JP6376560B2 - メソポーラスナノ球状粒子製造方法 - Google Patents

メソポーラスナノ球状粒子製造方法 Download PDF

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Description

本発明はメソポーラスナノ球状粒子製造方法に関し、具体的にはCeOと、ZrOとを有するメソポーラスナノ球状粒子を容易に製造できるメソポーラスナノ球状粒子製造方法に関する。
近年、排ガス処理用の三元触媒、固体酸化物燃料電池用イオン伝導性セラミック膜、貴金属触媒担体、表面ラップ研磨材等の多くの用途にCeOナノ粒子が注目されている(特許文献1参照)。
しかしながら、Ceは希土類金属であって希少なので、少ない使用量で効果を発揮することが望まれている。
例えば、酸素貯蔵材料、触媒担体、及び表面ラッピングや研磨などのナノ材料へのCeの使用量を少なくする実用的なアプローチとして、ZR4+がCe3+/4+に近いイオン半径を示し、ZrOが本質的に化学的、機械的、及び熱的安定性を有することにより、CeO−ZrO合成物が使われている。
そして、CeO−ZrO合成物の高性能化を達成するために、ナノレベルでの組成物、位相幾何学、および形態制御が非常に重要である。
それらの形態を制御するために、ゾル−ゲル、沈殿、マイクロエマルジョン、水熱、超臨界溶媒、高温固相反応、高エネルギーの機械的混合、及びフレーム射出等の合成方法の開発に多くの努力が払われている。
しかしながら、例えば、CeO−ZrOの球状の合成粒子を得るためには、焼成と長反応時間に亘る多段階反応が必要とされ、手間がかかるという不具合がある。
特開2012−055842号公報
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、CeOと、ZrOとを有するメソポーラスナノ球状粒子を容易に製造できるメソポーラスナノ球状粒子製造方法を提供するものである。
なお、本発明者らは、本発明に先立ち、エルゼビア社刊、「J. Supercritical Fluids 78 (2013)」124−131頁、Wang,K.Ueno,H.Takigawa,K.Kobiro著、「Versatility of one−pot, single−step synthetic approach for spherical porous (metal) oxide nanoparticles using supercritical alcohols」(以下、論文1という)に記述したように、超臨界アルコールを用いて、SiO、ZnO、ZrO及びCeOのメソポーラスナノ球状粒子(図1参照)を合成した。なお、これらのメソポーラスナノ球状粒子をその形態から、MARIMO−ナノ粒子と命名した。
そして、CeO−ZrOと、MARIMO−ナノ粒子の迅速な合成方法とを組み合わせることにより、後述する均一分散型、ドメイン型、およびコア−シェル型のメソポーラスナノ球状粒子を容易に製造する方法を開発した。図2に、メソポーラスナノ球状粒子の製造途中でのナノ構造と、製造後のメソポーラスナノ球状粒子の概略図を参考に示す。
請求項1に係る発明は、Ce3+、及びZr4+を含んだアルコールを加熱して超臨界アルコールにすることにより、CeOと、ZrOとを有するメソポーラスナノ球状粒子を製造することを特徴とするメソポーラスナノ球状粒子製造方法に関する。
請求項2に係る発明は、前記Ce3+がCe(NOによるものであって該Ce(NOの濃度が0.01〜1.00(mol/L)であり、前記Zr4+がZrO(NOによるものであって該ZrO(NOの濃度が0.01〜1.00(mol/L)であり、前記アルコールがギ酸を含んだメタノールであって該ギ酸の濃度が0.01〜5.0(mol/L)であり、前記超臨界アルコールの温度が240〜450℃であることを特徴とする請求項1記載のメソポーラスナノ球状粒子製造方法に関する。
請求項3に係る発明は、前記超臨界アルコールへの加熱速度が200〜800(℃/min)であり、前記メソポーラスナノ球状粒子が均質型であることを特徴とする請求項2記載のメソポーラスナノ球状粒子製造方法に関する。
本発明において、均質型とは、メソポーラスナノ球状粒子の全体に、CeOとZrOとが均質に分散している形態をいう。
請求項4に係る発明は、前記超臨界アルコールへの加熱速度が1〜100(℃/min)であり、前記メソポーラスナノ球状粒子がドメイン型であることを特徴とする請求項2記載のメソポーラスナノ球状粒子製造方法に関する。
本発明において、ドメイン型とは、メソポーラスナノ球状粒子の全体に、CeOが集合している複数の領域とZrOが集合している複数の領域とが分散しながら接している形態をいう。
請求項5に係る発明は、前記Ce3+がCe(NOによるものであって該Ce(NOの濃度が0.1〜1.00(mol/L)であり、前記Zr4+がMARIMO−ZrOナノ粒子によるものであって該MARIMO−ZrOナノ粒子の濃度が0.2〜5.0(g/L)であり、前記アルコールがメタノール又は2−プロパノールであって、加熱前に前記Ce(NO及びMARIMO−ZrOナノ球体が前記アルコール中に分散されて白濁しており、前記超臨界アルコールの温度が240〜450℃であって、該超臨界アルコールへの加熱速度が200〜800(℃/min)であって、前記メソポーラスナノ球状粒子がコア−シェル型であることを特徴とする請求項1記載のメソポーラスナノ球状粒子製造方法に関する。
本発明において、コア−シェル型とは、メソポーラスナノ球状粒子の核部分をZrOが占め、核部分の外側の外殻部分をCeOが占める形態をいう。
また、MARIMO−ZrOナノ球体とは、本発明者らが記述した前記論文1に記載されているMARIMO−ZrOナノ粒子のことをいう。
請求項1に係る発明のメソポーラスナノ球状粒子製造方法によれば、超臨界アルコールを用いることにより、CeOとZrOとを有する種々の形態のメソポーラスナノ球状粒子を容易に製造することができる。Ceの使用量を少なくできるので、低コストにすることができる。
請求項2に係る発明のメソポーラスナノ球状粒子製造方法によれば、均質型又はドメイン型のメソポーラスナノ球状粒子を容易に製造することができる。
請求項3に係る発明のメソポーラスナノ球状粒子製造方法によれば、均質型のメソポーラスナノ球状粒子を容易に製造することができる。
均質型のメソポーラスナノ球状粒子は、CeOの一部をZrOに代替するので、CeOの使用量を減らせることができ、低コストにすることができる。さらに、CeOとZrOによる共同効果が期待できる。さらに、ZrOを混ぜることにより、高温で使用する排ガス処理用触媒等に用いる場合に、化学的・熱的・機械的安定性が増す。また、研磨剤に用いるときに、合成比を変えることにより硬さを調整できる。
請求項4に係る発明のメソポーラスナノ球状粒子製造方法によれば、ドメイン型のメソポーラスナノ球状粒子を容易に製造することができる。
ドメイン型のメソポーラスナノ球状粒子は、均質型とは集合状態が異なるが、ほぼ同じ目的に使え、均質型と同様に低コストにすることができる。さらに、CeOとZrOによる共同効果が期待できる。さらに、ZrOを混ぜることにより、高温で使用する排ガス処理用触媒等に用いる場合に、化学的・熱的・機械的安定性が増す。また、研磨剤に用いるときに、合成比を変えることにより硬さを調整できる。
請求項5に係る発明のメソポーラスナノ球状粒子製造方法によれば、コア−シェル型のメソポーラスナノ球状粒子を容易に製造することができる。コア−シェル型のメソポーラスナノ球状粒子は、核部分がZrOであるが外殻部分がCeOなので、CeO粒子の特性を維持しつつ、低コストにすることができる。また、均質型・ドメイン型とは集合状態が異なるので、均質型・ドメイン型とは異なる新たな用途が期待できる。
従来の製造方法によって製造したメソポーラスナノ球状粒子の製造方法の概略図とTEM写真である。 製造時のメソポーラスナノ球状粒子の構造を示す概略図である。 本発明に係るメソポーラスナノ球状粒子のTEM写真、及びSEM写真である。 本発明に係るメソポーラスナノ球状粒子のTEM写真、及びEDXマッピングである。 本発明に係る均質型のメソポーラスナノ球状粒子の試料(a)(b)(c)の窒素吸着−脱着等温線と細孔径分布である。 本発明に係る均質型のメソポーラスナノ球状粒子の試料(d)(e)(f)の窒素吸着−脱着等温線と細孔径分布である。 本発明に係る均質型のメソポーラスナノ球状粒子のX線回折(XRD)結果である。 CeO−ZrO均質型メソポーラスナノ球状粒子中でのCeの割合と格子定数との相関図である。 (1)は本発明に係るドメイン型のメソポーラスナノ球状粒子のX線解析(XRD)結果であり、(2)はTEM写真、及びEDXマッピングである。 (1)は本発明に係るコア−シェル型のメソポーラスナノ球状粒子のX線解析(XRD)結果であり、(2)はTEM写真、及びEDXマッピングである。 マイクロ孔を有するZrO粒子がCeOに覆われる様子を示す概略図である。 メタノールに代えて2−プロパノールを用いた場合のコア−シェル型メソポーラスナノ球体粒子のTEM写真である。 (1)は、完全なコア−シェル構造のコア−シェル型粒子のTEM写真、EDXマッピング及びEDXラインスキャン分析結果であり、(2)はデコボコ構造のコア−シェル構造のコア−シェル型粒子のTEM写真、EDXマッピング及びEDXラインスキャン分析結果である。
以下、本発明に係るメソポーラスナノ球状粒子製造方法の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
メソポーラスナノ球状粒子製造方法は、Ce3+、及びZr4+を含んだアルコールを加熱して超臨界アルコールにすることにより、CeOと、ZrOとを有するメソポーラスナノ球状粒子を製造する。
以下に、具体的な実施形態を説明する。
<均質型メソポーラスナノ球状粒子>
均質型メソポーラスナノ球状粒子は、次のようにして製造する。
(1)メタノールにギ酸(0.01〜5.00(mol/L))、Ce(NO(0.01〜1.00(mol/L))及びZrO(NO(0.01〜1.00(mol/L))を添加し、前駆体を作成する。
ギ酸の濃度が上記範囲より低いと微結晶となり、高いと凝集体となる。
また、Ce(NOの量が多いと、形成された粒子においてCe(NOに由来する性質が強くなり、ZrO(NOの量が多いと、形成された粒子においてZrO(NOに由来する性質が強くなる。
(2)前駆体を密閉容器に満たす。このとき、密閉容器内の充填率は、10〜50%が好ましい。
充填率が上記範囲より低いと低収率となり、高いと粒度分布が広がる。
(3)前駆体を加熱し、メタノールを超臨界流体にする。加熱温度は240〜450℃であり、加熱速度は200〜800(℃/min)である。
加熱温度が上記範囲より低いと不定形となり、高いと塊状となる。又、加熱速度が上記範囲より遅いとミクロポーラスとなり、早いとマクロポーラスとなる。
(4)超臨界流体の状態で0〜60分間、保持する。
保持時間が長いほど、反応量が増えるが、上記範囲の上限で十分に反応が終了する。
(5)冷却し、密閉容器から取り出す。
<ドメイン型メソポーラスナノ球状粒子>
ドメイン型メソポーラスナノ球状粒子は、次のようにして製造する。
(1)メタノールにギ酸(0.01〜5.00(mol/L))、Ce(NO(0.05〜1.00(mol/L))及びZrO(NO((0.05〜1.00(mol/L))を添加し、前駆体を作成する。
ギ酸の濃度が上記範囲より低いと微結晶となり、高いと凝集体となる。
また、Ce(NOの量が多いと、形成された粒子においてCe(NOに由来する性質が強くなり、ZrO(NOの量が多いと、形成された粒子においてZrO(NOに由来する性質が強くなる。
(2)前駆体を密閉容器に満たす。このとき、密閉容器内の充填率は、10〜50%が好ましい。
充填率が上記範囲より低いと低収率となり、高いと粒度分布が広がる。
(3)前駆体を加熱し、メタノールを超臨界流体にする。加熱温度は240〜450℃であり、加熱速度は1〜100(℃/min)である。
加熱温度が上記範囲より低いと不定形となり、高いと塊状となる。又、加熱速度が上記範囲より遅いとミクロポーラスとなり、早いとマクロポーラスとなる。
(4)超臨界流体の状態で0〜60分間、保持する。
保持時間が長いほど、反応量が増えるが、上記範囲の上限で十分に反応が終了する。(5)冷却し、密閉容器から取り出す。
つまり、ドメイン型メソポーラスナノ球状粒子の製造方法は、均質型メソポーラスナノ球状粒子の製造方法と加熱速度が異なるだけであり、加熱速度が速いと均質型となり、遅いとドメイン型になる。
なお、加熱速度が上述した均質型メソポーラスナノ球状粒子の場合の200〜800(℃/min)の範囲と、ドメイン型メソポーラスナノ球状粒子の場合の1〜100(℃/min)の範囲との間は、均質型メソポーラスナノ球状粒子とドメイン型メソポーラスナノ球状粒子とが混在するだけであり、その場合も本発明の範囲内である。
<コア−シェル型メソポーラスナノ球状粒子>
コア−シェル型メソポーラスナノ球状粒子は、次のようにして製造する。
(1)メタノール又は2−プロパノールに、Ce(NO(0.01〜1.00(mol/L))及びMARIMO−ZrOナノ球体(0.20〜10.0(g/L))を添加し、激しく攪拌し、前駆体を作成する。
Ce(NOとMARIMO−ZrOナノ球体との混合比に基づいて、コア−シェル型メソポーラスナノ球状粒子の外殻と核の長さの比率が決まる。
(2)前駆体を密閉容器に満たす。このとき、密閉容器内の充填率は、10〜50%が好ましい。
充填率が上記範囲より低いと低収率となり、高いと粒度分布が広がる。
(3)前駆体を加熱し、メタノールを超臨界流体にする。加熱温度は240〜450℃であり、加熱速度は200〜800(℃/min)である。
加熱温度が上記範囲より低いと不定形となり、高いと塊状となる。又、加熱速度が上記範囲より遅いとミクロポーラスとなり、早いとマクロポーラスとなる。
(4)超臨界流体の状態で0〜60分間、保持する。
保持時間が長いほど、反応量が増えるが、上記範囲の上限で十分に反応が終了する。(5)冷却し、密閉容器から取り出す。
<実施例>
上記のメソポーラスナノ球状粒子製造方法を下記のように実施した。
なお、メタノール、2−プロパノール、ギ酸、Ce(NO、ZrO(NOは和光純薬工業株式会社から購入した。それらは、さらに精製することなく購入した状態で使用した。
また、製造したメソポーラスナノ球状粒子の評価には下記の機器を用いた。
X線回折パターンは、株式会社リガクの全自動水平型多目的X線回折装置SmartLab回折計を用いグラファイト単色Cu−Kα線により得た。
透過型電子顕微鏡画像は、日本電子株式会社のJEM−2100F顕微鏡で測定した。
EDXマッピング及びラインスキャンスペクトルを、オックスフォード・インストゥルメンツ株式会社のINCAエネルギーTEM250から得た。
電界放射型走査電子顕微鏡画像は日本電子株式会社のJSM−7300F顕微鏡で撮影した。
窒素吸着−脱着等温線は、日本ベル株式会社のBELSORB mini(II)を用いて行った。
<均質型メソポーラスナノ球状粒子製造方法の実施例>
1.前駆体としてメタノール(5mL)にCe(NO(0.25〜0.50mmol)、ZrO(NO(0.25〜0.75mmol)及びギ酸(2.5mmol)を混合し、Ce(NOとZrO(NOの比率が異なる複数の前駆体試料を作成した。
表1に各試料のCe(NO及びZrO(NOの濃度及びCeとZrの比率を示す。
Figure 0006376560
尚、表1での試料名の語尾に付属している0.25、0.33、0.50、0.66の数字は、前駆体中における各試料での[Ce3+]/([Ce3+]+[Zr4+])のモル比を示す(以下において同じ)。
2.内容積10mLのSUS316のステンレスチューブに前駆体3.5mLを入れて密閉し、300℃の溶融塩浴に入れて急速加熱し(500℃/min)、10分間保持した。
3.溶融塩浴での保持後、ステンレスチューブを氷水浴中に入れて急冷した。
4.急冷後、ステンレスチューブ中の溶液を取り出し、遠心分離して粉末を分離し、メタノールで洗浄し、真空中で乾燥した。
上記実施例によって、メソポーラスナノ球状粒子が得られた。そのメソポーラスナノ球状粒子では、透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)画像に示すように無数の小さな一次粒子が集合して、無数の細孔を有する二次粒子を形成していた。
二次粒子の平均サイズは、前駆体のCeとZrのモルに関わらず、200〜350nmの類似の範囲であった(表2参照)。
Figure 0006376560
しかしながら、図3のTEM像のように、それらの一次粒子の大きさはCe及びZrのモル比に応じて有意に変わった。
TEMのエネルギー分散X線(EDX)分析は、セリウム、ジルコニウム及びO原子が均一に分散していることを示す(図4参照)。
表2に各前駆体試料から合成されたメソポーラスナノ球状粒子の粒径、比表面積、及び孔径を示す。
粒径は、SEM像から測定し、比表面積、及び孔径は窒素吸着−脱着等温線から測定した(図5、図6参照)。
試料fのZrOのNPsの窒素吸着−脱着等温線は、マイクロ孔(<2nm)の存在を示すタイプI(IUPAC分類)に属する。
一方、他の試料eのCeZrO−0.25,試料dのCeZrO−0.33,試料cのCeZrO−0.50,試料bのCeZrO−0.66,試料aのCeOのNPsの窒素吸着−脱着等温線は、メソ孔(2-50nm)の存在を示すタイプIV(IUPAC分類)に属する。
又、試料fのZrO、試料eのCeZrO−0.25,試料dのCeZrO−0.33,試料cのCeZrO−0.50は約100m/gの同程度の大きさの比表面積を示す。しかしながら、試料bのCeZrO−0.66,試料aのCeOは、それぞれ、92m/g、32m/gの小さい比表面積を示し、TEM観察の結果と一致している。
各試料のXRDパターンを図7に示す。
試料aのCeOは立方晶を示した。また、ZrOにおいては正方晶と単斜晶の混合状態とが一般的であるが、この実施例の試料fのZrOが正方晶だけを示すことは注目に値する。
CeOとZrOの1:2の混合のMARIMOである試料において、純粋なCeOとZrO由来のシグナルが得られたが、CeOとZrOの強度比は元の混合比である1:2ではなく、おおよそ10:1となった。
試料fのEDXマッピング(図4(6))ではZr元素が確認できるにもかかわらず、XRDスペクトルでは弱い強度しか観測できないことは、MARIMO−ZrOの一次粒子径が小さいことを示し(図4の試料f)、そのことは、窒素吸着−脱着等温線による孔径の測定結果(表2)と一致している。
一方、CeO−ZrO合成物の格子定数は、CeO−ZrO合成物のCe/Zr比とほぼリニアな関係になっており(図8参照)、それはベガード則としてよく知られた現象である。
これらの結果から判断すると、本実施例によって得られた均質型メソポーラスナノ球状粒子において、CeOとZrOは原子レベルで均一かつ十分に分散していると結論付けられる。
<ドメイン型メソポーラスナノ球状粒子製造方法の実施例>
1.前駆体としてメタノール(5mL)にCe(NO(0.25mmol)とZrO(NO(0.25mmol)及びギ酸(2.5mmol)を混合し前駆体試料を作成した。
2.内容積10mLのSUS316のステンレスチューブに前駆体3.5mLを入れて密閉し、5.4℃/minの加熱速度でゆっくりと300℃まで昇温し、10分間保持した。
3.溶融塩浴での保持後、ステンレスチューブを氷水浴中入れて急冷した。
4.急冷後、ステンレスチューブ中の溶液を取り出し、遠心分離して粉末を分離し、メタノールで洗浄し、真空中乾燥した。
得られたメソポーラスナノ球状粒子は立方晶のCeOと正方晶のZrOの混合したXRDスペクトルを示し、EDX画像ではCe、Zr及びO原子が均一分散していた。図9(1)にXRDパターンを示し、図9(2)にTEM写真及びEDX像を示す。
この結果は、得られたメソポーラスナノ球状粒子が立方晶のCeOの領域と正方晶のZrOの領域を有しており、ドメイン型であることを示している。
上述したように、加熱速度が速いと均質型になり、遅いとドメイン型になるのは、つぎのように考えられる。
急速加熱の場合には、ほとんどすべての前駆体のCeとZrの塩が迅速に加水分解され、発生期一次CeO粒子と発生期一次ZrO粒子とが一度に多量に生じる。
しかし、ほとんどすべての出発物質がすでに急速加熱により高温で消費されているので、発生期一次CeO粒子と発生期一次ZrO粒子は適当な大きさに成長するチャンスがない。
その後、発生期一次CeO粒子と発生期一次ZrO粒子は、集合して均一分散したCeXZr1−Xメソポーラスナノ球状粒子になる。
一方、ゆっくりと加熱した場合には、反応の初期段階で少量の一次粒子が生じる。残りの未反応出発物質からこの粒子に連続的に物質供給されることにより、結晶は適切な大きさまで徐々に成長する。
このように、超臨界メタノールを使用し加熱速度を変えるだけという究極的に単純なワンポット合成によって、焼成プロセスを経ることなく、均質型のメソポーラスナノ球状粒子CeZr1−Xと、ドメイン型のメソポーラスナノ球状粒子CeO−ZrOを合成することができた。
<コア−シェル型メソポーラスナノ球状粒子製造方法の実施例>
1.MARIMO−ZrOナノ粒子30mgとCe(NO(0.125mol)をメタノール(5mL)と混合し、分散させ前駆体とした。
2.内容積10mLのSUS316のステンレスチューブに前駆体3.5mLを入れて密閉し、300℃の溶融塩浴に入れ、10分間保持した。
3.溶融塩浴での保持後、ステンレスチューブを氷水浴中に入れて急冷した。
4.急冷後、ステンレスチューブ中の溶液を取り出し、遠心分離して粉末を分離し、メタノールで洗浄し、真空中で乾燥した。
得られたメソポーラスナノ球状粒子のXRD回折パターンは、ZrOの正方晶とCeOの立方晶のパターンが混ざった広いピークを示したことから、得られた粉末が均質でなく、ZrOの正方晶とCeOの立方晶とが混在していると言える。図10(1)にXRDパターンを示し、図10(2)にTEM写真及びEDX像を示す。
TEMのEDXマッピングは、2つのタイプのMARIMO粒子が含まれていることを示している。すなわち、
(i)ZrとOと少量のCe原子からなる粒子
(ii)ZrOの核とCeOの外殻を有するコア−シェル型の粒子
を有し、(i)の(ii)に対する形成量の比率は、EDX像上の粒子の数から約10:1であった。
(i)において、上述したように、ZrO粒子はXRDスペクトルに比較的弱い強度を示すことから判断して、スタート時の正方晶を有するマイクロ孔を有するZrO粒子は、図11の概略図に示すように、立方晶の非常に薄いCeOの殻で覆われる。
興味深いことに、ギ酸をこの反応において添加剤として使用すると、互いに独立した非常に薄いCeOの殻に覆われたMARIMO−ZrO粒子と、MARIMO−CeO粒子との混合物が得られた。
アルコール分子の炭素鎖数が結晶粒径に重要な役割を果たすことが既に知られている。そこで、CeO殻を厚くすることを目的に異なる溶媒を用いた。
メタノールに代えて2−プロパノールを用いると状況は大きく変化し、主にZrO−CeOのコア−シェル型のMARIMO粒子を生じた(図12)。
そのMARIMO粒子において、シェルが薄い粒子の形成量がシェルが厚い粒子の形成量に対する比は、ほぼ1:10であった。このシェルが薄い粒子は、上述した段落0040での(i)の粒子に対応し、シェルが厚い粒子は、(ii)の粒子に対応する。
コア−シェル型粒子に関しては、全ての粒子がいつも完全なコア−シェル構造(図13(1))を示すのでなく、デコボコ構造(図13(2))も示し、完全なコア−シェル構造とデコボコ構造との形成量の比は約1:25であった。
また、EDXラインスキャン分析から、Ce原子密度は中心部よりも周辺部で高く、Zr原子密度はその逆であることが明らかとなった。
本発明は、例えば排ガス処理用の三元触媒、固体酸化物燃料電池用イオン伝導性セラミック膜、貴金属触媒担体、表面ラップ研磨材等に用いられるCeO−ZrOメソポーラスナノ球状粒子の製造方法に好適に使用される。

Claims (4)

  1. Ce3+、及びZr4+を含んだアルコールを加熱して超臨界アルコールにすることにより、CeOと、ZrOとを有するメソポーラスナノ球状粒子を製造する場合に、
    前記Ce3+がCe(NOによるものであって該Ce(NOの濃度が0.01〜1.00(mol/L)であり、前記Zr4+がZrO(NOによるものであって該ZrO(NOの濃度が0.01〜1.00(mol/L)であり、前記アルコールがギ酸を含んだメタノールであって該ギ酸の濃度が0.01〜5.0(mol/L)であり、前記超臨界アルコールの温度が240〜450℃であり、
    前記超臨界アルコールへの加熱速度が200〜800(℃/min)であり、
    前記製造するメソポーラスナノ球状粒子がCeO の一部をZrO に代替したメソポーラスナノ球状粒子であり、
    前記製造するメソポーラスナノ球状粒子がメソポーラスナノ球状粒子の全体に、CeO とZrO とが均質に分散している形態の均質型であることを特徴とするメソポーラスナノ球状粒子製造方法。
  2. Ce3+、及びZr4+を含んだアルコールを加熱して超臨界アルコールにすることにより、CeOと、ZrOとを有するメソポーラスナノ球状粒子を製造する場合に、
    前記Ce3+がCe(NOによるものであって該Ce(NOの濃度が0.01〜1.00(mol/L)であり、前記Zr4+がZrO(NOによるものであって該ZrO(NOの濃度が0.01〜1.00(mol/L)であり、前記アルコールがギ酸を含んだメタノールであって該ギ酸の濃度が0.01〜5.0(mol/L)であり、前記超臨界アルコールの温度が240〜450℃であり、
    前記超臨界アルコールへの加熱速度が1〜100(℃/min)であり、
    前記製造するメソポーラスナノ球状粒子がCeO の一部をZrO に代替したメソポーラスナノ球状粒子であり、
    前記製造するメソポーラスナノ球状粒子がドメイン型であり、
    前記ドメイン型が、CeO が集合している複数の領域とZrO が集合している複数の領域とが分散しながら接している形態であることを特徴とするメソポーラスナノ球状粒子製造方法。
  3. Ce3+、及びZr4+を含んだアルコールを加熱して超臨界アルコールにすることにより、CeOと、ZrOとを有するメソポーラスナノ球状粒子を製造する場合に、
    前記Ce3+がCe(NOによるものであって該Ce(NOの濃度が0.01〜1.0(mol/L)であり、前記Zr4+がMARIMO−ZrOナノ球体に含まれており、該MARIMO−ZrOの濃度が0.20〜10.0(g/L)であり、前記アルコールがメタノール又は2−プロパノールであって、加熱前に前記Ce(NO及びMARIMO−ZrOナノ球体が前記アルコール中に分散されており、前記超臨界アルコールの温度が240〜450℃であって、該超臨界アルコールへの加熱速度が200〜800(℃/min)であって、
    前記製造するメソポーラスナノ球状粒子が、ZrO の核とCeO の外殻を有するコア−シェル型粒子を含むことを特徴とするメソポーラスナノ球状粒子製造方法。
  4. Ce3+、及びZr4+を含んだアルコールを加熱して超臨界アルコールにすることにより、CeOと、ZrOとを有するメソポーラスナノ球状粒子を製造する場合に、
    前記Ce3+がCe(NOによるものであって該Ce(NOの濃度が0.01〜1.00(mol/L)であり、前記Zr4+がZrO(NOによるものであって該ZrO(NOの濃度が0.01〜1.00(mol/L)であり、前記アルコールがギ酸を含んだメタノールであって該ギ酸の濃度が0.01〜5.0(mol/L)であり、前記超臨界アルコールの温度が240〜450℃であり、
    前記超臨界アルコールへの加熱速度が100(℃/min)よりも大きく200(℃/min)よりも小さい加熱速度で加熱することによって、均質型メソポーラスナノ球状粒子とドメイン型メソポーラスナノ球状粒子とを混在させたことを特徴とするメソポーラスナノ球状粒子製造方法。
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