JP6416006B2 - シミュレーション装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シミュレーション装置に関し、特に、タイヤがリムから外れるときの車両の挙動を把握するためのシミュレーション装置に関する。
従来、タイヤの性能試験の一つに、タイヤがリムから外れる場合を想定したリム外れ試験が行われている。リム外れ試験では、被験体となるタイヤをリム組みして実際の車両に装着し、この車両をテストドライバーが規定された走行ライン(走行条件)に従って所定の運転条件で走行させて、実際にタイヤをリムから外れさせることで、タイヤがリム外れしたときの車両の挙動を把握するようにしている。
特開2008−94241号公報
しかしながら、テストドライバーが規定された走行条件に従って実車を所定の運転条件で繰り返し走行させることは難しく、再現性のあるリム外れ時の車両の挙動を把握するためには、多くのデータ取りを行わねばならず、多大な工数と時間を必要とするという問題がある。そこで、工数及び時間の削減のため、特許文献1に開示されるように、実際の車両を使用せず、リム組みされたタイヤと車両とをコンピュータ上でモデル化し、コンピュータによるシミュレーションによってリム外れ試験を行う方法も考えられるが、リムからタイヤが外れるという極限状態の挙動では、シミュレーションにより得られた結果と実際のタイヤ及び車両の挙動とが一致しないという問題がある。
そこで、本発明では、リム外れ試験に要する工数及び時間の削減を可能にして、リム外れ時のタイヤ及び車両の挙動を精度良く把握することができるシミュレーション装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのシミュレーション装置の構成として、リム組みされたタイヤを回転自在に支持するタイヤ支持装置と、タイヤが圧接される擬似路面と、タイヤ支持装置又は擬似路面に設けられ、擬似路面に対するタイヤの圧接状態を制御するアクチュエータと、タイヤ支持装置と擬似路面との両方、又はいずれかに設けられ、タイヤに回転駆動力又は制動力を付与する制動駆動装置と、擬似路面に圧接された状態で回転するタイヤに作用する力を検出するセンサと、タイヤの圧接状態を制御するための信号をアクチュエータに出力する制御装置とを備え、制御装置は、センサが検出した力、車両の走行条件及び車両の運転条件の入力により車両の走行状態を計算処理するとともに、計算された車両の走行状態に基づいて、アクチュエータの擬似路面に対するタイヤの圧接状態を制御する車両走行状態処理手段と、車両走行状態処理手段より得られる車両の走行状態が、車両の走行条件に一致するように、車両の運転条件を補正する運転条件補正手段とを備えるので、車両走行状態処理手段の実行時に実際のタイヤに加わる力を組み入れて得られた車両の走行状態が、運転条件補正手段により車両の走行条件に一致するように補正されるため、実車試験におけるリム外れ発生過程での車両の挙動にテストドライバーが対応するような運転操作を再現できる。したがって、実車試験に近い精度で車両の挙動を把握できるので、実車試験を不要とし、リム外れ試験に要する工数及び時間を削減することができる。
また、シミュレーション装置の他の構成として、制御装置は、タイヤのリム外れを検知するリム外れ検知手段と、リム外れ検知手段がタイヤのリム外れを検知したときに、タイヤのリム外れが検知される直前にセンサの検出した力の値を車両走行状態処理手段に出力するデータホールドとを備えるので、タイヤのリム外れが検知された後も車両走行状態処理手段による車両の走行状態の計算が継続可能となり、リム外れ後の車両の挙動を把握することができる。
また、シミュレーション装置の他の構成として、車両走行状態処理手段は、車両の運動状態を演算処理する車両運動状態処理手段と、車両運動状態処理手段におけるタイヤの運動状態を演算処理するタイヤ運動状態処理手段とを備え、タイヤ運動状態処理手段にセンサにより検出された力が入力されるので、実際のタイヤの運動状態がタイヤ運動状態処理手段に反映されるため、車両運動状態処理手段による車両の運動状態の計算において実車試験に近い精度の車両の運動状態を得ることができる。
シミュレーション装置のブロック図である。 タイヤ負荷装置を示す図である。 スピンドル軸の部分拡大図である。 力センサにより検出されるタイヤに作用する6分力の方向を示す図である。 スリップ角によりタイヤに生じる横力を示す図である。 タイヤのリム外れ前後の横力の変化を模式的に示した図である。 シミュレーション装置の動作を示すフローチャートである。 車両走行状態処理手段の処理を示すフローチャートである。
図1は、シミュレーション装置1の一実施形態を示すブロック図である。同図に示すように、シミュレーション装置1は、実際のタイヤ10に力を負荷するタイヤ負荷装置2と、タイヤ負荷装置2がタイヤ10に負荷を付与する力を制御する制御装置3とを備える。なお、実タイヤを含むタイヤ負荷装置2は、車両に装着されるタイヤ本数分に対応するように構成しても良いが、少なくとも1輪分のタイヤはタイヤ負荷装置2に設けるように構成し、その他のタイヤ分は、後述のタイヤ運動状態処理手段で構成して制御装置3に含めても良い。特に、パンク等により1輪のみタイヤ内圧が極端に低下し、リム外れが発生しやすくなる状況をシミュレーションする場合等は、該内圧の低下する1輪のみをタイヤ負荷装置2内に構成し、その他の正常な内圧のタイヤをタイヤ運動状態処理手段で構成することで、より簡便かつ精度良く目的を達成することができる。以下、操舵輪に対応するタイヤの1輪をタイヤ負荷装置2により構成した場合を用いてシミュレーション装置1の各構成について説明する。
図2は、タイヤ負荷装置2の一例を示す図、図3は、スピンドル軸18の部分拡大図である。同図に示すように、タイヤ負荷装置2には、例えばフラットベルト試験装置が適用できる。フラットベルト試験装置は、リム組みされたタイヤ10を回転自在に支持するタイヤ支持装置5と、タイヤ支持装置5に支持されたタイヤ10と圧接する擬似路面35aを有する路面再現装置6とを備える。
タイヤ支持装置5は、一対の台座11により支持されるフレーム12と、スピンドルユニット13とで構成される。台座11は、床面に所定距離離間して設けられ、フレーム12を駆動するアクチュエータ14を備える。アクチュエータ14は、台座11とフレーム12との間に介在して、台座11からフレーム12の立ち上がる角度を変位させる駆動機構である。アクチュエータ14は、後述の制御装置3と接続され、制御装置3から出力される信号に基づいて台座11側を支点としてフレーム12を回動させる。フレーム12は、台座11のアクチュエータ14より延長する一対の脚部15,15と、横枠16とで構成される。脚部15,15は、台座11間の上方において互いに交差するように延長し、横枠16により連結される。横枠16には、リム組みされたタイヤ10を回転自在に支持するスピンドルユニット13が設けられる。
スピンドルユニット13は、横枠16から上下方向に延長する主軸17と、軸線が主軸17の延長線と直交するように設けられたスピンドル軸18とを備える。主軸17は、上端側が横枠16に回転自在に支持され、横枠16に設けられたアクチュエータ19の駆動により当該主軸17の軸線を回転中心として回転する。アクチュエータ19は、後述の制御装置3と接続され、制御装置3から出力される信号に基づいて主軸17を回転駆動する。主軸17の下端側には、スピンドル軸18が設けられる。
図3に示すように、スピンドル軸18は、軸線が主軸17の軸線と直交するように延長する軸体である。スピンドル軸18の先端には、リム組みされたタイヤ10を回転自在に取り付けるためのハブ20がスピンドル軸18の軸線と同軸に設けられる。ハブ20は、タイヤ10の回転を検出する回転センサ22を備える。回転センサ22は、後述の制御装置3と接続され、タイヤ10の回転速度Vtを制御装置3に出力する。スピンドル軸18は、内部にリム組みされたタイヤ10に作用する力を検出する力センサ21を備える。力センサ21は、後述の制御装置3と接続され、検出した力を制御装置3に出力する。力センサ21には、例えば、6分力測定器が適用される。
図4は、力センサ21により検出されるタイヤ10に作用する6分力Pの方向を示す図である。同図に示すように、力センサ21は、タイヤ10に作用する力を、前後力Fx,横力Fy,接地荷重Fz、オーバーターニングモーメントMx、転がり抵抗モーメントMy、セルフアライニングトルクMzの6つに分解して検出する。前後力Fxは、タイヤ10の前後方向(X軸方向)に作用する力、横力Fyは、タイヤ10の横方向(Y軸方向)に作用する力、接地荷重Fzは、タイヤ10の鉛直方向(Z軸方向)に作用する力をそれぞれ示している。また、オーバーターニングモーメントMxは、タイヤ10の前後方向に延長するX軸周りのモーメント、転がり抵抗モーメントMyは、タイヤ10の横方向に延長するY軸周りのモーメント、セルフアライニングトルクMzは、タイヤ10の鉛直方向に延長するZ軸周りのモーメントをそれぞれ示している。なお、力センサ21により検出される6つの力は、以下の説明において総称して6分力Pともいう。
なお、力センサ21は、タイヤ10に作用する力の測定が可能であれば、スピンドル軸18の内部に限定されず、リムRとハブ20との間に挟むように設けても良く、リムRそのものに取り付けても良い。また、力センサ21は、上述の6分力測定器に限定されない。力センサ21は、少なくともタイヤ10に作用する前後力Fx,横力Fy,接地荷重Fz、セルフアライニングトルクMzのうちいずれか一つが検出できるものであれば良い。
路面再現装置6は、タイヤ支持装置5の台座11間のスピンドルユニット13の下方に設けられる。路面再現装置6は、床面に接地固定されたベース31と、ベース31に設けられたアクチュエータ32により鉛直方向に昇降するフレーム33と、軸線が平行となるようにフレーム33に対して回転自在に取り付けられた一対のドラム34,34と、一対のドラム34,34の外周に架け渡された無端状のベルト35と、ドラム34を回転駆動する駆動装置36とを備える。駆動装置36は、タイヤ10に回転力又は制動力を付与する制動駆動装置として機能する。
ベース31は、路面再現装置6における基台であって、床面に設置固定される。ベース31には、フレーム33を昇降するアクチュエータ32が設けられる。アクチュエータ32は、後述の制御装置3と接続され、制御装置3から出力される信号に基づいて駆動し、フレーム33を鉛直方向(Z軸方向)に上下させる。フレーム33には、一対の円筒状のドラム34,34が設けられる。一対のドラム34,34は、軸線が互いに平行、かつ外周のうちの最上部が同一平面上、例えば水平面上に位置するようにフレーム33に支持される。路面再現装置6は、ドラム34の軸線がタイヤ支持装置5の台座11,11間を結ぶ直線と直交するようにタイヤ支持装置5に配置される。一対のドラム34,34の外周には、無端状のベルト35が架け渡される。ベルト35の外周面は、コンクリートやアスファルト等の路面の摩擦係数を模した加工が施され、擬似路面35aとして再現されている。なお、ベルト35は、ドラム34,34間において所定の張力が付与されるように、図外のオートテンショナにより一定に保たれる。
一方のドラム34には、当該ドラム34を回転駆動する駆動装置36と、ドラム34の回転速度を検出するための回転センサ37とが設けられる。駆動装置36は、後述の制御装置3と接続され、制御装置3から出力される信号に基づいて制御される。駆動装置36がドラム34を回転駆動させ、ベルト35を従動的に回転させることで、走行状態の路面が疑似的に再現される。回転センサ37は、後述の制御装置3と接続され、検出したドラム34の回転速度を制御装置3に出力する。回転センサ37が制御装置3に出力するドラム34の回転速度は、制御装置3内においてベルト35の回転速度、即ち、車両の走行速度(車体速度Vv)として処理される。
なお、路面再現装置6は、上記フラットベルト試験装置に限らず、ドラム式タイヤ試験装置であっても良い。
上記タイヤ負荷装置2によれば、リム組みされたタイヤ10をタイヤ支持装置5のハブ20に取り付け、路面再現装置6のアクチュエータ32を駆動し、ベルト35を鉛直(Z軸)方向に沿って上下に変位させることにより、タイヤ10の擬似路面35aへの圧接力が調整される。この圧接力は、タイヤ10に付与される接地荷重Fzである。また、タイヤ支持装置5のアクチュエータ14を駆動し、擬似路面35aに対する主軸17の傾斜角を変化させることにより、タイヤ10のキャンバー角θが調整される。また、タイヤ支持装置5のアクチュエータ19を駆動し、主軸17を回転させて擬似路面35aの回転方向に対するタイヤ10の前後方向(X軸)の交差角を変化させることにより、タイヤ10のスリップ角φが調整される。なお、以下の説明では、上述の路面再現装置6のアクチュエータ32を荷重アクチュエータ32、タイヤ支持装置5のアクチュエータ14をキャンバー角アクチュエータ14、アクチュエータ19を操舵アクチュエータ19という。
図1に戻り、制御装置3について説明する。図1に示すように、制御装置3は、所謂コンピュータからなり、ハードウェア資源として設けられた演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROM,RAM、通信手段としての入出力インターフェイスを備える。また、制御装置3は、キーボードやマウスなどの作業者により直接操作される入力手段、或いは、磁気,光ディスクなどの媒体にあらかじめ記録された情報を入力するための磁気,光学ドライブ等による入力手段としての入力装置8、モニター等の表示手段としての表示装置9を備える。制御装置3には、入力装置8を介してシミュレーションに必要な基本情報、例えば走行条件や運転条件等が入力され、記憶手段に記憶される。CPUが、記憶手段に格納されたプログラムを実行処理することにより、車両の挙動が計算される。なお、車両の挙動とは、例えば、入力された走行条件及び運転条件に従って車両の走行シミュレーションを実行させたときに、車両が走行条件として入力され、目標となる走行ラインからどの程度外れているかや、走行中の接地荷重Fz、スリップ角φ、キャンバー角θの変化に応じた車両の姿勢の時系列的な変化等の車両の運動状態をいう。
制御装置3は、CPUを車両運動状態処理手段51、タイヤ運動状態処理手段52、運転条件補正手段53、車両走行状態処理手段54、リム外れ検知手段55、データホールド手段56として機能するプログラムを備える。力センサ21から制御装置3に出力された6分力Pは、リム外れ検知手段55と、データホールド手段56とに入力される。
車両運動状態処理手段51は、あらかじめ入力される車体寸法,前後のトレッド長,ホイールベース,車両重量,前後軸重量等の諸元情報、及び懸架装置,制動装置,動力伝達装置,操舵装置等の情報に基づいてタイヤを除く車両をモデル化したものである。車両運動状態処理手段51は、車両運動状態処理手段51と、後述のタイヤ運動状態処理手段52と、運転条件補正手段53とが、あらかじめ入力された走行条件と車両状態をより一致させるようにハンドル操作量等を修正した値と、後述のデータホールド手段56を介してタイヤ負荷装置2から入力される力センサの値をもとに、車両の重心位置、ピッチング、ローリング、ヨーイング等の車両の姿勢を含む車両の運動状態を演算処理する。これにより、車両の運動状態に応じた各タイヤの計算上の接地荷重Fz、キャンバー角θ、スリップ角φ等が得られる。
タイヤ運動状態処理手段52は、タイヤ10が発生する6分力P等と、接地荷重Fz、キャンバー角θ、スリップ角φ等の関係をモデル化したもので、車両に装備されるタイヤのうち、実タイヤを用いてタイヤ負荷装置2に組み込まれるもの以外のタイヤ10の挙動を計算するために用いる。
運転条件補正手段53は、従来の実車試験におけるテストドライバーによるアクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作等の運転操作を表現する。具体的には、運転条件補正手段53は、後述の車両走行状態処理手段54により得られる車両の走行軌跡や、車両運動状態処理手段51の計算による車両の運動状態における進行方向や車体速度Vvを指令値として入力された走行条件や運転条件との間にズレが生じた場合、指令値として入力された走行条件や運転条件に戻るように、運転条件として入力されたアクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作等の指令値に補正を加えた指令値を車両走行状態処理手段54に出力する。これにより、実車試験におけるリム外れ発生過程での車両の挙動にテストドライバーが対応するような運転操作を実車試験と同様に再現する。
車両走行状態処理手段54は、上記車両運動状態処理手段51により処理された車両の運動状態、タイヤ運動状態処理手段52により処理されたタイヤの運動状態、運転条件補正手段53から出力される指令値と、タイヤ負荷装置2の力センサ21から入力された6分力Pとに基づいて走行する車両の動的挙動である走行状態を演算処理する。つまり、車両走行状態処理手段54は、力センサ21が検出した力、車両の走行条件及び車両の運転条件の入力により車両の走行状態を計算処理するとともに、計算された車両の走行状態に基づいて、アクチュエータの擬似路面35aに対するタイヤ10の圧接状態を制御する。 例えば、後述のリム外れ検知手段55がタイヤのリム外れを検知したときに、タイヤ10と擬似路面35aとの圧接を解除するようにタイヤ負荷装置2のアクチュエータを動作させる。圧接を解除するとは、タイヤ10を擬似路面35aに押し付ける力を0(ゼロ)にする、もしくはタイヤ10を擬似路面35aより引き離すことにより実施する。
すなわち、車両走行状態処理手段54は、車両運動状態処理手段51がタイヤ運動状態処理手段52により得られたタイヤの運動状態を参照しながら演算処理する車両の運動状態の車両の重心位置、ピッチング、ローリング、ヨーイング等の車両の姿勢を含む車両の運動状態に基づいて、車両の走行軌跡の計算処理、車両の走行軌跡が入力された走行条件の目標とする走行ラインからどの程度外れているかの計算処理、車両の姿勢の時系列的な変化、すなわち、スピンや横転等の車両の挙動の計算処理を実行する。そして、車両走行状態処理手段54は、車両運動状態処理手段51が車両の運動状態を計算する毎に、計算により得られた車両の接地荷重Fz、スリップ角φ、キャンバー角θ、及び車体速度Vvをタイヤ負荷装置2に出力する。具体的には、車両走行状態処理手段54は、タイヤ負荷装置2に設けられた実際のタイヤ10が、接地荷重Fz、スリップ角φ、キャンバー角θで擬似路面35aに圧接されるような指令値をタイヤ負荷装置2の荷重アクチュエータ32、キャンバー角アクチュエータ14、スリップ角アクチュエータ19に出力する。また、タイヤ10の圧接される擬似路面35aが、車体速度Vvで走行しているような回転速度、すなわち、ベルト35が車体速度Vvで回転するような指令値を駆動装置36に出力する。
リム外れ検知手段55は、力センサ21から入力された6分力Pに基づいてリム外れを検知する。リム外れ検知手段55は、例えば、横力Fyに基づいてタイヤ10のリム外れを検知するように構成される。図5(a),(b)は、スリップ角φによりタイヤ10に生じる横力Fyを示す図である。図5(a)に示すように、ここでいうスリップ角φは、車体の進行方向(ベルト35の回転方向)とリムRの取付面との角度である。横力Fyは、同じスリップ角φでは車体速度Vvが速くなるに従って大きくなり、また、同じ車体速度Vvではスリップ角φが大きくなるにしたがって大きくなる。図5(a),(b)に示すように、タイヤ10に作用する横力Fyが、タイヤ10のビード部とリムRとの嵌合力よりも大きくなると、タイヤ10がリムRから外れることになる。タイヤ10がリムRから外れた場合には、タイヤ10に作用する横力Fyが急激に小さくなる。そこで、リム外れ検知手段55では力センサ21から出力される6分力Pのうちの横力Fyの変化を監視することでリム外れを検知する。
図6は、タイヤ10のリム外れ前後の横力Fyの変化を模式的に示した図である。同図に示すように、横力Fyは、タイヤ10がリムから外れる直前をピークにして一気に落ち込むことから、リム外れ検知手段55では、力センサ21から出力される横力Fyの落ち込み、すなわち、変化値に基づいてリム外れを検知する。変化値には、例えば、力センサ21から逐次出力される6分力Pの連続する減少率を適用できる。そして、リム外れ検知手段55では、閾値α以上の変化値が所定回数連続したときに、タイヤ10がリムRから外れたものとして検知する。
上述の車両走行状態処理手段54により得られる車両の連続的な挙動は、車両運動状態処理手段51及びタイヤ運動状態処理手段52によるタイヤを含む車両の運動状態を所定の時間間隔δtで計算を進行させることで得られる。この時間間隔δtは、例えば、リム外れ前後において横力Fyが、最大ピーク値となるq1から最少ピーク値となるqminまでの間に少なくとも1回以上の複数回、力センサ21から車両走行状態処理手段54に6分力Pが出力されるように設定されている。
そこで、リム外れ検知手段55では、図6に示すように、横力Fyの変化を監視するにあたり、横力Fyの最大ピーク値となるq1からq2,q3へと減少するときの各減少率が閾値α以上で、かつ2回以上連続するときに、リム外れが生じたものとして検知する。つまり、本実施形態では、図6に示すq4においてリム外れが検知される。リム外れ検知手段55がタイヤ10のリム外れを検知した場合には、リム外れの検知と同時に、データホールド手段56にリム外れの報知信号Tを出力し、リム外れを検知しない場合には、リム外れなしとの判定と同時に、リム外れのない旨を報知する報知信号Sをデータホールド手段56に出力する。
なお、リム外れ検知手段55によるタイヤ10のリム外れの他の検知方法として、横力Fyに代えて、前後力Fx、接地荷重FzやセルフアライニングトルクMzの変化に基づいて、リム外れを検知するようにしても良い。横力Fyと同様に、力センサ21から出力される6分力Pのうちの前後力Fx、横力Fy、接地荷重Fz及びセルフアライニングトルクMzのリム外れ後の減少が顕著であることから、上記横力Fy以外の前後力Fx、接地荷重Fz及びセルフアライニングトルクMzのいずれかの変化を上述したように監視することで、タイヤ10のリム外れを検出することができる。また、前後力Fx、横力Fy、接地荷重Fz及びセルフアライニングトルクMzのいずれかの変化を組み合わせてリム外れを検知するようにしても良い。
データホールド手段56は、リム外れ検知手段55がタイヤ10のリム外れを検知し、タイヤ10と擬似路面35aとの圧接を解除する直前に力センサ21の検出した6分力Pの値を車両走行状態処理手段54に出力する。具体的には、データホールド手段56には、上述の力センサ21が検出した6分力Pと、リム外れ検知手段55から出力される報知信号S,Tとが入力される。データホールド手段56は、リム外れ検知手段55から入力される報知信号S又は報知信号Tに応じて、力センサ21から入力された6分力Pを車両走行状態処理手段54に出力する。そして、データホールド手段56は、力センサ21から入力される6分力Pを記憶し、報知信号Sが入力された場合には、最新の6分力Pを車両走行状態処理手段54に出力し、報知信号Tが入力された場合には、入力された最新の6分力Pの直前の入力直前の6分力Pを車両走行状態処理手段54に出力する。例えば、図6のグラフで言えば、q4においてリム外れが検知され、q4における6分力Pが入力された後に、報知信号Tがリム外れ検知手段55から入力されることから、q4の直前であるq3における6分力Pが車両走行状態処理手段54に出力される。
以下、シミュレーション装置1の動作について説明する。なお、以下の説明において、タイヤ負荷装置2には、所定の内圧が印加され、リム組みされた被験体のタイヤが取り付けられているものとする。また、制御装置3には、入力装置8の操作により運転条件及び走行条件等のシミュレーションに関する情報が入力されているものとする。走行条件には、所定距離直進後に、所定の曲率の円周上に沿って左旋回し、方向転換する直線と円弧とを組み合わせたJ字状の走行ラインが設定されているものとする。また、運転条件には、上記走行条件として入力された走行ラインを走行するときのアクセル操作、ブレーキ操作、ステアリング操作に関する条件、具体的には、直線を静止状態から車速40kmまで所定の加速度で加速し、所定距離車速40kmで定常走行させた後に、所定の曲率の円周上を車速40kmを維持したまま走行するようなステアリング操作及びアクセル操作が設定されているものとする。
作業者が、シミュレーションを開始する指令を入力装置8から入力することにより、制御装置3及びタイヤ負荷装置2によるシミュレーションが開始される。
S101:まずシミュレーションにおける時間ステップNを1つ進行させる。
S102:シミュレーションが開始されると、制御装置3では、車両走行状態処理手段54が、上記車両運動状態処理手段51により処理された車両の運動状態、タイヤ運動状態処理手段52により処理されたタイヤの運動状態、タイヤ負荷装置2の力センサ21から入力された6分力P、入力された運転条件及び走行条件の時間ステップNにおける指令値に基づいて、車両の運動状態を計算し、S103に移行する。シミュレーションの開始時では、静止状態の車両の状態が計算される。
S103:計算により得られた車両の運動状態から車両の接地荷重Fz、スリップ角φ及びキャンバー角θ及び車体速度Vvをタイヤ負荷装置2に出力する。
タイヤ負荷装置2では、タイヤ支持装置5に支持されたタイヤ10が、車両走行状態処理手段54から入力された接地荷重Fz、スリップ角φ及びキャンバー角θで擬似路面35aに圧接されるように、荷重アクチュエータ32、スリップ角アクチュエータ19、キャンバー角アクチュエータ14が駆動される。また、擬似路面35aの回転速度が車体速度Vvとなるように駆動装置36の駆動が制御される。荷重アクチュエータ32、スリップ角アクチュエータ19、キャンバー角アクチュエータ14、及び駆動装置36の駆動によりタイヤ負荷装置2の力センサ21で検出された6分力Pが制御装置3に出力される。
S104:力センサ21から入力された6分力Pをリム外れ検知手段55及びデータホールド手段56に出力し、S105に移行する。
S105:リム外れの検知履歴の有無を判定する。リム外れの検知履歴がない場合には、S106に移行し、リム外れの検知履歴がある場合には、S109に移行する。
S106:最新の6分力の一つ前の6分力を記憶し、S107に移行する。
S107:リム外れ検知手段55により、力センサ21から入力された6分力Pのうちの横力Fyの変化値を計算し、閾値αと比較することでリム外れの有無を判定する。計算された変化値が閾値α未満の場合にはリム外れなしとして判定し、報知する報知信号Sをデータホールド手段56に出力してS108に移行する。また、変化値が閾値α以上の場合にはリム外れ有りとして判定し、リム外れを報知する報知信号Tをデータホールド手段56に出力してS109に移行する。
S108:データホールド手段56はリム外れ検知手段55からの報知信号Sの入力により、力センサ21から入力された最新の6分力Pを記憶し、最新の6分力を車両走行状態処理手段54に出力してS110に移行する。
S109:S106において記憶された6分力Pを車両走行状態処理手段54に出力してS109に移行する。
S110:シミュレーションにおける時間ステップNがNmaxであるかどうかを判定し、Nmaxであるときには、シミュレーションを終了し、Nmaxでないときには、S101に戻り、時間ステップNを1つ進めてシミュレーションが継続される。
すなわち、上記S101からS110を繰り返すことにより、車両の動的挙動がシミュレーションされる。
上記S102における車両の運動状態の計算において、走行ラインからズレが生じた場合には、運転条件補正手段53が走行ラインからのズレを補正する指令値を車両走行状態処理手段54に出力することで車両の運動状態の計算がなされる。
図8は、S102における車両走行状態処理手段54の処理を示すフローチャートである。
同図に示すようにS102では、S201乃至S204の処理が実行される。
S201:入力された走行条件及び運転条件を更新する。すなわち、S101により時間ステップが進行したときの時間経過や車両走行位置等に基づき走行条件及び運転条件を更新する。
S202:時間ステップが更新される1つ前の時間ステップで計算された車両の運動状態が、S201で読み込んだ走行条件及び運転条件に合致しているかどうかを判定する。合致している場合には、S204に移行し、合致していない場合には、S203に移行する。
S203:時間ステップが更新される1つ前の時間ステップで計算された車両の運動状態が、S201で読み込んだ走行条件及び運転条件に合致するように、運転条件を補正した指令値を計算する。入力装置8から入力された走行条件には時間ステップ毎の走行ラインが規定されているが、例えば、所定の曲率に沿って旋回走行する場合に、リム外れが発生し、横力Fyが減少することにより、車両走行状態処理手段54による車両の運動の計算において、車両の走行する位置が走行ラインからずれてしまう場合がある。このような場合には、実車試験におけるテストドライバーが行うように自動的にハンドル操作量等の運転条件を補正し、補正した指令値としての運転条件を車両走行状態処理手段54に出力する。
S204:上記S203から出力された補正された運転条件及びS201で更新された走行条件、又は、S201で更新された走行条件及び運転条件に基づいて、車両の運動を計算する。
このように運転条件を補正することで、実車試験において車両の挙動に応じてテストドライバーが対応するような運転操作をシミュレーションに再現させることができる。
以上説明したように、コンピュータ上の仮想空間で計算されたタイヤの運動状態と実際のタイヤ10の運動状態とをリンクさせることにより、車両運動状態処理手段51により計算される車両の運動状態の精度を向上させることができ、車両の正確な動的挙動を把握することができる。車両走行状態処理手段54により計算された結果は、記憶手段と表示装置9とに逐次出力される。記憶手段ではデータとして保存され、表示装置9では例えばアニメーションとして表示される。
また、リム外れが検出された場合には、データホールド手段56の記憶するリム外れ検出直前の6分力Pが車両走行状態処理手段54に入力されるため、この入力に基づいてタイヤ運動状態処理手段52によりタイヤの運動状態を計算し、この計算されたタイヤの運動状態を車両運動状態処理手段51に反映させて、車両の運動状態を継続的に計算することができるので、リム外れ後の車両の動的挙動をシミュレーションし、把握することができる。
例えば、タイヤ負荷装置2においてタイヤ10がリム外れした力センサ21は、リムからタイヤ10が外れた状態にあるため、エラー値、若しくはエラー値に等しい値を出力する。このエラー値をタイヤ運動状態処理手段52に入力し、タイヤの運動状態を計算したとしても、計算にエラーが生じてタイヤの運動状態の計算が停止し、車両挙動のシミュレーションが終了してしまう。そこで、データホールド手段56が、リム外れ後にはリム外れ検知直前の6分力を車両走行状態処理手段54に出力することで、タイヤ運動状態処理手段52によるタイヤの運動状態の計算、また、この計算値を用いた車両運動状態処理手段51による車両の運動状態の計算にリム外れの状態を反映させて、車両の運動状態の計算を継続させることができる。これにより、シミュレーションの開始から終了までの間にタイヤ10のリム外れを生じた場合であっても、車両の動的挙動を確実に把握することができる。
なお、上記実施形態のタイヤ負荷装置2では、路面再現装置6に駆動装置36を設け、擬似路面35aを回転させてタイヤ10を従動的に回転させるものとして説明したが、タイヤ支持装置5に駆動装置を設けてタイヤ10を回転させて擬似路面35aを従動的に回転させるようにしても良い。
また、タイヤ支持装置5及び路面再現装置6の両方に駆動装置を設けて、擬似路面35aに回転力又は制動力を付与するとともに、タイヤ10に回転力又は制動力を付与して、擬似路面35aに対してタイヤ10を相対的に回転させるように構成しても良い。このようにタイヤ側及びドラム側の双方をアクティブにドライブ(擬似路面35aに回転力又は制動力を付与するとともに、タイヤ10に回転力又は制動力を付与)することで、車両自体の対地移動速度と、タイヤの制動・駆動によるスリップ率やスリップ角などを同時に再現することができ、より精度の高いシミュレーションを行うことができる。
また、キャンバー角アクチュエータ14や操舵アクチュエータ19や荷重アクチュエータ32は、タイヤ負荷装置2のタイヤ支持装置5か路面再現装置6のいずれかが備えていれば良い。
1 シミュレーション装置、2 タイヤ負荷装置、3 制御装置、
5 タイヤ支持装置、6 路面再現装置、10 タイヤ、
14 キャンバー角アクチュエータ(アクチュエータ)、
19 操舵アクチュエータ(アクチュエータ)、21 力センサ、
32 荷重アクチュエータ(アクチュエータ)、35a 擬似路面、36 駆動装置、
51 車両運動状態処理手段、52 タイヤ運動状態処理手段、
53 運転条件補正手段、54 車両走行状態処理手段、55 リム外れ検知手段、
56 データホールド手段。

Claims (3)

  1. リム組みされたタイヤを回転自在に支持するタイヤ支持装置と、
    前記タイヤが圧接される擬似路面と、
    前記タイヤ支持装置又は前記擬似路面に設けられ、前記擬似路面に対するタイヤの圧接状態を制御するアクチュエータと、
    前記タイヤ支持装置と前記擬似路面との両方、又はいずれかに設けられ、前記タイヤに回転駆動力又は制動力を付与する制動駆動装置と、
    前記擬似路面に圧接された状態で回転する前記タイヤに作用する力を検出するセンサと、
    前記タイヤの圧接状態を制御するための信号をアクチュエータに出力する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記センサが検出した力、車両の走行条件及び車両の運転条件の入力により車両の走行状態を計算処理するとともに、計算された車両の走行状態に基づいて、前記アクチュエータの擬似路面に対するタイヤの圧接状態を制御する車両走行状態処理手段と、
    前記車両走行状態処理手段より得られる車両の走行状態が、前記車両の走行条件に一致するように、車両の運転条件を補正する運転条件補正手段と、を備えるシミュレーション装置。
  2. 前記制御装置は、前記タイヤのリム外れを検知するリム外れ検知手段と、
    前記リム外れ検知手段がタイヤのリム外れを検知したときに、 タイヤのリム外れが検知される直前に前記センサの検出した力の値を前記車両走行状態処理手段に出力するデータホールド手段と、
    を備える請求項1に記載のシミュレーション装置。
  3. 前記車両走行状態処理手段は、車両の運動状態を演算処理する車両運動状態処理手段と、
    前記車両運動状態処理手段におけるタイヤの運動状態を演算処理するタイヤ運動状態処理手段とを備え、
    前記タイヤ運動状態処理手段に前記センサにより検出された力が入力される請求項1又は請求項2に記載のシミュレーション装置。
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