JP6367757B2 - 管理方法及び管理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、管理方法及び管理装置に関する。
現代社会を支える社会インフラストラクチャ設備(以下、インフラ設備と記す)の老朽化が問題視されている。日本におけるインフラ設備の多くは高度成長期時代に建設・設置されたものの割合が高い。補修や更改等の維持管理によって機能の保持が図られているが、供用年数の長い設備の増加とともに故障率も増加すると予想され、保守管理コストの増加が見込まれている。
インフラ設備の特徴として、設置環境の多様さや、種類及び数の多さがある。このような設備を対象とした保守管理手法として、定期点検等に代表されるタイムベースメンテナンスが適用されることが多い。これは、一律の点検周期を基本として実施されることから、保守管理計画やコスト算定が比較的容易であること、各種法律によって定められた法定点検との親和性が高いという利点がある。
しかし、近年、設備劣化の進行が進む一方で、経営競争の激烈化による保守費用の削減や団塊世代の大量退職による保守人員の減少などにより、故障率の増加による危険性の増大やタイムベースメンテナンスにおける保守管理に要する稼動やコストなどが課題となった。そこでプラント業界で先行しているリスクベースインスペクション/リスクベースメンテナンス(RBI/RBM)手法は、近年インフラ設備などの保守管理にも有効であると言われている(例えば、非特許文献1〜2)。
具体的には、タイムベースメンテナンスとは、対象となる設備が時間の経過とともに、または所定の時間が経過すると、所定の機能を維持できなくなるという事象に基づいてメンテナンス計画を策定するものである。このため、例えばメンテナンスの対象となる設備の使用年数やメンテナンスを行う時間間隔等を決定してしまえば、基本的に時間以外の基準を用いることなく運用できるので、ユーザにとって使いやすい手法である。法律等で定められている点検、いわゆる法定点検は、そのほとんどがタイムベースメンテナンスである。
一方で、リスクベースメンテナンスは、設備の故障発生危険度(すなわち故障の起こりやすさ)と設備故障時の被害の大きさ(すなわち故障による影響度)を評価し、その2つを軸とした作られたリスクマトリックスに基づいて設備の保全計画を立案する手法である。
ところが、タイムベースメンテナンスからリスクベースメンテナンスに移行しようとすると、次のような問題が発生してしまう。
例えば、タイムベースメンテナンスとリスクベースメンテナンスとでは、上述したようにメンテナンス計画の策定原理が異なるので、実施に必要とするデータ、メンテナンスの手順、点検項目などが異なる場合がある。例えば、リスクベースメンテナンスを実施するには、設備の各部位に対する故障発生危険度と被害の大きさを評価する必要があるが、タイムベースメンテナンスの実施に要求されるデータにはこれらを導く際に必要なデータが含まれていない場合があり、このデータを得るために余分な点検を実施しなければならなくなってしまう。
このため、タイムベースメンテナンスからリスクベースメンテナンスに移行するには、全ての設備に対して一斉にリスクベースメンテナンスを適用するのではなく、リスクベースメンテナンスを優先して適用すべき場所、箇所、範囲等を選択(スクリーニング)した上で、この選択された設備からリスクベースメンテナンスを順次適用してゆくのが現実的である。そこで、まず、タイムベースメンテナンスからリスクベースメンテナンスへの移行を過大な負担なく実現するために、リスクベースメンテナンスによって所定の機能や安全性・経済性等を維持・向上すべき範囲等と、従来のタイムベースメンテナンスによって維持・向上できる範囲等をスクリーニングする必要がある。また、メンテナンス計画の策定にあたり、設備劣化の進行に伴う故障率の増加により将来にわたる保守稼働の変化も把握する必要がある。
柴崎敏和、石油・化学プラントにおけるリスクをベースとした検査・保全の現状、REAJ誌 2007 Vol.29, No.4 福山浩史他、鉄道事業におけるリスク評価手法適用の試み、社会技術研究論文集 Vol.5, 163-171, Mar. 2008
しかしながら、従来より、リスクベースメンテナンスを優先すべき対象範囲を選択する手法や、リスクベースメンテナンスの適用による保守稼働の変化を予測する手法に関する検討が少なかった。
そこで、本発明は上記のことを踏まえ、リスクベースメンテナンスを優先すべき対象範囲を選択する手法や、将来にわたって故障率の増加によって必要となる保守稼働を簡単に予測できる管理方法及び管理装置を提供する。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の管理方法は、管理装置によって実行される管理方法であって、管理対象物である各設備に関する設備情報と、該各設備の点検に関する点検情報とに基づいて、将来における各設備の故障発生確率をそれぞれ算出する確率算出工程と、前記各設備が配置されたエリアに関する情報に基づいて、前記各設備の故障時における影響度をそれぞれ算出する影響度算出工程と、前記確率算出工程によって算出された各設備の故障発生確率と前記影響度算出工程によって算出された各設備の影響度とを用いて、将来におけるリスクの値であるリスク予測値をエリアごとに予測する予測工程と、前記予測工程によって予測された各エリアのリスク予測値が予め設定されたリスク許容値よりも大きいかそれぞれ判定する判定工程と、前記判定工程によって前記リスク予測値が前記リスク許容値よりも大きいと判定されたエリアに配置された全ての設備または一部の設備を、リスクベースメンテナンスの対象設備として選定する選定工程と、を含んだことを特徴とする。
また、本発明の管理装置は、管理対象物である各設備に関する設備情報と、該各設備の点検に関する点検情報とに基づいて、将来における各設備の故障発生確率をそれぞれ算出する確率算出部と、前記各設備が配置されたエリアに関する情報に基づいて、前記各設備の故障時における影響度をそれぞれ算出する影響度算出部と、前記確率算出部によって算出された各設備の故障発生確率と前記影響度算出部によって算出された各設備の影響度とを用いて、将来におけるリスクの値であるリスク予測値をエリアごとに予測する予測部と、前記予測部によって予測された各エリアのリスク予測値が予め設定されたリスク許容値よりも大きいかそれぞれ判定する判定部と、前記判定部によって前記リスク予測値が前記リスク許容値よりも大きいと判定されたエリアに配置された全ての設備または一部の設備を、リスクベースメンテナンスの対象設備として選定する選定部とを備えることを特徴とする。
本発明の技術を用いれば、リスクベースメンテナンスを優先すべき対象設備を把握でき、将来にわたって設備劣化の進行に伴い設備の保守稼働の変化の予測を容易に行うことができるようになる。
図1は、設備保守管理装置の構成の一例を示す図である。 図2は、鋼管柱設備データベースの一例を示す図である。 図3は、鋼管柱点検情報データベースの一例を示す図である。 図4は、一般統計情報データベースの一例を示す図である。 図5は、鋼管柱故障データのワイブル確率紙プロット図である。 図6は、影響度算出方法の一例を示す図である。 図7は、設備保守管理処理を示すフローチャートである。 図8は、リスク値の予測の一例を示す図である。 図9は、更改対象選定の一例を示す図である。 図10は、設備更改率算出の一例を示す図である。 図11は、管理プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
以下に、本願に係る管理方法及び管理装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る管理方法及び管理装置が限定されるものではない。
以下の実施の形態では、実施の形態に係る設備保守管理装置の構成、設備保守管理装置の処理の流れを順に説明し、最後に実施の形態による効果を説明する。また、本実施形態では、屋外に設置されている通信インフラ設備の一つである鋼管柱を管理対象とするが、管理対象はこれに限定されるものではない。
(設備保守管理装置の構成)
図1は、設備保守管理装置の構成の一例を示す図である。図1に示すように、設備保守管理装置200には、データベース11、12、13および出力装置300が接続される。なお、データベース11、12、13及び出力装置300は、設備保守管理装置200の内部に組み込まれていてもよい。
設備データベース11は、管理対象物である各設備に関する情報を記憶する。具体的には、設備データベース11は、少なくとも鋼管柱の識別情報、位置情報、建設年月、架渉回線情報を記憶する。点検情報データベース12は、各設備の点検に関する情報を記憶する。具体的には、点検情報データベース12は、少なくとも鋼管柱の識別情報と点検結果を記憶し、また、十分な数のレコード(データ数)を蓄積している。一般統計情報データベース13は、各設備が配置されたエリアに関する情報を記憶する。具体的には、一般統計情報データベース13は、少なくとも人口情報、交通量情報、建物情報を記憶する。出力装置300は、設備保守管理装置200による設備更改率や、更改対象、点検計画などの結果を出力するディスプレイ、プリンタ等の出力装置である。
(データベース)
図2に一例を示すように、設備データベース11は、『県域』『設備番号』『所在位置』『建設年月』『架渉回線数』のカラムを有する。『県域』は、当該レコードに該当する鋼管柱が所在するエリアを示す場所情報である。『設備番号』は、例えば、当該レコードに該当する鋼管柱を一意に識別する識別情報である。『所在位置』は、例えば、当該レコードに該当する鋼管柱の緯度、経度を示す位置情報である。『建設年月』は、例えば、当該レコードに該当する鋼管柱が設置された年月を示す時刻情報である。『架渉回線数』は、当該レコードに該当する鋼管柱に架渉する回線の数を示す付加設備情報である。
図3に一例を示すように、点検情報データベース12は、『県域』『設備番号』『最新点検年月』『劣化状態』のカラムを有する。『最新点検年月』は、例えば、当該レコードに該当する鋼管柱が、点検作業員により最後に点検された年月を示す時刻情報である。『劣化状態』は、例えば、当該レコードに該当する鋼管柱が、点検作業員により最後に点検された際に、所定の評価項目に従って定量的及び/又は定性的に評価された結果を段階的に示す情報である。
『劣化状態』は、例えば、“1”〜“4”までの状態がある。『劣化状態』“1”は、最も劣化が進行した状態を示す。『劣化状態』“2”は、『劣化状態』“1”に次いで劣化が進行した状態を示す。『劣化状態』“3”は、『劣化状態』“2”に次いで劣化が進行した状態を示す。『劣化状態』“4”は、最も劣化が進行していない状態又は非劣化状態を示す。図2、図3に示す例では、例えば『県域』“A”、『設備番号』“○○1”、『建設年月』“1979年4月”の鋼管柱は、『最新点検年月』“2011年11月”、『劣化状態』“1”である。また、本実施形態では、『劣化状態』“1”のデータを、見なし故障データと定義し、それ以外の『劣化状態』のデータを見なし非故障データと定義する。
図4は一例を示すように、一般統計情報データベース13は、『県域』『設備番号』『鋼管柱長』『影響面積』『建物までの距離』『人口数』『交通量』などのカラムを有する。『鋼管柱長』は、鋼管柱の高さを示す情報である。『影響面積』は、鋼管柱が故障(折損)する際に影響を与える範囲を示す情報である。ここでは、鋼管柱の高さを半径とする円を想定する。また、『建物までの距離』は、鋼管柱の位置から最も近い建物までの距離を示す情報である。『人口数』は、影響範囲内に存在する人口数を示す情報である。『交通量』は、影響範囲内に通行する交通量を示す情報である。影響範囲内の人口数や建物情報、交通量は、国勢調査や一般地図情報から入手するメッシュ人口や建物位置情報などのデータから変換されるものである。
(設備保守管理装置の各部の処理の詳細)
設備保守管理装置200は、故障発生確率関数導出部21、将来故障発生確率算出部22、将来影響度算出部23、リスク値予測部24、リスク許容値記憶部25、判定部26、更改対象選定部27およびメンテナンス計画策定部28を有する。
故障発生確率関数導出部21は、設備情報および点検情報から、設備の使用時間における平均故障率を予測する故障発生確率関数を導出する。例えば、故障発生確率関数導出部21では、まず、設備データベース11及び点検情報データベース12から各レコードにある鋼管柱ごとに最新点検年月の『劣化状態』及び『建設年月』から『最新点検年月』までの使用年数を抽出する。ワイブル型累積ハザード法より前記のデータをワイブル確率紙にプロットし(例えば、図5参照)、ワイブルパラメータ(形状パラメータmと尺度パラメータη)を求め、故障発生確率関数λ(t)を導出する(下記(1)式参照)。なお、ワイブル型累積ハザード法については、後に詳述する。
Figure 0006367757
将来故障発生確率算出部22は、管理対象物である各設備に関する設備情報と、該各設備の点検に関する点検情報とに基づいて、将来における各設備の故障発生確率をそれぞれ算出する。例えば、将来故障発生確率算出部22は、故障発生確率関数導出部21により導出された故障発生確率関数を用いて、鋼管柱iの将来予測時点Tにおける使用年数tを入力とし、将来あるT年における鋼管柱iの故障発生確率P(i,t)を算出する(下記(2)式参照)。
Figure 0006367757
将来影響度算出部23は、各設備が配置されたエリアに関する情報に基づいて、各設備の故障時における影響度をそれぞれ算出する。具体的には、将来影響度算出部23は、鋼管柱が故障(本実施形態では折損することを想定する)する際における影響度合を算出する。例えば、算出方法の一例として(図6)、将来予測時点T年において鋼管柱iが故障する際における影響度C(i,T)を、安全/健康及び経済の二側面から鋼管柱折損の影響範囲内における関係者の死傷による影響、関係者以外の死傷による影響、復旧にかかる費用、自社側の機会損失、外部の物の破壊に対する賠償金額、通信サービス使用者の機会損失に対する賠償金額を計上することによって算出する(下記(3)式参照)。ここに使用するパラメータのデータは図4の一般統計情報データベースから用いる。また将来の影響度算出において使用する将来の人口情報などは国立社会保障・人口問題研究所から入手できる。将来情報に関して入手できないものは、適切な仮定を置く必要がある。
Figure 0006367757
なお、図6の影響度算出に用いるパラメータにおいて、『b.関係者以外の死傷Cb(i,T)』の“車両運転者の死傷Cb2(i,T)”の算出に用いる“事故時間Sa”は、影響範囲の平均交通量(混雑具合)に応じて時間を設定される。交通量が多い場合、後続車への影響も加味し、Saは長めに設定される。また、『f.賠償(機械損失)Cf(i,T)』の算出に用いるαは、故障対象の回線種別(一般回線、専用回線等)により補償金額が異なることに基づいて設定される値である。
リスク値予測部24は、将来故障発生確率算出部22によって算出された各設備の故障発生確率と将来影響度算出部23によって算出された各設備の影響度とを用いて、将来におけるリスクの値であるリスク予測値をエリアごとに予測する。例えば、リスク値予測部24では、将来予測時点T年において、鋼管柱ごとに計算された故障発生確率P(i,t)と故障発生時における影響度C(i,T)の積によって鋼管柱iのリスク値R(i,T)を予測する(下記(4)式参照)。また、対象エリアSにあるすべての鋼管柱のリスク値を合計することにより、該当対象エリアSのリスク合計値RT(s,T)が計算される(下記(5)式参照)。nは対象エリアSにある鋼管柱の数である。
Figure 0006367757
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リスク許容値記憶部25では、事業計画などであらかじめ決められた将来予測時点T年における対象エリアSのリスク許容値RA(s,T)が記憶される。例えば将来にわたるリスク許容値RA(s,T)は現在のリスク値水準に合わせて決めてもよい。なお、リスク許容値RA(s,T)は、将来的にリスクの上昇が見込まれる場合には、少なくとも将来時点で現在のリスクレベルを維持するような許容値を設定したり、また、予算的な観点から、メンテナンスに係る予算内で将来的に設備交換可能な範囲でリスク許容値を設定したり、もしくはサービスの質的な要求を満足するために予め許容される故障確率が決められている場合など、状況に応じて様々な設定方法が考えられる。
判定部26は、リスク値予測部24によって予測された各エリアのリスク予測値が予め設定されたリスク許容値よりも大きいかそれぞれ判定する。具体的には、判定部26は、将来予測時点T年において、対象エリアSにあるすべての鋼管柱のリスク値合計RT(s,T)と該当対象エリアSのリスク許容値RA(s,T)を比較し、その大小関係を判定する。
リスク許容値RA(s,T)がリスク合計値RT(s,T)がより大きい場合は、予測されたリスクの値が、リスクの許容範囲内であることを意味する。メンテナンス計画策定部28は、従来のタイムベースメンテナンスに従ってメンテナンス計画を策定してもよい。
更改対象選定部27では、判定部26によってリスク予測値がリスク許容値よりも大きいと判定されたエリアに配置された全ての設備または一部の設備を、リスクベースメンテナンスの対象設備として選定する。
例えば、リスク合計値RT(s,T)がリスク許容値RA(s,T)より大きい場合は、予測されたリスクの値がリスクの許容範囲を超えることを意味するため、リスク許容範囲までリスクを低減することが望ましい。そこで、例えば、更改対象選定部27では、対象エリアにあるすべての鋼管柱をリスク値の大きい順で並び替え、リスク値R(i,T)が大きい鋼管柱から設備更改対象を選定し、設備更改ごとに残りの鋼管柱のリスク合計値RM(s,T)を算出し、算出したRM(s,T)がリスク許容値RA(s,T)より小さくなるまで更改を続ける。残リスク値合計RM(s,T)は、下記(6)式で計算する。mは残りの鋼管柱の本数である。残鋼管柱のリスク値合計がリスク許容値RA(s,T)より小さくなり始めた時点での残った鋼管柱の本数はg(T)とする。その時点の残りの鋼管柱のリスク合計値RM(g,s,T)が下記(7)式で表される。そこで、将来予測時点T年における設備更改率Rate(T)は下記(8)式により求めることができる。
Figure 0006367757
Figure 0006367757
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また、リスクベースメンテナンスに基づいた更改対象以外の設備は、メンテナンス計画策定部28で従来のタイムベースメンテナンスに従ってメンテナンス計画を策定してもよい。
このようにリスクベースメンテナンスを優先すべき対象範囲を選定することができ、将来にわたる設備更改率Rate(t)を求めることにより、将来にわたる新たに必要となる保守稼動が予測でき、保守計画の策定に活用することができるようになる。また、タイムベースメンテナンスから順次にリスクベースメンテナンスを適用していくことができる。
(ワイブル分析(累積ハザード型)について)
以下、ワイブル分析(累積ハザード型)について説明する。累積ハザード関数H(t)は、上記(1)式に示すワイブル分布の故障率を、下記(9)式に示すように、時刻区間[0,t](t>0)で積分したものである。
Figure 0006367757
そして、上記の(9)式の両辺の自然対数を取ると、以下の(10)式のようになる。
Figure 0006367757
そして、上記の(10)式の左辺における“ln(H(t))”及び右辺における“ln(t)”について、ランダム打ち切りに基づく累積ハザード解析により、“ln(t)”を横軸及び“ln(H(t))”を縦軸とするグラフへワイブルプロットを行う。ここで、x=ln(t)とおき、y=ln(H(t))とおく。そして、ワイブルプロットを最小2乗法等により直線近似した場合の直線の傾きが、上記の(1)式における形状パラメータmの推定値である。また、直線近似した場合の直線において、推定された形状パラメータmに対して、ln(H(t))=0とした場合のln(t)から尺度パラメータ(または特性寿命)ηが推定される。ランダム打ち切りに基づく累積ハザード解析については、「田中 健次、“入門信頼性 技術者がはじめて学ぶ”、日科技連出版社、2008年12月25日、pp.102-105」等の既存の手法を用いることができる。
(設備保守管理処理)
図7は設備保守管理処理を示すフローチャートである。設備保守管理装置200の故障発生確率関数導出部21は、設備データベース11と点検情報データベース12から劣化状態及び使用年数の情報を抽出し、ワイブル解析(累積ハザード型)によって、形状パラメータmと尺度パラメータηを求める(ステップS1)。
将来故障発生確率算出部22は、形状パラメータm及び尺度パラメータηに基づく故障発生確率関数によって、将来予測時点Tにおける設備の使用年数tを入力することにより、将来予測時点Tにおける故障発生確率P(i,t)を求める(ステップS2)。
将来影響度算出部23は、一般統計情報データベース13から人口数や交通量などの情報を抽出し、鋼管柱故障時における影響度C(i,T)を算出する(ステップS3)。
リスク値予測部24は、将来予測時点Tにおける故障発生確率P(i,t)と影響度C(i,T)を用い、その積によって、将来予測時点Tにおけるリスク値R(i,T)を予測する(ステップS4)。
リスク許容値記憶部25は、あらかじめ決められた対象エリアSのリスク許容値RA(s,T)を抽出する(ステップS5)。
判定部26は、対象エリアSにあるすべての鋼管柱のリスク予測値R(i,T)の合計値RT(s,T)とリスク許容値RA(s,T)の大小関係を判定する(ステップS6)。
リスク許容値RA(s,T)がリスク合計値RT(s,T)より大きい場合は(ステップS6肯定)、メンテナンス計画策定部28で従来のタイムベースメンテナンスに基づくメンテナンス計画を策定する(ステップS7)。
リスク合計値RT(s,T)がリスク許容値RA(s,T)より大きい場合は(ステップS6否定)、更改対象選定部27でリスク合計値RT(s,T)がリスク許容値RA(s,T)より小さくなるまで設備更改を選定し、設備更改率を算出する(ステップS8)。また、更改対象以外の設備に対してメンテナンス計画策定部28で従来のタイムベースメンテナンスに従ってメンテナンス計画を策定する。
出力装置300でリスクベースメンテナンス及びタイムベースメンテナンスのそれぞれの対処範囲と計算された設備更改率を出力する(ステップS9)。
(本実施形態の効果)
このように、実施形態に係る設備保守管理装置200では、リスクベースメンテナンスを優先すべき対象範囲を選定でき、従来には予測することが難しかった将来における保守稼動の変化を簡単に予測できるようになった。
(実施形態による変形例)
上記実施形態では、リスク許容値記憶部では、対象エリアSにおける合計値としてリスク許容値RA(s,T)を設けているが、故障発生確率P及び影響度Cのそれぞれに許容値を設けて、設備更改対象を選定し、設備更改率を計算することもできる。
(実施形態による適応例)
あるhエリアを対象に、本発明の方法によって2015年から2030年までのすべての鋼管柱のリスク値を予測した。その例を図8に示す。図8に示すように2015年から2030年にかけてhエリア全体のリスク合計値が2倍強まで増加すると予測される。ここで、例えば、将来にわたるリスク許容値を2015年と同レベルに維持すると設定する場合、将来各年における設備更改対象の選定と設備更改率(すなわち、保守稼動)の算出ができる。2016年の設備更改対象の選定例を図9に示す。
図9の例を用いて説明すると、まず、hエリアにあるすべての鋼管柱の2016年のリスク予測値を大きい順で並び替える。大きいものから一本ずつ更改対象が選定され、残りの鋼管柱のリスク値合計がリスク許容値RA(h,2016)(ここで2015年のリスク値と同レベルと設定)より小さくなり始めたRM(h,2016)を求め、設備更改率Rate(T)を求めた。本適応例では、設備更改数が9本と求められた。また、設備更改率Rate(h,2016)は0.9%と求められた。また、選定対象が更改されたら同じ場所に新しい設備を建てるため、その年における使用年数が0になる。
このように、2016年の設備更改結果を受けてそれ以降の年も同じ方法でリスクベースメンテナンスを優先すべき対象が選定でき、設備更改率が計算できる。2030年まで試算した設備更改率は図10に示す。この予測結果を用いて将来に渡る追加的な保守稼働を予測することができるようになる。
(設備保守管理装置の装置構成について)
図1に示す設備保守管理装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、設備保守管理装置200の機能の分散および統合の具体的形態は図示のものに限られず、全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。
また、設備保守管理装置200において行われる各処理は、全部又は任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)及びCPUにより解析実行されるプログラムにて実現されてもよい。また、設備保守管理装置200において行われる各処理は、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともできる。若しくは、実施形態において説明した各処理のうち、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上述及び図示の処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて適宜変更することができる。
(プログラムについて)
図11は、管理プログラムを実行するコンピュータを示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010、CPU1020を有する。また、コンピュータ1000は、ハードディスクドライブインタフェース1030、ディスクドライブインタフェース1040、シリアルポートインタフェース1050、ビデオアダプタ1060、ネットワークインタフェース1070を有する。コンピュータ1000において、これらの各部はバス1080によって接続される。
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM(Random Access Memory)1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1031に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1041に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1041に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1051、キーボード1052に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1061に接続される。
ハードディスクドライブ1031は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、設備保守管理装置200の各処理の規定するプログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュール1093として、例えばハードディスクドライブ1031に記憶される。例えば、設備保守管理装置200における機能構成と同様の情報処理を実行するためのプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1031に記憶される。
また、上述した実施形態での処理で用いられる設定データは、プログラムデータ1094として、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1031に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1031に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して実行する。
なお、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1031に記憶される場合に限らず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ1041等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶されてもよい。そして、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
以上の実施形態並びにその変形例は、本願が開示する技術に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
11 設備データベース
12 点検情報データベース
13 一般統計情報データベース
21 故障発生確率関数導出部
22 将来故障発生確率算出部
23 将来影響度算出部
24 リスク値予測部
25 リスク許容値記憶部
26 判定部
27 更改対象選定部
28 メンテナンス計画策定部
200 設備保守管理装置
300 出力装置

Claims (5)

  1. 管理装置によって実行される管理方法であって、
    管理対象物である各設備に関する設備情報と、該各設備の点検に関する点検情報とに基づいて、将来における各設備の故障発生確率をそれぞれ算出する確率算出工程と、
    前記各設備が配置されたエリアに関する情報に基づいて、前記各設備の故障時における影響度をそれぞれ算出する影響度算出工程と、
    前記確率算出工程によって算出された各設備の故障発生確率と前記影響度算出工程によって算出された各設備の影響度とを用いて、将来におけるリスクの値であるリスク予測値をエリアごとに予測する予測工程と、
    前記予測工程によって予測された各エリアのリスク予測値が予め設定されたリスク許容値よりも大きいかそれぞれ判定する判定工程と、
    前記判定工程によって前記リスク予測値が前記リスク許容値よりも大きいと判定されたエリアに配置された全ての設備または一部の設備を、リスクベースメンテナンスの対象設備として選定する選定工程と、
    を含んだことを特徴とする管理方法。
  2. 前記設備情報および前記点検情報から、設備の使用時間における平均故障率を予測する故障発生確率関数を導出する導出工程をさらに含み、
    前記確率算出工程は、前記導出工程によって導出された前記故障発生確率関数を用いて、前記故障発生確率を算出することを特徴とする請求項1に記載の管理方法。
  3. 前記予測工程は、前記確率算出工程によって算出された各設備の故障発生確率と前記影響度算出工程によって算出された各設備の影響度との積を、前記リスク予測値として算出することを特徴とする請求項1または2に記載の管理方法。
  4. 前記予測工程は、前記各設備の故障発生確率と前記各設備の影響度とを用いて、前記リスク予測値を設備ごとに予測するとともに、エリアごとの各設備のリスク予測値の合計値を用いて、前記リスク予測値をエリアごとに予測し、
    前記選定工程は、前記判定工程によって前記リスク予測値が前記リスク許容値よりも大きいと判定されたエリアに配置された設備のうち、リスク予測値が大きい設備から順次リスクベースメンテナンスの対象設備として選定することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の管理方法。
  5. 管理対象物である各設備に関する設備情報と、該各設備の点検に関する点検情報とに基づいて、将来における各設備の故障発生確率をそれぞれ算出する確率算出部と、
    前記各設備が配置されたエリアに関する情報に基づいて、前記各設備の故障時における影響度をそれぞれ算出する影響度算出部と、
    前記確率算出部によって算出された各設備の故障発生確率と前記影響度算出部によって算出された各設備の影響度とを用いて、将来におけるリスクの値であるリスク予測値をエリアごとに予測する予測部と、
    前記予測部によって予測された各エリアのリスク予測値が予め設定されたリスク許容値よりも大きいかそれぞれ判定する判定部と、
    前記判定部によって前記リスク予測値が前記リスク許容値よりも大きいと判定されたエリアに配置された全ての設備または一部の設備を、リスクベースメンテナンスの対象設備として選定する選定部と
    を備えることを特徴とする管理装置。
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