JP6384663B2 - 重合体、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents

重合体、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 Download PDF

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Description

本発明は、液晶配向膜を作製するのに有用な重合体、該重合体を含む液晶配向剤、該液晶配向剤を用いてなる液晶配向膜、及び該液晶配向膜を具備する液晶表示素子に関するものである。
液晶ディスプレイ等に用いられる液晶表示素子において、液晶配向膜は、液晶を一定の方向に配向させる役割を担っている。液晶配向膜としては、現在、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸(ポリアミド酸とも称される。)や、可溶性ポリイミドの溶液を主成分とする液晶配向剤を基板に塗布し焼成してなる、ポリイミド系のものが主として用いられている。
ただ、この種の液晶配向膜を有する液晶表示素子には、長期連続駆動等によっては電圧印加解除後も直流電圧が残留し(残留電圧;RDC)、この残留電圧に液晶配向が影響を受けて表示画面に残像(焼き付き)が生じるという問題がある。このため、残留電圧による焼き付きを抑制する、すなわち電圧印加解除後に生じる残像の消去時間を短縮することを目的の一つとした各種の提案がなされている。
例えば、所定構造を有する第3級アミンを混合して液晶配向剤とすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、窒素原子を含む環構造を有するジアミン化合物を含有し、かつ固有粘度を所定範囲に調整した可溶性イミド化重合体を含有する液晶配向剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、分子内に1個のカルボン酸基を含有する化合物や、分子内に1個の3級アミン基を含有する化合物を含む液晶配向剤が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、側鎖に窒素含有芳香族環を有するジアミン化合物が提案されている(例えば、特許文献4参照)。また、分子内に1級アミノ基を1個と窒素含有芳香族複素環とを有する所定のジアミン化合物が提案されている(例えば、特許文献5参照)。また、所定の2級アミン構造を有するジアミン化合物が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
特開平09−316200号公報 特開平10−104633号公報 特開平08−76128号公報 国際公開第2009/093704号パンフレット 国際公開第2008/013285号パンフレット 国際公開第2004/021076号パンフレット
しかしながら、近年、液晶表示素子の高性能化、大面積化、表示デバイスの省電力化等が進み、それに加えて様々な環境下で液晶表示素子が使用されるようになり、液晶配向膜に求められる特性も厳しいものになってきた。大画面の液晶テレビ、高精細なモバイル用途(デジタルカメラや携帯電話の表示部分)、高温環境におかれる車載用途(カーナビゲーションシステムやメーターパネル)等、液晶表示素子の利用が進むにつれ、上記の残留電圧により焼き付きが生じる問題の以前に、良好な液晶配向性を確保するのが困難となる問題や、高温環境下で電圧保持特性が低下する問題が顕著となってくる。
良好な液晶配向性を確保できなくなると光抜けや配向不良が発生しやすくなり、電圧保持特性が低下すると消費電力の増加や表示特性の低下が引き起こされる。このため、良好な液晶配向性を確保でき、電圧保持特性に優れ、その上で、焼き付きを抑制することのできる技術の提供に対して強い要求があるものの、従来提案されている技術では、かかる要求を満たすことができない。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、良好な液晶配向性を確保でき、電圧保持特性に優れ、かつ、焼き付きを抑制することのできる液晶配向膜を作製するのに有用な重合体、該重合体を含む液晶配向剤、該液晶配向剤から得られる液晶配向膜、及び該液晶配向膜を有する液晶表示素子を提供することを目的とする。
本発明は、鋭意研究を行った結果、アミド結合(−NHCO−)及びカルボキシル基(−COOH)の両方を側鎖に有するジアミンを用いて得られた重合体、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子が上記の目的を達成するのに有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。かかる本発明は、以下の要旨を有するものである。
1. 下記式[1]で表されるジアミンを含むジアミン成分と、テトラカルボン酸誘導体と、を反応させて得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、又は該ポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルを脱水閉環(イミド化)して得られるポリイミドからなることを特徴とする重合体。
Figure 0006384663
(式中、Rは、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合、又は炭素数1〜10で形成されるアルキレン基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる結合基である。Rに炭素原子が含まれる場合、該炭素原子に結合する水素原子は、ハロゲン含有アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、及びカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。)
2. 前記式[1]中、Rは、炭素数1〜3で形成されるアルキレン基であり、Rに含まれる炭素原子に結合する水素原子がカルボキシル基で置換されていてもよいことを特徴とする上記1.に記載の重合体。
3. 前記式[1]で表されるジアミンが、下記式[DA1]〜[DA3]で表される群より選ばれる少なくとも1種のジアミンであることを特徴とする上記1.〜2.に記載の重合体。
Figure 0006384663
4. 前記ジアミン成分は、前記式[1]で表されるジアミンを5mol%以上含むことを特徴とする上記1.〜3.の何れか一つに記載の重合体。
5. 上記1.〜4.の何れか1つに記載の重合体を含むことを特徴とする液晶配向剤。
6. 上記5.に記載の液晶配向剤を用いてなることを特徴とする液晶配向膜。
7. 上記6.に記載の液晶配向膜を具備することを特徴とする液晶表示素子。
本発明によれば、良好な液晶配向性を確保でき、電圧保持特性に優れ、かつ、焼き付きを抑制することのできる重合体、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
本実施形態である重合体は、液晶配向膜の作製に有用なものであり、下記式[1]で表されるジアミンを含むジアミン成分と、テトラカルボン酸誘導体と、を反応させて得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、又は該ポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルを脱水閉環(イミド化)して得られるポリイミドからなる。
Figure 0006384663
(式中、Rは、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合、又は炭素数1〜10で形成されるアルキレン基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる結合基である。Rに炭素原子が含まれる場合、該炭素原子に結合する水素原子は、ハロゲン原子、ハロゲン含有アルキル基、水酸基、及びカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。)
<ジアミン成分>
本実施形態で用いられるジアミン成分は、上記式[1]で表されるジアミンを含む。かかるジアミンによれば、アミド結合(−NHCO−)及びカルボキシル基(−COOH)の両方を側鎖に有するため、アミド結合−アミド結合、アミド結合−カルボキシル基、カルボキシル基−カルボキシル基といった部分構造間での相互作用が生じるようになり、プロトン移動が起こりやすくなる。このような電気化学的に活性な状態は、残留電圧の低下だけでなく、液晶中の不純物成分をトラップする機能があるため電圧保持特性の向上にも寄与する。また、構造間での相互作用により、分子の配列制御性が高くなり良好な液晶配向性が確保できる。従って、上記式[1]で表されるジアミンを含むジアミン成分を反応させることで、良好な液晶配向性を確保でき、電圧保持特性に優れ、その上で、焼き付きを抑制することのできる液晶配向膜を作製するのに有用な重合体、該重合体を含む液晶配向剤、該液晶配向剤を用いてなる液晶配向膜、及び該液晶配向膜を具備する液晶表示素子を得ることができる。
上記Rのうち、炭素数1〜10で形成されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基等が挙げられる。これらは直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、上記Rのうち、炭素数1〜10で形成されるアルケニル基としては、メテニル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基、オクテニル基等が挙げられる。これらは直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、上記Rのうち、炭素数1〜10で形成されるアルキニル基としては、メチニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、等が挙げられる。これらは直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、上記Rのうち、炭素数1〜10で形成される脂環式炭化水素としては、単環又は多環の炭化水素(アルキル基やアルケニル基)等が挙げられ、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロオクチル基、ノルボルニル基、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
また、上記Rのうち、炭素数1〜10で形成される芳香族炭化水素としては、単環又は多環のアリール基が挙げられ、多環アリール基の場合は、完全不飽和に加え、部分飽和の基も包含する。例えば、フェニル基、ナフチル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基が挙げられる。
上記Rに炭素原子が含まれ、その炭素原子に結合する水素原子がある場合、該水素原子は、ハロゲン原子、ハロゲン含有アルキル基、水酸基、及びカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。ここで言うハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。また、ハロゲン含有アルキル基としては、上記のハロゲン原子を含有するアルキル基が挙げられ、例えば、上記のハロゲン原子を含有する炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。
以上より、本実施形態では、上記式[1]で表されるジアミンとして、例えば、下記式[DA1]〜[DA3]で表される群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。勿論、これらジアミンを2種以上併用してもよい。表1には、これらのジアミンと上記Rとの対応が示してある。
Figure 0006384663
Figure 0006384663
なかでも、上記式[1]で表されるジアミンは、好ましくは、上記Rが炭素数1〜3で形成されるアルキレン基であって、Rに含まれる炭素原子に結合する水素原子が、カルボキシル基で置換されていてもよいものである。更に好ましくは、上記式[DA1]〜[DA3]で表されるジアミンである。これらによれば、アミド結合−アミド結合、アミド結合−カルボキシル基、カルボキシル基−カルボキシル基といった部分構造間での相互作用により、良好な液晶配向性を確保でき、電圧保持特性に優れ、かつ、焼き付きを抑制しやすくなる。勿論、上記式[DA1]〜[DA3]で表されるジアミンも2種以上併用してもよい。
上記式[1]中、ベンゼン環に結合する各アミノ基の位置は限定されないが、合成難易度や試薬の入手性の観点では、該ベンゼン環に結合しているアミド結合の位置を基準としてメタの位置が好ましい。これらのアミノ基は、熱によって脱離し得る有機基(例えば、第三級ブトキシカルボニル基)で保護されていてもよい。また、ベンゼン環に結合する水素原子は、有機基(例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜5で形成されるアルキル基等)で置換されていてもよいが、未置換であることが好ましい。
このような上記式[1]で表されるジアミンを、ジアミン成分全量に対して5〜100モル%、好ましくは20〜100モル%含み、本実施形態で用いられるジアミン成分となる。上記式[1]で表されるジアミンの配合割合が上記範囲未満であると、アミド結合−アミド結合、アミド結合−カルボキシル基、カルボキシル基−カルボキシル基といった部分構造間での相互作用による効果が得られ難くなる。
尚、上記式[1]で表されるジアミンは前記の例に限定されない。すなわち、アミド結合及びカルボキシル基の両方を側鎖に有するジアミンであって、上記のような部分構造間での相互作用により所望の機能を発揮するものであれば、そのようなジアミンも、上記式[1]で表されるジアミンとして使用し得る。
上記式[1]で表されるジアミン以外にも、ジアミン成分は、良好な液晶配向性を確保でき、電圧保持特性に優れ、かつ、焼き付きを抑制する本発明の要旨を変更しない範囲であれば、重合体の溶解性や反応性等の観点で液晶配向膜の作製に過度な悪影響が生じない限り、その他のジアミン(上記式[1]で表されるジアミン以外のジアミン)を1種単独又は2種以上含むことができる。その他のジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミンが挙げられる。
脂環式ジアミン類としては、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミン類としては、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、2,5−ジアミノ−p−キシレン、1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,4−ジアミノ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4’−ジアミノベンズアニリド−、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビベンジル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’―ジメチルジフェニルメタン、2,2’−ジアミノスチルベン、4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,5−ビス(4−アミノフェノキシ)安息香酸、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビベンジル、2,2−ビス[(4−アミノフェノキシ)メチル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、α、α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,4−ジアミノジフェニルアミン、1,8−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノアントラキノン、1,3−ジアミノピレン、1,6−ジアミノピレン、1,8―ジアミノピレン、2,7−ジアミノフルオレン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサン、1,7−ビス(4−アミノフェニル)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェニル)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェニル)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェニル)デカン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェノキシ)デカン、ジ(4−アミノフェニル)プロパン−1,3−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ブタン−1,4−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ペンタン−1,5−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ヘキサン−1,6−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ヘプタン−1,7−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)オクタン−1,8−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ノナン−1,9−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)デカン−1,10−ジオエート、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕プロパン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ブタン、1,5−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ペンタン、1,6−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘキサン、1,7−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘプタン、1,8−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕オクタン、1,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ノナン、1,10−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕デカン等が挙げられる。
芳香族−脂肪族ジアミンとしては、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、3−アミノ−N−メチルベンジルアミン、4−アミノ−N−メチルベンジルアミン、3−アミノフェネチルアミン、4−アミノフェネチルアミン、3−アミノ−N−メチルフェネチルアミン、4−アミノ−N−メチルフェネチルアミン、3−(3−アミノプロピル)アニリン、4−(3−アミノプロピル)アニリン、3−(3−メチルアミノプロピル)アニリン、4−(3−メチルアミノプロピル)アニリン、3−(4−アミノブチル)アニリン、4−(4−アミノブチル)アニリン、3−(4−メチルアミノブチル)アニリン、4−(4−メチルアミノブチル)アニリン、3−(5−アミノペンチル)アニリン、4−(5−アミノペンチル)アニリン、3−(5−メチルアミノペンチル)アニリン、4−(5−メチルアミノペンチル)アニリン、2−(6−アミノナフチル)メチルアミン、3−(6−アミノナフチル)メチルアミン、2−(6−アミノナフチル)エチルアミン、3−(6−アミノナフチル)エチルアミン等が挙げられる。
複素環式ジアミン類としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,7−ジアミノジベンゾフラン、3,6−ジアミノカルバゾール、2,4−ジアミノ−6−イソプロピル−1,3,5−トリアジン、2,5−ビス(4−アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
脂肪族ジアミン類としては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルプロパン、1,6−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−4,4−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−3−メチルヘプタン、1,9−ジアミノ−5−メチルヘプタン、1,12−ジアミノドデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン等が挙げられる。
以上説明した上記式[1]で表されるジアミンは、例えば、後述する実施例欄にて示すように、そのアミド結合(−NHCO−)及びカルボキシル基(−COOH)の両方に対応する側鎖を有するジニトロ化合物を合成し、このニトロ基を還元してアミノ基に変換する方法により得ることができる。その他のジアミンについても、常法により合成することができる。
<テトラカルボン酸誘導体>
本実施形態で用いられるテトラカルボン酸誘導体は特に限定されず、脂環式構造を有するもの、脂肪族構造を有するもの、更には芳香族構造を有するもの、の何れも用いることができる。
脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸−3,4:7,8−二無水物、ヘキサシクロ[6.6.0.12,7.03,6.19,14.010,13]ヘキサデカン−4,5,11,12−テトラカルボン酸−4,5:11,12−二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物を有するテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物として、芳香族芳香族構造を有するものを用いると、より液晶配向性が向上し、かつ液晶セルの蓄積電荷を低減させやすくなるので好ましい。
また、本実施形態の液晶配向剤に含まれるポリアミック酸エステルを得るためにジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸ジアルキルエステルや、本実施形態の液晶配向剤に含まれるポリアミドを得るためにジアミン成分と反応させるジカルボン酸についても、特に限定されるものではない。以上説明したテトラカルボン酸誘導体は、1種単独又は2種以上併用することができる。
本実施形態で用いられるテトラカルボン酸誘導体は、これらの例示に限られない。上記式[1]で表されるジアミンと反応し、所定の重合体を好適に得ることができる本発明の範囲であれば、その他のテトラカルボン酸誘導体(上記で例示した以外のテトラカルボン酸誘導体)も使用できる可能性がある。その他のテトラカルボン酸誘導体も、1種単独又は2種以上併用することができる。
<ジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体とを反応させて得られる重合体>
上記式[1]で表されるジアミンを含有するジアミン成分と、テトラカルボン酸誘導体と、の反応により、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を得ることができ、また、このポリアミック酸のカルボキシル基をエステルに変換することでポリアミック酸エステルを得ることができる。更に、ポリアミック酸や該ポリアミック酸エステルを閉環(イミド化)することにより、ポリイミドを得ることができる。これらのポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドの何れも、液晶配向剤を得るための重合体として有用なものである。尚、ポリイミドを得る際の脱水閉環率(イミド化率)は、必ずしも100%である必要はなく、0%から100%の範囲で用途や目的に応じて任意に調整することができる。
上記式[1]で表されるジアミンを含有するジアミン成分と、テトラカルボン酸誘導体と、により重合体(ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミド)を得るにあたっては、ジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体とを有機溶媒中で反応させる方法を採用することができる。かかる反応は、有機溶媒中で比較的容易に進行し、かつ副生成物の発生が極めて少ない点で有利である。
本実施形態において用いることができる有機溶媒は、生成したポリアミック酸を溶解するものが主とされていれば特に限定されない。ポリアミック酸を溶解し得る有機溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド等が挙げられる。
これらの有機溶媒は、1種単独又は2種以上併用することができる。有機溶媒は上記の例に限定されず、生成したポリアミック酸が析出しない範囲であれば、ポリアミック酸が溶解しない溶媒を一部混合するようにしてもよい。有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、更には生成したポリアミック酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
ジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体とを有機溶媒中で反応させる際には、例えば、ジアミン成分を有機溶媒に分散・溶解させた溶液を撹拌させ、テトラカルボン酸誘導体をそのまま、又は有機溶媒に分散・溶解させて添加する方法が挙げられる。逆に、テトラカルボン酸誘導体を有機溶媒に分散・溶解させた溶液に、ジアミン成分を添加する方法も挙げられる。ジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体とを交互に添加する方法を採用してもよい。ジアミン成分やテトラカルボン酸誘導体が複数種の化合物からなる場合は、予め混合した状態で反応させても良く、個別に順次反応させても良く、更に個別に反応させた低分子量体を混合反応させ高分子量体としても良い。
ジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体とを有機溶媒中で反応させる際の重合温度は−20℃から150℃の任意の温度を選択することができるが、好ましくは−5℃から100℃の範囲である。また、反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な撹拌が困難となるので、テトラカルボン酸誘導体とジアミン成分の反応溶液中での合計濃度が、好ましくは1から50質量%、より好ましくは5から30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加することができる。
ポリアミック酸の重合反応においては、テトラカルボン酸誘導体の合計モル数と、ジアミン成分の合計モル数の比は0.8から1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1.0に近いほど、生成するポリアミック酸の分子量が大きくなる。
ポリアミック酸をイミド化させる方法としては、例えば、ポリアミック酸の溶液をそのまま加熱する熱イミド化が挙げられる。ポリアミック酸を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100℃〜400℃、好ましくは120℃〜250℃であり、イミド化反応により生成する水を系外に除きながら行う方が好ましい。
また、ポリアミック酸をイミド化させる方法としては、ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する触媒イミド化も挙げられる。ポリアミック酸の触媒イミド化は、ポリアミック酸の溶液に対し、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20〜250℃、好ましくは0〜180℃で撹拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量は、アミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量は、アミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができ、中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量と反応温度、反応時間を調節することにより制御することができる。
ポリアミック酸エステルを合成する方法としては、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミン成分との反応や、テトラカルボン酸ジエステルとジアミン成分を適当な縮合剤、塩基の存在下にて反応させる方法が挙げられる。又は、予めポリアミック酸を重合し、高分子反応を利用してアミック酸中のカルボン酸をエステル化することでも得ることができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを塩基と有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
ここでの塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンが使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4倍モルであることが好ましい。
縮合剤存在下にて縮合重合を行う場合、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム、テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンー2−イル)4−メトキシモルホリウムクロリド−n−水和物等が使用できる。
また、上記縮合剤を用いる方法において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウム等のハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量はテトラカルボン酸ジエステルに対して0.1〜1.0倍モル量であることが好ましい。
この反応に用いる溶媒は、上記で示したポリアミック酸を重合する際に用いられる溶媒で行うことができるが、モノマー及びポリマーの溶解性からN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。合成時の濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの合成に用いる溶媒はできるだけ脱水されていることが良く、窒素雰囲気中で、外気の混入を防ぐのが好ましい。
反応溶液から、生成したポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミドを回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して沈殿させれば良い。沈殿に用いる貧溶媒としては、例えば、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、水が挙げられる。貧溶媒に投入して沈殿させたポリマーは濾過して回収した後、常圧又は減圧下で、常温又は加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒として、例えば、アルコール類、ケトン類、炭化水素が挙げられ、これらの内から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
本実施形態におけるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミドの分子量は、液晶配向剤として用いた場合に得られる塗膜の強度及び、塗膜形成時の作業性、塗膜の均一性を考慮すると、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で5,000〜1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは、10,000〜150,000である。
<液晶配向剤>
本実施形態の液晶配向剤は、液晶配向膜を形成するための塗布液であり、重合体被膜を形成するための重合体成分が有機溶媒に溶解した溶液である。この重合体成分は、上記式[1]で表されるジアミンを含むジアミン成分を用いて得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド及びポリアミドから選ばれる少なくとも一種の重合体を含む。液晶配向剤が含有する重合体成分の含有量は1〜20質量%が好ましく、より好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは3〜10質量%である。
重合体成分は、その全てが本実施形態の上記重合体であってもよく、その他の重合体(本実施形態の上記重合体以外の重合体)が1種又は2種以上混合されていてもよい。その際、重合体成分におけるその他の重合体の含有量は、0.5〜15質量%、好ましくは1〜10質量%である。
その他の重合体は、例えば、テトラカルボン酸誘導体と反応させるジアミン成分に、上記式[1]で表されるジアミン以外のその他ジアミンが含まれる場合、かかるその他のジアミンに由来して得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド等である。
本発明の液晶配向剤に用いる有機溶媒(溶剤)は、重合体成分を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。その具体例としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、γ−ブチロラクトン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンが挙げられる。これらは1種又は2種以上併用してもよい。
本実施形態の液晶配向剤は、上記重合体成分以外の成分を含有してもよい。その例としては、液晶配向剤を塗布した際の膜厚均一性や表面平滑性を向上させる溶媒や化合物、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物等が挙げられる。
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる溶媒(貧溶媒)の具体例としては次のものが挙げられる。その例としては、低表面張力を有する溶媒、具体的には、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、1−ヘキサノール、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル等が挙げられる。
これらの貧溶媒は、1種単独又は2種以上を混合して用いてもよい。このような溶媒を用いる場合、かかる溶媒は、液晶配向剤に含まれる溶媒全体の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤である。より具体的には、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子社製)等である。これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、例えば、官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物が挙げられる。例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタン等である。これに加えて、バックライトによる電気特性低下等を防ぐ目的で、所定のフェノプラスト系の添加剤を導入しても良い。
基板との密着性を向上させる化合物を使用する場合、その使用量は、液晶配向剤に含有される重合体成分の100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。
本実施形態の液晶配向剤には、上記の他、本発明の要旨を変更しない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率や導電性等の電気特性を変化させる目的で、誘電体や導電物質、更には、液晶配向膜にした際の膜の硬度や緻密度を高める目的の架橋性化合物を添加してもよい。
例えば、液晶配向剤には、本発明の要旨を変更しない範囲において、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基又はシクロカーボネート基を有する架橋性化合物、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物、又は重合性不飽和結合を有する架橋性化合物を添加してもよい。することこれら置換基や重合性不飽和結合は、架橋性化合物中に2個以上有する必要がある。
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物としては、例えば、ビスフェノールアセトングリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニレン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ビスフェノールヘキサフルオロアセトジグリシジルエーテル、1,3−ビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、2−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−2−(4−(1,1−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)エチル)フェニル)プロパン又は1,3−ビス(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチル)フェノキシ)−2−プロパノールが挙げられる。
オキセタン基を有する架橋性化合物は、例えば、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の58頁〜59頁に掲載される式[4a]〜式[4k]で示される架橋性化合物が挙げられる。
シクロカーボネート基を有する架橋性化合物としては、例えば、国際公開公報WO2012/01132751(2012.2.2公開)の76頁〜82頁に掲載される式[5−1]〜式[5−42]で示される架橋性化合物が挙げられる。
ヒドロキシル基及びアルコキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物としては、例えば、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂又はエチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。具体的には、アミノ基の水素原子がメチロール基又はアルコキシメチル基又はその両方で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体、又はグリコールウリルを用いることができる。このメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体は、2量体又は3量体として存在することも可能である。これらはトリアジン環1個当たり、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個以下有するものが好ましい。
このようなメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体の例としては、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(以上、三和ケミカル社製)やサイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712等のメトキシメチル化メラミン、サイメル235、236、238、212、253、254等のメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン、サイメル506、508等のブトキシメチル化メラミン、サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイアナミド社製)が挙げられる。また、グリコールウリルの例として、サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル、サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリル等、パウダーリンク1174のようなメトキシメチロール化グリコールウリル等が挙げられる。
ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するベンゼン又はフェノール性化合物としては、例えば、1,3,5−トリス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメチル)ベンゼン又は2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノール等が挙げられる。
より具体的には、国際公開公報WO2011/132751.(2011.10.27公開)の62頁〜66頁に掲載される、式[6−1]〜式[6−48]で示される架橋性化合物が挙げられる。
重合性不飽和結合を有する架橋性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン又はグリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を分子内に3個有する架橋性化合物、さらに、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート又はヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を分子内に2個有する架橋性化合物、加えて、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステル又はN−メチロール(メタ)アクリルアミド等の重合性不飽和基を分子内に1個有する架橋性化合物が挙げられる。
上記化合物は架橋性化合物の一例であり、これらに限定されるものではない。また、液晶配向剤に用いる架橋性化合物は、1種単独又は2種以上を併用してもよい。液晶配向剤における、架橋性化合物の含有量は、すべての重合体成分100質量部に対して、0.1〜150質量部であることが好ましい。架橋反応が進行し目的の効果を発現させるためには、すべての重合体成分100質量部に対して0.1〜100質量部がより好ましく、特に、1〜50質量部が最も好ましい。
尚、液晶配向膜中の電荷移動を促進し、該液晶配向膜を用いた液晶セルの電荷抜けを促進させる化合物として、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の69頁〜73頁に掲載される、式[M1]〜式[M156]で示される窒素含有複素環アミン化合物を添加することも好ましい。このアミン化合物は、組成物に直接添加しても構わないが、適当な溶媒で濃度0.1質量%〜10質量%、好ましくは1質量%〜7質量%の溶液にしてから添加することが好ましい。
<液晶配向膜>
本実施形態の液晶配向剤は、基板等上に塗布、焼成した後、ラビング処理や光照射等で配向処理をして、又は垂直配向用途では配向処理無しで液晶配向膜として用いることができる。この際、用いる基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、又はアクリル基板やポリカーボネート基板等のプラスチック基板を用いることができる。また、液晶駆動のためのITO(Indium Tin Oxide)電極等が形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミ等の光を反射する材料も使用できる。
液晶配向剤の塗布方法は特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット等で行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ、ロールコーター、スリットコーター、スピンナー等があり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
液晶配向剤を基板上に塗布した後の焼成は、ホットプレート等の加熱手段により50〜300℃、好ましくは80〜250℃で行い、溶媒を蒸発させて、塗膜を形成させることができる。上記式[1]で表されるジアミンがアミド結合(−NHCO−)及びカルボキシル基(−COOH)の両方を側鎖に有するため、アミド結合−アミド結合、アミド結合−カルボキシル基、カルボキシル基−カルボキシル基といった部分構造間での相互作用により、焼成後の重合体の構造は、電気化学的に活性な構造となる。このため、良好な液晶配向性を確保でき、電圧保持特性に優れ、かつ、残留電圧が蓄積し難く焼き付きを抑制することのできる液晶配向膜を得ることができる。焼成後に形成される塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。液晶を水平配向や傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜をラビング又は偏光紫外線照射等で処理する。
<液晶表示素子>
本実施形態の液晶表示素子は、上記した手法により本実施形態の液晶配向剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製し、液晶表示素子としたものである。一例を挙げるならば、対向するように配置された2枚の基板と、基板間に設けられた液晶層と、基板と液晶層との間に設けられ本発明の液晶配向剤により形成された上記液晶配向膜とを有する液晶セルを具備する液晶表示素子である。
液晶セル作製方法としては、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサーを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、又は、スペーサーを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法等が例示できる。このときのスペーサーの厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。
液晶には、正の誘電異方性を有するポジ型液晶や負の誘電異方性を有するネガ型液晶、具体的には、例えば、メルク社製のMLC−2003、MLC−6608、MLC−6609等を用いることができる。
以上のようにして、本発明の液晶配向剤を用いて作製された液晶表示素子は、良好な液晶配向性を確保でき、電圧保持特性に優れ、その上で、焼き付きを抑制することのできるものとなり、大画面の液晶テレビ、高精細なモバイル用途、高温環境におかれる車載用途等に好適に利用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。本実施例欄では、以下の略号を用いる場合がある。
<テトラカルボン酸誘導体>
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BODA:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
1,3−DMCBDE−Cl:下記式のテトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライド化合物
Figure 0006384663
<その他のジアミン(上記式[1]で表される以外のジアミン)>
DABA:4,4’−ジアミノベンズアニリド
DBA:3,5−ジアミノ安息香酸
Me−4AphA:N−メチル−2−(4−アミノフェニル)エチルアミン(「4−アミノ−N−メチルフェネチルアミン」とも称される。)
DADPA:4,4’−ジアミノジフェニルアミン
DDE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
DA−2MG:1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン
Figure 0006384663
<有機溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
GBL:γ−ブチロラクトン
BCS:ブチルセロソルブ
<上記式[1]で表されるジアミンの合成>
(合成例1)
ジアミン[DA1]を、下記の反応により合成した。
Figure 0006384663
すなわち、γ−アミノ酪酸メチルエステル塩酸塩(22.1g,144mmol)のアセトニトリル(132g)に、N,N’−ジメチルアミノピリジン(0.880g,7.20mmol)とトリエチルアミン(35.0g,346mmol)とを入れ、反応混合物を氷浴で冷却した。その混合物に、3,5−ジニトロ安息香酸クロリド(30.2g,131mmol)のアセトニトリル溶液(60g)を滴下した後、室温に昇温して2時間ほど撹拌した。この混合物のろ過により固形物を除去したろ液を得て、これを減圧下で溶媒留去した。得られた残渣は、酢酸エチルと水とで分液抽出を行い、分離した有機層を濃縮して、ジニトロ体[DN1]を含む粗物を得た。得られた粗物は精製することなく、次の反応に使用した。得られたジニトロ体[DN1]のH−NMR測定結果を以下に示す。
1H-NMR(CDCl3):δ9.17(t, 1H, J=2.0Hz),9.02(d, 2H, J=2.0Hz), 7.62(b-s, 1H, -C(O)NH-), 3.77(s, 3H, -CO2CH3), 3.59(dt, 2H, J=5.2, 6.4Hz, -NHCH2-), 2.58(t, 2H, J=6.4Hz, -CH2CO2Me), 2.08-2.00(m, 2H).
上記の反応で得られたジニトロ体[DN1]を含む粗物をメタノール(122g)に溶解させ、更に水(41g)を加えた。その混合物に、水酸化リチウム一水和物(9.34g,223mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。反応完結後、塩酸で酸性化し、ジニトロ体[DN1]を遊離固体化させ、ろ過により分離した。ろ物を乾燥して、ジニトロ体[DN2]を得た(29.7g,76%収率(2段階))。得られたジニトロ体[DN2]のH−NMR測定結果を以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6):δ12.1(b-s, 1H, -CO2H), 9.23(t, 1H, J=5.6Hz, C(O)NH-), 9.06(d, 2H, J=2.0Hz), 8.95(t, 1H, J=2.0Hz), 3.36(dt, 2H, J=5.6, 6.8Hz, -NHCH2-), 2.31(t, 2H, J=7.2Hz, -CH2CO2H), 1.85-1.74(m, 2H).
ジニトロ体([DN2];34.0g,114mmol)のTHF溶液(272g)にパラジウム活性炭(3.39g)を加えた後、水素雰囲気下、室温で4日間撹拌した。ろ過により反応液からパラジウム活性炭を除去し、溶媒を減圧下で留去した。得られた残渣をメタノールに溶解させ、活性炭を加えて30分撹拌した後、反応液をろ過して、活性炭を分離した。ろ液を濃縮乾燥して、目的物であるジアミン[DA1]を紫色固体として得た(19.1g,70%収率)。得られたジアミン[DA1]のH−NMR測定結果を以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6):δ8.03(t, 1H, J=5.6Hz, -C(O)NH-), 6.19(d, 2H, J=2.0Hz), 5.92(t, 1H, J=2.0Hz), 5.15-4.55(b, 4H, -NH2x2), 3.20-3.12(m, 2H, -NHCH2-), 2.22(t, 2H, J=7.6Hz, -CH2CO2H), 1.78-1.64(m, 2H).
(合成例2)
ジアミン[DA2]を、下記の反応により合成した。
Figure 0006384663
すなわち、β−アラニンエチルエステル塩酸塩(30.0g,195mmol)をアセトニトリル(180g)に懸濁させ、トリエチルアミン(43.1g,426mmol)と、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(650mg,5.32mmol)とを加え、30分撹拌後、3℃に冷却した。そして、3,5−ジニトロベンゾイルクロリド(40.9g,195mmol)のアセトニトリル(81.0g)溶液を35分間かけて滴下した。その後、25℃で19時間撹拌後、析出している固体をろ過して除き、ろ取物をアセトニトリル(60.0g)で洗浄し、ろ液を濃縮した。次に、濃縮後の残渣に酢酸エチル(300g)と水(100g)とを加え、続いて、炭酸カリウム(4.81g,35.5mmol)を加え、有機相を分離し、水(100g)で2回洗浄した。その後、有機相を濃縮、乾燥して、ジニトロ体[DN3]の粗物を赤茶色固体として得た(収量57.8g,収率108%)。得られたジニトロ体[DN3]のH−NMR測定結果を以下に示す。
1H-NMR(CDCl3):δ9.18(t, J=2.2Hz, 1H, C6H3(NO2)2), 8.94(d, J=2.2Hz, 2H, C6H3(NO2)2), 7.22(br, 1H, NH), 4.12(q, J=7.2Hz, 2H, CH2CH3), 3.80(dt, J=6.4, 5.8Hz, 2H, NHCH2CH2), 2.70(t, J=5.8Hz, 2H, CH2C(O)), 1.30(t, J=7.2Hz, 3H, CH3).
上記の反応で得られたジニトロ体([DN3];55.2g,177mmol)をメタノール(110g)に懸濁させた。この懸濁液に、水酸化リチウム(12.7g)を水(55.0g)に溶解させた溶液を25℃で加え、3時間撹拌後、3mol/Lの塩酸(130mL)を加え、10分間撹拌した。その後、析出物をろ過し、固体を水(50g)で3回洗浄した。この固体を乾燥し、2−プロパノール(100g)とヘキサン(200g)との混合液で40℃で30分撹拌後、固体をろ過、乾燥することで、ジニトロ体[DN4]を黄色固体として得た(収量43.9g,収率87%(2工程))。得られたジニトロ体[DN4]のH−NMR測定結果を以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6):δ9.18(t, J=2.2Hz, 1H, C6H3(NO2)2), 8.94(d, J=2.2Hz, 2H, C6H3(NO2)2), 7.22(br, 1H, NH), 4.12(q, J=7.2Hz, 2H, CH2CH3), 3.80(dt, J=6.4, 5.8Hz, 2H, NHCH2CH2), 2.70(t, J=5.8Hz, 2H, CH2C(O)), 1.30(t, J=7.2Hz, 3H, CH3).
上記の反応で得られたジニトロ体([DN4];40.8g)をメタノール(326g)に懸濁させ、5%パラジウム担持カーボン(55%含水品、4.0g)を加えて系内を水素で置換し、25℃で21時間撹拌した。その後、水(80.0g)を加えて、5%パラジウム担持カーボンをろ過により除き、濃縮、乾燥した。次に、残渣にメタノール(64.4g)を加えて、60℃で2時間撹拌後、25℃に冷却した。そして、固体をろ過して、トルエン/メタノール(2/1)の混合液(40mL)で2回洗浄し、乾燥することで、目的物であるジアミン[DA2]を紫色固体として得た(24.8g,収率77%)。得られたジアミン[DA2]のH−NMR測定結果を以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6):δ7.98(t, J=5.4Hz, 1H, NH), 6.18(d, J=2.0Hz, 1H, C6H3(NH2)2), 5.92(t, J=2.2Hz, 2H, C6H3(NH2)2), 4.85(br, 5H, NH2andCO2H), 3.35(m, 2H, NHCH2CH2), 2.44(t, J=7.2Hz, 2H, CH2C(O)).
(合成例3)
ジアミン[DA3]を、下記の反応により合成した。
Figure 0006384663
すなわち、グルタミン酸ジベンジルエステル塩酸塩(36.4g,100mmol)とアセトニトリル(218g)との懸濁液に、トリエチルアミン(24.3g,240mmol)を加え、30分間撹拌後、2℃に冷却した。次いで、3,5−ジニトロベンゾイルクロリド(23.7g,103mmol)のアセトニトリル(47g)の溶液を20分間かけて滴下した。この反応混合物を3時間撹拌後、析出している固体をろ過で除き、ろ取物をアセトニトリル(30g)で3回洗浄し、ろ液を濃縮した。残渣に酢酸エチル(360g)と水(52g)とを加えて分液し、有機相を分離して、更に水(52g)で2回洗浄した。有機相を濃縮し、残渣に酢酸エチル(52g)を加えて55℃に加熱した後、ヘキサン(208g)を加え、固体を析出させたのち、25℃まで冷却した。そして、析出物をろ過し、得られた固体をヘキサン/酢酸エチル(4/1)の混合溶液(50mL)で2回洗浄し、乾燥することで、ジニトロ体[DN5]を白色固体として得た(収量49.9g,収率96%)。得られたジニトロ体[DN5]のH−NMR測定結果を以下に示す。
1H-NMR(CDCl3):δ9.17(t, J=2.0Hz, 1H, C6H3(NO2)2), 9.01(d, J=2.0Hz, 2H, C6H3(NO2)2), 8.07(d, J=6.8, 1H, NH), 7.37-7.26(m, 10H, 2Ph), 5.27-5.14(m, 4H, CH2Ph), 4.80-4.78(m, 1H, NHCH2), 2.64-2.50(m, 2H, CH2C(O)), 2.38-2.21(m, 2H, CHCH2CH2).
上記の反応で得られたジニトロ体([DN5];43.7g,83.8mmol)をDMF(175g)に溶解させ、5%パラジウム担持カーボン(53%含水品、1.31g)を加えて系内を水素で置換し、50℃で6時間撹拌した。その後、この溶液をろ過し、ろ取物をDMF(10g)で2回洗浄し、ろ液を濃縮、乾燥した。残渣にメタノール(71g)を加え60℃で1時間撹拌後、トルエン(71g)を加え、析出している固体をろ過した。更に、トルエン/メタノール(1/1,v/v)の混合溶液(40mL)で2回洗浄し、乾燥することで、目的物であるジアミン[DA3]を紫色固体として得た(収量23.0g,収率93%)。得られたジアミン[DA3]のH−NMR測定結果を以下に示す。
1H-NMR(DMSO-d6):δ8.11(d, J=7.6, 1H, NH), 6.24(d, J=2.0Hz, 1H, C6H3(NH2)2), 5.94(t, J=2.0Hz, 2H, C6H3(NH2)2), 4.31(ddd, J=7.6, 4.8, 2.0Hz, 1H, NHCH2), 2.31(dd, J=7.6, 7.2Hz, 2H, CH2C(O)), 2.07-1.88(m, 2H, CHCH2CH2).
<重合体・液晶配向剤の作製>
(合成例4)
撹拌装置及び窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、上記合成例1で製造したジアミン[DA1]を1.85g(8.30mmol)、NMP28.3gを加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらPMDA1.72g(7.89mmol)を添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。これにより、重合体としてのポリアミック酸(PAA−1)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、22.9mPa・sであった。このポリアミック酸の数平均分子量は6,782、重量平均分子量は20,520であった。
このポリアミック酸溶液24.0gに、NMP8.01g及びBCS8.01g加え、ポリアミック酸(PAA−1)の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
(合成例5)
撹拌装置及び窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、上記合成例2で製造したジアミン[DA2]を1.85g(8.30mmol)、NMP28.3gを加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらPMDA1.72g(7.89mmol)を添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。これにより、重合体としてのポリアミック酸(PAA−2)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、29.0mPa・sであった。このポリアミック酸の数平均分子量は9,714、重量平均分子量は20,072であった。
このポリアミック酸溶液24.1gに、NMP8.02g、及びBCS8.00g加え、ポリアミック酸(PAA−2)の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
(合成例6)
撹拌装置及び窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、上記合成例3で製造したジアミン[DA3]を2.33g(8.30mmol)、NMP28.8gを加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらPMDA1.72g(7.89mmol)を添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。これにより、重合体としてのポリアミック酸(PAA−3)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、33.7mPa・sであった。このポリアミック酸の数平均分子量は10,526、重量平均分子量は23,704であった。
このポリアミック酸溶液16.24gにNMP9.94g及びBCS6.54g加え、ポリアミック酸(PAA−3)の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
(合成例7)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、上記合成例1で製造した[DA1]を1.11g(4.98mmol)、Me−4APhAを0.50g(3.32mmol)、NMP28.3gを加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCBDA0.93g(4.73mmol)、PMDA0.69g(3.16mmol)を添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌してポリアミック酸(PAA−4)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、103mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は10,500、重量平均分子量は23,100であった。
このポリアミック酸溶液24.0gにNMP8.01g、及びBCS8.01g加え、ポリアミック酸(PAA−4)の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
(合成例8)
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mLの四つ口フラスコに、上記合成例1で製造した[DA1]を0.74g(3.32mmol)、DADPAを0.33g(1.66mmol)及びDDEを0.66g(3.32mmol)取り、NMP(12.0g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらBODAを1.48g(5.91mmol)を添加し、25℃で2時間撹拌した。次に、CBDAを0.38g(1.97mmol)と固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−5)を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、120mPa・sであった。このポリアミド酸の数平均分子量は11,300、重量平均分子量は27,100であった。
得られたポリアミック酸溶液10.0gに、NMPを加え5質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.24g)およびピリジン(0.87g)を加え、50℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(150ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末を得た。このポリイミドのイミド化率は50%であり、数平均分子量は24,800、重量平均分子量は88,000であった。
このポリイミド粉末2.40gにNMP29.6g、及びBCS8.00g加え、ポリイミド(SPI−1)の濃度が6.0質量%の液晶配向剤を得た。
(合成例9)
撹拌装置付きの500mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、上記合成例1で製造した[DA1]を0.74g(3.36mmol)を取り、DA−2MGを1.21g(4.94mmol)を入れ、NMP(111g)及びピリジン(6.18g)を加え、撹拌して溶解させた。次に、このジアミン溶液を撹拌しながら1,3−DMCBDE−Clを2.56g(7.88mmol)を添加し、15℃で15時間反応させた。得られたポリアミック酸アルキルエステルの溶液を、水(1230g)に撹拌しながら投入し、析出した白色沈殿を濾取した後、IPA(イソプロピルアルコール)(1230g)で5回洗浄し、乾燥することで白色のポリアミド酸アルキルエステル粉末を3.55g得た。このポリアミック酸アルキルエステルの数平均分子量は15,200、重量平均分子量は31,000であった。
このポリアミック酸アルキルエステル粉末を2.40g、100mL三角フラスコに取り、NMPを29.6g、BCSを8.00g加え、25℃で24時間攪拌し溶解させて、固形分濃度が6.0質量%のポリアミック酸アルキルエステル溶液(PAE−1)を作製し、これを含む液晶配向剤を得た。
(比較合成例1)
上記式[1]で表されるジアミンを用いず、その代わりにその他のジアミン(上記式[1]で表されるジアミン以外のジアミン)を用いた点を除き、基本的には合成例4と同様の手法により、重合体・液晶配向剤を作製した。
すなわち、撹拌装置及び窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、その他のジアミンとしてのDABAを1.89g(8.30mmol)、NMP28.3gを加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらPMDA1.72g(7.89mmol)を添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。これにより、比較用重合体としてのポリアミック酸(PAA−5)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、2357mPa・sであった。このポリアミック酸の数平均分子量は20,145、重量平均分子量は49,422であった。
このポリアミック酸溶液24.0gにNMP8.01g及びBCS8.01g加え、ポリアミック酸の濃度が6.0質量%の比較用液晶配向剤を得た。
(比較合成例2)
比較合成例1と同様に、上記式[1]で表されるジアミンに代え、その他のジアミンを用いて重合体・液晶配向剤を作製した。
すなわち、撹拌装置及び窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、その他のジアミンとしてのDBAを1.26g(8.30mmol)、NMP28.3gを加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらPMDA1.72g(7.89mmol)を添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。これにより、比較用重合体としてのポリアミック酸(PAA−6)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、88.3mPa・sであった。このポリアミック酸の数平均分子量は14,239、重量平均分子量は37,153であった。
このポリアミック酸溶液24.0gにNMP8.01g及びBCS8.01g加え、ポリアミック酸の濃度が6.0質量%の比較用液晶配向剤を得た。
以上説明した合成例4〜9の液晶配向剤、及び比較合成例1〜2の比較用液晶配向剤について、表2にまとめる。
Figure 0006384663
<重合体の分子量の測定>
合成例4〜9により得られた重合体、及び比較合成例1〜2により得られた比較用重合体の分子量は、常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)(昭和電工社製)、カラム(KD−803,KD−805)(Shodex社製)を用いて、以下の条件で測定したものである。
・カラム温度:50℃
・溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・HO)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、THFが10ml/L)
・流速:1.0ml/min
・検量線作成用標準サンプル:TSK
・標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
<液晶セルの作製>
(実施例1〜6)
上記合成例4〜9で得られた各液晶配向剤を用い、以下の手法により液晶セルをそれぞれ作製した。尚、これらの合成例の各液晶配向処理剤の物性(特性)は、後述する表3に示される。
すなわち、液晶配向剤を1.0μmのフィルターで濾過した後、透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間乾燥後、230℃で20分間焼成して膜厚100nmの液晶配向膜(ポリイミド膜)を得た。このポリイミド膜をレーヨン布でラビング(ロール径120mm、回転数1000rpm、移動速度20mm/sec、押し込み量0.4mm)した後、純水中にて1分間超音波照射を行い、80℃で10分間乾燥した。このような液晶配向膜付き基板を2枚用意し、一方の基板の液晶配向膜面に6μmのスペーサーを設置した後、2枚の基板のラビング方向が逆平行になるように組み合わせ、液晶注入口を残して周囲をシールし、セルギャップが6μmの空セルを作製した。このセルに液晶(MLC−2041、メルク社製)を常温で真空注入し、注入口を封止してアンチパラレル液晶セルとした。
(比較例1〜2)
上記比較合成例1〜2で得られた各比較用液晶配向剤を用い、実施例1〜6と同様の手法により、比較用液晶セルをそれぞれ作製した。尚、これらの比較合成例の各液晶配向処理剤の物性(特性)は、後述する表3に示される。
<液晶配向性の評価>
上記実施例1〜6で作製した液晶セル、及び上記比較例1〜2で作製した比較用液晶セルについて、初期配向を目視で観察した。評価は以下のように行った。結果は表3に示す。
○:良好に配向している。
×:光抜けや配向不良箇所が多く観察される。
<電圧保持特性の評価>
上記実施例1〜6で作製した液晶セル、及び上記比較例1〜2で作製した比較用液晶セルについて、4Vの電圧を60μs間印加し、16.67ms後の電圧を測定することで、初期値からの変動を電圧保持率(%)として計算した。測定の際、液晶セルの温度を23℃、60℃、90℃とし、それぞれの温度で測定を行った。温度上昇に対しても電圧保持率を高い値で維持できるほど、電圧保持特性に優れるといえる。電圧保持率の測定には東陽テクニカ社製のVHR−1電圧保持率測定装置を使用した。結果は表3に示す。
<誘電吸収法による残留電圧の測定>
上記実施例1〜6で作製した液晶セル、及び上記比較例1〜2で作製した比較用液晶セルについて、東陽テクニカ製液晶物性評価装置6254型を用い、誘電吸収法による残留電圧の測定を行った。測定条件は、液晶セルに直流10Vを30分間印加後、1秒ショートして20分間電位差を観察し、最大の残留電圧(mV)と最小の残留電圧(mV)を記載した。測定温度は60℃である。この値が小さいほど電気特性が良好といえる。結果は表3に示す。
Figure 0006384663
以上、表3に示すように、合成例4〜9で得られた液晶配向剤により液晶配向膜を作製し、これにより得られた液晶セル(実施例1〜6)によれば、比較用液晶セル(比較例1〜2)に比べ、光抜けや配向不良を防止でき、従って、良好な液晶配向性を確保できることが確認された。
また、表3に示すように、液晶セル(実施例1〜6)によれば、比較用液晶セル(比較例1〜2)に比べ、温度上昇に対しても電圧保持率を高い値で維持でき、従って、電圧保持特性に優れることが確認された。
更に、表3に示すように、液晶セル(実施例1〜6)によれば、比較用液晶セル(比較例1〜2)に比べ、最大の残留電圧(mV)と最小の残留電圧(mV)が小さなものとなり、従って、残留電圧の蓄積を抑制できることが確認された。特に、上記式[1]で表されるジアミンにおいて、Rが炭素数1〜3で形成されるアルキレン基であり、Rに含まれる炭素原子に結合する水素原子がカルボキシル基で置換されているものを用いて液晶配向剤を作製し(合成例6)、これを用いて液晶セルとした場合には(実施例3)、他の実施例と比べても残留電圧の蓄積を抑制できることが確認された。つまり、実施例1〜3の液晶セルによれば焼き付きを抑制することができ、その効果は特に実施例3にて顕著となることが分かった。

Claims (7)

  1. 下記式[1]で表されるジアミンを含むジアミン成分と、テトラカルボン酸誘導体と、を反応させて得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、又は該ポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルを脱水閉環(イミド化)して得られるポリイミドからなることを特徴とする重合体。
    Figure 0006384663
    (式中、Rは、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合、又は炭素数1〜10で形成されるアルキレン基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる結合基である。Rに炭素原子が含まれる場合、該炭素原子に結合する水素原子は、ハロゲン原子、ハロゲン含有アルキル基、水酸基、及びカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。)
  2. 前記式[1]中、Rは、炭素数1〜3で形成されるアルキレン基であり、Rに含まれる炭素原子に結合する水素原子がカルボキシル基で置換されていてもよいことを特徴とする請求項1に記載の重合体。
  3. 前記式[1]で表されるジアミンが、下記式[DA1]〜[DA3]で表される群より選ばれる少なくとも1種のジアミンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の重合体。
    Figure 0006384663
  4. 前記ジアミン成分は、前記式[1]で表されるジアミンを5mol%以上含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の重合体。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の重合体を含むことを特徴とする液晶配向剤。
  6. 請求項5に記載の液晶配向剤を用いてなることを特徴とする液晶配向膜。
  7. 請求項6に記載の液晶配向膜を具備することを特徴とする液晶表示素子。
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