JP6418143B2 - 脱鉄殿物のレパルプ装置及びレパルプ方法 - Google Patents

脱鉄殿物のレパルプ装置及びレパルプ方法 Download PDF

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Description

本発明は、脱鉄殿物のレパルプ装置及びレパルプ方法に関する。さらに詳しくは、マット塩素浸出電解採取(原語は、Matte Chlorine Leaching Electrowinning以下、MCLEと略称することがある)プロセス中の脱鉄工程から得られる脱鉄殿物をレパルプして、含有されている溶解性ニッケルを回収する際の、レパルプ装置及びレパルプ方法に関する。
MCLEプロセスでは、原料を塩素浸出し、鉄や亜鉛を除去し、ニッケルやコバルトを濃縮している。
鉄を除去する脱鉄工程は、原料中に含まれる鉄の大部分を除去する工程であるが、得られる脱鉄殿物中には溶解性ニッケルが多く含まれており、これをレパルプ(殿物をスラリー化する手法)して、溶解性ニッケルを液中に溶解することにより、脱鉄殿物中からニッケルを回収している。
図5に示すように、従来のレパルプ装置は、1次フィルタプレス10と2次フィルタプレス20との間にレパルプ槽100を設置しており、次のように構成されている。
1次フィルタプレス10の下部には、シュート104が備えられており、更にその下には、レパルプ槽100が位置している。
1次フィルタプレス10から得られる殿物(以下、1次殿物ということがある)は、フィルタプレス10を開枠することにより下方に落下し、シュート104により集められて、レパルプ槽100に投入される。また、レパルプ槽100はシュート104からの殿物を受け入れるため、上面に大きな開口105が形成されている。
レパルプ槽100には、あらかじめレパルプ用液体(例えば、工業用水、電解廃液など、前記の殿物からニッケルを回収できる液体)が準備され、温度もニッケル溶解に適した60℃程度に昇温され、pHも溶解性ニッケルが溶け出しやすい2程度に調整されている。pH調整は塩酸などのpH調整剤の添加によって行われ、pH調整剤の投入配管106からレパルプ槽100に添加される。投入配管106は、レパルプ槽100の上方から内部に挿入されているが、この投入配管106の開口端はスラリーSLの液面上に位置している。
レパルプ槽100と2次フィルタプレス20との間は給送配管107でつながれ、送液ポンプ103が介装されている。レパルプ槽100内のスラリーレベルは、送液ポンプ103のオン/オフで制御されている。そのスラリーレベルの上限はレパルプ槽100の上縁より低く、また、下限は給送配管107がつながれた抜出し口108より高くなっており、スラリーがレパルプ槽100からオーバーフローすることを防止し、かつ給送配管107への空気流入による送液ポンプ103の損傷を防止しているのが一般的である。
レパルプ作業の工程は、つぎのとおりである。
(ステップ1)
1次フィルタプレス10を開枠し、脱鉄殿物を排出してレパルプ槽100に投入する。このレパルプ槽100内でpHを2前後に維持した状態で1時間程度撹拌する。
(ステップ2)
つぎに、撹拌後得られるスラリーを送液ポンプ103で2次フィルタプレス20に送液して、固液分離する。こうすることにより、レパルプによって液中に溶けだしたニッケルを回収し、2次フィルタプレス20から得られる殿物(以下、2次殿物という場合がある)を系外に排出する。
上記従来のレパルプ方法によれば、最初から液温が適切なので溶解時間が早く、脱鉄殿物を入れてからpH調整するので、pHを早く合わせられる、などの利点がある。また、2次殿物中のニッケル残存量は10〜20g/kgと充分な回収率を示すため、従来より採用されていた。
ところが、上記工程のステップ1で、第1フィルタプレス10を開枠すると、レパルプ槽100の大きな開口105を通じて高温(約60℃)の液体から蒸気が立ち登り、落下してくる1次殿物の一部を巻き込んでニッケルミストmとなって吹き上げられ、建屋内に拡散するという現象が発生する。また、投入配管106から落下させられたpH調整剤は、スラリーSLの表面に当って小さな飛沫sとして飛散し、ニッケルミストmに混ざるという現象も発生することがあった。
上記のようなニッケルミストmは、pHが2程度の強酸性であり、建屋を構成する主要な構造材としての鉄骨には致命的な影響がでることはないが、工場建屋内のピンブレース(鉄骨を支えるために、鋼製丸棒をX字形に組んだもので、木造建築の筋交いに相当する部材)が腐食して破断し、交換や補修を余儀なくされるという問題点が生じていた。
ミスト発生にともなう上記の問題点に対応するため、簡単には吸引ダクトなどを設けて、ミストを捕捉して除去する方法があるが、この方法では、交換や補修に必要なコストに比べて大幅にコストが増大するので適用されず、ニッケルミストの問題は解消されないまま放置されてきた。
ミスト発生に関連する従来技術としては、特許文献1がある。この特許文献1には、水洗ブースの水槽内の循環水中に捕集された塗料ミストが分散し、循環水の流れの悪い個所に塗料スラッジとして集積してしまって、汚れや悪臭の原因になってしまうことと、ポンプで吸い込んで固液分離装置で処理しようとしても、塗料スラッジが循環水中に分散あるいは水槽に部分的に集積してしまって、塗料スラッジを十分に固液分離できないといった問題に対し、水槽の底板を延長して渦巻室・排水樋を形成し、渦巻室からの塗料ミストを含んだ循環水を排水樋から補助水槽に排出させ、補助水槽内で前記塗料ミストを塗料スラッジとして浮上または沈降させて分離してから、循環水を前記本水槽に戻す。同時に、浮上または沈降した塗料スラッジをポンプが吸い込み固液分離装置に送って処理する、という技術が記載されている。
しかるに、この従来技術は、操業中のミスト発生に伴う問題を解決する技術であり、発生したミストを効果的に捕捉する技術ではあるが、特殊な構造(渦巻室・排水樋)を必要とし、ミストが混在する循環水からミストを除去する技術であり、そもそもミストが特定箇所に集積して発生する問題であるため、本発明の課題解消には適用困難である。
特開2000-325842号公報
本発明は上記事情に鑑み、ニッケル回収率は低下させずに、腐食による影響を低減することが可能な、脱鉄殿物のレパルプ装置およびレパルプ方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、レパルプ工程を追加変更することによって、ミスト発生による腐食の問題点がかなり抑制されることを見出し、本発明を完成した。
第1発明のレパルプ装置は、第1フィルタプレスと、該第1フィルタプレスの殿物排出口の下方に設置された第1レパルプ槽と、該第1レパルプ槽から1次処理スラリーの給送を受ける第2レパルプ槽と、該第2レパルプ槽から2次処理スラリーの給送を受ける第2フィルタプレスとからなり、前記第1レパルプ槽は上面開口型であって、撹拌翼を備えた撹拌機とpH調整剤の投入配管を備えており、前記第2レパルプ槽は、密閉型であって、撹拌翼を備えた撹拌機、pH調整剤の投入配管、温度調節手段および温度測定器を備えていることを特徴とする。
第2発明のレパルプ装置は、第1発明において、前記第1フィルタプレスに入れられる始液が、マット塩素浸出電解採取プロセス中の脱鉄工程を出たスラリーであることを特徴とする。
第3発明のレパルプ装置は、第1発明または第2発明において、前記第1レパルプ槽のpH調整剤の投入配管は、その出口が、スラリー液面下に位置することを特徴とする。
第4発明のレパルプ方法は、第1フィルタプレスで固液分離して殿物を得る第1工程と、第1フィルタプレスで得られた殿物を、常温のレパルプ用液が入れられており上面が開口した第1レパルプ槽に投入して撹拌する第2工程と、前記第1レパルプ槽で得られた1次処理スラリーを高温のレパルプ用液が入れられた密閉型の第2レパルプ槽に給送して撹拌する第3工程と、前記第2レパルプ槽で得られた2次処理スラリーを2次フィルタプレスで固液分離する第4工程とからなることを特徴とする。
第1発明のレパルプ装置によれば、第1フィルタプレスから殿物を第1レパルプ槽に投入したとき、槽内のレパルプ用液は常温のままなので蒸気は発生せず槽上面の開口からミストが飛散することはない。また、第1レパルプ槽で処理した1次スラリーを第2レパルプ槽で撹拌するときレパルプ用液は高温ではあっても槽自体が密閉構造なので、やはりミスト飛散は生じない。よって、建屋の腐食被害を低減できる。また、第2レパルプ槽ではpH調整したうえで、ニッケル溶出に適した高温のレパルプ液中で撹拌できるので、ニッケル回収率を低下させることはない。
第2発明によれば、大規模プラントであるマット塩素浸出電解採取プロセスにおける脱鉄工程でのレパルプ操作に適用したので、ニッケル回収率を低下させずに腐食に影響を低減する効果の工業的価値は高いものとなる。
第3発明のレパルプ装置によれば、pH調整剤の投入配管の出口が、スラリー液面下にあることによって、投入されたpH調整剤が落下して液面において飛び散ることがなくなるので、ミストが発生したとしても、ミスト中に直接混入するpH調整剤を減少させることができる。
第4発明のレパルプ方法によれば、第1レパルプ工程で用いる第1レパルプ槽はレパルプ用液が低温であるので、蒸気発生に伴うミスト飛散が生じず、第2レパルプ工程で用いる第2レパルプ槽はレパルプ用液が高温であっても密閉型の槽を用いるので、外部へのミスト飛散は生じない。よって、建屋の腐食被害を低減できる。また、第2レパルプ槽ではpH調整したうえで、ニッケル溶出に適した高温のレパルプ液中で撹拌できるので、ニッケル回収率を低下させることはない。
本発明の一実施形態に係るレパルプ装置の説明図である。 図1のレパルプ装置の作用説明図である。 MCLEプロセスの工程図である。 (A)、(B)は本発明の他の実施形態に係るレパルプ槽の説明図である。 従来のレパルプ装置の説明図である。
以下、本実施形態に係るレパルプ装置およびレパルプ方法を図面に基づき説明する。
(レパルプ装置)
図1に示すように、本実施形態のレパルプ装置は、第1フィルタプレス10と、この第1フィルタプレス10の殿物排出口の下方に設置された第1レパルプ槽1と、この第1レパルプ槽1から1次処理スラリーの給送を受ける第2レパルプ槽2と、この第2レパルプ槽2から2次処理スラリーの給送を受ける第2フィルタプレス20とからなる。
第1レパルプ槽1は上面開口型であって、槽本体の上面に大きな開口が形成されている。特許請求の範囲にいう「上面開口型」とは槽上面にミストが飛散しやすい大きな開口のある構造を意味する。
また、この開口5と第1フィルタプレス10との間にはシュート4が設けられており、第1フィルタプレス10を開枠すると、固液分離した殿物が第1レパルプ槽1の槽内に落下投入されるようになっている。
また、第1レパルプ槽1には撹拌翼11を備えた撹拌機やpH調整剤を投入する投入配管12を備えている。なお、温度調節手段および温度測定器を備えるかどうかは任意である。第1レパルプ槽1と第2レパルプ槽2との間は給送配管6でつながれて、給送ポンプ3が介装されている。
第2レパルプ槽2は、密閉型であって、槽本体には非常に小さな開口しか存しない。特許請求の範囲にいう「密閉型」とは、多少の開口はあっても概ね閉塞されていて、ミストの飛散が生じない構造を意味する。本実施形態におけるそれらの開口は給送配管6の接続口であるが、小さなものであり、かつ適宜のシール材で閉止することも可能なので、第2レパルプ槽2は実質密閉型といってよい。そして、第2レパルプ槽2には撹拌翼11を備えた撹拌機とpH調整剤を投入する投入配管12に加え、温度調節手段および温度測定器を備えている。また、第2レパルプ槽2と2次フィルタプレス20との間は給送配管8でつながれ、給送ポンプ9が介装されている。
第1レパルプ槽1および第2レパルプ槽2に備えつける撹拌機は公知のものを、とくに制限なく用いることができる。また、温度測定器も公知のものをとくに制限なく用いることができる。
第2レパルプ槽2における温度を調整する温度調節手段に特に制限は無いが、高スラリー濃度での昇温となり、複雑な形状の設備を導入するとスラリーのスケーリングや閉塞といったトラブルが発生することがあるので、設備形状がシンプルな蒸気の直接吹き込み式が好ましい。また、このような温度調節手段であればスラリー液温の微調整も容易であるメリットがある。
第1レパルプ槽1および第2レパルプ槽2のpHを調整する方法に特に制限は無く、公知のpH調整剤をレパルプ用液に混合させる方法を任意にとりうる。また、pH調整の観点から槽本体は、酸の添加とスラリーのpHに時間差が生じにくく、かつ必要な滞留時間を確保できる槽容量とすることが好ましい。
第1レパルプ槽1におけるpH調整剤の投入配管12は、外部から槽内に導入した状態で、その出口がスラリーSLの液面下とされる。スラリーSLの液面は投入と排出の度に上下に変動するので、スラリーSLが下限に降下した場合であっても、その下限レベルのスラリーSLの液面下となるよう投入配管12の出口の上限位置が決められる。
なぜなら、スラリーSLの撹拌状況にもよるが、投入配管12の出口の位置が低すぎるとpH調整剤の混合効率が悪くなる場合が多いので、前記上限を超えない条件下でなるべく高いレベルの方が好ましい。撹拌効果を考えると、pH調整剤はなるべく上方から入れた方が、よく撹拌されるからである。
一方、pH調整剤の投入配管12の出口の下限位置は、抜き出し口6dレベル付近であるが、より高いことが最も好ましい。なぜなら、配管12の出口が抜き出し口6dに近いと、pH調整剤がスラリーSLに混合する前に抜き出し口6dから外部に排出されるからである。
第2レパルプ槽2においても、図1に示すように、撹拌機の撹拌翼11とpH調整剤の投入配管12が設けられている。投入配管12の出口の、下限位置は、給送配管8の抜出し口8dレベル付近であるが、より高いことが最も好ましい点は第1レパルプ槽1の場合と同様である。
図4に基づき、pH調整剤の投入配管12の他の例を説明する。
同図(A)に示すように、屈曲した投入配管12をレパルプ槽1、2の側壁を貫いて挿入し、その出口がスラリーSLの液面下にあるようにしてもよい。また同図(B)に示すように、投入配管12をレパルプ槽1、2の底を貫いて上向きに設け、その出口がスラリーSLの液面下にあるようにしてもよい。上記いずれの場合も出口は抜出し口よりも高い位置とされる。
要するに、本発明において投入配管12の出口はスラリーSLの液面の最下降面と抜出し口との間に設置されることのみが条件であり、配管の途中経路は任意である。
(レパルプ方法)
つぎに、本発明のレパルプ方法を図1に沿って詳細に説明する。
(第1工程)
1次フィルタプレス10により始液を固液分離して殿物(以下、1次殿物ということがある)を得る。
(第2工程)
第1フィルタプレス10を開枠することにより得られた殿物を下方に落下させ、シュート4により集めて、第1レパルプ槽1に投入する。
第1レパルプ槽1では、あらかじめレパルプ用液(例えば、工業用水、電解廃液など、前記の殿物からニッケルを回収できる液体)が注入されており、温度は常温、たとえば
30℃〜40℃、好ましくは約35℃程度に保たれる。また、pHは1〜3、好ましくは2程度に調整されている。この状態で、1時間程度撹拌する。
(第3工程)
次に、第1レパルプ槽1で撹拌して得られる1次処理スラリーを、密閉型の第2レパルプ槽2に送液する。第2レパルプ槽2では、レパルプ用液の温度は55〜65℃、好ましくは約60℃程度まで上昇させ、1時間程度撹拌する。
温度が上昇するにつれて、1次処理スラリーからニッケルが溶出してくるので、pHも変動するが、さらにpH調整してpHを1〜2、好ましくは約2に維持する。この第2レパルプ槽2では1次処理スラリーを保持するだけでもよいが、第2レパルプ槽2でも撹拌したほうが、pH調整が容易になるので好ましい。
(第4工程)
つぎに、第2レパルプ槽2から得られる2次処理スラリーを2次フィルタプレス20に送液して、固液分離し、レパルプによって液中に溶けだしたニッケルを回収し、2次フィルタプレス20から得られる殿物(以下、2次殿物という場合がある)を系外に排出する。
図2に示すように、本発明のレパルプ装置および方法によれば、第1フィルタプレス10から殿物を第1レパルプ槽1に投入したとき、槽内のレパルプ用液は常温なので蒸気は発生せず槽上面の開口からミストが飛散することはない。また、第1レパルプ槽1で処理した1次スラリーを第2レパルプ槽2で撹拌するときレパルプ用液は高温ではあっても槽自体が密閉構造なので、やはりミスト飛散は生じない。さらに、投入配管12の出口がスラリーSLの液面下にあるので、塩酸等のpH調整剤の飛沫が発散することもない。
よって、建屋の腐食被害を低減できる。また、第2レパルプ槽2ではpH調整したうえで、ニッケル溶出に適した高温のレパルプ液中で撹拌できるので、ニッケル回収率を低下させることはない。
本発明のレパルプ方法による効果をさらに説明する。
(1)漏れミストに対する効果
本発明のレパルプ方法を実施する前に大気中のニッケル量を測定したところ、0.038mg/m3であった。また、市販のpH試験紙を棒の先に固定し、第1フィルタプレス10の開枠中に第1レパルプ槽1の上方に保持して、簡易的なpH測定をしたところ、pHは1〜3程度であった。
これに対し、本発明のレパルプ方法を実施した後で大気中のニッケル量を測定したところ、0.020mg/m3であった。また、上記同様の簡易的なpH測定をしたところ、pHは3〜5程度であった。更に、第1、第2発明の装置に加え第3発明(投入配管12の出口がスラリーSLの液面以下となる構成)を適用して、上記同様の簡易的なpH測定をしたところ、pHは6以上となった。
上記のように、大気中のニッケル濃度が0.038mg/m3から0.020mg/m3まで低下したことから、設備腐食の主要因である塩素濃度も比例して減少するため、設備の腐食速度は半減されるものと考えられる。この考察は、簡易的なpH測定でミストのpH値が中性に向けて上昇していることによっても裏付けられている。この結果から、本発明のレパルプ装置およびレパルプ方法を適用すれば、装置から漏れ出すニッケルミストの量を大幅に低減し、建屋部材の寿命を延ばすことが可能である。
(2)設備コスト
第2レパルプ槽2は、蒸気の立ち上りさえ抑制できるように密閉型に構成すればよいので、撹拌翼11を備えたり、pH調整剤の投入配管12を設けたりするものの、それほど高価な追加設備は要しないので、設備コストを低く抑えることができる。
(3)ニッケル回収率に対する効果
ニッケル回収率は、第2レパルプ槽2を増設することで、同時に殿物の滞留時間を確保する効果を併せ持つため、従来法と遜色のないニッケル回収率を得ることができる。
本発明のレパルプ装置およびレパルプ方法は、MCLEプロセス中の脱鉄工程に好適に適用可能である。図3に基づき、MCLEプロセスを説明する。
MCLEプロセスでは、原料のニッケル硫化物として、ニッケルマットとニッケル・コバルト混合硫化物(MS:ミックスサルファイド)の2種類が用いられる。ニッケルマットは、硫鉄ニッケル鉱を熔錬することで得られる。また、ニッケル・コバルト混合硫化物は、低品位ラテライト鉱を硫酸浸出し、浸出液中のニッケルとコバルトを硫化物として回収することで得られる。
まず、ニッケルマットを粉砕工程において粉砕した後、後述の電解廃液と混合してマットスラリーとし、セメンテーション工程に供給する。セメンテーション工程には塩素浸出工程で得られた浸出液が供給されており、この浸出液(銅濃度30〜60g/L)中に含まれる銅イオンがニッケルマット中のニッケルメタルと置換反応を起こして、硫化銅として析出する。そして、析出した硫化銅をその他の残分とともにセメンテーション残渣として分離し、塩素浸出工程に供給する。
セメンテーション工程の終液中にはコバルトや鉄などが含まれているため、脱鉄工程で塩素ガスを吹き込んで酸化しつつ、同時に炭酸ニッケルを添加して中和する、いわゆる酸化中和法により、これらの元素および銅、鉛、ヒ素などの微量不純物を水酸化物として除去する。不純物を除去した液は純粋な塩化ニッケル溶液であり、電解給液として電解工程に送る。電解工程においては、電解採取により、電解液に含まれるニッケルを電気ニッケルとして回収する。電解工程で発生した塩素ガスは塩素浸出工程および浄液工程に繰り返して再利用する。電解工程から排出された電解廃液は粉砕工程および浄液工程に送られる。
塩素浸出工程にはセメンテーション残渣およびニッケル・コバルト混合硫化物からなるスラリーが供給される。塩素浸出工程では、浸出槽に吹き込まれる塩素ガスの酸化力によって、スラリー中の固形物に含まれる金属が実質的に全て液中に浸出される。塩素浸出工程から排出されたスラリーは浸出液と浸出残渣とに固液分離される。金属が浸出された浸出液は、セメンテーション工程に繰り返して供給される。一方、マットに含まれていた硫黄はほとんど浸出されず、その大部分が浸出残渣として分離される。
上記MCLEプロセスに本発明を適用した場合、第1フィルタプレス10に投入される原料は、脱鉄工程を出たスラリーとなるが、これを前記第1工程から第4工程に通せば、前記スラリーからニッケルを回収することができ、ニッケル回収率を低下させずに、腐食による影響を低減することができる。このため、本発明は工業的価値が極めて大きい。
(実施例)
以下、実施例および比較例によって、本発明をさらに詳細に説明する。
共通の条件は次の通り。
始液 :MCLEプロセルにおける脱鉄工程から排出されたスラリー(塩化ニッケル溶液に、不純物残渣として水酸化第2鉄をはじめ、砒素やマンガンなどの沈殿物が含まれている)
始液組成などの例 :固体分 5〜10g/L
:固体中 Fe量 0.5g/殿物重量g
:液体中 Ni量 160〜200g/L
: Co量 5〜10g/L
:液性 pH 1〜2
第1レパルプ槽1 :形状 円柱型
:サイズ 10m
第2レパルプ槽2 :形状 円柱型
:サイズ 15m
ニッケル回収率 :65〜90%([1次殿物Ni品位−2次殿物Ni品位]÷[1次殿物Ni品位])
残渣中のニッケル量 :(測定方法:蛍光X線分析装置)
簡易的pH測定 :市販のpH試験紙を棒の先に貼り付け、第1フィルタプレス10の中央部上方20〜30cmに保持した。
保持期間は、第1フィルタプレス10の開枠開始から終了まで。
本発明を適用し、図1に示すレパルプ装置を使用し、温度は第2レパルプ槽2で昇温してレパルプ操業したところ、大気中ニッケル濃度は0.020mg/mであった。ニッケル回収率は73〜89%だった。
また、簡易的pH測定の結果、pHは4程度だった。
更に本発明の第3発明(投入配管12の出口がスラリーSLの液面以下となる構成)を適用し、第1レパルプ槽1に添加するpH調整剤を、スラリ液面下から供給してレパルプ操業したところ、大気中のニッケル濃度は0.015mg/mであった。ニッケル回収率は73〜89%だった。
また、簡易的pH測定の結果、pHは7程度だった。
[比較例1]
本発明を適用せず、図5に示す従来型装置を使用し、温度はレパルプ槽100で昇温して操業したところ、大気中ニッケル濃度は0.038mg/mであった。ニッケル回収率は、65〜90%だった。
また、簡易的pH測定の結果、pHは2程度だった。
1 第1レパルプ槽
2 第2レパルプ槽
3 送液ポンプ
4 シュート
6d 抜出し口
8d 抜出し口
10 第1フィルタプレス
11 撹拌翼
12 投入配管
20 第2フィルタプレス
SL スラリー

Claims (4)

  1. 第1フィルタプレスと、該第1フィルタプレスの殿物排出口の下方に設置された第1レパルプ槽と、該第1レパルプ槽から1次処理スラリーの給送を受ける第2レパルプ槽と、該第2レパルプ槽から2次処理スラリーの給送を受ける第2フィルタプレスとからなり、
    前記第1レパルプ槽は上面開口型であって、撹拌翼を備えた撹拌機とpH調整剤の投入配管を備えており、
    前記第2レパルプ槽は、密閉型であって、撹拌翼を備えた撹拌機、pH調整剤の投入配管、温度調節手段および温度測定器を備えている
    ことを特徴とするレパルプ装置。
  2. 前記第1フィルタプレスに入れられる始液が、マット塩素浸出電解採取プロセス中の脱鉄工程を出たスラリーである
    ことを特徴とする請求項1記載のレパルプ装置。
  3. 前記第1レパルプ槽のpH調整剤の投入配管は、その出口が、スラリー液面下に位置する
    ことを特徴とする請求項1または2記載のレパルプ装置。
  4. 第1フィルタプレスで固液分離して殿物を得る第1工程と、
    第1フィルタプレスで得られた殿物を、常温のレパルプ用液が入れられており上面が開口した第1レパルプ槽に投入して撹拌する第2工程と、
    前記第1レパルプ槽で得られた1次処理スラリーを高温のレパルプ用液が入れられた密閉型の第2レパルプ槽に給送して撹拌する第3工程と、
    前記第2レパルプ槽で得られた2次処理スラリーを2次フィルタプレスで固液分離する第4工程とからなる
    ことを特徴とするレパルプ方法。
JP2015235497A 2015-10-21 2015-12-02 脱鉄殿物のレパルプ装置及びレパルプ方法 Expired - Fee Related JP6418143B2 (ja)

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