JP6401023B2 - 平版印刷用濃縮湿し水組成物 - Google Patents
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Description
即ち、インキを感脂性の画線部に付着させ、湿し水を親水性の非画線部に付着させ、インキと水との互いに反撥しあう性質を利用して印刷を行う方式である。この印刷方式では、印刷版上のインキは通常湿し水を含んだエマルジョン状態になっているが、このエマルジョンは含水率などが適切な状態にあり、安定している場合にのみ良好な印刷品質が得られる。
一般には、印刷版上の湿し水が不足する場合は非画線部にインキが付着し地汚れの原因となる。又、湿し水を過剰に与え過ぎると、インキの過度の乳化を招きいわゆる水負けの原因となり、画線部が薄くなったり、乾燥を遅らせて、いわゆる裏移りが発生するようになる。特に、紫外線硬化印刷インキはその組成上、乳化しやすく上記傾向が強い。
本発明の別の目的は、上述の課題を解決し、更にオフセット輪転機の排ガス燃焼装置に充填されている触媒の被毒作用を有し、かつ排水規制物質であるリン化合物を全く含有し
ない、いわゆる無リンタイプの平版印刷用濃縮湿し水組成物を提供することである。
本発明の更に別の目的は、上述の課題を解決し、更に上記1)水棒からみ、2)ローラー剥げ、3)網点絡み、4)紙むけ、5)地汚れの問題を解消するための平版印刷用濃縮湿し水組成物を提供することである。
そして本発明の目的は更に上記平版印刷用濃縮湿し水組成物を水で希釈して得られる、平版印刷用湿し水を提供することである。
[1]下記式(I)で示されるカチオン化ヒドロキシエチルセルロースを必須成分として含有する平版印刷用濃縮湿し水組成物。
式(I):
nは15万乃至150万の整数を表す{但し、Rの少なくとも1つは上記式(A)で表されるカチオン性基を表す}。]
[2]溶剤として3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール及び/又はメトキシブタノールを必須成分として含有する、[1]に記載の平版印刷用濃縮湿し水組成物。
[3]更に下記式(II)で示されるアセチレングリコール酸化エチレン付加物を必須成分として含有する、[1]又は[2]に記載の平版印刷用濃縮湿し水組成物。
式(II):
[4][1]乃至[3]のいずれか1つに記載の平版印刷用濃縮湿し水組成物に対して質量比で3乃至200倍の水で希釈して得られる、平版印刷用湿し水。
また、本発明の平版印刷用濃縮湿し水組成物は、溶剤として3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール及び/又はメトキシブタノールを含有することにより、上記ストップ汚れの発生を防止する効果に加えて、沈降物や浮遊物が生じ難く、液安定性が良好である。
さらに、本発明の平版印刷用濃縮湿し水組成物は、上記式(II)で示されるアセチレングリコール酸化エチレン付加物を含有することにより、上記ストップ汚れの発生を防止する効果、及び液安定性の効果に加えて、上記1)水棒からみ、2)ローラー剥げ、3)網点絡み、4)紙むけ、5)地汚れの問題を解消することができ、品質(印刷物の汚れ、濃度ムラ及び色ムラなど)が良好な印刷物を得ることができる。
斯かる効果は、平版印刷用濃縮湿し水としての適用において得られるものである。
上記1)の水棒からみとは、水元ローラーの表面にインキが付着してそれが水棒に絡み、水供給のバランスがくずれてしまうという現象である。この原因としては、過剰乳化によるインキの流動性低下によるものと考えられている。
上記2)のローラー剥げとは、インキローラーのインキが剥がれ、インキの転移が適性に行われなくなる現象である。これはインキの水吸収能力(乳化能力)が不足するため、水がインキローラー上で余り、ローラーが親水化してしまうことでインキが剥がれるものと考えられている。
上記3)の網点絡みとは、網点間の非画線部に水が良好に行きわたらないことや、水が更新されないため、印刷物に非画線部として転写されるべき部位がインキで汚れてしまい、再現性不良となる現象である。
上記4)の紙むけ(ピッキング)とは、印刷中に紙表面が変形・剥離する現象である。基本的に紙むけは、紙のセルロースの絡み合い、長さ、塗被剤に関する製紙技術の問題であるが、水またはインキの浸透により紙が脆弱化することも原因の一つになると考えられている。
上記5)の地汚れとは、印刷時に版面で起こる現象で版面非画線部への水の供給が不充分であることや、版非画線部へのインキの付着を抑制する、いわゆる不感脂化材の効能不
足などが原因と考えられている。
本発明は印刷物において要求される品質、すなわち、印刷物の汚れ、濃度ムラ及び色ムラなどがほとんど生じないという効果をも奏するものである。
上記式(I)で示されるカチオン化ヒドロキシエチルセルロースとしては、上記式(A)で表されるカチオン性基の導入率が、無水グルコース当り0.1乃至1.0のものが使用できる。また、上記式(A)中のX-が表すアニオン性基は特に限定されず、具体的には、アルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、アルキル炭酸イオン、及びハロゲン化物イオン等が挙げられる。
上記式(I)で示されるカチオン化ヒドロキシエチルセルロースの具体例としては、ダイセルファインケム(株)製ジェルナーQHシリーズ、東邦化学工業(株)製カチナールシリーズなどが挙げられる。
これらの溶剤は単独で又は2種併用してもよく、その含有量(2種併用する場合は、その合計量)は、濃縮湿し水組成物全質量に基づいて1乃至90質量%の範囲が適切であり、より好ましくは30乃至70質量%の範囲である。
該アセチレングリコール酸化エチレン付加物の含有量は、濃縮湿し水組成物の全質量に基づいて0.1乃至15質量%の範囲が適切である。より好ましくは1乃至5質量%の範囲である。
本発明では、上記式(II)においてa=0、b=0、c=0、及びd=0を表す3,6‐ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、同じく式(II)でa=1,b=1の
2,4,7,9,−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド(EO)3.5モル付加物、並びに10モル付加物が好適に使用できる。
pH緩衝剤としては、従来から使用されている有機酸及び/又は無機酸又はそれらの塩類の使用を制限するものではない。有機酸としては、例えばクエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、シュウ酸、マロン酸、レブリン酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホン酸、フィチン酸、有機スルホン酸等が挙げられる。無機酸としては、例えばリン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸等が挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、或いはアンモニウム塩、有機アミン塩などが用いられる。
即ち、pH緩衝剤として、ジカルボン酸及びトリカルボン酸及びその金属塩の混合物を使用することが、さらに好ましい。
本発明において、pH緩衝剤としてのこの混合物の含有量は濃縮湿し水組成物全質量に対して0.1乃至10質量%の範囲が好ましい。より好ましくは0.5乃至5質量%である。
グリコール系有機溶剤のうち、好ましく使用できるプロピレングリコールエーテル系有機溶剤としては、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノターシャリブチルエーテルなどが挙げられる。
エチレングリコールエーテル系有機溶剤としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノターシャリブチルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及びトリエチレングリコールモノターシャリブチルエーテルなどが挙げられる。
これらの有機溶剤は単独でも、又は2種以上併用することもでき、その添加量は濃縮湿し水組成物の全質量に基づいて1乃至80質量%の範囲が適切であり、より好ましくは30乃至70質量%の範囲である。
好ましく使用できる界面活性剤の種類は非イオン型界面活性剤であり、中でもポリオキシアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー(Eo−Poブロックポリマー)類等が好ましく使用できる。
これらの界面活性剤は単独でも、又は2種以上併用することもでき、湿し水使用時の発泡(起泡)を抑制する観点から、その添加量は濃縮湿し水組成物全質量に基づいて1.0質量%以下が適当である。
このような場合には、キレート化合物を添加すれば上記問題は解消できる。
本発明において好ましく使用できるものとしては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸及びこれらのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのナトリウム塩、そのカリウム塩などが挙げられる。
これらの添加量は使用する水道水や井戸水の硬度によって異なるが、濃縮湿し水組成物全質量に基づいて0.001乃至1.0質量%が適当である。
本発明で好ましく使用できる防腐剤としては、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、四級アンモニウム塩、トリアゾール誘導体、オキサゾール又はオキサジンの誘導体、ブロモニトロプロパノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロエタノール、3−ブロモ−3−ニトロペンタン等が挙げられる。これらの防腐剤の種々の調剤液が市販されており、これらの調剤液を使用することもできる。
好ましい添加量は細菌、酵母、カビに対して安定に効力を発揮する量であって、カビの種類によっても異なるが、濃縮湿し水組成物全質量に対して0.1乃至3.0質量%の範囲が好ましい。また、種々のカビ、細菌、酵母に対して薬効のある2種以上の防腐剤を併用することもできる。
る。本発明に使用できる(e)防錆剤としては、例えばベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、チオサリチル酸、ベンゾイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。
具体例として、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ベリリウム、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛、硝酸ジルコニウム、硝酸ニッケル、硝酸マンガン、硝酸クロム等が挙げられる。これらの塩は1種もしくは2種以上併用してもよい。これらの塩は濃縮湿し水組成物全質量に対して0.1乃至20質量%の範囲で使用される。
表1に記載の組成に従って、各種濃縮湿し水組成物を調製した。単位はグラム(g)であり、純水を加えて全量を1000mLとした。
上記の様に調合した濃縮湿し水組成物を100mLバイアル瓶に入れ、液の均一混合性及び貯蔵安定性を調べた。
・1ヶ月間放置しても変化無し :A
・成分の沈降物、浮遊物が微量発生する :B
・成分の沈降物、浮遊物が大量発生する :C
印刷部数5,000枚、10,000枚、20,000枚で印刷機を一時止め、インキ供給ローラー表面上のインキ膜の剥げ状態を目視観察した。
・印刷部数50,000枚以上でもローラー剥げなし :A
・印刷部数10,000以上50,000枚未満の間でローラー剥げ発生 :B
・印刷部数10,000枚未満でローラー剥げ発生 :C
上記のように印刷機を一時止め、湿し水を汲み上げる水棒(水元ローラ)の表面上のインキの付着状態を目視観察した。
・印刷部数50,000枚以上でもインキ絡みなし :A
・印刷部数10,000以上50,000枚未満の間でインキ絡みなし :B
・印刷部数10,000枚未満でインキ絡み発生 :C
印刷機を1時間、2時間、4時間・・・それぞれ停止した後、印刷版の非画線部を目視観察すると共に印刷を再開した後の印刷物の非画線部の点状汚れを調査した。
・3時間以上停止してもストップ汚れ発生無し :A
・2以上3時間未満停止するとストップ汚れ発生 :B
・1時間未満の時間で停止するとストップ汚れ発生 :C
5万部印刷を行った後の印刷物網点部をルーペで観察し、網点部内非画線部の汚れを調べた。
・網点内非画線部に汚れ無し :A
・網点内非画線部の一部分に汚れ発生 :B
・網点内非画線部の50%以上に汚れ発生 :C
印刷物の汚れ、濃度ムラ、色ムラなどを調べた。
・印刷品質が良好 :A
・印刷品質に問題がある :B
比較例1の一般的に好んで使用される溶剤であるt−ブトキシエタノールを使用した組成においては、沈降物が大量に発生し、液組成の維持が困難であった。これに対し、上記t−ブトキシエタノールの替りに3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール又はメトキシブタノールを用いて、比較例1とほぼ同じ組成で調製した実施例3と実施例6では、この様な沈降は発生しなかった。
Claims (2)
- 下記式(I)で示されるカチオン化ヒドロキシエチルセルロースを必須成分として含有し、
溶剤として3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール及び/又はメトキシブタノールを必須成分として含有し、
更に下記式(II)で示されるアセチレングリコール酸化エチレン付加物を必須成分として含有する、平版印刷用濃縮湿し水組成物。
式(I):
[式中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、又は式(A)
{式(A)中、mは1乃至3の整数を表し、X-はアニオン性基を表す。}で表されるカチオン性基を表し、
nは15万乃至150万の整数を表す{但し、Rの少なくとも1つは上記式(A)で表さ
れるカチオン性基を表す}。]
式(II):
(式中、c+dは0乃至30を表し、a及びbはそれぞれ独立して0乃至2の整数を表す。) - 請求項1に記載の平版印刷用濃縮湿し水組成物に対して質量比で3乃至200倍の水で希釈して得られる、平版印刷用湿し水。
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