、mCBPのS1準位は3.37eVであり、mCBPのT1準位は2.90eVである。このため、mCBPのS1準位およびT1準位は、ACRXTNのS1準位およびT1準位、並びに、TTPAのS1準位およびT1準位の何れよりも高い。このため、蛍光発光層34がmCBPを含んでいたとしても、mCBPにエネルギーが移動することはない。
〔実施形態2〕
本発明の実施の他の形態について、図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態では、実施形態1との相違点について説明するものとし、実施形態1で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。なお、本実施形態でも、実施形態1と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。
<有機EL素子10の概略構成>
図3は、本実施形態にかかる有機EL素子10の概略構成を示す断面図である。
なお、本実施形態でも、第1電極2が陽極、第2電極4が陰極である場合を例に挙げて図示している。
図3に示すように、本実施形態にかかる有機EL素子10も、ベースとなる基板1上に、第1電極2、有機EL層3、および第2電極4が、この順番に積層されている。
本実施形態にかかる有機EL素子10は、有機EL層3の蛍光発光層34から発した光を、基板1側から取り出すボトムエミッション型の有機EL素子である。
有機EL素子10がボトムエミッション型である場合には、基板1には、透明基板あるいは透光性基板と称される、ガラス基板、プラスチック基板等の透光性を有する絶縁基板が用いられる。
また、有機EL素子10がボトムエミッション型である場合には、第1電極2を、透明電極等の透光性または半透光性の電極材料で形成し、第2電極4を、反射性金属電極等の非透光性電極材料で形成することが好ましい。
これらの透光性を有する絶縁基板、透光性または半透光性の電極材料、非透光性電極材料としては、例えば、実施形態1に例示の材料を使用することができる。
本実施形態にかかる有機EL素子10は、ボトムエミッション型の有機EL素子であり、第1電極2を透光性または半透光性の電極材料で形成し、第2電極4を非透光性電極材料で形成したことを除けば、実施形態1にかかる有機EL素子10と同じである。
以下に、本実施形態にかかる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例2)
本実施例では、図3に示すように、基板1上に、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、励起子生成層33、蛍光発光層34、電子輸送層35、電子注入層36、第2電極4を、この順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。なお、基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
透光性電極22(第1電極2、陽極):ITO、100nm
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
励起子生成層33:ACRXTN(5nm)
蛍光発光層34:TTPA(5nm)
電子輸送層35:Bphen(20nm)
電子注入層36:LiF(1nm)
第2電極4(陰極、非透光性電極、反射電極):Al(100nm)
本実施例にかかる有機EL素子10は、第1電極2および第2電極4の材料および厚みが異なることを除けば、実施例1にかかる有機EL素子10と同じである。
したがって、本実施例によれば、実施例1では、蛍光発光層34が呈する光を直接、もしくは反射電極からなる非透光性電極21で反射させて第2電極4側から取り出していたのに対し、本実施例では、蛍光発光層34が呈する光を直接、もしくは反射電極なる第2電極4で反射させて第2電極4側から取り出すことを除けば、実施例1と同様の効果を得ることができる。
<効果>
以上のように、本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果を有する、ボトムエミッション型の有機EL素子10を提供することができる。
〔実施形態3〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施形態でも、実施形態1との相違点について説明し、実施形態1で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。但し、本実施形態でも、実施形態1、2と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。例えば、本実施形態では、トップエミッション型の有機EL素子を例に挙げて実施形態1との相違点について説明するが、本実施形態でも実施形態2のようにボトムエミッション型としてもよいことは言うまでもない。
<有機EL素子10の概略構成>
図4は、本実施形態にかかる有機EL素子10の概略構成を示す断面図である。
なお、本実施形態でも、第1電極2が陽極、第2電極4が陰極である場合を例に挙げて図示している。
本実施形態にかかる有機EL素子10は、電子輸送性よりも正孔輸送性が高く、励起子生成層33が蛍光発光層34よりも陰極側(つまり、第2電極4側)に形成されていることを除けば、実施形態1にかかる有機EL素子10と同じである。
<効果>
電子輸送性よりも正孔輸送性が高い場合、キャリアの再結合は、陽極よりも陰極側で起こり易い。
このため、電子輸送性よりも正孔輸送性が高い場合、励起子生成層33を蛍光発光層34よりも陰極側に配置した方が、より効率的に励起子を生成することができる。
以下に、本実施形態にかかる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例3)
本実施例では、図4に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、蛍光発光層34、励起子生成層33、電子輸送層35、電子注入層36、第2電極4を、この順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。なお、基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(第1電極2、陽極、反射電極):Ag、100nm
透光性電極22(第1電極2、陽極):ITO、30nm
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(10nm)
蛍光発光層34:TTPA(5nm)
励起子生成層33:ACRXTN(5nm)
電子輸送層35:Bphen(40nm)
電子注入層36:LiF(1nm)
第2電極4(陰極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
本実施例にかかる有機EL素子10は、正孔輸送層32であるα−NPD層の厚みを10nmとし、電子輸送層35であるBphen層の厚みを40nmとし、電子輸送層35側に励起子生成層33を形成し、正孔輸送層32側に蛍光発光層34を形成したことを除けば、実施例1にかかる有機EL素子10と同じである。
本実施例と同様に正孔輸送層32にα−NPD層を使用し、電子輸送層35にBphen層を使用した場合、実施例1のように両層の厚みが同じ20nmであれば、正孔輸送性よりも電子輸送性の方が高い。
しかしながら、本実施例では、電子輸送層35の厚みが40nmと厚いため、電子輸送性が低く、正孔輸送層32の厚みが10nmと薄いため、正孔輸送性が高い。このため、キャリアの再結合は、陰極である第2電極4側、言い換えれば、正孔輸送層32よりも電子輸送層35側で起こり易い。したがって、励起子生成層33を蛍光発光層34よりも電子輸送層35側に配置した方が、効率的に励起子を生成することができる。
このように、キャリア移動度や各層のキャリア移動度のバランスは、例えば、有機EL層3を構成する各層の材料や厚み等によって変化する。また、前述したように、正孔輸送層32や電子輸送層35は必須の層ではない。したがって、キャリア移動度や各層のキャリア移動度のバランスは、当然、有機EL層3の積層構造によっても変化する。
したがって、有機EL層3を構成する各層のキャリア移動度や各層のキャリア移動度のバランス等に応じて、キャリアの再結合が生じる位置に励起子生成層33を形成することで、より効率的に励起子を生成することができ、より発光効率を向上させることができる。
また、本実施例でも、ACRXTNとTTPAとは、ACRXTNのHOMO準位>TTPAのHOMO準位、および、ACRXTNのLUMO準位<TTPAのLUMO準位の関係を有している。
したがって、上述したように蛍光発光層34と励起子生成層33との積層順を入れ替えた場合でも、正孔も電子も、蛍光発光層34よりも励起子生成層33に入り易い。したがって、励起子生成層33での励起子生成確率を高めることができるので、励起子の生成効率を向上させることができ、蛍光発光層34での発光効率を向上させることができる。
(実施例4)
本実施形態でも、励起子生成層33および蛍光発光層34の少なくとも一方が2種類以上の材料を含んでいてもよい。
本実施例にかかる有機EL素子10は、蛍光発光層34に、ホスト材料として正孔輸送性材料であるmCPを混合したことを除けば、実施例3にかかる有機EL素子10と同じである。
すなわち、本実施例でも、実施例3同様、図4に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、蛍光発光層34、励起子生成層33、電子輸送層35、電子注入層36、第2電極4を、この順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。なお、基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(第1電極2、陽極、反射電極):Ag、100nm
透光性電極22(第1電極2、陽極):ITO、30nm
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(10nm)
蛍光発光層34:mCP/TTPA(mCP/TTPA混合比=0.9/0.1)(5nm)
励起子生成層33:ACRXTN(5nm)
電子輸送層35:Bphen(40nm)
電子注入層36:LiF(1nm)
第2電極4(陰極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
このように、本実施例では、蛍光発光層34に正孔輸送性のホスト材料を混合したことで、励起子生成層33への正孔輸送性が高まり、励起子生成層33にキャリアが集まり易くなっている。このため、本実施例によれば、励起子生成効率をより向上させることができる。
また、前述したように、ACRXTNのS1準位は2.53eV、ACRXTNのT1準位は2.47eVである。これに対し、TTPAのS1準位は2.34eVであり、TTPAのT1準位は、それよりも低い。このため、ACRXTNとTTPAとは、ACRXTNのS1準位>TTPAのS1準位、および、ACRXTNのT1準位>TTPAのT1準位の関係を有している。
このため、励起子生成層33から蛍光発光層34へのフェルスター遷移が起こり易い。
また、mCPのS1準位は3.40eVであり、mCPのT1準位は2.90eVである。このため、mCPのS1準位およびT1準位は、ACRXTNのS1準位およびT1準位、並びに、TTPAのS1準位およびT1準位の何れよりも高い。このため、蛍光発光層34がmCPを含んでいたとしても、mCPにエネルギーが移動することはない。
したがって、本実施例によれば、実施例3よりも励起子の生成効率を向上させることができるので、実施例3よりも蛍光発光層34での発光効率を向上させることができる。
なお、本実施例では、一例として、蛍光発光層34が2種類の材料を含む場合を例に挙げて説明したが、実施形態1で説明したように、励起子生成層33が2種類の材料を含んでいてもよいことは言うまでもない。
(実施例5)
本実施例にかかる有機EL素子10は、実施例4においてTTPAに代えて4CzIPNを蛍光発光材料に使用したことを除けば、実施例4にかかる有機EL素子10と同じである。
本実施形態において、ガラス基板からなる基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(第1電極2、陽極、反射電極):Ag、100nm
透光性電極22(第1電極2、陽極):ITO、30nm
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(10nm)
蛍光発光層34:mCP/4CzIPN(mCP/4CzIPN混合比=0.9/0.1)(5nm)
励起子生成層33:ACRXTN(5nm)
電子輸送層35:Bphen(40nm)
電子注入層36:LiF(1nm)
第2電極4(陰極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
実施形態1で説明したように、蛍光発光層34は、例えば蛍光発光材料として、TADF材料(TADFドーパント材料)を含んでいてもよい。前述したように、4CzIPNは、緑色発光する熱活性化遅延蛍光体である。
励起子の生成位置は、材料ではなくキャリアバランスによって決定されるため、本実施例でも、実施例4同様、励起子生成層33で励起子が生成される。
本実施例では、これに加え、蛍光発光材料にTADF材料(TADFドーパント材料)を使用することで、蛍光発光層34中のTADF材料の一部が、直接励起されて発光する。このため、発光効率を向上させることができる。
〔実施形態4〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施形態でも、実施形態1との相違点について説明し、実施形態1で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、本実施形態でも、実施形態1〜3と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。
<有機EL素子10の概略構成>
図5は、本実施形態にかかる有機EL素子10の概略構成を示す断面図である。
なお、本実施形態でも、第1電極2が陽極、第2電極4が陰極である場合を例に挙げて図示している。
前述したように、有機EL層3は、少なくとも1層の励起子生成層33と、少なくとも1層の蛍光発光層34と、を少なくとも備えている。
有機EL層3は、蛍光発光層34を2層以上含んでもよく、励起子生成層33を挟んで蛍光発光層34が積層されていてもよい。
図5に示す有機EL素子10は、励起子生成層33の表裏両面(つまり、第1の主面および第2の主面)に接して、蛍光発光層34が積層されている。
以下、各蛍光発光層34を区別する必要がある場合、各蛍光発光層34を、それぞれ「第1の蛍光発光層34A」、「第2の蛍光発光層34B」と記す。
すなわち、図5に示す有機EL素子10は、第1電極2と第2電極4との間に、有機EL層3として、第1電極2側から、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1の蛍光発光層34A、励起子生成層33、第2の蛍光発光層34B、電子輸送層35、電子注入層36が、この順に形成された構成を有している。
なお、各蛍光発光層34の厚みは、同じであってもよく、異なっていてもよい。各蛍光発光層34の厚みは、各蛍光発光層34の移動度や周辺材料の移動度のバランスに応じて適宜設定すればよい。
<効果>
本実施形態によれば、上記したように有機EL層3が蛍光発光層34を2層以上含むことで、発光効率を向上させることができる。
特に、励起子生成層33からのエネルギー移動は、励起子生成層33の陽極側にも陰極側にも等しく起こり得る。このため、励起子生成層33と陽極との間、および励起子生成層33と陰極との間の両方に蛍光発光層34が設けられていることで、蛍光ドーパント材料に漏れなくエネルギー移動が可能であり、発光効率が上昇する。
なお、前述したように、TADF材料のS1準位から蛍光発光材料のS1準位へのフェルスター遷移は一定距離内であれば起こり、このとき、TADF材料の分子から蛍光発光材料の分子までの距離が10nm以下であれば、移動効率を損なうこともない。
したがって、本実施形態によれば、TADF材料と、第1の蛍光発光層34Aおよび第2の蛍光発光層34Bのうち何れか近い方の蛍光発光層34との距離(言い換えれば、励起子生成層33の任意の位置から蛍光発光層34までの最短距離)が10nm以下であれば、両材料が接触している場合と同様に、確実にフェルスター遷移が起こる。
このため、図5に示す構成においては、励起子生成層33の厚みd1(d=d1)を20nm以下とすれば、励起子生成層33中のTADF材料の分子と、第1の蛍光発光層34Aおよび第2の蛍光発光層34Bのうち何れか近い方の蛍光発光層34中の蛍光発光材料の分子との距離を、何れも10nm以下にすることができる。したがって、この場合、励起子生成層33の厚みd1は、20nm以下であることが好ましい。
以下に、本実施形態にかかる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例6)
本実施例では、図5に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1の蛍光発光層34A、励起子生成層33、第2の蛍光発光層34B、電子輸送層35、電子注入層36、第2電極4を、この順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。なお、基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(第1電極2、陽極、反射電極):Ag、100nm
透光性電極22(第1電極2、陽極):ITO、30nm
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
第1の蛍光発光層34A(蛍光発光層34):mCP/TTPA(mCP/TTPA混合比=0.9/0.1)(5nm)
励起子生成層33:ACRXTN(10nm)
第2の蛍光発光層34B(蛍光発光層34):mCBP/TTPA(mCBP/TTPA混合比=0.9/0.1)(5nm)
電子輸送層35:Bphen(20nm)
電子注入層36:LiF(1nm)
第2電極4(陰極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
本実施例によれば、上述したように、励起子生成層33と陽極との間、および励起子生成層33と陰極との間の両方にそれぞれ蛍光発光層34が設けられていることで、両蛍光発光層34の蛍光発光材料に対してフェルスター遷移が可能となる。このため、実施例1よりも発光効率が上昇する。
また、本実施例では、励起子生成層33の膜厚が10nmであるため、励起子生成層33の中で最も蛍光発光材料から遠いTADF材料の分子から、蛍光発光層34の中で最もTADF材料に近い蛍光発光材料の分子までの距離を10nmにすることができる。
なお、本例では励起子生成層33の膜厚を10nmとしたが、励起子生成層33の膜厚を20nmとした場合、励起子生成層33の任意の位置から何れかの蛍光発光層34(第1の蛍光発光層34Aまたは第2の蛍光発光層34B)までの最短距離をそれぞれ10nmにすることができる。
また、本実施例では、陽極側の蛍光発光層34である第1の蛍光発光層34Aにホスト材料として正孔輸送性材料であるmCPを混合し、陰極側の蛍光発光層34である第2の蛍光発光層34Bにホスト材料として電子輸送性材料であるmCBPを混合している。このため、励起子生成層33への正孔輸送性および電子輸送性が高まり、励起子生成層33にキャリアが集まり易くなっている。このため、本実施例によれば、励起子生成効率をより向上させることができる。
また、前述したように、mCPのS1準位およびT1準位、並びに、mCBPのS1準位およびT1準位は、ACRXTNのS1準位およびT1準位、並びに、TTPAのS1準位およびT1準位の何れよりも高い。このため、上述したように各蛍光発光層34がmCPあるいはmCBPを含んでいたとしても、これらmCPやmCBPにエネルギーが移動することはない。
また、前述したように、ACRXTNとTTPAとは、ACRXTNのS1準位>TTPAのS1準位、および、ACRXTNのT1準位>TTPAのT1準位の関係を有するとともに、ACRXTNのHOMO準位>TTPAのHOMO準位、および、ACRXTNのLUMO準位<TTPAのLUMO準位の関係を有している。
したがって、本実施例でも、例えば実施形態1あるいは実施形態3の例えば実施例4で説明したのと同様の効果を得ることができる。
なお、本実施例では、第1の蛍光発光層34Aと第2の蛍光発光層34Bとで異なるホスト材料を使用する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第1の蛍光発光層34Aと第2の蛍光発光層34Bとに異なる蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)を使用してもよいことは言うまでもない。このように第1の蛍光発光層34Aと第2の蛍光発光層34Bとに異なる材料(例えば、異なる蛍光発光材料、あるいは、異なるホスト材料)を使用することで、キャリア移動度の調整や発光色の調整を行うことができる。
〔実施形態5〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施形態では、実施形態1との相違点について説明するものとし、実施形態1で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、本実施形態でも、実施形態1〜4と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。
<有機EL素子10の概略構成>
図6は、本実施形態にかかる有機EL素子10の概略構成を示す断面図である。
なお、本実施形態でも、第1電極2が陽極、第2電極4が陰極である場合を例に挙げて図示している。
有機EL素子10を高輝度で発光させるために電流密度を上昇させると、キャリアの再結合領域が励起子生成層33の外側まで広がって、非TADF材料からなる、蛍光発光層34の蛍光ドーパントで直接励起子が生成されてしまう可能性がある。
そこで、本実施形態では、上記現象による発光効率の低下を抑制するため、励起子生成層33と蛍光発光層34の間に、中間層37として、励起子生成層33および蛍光発光層34以外の層を少なくとも1層設けている。すなわち、中間層37は、1層のみ形成されていてもよく、複数層で形成されていてもよい。
中間層37は、キャリアおよび励起子の移動が可能であり、励起子生成層33と蛍光発光層34との間でエネルギーの受け渡しが可能な層であれば特に限定されるものではない。中間層37には、例えば、電子輸送性材料あるいは正孔輸送性材料を用いることができる。これら電子輸送性材料あるいは正孔輸送性材料としては、例えば、電子輸送層35の材料あるいは正孔輸送層32の材料と同様の材料を用いることができる。なお、中間層37は、1種類の材料で形成されていてもよく、複数の材料で形成されていてもよい。例えば、中間層37は、2種類以上の材料を混合して形成されていてもよく、2種類以上の材料が層状に設けられていてもよい。
中間層37の材料は、励起子生成層33のキャリア移動度や蛍光発光層34の周辺の材料のキャリア移動度のバランス、蛍光発光層34を構成する材料の種類等に応じて、励起子生成層33で励起子が生成されるように適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
<効果>
実施例1で説明したように、正孔輸送層32が20nmの厚みのα−NPD層、電子輸送層35が20nmの厚みのBphen層という組み合わせの場合、正孔輸送性よりも電子輸送性の方が高い。したがって、電子と正孔とは、陰極側よりも陽極側で再結合し易い。
このため、この場合、励起子生成層33を、蛍光発光層34よりも陽極側に設けた方が、励起子生成層33で効率良く励起子を生成できる。
そして、この場合、中間層37に電子輸送性材料を使用することで、励起子生成層33にキャリアがより集まり易くなる。また、この場合、蛍光発光層34にホスト材料として電子輸送性材料を使用することで、励起子生成層33にキャリアがさらに集まり易くなる。
なお、例えば実施形態3のように電子輸送性よりも正孔輸送性の方が高い場合、励起子生成層33を、蛍光発光層34よりも陰極側に設け、中間層37に正孔輸送性材料を使用することが好ましく、この場合、蛍光発光層34にホスト材料として正孔輸送性材料を使用することがより好ましい。これにより、励起子生成層33にキャリアがより集まり易くなる。
本実施形態によれば、このように励起子生成層33と蛍光発光層34とを連続的に積層せず、励起子生成層33と蛍光発光層34との間に中間層37を設けることで、高輝度点灯時(すなわち、有機EL素子10を高輝度で発光させるために電流密度を上昇させた場合)にも蛍光発光層34で励起子が直接生成されることを防ぎ、発光効率を改善することができる。
なお、このように有機EL層3が、励起子生成層33と蛍光発光層34との間に中間層37を含む場合、中間層37中に含まれる全ての材料のS1準位およびT1準位が、蛍光発光層34における全ての蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)のS1準位およびT1準位の何れよりも高いことが望ましく、励起子生成層33中の全てのTADF材料のS1準位およびT1準位の何れよりも高いことがより望ましい。これにより、中間層37の材料にエネルギーが移動することを防止することができる。
また、このように有機EL層3が、励起子生成層33と蛍光発光層34との間に中間層37を含む場合、中間層37中の全ての材料のHOMO準位が励起子生成層33中のTADF材料のHOMO準位よりも低く、中間層37中の全ての材料のLUMO準位が励起子生成層33中のTADF材料のLUMO準位よりも高いことが好ましい。これにより、正孔も電子も、中間層37よりも励起子生成層33に入り易くなる。この結果、励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、発光効率を向上させることができる。
また、中間層37中の全ての材料のHOMO準位は、蛍光発光層34中の蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)のHOMO準位よりも高く、中間層37中の全ての材料のLUMO準位が蛍光発光層34中の蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)のLUMO準位よりも低いことが好ましい。これにより、正孔も電子も、蛍光発光層34よりも中間層37に入り易くなる。この結果、励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、発光効率を向上させることができる。
したがって、上述した構成を組み合わせることで、より励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、より発光効率を向上させることができる。
また、このように有機EL層3が、励起子生成層33と蛍光発光層34との間に中間層37を含む場合、励起子生成層33の厚みd1と中間層37の厚みd2との合計の厚みが10nm以下であることが望ましい。
d1+d2を10nm以下とすることで、図6に示すように、励起子生成層33の中で最も蛍光発光材料から遠いTADF材料の分子(つまり、励起子生成層33における蛍光発光層34とは反対側の表面に位置するTADF材料の分子)から、蛍光発光層34の中で最もTADF材料に近い蛍光発光材料の分子(つまり、蛍光発光層34における励起子生成層33側の表面に位置する蛍光発光材料の分子)までの距離dを10nm以下にすることができる。
以下に、本実施形態にかかる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例7)
本実施例では、図6に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、励起子生成層33、中間層37、蛍光発光層34、電子輸送層35、電子注入層36、第2電極4を、この順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。なお、基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(第1電極2、陽極、反射電極):Ag、100nm
透光性電極22(第1電極2、陽極):ITO、30nm
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
励起子生成層33:ACRXTN(5nm)
中間層37:mCBP(2nm)
蛍光発光層34:mCBP/TTPA(mCBP/TTPA混合比=0.9/0.1)(5nm)
電子輸送層35:Bphen(20nm)
電子注入層36:LiF(1nm)
第2電極4(陰極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
本実施例では、図6に示すように、励起子生成層33を蛍光発光層34よりも陽極側に配置するとともに、励起子生成層33と蛍光発光層34との間に、電子輸送性材料であるmCBPからなる中間層37を設けた。また、蛍光発光層34に、電子輸送性のホスト材料としてmCBPを混合した。
したがって、本実施形態によれば、高輝度点灯時にも蛍光発光層34で励起子が直接生成されることを防ぎ、発光効率を改善することができる。
また、本実施例において、ACRXTN、TTPA、およびmCBPの各S1準位およびT1準位の関係、並びに、ACRXTNおよびTTPAの各HOMO準位およびLUMO準位の関係は、例えば実施形態1、3、4で説明した通りである。
したがって、本実施例でも、励起子生成層33中のTADF材料(本実施例ではACRXTN)のS1準位は蛍光発光層34の蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料、本実施例ではTTPA)のS1準位よりも高く、励起子生成層33中のTADF材料のT1準位は蛍光発光層34の蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)のT1準位よりも高い。
また、励起子生成層33中のTADF材料のHOMO準位は蛍光発光層34の蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)のHOMO準位よりも高く、励起子生成層33中のTADF材料のLUMO準位は蛍光発光層34の蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)のLUMO準位よりも低い。
また、mCBPのS1準位およびT1準位は、ACRXTNのS1準位およびT1準位、並びに、TTPAのS1準位およびT1準位の何れよりも高い。
したがって、蛍光発光層34中に含まれる蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)以外の全ての材料(本実施例ではmCBP)のS1準位およびT1準位は、励起子生成層33中のTADF材料のS1準位およびT1準位、並びに、蛍光発光層34の蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)のS1準位およびT1準位の何れよりも高い。
このため、本実施例でも、例えば実施形態1あるいは実施形態3の例えば実施例4で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
また、本実施例では、これに加え、中間層37中の全ての材料(本実施例ではmCBP)のS1準位およびT1準位も、励起子生成層33中のTADF材料のS1準位およびT1準位、並びに、蛍光発光層34の蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)のS1準位およびT1準位の何れよりも高い。したがって、中間層37の材料にエネルギーが移動することを防止することができる。
また、mCBPのHOMO準位はACRXTNのHOMO準位よりも低く、mCBPのLUMO準位はACRXTNのLUMO準位よりも高い。さらに、mCBPのHOMO準位はTTPAのHOMO準位よりも高く、mCBPのLUMO準位はTTPAのLUMO準位よりも低い。
したがって、中間層37中の全ての材料のHOMO準位は励起子生成層33中のTADF材料のHOMO準位よりも低く、中間層37中の全ての材料のLUMO準位が励起子生成層33中のTADF材料のLUMO準位よりも高い。
さらに、中間層37中の全ての材料のHOMO準位は蛍光発光層34中の蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)のHOMO準位よりも高く、中間層37中の全ての材料のLUMO準位が蛍光発光層34中の蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)のLUMO準位よりも低い。
このため、本実施例によれば、励起子生成層33での励起子生成確率を向上させることができ、発光効率を向上させることができる。
〔実施形態6〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施形態では、主に実施形態4、5との相違点について説明するものとし、実施形態4、5で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、本実施形態でも、実施形態1〜5と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。
<有機EL素子10の概略構成>
図7は、本実施形態にかかる有機EL素子10の概略構成を示す断面図である。
なお、本実施形態でも、第1電極2が陽極、第2電極4が陰極である場合を例に挙げて図示している。
実施形態4のように蛍光発光層34を挟んで第1の蛍光発光層34Aと第2の蛍光発光層34Bとが設けられている場合、中間層37は、第1の蛍光発光層34Aと励起子生成層33との間、並びに、第2の蛍光発光層34Bと励起子生成層33との間、の何れか1方のみに設けられていてもよいし、その両方に設けられていてもよい。
以下、各中間層37を区別する必要がある場合、各中間層37を、それぞれ「第1の中間層37A」、「第2の中間層37B」と記す。
なお、第1の中間層37A、第2の中間層37Bは、それぞれ、1層のみで形成されていてもよく、複数層で形成されていても構わない。各中間層37が、1種類の材料で形成されていてもよく、複数の材料で形成されていてもよいことは、実施形態5で説明した通りである。
<効果>
本実施形態によれば、何れの場合にも、中間層37が蛍光発光層34と励起子生成層33との間に設けられていることで、実施形態5と同様の効果を得ることができる。
また、上記したように蛍光発光層34を挟んで第1の蛍光発光層34Aおよび第2の蛍光発光層34Bが設けられている場合、実施形態4で説明したように、励起子生成層33中のTADF材料の分子と、第1の蛍光発光層34Aおよび第2の蛍光発光層34Bのうち何れか近い方の蛍光発光層34中の蛍光発光材料の分子との距離を10nm以下とすることが好ましい。
したがって、上述したように、例えば、中間層37が、第1の蛍光発光層34Aと励起子生成層33との間、並びに、第2の蛍光発光層34Bと励起子生成層33との間に設けられている場合、励起子生成層33の厚みd1と第1の中間層37Aの厚みd21と第2の中間層37Bの厚みd22との合計の厚み(d1+d21+d22)は、20nm以下であることが好ましい。これにより、励起子生成層33の任意の位置から蛍光発光層34までの最短距離を何れも10nm以下にすることができる。
なお、各中間層37の厚みは、同じであってもよく、異なっていてもよい。各中間層37の厚みは、周辺材料の移動度のバランスに応じて適宜設定すればよい。
以下に、本実施形態にかかる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例8)
本実施例では、図7に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1の蛍光発光層34A、第1の中間層37A、励起子生成層33、第2の中間層37B、第2の蛍光発光層34B、電子輸送層35、電子注入層36、第2電極4を、この順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。なお、基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(第1電極2、陽極、反射電極):Ag、100nm
透光性電極22(第1電極2、陽極):ITO、30nm
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
第1の蛍光発光層34A(蛍光発光層34):mCP/TTPA(mCP/TTPA混合比=0.9/0.1)(5nm)
第1の中間層37A(中間層37):mCP(2nm)
励起子生成層33:ACRXTN(5nm)
第2の中間層37B(中間層37):mCBP(2nm)
第2の蛍光発光層34B(蛍光発光層34):mCBP/TTPA(mCBP/TTPA混合比=0.9/0.1)(5nm)
電子輸送層35:Bphen(20nm)
電子注入層36:LiF(1nm)
第2電極4(陰極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
本実施例では、図7に示すように、陽極側の蛍光発光層34である第1の蛍光発光層34Aと励起子生成層33との間に、正孔輸送性材料であるmCPからなる第1の中間層37Aを設けた。また、第1の蛍光発光層34Aに、正孔輸送性のホスト材料としてmCPを混合した。さらに、本実施例では、陰極側の蛍光発光層34である第2の蛍光発光層34Bと励起子生成層33との間に、電子輸送性材料であるmCBPからなる第2の中間層37Bを設けた。また、第2の蛍光発光層34Bに、電子輸送性のホスト材料としてmCBPを混合した。
また、ACRXTN、TTPA、およびmCBPの各S1準位およびT1準位、並びに、各HOMO準位およびLUMO準位の関係は、例えば実施形態1、3〜5で説明した通りである。
また、ACRXTN、TTPA、およびmCPの各S1準位およびT1準位の関係は、例えば実施形態3、5で説明した通りである。
そして、mCPのHOMO準位はACRXTNのHOMO準位よりも低く、mCPのLUMO準位はACRXTNのLUMO準位よりも高い。さらに、mCPのHOMO準位はTTPAのHOMO準位よりも高く、mCPのLUMO準位はTTPAのLUMO準位よりも低い。
したがって、本実施例でも、励起子生成層33中のTADF材料のS1準位・T1準位・HOMO準位・LUMO準位と、蛍光発光層34中の蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料、TTPA)のS1準位・T1準位・HOMO準位・LUMO準位と、蛍光発光層34中の蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料、TTPA)以外の全ての材料(本実施例ではmCPおよびmCBP)のS1準位・T1準位・HOMO準位・LUMO準位と、各中間層37中の全ての材料(本実施例ではmCPおよびmCBP)のS1準位・T1準位・HOMO準位・LUMO準位とは、例えば実施形態4、5で説明した関係と同様の関係を有している。
したがって、本実施例によれば、実施形態4、5で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
〔実施形態7〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施形態では、主に実施形態4との相違点について説明するものとし、実施形態4で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、本実施形態でも、実施形態1〜6と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。
<有機EL素子10の概略構成>
図8は、本実施形態にかかる有機EL素子10の概略構成を示す断面図である。
なお、本実施形態でも、第1電極2が陽極、第2電極4が陰極である場合を例に挙げて図示している。
蛍光発光層34の厚みが10nmよりも薄い場合、励起子生成層33から蛍光発光層34を飛び越えて、その外側の層にエネルギー移動してしまい、発光効率が低下することが考えられる。なお、上記外側の層とは、有機EL層3における、蛍光発光層34を挟んで励起子生成層33とは反対側に設けられた層であり、例えば正孔輸送層32や電子輸送層35等を示す。
したがって、蛍光発光層34の厚みが10nmよりも薄い場合、蛍光発光層34に隣接して、外側の層へのフェルスター遷移を防止するブロック層38が設けられていることが好ましい。
ブロック層38は、励起子エネルギー移動ブロック層として機能する。ブロック層38は、励起子生成層33から外側の周辺層へのエネルギー移動を防止できる程度の膜厚があれば、特に限定されるものではないが、例えば、電子輸送性材料あるいは正孔輸送性材料を用いることができる。これら電子輸送性材料あるいは正孔輸送性材料としては、例えば、電子輸送層35の材料あるいは正孔輸送層32の材料と同様の材料を用いることができる。なお、ブロック層38は、1種類の材料で形成されていてもよく、複数の材料で形成されていてもよい。
<効果>
本実施形態によれば、上記ブロック層38を設けることで、蛍光発光層34の厚みが薄い場合でも、励起子生成層33から蛍光発光層34を飛び越えてその外側の周辺層にエネルギーが移動することを防止することができる。このため、本実施形態によれば、蛍光発光層34の厚みが薄い場合でも、発光効率を向上させることができる。
なお、ブロック層38は、S1準位およびT1準位の両方が、隣接する蛍光発光層34中の全ての蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)のS1準位およびT1準位の何れよりも高いことが望ましく、励起子生成層33中の全てのTADF材料のS1準位およびT1準位の何れよりも高いことがより望ましい。すなわち、ブロック層38は、S1準位およびT1準位の両方が、隣接する蛍光発光層34中の全ての蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)のS1準位およびT1準位、並びに、上記励起子生成層33中のTADF材料のS1準位およびT1準位の何れよりも高い材料で形成されていることがより好ましい。これにより、励起子生成層33および蛍光発光層34からブロック層38へのエネルギー移動を防止することができる。
また、ブロック層38中の全ての材料のHOMO準位は、隣接する蛍光発光層34中の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)のHOMO準位よりも低いことが好ましい。この場合、正孔がブロック層38よりも蛍光発光層34に入り易いため、正孔漏れを防止することができる。これにより、励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、発光効率を向上させることができる。
また、ブロック層38中の全ての材料のLUMO準位は、隣接する蛍光発光層34中の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)のLUMO準位よりも高いことが好ましい。この場合、電子がブロック層38よりも蛍光発光層34に入り易いため、電子漏れを防止することができる。これにより、励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、発光効率を向上させることができる。
図8に示すように蛍光発光層34として第1の蛍光発光層34Aと第2の蛍光発光層34Bとが設けられている場合、ブロック層38は、第1の蛍光発光層34Aと正孔輸送層32との間、および、第2の蛍光発光層34Bと電子輸送層35との間の、両方に設けられてもよいし、何れか一方のみに設けられてもよい。
以下、各ブロック層38を区別する必要がある場合、各ブロック層38を、それぞれ「第1のブロック層38A」、「第2のブロック層38B」と記す。
図8に示すように第1の蛍光発光層34Aと正孔輸送層32との間に第1のブロック層38Aが設けられ、第2の蛍光発光層34Bと電子輸送層35との間に第2のブロック層38Bが設けられている場合、第1の蛍光発光層34Aと第1のブロック層38Aとの合計の厚み、および、第2のブロック層38Bと第2のブロック層38Bとの合計の厚みは、ともに10nm以上であることが望ましい。これにより、各ブロック層38の外側の層にエネルギー移動してしまい、発光効率が低下することを、より確実に防止することができる。
なお、第1の蛍光発光層34Aと第1のブロック層38Aとの合計の厚み、および、第2のブロック層38Bと第2のブロック層38Bとの合計の厚みの上限は特に限定されるものではない。しかしながら、各層の厚みや積層数が多くなれば、その分、最終的に得られる有機EL素子10の厚みが増加する。このため、他の層との関係から、有機EL素子10が所望の厚みを有するように適宜設定することが望ましい。上記上限は、例えば、駆動電圧上昇を防止する等の理由から、50nm以下とすることが望ましい。
なお、各ブロック層38の厚みは同じであってもよく、異なっていてもよい。各ブロック層38の厚みは、隣接する蛍光発光層34の移動度等に応じて適宜設定すればよい。
以下に、本実施形態にかかる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例8)
本実施例では、図8に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1のブロック層38A、第1の蛍光発光層34A、励起子生成層33、第2の蛍光発光層34B、第2のブロック層38B、電子輸送層35、電子注入層36、第2電極4を、この順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。なお、基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(第1電極2、陽極、反射電極):Ag、100nm
透光性電極22(第1電極2、陽極):ITO、30nm
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
第1のブロック層38A(ブロック層38):mCP(10nm)
第1の蛍光発光層34A(蛍光発光層34):mCP/TTPA(mCP/TTPA混合比=0.9/0.1)(5nm)
励起子生成層33:ACRXTN(10nm)
第2の蛍光発光層34B(蛍光発光層34):mCBP/TTPA(mCBP/TTPA混合比=0.9/0.1)(5nm)
第2のブロック層38B(ブロック層38):mCBP(10nm)
電子輸送層35:Bphen(20nm)
電子注入層36:LiF(1nm)
第2電極4(陰極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
本実施例では、蛍光発光層34と、その外側(電極側)に位置する周辺層との間に、mCPあるいはmCBPからなるブロック層38が設けられている。
なお、ACRXTN、TTPA、mCP、およびmCBPの各S1準位・T1準位・HOMO準位・LUMO準位の関係は、例えば実施形態1、3〜6で説明した通りである。
したがって、本実施例によれば、実施形態1、3〜6で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
また、本実施例によれば、上記ブロック層38を設けたことで、上記したように蛍光発光層34の厚みが薄い場合でも、励起子生成層33から蛍光発光層34を飛び越えてその外側の周辺層にエネルギーが移動することを防止することができる。したがって、本実施形態でも、発光効率を向上させることができる。
<変形例>
上述したように、本実施形態では、実施形態1〜6と同様の変形が可能である。このため、本実施形態では、主に実施形態4との相違点について説明したが、例えば、図7に示す有機EL素子10における第1の蛍光発光層34Aと正孔輸送層32との間、および、第2の蛍光発光層34Bと電子輸送層35との間のうち少なくとも一方にブロック層38が設けられている構成としても構わない。
〔実施形態8〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施形態では、主に実施形態1との相違点について説明するものとし、実施形態1で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、本実施形態でも、実施形態1〜7と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。
<有機EL素子10の概略構成>
図9は、本実施形態にかかる有機EL素子10の概略構成を示す断面図である。
なお、本実施形態でも、第1電極2が陽極、第2電極4が陰極である場合を例に挙げて図示している。
電流密度を変化させて有機EL素子10を駆動する場合、励起子の生成する位置が変化するおそれがある。
そこで、励起子生成層33は、図9に示すように、蛍光発光層34の表面側および裏面側の両方に設けられていてもよい。
つまり、励起子生成層33は、蛍光発光層34と第1電極2との間、および、蛍光発光層34と第2電極4との間の両方に設けられていてもよい。
以下、各励起子生成層33を区別する必要がある場合、各励起子生成層33を、それぞれ「第1の励起子生成層33A」、「第2の励起子生成層33B」と記す。
このように有機EL層3に励起子生成層33が複数設けられている場合、第1の励起子生成層33AのTADF材料と第2の励起子生成層33B中のTADF材料とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
第1の励起子生成層33Aと第2の励起子生成層33Bとに異なるTADF材料を使用することで、各励起子生成層33のキャリア移動度を変更することができる。このため、この場合、電流密度を変化させて有機EL素子10を駆動するに際し、励起子の生成する位置を、変化させる電流密度に応じた位置に調整することができるので、励起子生成層33でキャリアの再結合が起こり易くなり、発光効率が改善する。
上記したように第1の励起子生成層33Aと第2の励起子生成層33Bとに異なるTADF材料を使用する場合、第1の励起子生成層33A中のTADF材料としては、電子移動度が正孔移動度より高い材料が好ましい。逆に、第2の励起子生成層33B中のTADF材料としては、正孔移動度が電子移動度よりも高い材料が好ましい。
なお、図9に示す構成においては、第1の励起子生成層33Aの厚みをd11とし、第2の励起子生成層33Bの厚みをd12とすると、d11およびd12は、何れも10nm以下であることが好ましい。これにより、両材料が接触している場合と同様に、確実にフェルスター遷移が起こり、移動効率を損なうこともない。
なお、d11およびd12は同じであってもよく、異なっていてもよい。各励起子生成層33の厚みは、各励起子生成層33の移動度や周辺材料の移動度のバランスに応じて適宜設定すればよい。
<効果>
このように励起子生成層33が蛍光発光層34を挟んで設けられていることで、有機EL素子10を異なる電流条件で駆動する場合にも、励起子生成層33でキャリアの再結合が起こり易くなり、発光効率が改善する。
また、本実施形態によれば、励起子生成層33が蛍光発光層34を挟んで設けられていることで、蛍光発光層34の厚みが薄い場合でも、蛍光発光層34を飛び越えて外側の正孔輸送層32や電子輸送層35へのエネルギーの移動が生じ難い。このため、上記有機EL素子10は、蛍光発光層34の厚みが10nm以下である場合にも好適である。
以下に、本実施形態にかかる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例10)
本実施例では、図9に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1の励起子生成層33A、蛍光発光層34、第2の励起子生成層33B、電子輸送層35、電子注入層36、第2電極4を、この順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。なお、基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(第1電極2、陽極、反射電極):Ag、100nm
透光性電極22(第1電極2、陽極):ITO、30nm
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
第1の励起子生成層33A(励起子生成層33):ACRXTN(5nm)
蛍光発光層34:TTPA(2nm)
第2の励起子生成層33B(励起子生成層33):ACRXTN(5nm)
電子輸送層35:Bphen(20nm)
電子注入層36:LiF(1nm)
第2電極4(陰極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
なお、ACRXTNおよびTTPAの各S1準位・T1準位・HOMO準位・LUMO準位の関係は、例えば実施形態1で説明した通りである。
したがって、本実施例によれば、実施形態1で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
また、本実施例によれば、上記したように励起子生成層33が蛍光発光層34を挟んで設けられていることで、有機EL素子10を異なる電流条件で駆動する場合にも、励起子生成層33でキャリアの再結合が起こり易くなり、発光効率が改善する。
なお、本実施例では、第1の励起子生成層33Aおよび第2の励起子生成層33Bに何れもACRXTNを用いた場合を例に挙げて示しているが、一方の励起子生成層33、例えば第1の励起子生成層33Aに、ACRSAもしくはPXZ−TRZを用いてもよい。上述したように蛍光発光材料にTTPAを使用する場合、該蛍光発光材料との組み合わせからは、ACRSAを用いることが特に好ましい。
<変形例>
上述したように、本実施形態では、実施形態1〜7と同様の変形が可能である。このため、本実施形態では、主に実施形態1との相違点について説明したが、他の実施形態に記載の有機EL素子10およびその組み合わせに対しても同様の変形が可能である。
例えば、実施形態5〜7で説明したように、励起子生成層33と蛍光発光層34との間には、中間層37が、それぞれ少なくとも1層設けられていてもよい。
したがって、蛍光発光層34と第1の励起子生成層33Aとの間、および、蛍光発光層34と第2の励起子生成層33Bとの間の少なくとも一方に、中間層37が、それぞれ少なくとも1層設けられていてもよい。
また、例えば、実施形態4で説明したように、励起子生成層33からのエネルギー移動は、励起子生成層33の陽極側にも陰極側にも等しく起こり得る。このため、励起子生成層33を挟んで蛍光発光層34が設けられていることで、蛍光ドーパント材料に漏れなくエネルギー移動が可能であり、発光効率が上昇する。
したがって、有機EL層3は、第1の励起子生成層33Aと陽極との間、並びに、第2の励起子生成層33Bと陰極との間の少なくとも一方に、さらに蛍光発光層34を備えていても構わない。
すなわち、有機EL層3は、例えば、第1の蛍光発光層34A、第2の蛍光発光層34B、第3の蛍光発光層34Cを含み、第1の蛍光発光層34A/第1の励起子生成層33A/第2の蛍光発光層34B/第2の励起子生成層33B/第3の蛍光発光層34Cの順に各蛍光発光層34および励起子生成層33が積層された構成を有していても構わない。
また、この場合にも、第1の蛍光発光層34Aと第1の励起子生成層33Aとの間、第1の励起子生成層33Aと第2の蛍光発光層34Bとの間、第2の蛍光発光層34Bと第2の励起子生成層33Bとの間、第2の励起子生成層33Bと第3の蛍光発光層34Cとの間の少なくとも一箇所に、中間層37が、それぞれ少なくとも1層設けられていてもよいことは、言うまでもない。
〔実施形態9〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施形態では、主に実施形態8との相違点について説明するものとし、実施形態1で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、本実施形態でも、実施形態1〜8と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。
<有機EL素子10の概略構成>
図10は、本実施形態にかかる有機EL素子10の概略構成を示す断面図である。
なお、本実施形態でも、第1電極2が陽極、第2電極4が陰極である場合を例に挙げて図示している。
実施形態8の図9に示すように励起子生成層33が蛍光発光層34を挟んで設けられている場合にも、図10に示すように、各励起子生成層33に隣接してブロック層38が設けられていてもよい。
<効果>
本実施形態でも、上記ブロック層38を設けることで、励起子生成層33から蛍光発光層34以外の周辺層にエネルギーが移動することを防止することができるので、発光効率をより向上させることができる。
ブロック層38の材料としては、実施形態7で説明した材料と同様の材料を使用することができる。但し、このようにブロック層38を励起子生成層33に隣接して設ける場合、ブロック層38は、S1準位およびT1準位の両方が、隣接する励起子生成層33中のTADF材料のS1準位およびT1準位の何れよりも高い材料で形成されていることが好ましい。すなわち、ブロック層38は、S1準位およびT1準位の両方が、隣接する励起子生成層33中のTADF材料のS1準位およびT1準位、並びに、蛍光発光層34中の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)のS1準位およびT1準位の何れよりも高い材料で形成されていることが好ましい。これにより、励起子生成層33および蛍光発光層34からブロック層38へのエネルギー移動を防止することができる。
また、ブロック層38中の全ての材料のHOMO準位は、隣接する励起子生成層33中のTADF材料のHOMO準位よりも低いことが好ましい。この場合、正孔がブロック層38よりも蛍光発光層34に入り易いため、正孔漏れを防止することができる。これにより、励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、発光効率を向上させることができる。
また、ブロック層38中の全ての材料のLUMO準位は、隣接する励起子生成層33中のTADF材料のLUMO準位よりも高いことが好ましい。この場合、電子がブロック層38よりも蛍光発光層34に入り易いため、電子漏れを防止することができる。これにより、励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、発光効率を向上させることができる。
なお、本実施形態でも、図10に示すように励起子生成層33として第1の励起子生成層33Aと第2の励起子生成層33Bとが設けられている場合、ブロック層38は、第1の励起子生成層33Aと正孔輸送層32との間、および、第2の励起子生成層33Bと電子輸送層35との間の、両方に設けられてもよいし、何れか一方のみに設けられてもよい。
なお、各ブロック層38の厚みは、何れも、10nm以上であることが望ましい。これにより、各ブロック層38の外側の層にエネルギー移動してしまい、発光効率が低下することを、より確実に防止することができる。
なお、本実施形態でも、各ブロック層38の厚みの上限は特に限定されるものではない。しかしながら、各層の厚みや積層数が多くなれば、その分、最終的に得られる有機EL素子10の厚みが増加する。このため、他の層との関係から、有機EL素子10が所望の厚みを有するように適宜設定することが望ましい。上記上限は、例えば、駆動電圧上昇を防止する等の理由から、50nm以下とすることが望ましい。
なお、本実施形態でも、各ブロック層38の厚みは同じであってもよく、異なっていてもよい。各ブロック層38の厚みは、隣接する励起子生成層33の移動度等に応じて適宜設定すればよい。
また、本実施形態でも、図10に示す構成は、図9に示す構成と同様に、d11とd12とが、何れも10nm以下であることが好ましい。また、d11とd12とは同じであってもよく、異なっていてもよい。
以下に、本実施形態にかかる有機EL素子10の構成について、実施例を用いて具体的に示す。なお、以下の実施例でも、一部の構成要素に対し、具体的な寸法および材料を例に挙げて説明するが、本実施形態も、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例11)
本実施例では、図10に示すように、基板1上に、非透光性電極21、透光性電極22、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1のブロック層38A、第1の励起子生成層33A、蛍光発光層34、第2の励起子生成層33B、第2のブロック層38B、電子輸送層35、電子注入層36、第2電極4を、この順に積層した。
基板1にはガラス基板を使用した。なお、基板1上に積層した各層の材料並びに厚みは以下の通りである。
非透光性電極21(第1電極2、陽極、反射電極):Ag、100nm
透光性電極22(第1電極2、陽極):ITO、30nm
正孔注入層31:HAT−CN(10nm)
正孔輸送層32:α−NPD(20nm)
第1のブロック層38A(ブロック層38):mCP(10nm)
第1の励起子生成層33A(励起子生成層33):ACRXTN(5nm)
蛍光発光層34:TTPA(2nm)
第2の励起子生成層33B(励起子生成層33):ACRXTN(5nm)
第2のブロック層38B(ブロック層38):mCBP(10nm)
電子輸送層35:Bphen(20nm)
電子注入層36:LiF(1nm)
第2電極4(陰極):Ag−Mg合金(Ag/Mg混合比=0.9/0.1)(20nm)
なお、ACRXTN、TTPA、mCP、およびmCBPの各S1準位・T1準位・HOMO準位・LUMO準位の関係は、例えば実施形態1、3〜8で説明した通りである。
本実施例によれば、例えば実施形態7、8で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
<変形例>
上述したように、本実施形態では、実施形態1〜8と同様の変形が可能である。このため、本実施形態では、主に実施形態8との相違点について説明したが、他の実施形態に記載の有機EL素子10およびその組み合わせに対しても同様の変形が可能である。
例えば、図1、3〜6に示す有機EL素子10、あるいは、実施形態8の変形例に示す有機EL素子10において、励起子生成層33に隣接してブロック層38を設けても構わない。すなわち、各実施形態に記載の有機EL層3は、蛍光発光層34、励起子生成層33、ブロック層38が、この順に積層された構成を有していても構わない。
〔まとめ〕
本発明の態様1にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、陽極(例えば第1電極2)と陰極(例えば第2電極4)との間に、少なくとも1種類の熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料)をホスト材料(TADFホスト材料)として含む少なくとも1層の励起子生成層33(励起子生成層33、第1の励起子生成層33A、第2の励起子生成層33B)と、少なくとも1種類の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)を含む少なくとも1層の蛍光発光層34(蛍光発光層34、第1の蛍光発光層34A、第2の蛍光発光層34B)と、を少なくとも備えている。
一般的に、発光層は、正孔および電子の輸送を担うホスト材料と、発光を担う発光材料との2成分系で形成されており、発光材料は、ホスト材料に均一に分散されている。
特許文献1、2でも、TADF材料と、実質的に発光する蛍光ドーパント材料(発光ドーパント材料)である、非TADF材料からなる蛍光発光材料とが、同一層に共存している。
しかしながら、一般的にドーパント材料の方が、ホスト材料であるTADF材料よりもS1準位が低い。このため、TADF材料と、非TADF材料からなる蛍光ドーパント材料とが共存していると、励起子自体が、非TADF材料からなる蛍光ドーパント材料で生成され易く、非発光の三重項励起子を生成し、発光効率が低下する。
しかしながら、本願発明者らの検討によれば、正孔および電子の輸送を担うホスト材料であるTADF材料と、発光を担う蛍光ドーパント材料とが直接接触していなくても、TADF材料のS1準位から蛍光発光材料のS1準位へのエネルギー移動(フェルスター遷移)は起こる。
そこで、上記したように、従来の発光層で行われていた発光と励起子の生成とを機能分離させ、発光を呈する蛍光発光層34とは別に励起子生成層33を設けることで、同じ層内でTADF材料と蛍光発光材料とが混合することを防止することができる。このため、上記の構成によれば、従来よりも発光効率を向上させることができる有機EL素子10を提供することができる。
本発明の態様2にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1において、上記励起子生成層33の任意の位置から上記蛍光発光層34までの最短距離が10nm以下であってもよい。
TADF材料の分子から蛍光発光材料の分子までの距離が10nm以下であれば、確実にフェルスター遷移が起こるとともに、エネルギーの移動効率を損なうこともない。
上記の構成によれば、上記励起子生成層33の任意の位置のTADF材料の分子から蛍光発光材料の分子までの距離は、何れも10nm以下となる。したがって、上記の構成によれば、上記励起子生成層33中の全てのTADF材料の分子において、フェルスター遷移が可能となる。
本発明の態様3にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1または2において、上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)の励起一重項準位(S1準位)が、上記蛍光発光層34中の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)の励起一重項準位(S1準位)とエネルギー準位が同じか、もしくはそれよりも高くてもよい。
上記の構成によれば、励起子生成層33から蛍光発光層34へのエネルギー移動(フェルスター遷移)が可能となる。また。蛍光発光層34から励起子生成層33へのエネルギー移動を防止することができる。したがって、蛍光発光層34での発光効率を向上させることができる。
本発明の態様4にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1〜3の何れかにおいて、上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)のHOMO準位が、上記蛍光発光層34中の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)のHOMO準位よりも高く、上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料のLUMO準位が、上記蛍光発光層34中の蛍光発光材料のLUMO準位よりも低くてもよい。
上記の構成によれば、正孔も電子も、蛍光発光層34よりも励起子生成層33に入り易くなる。このため、励起子生成層33での励起子生成確率を高めることができるので、一重項励起子の生成効率を向上させることができ、この結果、蛍光発光層34での発光効率を向上させることができる。
本発明の態様5にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1〜4の何れかにおいて、上記励起子生成層33が、2種類以上の材料を含んでいてもよい。
上記の構成によれば、2種類以上の材料を混合することで、例えば、励起子生成層33のキャリア移動度を変更することができる。例えば、キャリア移動度が異なるTADF材料を混合し、キャリア移動度を調整することで、励起子生成層33での励起子生成確率を高めることができる。この結果、一重項励起子の生成効率を向上させることができるので、蛍光発光層34での発光効率を向上させることができる。
本発明の態様6にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様5において、上記励起子生成層33は、熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)以外の材料(非TADF材料)を含むとともに、上記励起子生成層33中に含まれる熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)以外の全ての材料の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)は、上記蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)、並びに、上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)の何れよりも高くてもよい。
本発明によれば、発光を呈する蛍光発光層34とは別に励起子生成層33が設けられていることで、従来と比較して発光効率を改善することができる。したがって、励起子生成層33は、熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)以外の材料(非TADF材料)を含むものであっても構わない。
上記の構成によれば、励起子生成層33中に非TADF材料が含まれる場合に、該非TADF材料にエネルギーが移動することを防止することができる。
本発明の態様7にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1〜5の何れかにおいて、上記蛍光発光層34が、2種類以上の材料を含んでいてもよい。
上記の構成によれば、2種類以上の材料を混合することで、例えば、蛍光発光層34から励起子生成層33へのキャリア移動度を変更することができる。
例えば、蛍光発光材料に電子輸送性の材料もしくは正孔輸送性の材料を混合することで、蛍光発光層34から励起子生成層33への電子輸送性もしくは正孔輸送性を高めることができる。この結果、励起子生成層33での励起子生成確率を高めることができるので、蛍光発光層34での発光効率を向上させることができる。
本発明の態様8にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様7において、上記蛍光発光層34は、蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)以外の材料(例えばホスト材料)を含むとともに、上記蛍光発光層34中に含まれる蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)以外の全ての材料の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)は、上記蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)、並びに、上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)の何れよりも高くてもよい。
本発明によれば、発光を呈する蛍光発光層34とは別に励起子生成層33が設けられていることで、従来と比較して発光効率を改善することができる。したがって、蛍光発光層34は、蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)以外の材料(例えばホスト材料)を含むものであっても構わない。
上記の構成によれば、蛍光発光層34中に蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)以外の材料が含まれる場合に、該蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)以外の材料にエネルギーが移動することを防止することができる。
本発明の態様9にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1〜8の何れかにおいて、上記蛍光発光層34中に含まれる蛍光発光材料が熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFドーパント材料)であってもよい。
上記の構成によれば、蛍光発光材料にTADF材料(TADFドーパント材料)を使用することで、蛍光発光層34中のTADF材料の一部が、直接励起されて発光する。このため、発光効率を向上させることができる。
なお、たとえTADF材料を蛍光発光材料(TADFドーパント材料)として用いても、上記したように励起子生成層33と蛍光発光層34とが分離して(つまり、互いに独立して設けられて)さえいれば、例えばキャリア移動度を調整する等して、TADFドーパント材料で励起子を生成させないことが可能である。
本発明の態様10にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1〜9の何れかにおいて、上記励起子生成層33が上記蛍光発光層34よりも陽極側(例えば第1電極2側)に積層されていてもよい。
励起子生成層33は、キャリア(正孔および電子)の再結合位置に設けられていることが好ましい。上記構成は、正孔輸送性よりも電子輸送性の方が高い場合に好適である。すなわち、正孔輸送性よりも電子輸送性の方が高い場合、正孔と電子とは、上記陽極および陰極からなる一対の電極間における、陰極側よりも陽極側の位置で再結合し易い。
したがって、このような場合、励起子生成層33を、蛍光発光層34よりも陽極側に設けることで、励起子生成層33で効率良く励起子を生成できる。
本発明の態様11にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1〜9の何れかにおいて、上記励起子生成層33が上記蛍光発光層34よりも陰極側(例えば第2電極4側)に積層されていてもよい。
励起子生成層33は、キャリア(正孔および電子)の再結合位置に設けられていることが好ましい。上記構成は、電子輸送性よりも正孔輸送性の方が高い場合に好適である。すなわち、電子輸送性よりも正孔輸送性の方が高い場合、正孔と電子とは、上記陽極および陰極からなる一対の電極間における、陽極側よりも陰極側の位置で再結合し易い。
したがって、このような場合、励起子生成層33を、蛍光発光層34よりも陰極側に設けることで、励起子生成層33で効率良く励起子を生成できる。
本発明の態様12にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1〜11の何れかにおいて、上記励起子生成層33と上記蛍光発光層34とが隣接して設けられており、上記励起子生成層33の膜厚が10nm以下であってもよい。
TADF材料の分子から蛍光発光材料の分子までの距離が10nm以下であれば、確実にフェルスター遷移が起こるとともに、エネルギーの移動効率を損なうこともない。
上記励起子生成層33と上記蛍光発光層34とが隣接して設けられている場合、上記励起子生成層33の膜厚を10nm以下とすることで、励起子生成層33の中で最も蛍光発光材料から遠いTADF材料の分子(励起子生成層33における蛍光発光層34とは反対側の表面に位置するTADF材料の分子)から、蛍光発光層34の中で最もTADF材料に近い蛍光発光材料の分子(つまり、蛍光発光層34における励起子生成層33側の表面に位置する蛍光発光材料の分子)までの距離を10nm以下とすることができる。したがって、上記の構成によれば、励起子生成層33における蛍光発光層34とは反対側の表面に位置するTADF材料の分子においてもフェルスター遷移が起こる。したがって、上記の構成によれば、上記励起子生成層33中の全てのTADF材料の分子において、フェルスター遷移が可能となる。
本発明の態様13にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1〜9の何れかにおいて、上記陽極と陰極との間に、上記蛍光発光層34が複数設けられていてもよい。
このように上記蛍光発光層34が複数設けられていることで、発光効率を向上させることができる。
本発明の態様14にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様13において、上記複数の蛍光発光層34は、上記励起子生成層33を挟んで積層されていてもよい。
励起子生成層33からのエネルギー移動は、励起子生成層33の陽極側にも陰極側にも等しく起こり得る。したがって、上記したように複数の蛍光発光層34が上記励起子生成層33を挟んで積層されていることで、蛍光発光材料に漏れなくエネルギー移動が可能であり、発光効率を向上させることができる。
本発明の態様15にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様14において、上記励起子生成層33を挟む蛍光発光層34が互いに異なる材料からなっていてもよい。
上記の構成によれば、上記励起子生成層33を挟む蛍光発光層34に異なる材料を使用することで、キャリア移動度の調整や発光色の調整を行うことができる。
本発明の態様16にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様14または15において、上記励起子生成層33と、上記励起子生成層33を挟む蛍光発光層34とが、互いに隣接して積層されており、上記励起子生成層33の膜厚が20nm以下であってもよい。
上記の構成によれば、上記励起子生成層33中のTADF材料の分子と、上記第1の蛍光発光層34Aおよび第2の蛍光発光層34Bのうち何れか近い方の蛍光発光層34中の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)の分子との距離を、何れも10nm以下にすることができる。したがって、上記の構成によれば、上記励起子生成層33中の全てのTADF材料の分子において、フェルスター遷移が可能となる。また、エネルギーの移動効率を損なうこともない。
本発明の態様17にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1〜15の何れかにおいて、上記陽極と陰極との間にブロック層38(ブロック層38、第1のブロック層38A、第2のブロック層38B)をさらに備え、上記励起子生成層33と、上記蛍光発光層34と、上記ブロック層38とが、この順に積層されており、かつ、上記蛍光発光層34と上記ブロック層38とが互いに隣接して積層されていてもよい。
上記の構成によれば、上記ブロック層38によりキャリア(正孔、電子)や励起子の突き抜けを防止することができる。このため、上記の構成によれば、蛍光発光層34の厚みが薄い場合でも、励起子生成層33から蛍光発光層34を飛び越えてエネルギーが移動することを防止することができ、発光効率を向上させることができる。
本発明の態様18にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様17において、上記蛍光発光層34の厚みが10nmよりも薄くてもよい。
上記の構成は、上記蛍光発光層34の厚みが10nmよりも薄い場合に特に有効である。蛍光発光層34の厚みが10nmよりも薄い場合、ブロック層38がなければ、励起子生成層33から蛍光発光層34を飛び越えて、その外側にエネルギー移動してしまうおそれがある。しかしながら、ブロック層38が設けられていることで、そのようなエネルギー移動を防止することができる。
本発明の態様19にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様18において、互いに隣接する上記蛍光発光層34と上記ブロック層38との合計の厚みが10nm以上であってもよい。
上記の構成によれば、励起子生成層33から蛍光発光層34を飛び越えて、その外側にエネルギー移動してしまい、発光効率が低下することを、より確実に防止することができる。
本発明の態様20にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様17〜19の何れかにおいて、上記ブロック層38中の全ての材料の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)が、隣接する上記蛍光発光層34中の蛍光発光材料の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)、並びに、上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)の何れよりも高くてもよい。
上記の構成によれば、蛍光発光層34および励起子生成層33からブロック層38へのエネルギー移動を防止することができる。
本発明の態様21にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様17〜20の何れかにおいて、上記ブロック層38中の全ての材料のHOMO準位が、隣接する上記蛍光発光層34中の蛍光発光材料のHOMO準位よりも低くてもよい。
上記の構成によれば、正孔がブロック層38よりも蛍光発光層34に入り易いため、正孔漏れを防止することができる。したがって、上記の構成によれば、励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、発光効率を向上させることができる。
本発明の態様22にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様17〜21の何れかにおいて、上記ブロック層38中の全ての材料のLUMO準位が、隣接する上記蛍光発光層34中の蛍光発光材料のLUMO準位よりも高くてもよい。
上記の構成によれば、電子がブロック層38よりも蛍光発光層34に入り易いため、電子漏れを防止することができる。したがって、上記の構成によれば、励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、発光効率を向上させることができる。
本発明の態様23にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1〜9の何れかにおいて、上記陽極と陰極との間に、上記励起子生成層33が複数設けられていてもよい。
このように上記励起子生成層33が複数設けられていることで、発光効率を向上させることができる。
本発明の態様24にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様23において、上記複数の励起子生成層33は、上記蛍光発光層34を挟んで積層されていてもよい。
上記の構成によれば、有機EL素子10を異なる電流条件で駆動する場合にも、励起子生成層33でキャリアの再結合が起こり易くなり、発光効率が改善する。
本発明の態様25にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様24において、上記蛍光発光層34を挟む励起子生成層33が、互いに異なる熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)を含んでいてもよい。
上記の構成によれば、各励起子生成層33のキャリア移動度を変更することができる。このため、上記の構成によれば、電流密度を変化させて有機EL素子10を駆動する場合、励起子の生成する位置を、変化させる電流密度に応じた位置に調整することができるので、励起子生成層33でキャリアの再結合が起こり易くなり、発光効率が改善する。
本発明の態様26にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様24〜25の何れかにおいて、上記蛍光発光層34の膜厚が10nm以下であってもよい。
上記の構成によれば、励起子生成層33が蛍光発光層34を挟んで設けられていることで、蛍光発光層34の厚みが薄い場合でも、蛍光発光層34を飛び越えて外側の正孔輸送層32や電子輸送層35へのエネルギーの移動が生じ難い。このため、上記有機EL素子10は、蛍光発光層34の厚みが10nm以下である場合にも好適である。
本発明の態様27にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様24〜26の何れかにおいて、上記蛍光発光層34と、上記蛍光発光層34を挟む励起子生成層33とが、互いに隣接して積層されており、上記蛍光発光層34を挟む励起子生成層33の厚みが何れも10nm以下であってもよい。
上記の構成によれば、確実にフェルスター遷移が起こるとともに、エネルギーの移動効率を損なうこともない。
本発明の態様28にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1〜12、23〜26の何れかにおいて、上記陽極と陰極との間にブロック層38(ブロック層38、第1のブロック層38A、第2のブロック層38B)をさらに備え、上記蛍光発光層34と、上記励起子生成層33と、上記ブロック層38とが、この順に積層されており、かつ、上記励起子生成層33と上記ブロック層38とが互いに隣接して積層されていてもよい。
上記の構成によれば、上記ブロック層38によりキャリア(正孔、電子)や励起子の突き抜けを防止することができる。このため、上記の構成によれば、励起子生成層33から蛍光発光層34以外の層にエネルギーが移動することを防止することができ、発光効率を向上させることができる。
本発明の態様29にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様28において、上記ブロック層38の厚みが10nm以上であってもよい。
上記の構成によれば、励起子生成層33から蛍光発光層34以外の層にエネルギーが移動してしまい、発光効率が低下することを、より確実に防止することができる。
本発明の態様30にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様28または29において、上記ブロック層38中の全ての材料の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)が、隣接する上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)、並びに、上記蛍光発光層34中の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)の何れよりも高くてもよい。
上記の構成によれば、励起子生成層33および蛍光発光層34からブロック層38へのエネルギー移動を防止することができる。
本発明の態様31にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様28〜30の何れかにおいて、上記ブロック層38中の全ての材料のHOMO準位が、隣接する上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)のHOMO準位よりも低くてもよい。
上記の構成によれば、正孔がブロック層38よりも蛍光発光層34に入り易いため、正孔漏れを防止することができる。これにより、励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、発光効率を向上させることができる。
本発明の態様32にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様28〜31の何れかにおいて、上記ブロック層38中の全ての材料のLUMO準位が、隣接する上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)のLUMO準位よりも高くてもよい。
上記の構成によれば、電子がブロック層38よりも蛍光発光層34に入り易いため、電子漏れを防止することができる。これにより、励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、発光効率を向上させることができる。
本発明の態様33にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様1〜11、13〜15、17〜26、28〜32の何れかにおいて、上記励起子生成層33と上記蛍光発光層34との間に、少なくとも1層の中間層37が設けられていてもよい。
上記の構成によれば、励起子生成層33と蛍光発光層34とを連続的に積層せず、励起子生成層33と蛍光発光層34との間に中間層37として上記励起子生成層33および上記蛍光発光層34以外の層を形成している。
したがって、上記の構成によれば、有機EL素子10を高輝度で発光させるために電流密度を上昇させたときに、キャリアの再結合領域が励起子生成層33の外側まで広がって、上記蛍光発光層34において、非TADF材料からなる蛍光ドーパントで直接励起子が生成されてしまうことを防ぐことができる。このため、上記の構成によれば、発光効率を改善することができる。
本発明の態様34にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様14または15において、上記複数の蛍光発光層34は、第1の蛍光発光層34Aと、第2の蛍光発光層34Bとを備え、上記第1の蛍光発光層34Aと上記励起子生成層33との間、および、上記第2の蛍光発光層34Bと上記励起子生成層33との間の少なくとも一方に、少なくとも1層の中間層37が積層されていてもよい。
上記の構成によれば、励起子生成層33と第1の蛍光発光層34Aとの間、および、励起子生成層33と第2の蛍光発光層34Bとの間の少なくとも一方に、中間層37(第1の中間層37Aまたは第2の中間層37B)として、上記励起子生成層33および上記各蛍光発光層34(第1の蛍光発光層34A、第2の蛍光発光層34B)以外の層が設けられている。
したがって、上記の構成によれば、有機EL素子10を高輝度で発光させるために電流密度を上昇させたときに、キャリアの再結合領域が励起子生成層33の外側まで広がって、上記各蛍光発光層34において、非TADF材料からなる蛍光ドーパントで直接励起子が生成されてしまうことを防ぐことができる。このため、上記の構成によれば、発光効率を改善することができる。
本発明の態様35にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様24〜26の何れかにおいて、上記複数の励起子生成層33は、第1の励起子生成層33Aと、第2の励起子生成層33Bとを備え、上記第1の励起子生成層33Aと上記蛍光発光層34との間、および、上記第2の励起子生成層33Bと上記蛍光発光層34との間の少なくとも一方に、少なくとも1層の中間層37が積層されていてもよい。
上記の構成によれば、蛍光発光層34と第1の励起子生成層33Aとの間、および、蛍光発光層34と第2の励起子生成層33Bとの間の少なくとも一方に、中間層37(第1の中間層37Aまたは第2の中間層37B)として、上記蛍光発光層34および上記各励起子生成層33(第1の励起子生成層33A、第2の励起子生成層33B)以外の層が設けられている。
したがって、上記の構成によれば、有機EL素子10を高輝度で発光させるために電流密度を上昇させたときに、キャリアの再結合領域が励起子生成層33の外側まで広がって、上記各蛍光発光層34において、非TADF材料からなる蛍光ドーパントで直接励起子が生成されてしまうことを防ぐことができる。このため、上記の構成によれば、発光効率を改善することができる。
本発明の態様36にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様24〜26の何れかにおいて、上記複数の励起子生成層33は、第1の励起子生成層33Aと、第2の励起子生成層33Bとを備え、上記第1の励起子生成層33Aと上記蛍光発光層34との間に、少なくとも1層の第1の中間層37Aが設けられているとともに、上記第2の励起子生成層33Bと上記蛍光発光層34との間に、少なくとも1層の第2の中間層37Bが設けられていてもよい。
上記の構成によれば、第1の励起子生成層33Aと蛍光発光層34とを連続的に積層せず、蛍光発光層34と第1の励起子生成層33Aとの間並びに蛍光発光層34と第2の励起子生成層33Bとの間に、それぞれ、中間層37(第1の中間層37Aまたは第2の中間層37B)として、上記蛍光発光層34および上記各励起子生成層33(第1の励起子生成層33A、第2の励起子生成層33B)以外の層が設けられている。
したがって、上記の構成によれば、有機EL素子10を高輝度で発光させるために電流密度を上昇させたときに、キャリアの再結合領域が励起子生成層33の外側まで広がって、上記各蛍光発光層34において、非TADF材料からなる蛍光ドーパントで直接励起子が生成されてしまうことを防ぐことができる。このため、上記の構成によれば、発光効率を改善することができる。
本発明の態様37にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様33〜36の何れかにおいて、互いに隣接して形成されている、上記励起子生成層と、上記少なくとも1層の中間層との合計の厚みが10nm以下であってもよい。
上記の構成によれば、上記励起子生成層33の任意の位置から蛍光発光層34までの最短距離を10nm以下とすることができる。したがって、上記の構成によれば、上記励起子生成層33中の全てのTADF材料の分子において、フェルスター遷移が可能となる。また、エネルギーの移動効率を損なうこともない。
本発明の態様38にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様14または15において、上記複数の蛍光発光層34は、第1の蛍光発光層34Aと、第2の蛍光発光層34Bとを備え、上記第1の蛍光発光層34Aと上記励起子生成層33との間に、少なくとも1層の第1の中間層37Aが設けられているとともに、上記第2の蛍光発光層34Bと上記励起子生成層33との間に、少なくとも1層の第2の中間層37Bが設けられていてもよい。
上記の構成によれば、第1の蛍光発光層34Aと励起子生成層33と第2の蛍光発光層34Bとを連続的に積層せず、励起子生成層33と第1の蛍光発光層34Aとの間並びに励起子生成層33と第2の蛍光発光層34Bとの間に、それぞれ、中間層37(第1の中間層37Aまたは第2の中間層37B)として、上記励起子生成層33および上記各蛍光発光層34(第1の蛍光発光層34A、第2の蛍光発光層34B)以外の層が設けられている。
したがって、上記の構成によれば、有機EL素子10を高輝度で発光させるために電流密度を上昇させたときに、キャリアの再結合領域が励起子生成層33の外側まで広がって、上記各蛍光発光層34において、非TADF材料からなる蛍光ドーパントで直接励起子が生成されてしまうことを防ぐことができる。このため、上記の構成によれば、発光効率を改善することができる。
本発明の態様39にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様38において、互いに隣接して形成されている、上記少なくとも1層の第1の中間層37Aと、上記励起子生成層33と、上記少なくとも1層の第2の中間層37Bとの合計の厚みが20nm以下であってもよい。
上記の構成によれば、上記励起子生成層33中のTADF材料の分子と、上記第1の蛍光発光層34Aおよび第2の蛍光発光層34Bのうち何れか近い方の蛍光発光層34中の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)の分子との距離を、何れも10nm以下にすることができる。したがって、上記の構成によれば、上記励起子生成層33中の全てのTADF材料の分子において、フェルスター遷移が可能となる。また、エネルギーの移動効率を損なうこともない。
本発明の態様40にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様33〜39の何れかにおいて、上記中間層37中の全ての材料のHOMO準位が、上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)のHOMO準位よりも低く、上記中間層37中の全ての材料のLUMO準位が、上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料のLUMO準位よりも高くてもよい。
上記の構成によれば、正孔も電子も、中間層37よりも励起子生成層33に入り易くなる。このため、上記の構成によれば、励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、発光効率を向上させることができる。
本発明の態様41にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様33〜40の何れかにおいて、上記中間層37中の全ての材料のHOMO準位が、上記蛍光発光層34中の蛍光発光材料のHOMO準位Hよりも高く、上記中間層37中の全ての材料のLUMO準位が、上記蛍光発光層34中の蛍光発光材料のLUMO準位よりも低くてもよい。
上記の構成によれば、正孔も電子も、蛍光発光層34よりも中間層37に入り易くなる。このため、上記の構成によれば、励起子生成層33での励起子生成確率が向上し、発光効率を向上させることができる。
本発明の態様42にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様33〜41の何れかにおいて、上記中間層37中の全ての材料の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)が、上記蛍光発光層中の蛍光発光材料の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)の何れよりも高くてもよい。
上記の構成によれば、中間層37の材料にエネルギーが移動することを防止することができる。
本発明の態様43にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様33〜42の何れかにおいて、上記中間層37中の全ての材料の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)が、上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)の何れよりも高くてもよい。
例えば、本発明の態様43にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)の一例として、該有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)は、上記態様33〜41の何れかにおいて、上記中間層37中の全ての材料の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)が、上記蛍光発光層中の蛍光発光材料の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)、並びに、上記励起子生成層33中の熱活性化遅延蛍光材料の励起一重項準位(S1準位)および励起三重項準位(T1準位)の何れよりも高くてもよい。
上記の構成によれば、中間層37の材料にエネルギーが移動することを防止することができる。
本発明の態様44にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子10)の製造方法は、陽極(例えば第1電極2)と陰極(例えば第2電極4)との間に、有機層(有機EL層3)を形成する有機層形成工程を含み、上記有機層形成工程は、少なくとも1種類の熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料)をホスト材料として含む励起子生成層33を形成する工程と、少なくとも1種類の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)を含む蛍光発光層34を形成する工程と、を含む。
上記の方法によれば、上記したように、発光を呈する蛍光発光層34とは別に励起子生成層33を設けることで、同じ層内でTADF材料と蛍光発光材料とが混合することを防止することができる。このため、上記の方法によれば、従来よりも発光効率を向上させることができる有機EL素子10の製造方法を提供することができる。
本発明の態様45にかかる発光方法は、熱活性化遅延蛍光材料(TADF材料、TADFホスト材料)を含む励起子生成層33で生成した励起子を、該励起子生成層33とは別に設けられた蛍光発光層34の蛍光発光材料(蛍光ドーパント材料)にフェルスター遷移させて発光させる方法である。
前述したように、本願発明者らの検討によれば、正孔および電子の輸送を担うホスト材料であるTADF材料と、発光を担う蛍光ドーパント材料とが直接接触していなくてもフェルスター遷移は起こる。
そこで、上記したように、従来の発光層で行われていた発光と励起子の生成とを機能分離させ、発光を呈する蛍光発光層34とは別に励起子生成層33を設け、TADF材料(TADFホスト材料)を含む励起子生成層33で生成した励起子を、該励起子生成層33とは別に設けられた蛍光発光層34の蛍光ドーパント材料にフェルスター遷移させて発光させることで、従来よりも発光効率が高い発光方法を提供することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。