本発明は、細胞増殖を阻害するペプチド及びペプチド模倣物を含む化合物を提供する。従って、本発明の化合物は、良性及び悪性腫瘍細胞などの望ましくない、又は不要な細胞増殖を特徴とする細胞増殖障害又は生理学的状態を治療する上で有用である。本発明のペプチド及びペプチド模倣物が、細胞増殖を阻害する能力は、少なくとも一部が、細胞周期G2チェックポイントの抑止によるものと思われる。細胞は、核酸損傷に応答して細胞周期G2チェックポイントに進入するように誘導され、G2チェックポイントを阻害することにより、DNA複製及び細胞分裂が起こる前に、細胞は損傷を修復することができるため、本発明のペプチド及びペプチド模倣物は、核酸損傷剤及び処置プロトコルに対して細胞を感作する。核酸損傷を十分に蓄積した細胞は、G2チェックポイントが中断されるため、損傷核酸の完全な修復が不可能になる。このような細胞は、増殖の低減を呈し(例えば、修復されていない、生存に重要な遺伝子の突然変異のために)、最終的にアポトーシスを受けることになる。
正常なG1を有する細胞は、G1の間に核酸修復も実施され得ることから、損傷核酸の蓄積の影響を受けにくい。従って、正常細胞は、本発明の化合物の影響を受けにくい。しかし、障害又は破壊された細胞周期G1チェックポイントを有する細胞は、G1チェックポイントが障害若しくは破壊されるため、細胞が損傷核酸を完全に修復できる可能性が低くなることから、損傷核酸を蓄積する可能性が高くなる。従って、本発明のペプチド又はペプチド模倣物で、G1障害若しくは破壊細胞を処理することによって、細胞が、損傷核酸の修復を完了することができる可能性をさらに低くする。ゆえに、G1障害又は破壊細胞は、こうした本発明のペプチド及びペプチド模倣物に対してとりわけ感受性が高い。従って、ペプチド及びペプチド模倣物を含む本発明の化合物を用いて、一般に細胞増殖を阻害若しくは阻止し、特に、障害又は破壊G1チェックポイントを有する細胞の増殖を阻害することができる。
障害又は破壊G1細胞周期チェックポイントを有する細胞としては、限定はしないが、急速に増殖する細胞がある。急速に増殖する細胞、不所望に増殖する細胞又はアポトーシスを受けずに生存する細胞を特徴とする細胞増殖障害及び生理学的状態は、往々にして障害又は破壊G1細胞周期チェックポイントを有する。従って、本発明のペプチド及びペプチド模倣物が、増殖を阻害するか、又はアポトーシスを刺激する能力は、少なくとも一部が、G2細胞チェックポイントの破壊によるものと思われるため、障害又は破壊G1細胞周期チェックポイントによって急速又は不所望に増殖する細胞は、特に魅力的な標的である。
CBP501は、ペプチドTAT−S216Aを阻害する細胞周期G2チェックポイントである(Suganuma,M.,et al.Cancer Res.59:5887(1999))。TAT−S216Aを最適化して、正常な細胞の細胞周期表現型に影響を与えることなく、DNA損傷剤に応答して細胞周期G2期における癌細胞の蓄積を低減するために、細胞周期表現型に基づくスクリーニング方法が使用されている(Sha,S.,et al.Mol.Cancer Ther.6:147(2007))。CBP501は、CBP501感受性腫瘍細胞において白金濃度及び白金−DNA付加物形成を増大することが判明しているため、カルモジュリン阻害によるG2チェックポイント阻害/破壊の代わりに、又はこれに加えて機能し得る(Mine,N.,et al.Mol.Cancer Ther.10:1929(2011))。
ペプチド及びペプチド模倣物を含む本発明の化合物は、G2チェックポイントの破壊は、細胞が分裂するにつれて核酸損傷の蓄積を招く可能性があることから、核酸を損傷させるか、又は抗増殖活性を有する処置を追加することなく、それ自体で細胞増殖を抑制し得る。従って、異常な、又は不所望に増殖若しくは生存する細胞を本発明の化合物単独で、又は核酸損傷処置(例えば、化学薬剤若しくは処置プロトコル)と組み合わせて処理することにより、細胞の増殖を阻害若しくは阻止するか、又は細胞アポトーシス/カタストロフを刺激することができる。
細胞が正常又は異常(例えば、癌細胞)であるかに関係なく、急速に増殖する細胞をターゲティングする従来の抗細胞増殖剤とは違い、本発明の化合物は、障害又は破壊された細胞周期G1チェックポイントを有する細胞を選択的にターゲティングする。例えば、CBP501は、シスプラチンとは異なり、HUVEC細胞の増殖に影響を与えない(例えば、表3を参照)。CBP501は、M期細胞周期停止及び/又はコルヒチンによって誘導される非特異的毒性にも影響を与えない(図12)。その結果、本発明の化合物は、骨髄抑制、吐き気、食欲喪失、下痢、及び脱毛などの従来の抗細胞増殖治療薬に伴う望ましくない過剰な副作用をもたらす可能性が低い。さらに、癌細胞の大部分が、障害又は破壊された細胞周期G1チェックポイントを有するため、癌細胞は、細胞周期G2チェックポイントを抑止する本発明の化合物に対して高い感受性を示すであろう。正常細胞が影響を受けにくいということは、ペプチド及びペプチド模倣物を含む本発明の化合物を、より多量に使用できることも意味する。
本発明によれば、抗細胞増殖活性を有し、及び/又はG2細胞周期チェックポイントを抑止するペプチド及びペプチド模倣物を含む化合物が提供される。ペプチド又はペプチド模倣物は、細胞の増殖を阻害するか、又は細胞のアポトーシスを刺激する配列を含む。ペプチド又はペプチド模倣物はまた、細胞周期G2チェックポイントを抑止する配列も含む。一実施形態では、連続的ペプチド及びペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号1)又はP6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号2);ここで、P1は、d−若しくはl−Cha、d−若しくはl−Nal(2)、d−若しくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−若しくはl−(Phe−3,4,5F)、d−若しくはl−(Phe−4CF3)、類似の側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−若しくはl−Tyr、d−若しくはl−Phe)、又は側鎖に、1個又は2個の芳香族、ピペリジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリン若しくはピリミジン基、又は1個のインドール、ペンタレン、インデン、ナフタレン基、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、インドリン、クロマン、キノキサリン、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P2は、d−若しくはl−Cha、d−若しくはl−Nal(2)、d−若しくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−若しくはl−(Phe−3,4,5F)、d−若しくはl−(Phe−4CF3)、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2、類似の側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−若しくはl−Tyr、d−若しくはl−Phe)、又は側鎖に、1個又は2個の芳香族、ピペリジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリン若しくはピリミジン基、又は1個のインドール、ペンタレン、インデン、ナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、インドリン、クロマン、キノキサリン、若しくはキナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、又はP3、P4、P5の1つ又は複数は、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−若しくはl−Trpは、P4での一例である)である場合の距離とほぼ同じであるように、単純な炭素鎖であり;P6は、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2であり;任意のアミノ酸及びd−若しくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)、任意のアミノ酸及びd−若しくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)、任意のアミノ酸、又は非存在である。様々な態様において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−若しくはl−11−アミノウンデカン酸、d−若しくはl−10−アミノデカン酸、d−若しくはl−9−アミノノナン酸、d−若しくはl−8−アミノカプリル酸、d−若しくはl−7−アミノヘプタン酸、d−若しくはl−6−アミノカプロン酸、又は1つ又は複数の不飽和炭素結合を含む類似の構造である。
別の実施形態において、連続的ペプチド又はペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号3);P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号4);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号5);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号6);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号7);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号8);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号9);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号10);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号11);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号12);P12、P11、P6、P9、P8、P7、P2、P1(配列番号13);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号14);P1、P2、P7、P8、P9、P6、P11、P12(配列番号15);又はP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号16);ここで、P1は、d−若しくはl−Cha、d−若しくはl−Nal(2)、d−若しくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−若しくはl−(Phe−3,4,5F)、d−若しくはl−(Phe−4CF3)、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2、類似の側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−若しくはl−Tyr、d−若しくはl−Phe)、又は側鎖に、1個又は2個の芳香族、ピペリジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリン若しくはピリミジン基、又は1個のインドール、ペンタレン、インデン、ナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、インドリン、クロマン、キノキサリン、若しくはキナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P2は、d−若しくはl−Cha、d−若しくはl−Nal(2)、d−若しくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−若しくはl−(Phe−3,4,5F)、d−若しくはl−(Phe−4CF3)、又は類似の側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−若しくはl−Tyr、d−若しくはl−Phe)、又は側鎖に、1個又は2個の芳香族、ピペリジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリン若しくはピリミジン基、又は1個のインドール、ペンタレン、インデン、ナフタレン基、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、インドリン、クロマン、キノキサリン、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、又はP3、P4、P5の1つ又は複数は、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−若しくはl−Trpは、P4での一例である)である場合の距離とほぼ同じであるように、単純な炭素鎖であり;P6は、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2、任意のアミノ酸及びd−若しくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)、任意のアミノ酸及びd−若しくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)であり、P7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つは、塩基性アミノ酸であり、残りは、任意のアミノ酸若しくは非存在である。様々な態様において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−若しくはl−11−アミノウンデカン酸、d−若しくはl−10−アミノデカン酸、d−若しくはl−9−アミノノナン酸、d−若しくはl−8−アミノカプリル酸、d−若しくはl−7−アミノヘプタン酸、d−若しくはl−6−アミノカプロン酸、又は1つ又は複数の不飽和炭素結合を含む類似の構造である。
別の実施形態では、連続的ペプチド又はペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号17);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号18);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号19);又はP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号20);ここで、P1は、d−若しくはl−Cha、d−若しくはl−Nal(2)、d−若しくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−若しくはl−(Phe−3,4,5F)、d−若しくはl−(Phe−4CF3)、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2、類似の側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−若しくはl−Tyr、d−若しくはl−Phe)、又は側鎖に、1個又は2個の芳香族、ピペリジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリン若しくはピリミジン基、又は1個のインドール、ペンタレン、インデン、ナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、インドリン、クロマン、キノキサリン、又はキナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P2は、d−若しくはl−Cha、d−若しくはl−Nal(2)、d−若しくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−若しくはl−(Phe−3,4,5F)、d−若しくはl−(Phe−4CF3)、類似の側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−若しくはl−Tyr、d−若しくはl−Phe)、又は側鎖に、1個又は2個の芳香族、ピペリジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリン若しくはピリミジン基、又は1個のインドール、ペンタレン、インデン、ナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、インドリン、クロマン、キノキサリン、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、又はP3、P4、P5の1つ又は複数は、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−若しくはl−Trpは、P4での一例である)である場合の距離とほぼ同じであるように、単純な炭素鎖であり;P6は、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2、任意のアミノ酸及びd−若しくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)、任意のアミノ酸及びd−若しくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)、任意のアミノ酸、又は非存在であり;P7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つは、塩基性アミノ酸であり、残りは、任意のアミノ酸若しくは非存在である。様々な態様において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−若しくはl−アミノウンデカン酸又はd−若しくはl−8−アミノカプリル酸である。
別の実施形態では、連続的ペプチド又はペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号21)又はP6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号22);ここで、P1は、d−若しくはl−Cha、d−若しくはl−Nal(2)、d−若しくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−若しくはl−(Phe−3,4,5F)、d−若しくはl−(Phe−4CF3)、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2、d−若しくはl−Tyr、若しくはd−若しくはl−Pheであり;P2は、d−若しくはl−Cha、d−若しくはl−Nal(2)、d−若しくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−若しくはl−(Phe−3,4,5F)、d−若しくはl−(Phe−4CF3)、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2、d−若しくはl−Tyr、又はd−若しくはl−Pheであり;P3は、d−若しくはl−セリン、d−若しくはl−アルギニン、d−若しくはl−システイン、d−若しくはl−プロリン、又はd−若しくはl−アスパラギンであり;P4は、d−若しくはl−トリプトファンであり;P5は、d−若しくはl−セリン、d−若しくはl−アルギニン、又はd−若しくはl−アスパラギンであり;或いはP3、P4、P5は、単一d−若しくはl−アミノウンデカン酸又は単一d−若しくはl−8−アミノカプリル酸であり;P6は、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2、(d−Ser−Tyr)、又は(d−Ser−Phe)である。
また別の実施形態では、連続的ペプチド又はペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号23);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号24);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号25);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号26);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号27);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号28);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号29);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号30);P12、P11、P6、P9、P8、P7、P2、P1(配列番号31);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号32);P1、P2、P7、P8、P9、P6、P11、P12(配列番号33);又はP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号34);ここで、P1は、d−若しくはl−Cha、Nal(2)、d−若しくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−若しくはl−(Phe−3,4,5F)、d−若しくはl−(Phe−4CF3)、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2、d−若しくはl−Tyr、又はd−若しくはl−Pheであり;P2は、d−若しくはl−Cha、d−若しくはl−Nal(2)、d−若しくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−若しくはl−(Phe−3,4,5F)、d−若しくはl−(Phe−4CF3)、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2、d−若しくはl−Tyr、又はd−若しくはl−Pheであり;P3は、d−若しくはl−セリン、d−若しくはl−アルギニン、d−若しくはl−システイン、d−若しくはl−プロリン、又はd−若しくはl−アスパラギンであり;P4は、d−若しくはl−トリプトファンであり;P5は、d−若しくはl−セリン、d−若しくはl−アルギニン、又はd−若しくはl−アスパラギンであり;或いはP3、P4、P5は、単一d−若しくはl−アミノウンデカン酸又は単一d−若しくはl−8−アミノカプリル酸であり;P6は、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2、(d−Ser−Tyr)、又は(d−Ser−Phe)であり;また、P7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つは、d−若しくはl−Arg又はd−若しくはl−Lysであり、残りは、任意のアミノ酸若しくは非存在である。
別の実施形態では、連続的ペプチド又はペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号35);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号36);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号37);又はP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号38);ここで、P1は、d−若しくはl−Cha、又はd−若しくはl−Nal(2)であり;P2は、d−若しくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−若しくはl−(Phe−3,4,5F)、d−若しくはl−(Phe−4CF3)であり;また、P7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つは、d−若しくはl−Argであり、残りは、任意のアミノ酸若しくは非存在であり;P3は、d−若しくはl−セリンであり;P4は、d−若しくはl−トリプトファンであり;P5は、d−若しくはl−セリン又はd−若しくはl−アスパラギンであり;P6は、d−若しくはl−Bpa、d−若しくはl−Phe4NO2、(d−若しくはl−Ser−d−若しくはl−Tyr)、又は(d−若しくはl−Ser−Phe)である。
また別の実施形態では、連続的ペプチド又はペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号39)又はP6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号40);ここで、P1は、d−若しくはl−Cha、又はd−若しくはl−Nal(2)であり;P2は、(d−若しくはl−Phe−2,3,4,5,6−F)、(d−若しくはl−Phe−3,4,5F)又は(d−若しくはl−Phe−4CF3)であり;P3は、d−若しくはl−Serであり;P4は、d−若しくはl−Trpであり;P5は、d−若しくはl−Serであり;P6は、d−若しくはl−Bpa、又は(d−若しくはl−Ser−d−若しくはl−Tyr)である。
さらに別の実施形態では、連続的ペプチド又はペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号41);P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号42);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号43);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号44);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号45);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号46);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号47);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号48);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号49);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号50);P12、P11、P6、P9、P8、P7、P2、P1(配列番号51);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号52);P1、P2、P7、P8、P9、P6、P11、P12(配列番号53);又はP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号54);ここで、P1は、d−若しくはl−Cha、又はd−若しくはl−Nal(2)であり;P2は、(d−若しくはl−Phe−2,3,4,5,6−F)、(d−若しくはl−Phe−3,4,5F)若しくは(d−若しくはl−Phe−4CF3)であり;P3は、任意のアミノ酸(例えば、d−若しくはl−Ser、又はd−若しくはl−Pro)であり;P4は、d−若しくはl−Trpであり;P5は、任意のアミノ酸(例えば、d−若しくはl−Ser)であり;P7は、d−若しくはl−Argであり;P8は、d−若しくはl−Argであり;P9は、d−若しくはl−Argであり;P10は、d−若しくはl−Gln又はd−若しくはl−Argであり;P11は、d−若しくはl−Argであり;P12は、d−若しくはl−Argであり;P6は、d−若しくはl−Bpa又は(d−若しくはl−Ser−d−若しくはl−Tyr)である。
また別の実施形態では、連続的ペプチド又はペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号55);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号56);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号57);又はP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号58);ここで、P1は、d−若しくはl−Cha又はd−若しくはl−Nal(2)であり;P2は、(d−若しくはl−Phe−2,3,4,5,6−F)であり;P3は、d−若しくはl−Serであり;P4は、d−若しくはl−Trpであり;P5は、d−若しくはl−Serであり;P7は、d−若しくはl−Argであり;P8は、d−若しくはl−Argであり;P9は、d−若しくはl−Argであり;P10は、d−若しくはl−Gln又はd−若しくはl−Argであり;P11は、d−若しくはl−Argであり;P12は、d−若しくはl−Argであり;P6は、d−若しくはl−Bpa又は(d−若しくはl−Ser−d−若しくはl−Tyr)である。
さらにまた別の実施形態では、連続的ペプチド又はペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号99);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号100);(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号59);(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号60);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号61);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(配列番号62);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号63);(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(配列番号64);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(配列番号65);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号66);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号67);(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号68);(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号69);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号70);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号71);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号72);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号73);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号74);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号75);又は(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号76)。
さらに別の実施形態では、連続的ペプチド又はペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号77)。
本発明のペプチド又はペプチド模倣物は、任意選択で、細胞膜透過を補助するためにポリ−lys及び/又はarg配列を含む。他のアミノ酸配列(例えば、HIV tat、細胞表面受容体/タンパク質のリガンドなど)は、膜を透過することができ、G2抑止ペプチド及びペプチド模倣物の細胞進入を促進するために、他の分子を用いることができる(例えば、リポソーム、ミセル及び他の脂質分子、ウイルス及び他のベクター、エレクトロポレーションなど)ことから、ポリ−lys及び/又はポリ−arg配列の含有は、任意選択である。従って、別の実施形態では、ペプチド及びペプチド模倣物は、細胞進入を補助するポリ−lys及び/又はarg配列を含まない。例えば、2つの特定の実施形態において、細胞膜透過を補助するポリ−lys/arg配列を含まない最小配列は、P6、P5、P4、P3、P2、P1、例えば、d−Bpa、d−Ser、d−Trp、d−Ser、d−Phe−2,3,4,5,6F、d−Cha(配列番号101);及びd−Tyr、d−Ser、d−Pro、d−Trp、d−Ser、d−Phe−2,3,4,5,6F、d−Cha(配列番号102)を含む。2つの別の特定の実施形態では、細胞膜透過を補助するポリ−lys/arg配列を含まない最小配列は、例えば、d−Bpa、d−Cys、d−Trp、d−Ser、d−Phe−2,3,4,5,6F、d−Cha、d−Cys(配列番号103);及びd−Tyr、d−Cys、d−Pro、d−Trp、d−Ser、d−Phe−2,3,4,5,6F、d−Cha、d−Cys(配列番号104)を含み;Cys残基は、任意選択で環状化される。
既述したように、本発明の化合物は、抗細胞増殖活性又はG2抑止活性を単独で有する。また、このような本発明の化合物を、核酸損傷を直接又は間接的に引き起こす処置と組み合わせることにより、増大することができる。抗細胞増殖活性は、処置が核酸を損傷するかにかかわらず、細胞増殖を阻害する処置と組み合わせることによって、抗細胞増殖活性を増大させることもできる。従って、本発明は、本発明の化合物(例えば、ペプチド又はペプチド模倣物配列)と核酸損傷剤を含む組成物、並びに本発明の化合物(例えば、ペプチド又はペプチド模倣物配列)と抗細胞増殖剤を含む組成物も提供する。
本明細書で用いる場合、「細胞周期G2チェックポイントを抑止する」、「細胞周期G2チェックポイントを破壊する」、「細胞周期G2チェックポイントを障害する」という用語、及びこれらの文法上の変形は、G2チェックポイントで細胞周期を停止するように、細胞を阻害することを意味する。細胞周期G2チェックポイントが抑止された細胞は、細胞がG2チェックポイント中にある時間の長さの減少を呈示し、これは、G2チェックポイントの完全な非存在から、適切な条件下で分単位、時間単位、日単位、週単位、又はそれを超える時間の減少を有するG2チェックポイントまで変動し得る。従って、本発明の化合物と接触させた細胞は、その細胞が化合物の非存在下で通常に有するものより、長さが短いG2チェックポイント時間を有する。例えば、G2チェックポイント時間の長さの減少は、特定の時間、例えば、4時間の間、G2中にある細胞が、本発明の化合物と接触させると、4時間未満、例えば、3.5、3、2.5、2、1時間又は1時間未満の間、G2中にあることを意味する。
本明細書で用いる場合、「アポトーシス」という用語は、当該技術分野で理解されているように、プログラムされた細胞死、並びに細胞生理学において関連する変化、例えば、核酸の断片化、カスパーゼ活性化などを指す。「カタストロフ(catastrophe)」は、有糸分裂プロセス中の誤りから起こる細胞死を意味する。カタストロフにおいて、アポトーシスに特有に存在する特徴、例えば、カスパーゼ活性化、染色体濃縮などは少ない。
本明細書で用いる場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、置き換え可能に用いられ、アミド結合又は非アミド同等物により共有結合された2つ以上のアミノ酸を指す。本発明のペプチドは、どんな長さであってもよい。例えば、ペプチドは、約5〜100個若しくはそれを超える残基、例えば、5〜12、12〜15、15〜18、18〜25、25〜50、50〜75、75〜100個又はそれを超える長さを有してよい。本発明のペプチドは、l−及びd−異性体、並びにl−及びd−異性体の組み合わせを含む。ペプチドは、タンパク質の翻訳後プロセシング、例えば、環状化(例えば、ジスルフィド若しくはアミド結合)、リン酸化、グリコシル化、カルボキシル化、ユビキチン化、ミリスチル化、又は脂質化に典型的に関連する修飾を含み得る。
本明細書で開示されるペプチドは、模倣物が1つ又は複数の機能又は活性を有する限りにおいて、アミノ酸構造及び機能類似体、例えば、合成若しくは非天然アミノ酸又はアミノ酸類似体を有するペプチド模倣物を有する化合物をさらに包含する。従って、本発明の化合物は、「模倣」形態及び「ペプチド模倣」形態を含む。
本明細書で用いる場合、「模倣物」及び「ペプチド模倣物」という用語は、本発明のペプチドと実質的に同じ構造的及び/又は機能的特徴を有する合成化学化合物を指す。模倣物は、合成の非天然アミノ酸類似体から完全に構成されていてもよく、又は1つ又は複数の天然ペプチドアミノ酸と、1つ又は複数の非天然アミノ酸類似体を含むキメラ分子であってもよい。模倣物はまた、置換が模倣物の活性を破壊しない限りにおいて、いくつの天然アミノ酸保存的置換を含んでもよい。保存的変異体である本発明のポリペプチドに関して、常用の試験を用いて、模倣物が、必要な活性を有するかどうか、例えば、検出可能な細胞周期G2チェックポイント抑止活性を有するかを決定することができる。従って、被験者に投与するか、又は細胞と接触させると、G2細胞周期チェックポイントを検出可能に破壊する模倣物は、G2チェックポイント抑止活性を有する。
ペプチド模倣組成物は、非天然構造成分の任意の組み合わせを含んでもよく、これらの成分は、典型的に、次の3つの構造基に由来する:a)天然アミド結合(「ペプチド結合」)連結以外の残基連結基;b)天然に存在するアミノ酸残基に代わる非天然残基;又はc)二次構造模倣を誘導する、すなわち、二次構造、例えば、βターン、γターン、βシート、αへリックスコンフォメーションなどを誘導若しくは安定化する残基。例えば、ポリペプチドは、1つ又は複数の残基が、アミド結合以外の化学手段により連結されている場合、模倣物として特性決定することができる。個別のペプチド模倣残基をアミド結合、非天然及び非アミド化学結合、他の化学結合又はカップリング手段、例えば、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、二官能価マレイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)若しくはN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)により連結することができる。アミド結合に代わる連結基として、例えば、ケトメチレン(例えば、−C(=O)−NH−に代わり、−C(=O)−CH2−)、アミノメチレン(CH2−NH)、エチレン、オレフィン(CH=CH)、エーテル(CH2−O)、チオエーテル(CH2−S)、テトラゾール(CN4−)、チアゾール、レトロアミド、チオアミド、又はエステルが挙げられる(例えば、Spatola(1983)、Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides and Proteins,Vol.7,pp 267−357,“Peptide and Backbone Modifications,”Marcel Decker,NYを参照)。
前述したように、ペプチドは、天然に存在するアミノ酸残基の代わりに1つ又は複数の非天然残基を含有することにより、模倣物として特徴付けることができる。非天然残基は当該技術分野で公知である。天然アミノ酸残基の模倣物として有用な非天然残基の具体的な非限定的例は、芳香族アミノ酸の模倣物であり、例えば、D−又はL−ナフィルアラニン;D−又はL−フェニルグリシン;D−又はL−2チエニルアラニン;D−又はL−1、−2、3−、若しくは4−ピレネイルアラニン;D−又はL−3チエネイルアラニン;D−又はL−(2−ピリジニル)−アラニン;D−又はL−(3−ピリジニル)−アラニン;D−又はL−(2−ピラジニル)−アラニン;D−又はL−(4−イソプロピル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン;D−p−フルオロ−フェニルアラニン;D−又はL−p−ビフェニルフェニルアラニン;K−又はL−p−メトキシ−ビフェニルフェニルアラニン;D−又はL−2−インドール(アルキル)アラニン;及びD−又はL−アルキルアイニン(alkylainines)が挙げられ、ここで、アルキルは、置換又は非置換メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソ−ブチル、sec−イソチル、イソ−ペンチル、又は非酸性アミノ酸であってよい。天然芳香環の代わりに用いることができる非天然アミノ酸の芳香環として、例えば、チアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ナフチル、フラニル、ピロリル、及びピリジル芳香環が挙げられる。
酸性アミノ酸の模倣物は、陰電荷を維持しながら、非カルボキシレートアミノ酸;(ホスホノ)アラニン;及び硫酸化トレオニンでの置換によって作製することができる。カルボキシル側鎖基(例えば、アスパルチル又はグルタミル)はまた、例えば、1−シクロヘキシル−3(2−モルホリニル−(4−エチル)カルボジイミド又は1−エチル−3(4−アゾニア−4,4−ジメトールペンチル)カルボジイミドなどのカルボジイミド(R’−N−C−N−R’)との反応により選択的に修飾することもできる。また、アスパルチル又はグルタミル基は、アンモニウムイオンとの反応により、アルパラギニル及びグルタミニル基に変換することもできる。
塩基性アミノ酸の模倣物は、例えば、リシン及びアルギニンに加えて、アミノ酸オルチニン、シトルリン、又は(グアニジノ)−酢酸、又は(グアニジノ)アルキル−酢酸での置換により作製することができ、ここで、アルキルは、置換又は非置換メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソ−ブチル、sec−イソチル、イソ−ペンチル、又は非酸性アミノ酸であってよい。アスパラギン又はグルタミンについては、ニトリル誘導体(例えば、COOHの代わりにCN部分を含む)を置換することができる。アスパラギニル及びグルタミニル残基を脱アミノ化して、対応するアスパルチル又はグルタミル残基にすることができる。
アルギニン模倣物は、任意選択でアルカリ条件下にて、例えば、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、又はニンヒドリンなどの1つ又は複数の試薬とアルギニルを反応させることによって作製することができる。チロシン残基模倣物は、芳香族ジアソニウム化合物又はテトラニトロメタンとチロシルを反応させることによって作製することができる。N−アセチルイミジゾール及びテトラニトロメタンを用いて、それぞれ、O−アセチルチロシル種及び3−ニトロ誘導体を形成することができる。
リシン模倣物は、コハク酸又は他のカルボン酸無水物とリシニルを反応させることによって作製することができる(また、アミノ末端残基を改変することができる)。リシン及びその他のαアミノ含有残基模倣物はまた、ピコリンイミド酸メチル、ピリドキサールリン酸、ピリドキサール、クロロボロヒドリド(chloroborohydride)、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素、2,4,ペンタンジオンなどのイミドエステルとの反応、及びグリオキシル酸とのトランスアミダーゼ触媒反応によって作製することもできる。
メチオニン模倣物は、メチオニンスルホキシドとの反応によって作製することができる。プロリン模倣物として、例えば、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、3−又は4−ヒドロキシプロリン、デヒドロプロリン、3−又は4−メチルプロリン、及び3,3−ジメチルプロリンが挙げられる。ヒスチジン模倣物は、ジエチルプロカーボネート(diethylprocarbonate)又はパラ−ブロモフェナシルブロミドとヒスチジルを反応させることによって作製することができる。その他の模倣物としては、例えば、プロリン及びリシンのヒドロキシル化;セリル若しくはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化;リシン、アルギニン及びヒスチジンのαアミノ基のメチル化;N末端アミンのアセチル化;主鎖アミド残基のメチル化若しくはNメチルアミノ酸による置換;又はC末端カルボキシル基のアミド化により作製されるものを含む。
また、反対のキラリティーのアミノ酸(若しくはペプチド模倣物残基)により1つ又は複数の残基を置換することもできる。従って、L−立体配置(これはまた、化学実体の構造に応じて、R若しくはSとも呼ぶこともできる)に天然に存在する任意のアミノ酸を、同じアミノ酸若しくは模倣物であるが、反対のキラリティーのもの(Dアミノ酸と呼ばれるが、さらに、R若しくはS型と呼ばれることもある)で置換することができる。
本発明のペプチド及びペプチド模倣物はさらに、本明細書に記載した配列の修飾形態を含むが、その場合、修飾形態は、非修飾又は標準ペプチド若しくはペプチド模倣物の機能の少なくともその一部を保持するものとする。例えば、修飾されたペプチド若しくはペプチド模倣物は、細胞増殖阻害又はG2抑止活性の少なくとも一部を保持するが、標準ペプチド若しくはペプチド模倣物に対して、増大若しくは低減した細胞増殖阻害又はG2抑止活性を有し得る。
修飾されたペプチド及びペプチド模倣物は、別の残基で置換された1つ又は複数のアミノ酸残基を有するか、その配列に1つ又は複数のアミノ酸残基を付加してもよく、又はその配列から1つ又は複数のアミノ酸残基を欠失させてもよい。一実施形態では、修飾ペプチド又はペプチド模倣物は、1つ又は複数のアミノ酸置換、付加若しくは欠失(例えば、1〜3、3〜5、5〜10個若しくはそれを超える)を有する。一態様では、置換は、側鎖が、標準アミノ酸又は模倣物(置換されたアミノ酸又は模倣物)と類似する空間を占めるアミノ酸又は模倣物によって行う。また別の態様では、置換は、ヒト残基と構造的に類似した非ヒトアミノ酸によって行う。具体的態様では、置換は、保存的アミノ酸置換である。
本明細書で用いる場合、「類似の空間」という用語は、標準部分とサイズが類似した3次元空間を占める化学的部分を意味する。典型的に、類似の空間を占める部分は、標準部分とサイズが類似している。「類似の側鎖空間を占める」アミノ酸又は模倣物は、標準アミノ酸又は模倣物とサイズが類似した3次元空間を占める側鎖を有する。d−(Phe−2,3,4,5,6−F)、l−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)、l−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)又はl−(Phe−4CF3)の具体的な例は、(l若しくはd−Phe−2R1,3R2,4R3,5R4,6R5)であり、ここで、R1、R2、R3、R4、R5は、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、水素、酸化水素であるか、又は非存在であってもよい。低分子、例えば、約1オングストロームのサイズを有するフッ化物の場合、類似の空間は、部分が存在しなくてもよい。
「保存的置換」という用語は、生物学的、化学的又は構造的に類似する残基による1個のアミノ酸の置換を意味する。生物学的に類似するとは、置換が、生物学的活性、例えば、抗細胞増殖又はG2抑止活性と適合性であることを意味する。構造的に類似するとは、アミノ酸が、長さが類似する側鎖を有する(例えば、アラニン、グリシン及びセリンなど)か、又は類似のサイズを有することを意味する。化学的類似性は、残基が、同じ電荷を有するか、又はいずれも親水性若しくは疎水性であることを意味する。具体的な例として、イソロイシン、バリン、ロイシン若しくはメチオニンなどの1個の疎水性残基の置換、又は1個の極性残基による別の残基の置換、例えば、アルギニンによるリシンの、グルタミン酸によるアスパラギン酸の、グルタミンによるアスパラギンの、セリンによるトレオニンの置換などが挙げられる。
従って、本発明のペプチド及びペプチド模倣物は、表1に記載するペプチド及びペプチド模倣物配列と同一ではない配列を有するペプチド及びペプチド模倣物を包含する。一実施形態では、ペプチド及びペプチド模倣物は、表1に記載する配列と50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれを超える同一性を有する配列を有する。一態様では、同一性は、配列の規定区間、例えば、アミノ又はカルボキシ末端3〜5残基に及ぶ。
ペプチド及びペプチド模倣物を含む本発明の化合物は、当該技術分野で公知の任意の方法を用いて生成及び単離することができる。ペプチドは、当該技術分野で公知の化学的方法を用いて、全部又は一部を合成することができる(例えば、Caruthers(1980)Nucleic Acids Res.Symp.Ser.215−223;Horn(1980)Nucleic Acids Res.Symp.Ser.225−232;及びBanga,A.K.,Therapeutic Peptides and Proteins,Formulation,Processing and Delivery Systems(1995)Technomic Publishing Co.,Lancaster,PAを参照のこと)。様々な固相技術を用いて、ペプチド合成を実施することができ(例えば、Roberge(1995)Science 269:202;Merrifield(1997)Methods Enzymol.289:3−13を参照のこと)、また、例えば、ABI 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)を製造者の指示に従って使用して、自動化合成を達成することができる。
個々の合成残基及びポリペプチドを組み込んだ模倣物は、当該技術分野で公知の様々な手順及び方法を用いて合成することができる(例えば、Organic Syntheses Collective Volumes,Gilman,et al.(Eds)John Wiley&Sons,Inc.,NYを参照のこと)。また、ペプチド及びペプチド模倣物は、コンビナトリアル方法を用いて合成することもできる。ペプチド及びペプチド模倣物ライブラリーを作製する技術は、公知であり、例えば、マルチピン(multipin)、ティーバッグ(tea bag)、及びスプリットカップルミックス法(split−couple−mix)技術(例えば、al−Obeidi(1998)Mol.Biotechnol.9:205−223;Hruby(1997)Curr.Opin.Chem.Biol.1:114−119;Ostergaard(1997)Mol.Divers.3:17−27;並びにOstresh(1996)Methods Enzymol.267:220−234を参照のこと)が挙げられる。修飾ペプチドは、化学修飾方法(例えば、Belousov(1997)Nucleic Acids Res.25:3440−3444;Frenkel(1995)Free Radic.Biol.Med.19:373−380;及びBlommers(1994)Biochemistry 33:7886−7896を参照のこと)によってさらに生成することができる。
ペプチドはまた、より免疫原性のペプチドを生成するために、組換えにより合成されたペプチドをより容易に単離するために、又は抗体若しくは抗体発現B細胞を同定及び単離するために、1つ又は複数の別のドメインが連結した融合タンパク質として合成及び発現させることもできる。検出及び精製を促進するドメインとしては、例えば、固定化金属上での精製を可能にするポリヒスチジン配列(poly−histidine tract)及びヒスチジン−トリプトファンモジュールなどの金属キレートペプチド;固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン;及びFLAGS伸長/アフィニティ精製システム(Immunex Corp,Seattle WA)で使用されるドメインが挙げられる。精製ドメインとペプチドとの間にXa因子又はエンテロキナーゼ(Invitrogen,San Diego CA)などの切断可能なリンカー配列を導入すると、ペプチド精製を容易にすることができる。例えば、発現ベクターは、6つのヒスチジン残基、続いてチオレドキシン及びエンテロキナーゼ切断部位に連結されたペプチドコード化核酸配列を含んでもよい(例えば、Williams(1995)Biochemistry 34:1787−1797;Dobeli(1998)Protein Expr.Purif.12:404−14を参照のこと)。ヒスチジン残基は、融合タンパク質の検出及び精製を容易にし、エンテロキナーゼ切断部位は残りの融合タンパク質からペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパク質をコード化するベクター及び融合タンパク質の適用に関する技術は、当該技術分野において公知である(例えば、Kroll(1993)DNA Cell.Biol.,12:441−53を参照のこと)。
本発明はさらに、本発明のペプチドをコード化する核酸も提供する。特定の実施形態において、核酸は、約8〜12、12〜15、15〜18、15〜20、18〜25、20〜25、25〜35、25〜50、若しくは50〜100個のアミノ酸又はそれを超える長さを有する本発明のペプチド配列をコード化する。
「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書において置き換え可能に用いられ、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)などの全形態の核酸を指す。核酸は、二本鎖、一本鎖、若しくは三重らせん、線状又は環状であってよい。核酸としては、ゲノムDNA、cDNA、及びアンチセンスがある。RNA核酸は、スプライシング若しくは非スプライシングmRNA、rRNA、tRNA又はアンチセンス(例えば、RNAi)であってよい。本発明の核酸としては、天然、合成、並びにヌクレオチド類似体及び誘導体がある。このような改変又は修飾ポリヌクレオチドは、例えば、ヌクレアーゼ耐性を賦与する類似体を含む。また、核酸の長さは、例示したペプチド配列より短くてもよい。例えば、ペプチド配列のいずれかのサブ配列は、抗増殖又はG2抑止活性を有するペプチドをコード化することができる。
様々な公知の標準的クローニング及び化学合成方法のいずれかを用いて、核酸を生成することができ、また、部位指定突然変異誘発又は当業者には公知の他の組換え技術によって意図的に改変することもできる。ポリヌクレオチドの純度は、配列決定、ゲル電気泳動などにより決定することができる。
本発明の核酸を核酸構築物に挿入してもよく、その構築物において、核酸の発現は、「発現制御エレメント」により影響又は調節され、この組み合わせは、「発現カセット」と呼ばれる。「発現制御エレメント」という用語は、これが作動可能に連結された核酸配列の発現を制御する又はその発現に影響を与える1つ又は複数の配列エレメントを意味する。核酸配列に作動可能に連結された発現制御エレメントは、核酸配列の転写、並びに必要に応じてその翻訳を制御する。
「作動可能に連結された」という用語は、このように表現される成分が、その意図する様式で機能するのを可能にする関係にある機能性並置を指す。典型的に、発現制御エレメントは、遺伝子の5’又は3’末端に並置されるが、これはまた、イントロンであってもよい。プロモータは、一般にコード配列の5’側に位置する。「プロモータ」は、転写を指令するのに十分な最小配列エレメントを意味する。
発現制御エレメントとしては、プロモータ、エンハンサー、転写ターミネータ、遺伝子サイレンサー、タンパク質コード化遺伝子の前の開始コドン(例えば、ATG)が挙げられる。発現制御エレメントは、構成性転写、誘導性転写(すなわち、活性化のために外部シグナルを必要とする)を活性化するか、又は転写を抑制する(すなわち、シグナルが転写をオフにし;シグナルを除去すると、転写が活性化される)。発現カセットは、遺伝子発現を特定の細胞型又は組織について制御可能にするのに十分な制御エレメント(すなわち、組織特異的制御エレメント)を含んでもよい。
宿主細胞への増殖、それに続く遺伝子操作のために、本発明の核酸をプラスミドに挿入してもよい。プラスミドは、宿主細胞中で安定に増殖させることができる核酸であり;プラスミドは、任意選択で、宿主細胞においてペプチドをコード化する核酸の発現を駆動するために、発現制御エレメントを含む。「ベクター」という用語は、本明細書ではプラスミドと同義に用いられ、宿主細胞における発現のための発現制御エレメントも含み得る。プラスミド及びベクターは、一般に、細胞及びプロモータにおける増殖のための少なくとも1つの複製起点を含む。プラスミド及びベクターは、例えば、ペプチドコード化核酸の遺伝子操作、ペプチドの生成、及び宿主細胞又は全生物におけるペプチドの発現に有用である。
従って、ペプチドは、細菌系では、T7などの構成性プロモータ、又は誘導性プロモータ(例えば、バクテリオファージλ、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモータ))を用いて;酵母系では、構成性プロモータ(例えば、ADH若しくはLEU2など)、又はGALなどの誘導性プロモータを用いて(例えば、Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology,Vol.2,Ch.13,ed.,Greene Publish.Assoc.&Wiley Interscience,1988);Grant et al.Methods in Enzymology,153:516(1987),eds.Wu&Grossman;Bitter Methods in Enzymology,152:673(1987),eds.Berger&Kimmel,Acad.Press,N.Y.;及びStrathern et al.,The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces(1982)eds.Cold Spring Harbor Press,Vols.I and II;R.Rothstein(DNA Cloning,A Practical Approach,Vol.11,Ch.3,ed.D.M.Glover,IRL Press,Wash.,D.C.,1986)を参照のこと);昆虫細胞系では、構成性若しくは誘導性プロモータ(例えば、エクジソンなど)を用いて;哺乳動物細胞系では、構成性プロモータ(例えば、SV40、RSV)又は哺乳動物細胞のゲノム由来の誘導性プロモータ(例えば、メタロチオネインIIAプロモータ、熱ショックプロモータ)又は哺乳動物ウイルス由来の誘導性プロモータ(例えば、アデノウイルス後期プロモータ若しくは誘導性マウス乳腺腫瘍ウイルスの長い末端反復)を用いて、発現させることができる。ペプチド発現系はさらに、in vivoでの使用のために設計されたベクターをさらに含み、そのようなベクターとして、アデノウイルスベクター(米国特許第5,700,470号明細書及び同第5,731,172号明細書)、アデノ関連ベクター(米国特許第5,604,090号明細書)、単純ヘルペスウイルスベクター(米国特許第5,501,979号明細書)及びレトロウイルスベクター(米国特許第5,624,820号明細書、同第5,693,508号明細書及び同第5,674,703号明細書、並びにWIPO公報国際公開第92/05266号パンフレット及び同第92/14829号パンフレット)が挙げられる。ウシパピローマウイルス(BPV)もまた遺伝子療法で使用されている(米国特許第5,719,054号明細書)。このような遺伝子療法ベクターとしてはまた、CMVベースのベクター(米国特許第5,561,063号明細書)もある。
従って、本発明は、宿主細胞に挿入される本発明のペプチドのコード化核酸も提供する。一実施形態では、宿主細胞は、原核細胞である。別の実施形態では、宿主細胞は、真核細胞である。様々な態様において、真核細胞は、酵母若しくは哺乳動物(例えば、ヒト、霊長類など)細胞である。
本明細書で用いる場合、「宿主細胞」は、核酸が導入される細胞であり、これは、増殖することができ、転写、又はコード化されたペプチドを発現することができる。この用語はまた、対象とする宿主細胞の任意の子孫を含む。
宿主細胞として、限定はしないが、細菌又は酵母などの微生物;並びに植物、昆虫及び哺乳動物細胞が挙げられる。例えば、組換えバクテリオファージ核酸、プラスミド核酸若しくはコスミド核酸発現ベクターで形質転換した細菌;組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染させた、若しくは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換させた植物細胞系;組換え発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;又は組換えウイルス発現ベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス)に感染させた動物細胞系、若しくは安定な発現のために操作された形質転換動物細胞系が提供される。
発現ベクターはまた、選択圧に対する耐性を付与する選択マーカ又は識別マーカ(例えば、βガラクトシダーゼ)をコード化する核酸を含有してもよく、これによって、ベクターを有する細胞を同定し、増殖及び拡大することができる。或いは、選択マーカは、第2ベクター上にあってもよく、ベクターを、本発明のポリヌクレオチドを含有する第1ベクターと一緒に、宿主細胞に共トランスフェクトする。いくつかの選択系を用いることができ、このような系として、限定はしないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(Wigler et al.,Cell 11:223(1977))、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalska et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:2026(1962))、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al.,Cell 22:817(1980))遺伝子があり、これらは、それぞれ、tk−、hgprt−又はaprt−細胞に使用することができる。抗代謝物耐性は、メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr(O’Hare et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527(1981));ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt遺伝子(Mulligan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072(1981));アミノグリコシドG−418に対する耐性を付与するネオマイシン遺伝子(Colberre−Garapin et al.,J.Mol.Biol.150:1(1981));及びヒグロマイシンに対する耐性を付与するヒグロマイシン遺伝子(Santerre et al.,Gene 30:147(1984))についての選択基準として用いることができる。別の選択遺伝子として、以下のものが挙げられる:細胞が、トリプトファンの代わりにインドールを使用できるようにするtrpB;細胞が、ヒスチジンの代わりにヒスチノールを使用できるようにするhisD(Hartman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8047(1988));及びオルチニンデカルボキシラーゼ阻害剤である2−(ジフルオロメチル)−DL−オルニチン、DFMOに対する耐性を付与するODC(オルチニンデカルボキシラーゼ)(McConlogue(1987)(Current Communications in Molecular Biology,Cold Spring Harbor Laboratory))。
本明細書で用いる場合、「核酸損傷処置」及び「核酸損傷剤」という用語は、核酸(例えば、DNA、cDNA、ゲノムDNA、mRNA、tRNA又はrRNA)を直接若しくは間接的に損傷させる任意の処置レジメンを意味する。このような薬剤の特定の例として、アルキル化剤、ニトロソウレア、抗代謝物、植物アルカロイド、植物エキス及び放射性同位体が挙げられる。また、薬剤の具体的な例としては、核酸損傷薬、例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン、S−1(テガフール(Tegafur)、5−クロロ−2,4−ジヒドロキシピリジン及びオキソニン酸)、5−エチニルウラシル、アラビノシルシトシン(ara−C)、5−アザシチジン(5−AC)、2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジン(dFdC)、プリン抗代謝物(メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン)、ゲムシタビン塩酸塩(Gemzar)、ペントスタチン、アロプリノール、2−フルオロ−アラビノシル−アデニン(2F−ara−A)、ヒドロキシ尿素、サルファマスタード(ビスクロロエチルスルフィド)、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、チオテパ、AZQ、マイトマイシンC、ジアンヒドロガラクチトール、ジブロモダシトール(dibromoducitol)、スルホン酸アルキル(ブスルファン)、ニトロソ尿素(BCNU、CCNU、4−メチルCCNU、又はACNU)、プロカルバジン、デカルバジン、レベッカマイシン、アントラサイクリン、例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン:ADR)、ダウノルビシン(Cerubicine)、イダルビシン(Idamycin)及びエピルビシン(Ellence)、アントラサイクリン類似体、例えば、ミトキサントロン、アクチニマイシンD、非インターカレートトポイソメラーゼ阻害剤、例えば、エピポドフィロトキシン(エトポシド=VP16、テニポシド=VM−26)、ポドフィロトキシン、ブレオマイシン(Bleo)、ペプレオマイシン、核酸付加物を形成する化合物(白金誘導体(例えば、シスプラチン(CDDP)、シスプラチンのトランス類似体、カルボプラチン、イプロプラチン、テトラプラチン、及びオキサリプラチンを含む))、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン(CPT−11)、並びにSN−38が挙げられる。核酸損傷処置の具体的な例としては、放射線照射(例えば、紫外線(UV)、赤外線(IR)、又はα線、β線、若しくはγ線の照射)及び環境的ショック(例えば、ハイパーサーミア)が挙げられる。
本明細書中で用いる場合、「抗増殖処置」及び「抗増殖剤」という用語は、その処置又は薬剤が核酸に損傷を与えるかどうかにかかわらず、細胞、ウイルス、細菌、又はその他の単細胞生物若しくは多細胞生物の増殖を直接又は間接的に阻害するあらゆる処置レジメンを意味する。抗増殖剤の特定の例は、細胞増殖又はウイルス増殖若しくは複製を阻害する抗腫瘍薬及び抗ウイルス薬である。具体的な例としては、中でも、シクロホスファミド、アザチオプリン、シクロスポリンA、プレドニソロン、メルファラン、クロラムブシル、メクロレタミン、ブスルファン、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、チオグアニン、シトシンアラビノシド、タキソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾトシン、ヒドロキシ尿素、シスプラチン、ミトタン、プロカルバジン、ダカルバジン、及びジブロモマンニトールが挙げられる。ヌクレオシド及びヌクレオチド類似体(例えば、AZT又は5−AZC)などの、核酸複製の誤りを引き起こすか、又は核酸複製を阻害する抗増殖剤。
本発明のペプチド及びペプチド模倣物はまた、微小管安定化剤又は微小管不安定化剤、例えば、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン=VLB、ビンクリスチン=VCR、ビンオレルビン=VRLB、ビンフルニン=VFL)、並びにタキサン(パクリタキセル及びドセタキセル=タキソテール(taxotare))の抗細胞増殖活性を増強することができる。従って、このような薬剤を本発明の組成物にさらに含有させて、本発明の方法に使用してもよい。
本発明の化合物を用いて処置される細胞は、その増殖がin vitro、ex vivo、又はin vivoで阻害又は阻止されることが要望されるあらゆる細胞を含む。特定の標的細胞は、正常細胞よりも短い細胞周期G1チェックポイント時間を呈示するか、又はその細胞が核酸修復を完了するのに十分な時間が経過する前にG1チェックポイントを出るように障害された細胞周期G1チェックポイントを有する。従って、候補細胞としては、細胞が正常又は異常のいずれかにかかわらず、急速に増殖する細胞が挙げられる。具体的な例は、良性細胞又は腫瘍性細胞、転移性細胞又は非転移性細胞である。さらに別の候補細胞は、それらの増殖速度又は細胞がG1期に留まる時間の長さを測定することによって同定することができる。候補細胞はまた、試験細胞と本発明の化合物を、単独で、又は核酸損傷処置と組み合わせて接触させ、接触させた細胞が、増殖の低減又は細胞死若しくはアポトーシス/カタストロフの増大を示すかどうかを決定することによって同定することもできる。
従って、本発明の化合物は、in vitro、ex vivo及びin vivoで細胞増殖を阻害するのに有用である。従って、異常であるか、又は望ましくない、若しくは不要な細胞増殖又は細胞生存、或いは異常又は欠損した細胞分化により特徴付けられる障害又は生理学的状態を有するか又はそのリスクがある被験者は、本発明の化合物単独で、又は核酸損傷を直接的若しくは間接的に引き起こす処置若しくは抗増殖処置と組み合わせて治療することができる。
このように、本発明に従って、細胞増殖を阻害する方法、核酸損傷剤又は核酸損傷処置に対する細胞の感受性を増大する方法、及びin vitro、ex vivo及びin vivoで細胞に対する核酸損傷を増大する方法が提供される。一実施形態では、一方法は、細胞の増殖を阻害するのに十分な量の本発明のペプチド又はペプチド模倣物と細胞(例えば、培養細胞若しくは被験者中に存在する細胞)とを接触させるステップを含む。別の実施形態において、一方法は、核酸損傷剤又は処置に対する細胞の感受性を増大するのに十分な量の本発明のペプチド又はペプチド模倣物と細胞とを接触させるステップを含む。さらに別の実施形態において、一方法は、細胞の核酸損傷を増加させるのに十分な量の本発明のペプチド又はペプチド模倣物と細胞とを接触させるステップを含む。様々な態様において、一方法はさらに、核酸損傷剤と細胞とを接触させるステップ、又は細胞を核酸損傷処置に付すステップを含む。
さらに、被験者における細胞増殖障害又は細胞分化障害を処置するための方法が提供され、このような障害としては、望ましくないか、若しくは不必要な細胞増殖又は細胞生存を特徴とする状態、アポトーシスの欠損又は異常を特徴とする状態、細胞生存の異常又は欠損を特徴とする状態、並びに細胞分化の異常又は欠損を特徴とする状態が挙げられる。一実施形態において、この方法は、細胞増殖障害を有する被験者又は細胞増殖障害を有するリスクがある被験者に、その細胞増殖障害を治療するのに有効な量の、本発明のペプチド又はペプチド模倣物を投与するステップを含む。一態様において、この量は、被験者の状態を改善するのに十分なものである。特定の態様では、上記の改善としては、標的細胞(例えば、異常に増殖している細胞)の少なくとも一部における、細胞増殖の低減、細胞数の減少、細胞数の増加の阻害、アポトーシスの増大、又は生存の低減が挙げられる。また別の態様では、この被験者に、細胞増殖を阻害する処置を実施する前、それと同時、又はその後に、本発明の化合物を投与する。別の特定の態様では、細胞増殖障害の細胞の少なくとも一部は、血液、乳房、肺、甲状腺、頭部又は頸部、脳、リンパ液、消化管、尿生殖器管、腎臓、膵臓、肝臓、骨、筋肉、又は皮膚に位置する。
別の実施形態において、本方法は、固形腫瘍を治療するために、特定の量の化合物を被験者に投与するステップを含む。また別の実施形態において、この方法は、液体腫瘍を治療するために、特定の量の化合物を被験者に投与するステップを含む。様々な態様において、腫瘍を有する被験者に、別の抗腫瘍療法の前、それと同時、又はその後に、本発明の化合物を投与する。
本明細書中で使用される場合、「増殖障害」及び「増殖状態」という用語は、いずれかの病理学的又は非病理学的な生理学的状態を意味し、これらは、(例えば、細胞、ウイルス、細菌、真菌などの)異常な、又は望ましくない増殖を特徴とする。「細胞増殖障害」及び「細胞増殖状態」という用語は、いずれかの病理学的又は非病理学的な生理学的状態を意味し、これらは、異常な、又は望ましくない細胞増殖によって特徴付けられ、またこのような状態には、(例えば、アポトーシス欠損に起因する)望ましくないか、若しくは不要な細胞増殖又は細胞生存を特徴とする状態、アポトーシス欠損若しくは異常又は欠損を特徴とする状態、並びに異常な、又は望ましくないか、若しくは不要な細胞生存を特徴とする状態も含まれる。「分化障害」という用語は、いずれかの病理学的又は非病理学的な生理学的状態を意味し、これらは、分化異常又は欠損を特徴とする。
治療が可能な増殖障害又は分化障害としては、良性及び腫瘍性の両方の、疾患及び非病理学的な生理学的状態が挙げられ、これらは、異常な、又は望ましくない細胞数、細胞増殖又は細胞生存を特徴とする。従って、このような障害又は状態は、病態を成しうるが、そのようなものとして、あらゆるタイプの癌性増殖若しくは発癌過程、転移性組織、又は悪性に形質転換された細胞、組織、若しくは器官が挙げられ、或いはこれらは、非病理学的であり得る(すなわち、正常から逸脱するが、一般的には疾患に関連しない)。本発明に従って治療することができる非病理学的状態の具体的な例は、創傷修復からの組織再生であり、これにより、瘢痕が生じる。
増殖障害又は分化障害を含む細胞は、細胞塊において凝集されているか、又は分散している可能性がある。「固形腫瘍」という用語は、典型的に、一緒に凝集して塊を形成する、新形成又は転移を指す。具体的な例としては、内臓腫瘍(例えば、胃癌又は結腸癌)、肝癌、venal癌腫、肺及び脳の腫瘍/癌が挙げられる。「液体腫瘍」とは、造血系の新形成(例えば、リンパ腫、骨髄腫及び白血病)、又はそれらが一般的に固形塊を形成しない場合に、天然にびまん性の新形成を指す。白血病の具体的な例としては、急性及び慢性リンパ芽球性骨髄腫、骨髄芽球性骨髄腫並びに多発性骨髄腫が挙げられる。
このような障害としては、ほぼあらゆる細胞又は組織型に影響を及ぼし得る、新生物又は癌、例えば、癌腫、肉腫、黒色腫、転移性障害又は造血系新生物障害が挙げられる。転移性腫瘍は、複数の原発腫瘍型から生じ得るが、このようなものとして、限定はしないが、以下が挙げられる:乳房、肺、甲状腺、頭部及び頸部、脳、リンパ、消化管(口、食道、胃、小腸、結腸、直腸)、尿生殖器管(子宮、卵巣、子宮頸部、膀胱、精巣、陰茎、前立腺)、腎臓、膵臓、肝臓、骨、筋肉、皮膚など。
癌腫とは、上皮組織又は内分泌組織の悪性疾患を指し、このようなものとしては、呼吸器系癌腫、消化器系癌腫、泌尿生殖器系癌腫、精巣癌腫、乳房癌腫、前立腺癌腫、内分泌系癌腫、及び黒色腫が挙げられる。例示的な癌腫としては、子宮頸部、肺、前立腺、乳房、頭部及び頸部、結腸、肝臓及び卵巣から生じる癌腫が挙げられる。この用語はまた、例えば、癌性組織及び肉腫性組織から構成される悪性腫瘍を含む癌肉腫も包含する。腺癌としては、腺組織の癌腫、又は、腫瘍が、腺様構造を形成するものが挙げられる。
肉腫とは、間葉細胞起源の悪性腫瘍を指す。例示的な肉腫としては、例えば、リンパ肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、及び線維肉腫が挙げられる。
本明細書で用いる場合、「造血系増殖障害」という用語は、例えば、骨髄細胞、リンパ系若しくは赤血球細胞の系統、又はそれらの前駆細胞から生じる、造血系起源の過形成細胞/新生物細胞を伴う疾患を意味する。典型的には、これらの疾患は、未分化型急性白血病、例えば、赤芽球性白血病及び急性巨核芽球性白血病に起因する。別の骨髄系障害の例として、限定はしないが、以下:急性前骨髄球性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)及び慢性骨髄性白血病(CML)が挙げられ、リンパ系悪性疾患としては、限定はしないが、以下:急性リンパ芽球性白血病(ALL)(B細胞系統ALL及びT細胞系統ALLを含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ヘアリーセル白血病(HLL)及びワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)が挙げられる。さらなる悪性リンパ腫としては、限定はしないが、以下:非ホジキンリンパ腫及びその変異型、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞白血病(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病及びリード・シュテルンベルグ病が挙げられる。
本発明の化合物と組み合わせて使用する処置は、本明細書に開示されているか、又は当該技術分野において公知である、あらゆる抗増殖処置、核酸損傷処置、又は抗腫瘍処置を包含する。例えば、抗細胞増殖処置又は抗腫瘍処置は、任意選択で薬物処置と組み合わせた、照射処置又は外科的切除を含んでもよい。この処置は、化学物質(例えば、放射性同位体)、薬物(例えば、化学療法薬)、又は遺伝子療法、例えば、抗癌遺伝子(例えば、Rb、DCC、p53など)、ドミナントネガティブ抗癌遺伝子、若しくは抗癌遺伝子に対するアンチセンスの投与を含んでもよい。この化合物は、他の処置プロトコルの前、それと同時、又はその後に、投与することができる。例えば、抗細胞増殖療法(例えば、照射療法、化学療法、遺伝子治療、外科的切除など)のための候補被験者に、抗細胞増殖治療を開始する前に、本発明の化合物を投与することができる。従って、予防的処置方法が提供される。
「被験者」という用語は、動物、典型的には哺乳動物、例えば、霊長類(ヒト、サル、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、マカク)、飼育動物(イヌ及びネコ)、家畜(ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)、及び実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)などを指す。被験者には、動物疾患モデル(たとえば、腫瘍保有マウス)も含まれる。
処置に適した被験者は、増殖若しくは分化障害のための処置又は(例えば抗腫瘍治療)を、現在受けている被験者、又はその処置を受ける候補である被験者を包含する。別の候補被験者としては、例えば、細胞増殖障害を発症するリスクがある被験者が挙げられる。従って、本発明の方法は、細胞増殖障害のリスクはあるが、未だその障害の明白な症状を示していない被験者を処置するために適用可能である。リスクがある被験者は、細胞増殖障害を発症する遺伝的素因又は家族歴を有するものとして、識別することができる。例えば、活性化癌遺伝子を有するか、又は腫瘍サプレッサ遺伝子の変異若しくは欠失を有する被験者は、候補被験者である。従って、リスクがある被験者は、遺伝子損傷の存在について常用的遺伝子スクリーニングを使用するか、又はその被験者がその障害のリスクがあることを明らかにするためのその被験者の家族歴に関する問診を用いて、識別することができる。リスクがある被験者の特定の例としては、新形成細胞若しくは薬物耐性新形成細胞がCD40を発現する、癌に対する素因を示す家族歴又は他の遺伝的特徴を有する被験者がある。遺伝病の特定の具体的な例は、網膜芽細胞腫であり、これは、Rb腫瘍サプレッサ遺伝子の欠損によって引き起こされる。
投与量は、典型的には、望ましい影響をもたらすのに充分な量である、「有効量」又は「十分量」である。従って、有効量は、増殖細胞を含む細胞の少なくとも一部(例えば、標的細胞の少なくとも一部)の、細胞増殖の低減、細胞数の減少、増殖増大の阻害、細胞数増加の阻害、アポトーシス増大、又は生存の低減のうちの1つ又は複数を含む。このように、例えば、細胞増殖を阻害することが望ましい場合、有効量は、細胞増殖若しくは増殖細胞数を検出可能に低減する量、又は細胞アポトーシスを増大する量、又は細胞生存を低減する量である。従って、この量は、標的細胞数を減少するため、標的細胞数を安定化するため、又は標的細胞数の増加を阻害するために、十分なものとなり得る。例えば、この障害が固形腫瘍を包含する場合、その腫瘍の少なくとも一部の、腫瘍サイズの縮小、腫瘍サイズの安定化、又はそれを超える腫瘍増殖の阻止(例えば、細胞の5〜10%の増殖阻害、又は腫瘍塊を含む細胞の10〜20%若しくはそれを超える増殖の阻害)が、満足のゆく臨床エンドポイントである。障害が液体腫瘍を含む場合、その腫瘍細胞の少なくとも亜集団の、腫瘍細胞数の減少、腫瘍細胞数の安定化、又はそれを超える腫瘍細胞数の増加の阻害(例えば、その細胞の5〜10%、又は細胞の10〜20%若しくはそれを超える増殖の阻害)が、満足のゆく臨床エンドポイントである。
さらに、有効とみなされる量は、状態又は障害の進行を、予防又は阻害することができる。例えば、特定の腫瘍は、進行するにつれて、転移形態に進行するなど、攻撃性を増していく。そのため、有効とみなされる量は、腫瘍が攻撃性を増すこと、又は転移することも抑制若しくは阻止する。従って、障害又は状態の悪化の阻害又は予防(すなわち、状態の安定化)は、さらに別の満足な臨床エンドポイントである。
液体腫瘍を含む生物学的サンプル(例えば、血液又は組織サンプル)の試験によって、腫瘍細胞塊若しくは腫瘍細胞数が減少したかどうか、又は腫瘍細胞増殖の阻害が起こったかどうかを立証することができる。固形腫瘍の場合には、侵襲的及び非侵襲的画像化法によって、腫瘍サイズの減少又は腫瘍サイズ増加の阻害を確認することができる。受容体陽性腫瘍の受容体数の減少は、腫瘍細胞増殖の減少又は阻害を評価するために使用することができる。ホルモン産生腫瘍(例えば、乳癌、精巣癌、又は卵巣癌)のホルモン量は、その腫瘍の増殖の減少又は阻害を評価するために使用することができる。
有効量はまた、障害又は状態に関連する症状の重症度若しくは頻度を、客観的又は主観的に軽減若しくは減少することができる。例えば、疼痛、吐き気若しくはその他の不快感を軽減するか、又は食欲若しくは主観的な満足できる状態(subjective well being)を高める、本発明の化合物の量は、満足のゆく臨床エンドポイントである。
有効量はまた、別のプロトコルを用いる処置の量(例えば、投与量)又は頻度の減少も含み、これは、満足のゆく臨床エンドポイントとみなされる。例えば、本発明の化合物を用いて治療する癌患者が、癌細胞増殖を阻害するために必要な核酸損傷処置が低減し得る。この場合、有効量は、本発明の化合物による処置なしで、投与される投与の頻度若しくは量と比較して、その被験者が投与される核酸損傷剤の投与頻度若しくは投与量を減少させる、量を包含する。
被験者の状態又は治療利益の改善をもたらす本発明の方法は、期間が比較的短くてもよく、例えば、その改善は、数時間、数日間、又は数週間継続する場合もあり、又は長期間(例えば、数ヵ月若しくは数ヵ年)にわたり延長する場合もある。有効量は、その状態又は障害の何らかの症状若しくは全ての症状を完全に除去する必要はない。従って、有効量についての満足のゆく臨床エンドポイントは、その障害若しくは状態の状況を決定するために適切な上記の基準若しくは当該技術分野で公知の他の基準を用いて決定される、短期間又は長期間にわたる被験者の状態の主観的改善若しくは客観的改善が存在する場合に達成される。本明細書に記載されるか、又は当該技術分野で公知であるような1つ又は複数の有益な効果をもたらす上で有効な量は、被験者の状態の「改善」又は被験者に対する「治療利益」と呼ばれる。
本発明の化合物の有効量は、動物研究に基づいて、又は任意選択でヒト臨床試験において、決定することができる。特定の被験者を処置するために必要な投与量及び時機に影響を与え得る様々な要因(例えば、被験者の健康状態、年齢、若しくは性別、障害若しくは状態の重症度若しくは段階、治療歴、望ましくない副作用に対する感受性、要望される臨床成果、及び他の障害若しくは状態の存在)を、当業者は認識するであろう。このような要因は、治療利益のために充分な量をもたらすために必要な投与量及び時機に影響を与え得る。投与レジメンはまた、薬物速度論(すなわち、医薬組成物の吸収速度、バイオアベイラビリティ、代謝、及びクリアランス)も考慮に入れる(例えば、Egleton(1997)“Bioavailability and transport of peptides and peptide drugs into the brain”Peptides 18:1431〜1439;及びLanger(1990)Science 249:1527〜1533を参照のこと)。さらに、用量又は処置プロトコルは、具体的に被験者に合わせて設計してもよく、又はゲノム薬理学データに基づいて改変してもよい。
従って、本発明の化合物は、単独で、又は医薬組成物として、要望される効果を達成する任意のプロトコル若しくは経路に従って、全身投与、局部(regionally)投与(例えば、器官又は組織に向けて、例えば、肝臓の細胞増殖障害を治療するために門脈中に注射することにより)、又は局所(locally)(例えば、腫瘍塊中に直接)投与することができる。本化合物及び医薬組成物は、単回若しくは多回用量として、毎日(例えば、低用量で)、又は断続的に(例えば、より高い用量で、1日置き、週1回など)、投与することができる。本化合物及び医薬組成物は、吸入(例えば、気管内吸入)を介して、経口的に、静脈内に、動脈内に、脈管内に、髄腔内に、腹腔内に、筋肉内に、皮下に、体腔内に、経皮的(例えば、局所)に、経粘膜的(例えば、口腔、膀胱、膣、子宮、直腸、若しくは鼻)に、多数回投与により、徐放(例えば、一定時間にわたる段階的灌流)により、又は単回ボーラスにより、投与することができる。薬物を投与するための移植可能なデバイス(微小製造デバイスを含む)は公知であり、また、被験者に本発明の化合物を送達するために適用可能である。
静脈内(IV)投与される化合物は、数時間(典型的には、1、3、若しくは6時間)にわたって、約0.01mg/時間〜約1.0mg/時間であり、これは、断続的なサイクルで1若しくは数週間にわたり反復することができる。特に、薬物を隔離部位に投与して血流中には投与しない場合(例えば、体腔又は器官管腔(例えば、脳脊髄液(CSF))中に投与する場合)には、上記よりかなり高い投与量(例えば、約10mg/mlまでの範囲)を用いてもよい。
従って、本発明は、医薬組成物をさらに提供する。このような医薬組成物は、被験者にin vivo若しくはex vivoで投与する上で、及び例えば、本発明の化合物で被験者を治療する上で有用である。
本明細書において用いる場合、「薬学的に許容される」及び「生理学的に許容される」という用語は、薬学的投与に適合性である、溶媒(水性溶媒若しくは非水性溶媒)、溶液、乳濁物、分散媒、コーティング、等張剤及び吸収促進剤若しくは吸収遅延剤を包含する。従って、「医薬組成物」又は「医薬製剤」は、被験者における薬学的使用に好適な組成物を指す。この医薬組成物及び製剤は、特定の量の本発明の化合物(例えば、有効量の本発明のペプチド若しくはペプチド模倣物、それをコードする核酸、ベクター、若しくは細胞)と、薬学的若しくは生理学的に許容される担体とを含む。
医薬組成物は、特定の投与経路(全身又は局所投与)と適合性であるように製剤化することができる。従って、医薬組成物は、様々な経路による投与に好適な担体、希釈剤、若しくは賦形剤を含む。
経腸(経口)投与のための製剤は、錠剤(コーティング錠剤若しくは非コーティング錠剤)、カプセル剤(硬質若しくは軟質)、ミクロスフェア、乳濁剤、粉末、顆粒、結晶、懸濁液、シロップ剤又はエリキシル剤中に含有させることができる。従来の非毒性固体担体(例えば、薬剤グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなど)を用いて、固形製剤を調製することができる。また、補助的活性化合物(例えば、保存剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、及び抗真菌剤)を製剤に含有させてもよい。経腸投与のために、液体製剤を用いることもできる。担体は、石油、動物油、植物又は合成油(例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油)を含む様々な油から選択することができる。好適な製剤用賦形剤としては、例えば、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、コムギ、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールが挙げられる。
経腸送達、非経口送達、又は経粘膜送達のための医薬組成物は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ハンクス溶液、リンゲル溶液、デキストロース/生理食塩水、及びグルコース溶液を含む。製剤は、生理学的条件に近づけるための補助物質(例えば、緩衝剤、等張化剤、湿潤剤、界面活性剤など)を含んでもよい。添加剤はまた、別の活性成分(例えば、殺菌剤又は安定化剤)も含み得る。例えば、この溶液は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン又はオレイン酸トリエタノールアミンを含み得る。さらに別の非経口製剤及び非経口方法は、Bai(1997)J.Neuroimmunol.80:65−75;Warren(1997)J.Neurol.Sci.152:31−38及びTonegawa(1997)J.Exp.Med.186:507−515に記載されている。非経口調製物は、ガラス製又はプラスチック製の、アンプル、使い捨てシリンジ、又は多用量バイアル中に封入することができる。
皮内投与又は皮下投与のための医薬組成物は、滅菌希釈剤(例えば、水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒);抗菌剤(例えば、ベンジルアルコール又はメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素グルタチオン又は亜硫酸水素ナトリウム);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸);緩衝剤(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩);並びに等張化剤(例えば、塩化ナトリウム又はデキストロース)を含み得る。
注射のための医薬組成物としては、水溶液(水溶性である場合)又は分散体、及び滅菌した注入可能な溶液若しくは分散剤の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与のために適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,NJ)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。この担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、並びにこれらの好適な混合物を含有する、溶媒又は分散媒であってよい。流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散体の場合に要求される粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。抗菌剤及び抗真菌剤としては、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸及びチメロサールが挙げられる。等張剤、例えば、糖類、ポリアルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)、塩化ナトリウムを組成物に含有させてもよい。得られる溶液は、そのままでの使用のためにパッケージングするか、又は凍結乾燥することができ、その後、凍結乾燥調製物を、投与の前に滅菌溶液と後に組み合わせることができる。
薬学的に許容される担体は、吸収若しくはクリアランスを安定化、増大又は遅延させる化合物を含み得る。このような化合物としては、例えば、炭水化物(例えば、グルコース、スクロース、若しくはデキストラン);低分子量タンパク質;ペプチドのクリアランス若しくは加水分解を低減させる組成物;或いは、賦形剤又はその他の安定化剤及び/若しくは緩衝剤が挙げられる。吸収を遅延させる薬剤としては、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンが挙げられる。また、医薬組成物(リポソーム担体を含む)の吸収を安定化、増大又は低減させるために、界面活性剤を用いてもよい。消化から保護するために、化合物を組成物と複合体化して、酸及び酵素的加水分解に対してそれを耐性にするか、又は化合物を適度に耐性の担体(例えば、リポソーム)中で複合体化してもよい。化合物を消化から保護するための手段は、当該技術分野で公知である(例えば、Fix(1996)Pharm Res.13:1760−1764;Samanen(1996)J.Pharm.Pharmacol.48:119−135;及び米国特許第5,391,377号明細書(これは、治療薬の経口送達のための脂質組成物を記載する)を参照のこと)。
経粘膜投与又は経皮投与の場合、透過しようとするバリアに対して適切な透過剤を製剤中に使用する。このような透過剤は、一般に当該技術分野で公知であり、例えば、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレー又は坐剤を用いて行うことができる(例えば、Sayani(1996)“Systemic delivery of peptide and proteins across absorptive mucosae”Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.13:85−184を参照のこと)。経皮投与の場合、この活性化合物は、当該技術分野で一般的に公知である軟膏、膏薬、ゲル、又はクリーム剤として製剤化することができる。経皮的送達系はまた、パッチを用いて達成することもできる。
吸入送達の場合、医薬製剤は、エアロゾル又は霧の形態で送達することができる。エアロゾル投与の場合、製剤は、界面活性剤及び噴射剤と一緒に微粉砕された形態で供給することができる。別の実施形態において、製剤を呼吸器組織に送達するためのデバイスは、その内部で製剤が蒸発するデバイスである。当該技術分野で公知のその他の送達系としては、乾燥粉末エアロゾル、液体送達系、吸入器、空気噴射噴霧器及び噴射剤系が挙げられる(例えば、Patton(1998)Biotechniques 16:141−143;Dura Pharmaceuticals,San Diego,CA;Aradigm,Hayward,CA;Aerogen,Santa Clara,CA;及びInhale Therapeutic Systems,San Carlos,CAを参照のこと)。
生分解性の生体適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸を使用することができる。このような製剤の調製のための方法は、当業者には公知である。これらの材料はまた、Alza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手可能である。リポソーム懸濁液(抗体又はウイルスコートタンパク質を使用して、細胞又は組織へとターゲティングされたリポソームを含む)も、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,235,871号明細書;同第4,501,728号明細書;同第4,522,811号明細書;同第4,837,028号明細書;同第6,110,490号明細書;同第6,096,716号明細書;同第5,283,185号明細書;同第5,279,833号明細書;Akimaru(1995)Cytokines Mol.Ther.1:197−210;Alving(1995)Immunol.Rev.145:5−31;及びSzoka(1980)Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467)に記載されているように、当該技術分野で公知の方法に従って調製することができる。ペプチドなどの低分子の持続的送達が可能な生分解性マイクロスフィア若しくはカプセル又は他の生分解性ポリマー構造は、当該技術分野において公知である(例えば、Putney(1998)Nat.Biotechnol.16:153−157を参照のこと)。本発明の化合物は、ミセル内に組み込んでもよい(例えば、Suntres(1994)J.Pharm.Pharmacol.46:23−28;Woodle(1992)Pharm.Res.9:260−265を参照のこと)。ペプチドは、脂質単層又は脂質二重層の表面に結合させることができる。例えば、ペプチドは、ヒドラジド−PEG−(ジステアロイルホスファチジル)エタノールアミン含有リポソームに結合させることができる(例えば、Zalipsky(1995)Bioconjug.Chem.6:705−708を参照のこと)。或いは、任意の形態の脂質膜(例えば、平面脂質膜又はインタクトな細胞(例えば、赤血球)の細胞膜)を使用してもよい。リポソーム製剤及び脂質含有製剤は、任意の手段、例えば、静脈内投与、経皮投与(例えば、Vutla(1996)J.Pharm.Sci.85:5−8を参照のこと)、経粘膜投与、又は経口投与などによって送達することができる。
薬学的に許容される製剤は、約1%〜99.9%の活性成分(例えば、ペプチド又はペプチド模倣物)含有することができる。医薬組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌するか、又は濾過滅菌することができる。
さらなる医薬製剤及び送達系は、当該技術分野で公知であり、本発明の方法及び組成物に適用可能である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA;The Merck Index(1996)12th ed.,Merck Publishing Group,Whitehouse,NJ;Pharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms,Technonic Publishing Co.,Inc.,Lancaster,Pa.,(1993);及びPoznansky et al.,Drug Delivery Systems,R.L.Juliano ed.,Oxford,N.Y.(1980),pp.253−315を参照のこと)。
医薬製剤は、投与しやすさ及び投薬量の均一性のために単位投与量形態でパッケージングすることができる。「単位投与量形態」とは、本明細書で用いられる場合、治療しようとする被験者への投与のための物理的に個別の単位投与量を指し;各単位は、製剤用担体又は賦形剤と組み合わせて、要望される効果をもたらす予め決定した量の化合物を含有する。
本明細書で使用する略語は以下の通りである:
Cha:シクロヘキシル−アラニン
Phe−2,3,4,5,6−F:フッ化物は、フェニルアラニンのフェニル残基の2、3、4、5、6位にある
F:フッ化物
Bpa:ベンゾイル−フェニルアラニン
Nal(2):2−ナフチル−アラニル
Ala(3−bzt):(3−ベンゾチエニル)−アラニン
Nal(1):1−ナフチル−アラニル
Dph:ジフェニル−アラニン
Ala(tBu):t−ブチル−アラニル
Cys(tBu):t−ブチル−システイン
Phe−3,4,5−F:フッ化物は、フェニルアラニンのフェニルの3、4、5位にある
Phe−4CF3:CF3は、フェニルアラニンのフェニル残基の4位にある
Phe−3Br,4Cl,5Br:フェニルアラニンのフェニルにおいて、臭化物が3位、塩化物が4位、及び臭化物が5位にある
Phe−4Cl:塩化物が、フェニルアラニンのフェニルの4位にある
P1、P2、P3、P4、P5、P6など、及び(P1、P2、P3、P4、P5、P6など);並びにP7、P8、P9、P10、P11、P12など、及び(P7、P8、P9、P10、P11、P12など):それぞれ、P1、P2、P3、P4、P5、P6、など、及びP7、P8、P9、P10、P11、P12、などの連続的配列。
別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載された方法及び材料と類似するか又は同等である方法及び材料を本発明の実施又は試験において使用することができるが、好適な方法及び材料は、本明細書に記載されている。
本明細書において引用される全ての刊行物、特許及び他の参考文献は、その全体を参照として組み込むものとする。矛盾する場合、本明細書(定義を含む)が優先される。
本明細書において用いられるように、単数形「1つの(a)」、「及び(and)」、「その(the)」及び「である(is)」は、文脈が明らかに別のことを示すのでない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、1つの「化合物」と言う場合、複数の化合物を含み、「1つの残基」又は1つの「アミノ酸」と言う場合、1つ又は複数の残基及びアミノ酸への言及を含む。
本発明の実施形態をいくつか記載した。しかし、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な改変を実施できることは理解されよう。従って、以下の実施例は、本発明を例示することを意図しためであって、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
この実施例では、材料及びいくつかの方法を説明する。この実施例には、分析したペプチド/ペプチド模倣物の配列も記載する。
化学物質及び試薬 ブレオマイシンを、Wako Pure Chemical Co.(Osaka,Japan)から購入し、これを、蒸留H2O中に10mg/mlで溶解させた。ヨウ化プロピジウム(PI)及びアドリアマイシンを、Sigma(St.Louis,MO)から購入した。
細胞培養 ヒトT細胞白血病由来細胞株であるJurkatを、10%ウシ胎仔血清(IBL:Immuno−Biological Laboratories,Gunma,Japan)を補充したRPMI 1640培地(Sigma)中で37℃/5% CO2にて培養した。ヒト膵臓癌由来細胞株であるMIAPaCa2を、10%ウシ胎仔血清を補充したDMEM中で37℃/5% CO2にて培養した。
細胞周期分析 ブレオマイシン、又はアドリアマイシンで処理した細胞の細胞周期状態を、Kawabe(1997)Nature 385:454−458により記載されているように、フローサイトメトリーにより分析した。手短には、2百万個の細胞を、200μlのKrishan’s溶液(0.1% クエン酸ナトリウム、50μg/ml PI、20μg/ml RNアーゼA及び0.5% NP−40)中に再懸濁してから、4℃にて1時間インキュベートし、フローサイトメトリー、プログラムCELLQuest(商標)(Beckton Dickinson)を用いたFACScan(商標)(Beckton Dickinson,Mountain View,CA)により分析した。
実施例2
この実施例は、様々なペプチドのG2抑止活性、活性に対する様々な配列並べ替えの影響(配列長さを減じる作用を含む)を示すデータを記載する。
G2チェックポイント抑止のフローサイトメトリー分析を、ヒト白血病由来Jurka細胞株を用いて実施した。手短には、培養した細胞を、様々な用量のペプチド/ペプチド模倣物及び40μg/mlのブレオマイシンで24時間処理した。細胞のDNAをヨウ化プロピジウムで染色し、フローサイトメトリーによって分析した。これらの結果を表2にまとめる。
ブレオマイシン処理Jurkat細胞に対して用いた場合の各ペプチド/ペプチド模倣物の用量応答曲線を図1、5、6、7、8、11及び12に示し;Y軸は、処理から24時間後の%G2/M Jurkat細胞を示す。
化合物によるM期チェックポイント抑止のフローサイトメトリー分析を、コルヒチン(5μg/ml又は0.5μg/ml)で処理したヒトT細胞白血病Jurkat細胞株、並びに様々な用量のペプチド/ペプチド模倣物を用いて、24時間実施した(図12)。細胞のDNAを染色し、前述したように、フローサイトメトリーによって分析した。これらの結果を表2にまとめる。
コルヒチン処理Jurkat細胞に対して用いた場合の各ペプチド/ペプチド模倣物の用量応答曲線を図2及び14に示し;Y軸は、処理から24時間後の%G2/M Jurkat細胞を示す。
「単独で使用した場合の副作用の出現」は、Jurkat細胞周期妨害(すなわち、有意な量のSubG1細胞(死細胞)又は各々のDNA含量が通常より多く変異している細胞の出現)を生じたペプチド/ペプチド模倣物用量を示す。例えば、G1細胞は、通常、FACS分析において鋭いピークを呈するが、処理後、細胞周期が妨害された場合、そのピークは、より幅広く、かつより低くなり、このことは、不適切な細胞周期進行又は細胞死の開始を示す。「G2抑止用量」は、24時間処理した後に検出可能なG2チェックポイント抑止活性を生成した40μg/mlのブレオマイシンによるペプチド/ペプチド模倣物用量を示す。「コルヒチンと共に使用された場合の副作用の出現」は、24時間の処理後にJurkat細胞周期妨害を生じた5μg/mlコルヒチンによるペプチド/ペプチド模倣物用量を示す。
シスプラチンと併用した場合のCBP501のG2チェックポイント抑止活性を、種々の細胞株において試験した。手短には、シスプラチン(3μg/ml)及びCBP501(0.4μM、2μM及び10μM)を、同時に細胞培養物に添加し、これを37℃、5%CO2で3時間インキュベートした。培地を吸引し、これらの化合物を含まない新鮮な培地を加え、細胞をさらに45時間インキュベートした。浮遊細胞を含む細胞をトリプシン−EDTA溶液を用いて収集し、Krishan’s溶液と一緒にインキュベートして、前述のようにフローサイトメトリーによりDNA含量について分析した。これらの結果を表3にまとめる。HUVEC以外の陰影によるハイライトは、G2集団の有意な喪失及び増加したsubG1集団を有する細胞株を示し、これは、G2チェックポイント抑止及びCBP501によるシスプラチンに対する感作を示す。正常G1チェックポイントを有する細胞であるHUVEC細胞が、少なくとも50μM CBP501まで、感作されなかったという観測結果は、CBP501が、非特異的であるのではなく、G2チェックポイントに特異的であることを示す。
ブレオマイシン(Bleo)又はアドリアマイシン(ADR)で処理したヒト膵臓癌由来細胞株MIAPaCa2に対する異なる用量での様々な化合物のG2チェックポイント抑止活性を試験した。手短には、細胞を、化合物及びブレオマイシン(10μg/ml)又はアドリアマイシン(1μg/ml)と一緒に3時間インキュベートした。培地を交換し、さらに21時間インキュベートした。収集した細胞を、ヨウ化プロピウムによってDNAについて染色し、前述したようにフローサイトメトリーにより分析した。subG1細胞集団の%を図3において死細胞として示す。これらの結果は、CBP501が、ブレオマイシン及びアドリアマイシンの両方に対してMIAPaCa2細胞を、用量依存的に感作したことを示している。
図4A及び4Cは、複数のペプチド対(ここで、一方のアミノ酸残基は、他方のアミノ酸残基とは異なる)を用いて実施したG2チェックポイント抑止活性の要約である。これらのペプチドのG2チェックポイント抑止活性を、前述のようにブレオマイシン処理したJurkat細胞を用いて分析した。図4Bは、複数のペプチド対(ここで、一方のアミノ酸残基は、他方のアミノ酸残基とは異なる)を用いて実施したMチェックポイント抑止活性及び/又は非特異的毒性分析の要約である。これらのペプチドのMチェックポイント抑止活性及び/又は非特異的毒性を、前述のようにコルヒチン処理したJurkat細胞を用いて分析した。
ブレオマイシンで処理した細胞に対する、異なる用量の様々なアルギニンリッチ配列のG2チェックポイント抑止活性を試験した。手短には、ブレオマイシン(40μg/ml)を含むJurkat細胞の培養培地に、0.2μg/ml、0.39μg/ml、0.78μg/ml、1.56μg/ml、3.125μg/ml、6.25μg/ml、12.5μg/ml、25μg/ml及び50μg/mlのペプチドを添加した。引き続いて、24時間後に細胞を回収し、Krishan溶液で染色し、以前に記載されたようにフローサイトメトリーで分析した。%G2/M細胞(Y軸)をペプチド用量(X軸)に対してプロットした(図5)。このデータは、「(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号:137)」塩基性残基リッチ配列が、より少ないか又はより多い数の残基を有する配列と比較して最良の配列であることを示す。
ブレオマイシンで処理した細胞に対する、異なる用量で(D−Bpa)を含まないペプチドのG2チェックポイント抑止活性を試験した。手短には、ブレオマイシン(40μg/ml)を含むJurkat細胞の培養培地に、0.2μg/ml、0.39μg/ml、0.78μg/ml、1.56μg/ml、3.125μg/ml、6.25μg/ml、12.5μg/ml、25μg/ml及び50μg/mlのペプチドを添加した。続いて、細胞を回収し、以前に記載されたようにフローサイトメトリーで分析した。%G2/M細胞(Y軸)をペプチド用量(X軸)に対してプロットした(図6)。この結果は、配列(Tyr)(Ser)(Pro)(Trp)(Ser)(Phe−2,3,4,5,6F)(Cha)(配列番号:138)が、配列(Bpa)(Ser)(Trp)(Ser)(Phe−2,3,4,5,6F)(Cha)(配列番号:139)と同等のG2チェックポイント抑止活性を有することを示す。
異なる用量のブレオマイシンで処理した細胞のアルギニンリッチ配列及びリジンリッチ配列のG2チェックポイント抑止活性を試験した。手短には、ブレオマイシン(40μg/ml)を含むJurkat細胞の培養培地に、表示用量(X軸)のペプチドを添加した。続いて、細胞を回収し、前述したようにフローサイトメトリーで分析した。%G2/M細胞(Y軸)をペプチド用量(X軸)に対してプロットした(図7)。これらの結果は、塩基性アミノ酸リッチ配列の場合、Arg配列がLys配列より良好な活性をもたらすことが明らかであり、Glnがこれらの配列の機能に必須ではないことを示す。
アルギニンリッチ領域の位置が変化する配列のG2チェックポイント抑止活性を試験した。手短には、24時間にわたって、ブレオマイシン(40μg/ml)を含むJurkat細胞の培養培地に、表示用量(X軸)のペプチドを添加した。続いて、細胞を回収し、前述したようにフローサイトメトリーで分析した。%G2/M細胞(Y軸)をペプチド用量に対してプロットした(図8)。
データは、このペプチドのG2抑止活性が、アルギニンリッチ領域の位置の変化によって有意には改変されないことを示す。さらに、CBP501は水溶性であったが、CBP511は水溶性でなかった。この違いは、いくつかの系が水に不溶性の化合物を好むため、特定の薬物送達系に有利となり得る。
図9は、様々なペプチド対で実施された分析の概要を示し、ここで、1つのアミノ酸残基のみが対の間で異なった。これらのペプチドのG2チェックポイント抑止活性を記載のようにブレオマイシン処理したJurkat細胞を用いて分析した。
各アミノ酸のサイズ、電荷及び疎水性は、その配列がいかに効果的に標的分子に適合するかを決定する。ペプチド又はペプチド模倣物の側鎖は、自由に移動し、1つ又は2つの不都合な側鎖を有する場合であっても、ペプチド又はペプチド模倣物は標的分子のポケット又は溝に適合することができる。この概要は、各側鎖について好ましいサイズが存在することを示し、このことは、各側鎖に対する標的タンパク質の結合領域(ポケット又は溝)のサイズを示唆する。例えば、ベンゼン、インドール及びシクロヘキサンなどの環状構造を有する側鎖は、G2抑止又はM抑止の強度及び/又は非特異的な毒性を決定する;図9及び4を参照すると、5員より大きい環状構造はG2抑止活性に影響を及ぼし、(P1及びP2の中程度のサイズはG2抑止活性を増大するが、大き過ぎる構造(P1、P5及びP6)は、M抑止及び/又は非特異的毒性を増大する。
環状構造を含まない側鎖は、中性と思われる。従って、より良好な活性を得るために、P1、P2、P4及びP6の適切なサイズの環状構造、並びにP3及びP5の非環状構造又は6員未満の環状構造のいずれかが望ましい。P1、P2及びP6についての適切な環は、5員又は6員のいずれかの2環の融合による1〜6員環から得られる。P4の場合、適切なサイズの環は、2つの環の融合であり、その各々は、5員又は6員である。従って、P1の場合、Cha又はNal(2)が、最も適合すると思われ;P2の場合、Phe−2,3,4,5,6F、Phe−3,4,5F又はPhe−CF3が最良であると思われる。これらの側鎖サイズは、標的分子におけるこの領域が相互作用する位置に2つのポケットか、又は1つのより大きなポケットのいずれかが存在することを示す。P3及びP5の場合、小さな側鎖(例えば、Ser又はPro)が受容可能であり、より大きな側鎖(例えば、Arg)もまた受容可能であるが、このことは、標的分子のこの領域にはポケットが存在せず、従って、側鎖は単に標的とは反対方向に延在し得ることを示す。しかし、環状構造は、ペプチド又はペプチド模倣物が別の分子(すなわち標的分子以外)と相互作用させることが可能であり、これによって、副作用が増大し得る。P6の場合、Bpa又はSer−Tyrの方が、Tyr単独又はこれより小さい側鎖よりも良好であると思われ、これは、標的内に水平に延びる、より深い溝を示している。また、P4に対する残基のサイズに基づき、標的内に、P4についての浅く、より広いポケットも存在し得る。
以下のペプチドを、Jurkat及びブレオマイシンを使用して、記載するように分析した。ペプチドの配列は以下の通りである:CBP501、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号80);CBP700、(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号96);CBP701、(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号97);CBP702、(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号98);及びCBP703、(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号99)。この結果は、CBP700、701、702、703が、他の例示したペプチドより短いが、有意なG2チェックポイント抑止活性を有する他のペプチドと同等の、G2チェックポイント抑止活性を保持することを示す(図11)。
CB501によるG2チェックポイント抑止活性と非特異的毒性(Mチェックポイント抑止)との比較を行った。手短には、Jurkat細胞を、G2チェックポイント抑止活性及び非特異的毒性のそれぞれについて、40μg/mlのブレオマイシン又は0.5μg/mlのコルヒチンで処理した。処理した細胞の各々のDNA量を、前述したように、フローサイトメトリーにより分析した。データは、G2チェックポイントが、CBP501の場合、用量依存的に抑止されたのに対し、非特異的毒性は、M期停止細胞の不変のパーセンテージによって決定されるように、50μMまでのペプチドでは存在しなかったことを示す(図12)。
実施例3
この実施例は、ペプチド/ペプチド模倣物のキナーゼ阻害活性及び様々なペプチドの血清安定性分析を記載する。
2つのキナーゼ(Chk1及びChk2)が、G2チェックポイント機構には重要であることから、両酵素のキナーゼ阻害分析を実施した。in vitroキナーゼ阻害分析を、「PepTag(登録商標)Non−Radioactive Protein Kinase Assays」(Promega)を使用して、PKCの代わりに精製CHK2キナーゼを使用した以外は、同社のプロトコルに従って実施した。精製PKCは、Upstate Biotechnology,Inc.から購入した。これらの結果を表4Aに示す。
in vitroキナーゼ阻害分析を、CycLex,Co.Ltd.(Nagano,Japan)により実施した。手短には、ヒスチジンタグを有するバキュロウイルス由来の組換えヒト全長Chk1、又はGSTと融合した大腸菌(E.Coli)由来の組換えヒト全長Chk2をキナーゼとして使用した。大腸菌(E.Coli)由来の組換えGST−Cdc25C(アミノ酸167〜267)を基質として使用した。反応条件は、20mM Hepes−KOH(pH7.5)、1mM DTT、80μg/ml BSA、10mM MgCl2及び50mM ATP(30℃で60分間)であった。GST−Cdc25Cのセリン216のリン酸化を、酵素結合免疫アッセイを用い、抗Cdc25C−リン酸化S216抗体により検出した。これらの結果を表4Bに示す。
このデータは、Chk1及びChk2のキナーゼ阻害の両方がG2抑止用量よりも高い用量(CBP500、501、505、506、603によるG2抑止についてのIC50は、全て1μM未満である)で生じることを示す。これらの結果は、これらのペプチドが、Chk1/2分子を阻害することに加え、作用の機構を有することを示唆するものである。或いは、ペプチドは、恐らく細胞内で蓄積されるため、その濃度は、周囲の培地より細胞内で高くなる。
マウス及びヒトの血清中でのペプチドの安定性を決定するために、血清分析を行った。手短には、ペプチド(10mM又は2.5mM)を、新しく調製したヒト血清と一緒に、37℃で1時間インキュベートした。CBP501(10mM)を、新しく調製したマウス血清と一緒に、37℃で1時間インキュベートした。ペプチド及びブレオマイシン(40μg/ml)を用いて、又は用いずに、Jurkat細胞を血清で処理した後、24時間インキュベートした。G2期細胞の集団を、以前に記載されるようにフローサイトメトリーにより決定した。血清処理ペプチドの残留G2チェックポイント抑止活性を、処理血清のG2細胞のパーセント(%)と、培地処理ペプチド、ブレオマイシン及びJurkat細胞を用いて作成した標準曲線を比較することにより決定した(表5A)。残留CBP501量を、エタノール処理での脱タンパク後にHPLCにより決定した(表5B)。このデータは、d型アミノ酸(例えば、CBP501及びCBP603)を有するペプチドが、l型アミノ酸(例えば、CBP413)を有するペプチドよりも、血清中で安定であることを示す。
実施例4
この実施例は、培養細胞上のCBP501の抗細胞増殖活性を記載する。この実施例はまた、ペプチド/ペプチド模倣物のin vivo活性を示すデータを記載する。
化合物の抗細胞増殖活性を証明するために、培養MIAPaCa2ヒト膵臓癌細胞を、CBP501(10μmM)、シスプラチン(1、3又は9μg/ml)及びオキサリプラチン(1、3又は9μg/ml)単独で、並びに組み合せて処理した。手短には、細胞を1ウェルあたり300細胞で6ウェルプレートに塗布し、一晩インキュベートした後、化合物で3時間処理した。培地を交換し、さらに10日間培養した。引き続き、細胞を70%メタノールで固定し、0.1%クリスタルバイオレットで染色し、可視化した。コロニー形成分析結果は、CBP501がシスプラチンとオキサリプラチンの両方のMIAPaCa2細胞に対する細胞傷害活性を増強することを示した。
正常ヒト臍帯内皮細胞(HUVEC)を用いて同様の試験を行った。正常細胞はコロニーを形成しないため、これらは、1ウェルあたり300細胞ではなく、1ウェルあたり3000細胞を塗布した。これらの結果は、ペプチドがそれ自体では正常細胞の増殖を妨害せず、ペプチドは、細胞に対するシスプラチン及びオキサリプラチンの細胞傷害活性を増強もしないことを示す。従って、ペプチドは、核酸傷害処置に感作された過剰増殖細胞(hyperoliferating cell)(例えば癌細胞)とは対照的に、核酸傷害処置を受けた正常細胞に対して有意なG2抑止活性を呈示しないことが明らかである。これらの結果は、正常細胞ではなく、感作した増殖細胞における、核酸傷害処置に対するペプチドの特異性を示す。
アラマーブルー(AlamarBlue)分析を行い、シスプラチンを用いて、及び用いずにCBP501の増殖阻害活性を分析した。手短には、MIAPaCa2細胞を1、3、10、30、100μMのシスプラチン、又は10μMのシスプラチンを用いて、又は用いずに、0.22、0.67、2、6及び18μMのCBP501に、1ウェルあたり2500細胞で、96ウェルプレート中で3時間曝露し、これを2回反復した。培地を交換し、さらに24、48又は72時間インキュベートした。インキュベーションの後、20μlのアラマーブルー(alamarBlue)90%試薬を各ウェルに添加し、さらに6時間、蛍光強度により細胞生存度を検出した。蛍光強度をSpectrafluor Plusプレートリーダーを用いて、励起530nm及び発光590nmで測定した。IC50を算出した(表6)。
この試験は、CBP501が単独で、モル用量のシスプラチンより良好に細胞増殖を阻害することを示している。CBP501は、10μMのシスプラチン(癌処置のために使用されるシスプラチンの量に近い)と組み合わせた場合、より低い用量で細胞増殖を抑制した。さらに、CBP501の増殖抑制活性は、シスプラチンよりも長く;72時間でのIC50は、シスプラチンよりもCBP501を使用した場合の方がはるかに優れていた。
CBP501のin vivo半減期を、CBP501の腹腔内注射(40mg/kg)から1、3及び6時間後のマウス血清中のCBP501を定量することにより決定した。残留するインタクトなCBP501の量を、注射済みマウスから採取したマウス血清をエタノール処理により脱タンパクした後、HPLCにより決定した(表7)。
ペプチドに対する耐性を決定するために、10匹のマウスの群にCBP501(5、8若しくは10mg/kg)を静脈内に1回、又はCBP501(50、80又は100mg/kg)を腹腔内に1回、注射した。注射済みマウスを、その生存について1週間観察した(表8)。
化合物のin vivo効力を試験するために、MIAPaCa2ヒト膵臓癌細胞をscidマウスに皮下移植した。原発腫瘍のサイズが0.1cm3以上(例えば、直径7又は8mm)になったときに処置を開始した(0日目)。CDDP(3mg/kg)及びCBP501(10又は40mg/kg)を単独で、又は組み合せて腹腔内投与した。カリパスを用いて週3回腫瘍サイズを測定し、体積を以下の式:
重量(mg)=[幅(mm)2×長さ(mm)]/2
を用いて計算した。各処置群に対する平均腫瘍サイズを処置開始後の日数に対してプロットする(n=4)(図10)。
この結果は、CBP501処置が単独で、in vivoでのヒト膵臓癌細胞の増殖を抑制することを示す。この結果はさらに、CBP501がシスプラチンの抗腫瘍活性を増加したことを示す。
実施例5
この実施例は、肺癌の説明及びCBP501を用いた試験を含む。
肺癌は、欧米諸国において成人の癌死亡の主要原因である。米国では、2009年に219,440人の患者が新たに診断され、この疾患によって159,390人が死亡し、これは、癌による死亡全体の約29%を占める(例えば、American cancer society,Cancer Facts&Figures 2009を参照のこと)。新たな癌患者全体の87%が、非小細胞癌(NSCLC)組織学であり、それには3つの主要なタイプ:腺癌、扁平上皮癌(類表皮)癌、及び大細胞癌がある(American cancer society,Cancer Facts&Figures 2009)。手術技術及び併用療法の向上にもかかわらず、NSCLCと診断された患者の予後は不良である。疾患がまだ局在化している、早期に検出された患者については、5年生存率は47%であるが、NSCLC患者の大部分(68%)(例えば、AJCC Cancer Staging Manual.(Fleming ID,editor.Philadelphia:Lippincott−Raven;2002)を参照のこと)は、進行疾患(III期)又は転移性疾患(IV期)と診断され、化学療法を必要とする。III期の患者の場合、5年生存率は8.4%、IV期の場合、1.6%であり、進行NSCLCの患者の大部分は、2年以内に病死する(例えば、American cancer society,Cancer Facts&Figures 2009;AJCC Cancer Staging Manual.:Fleming ID,editor.Philadelphia:Lippincott−Raven;2002.を参照のこと)。患者の生存及びクオリティオブライフの有意な向上をもたらすことができる新規治療薬の導入は、アンメットニーズである。
パフォーマンスステータス(Performance Status)が良好な進行期(IIIb又はIV)NSCLCを有する患者は、化学療法から利益を得ることができる(例えば、Souquet,PJ.,et al.,Lancet 342:19−21,1993;Marino,P.,et al.,Chest 106:861−865,1994;Marino,P.,et al.,Cancer 76:593−601,1995;Helsing,M.,et al.,Eur J Cancer 34:1036−1044,1998;Cullen,MH.,et al.,J Clin Oncol 17:3188−3194,1999;Pfister,DG.,et al.,J Clin Oncol 22:330−353,2004を参照のこと)。化学療法2剤併用療法(doublets)は、単剤又は化学療法なしと比較して、生存率を改善することが証明されている(例えば、Bunn,PA.,et al.,J Clin Oncol 20:23S−33S,2002を参照のこと)。進行NSCLCにおいて現在推奨される第1選択の化学療法レジメンとしては、標準レジメンとしてゲムシタビン、ビノレルビン、又はタキサン(パクリタキセル若しくはドセタキセル)、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、及び/又はペメトレキセドと組み合わせた白金化合物(シスプラチン[CDDP]又はカルボプラチン)がある(Pfister,DG.,et al.,J Clin Oncol 22:330−353,2004)。
ランダム化試験では、様々な白金−2剤併用療法が、レジメンに毒性、利便性及び費用に関して、若干の違いはあるものの、全て同様の効力を示すことが証明されている。結果から、全奏効率(ORR)が17〜32%、生存期間中央値が7〜10ヵ月、また1年生存率が30〜45%であることが判明した(例えば、Scagliotti,G.,et al.,Semin Oncol 32:S5−S8,2005;Schiller,JH.,et al.,N Engl J Med 346:92−98,2002;Scagliotti,G.,et al.,J Clin Oncol 20:4285−4291,2002;Kelly,K.,et al.,J Clin Oncol 19:3210−3218,2001;Fossella,F.,et al.,J Clin Oncol 21:3016−3024,2003を参照のこと)。
3剤化学療法のほとんどの例は、これまでのところ、さらなる生存率の増加をもたらしておらず、毒性を増している。しかし、カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブについての近年の研究は、ある程度の生存利益を示しており(例えば、Sandler,A.,et al.,N Engl J Med 355:2542−2550,2006)、毒性が重複しないターゲティング薬剤の添加は、2剤併用化学療法を改善し得ることを示唆している。化学療法の有益性を最適化しようとする積極的な試みが、抗腫瘍活性を予測する分子マーカの使用によって進められている。NSCLCにおける化学療法の効力を予測する遺伝子が、明らかになりつつある(例えば、Bepler,G.,et al.,ASCO Educational Book:350−352,2008;Sommers,K.,et al.,Proc Am Soc Clin Oncol 26 2008を参照のこと)。中でも、注目すべきは、ERCC1、BRCA1/2、RRM1及びTSなどのマーカである(表9)。
実施例6
この実施例は、特定のヒト患者亜集団が、ペプチド及び化学療法(核酸損傷)薬の併用に好都合に応答することを示すデータの説明を含む。意外なことに、データは、CBP501による治療前に、血液1立方ミリメートル当たり10,000個未満の白血球(WBC)を有する非扁平上皮非小細胞肺癌NSCLC)に関する臨床試験の患者集団の亜群が、CBP501の投与による利益を受けたことを明らかにしている。
CBP501は、完全にD−アミノ酸からなる合成ドデカペプチドである(図13)。これは、TAT−S216Aの進化形態であり、これは、フローサイトメトリーに基づくDNA含量アッセイにおいて、DNA損傷剤による処置に応答して、G2(4N)細胞の蓄積を低減するようにその活性が最適化された。
合計78人の患者におけるCBP501を調べるために、第I相用量範囲探索及び薬物動態試験の2つを実施した。すなわち、1日目、8日目、及び15日目に、60分の静脈注入として、CBP501の単剤療法試験を4週間毎に繰り返し、3週間に1回、シスプラチンとの併用療法試験を実施する(例えば、Shapiro,GI.,et al.,Clin Cancer Res.May 15;17(10):3431−42,2011)。
第I相単剤試験(CBP04−01):これは、ヒトにおける最初の単剤第I相用量漸増試験であり、進行した固形腫瘍を有する患者集団において、28日毎に3回の注射(1−8−15日)のレジメンを調べた。合計68サイクルを投与し、患者1人当たりの数中央値は、2であった(1〜8の範囲)。2人の患者は、病勢不変(stable disease)で、7サイクルの治療に達したが、その一人は、膵臓癌を有し、もう一人は、卵巣癌を有していた。患者の大部分(87%)は、疾患の進行のために試験を中止した。毒性によって中止した患者はいなかった(例えば、Shapiro,GI.,et al.,Clin Cancer Res.May 15;17(10):3431−42,2011を参照のこと)。
シスプラチンと併用したCBP501の第I相試験(CBP06−01):この第I相試験の主な目標は、21日毎に1回併用して投与した場合の、CBP501及びシスプラチンのMTD及びRDを決定することであった。まず、CBP501を1時間の注入として投与し、処置開始から2時間後にシスプラチンを投与した。また、第I相単剤試験について開発された同じレジメンに従って、アレルギー反応の予防処置も患者に施した(ロラタジン、デキサメタゾン、ラニチジン及びジフェンヒドラミン)。
合計48人の患者を米国の3つの医療施設で処置し、合計182サイクルを投与し、患者1人当たりの数中央値は、4であった(1〜13の範囲)。CBP501は、3.6mg/m2〜36.4mg/m2の用量の範囲で調べた。試験した最も高い用量レベルは、CBP501が36.4mg/m2、シスプラチンが75mg/m2であった。この用量レベルで、6人の患者のうち2人は、治験担当医師により用量制限として判断されたアレルギー反応を経験した(グレード3)。MTDは、そのすぐ下の用量レベル、すなわちCBP501:24.3mg/m2、シスプラチン:75mg/m2とみなされた。数人の患者において、わずかな活性の兆候が記録されている(例えば、Shapiro,GI.,et al.,Clin Cancer Res.May 15;17(10):3431−42,2011を参照のこと)。
無機白金配位錯体である、シスプラチン(シス−ジアミノジクロロプラチナム)は、DNAのグアニン及びアデニン残基のN7位で優先的に反応して、多様な一官能基及び二官能基付加物を形成する。これらの付加物は、複製及び転写などの両DNA鎖の分離を必要とする様々な細胞プロセスを妨害することにより、薬物の細胞傷害性に寄与する。
シスプラチンは、精巣及び卵巣癌に対するその確実な抗腫瘍活性のために、多様な腫瘍に対して臨床的に評価されている。その承認以来、シスプラチンは、極めて重要な化学療法薬となり、単独で、又は他の抗腫瘍薬と組み合わせて広く使用されている。シスプラチンはまた、例えば、肺癌、膀胱癌並びに頭部及び頸部癌などの他の腫瘍タイプを呈する患者における実質的な緩和効果も付与することが知られており、これらの疾患に使用されるほとんどの化学療法レジメンに含まれている。
ペメトレキセド二ナトリウムは、ユニークな6−5融合ピロロ[2,3−d]ピリミジン核を有する、構造的に新規の抗葉酸剤であり、チミジレートシンターゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、及びグリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼのような、細胞増殖及び分裂に必要な基質の合成に関与する葉酸依存性酵素の機能を阻害する(例えば、Taylor,EC.,et al.,J Med Chem 35:4450−4454,1992;Schultz,RM.,et al.,Anticancer Res 19:437−443,1999を参照のこと)。
ペメトレキセドは、肺、乳房、結腸、肋膜、膵臓、胃、膀胱、頭部及び頸部、並びに子宮頸部を含む、非常に多様な腫瘍タイプにおいて、臨床試験で活性を示している。シスプラチンとペメトレキセドの併用は、その疾患が、切除不能であるか、或いは、根治目的の手術の候補ではないかのいずれかのMPM患者の治療のために、2004年2月4日にFDAにより承認された。
NSCLCを有する化学療法未処置患者における第II相試験では、シスプラチン又はカルボプラチンと併用したペメトレキセドは、他の白金2剤併用と比較して、有効な結果をもたらした(例えば、Scagliotti,G.,et al.,Clin Cancer Res 11:690−696,2005;Zinner R.,et al.,Cancer 104:2449−2456,2005;Manegold,C.,et al.,Ann Oncol 11:435−440,2000;Shepherd,FA.,et al.,Cancer 92:595−600,2001を参照のこと)。加えて、ペメトレキセドは、優れた安全性プロフィール及び好都合な投与スケジュールを有する。
最近のランダム化第III相試験では、非劣性設計試験において、最大6サイクルまで3週間毎にシスプラチンとゲムシタビン、又はシスプラチンとペメトレキセドで処置したIII期若しくはIV期NSCLCを有する、1725人の化学療法未処置患者同士の間で全生存率(OS)を比較した(例えば、Scagliotti,G.,et al.,J Clin Oncol 26:3543−3551,2008;Pimentel,F.,et al.,Proc Am Soc Clin Oncol 26(Part I of II):448s,2008,(Suppl.15S)(abstr)♯448sを参照のこと)。シスプラチンとペメトレキセドの場合のOSは、シスプラチンとゲムシタビンと比較して遜色なかった(生存率中央値は、両処置について10.3ヵ月)。OSは、腺癌患者(n=847;それぞれ、12.6ヵ月及び10.9ヵ月)及び大細胞癌組織学(n=153;それぞれ、10.4ヵ月及び6.7ヵ月)を有する患者では、シスプラチンとペメトレキセドの方が、シスプラチン/ゲムシタビンに対して統計的に優れていた。シスプラチンとペメトレキセドの場合、評価グレード3又は4の好中球減少、貧血、及び血小板減少;発熱性好中球減少;並びに脱毛は、シスプラチン/ゲムシタビン処置群より有意に低かったが、グレード3若しくは4の吐き気は、より一般的であった。
患者及び方法:
臨床試験設計:オープンラベル、多施設、第II相ランダム化、2群、比較試験。このプロトコルで、CBP501と共に、又はこれを用いずに全用量シスプラチン及びペメトレキセドを評価した。患者を1:1の比で、ペメトレキセド、シスプラチンとCBP501(A群)又はペメトレキセドとシスプラチン(B群)にランダム化した。ランダム化は、ベースライン病期(IIIb対IV)、脳への転移の存在、並びに患者がベバシツマブ療法に適格であるか否かに従って層別化した。
治験機関/試験場所:米国、ロシア、カナダ、ブラジル、アルゼンチン及びペルーにおける約40の施設。
試験の目的:
第1:局所的に進行した(悪性胸水若しくは心膜液を伴うIIIB期)又は転移性(IV期)非扁平上皮NSCLCを有する患者において、CBP501を含む又は含まないシスプラチン及びペメトレキセドの効力、すなわち無増悪生存率を比較すること。
第2:試験レジメンの安全性プロフィール、及び全生存率などの無増悪生存率以外の効力パラメータを特性決定すること。
試験集団:
参加基準:
1.いずれかの具体的試験手順の開始前の、署名されたインフォームドコンセントの取得。
2.以前に化学療法又は他の全身治療を受けていない、胸水若しくは心膜液を伴うIIIB期又はIV期の、非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)(根治的切除が不可能な)の組織学的又は細胞学的に確認された診断。
3.固形がんにおける効果判定基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)(RECIST)に従う少なくとも1つの一次元的に測定可能な病変
4.年齢が少なくとも18歳の男性若しくは女性患者
5.ECOGパフォーマンスステータス(PS):0〜1
6.平均余命>3ヵ月
7.以前の局所放射線療法は、それが、試験薬剤の最初の投与の≧3週間前に完了していれば、許容される
8.疼痛管理のための既存の骨病変に対する同時緩和放射線療法は許容される
9.以前の手術は、それが、試験薬剤の最初の投与の少なくとも4週間前に実施され、かつ、患者が完全に回復していれば許容される
10.以下を含む適切な器官機能:
・骨髄:白血球(WBC)数≧4×109/L、絶対好中球数(ANC)≧1.5×109/L、血小板数≧100×109/L、ヘモグロビン≧9g/dL
・肝機能:ビリルビン≦1.5×正常値上限(ULN)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)及びアラニントランスアミダーゼ(ALT/SGPT)≦2.5×ULN(又は肝臓転移が存在する場合には、≦5×ULN)、INR≦1.5×ULN、アルブミン≦3.0g/dL
・腎機能:血清クレアチニン≦1.5mg/dL又はクレアチニンクリアランス≧45mL/分(コッククロフト・ゴールト(Cockcroft and Gault)式によって計算)
11.妊娠可能な女性は、妊娠検査が陰性であり、かつ、試験前の4週間及び最後の試験薬投与後4カ月の間、治験機関により承認された少なくとも1つの避妊形態を使用しなければならない。本試験の目的のために、妊娠の可能性は、「閉経後少なくとも1年経過したか、又は手術により不妊となった場合を除く、全ての女性患者」と定義する
12.男性患者は、試験期間中、及び最後の試験薬投与後4カ月の間、治験機関により承認されたバリア避妊の形態を使用しなければならない
13.処置及びフォローアップに協力することができること。
除外基準:
1.試験に参加する前に、骨髄の30%超に対する放射線療法
2.腫瘍サンプル中の神経内分泌特徴の存在
3.化学療法、新規生物学的療法(小分子、抗体)、免疫療法による以前の治療
4.測定可能な病変の非存在
5.進行中若しくは活動性の感染症、症状性うっ血性心不全、不安定狭心症、症状性又はコントロール不良不整脈、コントロール不良血栓性若しくは出血性障害、又は治験担当医師の所見でいずれか他の重篤なコントロール不良の医学的障害
6.試験参加前5年以内の、別の悪性疾患の何らかの病歴(治癒した皮膚基底細胞癌又は治癒した子宮頸部上皮内癌を除く)
7.患者のコンプライアンスを妨げるいずれかの有意な中枢神経系(CNS)又は精神障害の存在
8.NCI−CTCAE Version 3に従い、>グレード1の末梢神経障害のエビデンス
9.試験参加前28日以内の、いずれか他の検査機関による処置、又は別の臨床試験への参加
10.妊娠又は授乳中の患者、又は適切な避妊を用いずに妊娠している可能性がある全ての患者
11.既知のHIV、HBV、HCV感染
12.症状性脳転移の存在。脳転移患者は、以下:
・根治的治療の完了から少なくとも2週間の間、局所治療(手術若しくは放射線)後の安定な神経学的状態を有し、かつ、試験参加前の1週間の間、コルチコステロイドの使用を中止していなければならない。
・神経学的及び他のAEの評価と混同し得る神経機能障害がない状態でなければならない
13.葉酸、ビタミンB12若しくはコルチコステロイドを摂取することができないか、摂取を嫌がる
14.5日(ピロキシカムなどの長期作用薬の場合には8日)間、1日≦1.3グラムのアスピリン、又はアスピリン以外の他の非ステロイド性抗炎症剤を中断することができない
15.有意な体重減少(試験前の6週間で≧10%)
16.試験参加前に、排液又は他の方法により管理することができない、(診察により)臨床的に有意な三間隙(third space)体液(例えば、腹水又は胸水)収集物の存在。
患者の数:
合計195人の患者を処置し、そのうち97人の患者は、CBP501、シスプラチン及びペメトレキセドで処置し(A群)、98人の患者は、ペメトレキセド及びシスプラチンで処置した(B群)。
試験薬剤:
調製:CBP501ペプチド酢酸塩(ペプチド塩基単位)を含む滅菌凍結乾燥粉末が入った単一用量バイアル(20mg)に、注射用のCBP501を導入した。投与のために、バイアル内容物を、5%デキストロース注射液(Dextrose Injection,USP)中で再構成した後、5%デキストロース注射液(Dextrose Injection,USP)の100mL i.v.バッグに添加した。
ペメトレキセド:市販されているペメトレキセド製剤を使用し、注射用の20mLの0.9%塩化ナトリウム溶液で再構成した後、100mLまで希釈した。
シスプラチン:市販のシスプラチン製剤を用いて、投与のために、250mLの通常生理食塩水で希釈した。
用量レジメン及び投与経路:
CBP501、ペメトレキセド及びシスプラチンを、3週間毎に最大6サイクルにわたって、同じ日(1日目)に投与した。1サイクルは、3週間(21日)とみなした。
A群
1.CBP501 25mg/m2を1時間の静脈注入として投与した。
2.CBP501注入の直後、ペメトレキセド500mg/m2を10分にわたる静脈注入として投与した。
3.ペメトレキセド注入の直後、シスプラチン75mg/m2を1時間の静脈注入として投与した。
B群
1.ペメトレキセド500mg/m2を10分にわたる静脈注入として投与した。
2.ペメトレキセド注入の直後、シスプラチン75mg/m2を1時間の静脈注入として投与した。
各併用剤は、中心又は末梢静脈アクセスを介して投与した。
予防的処置:
参加した患者全員が、以下を受けた:
1.ビタミン剤:全ての患者は、毎日低用量の経口葉酸製剤又は葉酸とマルチビタミンを摂取するよう指示された。最初のペメトレキセド投与前の7日間、少なくとも5回の毎日用量の葉酸を摂取しなければならず、さらに、投与は、全処置コースを通じて、また最後のペメトレキセドの投与後21日にわたって継続すべきである。提案される葉酸の用量は、350〜1000μgの範囲であった。患者はさらに、ペメトレキセドの最初の投与の前週、その後3サイクル毎に1回(1)のビタミンB12の筋内注射を受けた。後のビタミンB12の注射は、ペメトレキセドと同じ日に実施した場合もある。ビタミンB12の用量は、1000μgであった。
2.処置投与の前日、当日、及びその翌日に、1日2回デキサメタゾン4mgの経口投与。
3.予防的制吐処置:標準的処置施設プロトコルに従い、5HT3アンタゴニスト+ステロイドから構成される。患者には、必要に応じて、さらなる経口制吐薬を投与した。
・心血管障害のない患者には、以下の水和(hydration)プロトコルが提案された。治験機関で常用的に投与される同様のプロトコルを実施した場合もある:
1.患者は、20mEq KCl/リットル及び1g MgSO4/リットルで、合計1.5〜2.0リットルの水和(5%デキストロース又は1/2正常生理食塩水)を受け、流速は500mL/時であった。
2.患者は、1時間の水和注入を受けた後、12.5gのマンニトールをIVプッシュ(push)により投与した。
3.その後、水和注入を継続しながら、シスプラチン注入(1mg/mLで正常生理食塩水と混合)を1時間かけて注入した。
4.水和の間、尿量を250mL/時に維持する必要がある場合、追加のマンニトール(IVプッシュ(push)により、12.5〜50.0)を投与した。
・CBP501で処置する患者(A群)については、ヒスタミン放出による症状の発生及び重症度を軽減するために、続いて以下の予防的レジメンを受けることが推奨された:
1.各CBP501注入前に、ジフェンヒドラミン(DPH)50mg IV及びラニチジン50mg IV(又は別のヒスタミンH2アンタゴニスト)。
2.CBP501投与の前日(−1日目)、当日(0日目)及び翌日(1日目)にロラタジン(10mg)PO。
患者当たりの試験期間:
患者は、以下の事項のいずれかが早期に認められない限り、最大6サイクルの試験処置を受けるものとする:
・病勢の進行
・許容できない毒性
・同意の撤回
・深刻なプロトコル違反
・処置の遅延>2週間(患者に対する利益が見込まれるか、知覚される場合を除く)。
治療の中止後、患者は、病勢進行、又は別の全身抗癌療法の開始まで8週間毎に、その後、死亡まで6ヵ月毎に追跡調査する。
インフォームドコンセント
治験機関は、いずれかの具体的スクリーニング手順を実施する前に、患者に対して、試験の目的及び方法、並びに予想される効果及び有害な反応を十分に説明した。患者には、情報シートを提供し、試験の詳細について尋ね、及び参加するかどうかを決定する十分な時間及び機会が与えられた。患者、及び患者とインフォームドコンセントについて相談する人が、同意書に署名し、日付を記した。
治験機関は、患者が、試験への参加を拒否すること、また、いつでも、あらゆる理由で試験を止めることは完全に自由であることを説明した。同様に、治験機関及び/又はスポンサーも、安全又は行政上の理由で、いつでも患者に試験を止めさせることが自由であった。患者の人権保護に必要なその他のあらゆる要件は、現行のCFR(21、312D部、50及び56)及びICH(ICH E6 1997)GCPガイドライン並びに1964年のヘルシンキ宣言(Declaration of Helsinki)(2004年に東京で明確化)に従って説明された。
患者数の割り当て
処置群への患者のランダム化及び割り当ては、施設ごとに管理された。
統計分析:
Cox比例ハザードモデル(Cox proportional hazards model)を使用して、2つの処置群同士のPFSについてのハザード比(HR)を推定した。このモデルは、1因子として処置群、並びにランダム化層別化因子を含んだ。以下の共変数を調べた:年齢、性別、人種(白人/非白人)、以前の手術/処置(あり/なし)、以前の放射線療法(あり/なし)、X線の読影(正常/異常)、ECG解釈(正常/異常)、骨スキャン(正常/異常)、及び診断からの時間。年齢、及び診断から試験処置までの時間などの連続変数は、より良好なモデル適合性が得られれば、2つ又はいくつかのクラスの値を指定することにより、カテゴリー変数に変換した場合もある。以下の基準を用いて、段階的回帰アルゴリズムにより、説明変数を入力した:変数は、モデルに入力するためには、0.25レベルで、またモデル内に残るためには、0.15レベルで、有意でなければならない。最終モデルの場合、ハザード比の点推定(point estimate)を95%CIと一緒に提供した。
スクリーニング時にWBC<10000μLを有する患者について、亜群分析を実施した。さらに別の亜群分析を、分析対象の各患者についての生データと共に、ソフトウェアGraphPad Prism 5を用いて実施した。
効力結果:
無増悪生存期間(PSF)についての他の共変数を探索しないCox比例ハザードモデル分析は、A群(CBP501を用いる群)の方が、B群より高いハザードを有する(HR=1.20[0.88、1.65])ことを示したが、これは、統計的に有意ではなかった(P=0.25)。他の共変数を探索する同じモデルもまた、A群が、B群より高いハザードを有する(HR=1.21[0.85、1.73])ことを示したが、これは、統計的に有意ではなかった(P=0.30)。
スクリーニング時にWBC<10000/μLを有する患者について、他の共変数を探索しないCox比例ハザードモデル分析は、A群の方が、B群より高いハザードを有する(HR=1.04[0.73、1.49])ことを示したが、これは、統計的に有意ではなかった(P=0.81)。他の共変数を探索する同じモデルもまた、A群が、B群より高いハザードを有する(HR=1.06[0.71、1.59])ことを示したが、これは、統計的に有意ではなかった(P=0.78)。
PFSのハザード比は、両方の分析でスクリーニング時に、WBC<10000/μLを有する患者に分析を限定した場合、A群について向上することが認められた(表A、B)。
全処置集団に対する全生存率(OS)についてのCox比例ハザードモデル分析
他の共変数を探索しない、及び探索する場合のいずれも、A群の方が、B群より低いハザードを有した(HR=0.96及び0.77)。この差は統計的に有意ではなかった(P=0.82及び0.25)。
スクリーニング時にWBC<10000/μLを有する患者に対するOSについてのCox比例ハザードモデル分析
処置集団において、スクリーニング時にWBC<10000μLを有する患者のOSについては、他の共変数を探索しない、及び探索する場合のいずれも、A群の方が、B群より低いハザードを有した(HR=0.80及び0.69);この差は統計的に有意ではなかった(P=0.32及び0.16)。
OSのハザード比は、全ての分析でスクリーニング時にWBC<10000/μLを有する患者に分析を限定した場合、A群について向上することが認められた(表C、D)。
図14は、全ての処置患者におけるスクリーニング時(ベースライン)のWBCに対する、カプラン・マイヤー(Kaplan−Meyer)生存率曲線、OS中央値及びハザード比を示す。ハザード比は、カットオフレベルが低減し、カットオフレベルとしてWBC8000/μLでピークに達することから、向上している。
図17を参照にして、ヒト末梢血から、Hetasep(Stemcell technol.)で赤血球の除去後、EasySep好中球濃縮キット(Stemcell technol.)で好中球を精製した。精製済み好中球(1×106細胞/ウェル、24ウェルプレートを、1μMのCBP501と一緒に、又はこれを用いずに15分間培養し(EDTAの添加により反応を停止した)、1nM PMA、3若しくは10μM A23187、又は100若しくは1000ng/mlのLPSと一緒にさらに4時間培養した。これらのウェルを2回洗浄してから、DNアーゼと一緒に15分間インキュベートし、上清を回収し、エラスターゼ基質と一緒に2時間インキュベートした後、に分析して、エラスターゼ活性を検出した。
図18を参照にして、8週齢のC57BL/6マウスに対し、ジフェンヒドラミンの注射の30分前に、LPSを2.5、5、若しくは10ug/mlで静脈内注射するか、又はしなかった。ジフェンヒドラミンの注射の30分後に、CBP501(7.5mg/kg)を注射した。CBP501又はモック注射から3時間後に採取した血液から分離した血漿中でELISAによりトロンビン/抗トロンビン複合体を定量した。4匹のマウスから各条件においてデータを得た。
図19を参照にして、0.32uMのPMAによりヒト末梢血単核細胞を刺激し、48時間のPMA刺激後、全懸濁細胞を除去することによって、マクロファージを取得した。細胞をさらに50ng/mlのIFN−γ、10ng/mlのLPSと一緒にインキュベートしてM1表現型を取得し、20ng/mlのIL−4とインキュベートして、M2マクロファージを取得した。いずれの処置もCBP501を用いて、又は用いずに行った。蛍光標識ビーズ及びフローサイトメトリーを用いて、食作用活性をモニターした。
図20を参照にして、マクロファージ細胞系RAW264.7を0.1又は1μMのCBP501と一緒に、又はこれを用いずに3〜6時間インキュベートした後、10又は1000ng/mlのLPSと一緒に、又はこれを用いずに4時間、さらにインキュベートした。放出されたTNFをELISAにより測定した。
CBP501は、前臨床試験(Sha,S.,et al.Mol.Cancer Ther.6:147(2007))及び第I相臨床試験(Shapiro,G.I.,et al.Clin.Cancer Res.(2011))において、有効な抗腫瘍剤としての可能性を示した。CBP501は、例えば、細胞周期G2チェックポイント抑止(Sha,S.,et al.Mol.Cancer Ther.6:147(2007))及び腫瘍細胞中の白金濃度により、又はカルモジュリン阻害(Mine,N.,et al.Mol.Cancer Ther.10:1929(2011))を通して、2つの作用機構下で作動し得る。
本明細書で立証されるように、意外なことには、非扁平上皮非小細胞肺癌患者に対する第II相臨床試験の患者集団についての亜群分析によって、スクリーニング時に高い白血球数(WBC)を有する群と、正常な又は低いWBCを有する群との間で、患者群の生存率に統計的に有意な(p<0.0001)差があることがみいだされた。
さらに、本明細書に記載の結果により示されるように、CBP501は、腫瘍細胞に対する直接の作用以外に、患者が、マクロファージによるNETのクリアランス/食作用の低下によって炎症を起こした場合、カルモジュリンを阻害して、好中球細胞外トラップ(NET)を増大することにより、マクロファージなどの腫瘍微小環境にも作用し得る。これは、深部静脈血栓症(DVT)及び転移を有する可能性を増大し、これによって、患者の生存に有害な影響を及ぼし得る。反対に、患者におけるM2型マクロファージの阻害は、腫瘍増殖、血管新生、転移及び腫瘍免疫回避(これらの全てが、腫瘍転移を促進し、これにより、患者の生存が短くなり得る)に対するマクロファージの正の作用を阻止し得る。
この観察結果と一致して、in vitroでのCBP501処置による活性化好中球のNET形成の増大、及びLPS刺激マウスにおけるトロンビン/抗トロンビン複合体形成の増大が証明されている。CBP501によるサイトカイン分泌並びにM1及びM2型両方のマクロファージの食作用の阻害も明らかにされている。
臨床試験では、腫瘍細胞に対するシスプラチンの細胞傷害性を増強することによって作用するCBP501が判明したが、本明細書の結果は、非扁平上皮NSCLC患者に対する第II相試験についてなされた亜群分析によって予想外の発見を明らかにし、これは、CBP501によるレジメンに応答して、臨床試験のスクリーニング時に高い白血球数(WBC)を有する患者群の生存はより短く、正常な又は低いWBCを有する他の患者群は、より長く生存したことを示し、この差は、ログランク(Log−rank)(Mantel−Cox)検定による全生存率に関するカプラン・マイヤー曲線に基づき算出されたp値が0.0001未満であることから、統計的に極めて有意であった。
従って、意外にも、処置前に正常な又は低いWBCを有する患者は、CBP501処置から利益を受けるが、高いWBCを有する患者は、同じ処置により有害な影響を受ける場合があることが判明した。カルモジュリンに対するCBP501の阻害活性は、マクロファージ、白血球及びリンパ球などの多様な微小環境細胞に対する作用が、それらの活性を阻害又は調節して、二方向性の結果を誘発し得たことを示唆している。何故なら、例えば、マクロファージを単に阻害することによって、M1型マクロファージを阻害した場合には、患者の生存に有害に作用し得、M2マクロファージを阻害した場合には、患者の生存を延長させ得るからである。
カルモジュリン阻害剤は、マクロファージ(Horwitz,S.B.,et al.J.Cell Biol.91:798(1981);Takenawa,T.,et al.Biochem J.15:208(1982);Westra,J.,et al.BMC Musculoskelet.Disord.30:11(2010))、白血球(Naccache,P.H.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.97(1):62(1980);Takeshige,K.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.99(2):484(1981);Jones,H.P.,et al.Biochem Biophys.Acta.714(1):152(1982);Jones,H.P.,et al.Methods Enzymol.015:389(1984);Verploegen,S.,et al.Eur.J.Biochem.269(18)4625(2002))及びリンパ球(Salisbury,J.L.,et al.Nature 12:294(1981);Boubali,S.,et al.Mol.Immunol.52(2):51(2012))の複数の機能を阻害することが報告されている。高いWBCを有する患者は、M1マクロファージ(これらが炎症性であるため)を有する傾向があり、正常な又は低いWBCを有する腫瘍患者は、M2マクロファージを有する傾向がある(Hao,N.,et al.Clin.Dev.Immunol.(2012))。また、高いWBCを有する患者は、有意な数の癌患者の死因である深部静脈血栓症(DVT)に、より罹患しやすいこともわかっている(Pabinger,I.,et al.Blood 122:12(2013);Blix,K.,et al.PLOS One 4:8(2013);Wang,T.F.,et al.Thromb.Res.133(1):25(2014))。これらの患者は、より多くのNETを有する傾向があり、NETは、腫瘍転移を促進し(Cools−Lartigue,J.,et al.J.Clin.Invest.(2013))、それが、肺癌患者など多くの癌患者の短期予後の一因となっている。
この実施例では、全ての治療集団において分析したとき、標準的レジメンである、ペメトレキセド及びシスプラチンへのCBP501の追加から検出された統計的に有意な生存利益はなかった。しかし、意外にも、亜群分析によって、CBP501の追加が、臨床試験のスクリーニング時に正常な又は低いWBCを示した患者群に対して利益をもたらしたことが明らかにされた。WBCの正常値は、部位及び国によって異なる。正常値WBCの上限値は、8000/μl〜11000/μlであり得る。
正常範囲のWBCを有する患者が、CBP501から利益を受け、スクリーニング時に高いWBCを有する患者が、シスプラチン及びペメトレキセドで処置された患者より効果が劣っていたことは、対照群であるシスプラチン及びペメトレキセド処置集団と比較して、いずれの差も統計的に有意ではなかったものの、驚くべきことであった。
CBP501の恐らく二方向性作用の明確な理由は明らかではないが、CBP501によるカルモジュリンの阻害作用から、マクロファージ、白血球及びリンパ球などの多様な微小環境細胞におけるカルモジュリンの阻害が、それらの活性を阻害又は調節し、二方向性の結果を誘発したことがわかる。何故なら、例えば、それが、M1型マクロファージを阻害した場合には、マクロファージの抗腫瘍活性を阻害及び/又はNETのクリアランス(NETは、血栓形成及び転移を促進するため)を阻害することによって、患者の生存に有害に作用し得、またそれが、前腫瘍(pro−tumor)M2マクロファージを阻害した場合には、患者の生存期間を延長させ得るからである。加えて、シスプラチンは、マクロファージをM1からM2型に歪める(skew)することが知られ(Dijkgraaf,E.M.,et al.Cancer Res.15:73(8):2480(2013))、化学療法はそれ自体で、腫瘍転移を促進することが知られており(Haas,M.J.SciBX 1−3(2011))、従って、化学療法の続行中にCBP501が存在すると、腫瘍転移に有意な影響をもたらし得る。カルモジュリン阻害剤は、マクロファージ(Horwitz,S.B.,et al.J.Cell Biol.91:798(1981);Takenawa,T.,et al.Biochem J.15:208(1982);Westra,J.,et al.BMC Musculoskelet.Disord.30:11(2010))、白血球(Naccache,P.H.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.97(1):62(1980);Takeshige,K.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.99(2):484(1981);Jones,H.P.,et al.Biochem Biophys.Acta.714(1):152(1982);Jones,H.P.,et al.Methods Enzymol.015:389(1984);Verploegen,S.,et al.Eur.J.Biochem.269(18)4625(2002))及びリンパ球(Salisbury,J.L.,et al.Nature 12:294(1981);Boubali,S.,et al.Mol.Immunol.52(2):51(2012))の複数の機能を阻害することが知られている。高いWBCを有する患者は、より多くのM1マクロファージ(これらが炎症誘発性であるため)を有する傾向があり、正常な又は低いWBCを有する腫瘍患者は、M2マクロファージを有する傾向がある(Hao,N.,et al.Clin.Dev.Immunol.(2012))。また、高いWBCを有する患者は、より多くのNETを有する傾向がある。NETの食作用がCBP501により阻止された場合、患者は、DVT及び転移を有するリスクが増加し、そのいずれも生存期間を短縮し得る。
或いは、カルモジュリンは、白血球の正常機能に関与している(Horwitz,S.B.,et al.J.Cell Biol.91:798(1981);Takenawa,T.,et al.Biochem J.15:208(1982);Westra,J.,et al.BMC Musculoskelet.Disord.30:11(2010);Naccache,P.H.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.97(1):62(1980);Takeshige,K.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.99(2):484(1981);Jones,H.P.,et al.Biochem Biophys.Acta.714(1):152(1982);Jones,H.P.,et al.Methods Enzymol.015:389(1984);Verploegen,S.,et al.Eur.J.Biochem.269(18)4625(2002);Salisbury,J.L.,et al.Nature 12:294(1981);Boubali,S.,et al.Mol.Immunol.52(2):51(2012);Hao,N.,et al.Clin.Dev.Immunol.(2012))。CBP501は、白血球が過剰に必要とされる場合、例えば、患者が、白血球数を増加させる活動性感染に罹患している場合、WBCの機能に潜在的有害性をもたらすことにより、全生存率に対する有益な活性を妨害し、相殺(set off)し得る。
カルモジュリンは、T細胞アネルギーを誘導し得ることが示唆されているため、カルモジュリン阻害もまた、リンパ球に作用することにより、抗癌免疫に影響を及ぼし得る(Boubali,S.,et al. Mol.Immunol.52(2):51(2012))。
処置前又はベースラインWBC数は、白金ベース療法で処置するNSCLC患者についての予後予測因子であることが判明している(Teramukai,S.,et al.Eur.J.Cancer(45(11:1950(2009);Kim,J.W.,et al.Cancer Res.Trest.45:4):325(2013))。CBP501は、シスプラチンの活性を調節することによって、この効果を増強することができる。患者は全て、処置の前に、広く承認された標準的手順に従いWBC数の実験室分析を受けることから、WBC数に基づいて患者を選択することができる。
カルモジュリンは、移動に重要な役割を果たすことが証明されているため、CBP501によるカルモジュリン阻害はまた、白金濃度とは独立に、腫瘍移動及び転移も直接阻害し得る(Wang,H.,et al.Nat.Commun.4:1354(2013))。